JPH117889A - 陰極線管の製造方法 - Google Patents

陰極線管の製造方法

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JPH117889A
JPH117889A JP16250797A JP16250797A JPH117889A JP H117889 A JPH117889 A JP H117889A JP 16250797 A JP16250797 A JP 16250797A JP 16250797 A JP16250797 A JP 16250797A JP H117889 A JPH117889 A JP H117889A
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phosphor
glass panel
coating
film
panel
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JP16250797A
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English (en)
Inventor
Nobuyuki Aoki
延之 青木
Hiroshi Deguchi
寛 出口
Iwao Tanaka
巌 田中
Toshio Toki
敏夫 時
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electronics Corp
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  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラスパネル内面に、塗布むらが無く均一な
膜分布を有する蛍光面を形成し、このガラスパネルを用
いて、高輝度の陰極線管を製造する。 【解決手段】 ガラスパネル1の内面6に第一の塗布液
を塗布して蛍光体塗布膜を形成した後に、蛍光体塗布膜
の上に第二の塗布液を塗布してアルミバック膜としての
アンダーコート膜を形成して、ガラスパネル1の内面6
に蛍光面を形成する工程と、蛍光面が形成されたガラス
パネル1を用いて陰極線管を形成する工程とを有する陰
極線管の製造方法において、第一および第二の塗布液
を、実質同一の方法を用いて、順次、ガラスパネル1の
内面に塗布して乾燥させることにより、ガラスパネル1
の内面6に多層膜から成る蛍光面を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー受像管等に
用いる陰極線管の製造方法に関するものであり、詳しく
は陰極線管の蛍光面を均一に形成する方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、電子ビームで蛍光体を発色させて
文字や画像を表示する表示装置としては、陰極線管が主
として用いられてきた。一般に陰極線管のパネル内面に
形成された蛍光面には、赤、緑および青にそれぞれ発光
する3種類の蛍光体絵素が、ブラックマトリックスと言
われる光吸収膜を介してドット状あるいはストライプ状
に規則正しく配列されている。
【0003】このような蛍光面は、陰極線管を構成する
ガラスパネルの内面にブラックマトリックスを形成した
後に、蛍光体懸濁液を塗布して蛍光体塗布膜を形成し、
その上にアルミバック膜であるアンダーコート膜を形成
し、さらにその上にアルミ膜を形成して得ることができ
る。具体的には、陰極線管のパネル内面に感光性樹脂膜
を形成し、この感光性樹脂膜の蛍光体絵素が形成される
位置に、フォトリソグラフ技術を利用して、光反応性物
質を塗布、露光、現像することにより蛍光体形成部位を
作製し、引き続きパネル内面に蛍光体懸濁液を塗布し
て、上記と同様のフォトリソグラフ技術により、特定色
の蛍光体部位を随時作製することで得られる。
【0004】陰極線管の蛍光面を形成するための塗布プ
ロセスとしては、蛍光体懸濁液を回転塗布する方法が主
流である。この方法においては、まず、感光性樹脂に蛍
光体を懸濁させたスラリー(以下「蛍光体スラリー」と
いう)を、低速回転するパネル内面に注入する。注入さ
れた蛍光体スラリーは、パネルの傾斜と回転とによっ
て、ゆっくりとパネル内面に広がり、その間に蛍光体粒
子は沈降していく。蛍光面を形成する際の蛍光体スラリ
ーの塗布プロセスでは、塗布むらのない均一な塗布膜を
得ることが重要であり、そのためにパネルの回転周期に
同期させてパネルの傾斜角を周期的に変化させる方法
(例えば、特開平3−122944号公報等)や、パネ
ルの回転を正回転と逆回転で行う方法(例えば、特開平
5−101775号公報等)などが開示されている。
【0005】続いて、パネルの回転を高速にして余剰の
蛍光体スラリーを振り切る工程に移る。均一な塗布膜を
得るためには、振り切り時のパネルの傾斜角と回転数の
設定が重要であり、パネルを斜め上向きで振り切る方法
(例えば、特開昭55−57230号公報等)や、斜め
下向きで振り切る方法(例えば、特開昭59−1862
30号公報等)などが開示されている。
【0006】続いて、余剰の蛍光体スラリーを振り切っ
た後に、パネルに塗布された塗布膜に外部から赤外線ヒ
ーターを照射して塗布膜を乾燥させる。次に、パネルに
シャドウマスクをセットし、紫外線によって露光する。
紫外線を照射することにより、感光性樹脂と感光開始剤
との間に光架橋反応が進行し、露光部は水に不溶化す
る。露光した後に、パネルからシャドウマスクをはずし
て、パネルに温水シャワー等を噴霧して現像を行う。そ
うすると、未露光部が水に洗い流されて、必要な部分に
のみ蛍光体パターンが形成される。なお、蛍光体スラリ
ーを用いて形成された膜を、以下「蛍光体塗布膜」とい
