JPH1175788A - 発酵野菜ジュースの製造方法 - Google Patents

発酵野菜ジュースの製造方法

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JPH1175788A
JPH1175788A JP24989297A JP24989297A JPH1175788A JP H1175788 A JPH1175788 A JP H1175788A JP 24989297 A JP24989297 A JP 24989297A JP 24989297 A JP24989297 A JP 24989297A JP H1175788 A JPH1175788 A JP H1175788A
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fermentation
salt
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vegetable
fermented
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Toshimitsu Hattori
利光 服部
Yasuhiko Maeda
安彦 前田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】新規な発酵野菜ジュースおよびその製造方法を
提供すること。 【解決手段】以下の工程: (1)野菜と食塩とを混合する工程; (2)野菜を加圧することなく嫌気条件を維持しつつ、
該野菜を発酵させる工程;および (3)(2)の発酵工程で得られた発酵液を回収する工
程;を含む方法で、発酵野菜ジュースを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発酵野菜ジュースに
関する。さらに詳しくは、通常加圧下で野菜を発酵させ
ることなく、攪拌下、乳酸発酵させて得られる、発酵野
菜ジュースに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、外食の普及あるいはインスタント
食品の普及等により、手軽に食事ができる反面、人間の
健康維持に必要な新鮮なビタミン類、食物繊維、ミネラ
ル等の栄養素が不足がちである。これらの栄養素が不足
すると、糖尿病、高血圧等の生活習慣病にかかりやすく
なる。
【0003】ところで、これらの栄養素は野菜に多く含
まれているために野菜の積極的な摂取が提唱されてい
る。しかし、野菜類は未だ十分に摂取されているとは言
えず、さらに、野菜類は独特の青臭さあるいはくせ味を
有することから敬遠されがちである。このような状況
下、野菜を加工して、野菜類を簡便に摂取する試みがな
されており、野菜ジュースもその研究の対象とされてい
る。
【0004】ところで、現在市販されている野菜ジュー
スの大部分は、野菜を圧搾して得られたものであり、野
菜独特の青臭さやくせ味は解消されておらず飲みにくい
上、野菜の栄養素が十分に取り出されているとはいえな
い。このような欠点を解消するために、野菜ジュースを
発酵させ、野菜独特の青臭さ、くせ味を解消し、飲みや
すくする試み、即ち発酵野菜ジュースの研究がなされて
いる。
【0005】発酵野菜ジュースは、野菜または野菜ジュ
ースを主に乳酸菌を利用して乳酸発酵させ、保存性、風
味を改善することにより製造される。この方法には、大
きく分けて2つの方法がある。一つは、乳酸菌を添加し
て発酵する方法、他の一つは、乳酸菌を添加しないで野
菜を発酵させる方法である。
【0006】このうち、近年の発酵技術の進歩により、
前者の方法、即ち、乳酸菌を添加して発酵する方法が主
に用いられている。例えば、特開平7−170933号
公報には、野菜を切断、破砕、磨砕して、あるいは圧搾
してジュースとした後、熱水処理、殺菌処理を施し、乳
酸菌を添加して乳酸発酵させることを開示している。さ
らに、特開平9−9928号公報には、同様に、野菜を
ミキサーにかけて破砕し、これに乳酸菌を添加して発酵
させ、ついで、酵母を添加して、さらに発酵させること
