JPH118529A - エネルギー閉じ込め型厚み縦圧電共振子 - Google Patents

エネルギー閉じ込め型厚み縦圧電共振子

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JPH118529A
JPH118529A JP15982297A JP15982297A JPH118529A JP H118529 A JPH118529 A JP H118529A JP 15982297 A JP15982297 A JP 15982297A JP 15982297 A JP15982297 A JP 15982297A JP H118529 A JPH118529 A JP H118529A
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JP
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piezoelectric
piezoelectric resonator
piezoelectric body
thickness
resonance
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JP15982297A
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Inventor
Hiroaki Kaida
弘明 開田
Mitsuhiro Yamada
光洋 山田
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Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚み縦振動モードの3倍波を利用した厚み縦
圧電共振子であって、小型化を進めることができ、所望
でない不要スプリアスの発生を効果的に抑圧し得る、厚
み縦圧電共振子を提供する。 【解決手段】 ストリップ型の矩形板状の圧電体2と、
圧電体2の両面に形成されており、圧電体2を介して表
裏対向された第1,第2の励振電極3,4とを備え、圧
電体2の長さをL、厚みをtとし、d=t/3としたと
きに、L/dが14以上とされている、厚み縦圧電共振
子1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々の共振子や発
振子等に用いられる圧電共振子に関し、より詳細には、
厚み縦振動モードの3倍波を利用した厚み縦圧電共振子
に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電共振子は、圧電発振子や圧電フィル
タなどの種々の圧電共振部品に用いられており、この種
の圧電共振子としては、使用周波数に応じて種々の圧電
振動モードを利用したものが知られている。
【0003】従来の厚み縦振動モードの3倍波を利用し
たエネルギー閉じ込め型圧電共振子の一例を、図15及
び図16を参照して説明する。図15に示すように、こ
の圧電共振子は矩形の圧電セラミック板51の上面中央
に、円形の励振電極52を形成し、下面中央に励振電極
52と表裏対向するように円形の励振電極53を形成し
た構造を有する。励振電極52,53は、それぞれ、引
き出し電極54,55により圧電セラミック板51の端
縁に引き出されている。圧電セラミック板51は、図1
6に矢印Pで示すように、厚み方向に一様に分極処理さ
れている。
【0004】駆動に際しては、励振電極52,53間に
交流電圧を印加することにより、圧電共振子を共振させ
ることができ、この場合、振動エネルギーは、励振電極
52,53が重なり合っている領域、すなわち共振部A
に閉じ込められる。
【0005】従来の厚み縦振動モードの3倍波を利用し
た上記圧電共振子は、エネルギー閉じ込め型圧電共振子
として構成されており、従って、共振部Aの周囲に振動
を減衰させるための大きな面積の振動減衰部を必要とし
ていた。すなわち、共振部の面積に比べて大きな振動減
衰部を必要としていたので、小型化を進めることが困難
であった。
【0006】他方、特開平2−235422号公報に
は、共振部の周囲に余分な圧電基板部分をあまり必要と
しない、ストリップ型の圧電セラミックスを用いたエネ
ルギー閉じ込め型圧電共振子が開示されている。
【0007】ここでは、図17に示すように、細長い圧
電基板71の上面に励振電極72aが、下面に励振電極
72bが形成されている。励振電極72a,72bは、
それぞれ、圧電基板71の一対の長辺に至るように、す