う。
【0007】一方、コンピュータ等のモニターとして用
いられるディスプレイは、近年のOA環境等の変化に伴
って、高精細度、高輝度および高コントラスト化等の種
々の性能が要求されている。また、画面についても、従
来の曲率を持った陰極線管では外光の写り込みによる乱
反射により見にくいため、その画面形状を完全平面とす
ることへの要求が高まっている。さらに、コンピュータ
等のモニターとして用いられるディスプレイとしては、
そのディスプレイ上の中央部や周辺部等のいずれの位置
においても、高輝度で高解像度であることが要求されて
いる。
【0008】以上の要求を満たすためには、陰極線管の
蛍光面を均一に形成することが必要である。そこで、従
来は、蛍光面を均一に形成するための改良策として、ガ
ラスパネル内面に、蛍光体スラリーを吐出する塗布ノズ
ルを複数個挿入して、短時間で塗布する方法や、蛍光体
スラリーの注入を周辺部から中央部へ塗り上がるように
する方法等が行われている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術に係る陰極線管の蛍光面形成方法においては、ガ
ラスパネル上に蛍光体スラリーを塗布する場合、塗布ノ
ズルからガラスパネル上に注入された蛍光体スラリー
を、蛍光体スラリーの表面張力、パネルの自転回転およ
びパネル傾斜角の調整等によってガラスパネルの有効面
全体に広げて蛍光体粒子を十分に沈降させるためには、
長時間を要するという課題があった。また、ガラスパネ
ルの中央部と周辺部とを比較すると、周辺部における蛍
光体粒子の粒子間の充填性が悪く、かつ膜厚が薄くなる
傾向があるため、輝度分布が悪化するという課題があっ
た。
【0010】また、従来技術においては、蛍光体スラリ
ーの塗布後に、余剰として残留した蛍光体スラリーを排
出するために、高速振り切りを行って余剰の蛍光体スラ
リーをキャッチバスケットや回収槽に回収する方法が採
用されているが、この方法によれば、回収した蛍光体ス
ラリーの熱的変質や回収効率が悪い等の課題があった。
【0011】さらに、蛍光面を形成する際、蛍光体スラ
リーを十分に乾燥して蛍光体塗布膜を形成した後におい
ては、ガラスパネル内面にアルミバック膜のアンダーコ
ート膜を形成する必要がある。このアンダーコート膜
は、できる限り薄く形成する必要があるため、従来技術
においては、ガラスパネル内面を下向きにして、有機溶
剤に溶かし込んだアクリル系樹脂を下からスプレイして
アンダーコート膜を形成する方法が採用されていた。し
かし、この方法によれば、蛍光体スラリーの塗布工程に
おいて、ガラスパネルの周辺部と中央部とに注入する蛍
光体スラリーの比率を変化させた場合に、周辺部でアン
ダーコート膜が蛍光体の突き抜けにより破損してしま
い、輝度を低下させる等の課題があった。
【0012】そこで、本発明は以上の課題を解決するた
めになされたもので、ガラスパネル内面に、塗布むらが
無く均一な膜分布を有する蛍光面を形成し、このガラス
パネルを用いて、高輝度の陰極線管を製造する陰極線管
の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の第一の構成に係る陰極線管の製造方法は、複
数の塗布液を用いてガラスパネルの内面に蛍光面を形成
する工程と、前記蛍光面が形成されたガラスパネルを用
いて陰極線管を形成する工程とを有する陰極線管の製造
方法において、前記複数の塗布液を、実質同一の方法を
用いて、順次、前記ガラスパネルの内面に塗布して乾燥
させることにより、前記ガラスパネルの内面に多層膜か
ら成る前記蛍光面を形成することを特徴とする。この第
一の構成に係る陰極線管の製造方法によれば、前記複数
の塗布液を実質同一の方法を用いて前記ガラスパネルの
内面に塗布するため、前記蛍光面を構成する多層膜のそ
れぞれの膜の膜厚分布がガラスパネル内面において略均
一となり、塗布むらや膜厚むらを抑制することが可能と
なる。
【0014】また、本発明の第二の構成に係る陰極線管
の製造方法は、ガラスパネルの内面に第一の塗布液を塗
布して蛍光体塗布膜を形成した後に、前記蛍光体塗布膜
の上に第二の塗布液を塗布してアルミバック膜としての
アンダーコート膜を形成して、前記ガラスパネルの内面
に蛍光面を形成する工程と、前記蛍光面が形成されたガ
ラスパネルを用いて陰極線管を形成する工程とを有する
陰極線管の製造方法において、前記第一および第二の塗
布液を、実質同一の方法を用いて、順次、前記ガラスパ
ネルの内面に塗布して乾燥させることにより、前記ガラ
スパネルの内面に多層膜から成る前記蛍光面を形成する
ことを特徴とする。この第二の構成に係る陰極線管の製
造方法によれば、前記蛍光体塗布膜を前記ガラスパネル
の内面に形成する工程と、前記アルミバック膜としての
アンダーコート膜、いわゆるラッカーフィルミングを形
成する工程とを、実質同一の方法を用いて行うため、前
記蛍光体塗布膜と前記アンダーコート膜との膜厚分布が
前記ガラスパネル内面において略均一となり、前記アン
ダーコート膜(ラッカー膜)の塗布むらを抑え、前記ア
ンダーコート膜への蛍光体の突き抜けを防止し、かつフ
リットおよび排気工程において塗布むらの空気溜まりに
起因して発生するアルミ膜の火ブクレ等の不良を抑制
し、局所的な発光むらのない均一な発光特性を有する陰
極線管を製造することができる。
【0015】また、この第二の構成に係る陰極線管の製
造方法においては、前記第一の塗布液が、蛍光体粒子を
懸濁させた液であることが好ましく、前記第二の塗布液
が、アクリル系のエマルジョン液またはアクリル樹脂を
有機溶剤に溶解させた液であることが好ましい。
【0016】また、前記塗布液を塗布して乾燥させる方
法が、ガラスパネルの内面に塗布液を注入する工程と、
前記塗布液を引き延ばす工程と、前記塗布液をなじませ