を開示している。この方法は食塩を添加しないので、雑
菌が生育するため予めその他の微生物を殺菌する必要が
ある。その後乳酸菌を添加し、この乳酸菌を選択的に生
育させる。そして、この殺菌のための加熱操作により、
野菜に含まれる栄養素が熱により破壊されてしまうとい
う欠点がこの方法に内在する。さらに、この方法は食塩
を添加しないために、得られた発酵液の味および香りが
悪く、食塩を添加して行う発酵とは異なる発酵が行われ
ていると考えられる。又、この特開平9−9928号公
報では発酵液に糖類を加えて加熱減菌している。これは
野菜の有する臭いあるいは青臭さを消すことにあるが、
更に、栄養分が分解される。
【0007】他方で、後者の方法、つまり、野菜に乳酸
菌を添加せず、野菜に付着している乳酸菌をそのまま利
用して、野菜を発酵させて得られる野菜発酵液には、野
菜に含まれる栄養素が損なわれることなく含まれる。従
って、このような方法が望まれている。しかし、野菜に
乳酸菌を添加せずに発酵させる、発酵野菜ジュースの製
造方法については、その発酵の困難さからほとんど研究
されていないのが現状である。
【0008】ところで、New Food Industry 7:28-30 (1
966)には、キャベツを加圧下、乳酸発酵させて、漬物
(いわゆるザウエルクラウト)を得ることが記載されて
おり、その発酵液(発酵野菜ジュース)が飲料として利
用されていることが記載されている。しかし、この文献
で発酵野菜ジュースは、ザウエルクラウトの副産物とし
て記載されており、発酵野菜ジュースを目的とする製造
方法は記載されていない。例えば、この文献に記載され
た発酵野菜ジュースは、2.25%以上の食塩濃度でキ
ャベツを発酵させて得られたものであるので、発酵液中
の食塩濃度が2%以上もあり、現代において望まれてい
る低塩飲料として適さない。さらに、この文献には、食
塩濃度が低い(1.7%)と漬物としての官能的特性が
劣ると記載されているものの、どのような発酵液が得ら
れたかについては何の記載もなく、その後も、食塩濃度
を低下して漬物とする試み及びその発酵液を飲料として
利用するという試みについては30年間もほとんど報告
がなされていないのが実状である。
【0009】この原因の一つとして以下のことが考えら
れる。まず、野菜を天然に(乳酸菌を加えることなく)
発酵させる場合に、発酵液中に野菜の水分を浸出させ、
乳酸菌のみが生育できる環境を整えることが必要であ
り、そのために浸透圧作用と静菌作用とを有する食塩を
多量に加える必要がある。他方で、現代人が要求するの
は低塩の発酵野菜ジュースであり、このためには、低塩
での発酵技術が必要である。従って、低食塩濃度下で野
菜を発酵させる技術が確立できなかったことによると考
えられる。そこで、低塩条件下、野菜中の栄養分をその
まま破壊することなく含む天然の発酵野菜ジュースを製
造する方法が望まれていた。そして、加圧することなく
野菜を発酵させることができれば、発酵条件のコントロ
ールが容易になり、発酵ジュースの大量生産が可能とな
るため、このような無加圧下での野菜発酵が望まれてい
た。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点を解決するためになされたものであり、野菜を、
低食塩濃度で、好ましくは乳酸菌を添加することなく発
酵させて野菜中の栄養分をそのまま破壊することなく含
む天然の発酵野菜ジュースを製造する方法を提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、以
下の工程: (1)野菜と食塩とを混合する工程; (2)野菜を加圧することなく嫌気条件を維持しつつ、
該野菜を発酵させる工程;および (3)(2)の発酵工程で得られた発酵液を回収する工
程;を含む、発酵野菜ジュースの製造方法に関する。好
適な実施態様においては、前記食塩が、野菜の重量の
1.5%以下の量添加される。さらに、好適な実施態様
においては、食塩が岩塩である。
【0012】好適な実施態様においては、前記嫌気条件
が密封、窒素ガスあるいは二酸化炭素ガスの存在または
減圧である。
