JPH1127083A - 厚み縦圧電共振子及び圧電共振部品 - Google Patents

厚み縦圧電共振子及び圧電共振部品

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JPH1127083A
JPH1127083A JP35343597A JP35343597A JPH1127083A JP H1127083 A JPH1127083 A JP H1127083A JP 35343597 A JP35343597 A JP 35343597A JP 35343597 A JP35343597 A JP 35343597A JP H1127083 A JPH1127083 A JP H1127083A
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JP
Japan
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piezoelectric
thickness
piezoelectric resonator
resonator
piezoelectric body
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Application number
JP35343597A
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English (en)
Inventor
Hiroaki Kaida
弘明 開田
Mitsuhiro Yamada
光洋 山田
Jiro Inoue
二郎 井上
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Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚み縦振動モードの高調波を利用した厚み縦
圧電共振子であって、小型化を進めることができ、電気
的容量が大きく、回路基板の浮遊容量の影響を受け難い
厚み縦圧電共振子を提供する。 【解決手段】 ストリップ型の矩形板状の圧電体2と、
圧電体2の両面に形成されており、圧電体2を介して表
裏対向された第1,第2の励振電極3,4と、圧電体内
に配置されており、第1,第2の励振電極3,4と対向
された内部電極6とを備え、第1,第2の励振電極3,
4及び内部電極6が対向している部分が振動部を構成し
ており、圧電体2の長さ方向においては振動部の両側に
振動減衰部が構成されており、圧電体2の幅方向におい
ては振動減衰部が構成されていない、厚み縦圧電共振子
1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々の共振子や発
振子等に用いられる圧電共振子及び圧電共振部品に関
し、より詳細には、厚み縦振動モードの高調波を利用し
た厚み縦圧電共振子及び圧電共振部品に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電共振子は、圧電発振子や圧電フィル
タなどの種々の圧電共振部品に用いられており、この種
の圧電共振子としては、使用周波数に応じて種々の圧電
振動モードを利用したものが知られている。
【0003】特開平1−117409号公報には、厚み
縦振動モードの2倍波を利用したエネルギー閉じ込め型
圧電共振子が開示されている。この圧電共振子を、図2
0及び図21を参照して説明する。
【0004】上記圧電共振子は、図20に分解斜視図で
示すように、圧電材料よりなるセラミックグリーンシー
ト61,62を積層し、一体焼成することにより得られ
ている。セラミックグリーンシート61上には、中央に
円形の励振電極63が形成されており、該励振電極63
は、引き出し電極64によりセラミックグリーンシート
61の端縁に引き出されている。また、セラミックグリ
ーンシート62の上面には、中央に円形の励振電極65
が形成されており、励振電極65は引き出し電極66に
よりセラミックグリーンシート62の端縁に引き出され
ている。また、セラミックグリーンシート62の下面に
は、下方に投影して示すように、励振電極67が形成さ
れており、励振電極67は引き出し電極68によりセラ
ミックグリーンシート62の端縁に引き出されている。
【0005】上記セラミックグリーンシート61,62
を積層し、厚み方向に加圧した後焼成することにより、
焼結体を得、該焼結体を分極処理することにより、図2
1により圧電共振子70が得られる。圧電共振子70で
は、圧電体層71,72が図示の矢印方向に、すなわち
焼結体が厚み方向に一様に分極処理されている。
【0006】駆動に際しては、励振電極63,67を共
通接続し、励振電極63,67と、励振電極65との間
で交流電圧を印加することにより、圧電共振子70を共
振させることができる。この場合、振動エネルギーは、
励振電極63,65,67が重なり合っている領域、す
なわち共振部Aに閉じ込められる。
【0007】従来の厚み縦振動モードの高調波を利用し
た圧電共振子70は、上記のようにエネルギー閉じ込め
型圧電共振子として構成されており、従って、共振部A
の周囲に振動を減衰させるための振動減衰部を必要とし
ていた。すなわち、共振部の面積に比べて大きな振動減
衰部を必要としていた。従って、圧電共振子70では小
型化を進めることが困難であった。
【0008】他方、特開平2−235422号公報に
は、共振部の周囲に余分な圧電基板部分をあまり必要と
しない、ストリップ型の圧電セラミックスを用いたエネ
ルギー閉じ込め型圧電共振子が開示されている。
【0009】ここでは、図22に示すように、細長い圧
電基板81の上面に励振電極82aが、下面に励振電極
82bが形成されている。励振電極82a,82bは、
それぞれ、圧電基板81の一対の長辺に至るように、す
なわち全幅に至るように形成されており、かつ圧電基板