なわち全幅に至るように形成されており、かつ圧電基板
71の長さ方向中央において表裏対向されて共振部を構
成している。また、これらの励振電極72a,72b
は、それぞれ、圧電基板71の長さ方向端部71a,7
1bに至るように延ばされている。
【0008】圧電共振子70では、厚み縦振動モードを
励振した場合、圧電基板71の幅Wと厚みTの寸法関係
に起因する不要振動が発生する。そこで、特開平2−2
35422号公報では、基本波を利用する場合には、共
振周波数16MHzにおいてW/T=5.33付近とす
ればよいこと、3倍波を利用する場合には、共振周波数
約16MHzにおいてW/T=2.87付近とすれば、
共振周波数−反共振周波数間における不要スプリアスを
低減し得るとされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述した通り、厚み縦
振動モードの3倍波を利用した図15及び図16に示し
たエネルギー閉じ込め型圧電共振子では、共振部の周囲
に大きな振動減衰部を構成する必要があるため、小型化
が困難であるという問題があった。
【0010】また、特開平2−235422号公報に開
示されているエネルギー閉じ込め型圧電共振子では、共
振部の側方に振動減衰部を必要としないため、小型化を
果たし得るものの、実際に厚み縦振動モードの高調波を
利用しようとした場合には、共振周波数−反共振周波数
間のスプリアス以外に、様々な不要スプリアスが現れ、
有効な共振特性を得られないという問題があった。
【0011】よって、本発明の目的は、厚み縦振動モー
ドの3倍波を利用した厚み縦圧電共振子であって、小型
化を進めることができ、かつ所望でない不要スプリアス
の発生を効果的に抑制し得る良好な共振特性を有する厚
み縦圧電共振子を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、共振部の両側に振動減衰部を有し、厚み縦振動モー
ドの3倍波を利用したエネルギー閉じ込め型厚み縦圧電
共振子であって、矩形板状の圧電体と、前記圧電体の両
面に形成されて圧電体を介して対向されており、両側の
振動減衰部を結ぶ方向を第1の方向としたときに、第1
の方向と直交する方向において、圧電体の端部または端
部近傍まで至るように形成された第1,第2の励振電極
とを備え、前記圧電体の第1の方向に沿う長さをL、厚
みをt、d=t/3としたときに、L/d≧14とされ
ていることを特徴とする。
【0013】上記比L/dは、より好ましくは、請求項
2に記載のように、16±0.5、21±0.5、23
±0.5、25±0.5または27.5±0.5とされ
る。また、請求項1または2に記載の発明に係るエネル
ギー閉じ込め型厚み縦圧電共振子においては、好ましく
は、請求項3に記載のように、前記第1,第2の励振電
極の重なり合っている部分の第1の方向に沿う長さをl
としたときに、l/d≦6とされている。
【0014】好ましくは、請求項4に記載のように、上
記l/dは3〜6の範囲とされる。また、より好ましく
は、l/dは4.5〜5.5の範囲とされ、それによっ
て比帯域幅の一層の拡大が図られる。
【0015】また、請求項1〜4のエネルギー閉じ込め
型厚み縦圧電共振子においては、好ましくは、請求項5
に記載のように、前記圧電体が細長いストリップ型の圧
電体により構成される。
【0016】さらに、請求項1〜5に記載のエネルギー
閉じ込め型厚み縦圧電共振子においては、好ましくは、
請求項6に記載のように、前記第1または第2の励振電
極が形成されている面に、圧電共振子の振動を妨げない
ための空間を隔てて貼り合わされたコンデンサをさらに
備える。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
非限定的な実施例につき説明する。 (第1の実施例)図1は、本発明の第1の実施例に係る
厚み縦圧電共振子を示す斜視図であり、図2はその断面
図である。
【0018】厚み縦圧電共振子1は、細長いストリップ
状の圧電体2を用いて構成されている。圧電体2は、チ
タン酸鉛系セラミックスのような圧電セラミックスで構
成されている。
【0019】圧電体2は、図示の矢印Pで示すように、
厚み方向に一様に分極処理されている。他方、圧電体2
の上面には、第1の励振電極3が形成されており、下面
には第2の励振電極4が形成されている。励振電極3
は、圧電体2の一方端面2a側から圧電体2の上面にお
いて他方端面2b側に向かって、但し端面2bには至ら
ないように延ばされている。励振電極4は、圧電体2の
下面において、端面2b側から端面2a側に向かって、