る工程と、前記塗布液の余剰液を排出する工程と、前記
塗布液を用いて形成された塗布膜を平滑化する工程と、
前記塗布膜を乾燥させる工程とを有することが好まし
い。この好ましい例によれば、それぞれの塗布液で形成
される塗布膜について、パネル中央部と周辺部との間に
おける塗布むらや膜厚むら等を抑制し、局所的な発光む
ら等のない均一な発光特性を有する陰極線管を製造する
ことができる。
【0017】また、前記第一および第二の構成に係る陰
極線管の製造方法においては、前記塗布液を塗布して乾
燥させる方法が、ガラスパネルの内面に塗布液を注入す
る工程と、前記塗布液を引き延ばす工程と、前記塗布液
をなじませる工程と、前記塗布液の余剰液を前記ガラス
パネルの所定の部位から排出した後に、さらに残存する
余剰液を高速振り切りを行って排出する工程と、前記塗
布液を用いて形成された塗布膜を平滑化する工程と、前
記塗布膜を乾燥させる工程とを有することが好ましい。
この好ましい例によれば、それぞれの塗布膜の塗布むら
や膜厚むら等を抑制し、局所的な発光むら等のない均一
な発光特性を有する陰極線管を製造することができる。
また、前記余剰液を高速振り切りにより排出回収する前
に、前記ガラスパネルの所定の部位に集めそこから系外
へ排出するので、前記余剰液の回収効率を上昇させるこ
とができる。
【0018】さらに、前記塗布膜を平滑化する工程の直
前および直後の少なくともいずれかのときに、低速度で
0.5回転以上1.5回転以下の範囲で、前記ガラスパ
ネルを回転させることが好ましい。この好ましい例によ
れば、このように低速度で回転させることにより、前記
余剰液を排出させる際に前記所定部位に流動した前記塗
布液を、前記ガラスパネル内面の全面に流動させること
が可能となるため、塗布むらおよび流動むらを抑え、前
記塗布膜の膜厚の不均一を抑制し、前記塗布膜を均一に
形成することができる。
【0019】さらに、前記低速度については、5rpm
以上10rpm以下であることが好ましい。この範囲よ
りも速い速度で前記ガラスパネルを回転させると、前記
余剰の塗布液が前記ガラスパネル内面のウォール部を流
動し前記ガラスパネルを汚染したり、微小な泡が発生す
るおそれがある。また、この範囲よりも遅い速度で前記
ガラスパネルを回転させると、前記余剰の塗布液が前記
ガラスパネルのパネル有効面上を流動して塗布むらが発
生するおそれがある。したがって、前記低速度は、5r
pm以上10rpm以下であることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。ここでは、特に、41cmサイズ
のカラーモニター用の陰極線管を例にあげて、蛍光面形
成工程における蛍光体スラリーの塗布工程(蛍光体塗布
膜形成工程)と、アルミバック膜のアンダーコート膜形
成工程について説明する。
【0021】(第一の実施形態)図1は、本発明の第一
の実施形態に係る蛍光面形成工程における蛍光体スラリ
ー塗布状態を示す概略断面図である。図1に示すよう
に、本実施形態においては、ブラックマトリクス形成済
みのガラスパネル1を、鉛直軸2から所定の角度θ(パ
ネル傾斜角θ)だけ傾けて配置し、そのガラスパネル1
のパネル有効面6のほぼ中央部分に、塗布ノズル5から
吐出される蛍光体スラリー4を注入する。ここで、鉛直
軸2から所定の角度θだけ傾いている軸をパネル傾斜軸
3という。パネル傾斜軸3は、ガラスパネル1面の中央
部の接線と直交する関係にある。
【0022】本実施形態において、ガラスパネル1は4
1cmサイズでパネル透過率52%のものを用い、ガラ
スパネル1の内面に塗布する蛍光体スラリー4は、以下
の材料を調整したものを用いた。
【0023】 緑色蛍光体(日亜化学工業製) −−−25重量部 ポリビニルアルコール樹脂 −−−2.5重量部 重クロム酸アンモニウム −−−0.25重量部 界面活性剤 −−−0.03重量部 消泡剤 −−−0.02重量部 水 −−−72.2重量部 まず、上記材料をプロペラ式ミキサーを用いて混合した
後、ディスパーザーを用いて一定時間分散させた。ま
た、用いた緑色蛍光体の粒径は8μmで硫化亜鉛に賦活
剤として銅をドープしたものを用いた。さらに所定の重
クロム酸アンモニウムとアンモニアを添加し、pH濃度
を7〜9に調整して、本実施形態に用いる蛍光体スラリ
ー4とした。なお、蛍光体の接着力を上げるために、蛍
光体スラリーにボールミル処理を施してもよい。
【0024】本実施形態においては、以上のようにして
調整された蛍光体スラリー4を用いてガラスパネル1内
面に蛍光面を形成する。以下、蛍光面形成工程における
蛍光体塗布膜の形成工程を具体的に説明する。
【0025】まず、図1に示すように、鉛直軸2に対し
て所定の角度θ傾くとともに、パネル傾斜軸3を中心と
して回転速度10rpmで回転しているガラスパネル1
の内部に、塗布ノズル5から蛍光体スラリー4を注入す
る。ここで、鉛直軸2に対する所定の傾斜角度θは20
度とし、塗布ノズル5からの蛍光体スラリー4の吐出量
は35ccとした。また、ガラスパネル1がパネル傾斜
軸3を中心として回転する場合の回転速度を、以下「パ
ネル回転速度」ということとする。
【0026】次に、蛍光体スラリー4をパネル有効面6
にできるだけ広げ、パネル傾斜角θを30度に保持し蛍
光体粒子を充分に沈降させ、パネル回転速度を6rpm
として蛍光体スラリー4をガラスパネル1の内面の周辺
部に十分に流動させる。
【0027】次に、図2に示すように、パネル傾斜角θ
を鉛直軸2に対して110度とし、余剰となった蛍光体
スラリー(以下「余剰蛍光体スラリー」という)8をガ
ラスパネル1の所定のコーナー(以下「排出コーナー」
という)から排出し、その後パネル回転速度を6rpm
に保持したまま、余剰蛍光体スラリー8を排出したガラ
スパネル1の排出コーナーの位置を1回転させる。本実
