JPH1180456A - 制振性樹脂組成物 - Google Patents

制振性樹脂組成物

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JPH1180456A JP25599897A JP25599897A JPH1180456A JP H1180456 A JPH1180456 A JP H1180456A JP 25599897 A JP25599897 A JP 25599897A JP 25599897 A JP25599897 A JP 25599897A JP H1180456 A JPH1180456 A JP H1180456A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常温及び低温領域においても優れた制振性能
と機械的強度とを発揮する制振性樹脂組成物を提供。 【解決手段】 ポリプロピレン樹脂40〜70重量%と
熱可塑性エラストマー30〜60重量%とからなる樹脂
成分100重量部と,無機充填剤5〜60重量部とから
なり,かつ,上記熱可塑性エラストマーは,ガラス転移
点Tgが0〜20℃のエラストマー又はガラス転移点T
gが−20〜0℃のエラストマーとエチレン−α−オレ
フィンとからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,常温及び低温領域において優れ
た制振性能を有し,かつ機械的強度にも優れた制振性樹
脂組成物に関する。
【0002】
【従来技術】近年,自動車に関しては,燃費向上,軽量
化という社会的要請に応えて,その構成部品の一部が金
属からプラスチックに変換されつつあり,その実用化も
進んでいる。プラスチック材料のうちポリプロピレン樹
脂は,各種の物性バランスがとれた材料であり,かつ比
較的安価であるため自動車の内装用,外装用の部品に大
量に使用されている。
【0003】そして,特にタルク,ガラス繊維,炭酸カ
ルシウム等の無機充填剤及びこれらの混合物を,ポリプ
ロピレン樹脂に充填した強化ポリプロピレン樹脂は,強
度,耐熱性に優れているため,バンパー,サイドモー
ル,インスツルメントパネル,タイミングベルトカバ
ー,ブロワーケース,クーラーハウジング,ダクト等に
使用されている。
【0004】一方,最近では自動車に対して,軽量化の
他に,車室内等における快適環境化を図るため,騒音の
低減が強く望まれている。騒音の対策法としては,制
振,遮音,防振,吸音等がある。また,例えば空調機器
の騒音に関しては,固体伝搬音の寄与が大きいか,或い
は空気透過音の寄与が大きいかによって対策法が異な
る。材料置換によって騒音低減を図るためには,材料の
制振性能を向上させることが必要である。従来,制振性
能を向上させたポリプロピレン樹脂組成物としては,特
開昭62−43443号公報に記載された発明がある。
【0005】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記ポリプロ
ピレン樹脂組成物は,例えば−40℃〜+40℃という
常温及び低温の温度領域において使用する際に,その制
振性能と機械的強度との両者を満足させるには,未だ不
十分である。本発明は,上記問題点に鑑みなされたもの
で,常温及び低温領域においても優れた制振性能と機械
的強度とを発揮する制振性樹脂組成物を提供しようとす
るものである。
【0006】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,ポリプロピレン
樹脂40〜70重量%と熱可塑性エラストマー30〜6
0重量%とからなる樹脂成分100重量部と,無機充填
剤5〜60重量部とからなり,かつ,上記熱可塑性エラ
ストマーは,ガラス転移点Tgが0〜20℃のエラスト
マー又はガラス転移点Tgが−20〜0℃のエラストマ
ーの少なくとも1種のエラストマーとエチレン−α−オ
レフィンとからなることを特徴とする制振性樹脂組成物
である。
【0007】本発明において最も注目すべきことは,ポ
リプロピレン樹脂及び上記特定の熱可塑性エラストマー
からなる樹脂成分と無機充填剤とを上記割合に混合する
と共に,上記熱可塑性エラストマーとして上記特定のガ
ラス転移点Tgを有するエラストマーとエチレン−α−
オレフィンとを用いることである。
【0008】上記ポリプロピレン樹脂としては,結晶性
ポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。結晶性ポ