但し端面2aには至らないように延ばされている。
【0020】従って、圧電体2の長さ方向中央部分にお
いて、励振電極3と励振電極4とが圧電体2を介して表
裏対向されている。なお、励振電極3は、圧電体2の端
面2aから下面に至る端子電極5に接続されている。
【0021】駆動に際しては、第1,第2の励振電極
3,4間に交流電圧を印加することにより、厚み縦振動
モードの3倍波が強く励振され、該3倍波を利用した圧
電共振子として動作させることができる。
【0022】なお、本実施例では、第1,第2の励振電
極3,4が圧電体2の長さ方向中央部分において圧電体
層を介して重なり合うように形成されている。従って、
第1,第2の励振電極3,4が重なり合っている部分に
おいて、エネルギー閉じ込め型の共振部が構成され、こ
の共振部が振動した場合のエネルギーは、共振部と端面
2a,2bとの間の圧電体部分で減衰される。
【0023】言い換えれば、上記共振部を中心として考
えると、圧電体2の長さ方向(第1の方向)のみに振動
減衰部が両側に設けられており、第1,第2の励振電極
は、長さ方向と直交する方向において、圧電板の端部、
すなわち長手方向に延びる端縁に至るように形成されて
いる。
【0024】この場合、第1,第2の励振電極3,4
は、共振部においてのみ、圧電体2の全幅に至るように
形成されておればよく、共振部外では、同じ幅に形成さ
れている必要は必ずしもない。例えば、励振電極3を例
にとると、共振部においてのみ、励振電極3は圧電体2
の全幅に至るように形成されておればよく、励振電極3
の共振部より端面2a側の部分は、単に励振電極を端子
電極5に電気的に接続する部分であるため、細い幅で形
成されていてもよい。
【0025】本実施例の厚み縦圧電共振子1の特徴は、
圧電体2の長さ方向(第1の方向)に沿う長さをL、圧
電体2の厚みをtとし、d=t/3としたときに、L/
d≧14とされていることにあり、それによって従来の
ストリップ型厚み縦圧電共振子と異なり、良好な共振特
性を得ることができる。
【0026】すなわち、本願発明者は、ストリップ型圧
電共振子における圧電体の長さ寸法が小さいと、圧電共
振子を機械的に保持した後にQmが低下することに鑑
み、圧電体の長さを種々の角度から検討したところ、上
記比L/dを特定の範囲に選択すれば、保持による影響
を余り受けず、良好な共振特性が得られることを見出
し、本発明を成すに至った。
【0027】図4及び図5は、それぞれ、L/d=10
及び16とした場合に、厚み縦振動の3倍波TE3で振
動している圧電体の有限要素法で解析された変位分布を
示す図である。
【0028】なお、図4及び図5は、図3に示すよう
に、ストリップ型厚み縦圧電共振子1の縦断面の半分、
すなわち長さ方向に沿って厚み縦圧電共振子を厚み方向
に切断した面の半分の変位状態を模式的に示す図であ
る。
【0029】図4に示す変位分布は、チタン酸鉛系圧電
セラミックスからなる圧電体の長さをL=1.8mm、
d=0.15、L/d=12とした場合の変位分布を示
し、図5は、チタン酸鉛系圧電セラミックスからなる圧
電体を用い、L=3.0mm、d=0.15、L/d=
20とした場合の変位分布を示す。
【0030】図4と図5とを比較すれば明らかなよう
に、図4では、中央部分が上方に変位している場合、圧
電体の長さ方向端部も同じく上方に変位していることが
わかる。これに対して、図5に示す変位分布では、圧電
体2の中央部分が大きく上方に変位しているのに対し、
圧電体2の長さ方向端部がほとんど厚み方向に変位して
いないことがわかる。
【0031】従って、図4及び図5を比較すると、比L
/dを12から20に変更することにより、厚み縦振動
モードの3倍波を励振させた場合、端部を機械的に保持
したとしても、保持部分がほとんど変位しないため、良
好な共振特性の得られることがわかる。
【0032】図4及び図5の結果に基づき、種々実験を
したところ、前述したとおり、比L/dを14以上とな
るように厚み縦圧電共振子1を構成すれば、保持による
影響をほとんど受けず、良好な共振特性の得られること
を見出した。
【0033】次に、圧電体1として、チタン酸鉛系圧電
セラミックスからなり、比L/dを種々変化させ、比L
/dによる共振特性の変化を調べた。結果を図6に示
す。図6は、比L/dが変化した場合の圧電体の長さ方
向端部の相対変位量の変化を示す。なお、相対変位量と
は、長さ方向中央における変位量に対する、長さ方向端
部の変位量の割合を示す。例えば、図4に示す変位分布
において、圧電体の長さ方向中央部が初期状態から上方
に変位した場合の変位量をX、長さ方向端部が初期状態