施形態においては、図2に示す回転方向7に1回転させ
る。
【0028】このとき、パネル回転速度が早すぎると、
余剰蛍光体スラリー8がパネル内面ウォール部9を流動
するため、ガラスパネルの汚れがひどくなったり、ガラ
スパネル1に塗布された蛍光体スラリー4に微小な泡が
発生するおそれがある。また逆にパネル回転速度が遅す
ぎると、余剰蛍光体スラリー8がガラスパネル1のパネ
ル有効面6上を流動してしまい、塗布むらが発生するお
それがある。したがって、パネル回転速度は、概ね5r
pm以上10rpm以下であることが好ましい。
【0029】また、このとき、パネル傾斜角θを110
度としての低速回転時におけるガラスパネル1の回転回
数は、0.5回転より少ないと、余剰蛍光体スラリー8
がガラスパネル1のパネル有効面6上を流動してしま
い、塗布むらが発生するおそれがあり、1.5回転より
も多いと、全体に塗布重量が低くなり、かつ却って新た
な塗布むらが発生するおそれがある。したがって、ガラ
スパネルを回転させる回数は、0.5〜1.5回転であ
ることが好ましい。
【0030】次に、パネル回転速度を190rpmに上
昇させることにより、余分な蛍光体スラリーをさらに振
り切るとともに、蛍光体スラリー4が塗布された面を平
滑化させる。余剰蛍光体スラリー8の排出効率を向上さ
せるためには、パネル傾斜角θをより大きくすればよい
わけであるが、そうすると、ガラスパネル1の内外面の
蛍光体汚れが悪化するおそれがある。したがって、パネ
ル傾斜角θは95〜115度であることが好ましい。
【0031】次に、パネル傾斜角θを100度とし、パ
ネルの回転速度を30rpmまで下げて、外部からの赤
外線パネルヒータによって、ガラスパネル1のパネル内
面に塗布された蛍光体スラリー4を乾燥させる。このと
き、乾燥時間を短縮させるために、赤外線パネルヒータ
により赤外線を照射するとともに、熱風をパネル内面に
噴射してもよい。このとき(乾燥時)のパネル回転速度
は、10〜50rpmが好ましい。
【0032】なお、蛍光体スラリー4の注入量について
は、多すぎるとガラスパネル1の周辺部での液はねによ
って泡かみ等が発生しやすく、逆に少ないとパネル有効
面6に充分に塗布することができない。したがって、本
実施形態で説明した41cmパネルの場合における蛍光
体スラリー4の注入量は、7〜40cc程度が好まく、
特に28〜35ccであることが好ましい。
【0033】また、本実施形態によれば、ガラスパネル
1の一つのコーナーより排出された余剰蛍光体スラリー
8、および高速振り切りにより回収槽内に捕獲回収され
た余剰蛍光体スラリー8の回収効率は89%であった。
【0034】この後、緑色蛍光体を塗布乾燥させたガラ
スパネル1にシャドウマスク(図示省略)を装着し、紫
外線露光後、温水等で現像すると緑色蛍光体塗布膜が形
成される。得られた緑色蛍光体塗布膜のドットサイズ
は、中央部で155μm、周辺部で147μmであり、
ガラスパネル1内面(ブラックマトリクス上)への緑色
蛍光体の付着は見られなかった。
【0035】次に、以上の緑色蛍光体塗布膜を形成した
のと同様の工程を行うこと(粒径8μmの青色蛍光体を
懸濁させた蛍光体スラリーをガラスパネル1の内面に塗
布し、乾燥させた後、露光し、現像を行う)により、青
色蛍光体塗布膜が形成される。
【0036】さらに、以上の緑色および青色蛍光体塗布
膜を形成したのと同様の工程を行うこと(粒径8μmの
赤色蛍光体を懸濁させた蛍光体スラリーを用いる)によ
り、赤色蛍光体塗布膜が形成される。
【0037】以上の工程を経ることにより、本実施形態
によれば、ガラスパネル1の内面に均一な蛍光体塗布膜
を形成することができる。本実施形態によって得られた
蛍光体塗布膜においては、青色蛍光体塗布膜のドットサ
イズが、中央部で152μm、周辺部で149μmであ
り、赤色蛍光体塗布膜のドットサイズが、中央部で15
0μm、周辺部で148μmであった。なお、緑色蛍光
体塗布膜の背面に付着する青色および赤色蛍光体は20
0μm長さ当りに2乃至3個見られる程度であり、青色
蛍光体塗布膜の背面に付着する赤色蛍光体は、ほとんど
観察されなかった。
【0038】次に、アルミバック膜であるアンダーコー
ト膜の形成工程を説明する。本実施形態に係るアンダー
コート膜についても、基本的には、上記蛍光体塗布膜を
形成した場合と同様のスケジュールによって形成する。
具体的には、アクリルエマルジョン液(ローム・アンド
・ハース社製B−74)を用いて、上記工程を経て形成
された蛍光体塗布膜を有するガラスパネルに、アンダー
コート膜を形成する。つまり、蛍光体スラリーを用いて
蛍光体塗布膜を形成したのと同様の工程によって、アク
リルエマルジョン液を用いてアンダーコート膜を形成す
る。
【0039】なお、このアンダーコート膜を形成する際
には、各工程におけるパネル傾斜角については、蛍光体
塗布膜を形成したときと同一とし、パネル回転速度につ
いては、振り切りを行うとき以外は10rpmとする。
【0040】以上の工程を経て、蛍光体塗布膜を有する
ガラスパネルにはアンダーコート膜が形成される。本実
施形態によれば、蛍光面を構成する蛍光体塗布膜とアン
ダーコート膜とを同様の工程で形成するため、蛍光体塗
布膜とアンダーコート膜との膜厚の分布がガラスパネル
内面においてほぼ同等となるため、アンダーコート膜の
塗布むらを抑えることが可能であるとともに、従来膜厚
分布が異なっていたことによって発生していた蛍光体塗
布膜の突き抜けによるアンダーコート膜の破損を効果的
に防止することができる。また、蛍光体塗布膜とアンダ
ーコート膜との膜厚の不一致が発生しないため、発光む
らを抑制することができる。
【0041】そして、この後アルミ蒸着を行うことによ
ってアンダーコート膜上にアルミ膜を形成し、さらに、
シャドウマスクとファンネル、および磁気シールド等を