リプロピレン樹脂としては,いわゆるポリプロピレン樹
脂と変性ポリプロピレン樹脂とがある。前者のポリプロ
ピレン樹脂としては,ホモポリプロピレンの他にプロピ
レン−エチレンランダム共重合体(エチレン含量20重
量%以下),プロピレン−エチレンブロック共重合体
(エチレン含量20重量%以下)及びこれらの混合物が
用いられる。また,後者の変性ポリプロピレン樹脂は,
ポリプロピレン樹脂と不飽和カルボン酸またはその誘導
体とを,有機過酸化物の存在下で変性したものである。
【0009】上記結晶性ポリプロピレン樹脂としては,
上記ポリプロピレン樹脂と変性ポリプロピレン樹脂とを
混合して用いることが好ましい。この際,変性ポリプロ
ピレン樹脂は,樹脂成分中に1〜20%(重量比以下同
じ)含まれることが好ましい。また,結晶性ポリプロピ
レン樹脂のメルトフローインデックスは5〜100が好
ましく,これらが5未満の場合には成形加工性及び成形
品の外観が悪くなり,100を越える場合は耐衝撃性の
低下が著しくなる。上記熱可塑性エラストマーとしては
例えば後述のものを用いる。
【0010】そして,上記ポリプロビレン樹脂40〜7
0重量%と,熱可塑性エラストマー30〜60重量%と
により樹脂成分を構成する。ポリプロピレン樹脂は,4
0重量%未満では機械的強度が低下し,一方70重量%
を超えると制振性能が低下する。また,熱可塑性エラス
トマーは,30重量%未満では制振性能が低く,一方6
0重量%を超えると機械的強度が低下する。
【0011】上記無機充填剤は,上記樹脂成分100重
量部に対して5〜60重量部添加する。無機充填剤が5
%では,機械的強度が低く,一方60重量部を超えると
制振性能及び耐衝撃性が低下する。上記無機充填剤とし
ては,タルク,マイカ,クレー,シリカ,アルミナ,炭
酸カルシウム,炭酸マグネシウム,酸化亜鉛,酸化チタ
ン,酸化カルシウム,酸化マグネシウム,水酸化カルシ
ウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,硫酸
カルシウム,硫酸バリウム,塩基性硫酸マグネシウム,
ケイ酸カルシウム,ガラス,チタン酸カリウム,ホウ酸
アルミニウム等の繊維,ウイスカー,フレーク,又はパ
ウダーなどがある。
【0012】次に,上記熱可塑性エラストマーは,特定
のガラス転移点Tgを有するエラストマーとエチレン−
α−オレフィンとにより構成する。上記エチレン−α−
オレフィンとしては,例えば,EPM(エチレンプロピ
レンゴム),EBM(エチレンブタジエンゴム),EO
M(エチレンオクテンゴム)などがある。
【0013】上記特定のガラス転移点Tgのエラストマ
ーとしては,ガラス転移点Tg0〜20℃のエラストマ
ー又はガラス転移点Tg−20〜0℃のエラストマーの
一方又は双方を用いる。ガラス転移点Tgが0〜20℃
のエラストマーを用いる場合には,特に−20〜40℃
における制振性樹脂組成物の制振性向上の効果がある。
この場合,Tgが0℃未満では,常温域40℃付近にお
ける制振性が低下するおそれがあり,一方Tgが20℃
を超えると制振性樹脂組成物の制振性が低下するという
問題がある。
【0014】ガラス転移点Tgが−20〜0℃のエラス
トマーを用いる場合には,特に−40〜20℃における
制振性樹脂組成物の制振性向上の効果がある。この場
合,Tg−20℃未満では,常温域20℃付近における
制振性樹脂組成物の制振性が低下するおそれがあり,一
方Tgが0℃を超えると制振性樹脂組成物が−40℃よ
りも低い低温域において制振性樹脂組成物の制振性低下
の問題がある。
【0015】また,上記熱可塑性エラストマーにおいて
は,上記ガラス転移点Tgのエラストマーとエチレン−
α−オレフィンとからなる。
【0016】本発明によれば,−40℃〜40℃という
常温及び低温領域における制振性tanδが0.05以
上という優れた制振性能を有し,かつ曲げ弾性率700
以上,H.D.T(熱変形温度)70℃以上,−30℃
におけるIZOD衝撃強度30J/mという優れた機械
的強度を発揮する制振性樹脂組成物を得ることができる
(実施形態例参照)。
【0017】次に,請求項2に記載の発明のように,ガ
ラス転移点Tgが0〜20℃の上記エラストマーは,ス
チレン・イソプレン・スチレン共重合体であることが好
ましい。該共重合体は,ポリイソプレンブロックがビニ
ル構造であり,例えば図1の一般式で示すポリイソプレ
ンブロックが1,2ビニル結合のもの,又は図2の一般