から上方に変位した量をaとした場合に、a/Xで表さ
れる。この場合、長さ方向端部が長さ方向中央とは逆方
向、すなわち下方に変位した場合には、相対変位量は負
の値となる。
【0034】図6から明らかなように、比L/dを14
以上とすることにより、相対変位量を±0.1以内とす
ることができ、良好な共振特性の得られることがわか
る。特に、L/dを16±0.5、21±0.5、23
±0.5、25±0.5、または27.5±0.5の範
囲とすることにより相対変位量をほぼ0とすることがで
き、共振エネルギーを共振部により一層効果的に閉じ込
めることができ、良好な共振特性の得られることがわか
る。
【0035】本実施例の厚み縦圧電共振子1の他の特徴
は、第1,第2の励振電極3,4の重なり合っている部
分の圧電体2の長さ方向(第1の方向)に沿う長さをl
としたときに、l/d≦6とされていることにある。本
実施例の厚み縦圧電共振子1では、比l/dが6以下と
されているので、インハーモニック・オーバートーンに
起因する不要スプリアスを効果的に抑制することができ
る。これを、図7〜図12を参照して説明する。
【0036】本願発明者によれば、図17に示した従来
のストリップ型圧電共振子70では、共振周波数−反共
振周波数間の周波数領域に大きなスプリアスの発生する
ことが認められた。圧電共振子70のインピーダンス周
波数特性を図9に示す。図9から明らかなように、3倍
波の共振周波数Frと反共振周波数Faとの間の周波数
領域に矢印S1 で示す大きなスプリアスが現れている。
【0037】また、上記スプリアスS1 の原因を種々検
討した結果、上記スプリアスS1 が、インハーモニック
・オーバートーンに起因する共振であることが確かめら
れた。図7及び図8は、それぞれ、厚み縦振動の3倍波
TE3及びインハーモニック・オーバートーン(S1
ード)で振動している場合の有限要素法で解析された変
位分布を示す図である。なお、図7及び図8は、図3に
示すように、ストリップ型厚み縦圧電共振子1の縦断面
の半分、すなわち長さ方向に沿って厚み縦圧電共振子を
厚み方向に切断した面の半分の変位状態を模式的に示す
図である。
【0038】図8から明らかなように、インハーモニッ
ク・オーバートーンでは、厚み縦圧電共振子の共振部に
おいて、圧電体が厚み方向に大きく変位していることが
わかる。従って、このようなインハーモニック・オーバ
ートーンが大きく発生すると、図7に示す厚み縦振動モ
ードの3倍波の振動に大きく影響することがわかる。
【0039】そこで、本願発明者は、上記インハーモニ
ック・オーバートーンS1 に起因するスプリアスを抑制
すべく種々実験したところ、前述した通り、第1,第2
の励振電極の圧電体2の長さ方向に沿う重なり寸法を
l、圧電体2の厚みをt、d=t/3としたとき、比l
/dを6以下とすれば、インハーモニック・オーバート
ーンの応答を小さくすることができ、厚み縦振動モード
の3倍波TE3のみを大きく励振させ得ることを見出し
た。
【0040】図10は、比l/d=5.0とした場合の
圧電共振子1のインピーダンス−周波数特性を示す。な
お、図9に示した特性は、l/d=8の場合の圧電共振
子70についてのものである。
【0041】図10から明らかなように、比l/d=
5.0の場合には、共振点Frと反共振点Faとの間の
通過帯域近傍に大きなスプリアス振動が発生しておら
ず、従って上記インハーモニック・オーバートーンによ
るスプリアスを効果的に抑制し得ることがわかる。
【0042】そこで、圧電体2として、長さL=3.0
mm、幅W=0.5mm、厚みt=0.3mmのチタン
酸鉛系圧電セラミックスからなるものを用い、第1,第
2の励振電極の長さ方向に沿う重なり寸法lを種々変化
させ、比l/dによる共振特性の変化を調べた。結果を
図11及び図12に示す。
【0043】図11は、比l/dが変化した場合の周波
数定数F・dの変化を示す図である。ここで、周波数定
数F・dとは、共振点Frもしくは反共振点Faの周波
数と、上記dとの積で表される値である。
【0044】また、図11において、▲は3倍波の共振
点Frを、●は3倍波の反共振点Faを、△はインハー
モニック・オーバートーンの共振点Frを、○はインハ
ーモニック・オーバートーンの反共振点Faの位置を示
す。
【0045】図11から明らかなように、l/d=6を
超えると、インハーモニック・オーバートーンS1 の共
振点Fr及び反共振点Faが厚み縦振動の3倍波TE3
の反共振点Fa近傍に現れ、かつ比l/dが約8の場合
には、厚み縦振動の3倍波TE3の共振点Frと反共振
点Faとの間の帯域内に発生することがわかる。これに