【0013】好適な実施態様においては、前記発酵が、
pH低下剤を加えて開始される。また、好適な実施態様
においては、前記発酵が、グルタミン酸またはその塩を
添加して行われる。そして、発酵が10℃から40℃の
間で行われる。
【0014】好適な実施態様においては、前記発酵が野
菜の細胞壁を分解する酵素の存在下行われる。
【0015】最も好適な実施態様においては、前記野菜
がキャベツであり、得られる発酵ジュースが、キャベツ
の発酵ジュースである。
【0016】好適な実施態様においては、前記発酵が糖
の存在下行われ、好ましくは、前記糖が乳酸菌代謝性の
糖および/または非代謝性の糖である。そして、好適に
は、前記発酵が乳酸菌を添加して行われる。
【0017】また、好適な実施態様においては、本発明
の製造方法は、この回収した発酵液にさらに味付けをす
る工程を含む。
【0018】また本発明は、上記の製造方法で製造され
た発酵野菜ジュースに関する。さらに本発明は、発酵野
菜ジュースをさらに酢酸発酵、クエン酸発酵および/ま
たはアルコール発酵させた飲料に関する。また、本発明
は、発酵野菜ジュースおよび/またはこれを更に酢酸発
酵、クエン酸発酵および/またはアルコール発酵させた
ジュースと乳酸発酵していない野菜ジュースとを混合し
た飲料に関する。また本発明は、発酵野菜ジュース、こ
の発酵野菜ジュースをさらに酢酸発酵、クエン酸発酵お
よび/またはアルコール発酵させた飲料および/または
これらのジュースまたは飲料と乳酸発酵していない野菜
ジュースを混合した飲料を含む食品に関し、好適な実施
態様においては、前記食品がゼリー、シャーベット、フ
ローズンヨーグルトまたはアイスクリームである。
【0019】また、本発明は、以下の工程: (1)野菜と食塩とを混合する工程; (2)野菜を加圧することなく嫌気条件を維持しつつ、
該野菜を発酵させる工程を含む方法で得られた漬物に関
する。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明は、野菜に食塩を加え、加
圧することなく嫌気条件を維持しつつ該野菜を発酵さ
せ、得られた発酵液を回収し、必要に応じて発酵液を味
付けすることを特徴とする、発酵野菜ジュースの製造方
法に関する。
【0021】本発明に用いられる野菜としては、食用に
用いられる野菜であれば、種類を問わない。野菜は、単
独でもまた2種以上組み合わせて用いられ得る。野菜と
しては、細断、破砕してもジュース状にならない野菜が
好適である。例えば、キャベツ、白菜、キュウリ、レタ
ス、ニンジン、ホウレン草、パセリ、コマツナ、芽キャ
ベツ、カブ、大根、ピーマン、トマト、ケール、明日
葉、モロヘイヤ等が挙げられるが、これらに限定されな
い。キャベツは、抗潰瘍性のビタミンUを多く含むた
め、飲料とした場合に特に好適である。また、本発明者
らは、従来全く試みられなかった赤キャベツも、赤色を
保ったまま発酵できることを見いだしたので、赤キャベ
ツも好適に用いられ得る。従って、普通のキャベツ発酵
液と赤キャベツの発酵液とを混合することもできる。以
下、本発明をキャベツを例にあげて説明するが、本発明
がキャベツの発酵液に限定されないことはいうまでもな
い。
【0022】まず、野菜は、適当な大きさに切断する
か、破砕、粉末に近い状態にする。切断、破砕等には、
スライサーを用いる等の公知の方法が適用される。食塩
とよくなじませ、発酵時に水分が浸出しやすくするため
には、できるだけ小さく切断することが好ましい。特
に、食塩濃度が低い場合には、小さい方が好ましい。し
かしあまり小さくすると、発酵液の濾過あるいは遠心分
離に問題が生じるので、粉末化まではする必要はない。
キャベツを例にとると、ザウエルクラウトの製造におい
ては、通常、キャベツは2mm前後に切断されるが、本
発明においては、さらにこれを5〜10分割(つまり、
0.4mm〜0.2mm前後の大きさまで細断)するこ
とが好ましい。小さくすると攪拌等が可能になり、発酵
のコントロールが可能となる。
【0023】なお、キャベツを発酵させて漬物(ザウエ
ルクラウト)とする場合は、通常、いわゆるしおらし工
程という、キャベツを放置して水分を除く工程が必要と