組み込み、電子銃を封入し、排気して、陰極線管(完成
球)が作製される。本実施形態によって得られた陰極線
管についての輝度等の種々の測定結果は後述する。
【0042】(第二の実施形態)次に、本発明の第二の
実施形態について説明する。本実施形態においても、ガ
ラスパネル内面に塗布する蛍光体スラリーとしては、第
一の実施形態と同様にして調整を行ったものを用いた。
【0043】図3は、本発明の第二の実施形態に係る蛍
光面形成工程における蛍光体スラリー塗布状態を示す概
略断面図である。図3に示すように、本実施形態におい
ては、ブラックマトリクス形成済みのガラスパネル1の
パネル傾斜軸3と鉛直軸2とを一致させて(パネル傾斜
角θを0度として)、ガラスパネル1のパネル有効面6
の一方の周辺部から対向する他方の周辺部に向けて(掃
引方向12に向けて)、所定のノズル掃引速度で塗布ノ
ズル15を移動させ、塗布ノズル15から吐出される蛍
光体スラリー4をガラスパネル1に注入する。
【0044】図4は、本実施形態に係る塗布ノズルの概
略図を示したものであり、図4(a)は塗布ノズルの正
面図、図4(b)は塗布ノズルの側面図、図4(c)は
塗布ノズルの底面図を示している。図4に示すように、
本実施形態に係る塗布ノズル15においては、ノズルの
先端部15aに、穴加工された複数の吐出部15bが一
列の直線状に設けられている。そして、本実施形態にお
いては、吐出部15bは六角形状に穴加工されている。
この吐出部15bの形状は、それぞれの吐出部15bか
ら吐出される蛍光体スラリー4が直線状を確保できる形
状であればよく、特に上記六角形状に限定さるものでは
ない。したがって、蛍光体スラリー4が直線状を確保で
きるのであれば、例えば、三角形状、矩形状、円形状お
よびその他の形状であってもよい。
【0045】本実施形態においては、以上のような塗布
ノズル15等を用いてガラスパネル1内面に蛍光面を形
成する。以下、蛍光面形成工程における蛍光体塗布膜の
形成工程を具体的に説明する。
【0046】まず、図3に示すように、鉛直軸2とパネ
ル傾斜軸3とを一致させて静止しているガラスパネル1
の内部に、塗布ノズル5から蛍光体スラリー4を注入す
る。このとき、塗布ノズル15からの蛍光体スラリー4
の吐出量は25cc、ノズル掃引速度は15cm/se
cとした。
【0047】次に、蛍光体スラリー4をパネル有効面6
にできるだけ広げるために、パネル回転速度を30rp
mとする。続いて、パネル傾斜角θを20度に保持して
蛍光体粒子を充分に沈降させる。こうすることによっ
て、蛍光体スラリー4は横飛びすることなく、ガラスパ
ネル1の全面に均一に塗り上げられる。
【0048】次に、パネル回転速度を150rpmに上
昇させて、パネル傾斜角θを110度とする。こうする
ことにより、ガラスパネル1の周辺部に余剰に残存して
いる蛍光体スラリーが振り切られ、蛍光体スラリーがガ
ラスパネル1の外へ排出される。
【0049】次に、パネル傾斜角θを110度に保持
し、パネル回転速度を30rpmまで下げて、外部から
の赤外線パネルヒータによって、ガラスパネル1のパネ
ル内面に塗布された蛍光体スラリー4を乾燥させる。こ
のとき、乾燥時間を短縮させるために、第一の実施形態
の場合と同様に、赤外線パネルヒータにより赤外線を照
射するとともに、熱風をパネル内面に噴射してもよい。
このとき(乾燥時)のパネル回転速度は、10〜50r
pmが好ましい。
【0050】なお、蛍光体スラリー4の注入量について
は、多すぎるとガラスパネル1の周辺部での液はねによ
って泡かみ等が発生しやすく、逆に少ないとパネル有効
面6に充分に塗布することができない。したがって、本
実施形態で説明した41cmパネルの場合における蛍光
体スラリー4の注入量は、7〜40cc程度が好まし
く、特に28〜35ccであることが好ましい。ただ
し、この蛍光体スラリー4の好ましい注入量は、本実施
形態における各種条件下においてのことであり、ノズル
掃引速度、パネル傾斜角θおよびパネル回転速度等の条
件が異なれば、上記範囲に限定されるものではない。
【0051】この後、緑色蛍光体を塗布乾燥させたガラ
スパネル1にシャドウマスクを装着し、紫外線露光後、
温水等で現像すると緑色蛍光体塗布膜が形成される。得
られた緑色蛍光体塗布膜のドットサイズは、中央部で1
55μm、周辺部で151μmであり、ガラスパネル1
内面(ブラックマトリクス上)への緑色蛍光体の付着は
見られなかった。
【0052】次に、以上の緑色蛍光体塗布膜を形成した
のと同様の工程を行うこと(粒径8μmの青色蛍光体を
懸濁させた蛍光体スラリーをガラスパネル1の内面に塗
布し、乾燥させた後、露光し、現像を行う)により、青
色蛍光体塗布膜が形成される。
【0053】さらに、以上の緑色および青色蛍光体塗布
膜を形成したのと同様の工程を行うこと(粒径8μmの
赤色蛍光体を懸濁させた蛍光体スラリーを用いる)によ
り、赤色蛍光体塗布膜が形成される。
【0054】以上の工程を経ることにより、本実施形態
によれば、ガラスパネル1の内面に均一な蛍光体塗布膜
を形成することができる。本実施形態によって得られた
蛍光膜塗布膜においては、青色蛍光体塗布膜のドットサ
イズが、中央部で152μm、周辺部で153μmであ
り、赤色蛍光体塗布膜のドットサイズが、中央部で15
0μm、周辺部で152μmであった。なお、緑色蛍光
体塗布膜の背面に付着する青色および赤色蛍光体は20
0μm長さ当りに2乃至3個見られる程度であり、青色
蛍光体塗布膜の背面に付着する赤色蛍光体は、ほとんど
観察されなかった。
【0055】次に、アルミバック膜であるアンダーコー
ト膜の形成工程を説明する。本実施形態に係るアンダー
コート膜についても、基本的には、上記蛍光体塗布膜を
形成した場合と同様のスケジュールによって形成する。