81の長さ方向中央において表裏対向されて共振部を構
成している。また、これらの励振電極82a,82b
は、それぞれ、圧電基板81の長さ方向端部81a,8
1bに至るように延ばされている。
【0010】圧電共振子80では、厚み縦振動モードを
励振した場合、圧電基板81の幅Wと厚みTの寸法関係
に起因する不要振動が発生する。そこで、特開平2−2
35422号公報では、基本波を利用する場合には、共
振周波数16MHzにおいてW/T=5.33付近とす
ればよいこと、3倍波を利用する場合には、共振周波数
約16MHzにおいてW/T=2.87付近とすれば、
共振周波数−反共振周波数間における不要スプリアスを
低減し得るとされている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述した通り、厚み縦
振動モードの2倍波を利用した特開平1−117409
号公報に開示されているエネルギー閉じ込め型圧電共振
子では、共振部の周囲に大きな振動減衰部を構成する必
要があるため、小型化が困難であるという問題があっ
た。
【0012】また、特開平2−235422号公報に開
示されているエネルギー閉じ込め型圧電共振子では、共
振部の側方に振動減衰部を必要としないため、小型化を
果たし得るものの、実際に厚み縦振動モードの高調波を
利用しようとした場合には、共振周波数−反共振周波数
間のスプリアス以外に、様々な不要スプリアスが現れ、
有効な共振特性を得られないという問題があった。ま
た、特開平2−235422号公報に開示されている圧
電共振子では、その電気的容量が比較的小さく、回路基
板の浮遊容量などの影響を受けやすかった。
【0013】よって、本発明の目的は、厚み縦振動モー
ドの高調波を利用した厚み縦圧電共振子であって、小型
化を進めることができ、かつ電気的容量が大きく、回路
基板の浮遊容量などの影響を受け難い、厚み縦圧電共振
子及び圧電共振部品を提供することにある。
【0014】本発明の他の目的は、厚み縦振動モードの
高調波を利用した厚み縦圧電共振子であって、小型化を
進めることができ、かつ所望でない不要スプリアスの発
生を効果的に抑制し得る良好な共振特性を有する厚み縦
圧電共振子及び圧電共振部品を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、厚み縦振動モードの高調波を利用した厚み縦圧電共
振子であって、矩形板状の圧電体と、前記圧電体の両面
に形成されており、圧電体を介して対向された第1,第
2の励振電極と、前記圧電体内に配置されており、圧電
体層を介して第1,第2の励振電極と少なくとも部分的
に対向された少なくとも一層の内部電極とを備え、第
1,第2の励振電極及び前記内部電極が厚み方向に重な
り合っている部分により振動部が構成されており、一方
向のみ振動減衰部を有し、前記一方向と直交する方向に
おいて、圧電板の端部または端部近傍まで第1,第2の
励振電極が至るように第1,第2の励振電極が形成され
ていることを特徴とする。
【0016】請求項2に記載の発明は、厚み縦振動モー
ドの高調波を利用した厚み縦圧電共振子であって、矩形
板状の圧電体と、前記圧電体の両面に形成されており、
圧電体を介して対向された第1,第2の励振電極と、前
記圧電体内に配置されており、圧電体層を介して第1,
第2の励振電極と少なくとも部分的に対向された少なく
とも一層の内部電極とを備え、前記圧電板が、圧電定数
31が|d31|≦20×10-12 C/Nの範囲にある圧
電材料により構成されていることを特徴とする。
【0017】また、請求項3に記載の発明は、厚み縦振
動モードの高調波を利用した厚み縦圧電共振子であっ
て、矩形板状の圧電体と、前記圧電体の両面に形成され
ており、圧電体を介して対向された第1,第2の励振電
極と、前記圧電体内に配置されており、圧電体層を介し
て第1,第2の励振電極と少なくとも部分的に対向され
た少なくとも一層の内部電極とを備え、前記第1,第2
の励振電極及び前記内部電極が厚み方向に重なり合って
いる部分が振動部を構成しており、一方向のみに振動減
衰部を有し、前記一方向と直交する方向において、圧電
板の端部または端部近傍まで第1,第2の励振電極が至
るように第1,第2の励振電極が形成されており、かつ
前記圧電体が、圧電定数d31が|d31|≦20×10
-12 C/Nの範囲にある圧電材料により構成されている
ことを特徴とする。
【0018】また、好ましくは、請求項4に記載のよう
に、上記圧電体は細長いストリップ型の圧電体により構
成されている。なお、細長いとは、平面形状が短辺と、
短辺よりも大きな長辺とを有する形状をいうものとす
る。
【0019】請求項5に記載の発明は、前記第1または
第2の励振電極が形成されている面に、圧電共振子の振
動を妨げないための空間を隔てて貼り合わされたコンデ
ンサをさらに備えることを特徴とする。
【0020】請求項6に記載の発明に係る圧電共振部品
は、ケースを構成する第1,第2のケース材と、第1の
ケース材上面に形成された電極ランドと、前記電極ラン
ドに電気的に接続されており、ケースの外表面に至るよ
うに形成されている複数の外部電極と、第1のケース材
の上面に導電性接合材により固定されており、かつ第1
のケース材上面の所定の電極ランドに電気的に接続され
ている板状コンデンサと、振動を妨げないための空隙を
確保した状態で導電性接合材により板状コンデンサ上に
接合されている請求項1〜5のいずれかに記載の厚み縦
圧電共振子とを備え、前記第1のケース材上面に積層さ
れた板状コンデンサ及び厚み縦圧電共振子を囲撓するよ
うに、第2のケース材が第1のケース材に固定されてい
ることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
非限定的な実施例につき説明する。 (第1の実施例)図1は、本発明の第1の実施例に係る
厚み縦圧電共振子を示す斜視図であり、図2はその断面