式で示す3,4ビニル結合のものがある。上記エラスト
マーは,熱可塑性を有すると共にゴム弾性を有し,各種
プラスチックとの相溶性を発揮する。
【0018】次に,請求項3に記載の発明のように,ガ
ラス転移点Tgが−20〜0℃のエラストマーは,スチ
レン・イソプレン・スチレン共重合体,又はポリブテン
−1であることが好ましい。これらは,ポリプロピレン
樹脂との相溶性が良い。
【0019】次に,請求項4に記載の発明のように,上
記ポリプロピレン樹脂は不飽和カルボン酸又はその誘導
体で変性されている変性ポリプロピレン樹脂を含有して
いることが好ましい。この場合には,ポリプロピレン樹
脂と無機充填剤との間に変性ポリプロピレン樹脂が介入
して,強性率,耐熱性,衝撃性の機械的強度を向上させ
る効果がある。上記不飽和カルボン酸としては,フマル
酸,シトラコン酸,グルタコン酸,マレイン酸,イタコ
ン酸,無水マレイン酸,無水グルタコン酸,無水シトラ
コン酸などがある。
【0020】次に,請求項5に記載の発明のように,上
記樹脂成分には油添EPDMを含有していることが好ま
しい。この場合には,一層制振性能が向上すると共に,
本発明の組成物を用いて成形する時の離型性,成形品の
表面外観性が向上する。そのため,特に,バンパー,サ
イドモール,ロッカーモールなどの長尺成形品に対し
て,その効果が大きい。
【0021】次に,上記制振性樹脂組成物は,上記ポリ
プロピレン樹脂,熱可塑性エラストマー,無機充填剤等
を,一軸押出機,二軸押出機,ニーダー,バンバリーミ
キサー等の通常の混練機を用いて製造することができ
る。通常は,各配合成分を所定の割合にてタンブラー式
ブレンダー,ヘンシェルミキサー,リボンミキサー等に
より混合し,その後押出機等で混練してペレット状のコ
ンパウンドとなし,その後所望する成形品の形状に成形
する。
【0022】また,上記各制振性樹脂組成物において
は,酸化防止剤,紫外線吸収剤,滑剤,帯電防止剤,核
剤,顔料,難燃剤,増量剤,加工助剤等の添加剤を混合
しても良い。
【0023】本発明の制振性樹脂組成物は,特に−40
℃〜+40℃の常温及び温領域における制振性能に優
れ,かつ機械的強度が優れている。そのため,自動車
用,内装品及び外装品に使用することにより,車両伝搬
音の寄与に基づく振動騒音を広い温度領域にて低減し,
車室内の静粛性向上に効果がある。
【0024】例えば,自動車走行時,タイヤが巻き上げ
た砂,小石が車両に当たり,それにより発生する騒音の
車両伝搬を低減し,車室内騒音低減効果を発揮する。ま
た,自動車部品の他に,工場やビルの各種設備或いは,
その他の電気部品,機械部品にも好適である。
【0025】
【発明の実施の形態】
実施形態例1 以下,本発明の制振性樹脂組成物にかかる実施形態例及
び比較例につき説明する。諸物性の測定は,以下の方法
により行った。また,各例における成分の配合割合,試
験片の測定結果は表1〜表3に示した。各表に示す,ポ
リプロピレン樹脂は,プロピレンとエチレンとからなる
メルトフローインデックス65のブロック共重合体を,
変性ポリプロピレン樹脂としては無水マレイン酸変性の
ものを用いた。
【0026】また,表中「V−SIS」とは,熱可塑性
エラストマーとしての「ビニル構造のポリイソプレンブ
ロックを有するスチレン・イソプレン・スチレン共重合
体(SIS構造)」である。また,PB−1はポリブテ
ン−1である。「Tg」はガラス転移点Tgを示す。
【0027】「EPM」は,エチレン−α−オレフィン
としての「エチレン−α−プロピレン共重合体」であ
る。また,油添EPDMはEPDM(エチレン−プロピ
レン−ジエン共重合体)に対してプロセスオイル40重
量%を添加したものである。無機充填剤としては,平均
粒径20μmの大きさのタルクを用いた。また,表中の
配合割合は,樹脂成分(合計100重量%)については
その内訳を重量%で,一方無機充填剤は樹脂成分100
重量部に対する添加割合(重量部)で示した。
【0028】また,制振性樹脂組成物の物性は次のよう
にして測定した。 (a)曲げ弾性率(MPa) ASTM D790により行った。 (b)IZOD衝撃強度(J/m) ASTM D256により−30℃雰囲気下で行った。 (c)H.D.T(熱変形温度)(℃) ASTM D648に従い,4.6kg/cm2 荷重に
より行った。
【0029】(d)制振性tanδ 縦が30mm,横が5mm,厚さ2mmの平板を射出成
形にて作製し,−100℃から+100℃まで昇温可能