具体的には、アクリルエマルジョン液(ローム・アンド
・ハース社製B−74)を用いて、上記工程を経て形成
された蛍光体塗布膜を有するガラスパネルに、アンダー
コート膜を形成する。つまり、蛍光体スラリーを用いて
蛍光体塗布膜を形成したのと同様の工程によって、アク
リルエマルジョン液を用いてアンダーコート膜を形成す
る。
【0056】なお、このアンダーコート膜を形成する際
には、各工程におけるパネル傾斜角については、蛍光体
塗布膜を形成したときと同一とし、パネル回転速度につ
いては、振り切りを行うとき以外は10rpmとする。
【0057】以上の工程を経て、蛍光体塗布膜を有する
ガラスパネルにはアンダーコート膜が形成される。本実
施形態においても、第一の実施形態と同様に、蛍光面を
構成する蛍光体塗布膜とアンダーコート膜とを同様の工
程で形成するため、蛍光体塗布膜とアンダーコート膜と
の膜厚の分布がガラスパネル内面においてほぼ同様とな
る。したがって、アンダーコート膜の塗布むら、アンダ
ーコート膜の破損および蛍光面の発光むら等を効果的に
防止することができる。
【0058】そして、この後、アルミ蒸着を行うことに
よってアンダーコート膜上にアルミ膜を形成し、さら
に、シャドウマスクとファンネル、および磁気シールド
等を組み込み、電子銃を封入し、排気して、陰極線管が
作製される。本実施形態によって得られた陰極線管につ
いての輝度等の種々の測定結果は後述する。
【0059】(第一の比較例)第一の比較例として、以
下に示す工程に基づいて、ガラスパネルの内面に蛍光体
塗布膜とアンダーコート膜とを形成した。
【0060】まず、基本的には第一の実施形態と同様の
工程によって、ガラスパネルの内面に蛍光体塗布膜を形
成した。なお、この蛍光体塗布膜の形成工程において
は、蛍光体スラリーを塗布したガラスパネルのパネル傾
斜角を30度として、パネル回転速度を上げながら最高
回転速度190rpmに上がりきるのと連動させてパネ
ル傾斜角を110度まで傾斜させて、余剰となった蛍光
体スラリーを排出させた。本比較例に係る蛍光体塗布膜
の形成工程においては、この工程(蛍光体スラリーの振
り切り工程)のみが第一の実施形態の工程と異なる。こ
の蛍光体塗布膜の形成工程においては、排出により回収
された蛍光体スラリーの回収効率は64%であった。
【0061】以上の工程において得られた緑色蛍光体塗
布膜のドットサイズは、中央部で159μm、周辺部で
156μmであり、ガラスパネル内面(ブラックマトリ
クス上)への緑色蛍光体の付着は、ガラスパネル全面で
200μm長の範囲で約5個程度見られた。また、青色
蛍光体塗布膜のドットサイズは、中央部で160μm、
周辺部で158μmであり、赤色蛍光体塗布膜ののドッ
トサイズは、中央部で156μm、周辺部で151μm
であった。緑色蛍光体塗布膜の背面に付着する青色およ
び赤色蛍光体は、200μm長当たりに数個見られる程
度であったが、青色蛍光体塗布面の背面に付着する赤色
蛍光体は、第一の実施形態と同等のレベルであった。
【0062】次に、基本的には第二の実施形態と同様の
工程によって、蛍光体塗布膜を有するガラスパネルにア
ンダーコート膜を形成した。つまり、アクリルエマルジ
ョン液(ローム・アンド・ハース社製B−74)を用い
て、蛍光体塗布膜を有するガラスパネルに、アンダーコ
ート膜を形成した。
【0063】なお、このアンダーコート膜の形成工程に
おいては、アクリルエマルジョン液を振り切る際の「振
り切り工程」のときのパネル傾斜角を、上記「蛍光体ス
ラリーの振り切り工程」のときのパネル傾斜角と同一と
した。本比較例に係るアンダーコート膜の形成工程にお
いては、この工程(振り切り工程)のみが第二の実施形
態の工程と異なる。
【0064】そして、この後、アルミ蒸着を行うことに
よってアンダーコート膜上にアルミ膜が形成され、さら
に、シャドウマスクとファンネル、および磁気シールド
等が組み込まれ、電子銃が封入され、排気され、陰極線
管が作製される。本比較例によって得られた陰極線管に
ついての輝度等の種々の測定結果は後述する。
【0065】(第二の比較例)第二の比較例として、以
下に示す工程に基づいて、ガラスパネルの内面に蛍光体
塗布膜とアンダーコート膜とを形成した。
【0066】まず、第二の実施形態と同様の工程によっ
て、ガラスパネルの内面に蛍光体塗布膜を形成した。次
に、図5に示された工程によって、蛍光体塗布膜を有す
るガラスパネル1にアンダーコート膜を形成した。
【0067】図5は、ガラスパネル1の内面6を下向き
にして、ガラスパネル1をパネル回転速度20rpmで
回転させながら、ガラスパネル1の中央部の下方から吹
き付けノズル25を用いて、ガラスパネル1の内面6に
アクリルエマルジョン液(ローム・アンド・ハース社製
B−74)24を吹き付ける工程を示している。この工
程においては、引続きパネル回転速度を200rpmま
で上げてガラスパネル1の周辺部まで十分に塗布すると
共に余分な液を排出させ、さらに、パネル傾斜角を11
0度にして、塗布されたアンダーコート膜を乾燥させ
る。
【0068】そして、この後、以上のようにして蛍光体
塗布膜とアンダーコート膜とを形成したガラスパネル1
に対して、アルミ膜処理を施した。すると、ガラスパネ
ル1の周辺部で蛍光体粒子の突き抜けがひどく、さらに
フリット排気後において塗布むらの空気溜まりに起因し
てアルミ膜の火ブクレ現象が発生した。
【0069】(第三の比較例)第三の比較例として、以
下に示す工程に基づいて、ガラスパネルの内面に蛍光体
塗布膜とアンダーコート膜とを形成した。
【0070】まず、基本的には第一の実施形態と同様の
工程によって、ガラスパネルの内面に蛍光体塗布膜を形
成した。なお、この蛍光体塗布膜の形成工程において
は、パネル傾斜角を110度まで傾斜させて余剰となっ
た蛍光体スラリーを排出させた後、パネル回転速度6r