なる。しかし、低塩発酵して発酵液を得る場合に、水の
細胞外への浸出を考慮すれば、このしおらし工程は必ず
しも必要ない。
【0024】本発明においては、食塩は浸透圧調整作用
と乳酸菌以外の細菌の静菌作用を目的として添加され
る。食塩は、通常の漬物を漬けるときの量が用いられ
る。しかし、発酵野菜ジュースでは、できるだけ塩分を
少なくすることが好ましく、野菜の重量の1.5%、好
ましくは1.0%を超えないように添加する。発酵時に
野菜の水分が浸出する濃度であれば、1.0%以下であ
ってもよい。食塩は、前記切断した野菜とよく混合す
る。好ましくは、ミキサー等を用いて、塩で野菜を揉む
ように混合する。食塩としては、精製食塩又は例えば、
岩塩などの各種ミネラルを含む未精製の食塩が用いられ
る。また、50%の塩化カリウムを含む低のう塩を用い
ることもできる。これらの岩塩等は、種々のミネラルを
含むので、発酵が促進されるとともに、飲料にもミネラ
ルが含まれるので栄養的価値を高める。食塩はまた、食
塩水として添加してもよいが、この場合、浸出水がある
ので、得られる発酵液中の成分濃度が若干低くなる。食
塩水を用いる場合は、後述する細胞壁処理と組み合わせ
ると効果的である。
【0025】食塩の濃度を低下させつつ、食塩の有する
機能(浸透圧調整作用と乳酸菌以外の細菌の静菌作用)
を有効に機能させるため、浸透圧調整作用と乳酸菌以外
の細菌の静菌作用とを有する物質が、食塩の代わりに、
あるいは食塩と共に添加され得る。このような物質とし
ては、乳酸菌が代謝できないが浸透圧を高める糖類、例
えば、ペントース(キシロース、アラビノース、リボー
ス等)、あるいは還元性高分子炭水化物、例えば、澱粉
等が用いられる。又、植物に付着している乳酸菌が好ま
ない乳糖、あるいはガラクトース等も用いられる。な
お、還元性高分子炭水化物は、クロストリディウム等の
嫌気性菌あるいは腐敗菌等が生育してくる可能性がある
ので、使用には注意が必要である。添加する量は、浸透
圧を考慮して決定すればよい。
【0026】食塩と混合された野菜は、発酵槽で発酵さ
せる。加圧の代わりに、空気との接触を断つことで嫌気
性条件を保ち、産膜酵母の発生を防止して、悪臭の発生
防止、腐敗菌の増殖を防止する。嫌気条件とするため
に、発酵槽を密封するか、窒素ガス、二酸化炭素ガス等
のガスで発酵槽を満たすか、あるいは、減圧とすること
ができる。ここでいう加圧とは、野菜に対する重石ある
いは機械的加圧をいい、発酵槽内への空気(酸素)の混
入を防ぐための窒素ガス、二酸化炭素ガス等を常圧以上
に加圧することは含まない。
【0027】発酵開始前に、pH低下剤を加え、低pH
で発酵を開始することもできる。これは、乳酸菌が優先
的に増殖できる環境を作り出すためである。pH低下剤
としては、塩酸、グルコン酸、あるいはソルビン酸等が
挙げられるが、グルコン酸が酸味が抑制されかつ、ビフ
ィズス菌の生育を促すので好ましい。これらのpH低下
剤は、野菜に対して約0.1重量%〜1.2重量%程度
加えることが好ましく、グルコン酸で1重量%、他の有
機酸で0.3重量%程度加えることが好ましい。あるい
はpH低下剤は最初の浸出液のpHが約4.0以下とな
るように加えることが好ましい。また、乳酸菌の優先的
な生育のために、グルタミン酸またはその塩を加えるこ
ともできる。添加するグルタミン酸の量は野菜に対して
0.1重量%〜0.5重量%程度、好ましくは0.2重
量%程度である。
【0028】また、発酵開始前に、野菜の細胞壁を分解
する酵素を添加することができる。これらの酵素として
は、ペクチン分解酵素(例えば、ポリガラクツロナー
ゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチンエステラーゼ、プロト
ペクチナーゼ等)、あるいはセルロース分解酵素(例え
ば、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ等)等が挙げられる。
これらの酵素は混合して用いることができ、プロトペク
チナーゼ、ヘミセルラーゼ、およびセルラーゼを含む製
剤が好適に用いられる。これらは、野菜の重量に対して