図である。
【0022】厚み縦圧電共振子1は、細長いストリップ
状の圧電体2を用いて構成されている。圧電体2は、チ
タン酸ジルコン酸鉛系セラミックスのような圧電セラミ
ックスで構成されており、特に限定されるわけではない
が、好ましくは、その圧電定数d31が|d31|≦20×
10-12 C/Nの範囲である圧電材料により構成されて
いる。
【0023】圧電体2は、図示の矢印で示すように、厚
み方向に一様に分極処理されている。他方、圧電体2の
上面には、第1の励振電極3が形成されており、下面に
は第2の励振電極4が形成されている。励振電極3,4
は、圧電体2の一方端部2aから圧電体2の上面及び下
面において他方端部2bに向かって延ばされている。
【0024】他方、励振電極3,4は、圧電体2の端面
2aに形成された接続電極5により共通接続されてい
る。また、圧電体2の中間高さ位置には、内部電極6が
形成されている。内部電極6は、圧電体2の端面2bに
引き出されており、端面2bに形成された端子電極7に
電気的に接続されている。
【0025】駆動に際しては、第1,第2の励振電極
3,4と、内部電極6との間に交流電圧を印加すること
により、厚み縦振動モードの2倍波が強く励振され、該
2倍波を利用した圧電共振子として動作させることがで
きる。
【0026】なお、本実施例では、第1,第2の励振電
極3,4と、内部電極6とは、圧電体2の長さ方向中央
部分において圧電体層を介して重なり合うように形成さ
れている。従って、第1,第2の励振電極3,4と内部
電極6とが重なり合っている部分において、エネルギー
閉じ込め型の共振部が構成され、この共振部が振動した
場合のエネルギーは、共振部から端面2a,2b側の圧
電体部分で減衰される。
【0027】言い換えれば、上記共振部を中心として考
えると、圧電体2の長さ方向のみに振動減衰部が両側に
設けられており、第1,第2の励振電極は、長さ方向と
直交する方向(幅方向)において、圧電板の端部、すな
わち長手方向に延びる端縁に至るように形成されてい
る。
【0028】この場合、第1,第2の励振電極3,4及
び内部電極6は、共振部においてのみ、圧電体2の全幅
に至るように形成されておればよく、共振部外では、同
じ幅に形成されている必要は必ずしもない。例えば、励
振電極3を例にとると、共振部においてのみ、励振電極
3は圧電体2の全幅に至るように形成されておればよ
く、励振電極3の共振部より端面2a側の部分は、単に
励振電極を接続電極5に電気的に接続する部分であるた
め、より細い幅で形成されていてもよい。
【0029】本実施例の厚み縦圧電共振子では、圧電体
2の長さ方向においてのみ振動部の両側に振動減衰部が
設けられており、圧電体2の幅方向には振動減衰部が構
成されていない。従って、厚み縦圧電共振子1ではその
幅方向寸法を小さくすることができ、圧電共振子の小型
化を図ることができる。
【0030】加えて、第1,第2の励振電極3,4及び
内部電極6を圧電体層を介して積層した構造を有するた
め、内部電極を有しない従来の厚み縦圧電共振子80に
比べて電気的容量が大きくなり、回路基板の浮遊容量な
どによる影響を受け難い。
【0031】また、第1,第2の励振電極3,4が圧電
体2の幅方向両端に至るように形成されていることによ
っても、電気的容量が大きくなり、回路基板側の浮遊容
量による影響を受け難い。
【0032】さらに、本実施例の厚み縦圧電共振子1で
は、従来のストリップ型厚み縦圧電共振子と異なり、幅
モード振動に起因する不要スプリアスを効果的に抑制す
ることができる。これを、図3〜図8を参照して説明す
る。
【0033】図22に示した従来のストリップ型圧電共
振子80では、圧電基板81の幅Wで決定される幅モー
ドによる共振が強く発生する。この従来の圧電共振子8
0のインピーダンス周波数特性を図6に示す。図6にお
いて、矢印TE2 で示す振動モードが、厚み縦振動モー
ドの2倍波であり、WE1 及びWE2 で示す応答が幅モ
ードに起因するスプリアス振動である。図6に示すイン
ピーダンス周波数特性は、共振周波数が10MHzとし
た圧電共振子80の特性であるが、図6から明らかなよ
うに、WE1 で示す幅モードスプリアスが6MHz付近
に、WE2 で示す幅モードスプリアスが7MHz付近で
現れており、何れのスプリアスもかなり大きいことがわ
かる。
【0034】上記幅モードスプリアスWE1 ,WE2
おける圧電共振子の変位状態を有限要素法で分析したと
ころ、図3及び図4に示す結果が得られた。なお、図3
〜図5は、ストリップ型厚み縦圧電共振子の横断面、す
なわち長さ方向と直交する方向であり、かつ厚み方向に
ストリップ型圧電共振子を切断した面の変位状態を模式
的に示す図である。
【0035】図3は、幅モードWE1 で振動している状
態を示す図であり、図4は幅モードWE2 の場合の変位
分布を示す図である。他方、図5は、厚み縦振動モード
の2倍波TE2 の場合の変位状態を示す図である。図3
及び図4を、図5と比較すれば明らかなように、厚み縦
振動モードの2倍波TE2 では、圧電体が厚み方向に疎
密に変形するのに対し、幅モードWE1 ,WE2 では、
圧電共振子が幅方向に大きく変位することがわかる。
【0036】そこで、本願発明者は、上記幅モードWE
1 ,WE2 に起因するスプリアスを抑制すべく種々実験
を繰り返したところ、図1に示した厚み縦圧電共振子1
において、圧電体2として、ある特定の材料を用いれ
ば、幅モードWE1 ,WE2 の応答を小さくすることが
でき、厚み縦振動モードの2倍波TE2 のみを大きく励
振させ得ることを見出した。このようにして得られた圧
電共振子1のインピーダンス周波数特性を図7に示す。
なお、図7に示すインピーダンス周波数特性は、圧電体
2として、−d31=9×10-12 C/Nのチタン酸鉛系
圧電セラミックスを用いた場合の特性である。図7から
明らかなように、本実施例の圧電共振子1では、矢印T
