JP4070169B2 - 圧電発振子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エネルギー閉じ込め型の圧電発振子に関し、特に、縦3倍波振動を用いた圧電振動子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、エネルギー閉し込め型の圧電発振子は、例えばマイクロコンピュータのクロック発振回路に数MHzから数十MHzの周波数帯域で使用されている。特に、近年、マイクロコンピュータのクロック周波数の高速化に伴い、厚み縦振動の3次高調波(以下、縦3倍波振動という)を用いる圧電振動子が増えてきている。
【0003】
このような圧電発振子は、厚み方向に分極した一枚の圧電基板に振動電極をその主面の略中央部に対向して形成する構造をとっており、その分極方向と同じ方向に交流電界を印加することで、厚み方向へ励振する縦振動モードを利用していた。
【0004】
このような圧電発振子においては、振動電極に交流電界を印加することにより励振する振動部と、振動電極周囲の非振動部(交流電界の印加に対して励振しない部分)とからなり、この結果、振動部で励振する振動のエネルギーは、振動電極間において閉し込められることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の構造の圧電発振子で縦3倍波振動を利用する場合においては、図7に示すように基本波振動成分10と縦3倍波振動成分11とが重なった位置で存在しており、縦3倍波振動成分11を取り出す場合に、基本波振動成分10のインピーダンスにおけるピークバレーが大きいために、誤動作により基本波発振する可能性が高かった。
【0006】
本発明は上述の課題に鑑み、縦3倍波を利用する圧電発振子であっても基本波発振を阻止しつつ、安定した縦3倍波を効率良く取り出すことができるエネルギー閉じ込め型の圧電発振子を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために本発明は、短冊状圧電基板の両主面に、前記短冊状圧電基板の対向する両端部からそれぞれ中央部へと伸び、略中央部に前記短冊状圧電基板を挟んで互いに対向する振動電極部を有する一対の振動電極を形成した厚み縦3倍波振動を利用する圧電発振子において、前記圧電基板の幅をW、厚みをtとしたときに、1.8≦W/t≦2.4とし、前記振動電極部は前記短冊状圧電基板の長手方向における中央部位の幅方向が狭いことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、1.8≦W/t≦2.4の関係が成り立つ圧電基板を用いることにより、圧電基板の主面における略中央部に縦3倍波振動成分が、また、圧電基板の幅方向両端部に基本波振動成分が分離することになり、圧電基板の主面における略中央部に形成した振動電極で基本波振動成分におけるインピーダンスのピークバレーを抑制した縦3倍波振動成分を取り出すことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の圧電発振子を図に基づいて説明する。
図1は圧電発振子の形態を説明する図であり、(a)はその斜視図、(b)は平面図、図2は圧電振動子の振動位置を説明する平面図である。
【0010】
本発明の圧電発振子1は図1(a)(b)に示すように、圧電基板2における主面の略中央部で互いに対向する振動電極3、4を被着形成してなるものである。これにより、図1(b)に示すように圧電基板2において1対の振動電極3,4が実質的に対向し合う領域が振動部5を形成することでエネルギー閉じ込め型の圧電発振子1が構成される。
【0011】
圧電基板2は分極方向が厚み方向に揃えられた厚み縦3倍波振動が利用される。圧電基板2の材質としては、複合酸化物から成るチタン酸鉛(PT),ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)等を主成分とするもので、例えばPTのPb、Tiの元素の一部を、Sr,Ba等のアルカリ土類金属、Zr等の周期待表第4a族元素、Nb等の周期律表第5a族元素、Cr等の周期律表第6a族元素、Mn等の周期律表第7a族元素等によリ一部置換したもので形成される。圧電基板2の形状としては図1に示すように所定長さL,所定幅W,所定厚さtの寸法を有し、長さLよりも幅Wが短い短冊状に形成されている。