対して、l/dが6以下の場合には、インハーモニック
・オーバートーンが現れないことがわかる。
【0046】また、比l/dが6以下の場合、インハー
モニック・オーバートーンの発生を抑圧し得るものの、
比l/dが小さくなる程、厚み縦振動モードの3倍波T
E3における通過帯域、すなわち共振点Frと反共振点
Faとの間の帯域幅が狭くなることがわかる。
【0047】そこで、比l/dを変化させた場合の比帯
域幅を有限要素法により確かめたところ、図12に示す
結果が得られた。なお、比帯域幅とは、共振周波数F
r、反共振周波数Faとしたときに、(Fa−Fr)×
100/Fa(%)で得られる値である。
【0048】図12から明らかなように、比l/dを変
化させると比帯域幅が変化し、l/dが3〜6の範囲で
は、比帯域幅が7%以上と大きくなり、特に、4.5〜
5.5の範囲で、比帯域幅が約8%以上と大きくなるこ
とがわかる。
【0049】よって、比l/dを、好ましくは3〜6、
より好ましくは4.5〜5.5とすれば、インハーモニ
ック・オーバートーンによるスプリアスを抑圧し得るだ
けでなく、比帯域幅が大きな、良好な共振特性を有する
エネルギー閉じ込め型厚み縦圧電共振子1とし得ること
がわかる。
【0050】従って、本実施例の厚み縦圧電共振子1で
は、比L/dを14以上とすることにより、長さ方向端
部で機械的に保持したとしても、保持部分による影響を
受けることがないだけでなく、l/dが6以下とされて
いるので、インハーモニック・オーバートーンによる不
要スプリアスを効果的に抑制することもできる。
【0051】(第2の実施例)図13は、本発明の第2
の実施例に係る厚み縦圧電共振子を説明するための斜視
図であり、図14はその等価回路を示す図である。図1
3に示す圧電共振子11は、第1の実施例に係る厚み縦
圧電共振子1にコンデンサ12を結合した構造を有す
る。すなわち、厚み縦圧電共振子1の下面に、導電性接
着剤13,14を介してコンデンサ12が接合されてい
る。
【0052】コンデンサ12では、誘電体基板12aの
上面において、所定のギャップを隔てて容量電極12
b,12cが形成されている。また、誘電体基板12a
の下面には、容量電極12b,12cと誘電体基板12
aを介して表裏対向するように共通電極12dが形成さ
れている。
【0053】他方、導電性接着剤13は、上記容量電極
12bと端子電極5とを接合しており、導電性接着剤1
4は、容量電極12cと励振電極4とを共振部外の部分
で接合している。
【0054】従って、圧電共振子11は、図14に示す
ように、共振子に2個のコンデンサユニットを組み合わ
せた容量内蔵型圧電発振子として用いることができるも
のである。
【0055】よって、厚み縦圧電共振子1が厚み縦振動
の3倍波を利用した圧電共振子であって、機械的支持に
よる影響を受け難く、かつインハーモニック・オーバー
トーンや他の要因に基づくスプリアスを効果的に抑制す
ることが可能とされているので、良好な周波数特性を有
する圧電発振子を提供することが可能となる。
【0056】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、矩形板
状の圧電体と、圧電体の両面に形成された第1,第2の
励振電極とを備える厚み縦振動の3倍波を利用した圧電
共振子において、比L/dが14以上とされているた
め、圧電共振子の長さ方向端部を機械的に保持したとし
ても、良好な共振特性を実現することができる。すなわ
ち、比L/dを14以上とすることにより、機械的保持
部の影響を受けることなく、良好な共振特性を得ること
ができる。
【0057】また、請求項2に記載の発明では、比L/
dが、16±0.5、21±0.5、23±0.5、2
5±0.5または27.5±0.5の範囲とされている
ので、より一層エネルギー閉じ込めを良好に行うことが
でき、機械的保持部の影響を受けない共振特性の良好な
厚み縦圧電共振子を提供することが可能となる。
【0058】請求項3に記載の発明によれば、比l/d
が6以下とされているため、さらに、インハーモニック
・オーバートーンに起因する不要スプリアスを効果的に
抑制することができる。
【0059】請求項4に記載の発明によれば、比l/d
が3〜6の範囲とされているので、インハーモニック・
オーバートーンによるスプリアスを抑制し得るだけでな
く、比帯域幅が広い、より共振特性の良好なエネルギー
閉じ込め型厚み縦圧電共振子を実現することができる。
【0060】また、請求項5に記載のように、圧電体と
して、細長いストリップ型の圧電体を用いた場合には、