約0.2%〜0.001%程度添加されるが、酵素の精
製度により異る。このような酵素の添加により、野菜の
細胞内に含まれる栄養分が発酵液中に多く溶出されて、
栄養分の高い発酵野菜ジュースが得られるばかりでな
く、これらの酵素の野菜細胞壁(膜)への作用の結果、
セロビオース、セロオリゴ糖等を多く含む飲料が提供さ
れ、ジュースに機能性が付与されるという効果が得られ
る。特に、キャベツの場合、抗潰瘍性作用を有するビタ
ミンUが発酵液中に多く含まれ、また、従来のザウエル
クラウト発酵液中には少ない核酸成分あるいはグルタミ
ン酸等が含まれ、栄養分が豊かになる。ポリガラクツロ
ナーゼを用いる場合、野菜から水が浸出し、発酵が開始
するとpHが徐々に下がり出すが、この酵素の最適PH
はアルカリ側にあるので、pHが下がるまでに反応が終
了することが好ましい。従って、この酵素とキャベツと
をよく混合して、一定時間処理することが好ましく、塩
水に溶解して用いるのが好ましい。
【0029】さらに、発酵開始前に、糖を添加すること
ができる。糖の添加は、糖分含量が少ない野菜を発酵さ
せる場合に有用である。従って、糖分が3重量%以上含
まれる野菜(例えば、キャベツ)を発酵させる場合には
糖を添加しなくてもよい。しかし、糖の添加は発酵の促
進と飲料への甘味の付加という効果を生じ得るので、加
えてもよい。添加される糖としては、乳酸菌の生育と発
酵に用いられる糖であれば、どのような糖でもよく、例
えば、庶糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖等が挙げられる
が、これらに限定されない。これらの糖は、好ましく
は、糖分が野菜の糖分と合わせて約3重量%になるよう
に加えられるが、これ以上になっても構わない。
【0030】また、発酵開始前に乳酸菌を添加してもよ
い。この乳酸菌はスターターとして機能し得る。このよ
うな乳酸菌としては、例えば、ラクトバチルス・プラン
タラム(Lactobacillus plantarum)、またはラクトバ
チルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)等が、単独
でまたは混合されて用いられる。
【0031】上記処理および準備が終了したら、発酵工
程に入る。発酵は嫌気条件下、好ましくは攪拌して行
う。発酵は10℃よりも低い温度でも可能であるが、発
酵速度および乳酸菌の生育等を考慮すると、一般に10
℃〜40℃の間で行われる。従来の高食塩濃度での発酵
は、16℃〜21℃で行うとされていたが、本発明の低
塩条件下では、25℃〜30℃でも十分発酵が行われる
ことが見いだされた。発酵期間は、発酵温度で決定すれ
ばよく、発酵液中の乳酸の酸度を測定し、所望の値にな
ったときに発酵を止めればよい。酸度は0.5から2%
程度が好ましく、1.0%から1.5%がより好まし
い。2%を超えると酸味がきつくなる。
【0032】発酵の停止は、糖を加えて行うことも可能
である。このような糖としては、乳酸菌が代謝できない
オリゴ糖、例えば、マルトオリゴ糖、キトオリゴ糖、フ
ラクトオリゴ糖あるいは糖アルコール例えばソルビトー
ルが挙げられる。このようなオリゴ糖は、発酵液の飲料
としての機能の向上に寄与し得る。
【0033】発酵終了後、発酵液を回収する。発酵液の
回収には公知の方法、例えば、遠心分離、圧搾、濾過等
が適用され得る。発酵液中の食塩濃度が高い場合は、必
要に応じて、イオン交換膜等を用いて、食塩濃度を低下
させてもよい。
【0034】このようにして、分離、精製された発酵液
は、そのまま発酵野菜ジュースとして飲料に用いられ
る。また、種々の調味料、例えば、グラニュー糖、蜂
蜜、ソルビット等の甘味料、アルコール、クエン酸、リ
ンゴ酸、酒石酸、香料、色素等を加えて、好みの味の発
酵野菜ジュースとすることができる。
【0035】このようにして得られた発酵野菜ジュース
は、乳酸菌を生きたまま含むので健康飲料として使用さ
れる。また、加熱処理あるいは滅菌処理をして保存する
こともできる。減菌処理する場合は各種の栄養分を保持
するために、できるだけ低温で滅菌処理することが好ま
しい。なお、キャベツの場合、抗潰瘍性のビタミンUを