2 で示す厚み縦振動モードの2倍波が強く励振されて
おり、幅モードスプリアスWE2 の大きさが非常に小さ
くなっていることがわかる。また、図7では必ずしも明
瞭ではないが、幅モードWE1 も幅モードWE2 と同様
に非常に小さくなっていることが確かめられた。
【0037】なお、幅モードによる応答WE1 ,WE2
は、厚み縦振動モードの6倍波TE 6 よりも厚み縦振動
モードの2倍波TE2 に近いため、6倍波TE6 よりも
幅モードWE1 ,WE2 の応答は小さいことが好まし
い。
【0038】他方、図6に示した特性は、圧電体2をd
31=−42×10-12 C/Nであるチタン酸ジルコン酸
鉛系セラミックスで構成した場合の特性である。そこ
で、上記チタン酸鉛系圧電セラミックスからなる圧電体
2を用いた場合に、図7に示したように、良好な特性が
得られたことに鑑み、圧電体2を構成する圧電材料の圧
電定数d31を変化させた場合の比帯域幅を有限要素法に
より確かめたところ、図8に示す結果が得られた。
【0039】なお、比帯域幅とは、共振周波数をfr、
反共振周波数をfaとしたとき、(fa−fr)×10
0/fa(%)で得られる値である。図8から明らかな
ように、圧電定数d31を変化させると、比帯域幅が変化
し、特に、20×10-12 C/Nより大きくすると、幅
モードWE1 が大きくなり、圧電定数d31が50×10
-12 C/Nでは、2倍波TE2 と幅モードWE1 が同等
のレスポンスとなることがわかる。従って、圧電定数d
31を20×10-12 以下とすることにより、2倍波TE
2 の応答を小さくすることなく、幅モードWE 1 ,WE
2 及び6倍波TE6 のレスポンスを効果的に抑圧し得る
ことがわかる。
【0040】なお、図8における矢印B〜Eで示す各点
は、圧電材料としてチタン酸ジルコン酸鉛系セラミック
ス(−d31=42×10-12 C/N)を用いた場合の6
倍波、幅モードWE1 ,WE2 及び2倍波のそれぞれの
比帯域幅(実測値)を示す。
【0041】従って、実際に上記圧電定数d31=−42
×10-12 であるチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックス
を用いて圧電共振子を構成した場合の比帯域幅が、上記
有限要素法による結果と一致していることがわかる。
【0042】本実施例の厚み縦圧電共振子1では、上記
のように、圧電体2を、圧電定数d 31の絶対値が20×
10-12 C/N以下とされているので、厚み縦振動モー
ドの2倍波TE2 を用いた圧電共振子を構成した場合、
幅モードWE1 ,WE2 や6倍波TE6 による不要スプ
リアスを効果的に抑制することができ、良好な共振特性
の得られることがわかる。
【0043】(第2の実施例)第1の実施例に係る厚み
縦圧電共振子1では、圧電体2が厚み方向に一様に分極
処理されており、各層に加える印加電界が逆方向とされ
るパラレル接続タイプの圧電共振子を示したが、本発明
は、複数の圧電体層を厚み方向に交互に逆方向に分極処
理してなるシリーズ接続型の圧電共振子としてもよい。
このようなシリーズ性型の厚み縦圧電共振子を、図9に
示す。
【0044】図9に示す厚み縦圧電共振子11は、細長
い矩形板状のストリップ型圧電体12を用いて構成され
ている。圧電体12の上面には、第1の励振電極13が
形成されており、下面には第2の励振電極14が形成さ
れている。第1,第2の励振電極13,14は圧電体1
2を用いて表裏対向されている。また、第1,第2の励
振電極13,14は、圧電体12の長さ方向中央部分に
おいて対向しており、この第1,第2の励振電極13,
14が対向している部分はエネルギー閉じ込め型の共振
部とされている。
【0045】本実施例においても、第1,第2の励振電
極13,14は、それぞれ、圧電体12の端面12aま
たは端面12bに引き出されているが、共振部以外の部
分は圧電体12の全幅に至るように形成されておらずと
もよい。
【0046】従って、励振電極13,14についても、
見方を変えれば、圧電体12の長さ方向に振動減衰部を
有するエネルギー閉じ込め型の共振部を構成するため
に、該長さ方向と直交する方向において第1,第2の励
振電極13,14が圧電体12の長さ方向端縁に至るよ
うに形成されていることになる。
【0047】圧電体12の中間高さ位置には、内部電極
16が形成されている。この内部電極16は、圧電体1
2を分極処理するために設けられている。すなわち、分
極に際しては、内部電極16に相対的に高い電圧を、励
振電極13,14には相対的に低い電圧を与えることに
より、圧電体層12c,12dが図示の矢印で示すよう
に厚み方向に逆方向に分極処理される。
【0048】駆動に際しては、第1,第2の励振電極1
3,14間に交流電圧を印加することにより、すなわち
内部電極16を用いることなく駆動することにより、厚
み縦振動モードの2倍波TE2 を励振させることができ
る。
【0049】第2の実施例に係る厚み縦圧電共振子11
においても、振動減衰部が圧電体12の幅方向において
は振動部の両側に設けられず、振動部の圧電体12の長
さ方向両側にのみ振動減衰部が設けられているため、第
1の実施例に係る厚み縦圧電共振子1と同様に、小型の
厚み縦圧電共振子を構成することができる。また、第1
の実施例と同様に、内部電極16を有するため、並びに
励振電極13,14が圧電体12の幅方向両端に至るよ
うに形成されているので、電気的容量の増大を図ること
ができ、回路基板側の浮遊容量による影響を受け難い。
【0050】第2の実施例に係る厚み縦圧電共振子11
においても、圧電体12を構成する材料として、その圧
電定数d31の絶対値が20×10-12 C/N以下の材料
を用いることにより、第1の実施例の厚み縦圧電共振子
1と同様に、幅モードWE1,WE2 や6倍波TE6
基づく不要スプリアスを効果的に抑制することができ、
良好な共振特性を得ることができる。