pmで20秒間(2回転分)回転させた。本比較例に係
る蛍光体塗布膜の形成工程においては、この工程のみが
第一の実施形態の工程と異なる。
【0071】以上の工程において得られた緑色蛍光体塗
布膜のドットサイズは、中央部で159μm、周辺部で
156μmであり、ガラスパネル内面(ブラックマトリ
クス上)への緑色蛍光体の付着は、ガラスパネル全面で
200μm長の範囲で約5個程度見られた。また、青色
蛍光体塗布膜のドットサイズは、中央部で160μm、
周辺部で158μmであり、赤色蛍光体塗布膜のドット
サイズは、中央部で156μm、周辺部で151μmで
あった。緑色蛍光体塗布膜の背面に付着する青色および
赤色蛍光体は、200μm長当たりに数個見られる程度
であったが、青色蛍光体塗布膜の背面に付着する赤色蛍
光体は、第一の実施形態と同等のレベルであった。
【0072】次に、基本的には第一の実施形態と同様の
工程によって、アンダーコート膜を形成した。つまり、
アクリルエマルジョン液(ローム・アンド・ハース社製
B−74)を用いて、蛍光体塗布膜を有するガラスパネ
ルに、アンダーコート膜を形成した。
【0073】なお、このアンダーコート膜の形成工程に
おいては、アクリルエマルジョン液を排出する工程以降
の工程のパネル傾斜角を、上記蛍光体塗布膜を形成する
際の蛍光体スラリーを排出する工程以降の工程のパネル
傾斜角と同一とした。本比較例に係るアンダーコート膜
の形成工程においては、この工程のみが第一の実施系形
態の工程と異なる。
【0074】そして、この後、アルミ蒸着を行うことに
よってアンダーコート膜上にアルミ膜が形成され、さら
に、シャドウマスクとファンネル、および磁気シールド
等が組み込まれ、電子銃が封入され、排気され、陰極線
管が作製される。本比較例によって得られた陰極線管に
ついての輝度等の種々の測定結果は後述する。
【0075】(各比較例と本発明に係る各実施形態との
比較)以上のようにして得られた各比較例に係る蛍光面
形成済みガラスパネル、および本発明の各実施形態に係
る蛍光面形成済みガラスパネルについては、塗布パター
ン(塗布むら)を観察した後、粒子の充填性(フィリン
グ)と塗布膜重量分布(中央部と周辺部の比率)との評
価を行った。そして、陰極線管にまで仕上げたサンプル
については、実験的に発光させ、輝度および輝度バリエ
ーションを測定した。
【0076】以上の測定結果を[表1]および[表2]
に示す。[表1]は、塗布パターン、粒子の充填性およ
び塗布膜重量分布の評価を示し、[表2]は、陰極線管
の輝度評価を示している。
【0077】
【表1】
【0078】上記[表1]において、「塗布パターン」
は、塗布および乾燥を行った後の蛍光面形成済みガラス
パネルの“膜表面のむら”の状態を3段階(○,△,
×)で評価したものを示している。ここでは、「○」が
良品、「△」が良好、「×」が不良を示している。「粒
子充填性」は、ある粒子径(この場合は4μm)の蛍光
体が充分に充填された状態を5点満点として相対的に評
価したものを示している。各欄の3つの値は、左からG
reen,Blue,Redの各色蛍光体のパネル中央
部での平均的な粒子充填度合いを示している。この数値
が高い程、良好な状態であるといえる。「塗布膜重量分
布」は、各色蛍光体膜の中央部(100%)に対する周
辺部の塗布膜重量の比率を示している。塗布膜重量分布
は、基本的には蛍光面全域で100%であることが望ま
しいが、中央部(100%)に対して周辺部が90〜1
10%程度であれば良好な状態であるといえる。
【0079】
【表2】
【0080】上記[表2]において、「相対輝度」は、
第一の比較例を100%とした場合の各色の輝度を相対
値で示している。Rは赤色単色輝度、Bは青色単色輝
度、Gは緑色単色輝度およびWは白色輝度を示してい
る。「周辺部輝度比率」は、パネル中央部の輝度を10
0%とした時のパネル周辺部の輝度比率を示している。
本発明においては、周辺部を若干明るくすることを狙っ
ているので、周辺部輝度比率が105〜110%となる
のが好ましい。以上のように、各実施形態と各比較例と
を比べてみると、[表1]および[表2]の評価結果お
よび測定結果から明らかなように、本発明に係る方法に
よれば、塗布パターンが良好で、膜厚みが均一な蛍光面
を形成することが可能であるとともに([表1]参
照)、高輝度で輝度のばらつきが小さく、良好な白色品
質を有する陰極線管を得ることができる([表2]参
照)。
【0081】なお、以上の各実施形態においては、41
cmパネルを用いた場合について説明したが、本発明は
これに限定されるものではなく、例えば他のサイズのパ
ネルを用いる場合であっても、塗布ノズルからの蛍光体
スラリーの吐出量やノズル掃引速度等の調整を行って本
発明に係る方法を適用することにより、本実施形態と同
様の効果を得ることができる。
【0082】また、各実施形態においては、蛍光体粒子
の粒子径が8μmのものを用いたが、本発明は特にこれ
(粒子径が8μmのもの)に限定されるものではなく、
例えば、発光能率を考慮すれば粒子径は大きいほど好ま
しい。なお、蛍光体粒子として、蛍光体粒子表面にその
蛍光体の発光色の微粒子顔料を被着させた、いわゆる顔
料付蛍光体を用いることも可能である。
【0083】また、各実施形態においては、アルミ膜の
アンダーコート用に使用するラッカー液としてはアクリ
ルエマルジョン液を用いた場合について説明したが、本
発明はこれに限定されるものではなく、例えば、アクリ
ル樹脂をトルエンなどの有機溶剤に溶解させた液を用い
てもよい。
【0084】さらに、各実施形態においては、蛍光体ス
ラリーを用いた膜やアルミ膜のアンダーコート膜を形成
する場合について説明したが、本発明はこれに限定され
るものではなく、これら以外の蛍光面形成に使用する塗