多く含むが、アルカリ側で加熱処理をしない限り、ビタ
ミンUは安定に保たれる。
【0036】また、得られた発酵ジュースと乳酸発酵し
ていない野菜ジュース、例えば人参ジュース、あるいは
人参、セロリー、パセリ等の混合野菜ジュースとを混合
すれば、更に栄養価の高いジュースとすることができ
る。混合割合は任意である。また、この混合ジュースは
120℃、4分の完全殺菌をしないでも、100℃以下
の殺菌条件で殺菌できる。例えば、85℃達温の殺菌条
件でも十分に殺菌できる。
【0037】また、このようにして得られた発酵野菜ジ
ュースをさらに、酢酸発酵、クエン酸発酵あるいはアル
コール発酵させて好みの風味をつけ、新たな飲料とする
こともできる。酢酸発酵、クエン酸発酵あるいはアルコ
ール発酵の方法は、よく知られている。
【0038】また、上記の製造方法で製造された発酵野
菜ジュース、この発酵野菜ジュースをさらに酢酸発酵、
クエン酸発酵および/またはアルコール発酵させた飲
料、あるいは、これらのジュースまたは飲料と乳酸発酵
していない野菜ジュースとを混合した飲料を単独でまた
は組み合わせて食品に含ませることもできる。例えば、
寒天等に混合してゼリーとすることもでき、シャーベッ
ト、フローズンヨーグルトあるいはアイスクリームとす
ることもできる。
【0039】さらに、1〜2mm程度に細断した野菜の場
合は、発酵終了後回収すると、低食塩の漬物として利用
できる。特に、キャベツの場合、従来のザウエルクラウ
トに比較して、低い塩濃度のものが提供される。
【0040】以下、キャベツを例に挙げて本発明を説明
するが、本発明がこの実施例に限定されないことはいう
までもない。
【0041】
【実施例】
(実施例1〜13)キャベツの芯を除き、外面を洗浄し
て、ほぼ1mm以下の大きさに葉を細く切る。この細切し
たキャベツ2kgに所定量の食塩を加え、よく塩もみし
て、漬け込む。これに、必要に応じて添加物を加え発酵
させた。表1には処理条件および27〜29℃で、9日
間発酵させた時の結果を示す。いずれも、発酵はうまく
いき、香りのよい発酵液が約600ml〜約800ml得ら
れた。なお、実施例13は、赤キャベツを用いて発酵さ
せたものである。また比較例は従来の加圧法によるキャ
ベツの発酵である。
【0042】
【表1】
【0043】(実施例14)得られた発酵液のうち実施
例1及び実施例13の成分を分析した。結果を表2に示
す。この結果は、キャベツの発酵液にはビタミンUが多
く含まれていることを示している。また、実施例11の
ビタミンU濃度は73.3mg/100gであり、細胞
壁をセルラーゼ製剤で処理することにより、ビタミンU
が多く含まれることがわかった。このことは、他のアミ
ノ酸等の成分も多く溶出している可能性がきわめて高い
ことを示している。なお、ビタミンUはアミノ酸分析計
(OPA法)で測定した。
【0044】
【表2】
【0045】(実施例15)実施例1の発酵液300m
lに、グラニュー糖32g、蜂蜜23g,ソルビット4
0g、アルコール4.5ml(3.6g)およびクエン
酸0.75gを混合し、遠心分離して上清を得た。この
ジュースは、香りもよく飲みやすいジュースであった。
更に、80℃達温(中心温度)の加熱処理をして、冷却
後遠心分離をした上清も、飲みやすいジュースであっ
た。
【0046】(実施例16)実施例1の白キャベツの発
酵液120mlと実施例13の赤キャベツの発酵液180
mlとを混合し、実施例15と同様に調味し、加熱する
ことなく遠心分離した。このジュースは澄明な赤色をし
ており、非常に飲みやすいものであった。また、実施例
15と同様に熱処理したジュースも非常に飲みやすいも
のであった。
【0047】
【発明の効果】本発明により、低塩濃度で野菜を発酵さ
せる方法が提供される。そして、塩分濃度が高く、飲料
として用いられにくかった発酵野菜ジュースを、低食塩
濃度化して、飲料に適したものとすることができる方法
が提供される。

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の工程: (1)野菜と食塩とを混合する工程; (2)野菜を加圧することなく嫌気条件を維持しつつ、