【0051】(変形例)第1,第2の実施例は、何れも
厚み縦振動モードの2倍波を利用した圧電共振子1,1
1であるが、本発明に係る圧電共振子は、厚み縦振動モ
ードの2倍波以外の高調波を利用したものであってもよ
い。図10〜図13は、これらの他の高調波を利用した
圧電共振子を説明するための断面図であり、第1の実施
例について示した図2に相当する図である。
【0052】図10は、厚み縦振動モードの3倍波を利
用したパラレル接続型厚み縦圧電共振子21を示す。す
なわち、圧電体2内に2枚の内部電極22,23を配置
し、矢印で示すように圧電体2を厚み方向に一様に分極
処理することにより、厚み縦振動モードの3倍波を利用
した圧電共振子21を構成することができる。
【0053】また、図11に示す厚み縦圧電共振子24
は、厚み縦振動モードの4倍波を利用したパラレル接続
型圧電共振子24を示す断面図である。厚み縦圧電共振
子24では、圧電体2が厚み方向に一様に分極処理され
ており、内部に3枚の内部電極25〜27が厚み方向に
等間隔を隔てて配置されており、それによって厚み縦振
動モードの4倍波が効果的に励振される。
【0054】図12は、厚み縦振動モードの3倍波を利
用したシリーズ接続型の厚み縦圧電共振子28を示す断
面図である。厚み縦圧電共振子28では、圧電体12内
に2枚の内部電極29,30が配置されており、圧電体
12内が3層の圧電体層12e〜12gに分割されてお
り、これらの内部電極29,30を用いて分極処理する
ことにより、厚み方向において隣合う圧電体層が逆方向
となるように分極処理されている。従って、第1,第2
の励振電極13,14に交流電圧を印加することによ
り、厚み縦振動モードの3倍波を励振することができ
る。
【0055】同様に、図13は、厚み縦振動モードの4
倍波を利用したシリーズ接続型圧電共振子31を示す断
面図である。ここでは、圧電体12内に、3枚の内部電
極32〜34が配置されており、これらの内部電極32
〜34を用いて分極処理することにより、図示のように
隣接する圧電体層が相互に逆方向になるように厚み方向
に分極処理されている。従って、第1,第2の励振電極
13,14から交流電圧を印加することにより、厚み縦
振動の4倍波を利用した圧電共振子として動作させ得
る。
【0056】図10〜図13に示した各厚み縦圧電共振
子においても、上記のように、一方向のみに振動減衰部
を有し、該一方向と直交する方向において、圧電体の端
部または端部近傍まで第1,第2の励振電極が至るよう
に第1,第2の励振電極が形成されているので、小型の
厚み縦圧電共振子を構成することができる。また、いず
れも、内部電極を有するため、電気的容量の増大を図る
ことができ、回路基板の浮遊容量の影響を受け難い。
【0057】さらに、図10〜図13に示した各厚み縦
圧電共振子においても、圧電体2,12の材料として、
圧電定数d31の絶対値が20×10-12 C/N以下の圧
電材料を用いることにより、第1,第2の実施例の厚み
縦圧電共振子と同様に厚み縦振動の高調波を利用し、か
つ幅モードや他の高調波のレスポンスによる不要スプリ
アスを効果的に抑制することが可能となる。
【0058】(第3の実施例)図14は、本発明の第3
の実施例に係る厚み縦圧電共振子を説明するための斜視
図であり、図15はその等価回路を示す図である。図1
4に示す圧電共振子41は、第1の実施例に係る厚み縦
圧電共振子1にコンデンサ42を結合した構造を有す
る。すなわち、厚み縦圧電共振子1の下面に、導電性接
着剤43,44を介してコンデンサ42が接合されてい
る。
【0059】コンデンサ42では、誘電体基板42aの
上面において、所定のギャップを隔てて容量電極42
b,42cが形成されている。また、誘電体基板42a
の下面には、容量電極42b,42cと誘電体基板42
aを介して表裏対向するように共通電極42dが形成さ
れている。
【0060】他方、導電性接着剤43は、上記容量電極
42bと端子電極7とを接合しており、導電性接着剤4
4は、容量電極42cと端子電極5とを接合している。
従って、圧電共振子41は、図15に示すように、共振
子に2個のコンデンサユニットを組み合わせた容量内蔵
型圧電発振子として用いることができるものである。
【0061】よって、厚み縦圧電共振子1は幅寸法方向
を小さくすることができるため、全体として小型の容量
内蔵型圧電発振子を構成することができる。また、内部
電極を有する厚み縦圧電共振子1であるため、回路基板
側の浮遊容量やコンデンサ42側の浮遊容量に基づく悪
影響も受け難い。さらに、厚み縦圧電共振子1が厚み縦
振動の2倍波を利用した圧電共振子であって、幅モード
WE1 ,WE2 や6倍波TE6 に起因するスプリアスを
効果的に抑制することが可能とされているので、良好な
周波数特性を有する圧電発振子を提供することが可能と
なる。
【0062】(他の変形例)図16は、本発明の厚み縦
圧電共振子のさらに他の変形例を示す斜視図である。
【0063】請求項2に記載の発明に係る厚み縦圧電共
振子は、厚み縦振動の高調波を利用した圧電共振子にお
いて、圧電体を構成する材料の圧電定数d31の絶対値を
20×-12 C/N以下としたことより、幅モードに起因
するスプリアスや他の高調波に起因する不要スプリアス
を抑制したことに特徴を有するものである。すなわち、
エネルギー閉じ込め型の圧電共振子に限定されるもので
はなく、図16に示すように、エネルギー閉じ込め型で
はない厚み縦圧電共振子にも本発明を適用することがで
きる。
【0064】図16に示す厚み縦圧電共振子45は、矩
形板状の細長いストリップ型の圧電体46を用いて構成
されており、該圧電体46は、圧電定数d31の絶対値が
20×10-12 C/N以下の圧電材料により構成されて
いる。そして、圧電体46の上面及び下面の全面に、そ
れぞれ、第1,第2の励振電極47,48が形成されて
おり、内部に内部電極50が配置されている。また、圧