【0012】
また、圧電基板2は、W/tが2.4以上(2.4は含まない)になると図6に示すように基本波振動成分10と縦3倍波振動成分11が重なってしまい、縦3倍波振動成分を効率よく取り出すことはできず、W/tが1.8より小さくなると、基本波振動成分10と縦3倍波振動成分11を分離できるものの、圧電基板2の幅が狭くなるので、圧電基板2の略中央部に形成される縦3倍波振動成分11の振動が影響し、本来のインピーダンスのピークバレーを得ることができない(3倍波振動成分11におけるインピーダンスのピークバレーがなまってしまう)。
【0013】
従って、W/tが1.8〜2.4、好ましくは、2.0〜2.4の圧電基板2を用いることが良好である。これにより、本来のインピーダンスのピークバレーを得ることができると共に、図2に示す基本波振動成分10と縦3倍波振動成分11をはっきりと分離することができる。
【0014】
このように基本波振動成分10と縦3倍波振動成分11とが分離する現象は以下のような原因で起こると考えられる。図5は基本波振動成分10と縦3倍波振動成分11を説明するA−A線断面図であり、振動状況を簡単に説明するために、縦3倍波振動成分11を説明する図5(a)と、基本波振動成分10を説明する図5(b)(c)に分けて説明する。
図に示すように、縦3倍波振動成分11は図5(a)に示す幅方向断面中央部にあらわれて縦方向に振動する。また、基本波振動成分10は図5(b)に示すように縦3倍波振動成分11よりも広い幅方向の範囲にあらわれ、縦方向に振動する。この場合、W/tが2.4以下の小さい幅では基本波振動成分10がa方向に振動することにより、両端側面がb方向に応力が加わり振動してc方向の振動波が発生する。このa方向の振動とc方向の振動が合成されて図5(c)に示す中央部の基本波振動成分10が打ち消されてしまう。これにより、断面両端の2カ所に基本振動波成分11が発生する。実際、図6に示すように基本波振動成分10のピーク振動が圧電基板2に発生する位置の傾向として(振動電極の幅0.25,周波数6MHzで振動させた場合)、W/tが2.4を境として0.25〜0.3mmの位置にあらわれており、これによっても、縦3倍波振動成分11と基本波振動成分10は明確に分離されていることがわかる。
振動電極3は、圧電基板2の一方主面における略中央に形成した振動電極部3aと、圧電基板2の一端部に形成した入出力用電極部30とで構成され、また、振動電極4は、圧電基板2の他方主面における略中央に形成した振動電極部4aと、圧電基板2の他端部に形成した入出力電極部40とで構成されている。
【0015】
圧電基板2の互いに対向する振動電極部3a,4aは、圧電基板2の主面における略中央部に形成しているが、この略中央とは、少なくとも圧電基板2の幅方向の中央部に振動電極3a,4aが形成されていれば良く、好ましくは縦3倍波振動成分11が発生する位置に設定され、圧電基板2の幅方向端部にだけ形成される場合が除かれる。
【0016】
また、振動電極部3a,4aの形としては、基本波振動成分10の影響を避けるために振動電極部3a,4aの中央部位の幅方向を狭めた凹部状に形成した回避部33a,44aを形成して略H状に形成しても良い。
【0017】
振動電極3,4の材質としては、例えぱAg、Ag−ガラス、Pdを焼き付けるか、Cu、Ni、Auの薄膜を順次蒸着することにより形成されている。
【0018】
本発明の構成によれば、短冊状の圧電基板2における両主面の略中央部に、互いに対向する振動電極3,4を形成した圧電発振子1において、圧電基板2の幅方向をW、厚みをtとしたときに、1.8≦W/t≦2.4の関係が成り立つ圧電基板2を用いた構成としたので、圧電基板2の主面における略中央部に縦3倍波振動成分11が、また、圧電基板2の幅方向両短部に基本波振動成分10が分離することになり、基本波振動成分10をなまらせながら、圧電基板2の主面中央部に形成した振動電極3,4で、縦3倍波振動成分11を有効に取り出すことができる。