    該野菜を発酵させる工程;および (3)(2)の発酵工程で得られた発酵液を回収する工
    程;を含む、発酵野菜ジュースの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記食塩が、野菜の重量の1.5%以下
    の量である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記食塩が、岩塩である、請求項1また
    は2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記回収した発酵液にさらに味付けをす
    る工程を含む、請求項1ないし3いずれかの項に記載の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記嫌気条件が、密封、窒素ガスあるい
    は二酸化炭素ガスの存在または減圧である、請求項1な
    いし4いずれかの項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記発酵が、pH低下剤を加えて開始さ
    れる、請求項1ないし5いずれかの項に記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記発酵が、グルタミン酸またはその塩
    を添加して行われる請求項1ないし6いずれかの項に記
    載の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記発酵が10℃から40℃の間で行わ
    れる、請求項1ないし7いずれかの項に記載の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記発酵が野菜の細胞壁を分解する酵素
    の存在下行われる、請求項1ないし8いずれかの項に記
    載の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記野菜がキャベツである請求項1な
    いし9いずれかの項に記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記発酵が糖の存在下行われる、請求
    項1ないし10いずれかの項に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記糖が乳酸菌代謝性の糖および/ま
    たは非代謝性の糖である、請求項11に記載の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 前記発酵が乳酸菌を添加して行われ
    る、請求項1ないし12いずれかの項に記載の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし13いずれかの項に記
    載の製造方法で製造された、発酵野菜ジュース。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の発酵野菜ジュース
    をさらに酢酸発酵、クエン酸発酵および/またはアルコ
    ール発酵させた飲料。
  16. 【請求項16】 請求項14に記載の発酵野菜ジュース
    および/または請求項15に記載の飲料と乳酸発酵して
    いない野菜ジュースとを混合した飲料。
  17. 【請求項17】 請求項14に記載の発酵野菜ジュー
    ス、請求項15に記載の飲料および/または請求項16
    に記載の混合飲料を含有する食品。
  18. 【請求項18】 前記食品がゼリー、シャーベット、フ
    ローズンヨーグルトまたはアイスクリームである、請求
    項17に記載の食品。
  19. 【請求項19】 以下の工程: (1)野菜と食塩とを混合する工程; (2)野菜を加圧することなく嫌気条件を維持しつつ、
    該野菜を発酵させる工程;を含む方法で得られた、漬
    物。
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