電体46では、隣り合う圧電体層46a,46bが厚み
方向において逆方向に分極処理されている。
【0065】厚み縦圧電共振子45においても、圧電体
が上記特定の圧電定数の圧電材料により構成されている
ため、第2の実施例の厚み縦圧電共振子11と同様に、
幅モードや他の高調波に起因する不要スプリアスを効果
的に抑制することができ、良好な共振特性を得ることが
できる。
【0066】(圧電共振部品の実施例)図17〜図19
を参照して、本発明に係るチップ型圧電共振部品の実施
例を説明する。
【0067】図17は、本発明のチップ型圧電共振部品
の分解斜視図であり、図18はその外観を示す斜視図で
ある。チップ型圧電共振部品51は、第1の実施例に係
る厚み縦圧電共振子1と、板状のコンデンサ52とをケ
ース内に収納した構造を有する。また、ケースは、第1
のケース材としてのケース基板53と、ケース基板53
上に接合される金属よりなるキャップ57とにより構成
されている。
【0068】ケース基板53は、アルミナや合成樹脂な
どの絶縁性材料により構成される。図19に平面図で示
すように、ケース基板53の側面53a,53bには、
それぞれ、切欠53c〜53e,53f〜53hが形成
されている。
【0069】また、ケース基板53の上面においては、
切欠53cと切欠53fとを結ぶように電極ランド54
aが形成されている。電極ランド54aは、コンデンサ
52と電気的に接続するための部分を構成し、かつ切欠
53c,53f内に至るように形成されている。この切
欠53c,53fに至る電極ランド延長部分が外部電極
を構成している。同様に、切欠53d,53gを結ぶよ
うに、ケース基板53の上面に電極ランド54bが形成
されており、電極ランド54bの切欠53d,53gに
至る延長部分が外部電極を構成している。同様に、切欠
53e,53hを結ぶように、ケース基板53の上面に
電極ランド54cが形成されており、電極ランド54c
の両端において切欠53e,53hに至る延長部分が外
部電極を構成している。
【0070】他方、ケース基板53上には、導電性接着
剤などの導電性接合材55a〜55cを介してコンデン
サ52が接合される。コンデンサ52は、誘電体セラミ
ックスなどの誘電体材料よりなる矩形の誘電体基板52
aを用いて構成されている。誘電体基板52aの上面に
は、一対の容量電極52b,52cが中央領域で対向さ
れて形成されている。誘電体基板52aの下面には、図
17に想像線で左側に示すように、容量電極52b,5
2cと部分的に対向するように、中央領域に容量電極5
2dが形成されている。
【0071】また、容量電極52b,52cは、誘電体
基板52aの長手方向端部において端面から下面に至る
ように形成されている。すなわち、誘電体基板52aの
下面においては、中央に容量電極52dが配置されてお
り、長さ方向両端に、それぞれ、容量電極52b,52
cの電極延長部52b1 ,52c1 が配置されている。
【0072】前述した導電性接合材55a〜55cは、
これらの容量電極延長部52b1 、容量電極52d及び
容量電極延長部52c1 にそれぞれ接合され、これらを
電極ランド54a〜54cにそれぞれ接合している。
【0073】従って、導電性接合材55a〜55cによ
り、板状コンデンサ52がケース基板53に機械的に接
合されると共に、電極ランド54a〜54cに電気的に
接続されている。板状のコンデンサ52の上方には、導
電性接合材56a,56bを介して厚み縦圧電共振子1
が接合されている。
【0074】なお、厚み縦圧電共振子1の下面において
は、図17において左側に想像線で示すように、第2の
励振電極4が形成されているだけでなく、内部電極6に
接続された接続電極7の延長部分7aが配置されてい
る。導電性接合材56aは、この接続電極7の電極延長
部分7aを板状コンデンサ52の容量電極52bに電気
的に接続している。さらに、導電性接合材56bは、厚
み縦圧電共振子1の第2の励振電極4の圧電体2の端部
近傍部分において、該導電性接合材56bに接合されて
おり、かつ導電性接合材56bにより、励振電極4と容
量電極52cとが電気的に接続されている。
【0075】また、上記導電性接合材56a,56b
は、厚み縦圧電共振子1を板状コンデンサ52上に接合
した際に、厚み縦圧電共振子1の振動部の振動を妨げな
いための空隙を確保し得るように、硬化後の厚みが所定
の厚みを有するように構成されている。
【0076】本実施例のチップ型圧電共振部品では、上
記のようにして、ケース基板53上に、板状のコンデン
サ52及び厚み縦圧電共振子1を積層した後に、金属キ
ャップ57がケース基板53に接合される。この場合、
金属キャップ57は、電磁シールド性を高めるために金
属よりなるが、電極ランド54a〜54cや外部電極と
の短絡を防止するために、ケース基板53上には、予め
金属キャップ57が接合される部分において、絶縁膜5
7が塗布されている。この絶縁膜58については、電極
ランド54a〜54cと金属キャップ57との短絡を防
止し得る限り、適宜の合成樹脂より構成することがで
き、その膜厚についても、上記電気的絶縁を図り得る限
り、適宜の厚さとされる。
【0077】上記絶縁膜57上に、絶縁性接着剤を付与
し、金属キャップ57を絶縁性接着剤により接合する。
この場合、絶縁膜58自体を絶縁性接着剤を用いて構成
し、金属キャップ57をケース基板53に接合してもよ
い。
【0078】上記のようにして、図18に示すチップ型
圧電共振部品51が得られる。本実施例のチップ型圧電
共振部品51では、上述した厚み縦圧電共振子1を用い
るため、幅方向寸法を小さくすることができ、全体とし
て小型のチップ型圧電共振部品とすることができる。ま
た、厚み縦圧電共振子1が、不要スプリアスを発生させ
得ないため、第1の実施例と同様に、良好な共振特性を
得ることができる。
【0079】加えて、厚み縦圧電共振子1が、板状のコ
ンデンサ52に接合されているため、板状のコンデンサ