布液を用いた任意の組合せの場合であっても同様の効果
を得ることができる。例えば、ブラックマトリクス用の
クリアな感光膜やグラファイトスラリー液を用いる場合
であっても、本発明に係る方法を適用(応用)すること
が可能であり、それによって本実施形態と同様の効果を
得ることができる。
【0085】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、蛍光面
形成とアルミ膜のアンダーコート膜の形成方法を実質的
に同一にすることにより、塗布パターンの均質な蛍光面
を高いレベルで実現するとともに、高輝度の陰極線管を
供給することができる。したがって、本発明は、今後の
ディスプレイの高精細度化や大画面化等に対しても十分
に対応可能であり、非常に有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る蛍光面形成工程
における蛍光体スラリー塗布工程を示す概略断面図
【図2】本発明の第一の実施形態に係る蛍光面形成工程
における蛍光体スラリー排出工程を示す概略断面図
【図3】本発明の第二の実施形態に係る蛍光面形成工程
における蛍光体スラリー塗布工程を示す概略断面図
【図4】本発明の第二の実施形態に係る塗布ノズルを示
す外観概略図
【図5】従来技術に係る蛍光面形成工程における蛍光体
スラリー塗布工程を示す概略断面図
【符号の説明】
1 ガラスパネル 2 鉛直軸 3 パネル傾斜軸 4 蛍光体スラリー 5,15 塗布ノズル 6 パネル有効面 7 パネル回転方向 8 余剰蛍光体スラリー 9 パネル内面ウォール部 12 線状塗布ノズルの掃引方向
フロントページの続き (72)発明者 時 敏夫 大阪府高槻市幸町1番1号 松下電子工業 株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の塗布液を用いてガラスパネルの内
    面に蛍光面を形成する工程と、前記蛍光面が形成された
    ガラスパネルを用いて陰極線管を形成する工程とを有す
    る陰極線管の製造方法において、前記複数の塗布液を、
    実質同一の方法を用いて、順次、前記ガラスパネルの内
    面に塗布して乾燥させることにより、前記ガラスパネル
    の内面に多層膜から成る前記蛍光面を形成することを特
    徴とする陰極線管の製造方法。
  2. 【請求項2】 ガラスパネルの内面に第一の塗布液を塗
    布して蛍光体塗布膜を形成した後に、前記蛍光体塗布膜
    の上に第二の塗布液を塗布してアルミバック膜としての
    アンダーコート膜を形成して、前記ガラスパネルの内面
    に蛍光面を形成する工程と、前記蛍光面が形成されたガ
    ラスパネルを用いて陰極線管を形成する工程とを有する
    陰極線管の製造方法において、前記第一および第二の塗
    布液を、実質同一の方法を用いて、順次、前記ガラスパ
    ネルの内面に塗布して乾燥させることにより、前記ガラ
    スパネルの内面に多層膜から成る前記蛍光面を形成する
    ことを特徴とする陰極線管の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第一の塗布液が、蛍光体粒子を懸濁
    させた液である請求項2に記載の陰極線管の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第二の塗布液が、アクリル系のエマ
    ルジョン液またはアクリル樹脂を有機溶剤に溶解させた
    液である請求項2に記載の陰極線管の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記塗布液を塗布して乾燥させる方法
    が、ガラスパネルの内面に塗布液を注入する工程と、前
    記塗布液を引き延ばす工程と、前記塗布液をなじませる
    工程と、前記塗布液の余剰液を排出する工程と、前記塗
    布液を用いて形成された塗布膜を平滑化する工程と、前
    記塗布膜を乾燥させる工程とを有する請求項1から4の
    いずれか1項に記載の陰極線管の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記塗布液を塗布して乾燥させる方法
    が、ガラスパネルの内面に塗布液を注入する工程と、前
    記塗布液を引き延ばす工程と、前記塗布液をなじませる
    工程と、前記塗布液の余剰液を前記ガラスパネルの所定
    の部位から排出した後に、さらに残存する余剰液を高速
    振り切りを行って排出する工程と、前記塗布液を用いて
    形成された塗布膜を平滑化する工程と、前記塗布膜を乾
    燥させる工程とを有する請求項1から4のいずれか1項
    に記載の陰極線管の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記塗布膜を平滑化する工程の直前およ
    び直後の少なくともいずれかのときに、低速度で0.5
    回転以上1.5回転以下の範囲で、前記ガラスパネルを
    回転させる請求項6に記載の陰極線管の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記低速度が、5rpm以上10rpm
    以下である請求項7に記載の陰極線管の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4836292A (en) * 1987-03-31 1989-06-06 Behringer Cecil R Method for cooling a nuclear reactor and a product therefor

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