【0019】
【実験例】
本発明の作用効果を確認するために、以下の試料を用意した。
チタン酸鉛(PT)を主成分とする厚みtが0.45mmで幅Wが1.08mmの短冊状圧電基板(W/t=2.4)を用意して、振動電極部を圧電基板の主面における略中央に幅方向の長さが0.7mm,長さ方向が1.1mmの長方形状の電極を形成した。周波数が6MHzの交流電圧を形成した振動電極にかけて基本波振動成分及び縦3倍波振動成分についてのインピーダンス特性及び画像解析により各振動位置の状況を調べた。
【0020】
比較例として厚みtが0.45mmで幅Wが1.35mmの短冊状圧電基板(W/t=3.0)を用意して基本波振動成分及び3倍波振動成分及び画像解析による各振動位置を調べた。
【0021】
上記実験結果を図3,図4に示す。
本発明の製品(実施例)と比較例の製品を比較すると、図3に示すように縦3倍波振動成分のピークバレーは変わらないが、図4に示す本発明の製品の基本波振動成分が比較例に比べてインピーダンスのピークバレーを充分抑えることができており、これにより、本発明の製品は縦3倍波振動成分を取り出すときに、基本波振動成分に干渉されて基本波発振をするような誤動作は生じない。このとき、振動位置を画像解析により調べると、本発明の製品は図2に示す基本波振動成分と縦3倍波振動成分とに分離されているのが確認された。
【0022】
一方、比較例の製品は、基本波発振が生じて誤動作があった。このとき、基本波振動と縦3倍波振動成分の発生位置は図6に示す基本波振動成分と縦3倍波振動成分とが重なって存在していることがわかった。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、短冊状圧電基板における両主面の略中央部に、互いに対向する振動電極を形成した圧電発振子において、前記圧電基板の幅W、厚みをtとしたときに、1.8≦W/t≦2.4の関係が成り立つ圧電基板を用いた構成とすることで、圧電基板の主面における略中央部に縦3倍波振動成分が、また、圧電基板の幅方向両端部に基本波振動成分が分離することになり、圧電基板の主面における略中央部に形成した振動電極で基本波振動成分をなまらすことができ、基本波発振の誤動作を抑えて縦3倍波振動成分を有効に取り出すことができる。
【0024】
これにより、基本波振動成分のインピーダンスP/V値が縦3倍波振動成分に比較して大きくとれ、有効な縦3倍波振動成分の検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧電発振子の形態を説明する図であり、(a)はその斜視図、(b)は平面図である。
【図2】圧電振動子の基本波振動成分と縦3倍波振動成分との振動位置を説明する平面図である。
【図3】本発明の圧電振動子と従来の圧電振動子における縦3倍波のインピーダンス特性を説明する図である。
【図4】本発明の圧電振動子と従来の圧電振動子における基本波のインピーダンス特性を説明する図である。
【図5】本発明の縦3倍波振動成分と基本波振動成分が分離する機能を説明する図であり、(a)は縦3倍波振動成分を説明する図であり、(b)(c)は基本波振動成分を説明する図である。
【図6】基本波振動成分のピークが圧電基板の中心からあらわれる位置とW/tの関係を示す図である。
【図7】従来の圧電振動子における基本波振動成分と縦3倍波振動成分との振動位置を説明する平面図である。
【符号の説明】
1:圧電発振子
2:圧電基板
3:振動電極
3a:振動電極部
30:入出力電極部
4:振動電極
4a:振動電極部
40:入出力電極部
Claims (1)
- 短冊状圧電基板の両主面に、前記短冊状圧電基板の対向する両端部からそれぞれ中央部へと伸び、略中央部に前記短冊状圧電基板を挟んで互いに対向する振動電極部を有する一対の振動電極を形成した厚み縦3倍波振動を利用する圧電発振子において、前記圧電基板の幅をW、厚みをtとしたときに、1.8≦W/t≦2.4とし、前記振動電極部は前記短冊状圧電基板の長手方向における中央部位の幅方向が狭いことを特徴とする圧電発振子。
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