52により、厚み縦圧電共振子1を補強することも可能
である。すなわち、厚み縦圧電共振子1の厚みが薄い場
合であっても、板状のコンデンサ52を機械的に接合す
ることにより、厚み縦圧電共振子1を補強することがで
きる。
【0080】また、好ましくは、上記板状のコンデンサ
52の幅方向寸法は、厚み縦圧電共振子1の幅方向寸法
よりも大きくされる。このように、板状のコンデンサ5
2の幅方向寸法を、厚み縦圧電共振子1の幅方向寸法よ
りも大きくすることにより、金属キャップ57の内壁と
厚み縦圧電共振子1との接触を防止することができる。
【0081】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、矩形板
状の圧電体と、圧電体の両面に形成された第1,第2の
励振電極と、圧電体内に配置されており、第1,第2の
励振電極と少なくとも部分的に対向された少なくとも1
層の内部電極とを有する厚み縦圧電共振子が構成される
ため、内部電極を有しない従来の厚み縦圧電共振子に比
べ、内部電極を有する分だけ電気的容量の増大を図るこ
とができ、それによって取り付けられる回路基板などの
浮遊容量による悪影響を低減することができ、良好な共
振特性を有する厚み縦圧電共振子を提供することができ
る。
【0082】加えて、請求項1に記載の発明に係る厚み
縦圧電共振子では、一方向のみに振動減衰部が設けられ
ており、該一方向と直交する方向においては、振動部の
両側に振動減衰部が設けられないため、前記一方向と直
交する方向における厚み縦圧電共振子の寸法を小さくす
ることができ、従って小型の厚み縦圧電共振子を提供す
ることが可能となる。
【0083】請求項2に記載の発明によれば、矩形板状
の圧電体と、圧電体の両面に形成された第1,第2の励
振電極と、圧電体内に配置されており、第1,第2の励
振電極と少なくとも部分的に対向された少なくとも1層
の内部電極とを備える厚み縦圧電共振子において、圧電
定数d31の絶対値が20×10-12 C/N以下の圧電材
料により圧電体が構成されているので、幅モードや利用
する高調波以外の他の高調波に起因する不要スプリアス
を効果的に抑制することができる。よって、共振特性の
良好な厚み縦圧電共振子を提供することができる。
【0084】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明に係る厚み縦圧電共振子の特徴及び請求項
2に記載の発明に係る圧電共振子の特徴を備えるため、
内部電極を有するので電気的容量が大きく、回路基板の
浮遊容量などの悪影響を抑制することができ、かつ振動
減衰部が上記一方向と直交する方向においては振動部の
両側に設けられないため、圧電共振子の小型化を図るこ
とができ、さらに、圧電定数d31の絶対値が20×10
-12 C/N以下の圧電材料により圧電体が構成されてい
るので、不要スプリアスを効果的に抑制することができ
る。従って、共振特性が良好であり、小型の厚み縦圧電
共振子を提供することが可能となる。
【0085】また、請求項4に記載のように、圧電体と
して、細長いストリップ型の圧電体を用いた場合には、
厚み縦圧電共振子の小型化を進めることができ、さらに
細長いストリップ型の圧電体を用い、請求項2に記載の
発明に従ってエネルギー閉じ込め型圧電共振子を構成し
た場合には、より一層小型の厚み縦圧電共振子を提供す
ることができる。
【0086】請求項5に記載の発明によれば、請求項1
〜3の何れに記載の厚み縦圧電共振子に、さらに共振子
の振動を妨げないための空間を隔ててコンデンサが貼り
合わされているので、不要スプリアスが少ない共振特性
の良好な圧電共振子を用いて、容量内蔵型の圧電発振子
を提供することが可能となる。
【0087】請求項6に記載の発明によれば、請求項1
〜5のいずれかに記載の厚み縦圧電共振子と、板状のコ
ンデンサとを、第1のケース材上に積層し、第1のケー
ス材に第2のケース材を接合してケースを構成すること
により、内部空間に上記板状のコンデンサ及び厚み縦圧
電共振子が収納されている。従って、小型であり、浮遊
容量などの影響を受け難い厚み縦圧電共振子を用いたチ
ップ型のコンデンサ内蔵型圧電共振部品を提供すること
ができる。
【0088】加えて、板状のコンデンサを厚み縦圧電共
振子と導電性接合材を介して固定し積層しているため、
厚み縦圧電共振子の厚みが薄い場合であっても、板状の
コンデンサにより厚み縦圧電共振子を補強することがで
き、厚み縦圧電共振部品の耐機械的衝撃性を高め得る。
【0089】さらに、厚み縦圧電共振子の幅寸法に対し
コンデンサの幅寸法を大きくした場合には、組み立てに
際し、厚み縦圧電共振子の第2のケース材内面への接触
を効果的に防止することができ、厚み縦圧電共振部品の
良品率を高めることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る厚み縦圧電共振子
を示す斜視図。
【図2】第1の実施例に係る厚み縦圧電共振子の断面
図。
【図3】幅モードWE1 における圧電体の有限要素法に
より解析された変位分布を示す図。
【図4】幅モードWE2 で振動している圧電体の有限要
素法により解析された変位分布を説明するための図。
【図5】厚み縦振動の2倍波で変位している状態の有限
要素法で解析された変位分布を示す図。
【図6】従来の厚み縦圧電共振子においてスプリアスと
して現れている幅モードWE1,WE2 を説明するため
のインピーダンス−周波数特性を示す図。
【図7】本発明の第1の実施例に係る厚み縦圧電共振子
のインピーダンス−周波数特性を示す図。
【図8】圧電定数d31の絶対値と比帯域幅との関係を示
す図。
【図9】本発明の第2の実施例に係る厚み縦圧電共振子
を説明するための斜視図。
【図10】本発明に係る厚み縦圧電共振子の第1の変形
例を示す断面図。
【図11】本発明に係る厚み縦圧電共振子の第2の変形
例を示す断面図。