な恒温槽中で,平板に対して20Hzの正弦波を加え
て,その時発生する応力レスポンスを検出し,線形粘弾
性理論に基づく演算式により−40〜0℃,0〜40℃
各々のピーク値を測定した。
【0030】(e)成形品表面外観 80トン射出成形機にて成形した試験片表面の表層剥
離,ボイド等の有無を,目視にて官能評価した(4段階
評価;◎,○,△,×)。
【0031】また,実施形態例,比較例に掲げる試験片
の作製は,所定割合に混合した組成物を,長さL/直径
D=27,30mmの異方向回転2軸押出機で溶融混練
しペレットとした。次いで,このペレットを80℃,3
時間乾燥した後,80トン射出成形機にて成形し,試験
片を作製した。次に,本発明にかかる実施形態例を表
1,表2,また比較例を表3に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】また,上記制振性能,機械的強度におい
て,本発明の目標値としては,制振性能tanδは0.
050以上,機械的強度の曲げ弾性率は700Mpa以
上,HDTは70℃以上,IZOD衝撃強度(−30
℃)は30J/m以上としている。
【0036】各表より知られるごとく,本発明にかかる
実施形態例1〜10は,いずれも高い制振性能(制振性
tanδ)と優れた機械的強度,表面外観を有している
ことが分かる。特に実施形態例7〜8はTgが−20〜
0℃,0〜20℃のエラストマーを併用することによ
り,−40〜0℃,0〜40℃のいずれの温度領域でも
高い制振性を示す。また,実施形態例9,10は,変性
ポリプロピレン樹脂を添加することにより,機械物性,
制振性向上を示す。特に実施形態例10では,油添EP
DM添加により制振性の更なる向上と成形性の向上を示
す。
【0037】一方,比較例C1はポリプロピレン樹脂が
少ないため,比較例C2は熱可塑性エラストマーが少な
いため,比較例C3,C5は無機充填剤が含まれないた
め,比較例C4は無機充填剤が多量のため,共に上記制
振性能及び機械的強度及び表面外観における上記目標値
を全て満足していないことが分かる。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば,常温及び低温領域にお
いても優れた制振性能と機械的強度とを発揮する制振性
樹脂組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】SIS構造の共重合体の説明図。
【図2】SIS構造の他の共重合体の説明図。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン樹脂40〜70重量%と
    熱可塑性エラストマー30〜60重量%とからなる樹脂
    成分100重量部と,無機充填剤5〜60重量部とから
    なり,かつ,上記熱可塑性エラストマーは,ガラス転移
    点Tgが0〜20℃のエラストマー又はガラス転移点T
    gが−20〜0℃のエラストマーの少なくとも1種のエ
    ラストマーとエチレン−α−オレフィンとからなること
    を特徴とする制振性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1において,ガラス転移点Tgが
    0〜20℃の上記エラストマーは,スチレン・イソプレ
    ン・スチレン共重合体であることを特徴とする制振性樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1において,ガラス転移点Tgが
    −20〜0℃のエラストマーは,スチレン・イソプレン
    ・スチレン共重合体,又はポリブテン−1であることを
    特徴とする制振性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項ににおい
    て,上記ポリプロピレン樹脂は不飽和カンボン酸又はそ
    の誘導体で変性されている変性ポリプロピレン樹脂を含
    有していることを特徴とする制振性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項において,
    上記樹脂成分には油添EPDMを含有していることを特
    徴とする制振性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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