厚み縦圧電共振子の小型化を進めることができる。請求
項6に記載の発明によれば、請求項1〜5の何れかに記
載の厚み縦圧電共振子に、さらに共振子の振動を妨げな
いための空間を隔ててコンデンサが貼り合わされている
ので、不要スプリアスが少ない共振特性の良好な圧電共
振子を用いて、容量内蔵型の圧電発振子を提供すること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る厚み縦圧電共振子
を示す斜視図。
【図2】第1の実施例に係る厚み縦圧電共振子の断面
図。
【図3】図4及び図5に示す変位分布が表されている部
分に相当する部分の圧電共振子の断面図。
【図4】L/d=12とした場合の厚み縦振動の3倍波
で振動している場合の図1に示した厚み縦圧電共振子の
変位分布を示す図。
【図5】L/d=20とした場合の厚み縦振動の3倍波
で振動している場合の図1に示した厚み縦圧電共振子の
変位分布を示す図。
【図6】比L/dが変化した場合の圧電体の長さ方向端
部の相対変位量の変化を示す図。
【図7】厚み縦振動モードの3倍波TE3で振動してい
る圧電体の有限要素法による解析された変位分布を示す
図。
【図8】インハーモニック・オーバートーン(S1 )で
振動している圧電体の有限要素法による解析された変位
分布を示す図。
【図9】従来の厚み縦圧電共振子においてスプリアスと
して現れているインハーモニック・オーバートーンを説
明するためのインピーダンス−周波数特性を示す図。
【図10】本発明の第1の実施例に係る厚み縦圧電共振
子のインピーダンス−周波数特性を示す図。
【図11】比l/dと厚み縦振動の3倍波TE3及びイ
ンハーニック・オーバートーンS 1 の周波数定数との関
係を示す図。
【図12】比l/dと比帯域幅との関係を示す図。
【図13】本発明の第2の実施例に係る圧電共振子であ
って、コンデンサ内蔵型圧電共振子を示す斜視図。
【図14】図13に示した圧電共振子の回路構成を示す
図。
【図15】厚み縦振動の3倍波を利用した従来の厚み縦
圧電共振子の一例を説明するための分解斜視図。
【図16】図15に示した厚み縦圧電共振子の断面図。
【図17】従来の厚み縦圧電共振子の他の例を説明する
ための斜視図。
【符号の説明】
1…厚み縦圧電共振子 2…圧電体 3,4…第1,第2の励振電極 11…圧電共振子 12…コンデンサ 21…厚み縦圧電共振子 22…圧電体 23,24…第1,第2の励振電極

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共振部の両側に振動減衰部を有し、厚み
    縦振動モードの3倍波を利用したエネルギー閉じ込め型
    厚み縦圧電共振子であって、 矩形板状の圧電体と、 前記圧電体の両面に形成されて圧電体を介して対向され
    ており、両側の振動減衰部を結ぶ方向を第1の方向とし
    たときに、第1の方向と直交する方向において、圧電体
    の端部または端部近傍まで至るように形成された第1,
    第2の励振電極とを備え、 前記圧電体の第1の方向に沿う長さをL、厚みをt、d
    =t/3としたときに、L/d≧14とされていること
    を特徴とする、エネルギー閉じ込め型厚み縦圧電共振
    子。
  2. 【請求項2】 前記比L/dが16±0.5、21±
    0.5、23±0.5、25±0.5または27.5±
    0.5とされている、請求項1に記載のエネルギー閉じ
    込め型厚み縦圧電共振子。
  3. 【請求項3】 前記第1,第2の励振電極の重なり合っ
    ている部分の第1の方向に沿う長さをlとしたときに、
    l/d≦6とされている、請求項1または2に記載のエ
    ネルギー閉じ込め型厚み縦圧電共振子。
  4. 【請求項4】 前記比l/dが3〜6の範囲とされてい
    る、請求項3に記載のエネルギー閉じ込め型厚み縦圧電
    共振子。
  5. 【請求項5】 前記圧電体が細長いストリップ型の圧電
    体により構成されている、請求項1〜4の何れかに記載
    のエネルギー閉じ込め型厚み縦圧電共振子。
  6. 【請求項6】 前記第1または第2の励振電極が形成さ
    れている面に、圧電共振子の振動を妨げないための空間
    を隔てて貼り合わされたコンデンサをさらに備えること
    を特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載のエネルギ
    ー閉じ込め型厚み縦圧電共振子。
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