【図12】本発明に係る厚み縦圧電共振子の第3の変形
例を示す断面図。
【図13】本発明に係る厚み縦圧電共振子の第4の変形
例を示す断面図。
【図14】本発明の第3の実施例に係る圧電共振子であ
って、コンデンサ内蔵型圧電共振子を示す斜視図。
【図15】図14に示した圧電共振子の回路構成を示す
図。
【図16】本発明の厚み縦圧電共振子のさらに他の変形
例を説明するための斜視図。
【図17】本発明に係るチップ型圧電共振部品の実施例
を説明するための分解斜視図。
【図18】図17に示したチップ型圧電共振部品の外観
を示す斜視図。
【図19】図17に示したチップ型圧電共振部品で用い
られている第1のケース材としてのケース基板の平面
図。
【図20】従来の厚み縦圧電共振子の一例を説明するた
めの分解斜視図。
【図21】図20に示した厚み縦圧電共振子の断面図。
【図22】従来の厚み縦圧電共振子の他の例を説明する
ための斜視図。
【符号の説明】
1…厚み縦圧電共振子 2…圧電体 3,4…第1,第2の励振電極 6…内部電極 11…厚み縦圧電共振子 12…圧電体 13,14…第1,第2の励振電極 16…内部電極 21…厚み縦圧電共振子 22,23…内部電極 24…厚み縦圧電共振子 25〜27…内部電極 28…厚み縦圧電共振子 29,30…内部電極 31…厚み縦圧電共振子 32〜34…内部電極 41…圧電共振子 42…コンデンサ 45…厚み縦圧電共振子 46…圧電体 47,48…第1,第2の励振電極 50…内部電極 51…チップ型圧電共振部品 52…板状コンデンサ 53…第1のケース材としてのケース基板 54a〜54c…電極ランド 54a1 〜54c1 …外部電極 55a〜55c…導電性接合材 56a,56b…導電性接合材 57…キャップ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚み縦振動モードの高調波を利用した厚
    み縦圧電共振子であって、 矩形板状の圧電体と、 前記圧電体の両面に形成されており、圧電体を介して対
    向された第1,第2の励振電極と、 前記圧電体内に配置されており、圧電体層を介して第
    1,第2の励振電極と少なくとも部分的に対向された少
    なくとも一層の内部電極とを備え、 第1,第2の励振電極及び前記内部電極が厚み方向に重
    なり合っている部分により振動部が構成されており、 一方向のみ振動減衰部を有し、前記一方向と直交する方
    向において、圧電板の端部または端部近傍まで第1,第
    2の励振電極が至るように第1,第2の励振電極が形成
    されていることを特徴とする、厚み縦圧電共振子。
  2. 【請求項2】 厚み縦振動モードの高調波を利用した厚
    み縦圧電共振子であって、 矩形板状の圧電体と、 前記圧電体の両面に形成されており、圧電体を介して対
    向された第1,第2の励振電極と、 前記圧電体内に配置されており、圧電体層を介して第
    1,第2の励振電極と少なくとも部分的に対向された少
    なくとも一層の内部電極とを備え、 前記圧電体が、圧電定数d31が|d31|≦20×10
    -12 C/Nの範囲にある圧電材料により構成されている
    ことを特徴とする、厚み縦圧電共振子。
  3. 【請求項3】 厚み縦振動モードの高調波を利用した厚
    み縦圧電共振子であって、 矩形板状の圧電体と、 前記圧電体の両面に形成されており、圧電体を介して対
    向された第1,第2の励振電極と、 前記圧電体内に配置されており、圧電体層を介して第
    1,第2の励振電極と少なくとも部分的に対向された少
    なくとも一層の内部電極とを備え、 前記第1,第2の励振電極及び前記内部電極が厚み方向
    に重なり合っている部分が振動部を構成しており、一方
    向のみに振動減衰部を有し、前記一方向と直交する方向
    において、圧電板の端部または端部近傍まで第1,第2
    の励振電極が至るように第1,第2の励振電極が形成さ
    れており、かつ前記圧電体が、圧電定数d31が|d31
    ≦20×10-12 C/Nの範囲にある圧電材料により構
    成されていることを特徴とする、厚み縦圧電共振子。
  4. 【請求項4】 前記圧電体が細長いストリップ型の圧電
    体により構成されている、請求項1〜3のいずれかに記
    載の厚み縦圧電共振子。
  5. 【請求項5】 前記第1または第2の励振電極が形成さ
    れている面に、圧電共振子の振動を妨げないための空間
    を隔てて貼り合わされたコンデンサをさらに備えること
    を特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の厚み縦
    圧電共振子。
  6. 【請求項6】 ケースを構成する第1,第2のケース材
    と、 第1のケース材上面に形成された電極ランドと、 前記電極ランドに電気的に接続されており、ケースの外
    表面に至るように形成されている複数の外部電極と、 第1のケース材の上面に導電性接合材により固定されて
    おり、かつ第1のケース材上面の所定の電極ランドに電
    気的に接続されている板状コンデンサと、 前記板状コンデンサ上に振動を妨げないための空隙を確
    保した状態で導電性接合材により板状コンデンサに接合
    されている請求項1〜5のいずれかに記載の厚み縦圧電
    共振子とを備え、 前記第1のケース材上面に積層された板状コンデンサ及
    び厚み縦圧電共振子を囲撓するように、第2のケース材
    が第1のケース材に固定されていることを特徴とする、
    圧電共振部品。
JP35343597A 1997-05-09 1997-12-22 厚み縦圧電共振子及び圧電共振部品 Pending JPH1127083A (ja)

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