JPH1174157A - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

電解コンデンサおよびその製造方法

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JPH1174157A
JPH1174157A JP10057853A JP5785398A JPH1174157A JP H1174157 A JPH1174157 A JP H1174157A JP 10057853 A JP10057853 A JP 10057853A JP 5785398 A JP5785398 A JP 5785398A JP H1174157 A JPH1174157 A JP H1174157A
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    • H01G9/022Electrolytes; Absorbents
    • H01G9/025Solid electrolytes
    • H01G9/028Organic semiconducting electrolytes, e.g. TCNQ

Abstract

(57)【要約】 【課題】 陰極としての導電性高分子層を、誘電体層を
形成した陽極金属の多孔体の内部の空孔表面に優先的に
形成することにより、空孔内に均質に形成し容量達成率
を向上させることを目的とする。 【解決手段】 化学酸化重合法で導電性高分子層を形成
する際に、まずモノマー、酸化剤及びドーパントを含む
溶液中に誘電体層を形成した弁金属多孔体を浸漬し、そ
の後多孔体を溶液中に浸漬したままあるいは多孔体を引
き上げた後、多孔体あるいは多孔体内部の温度を多孔体
外部の溶液温度より高く保持することにより、多孔体内
部の化学酸化重合反応速度を外部の重合反応速度より速
くする。多孔体の空孔内でのモノマーの重合を促進し
て、優先的に且つ効率的に空孔内部で重合させ、これに
より、多孔体の中心部まで内部の空孔に充分導電性高分
子層を形成することができ、容量達成率を向上させるこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルミニウムやタン
タルなどの弁金属を用いた電解コンデンサおよびその製
造方法に関し、特に、陰極として導電性高分子層を用い
た電解コンデンサおよびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、アルミニウムやタンタルなどの弁
金属を用いた電解コンデンサは、弁金属多孔体を陽極素
子とし、この弁金属の酸化物皮膜を誘電体層として多孔
体の空孔表面及び外部表面に形成し、陰極には電解質溶
液や無機固体電解質を用い、それぞれ陽極、陰極に接続
するリード部を設け、外装を形成するのが一般的であっ
た。たとえばアルミニウム電解コンデンサでは有機酸を
含む有機溶媒等が陰極として用いられ、タンタル電解コ
ンデンサでは二酸化マンガン等が陰極に用いられてき
た。
【0003】昨今、回路のディジタル化に対応して電子
部品の高周波応答性が要求され、電解コンデンサにおい
ても低抵抗化による高周波応答性の向上が要求されてい
る。このような状況の中で、電導度の良い導電性高分子
化合物を電解コンデンサの陰極用固体電解質として用い
ることが検討され、開発されてきた。
【0004】一般的に導電性高分子は、ピロールやチオ
フェンなどのモノマーを電解酸化重合法あるいは化学酸
化重合法により重合して導電性を有するポリピロールや
ポリチオフェンとして形成される。また、導電性高分子
の電子伝導性をさらに向上させるためにドーパントアニ
オンを配位させるのが一般的であり、ドーパントが共存
する溶液中でモノマーの重合を行うのが一般的である。
このドーパントには各種アニオン(塩素イオン、硫酸イ
オン、有機酸イオン等)が用いられるが、工業的には形
成後の導電性高分子層中からの脱ドープを抑制する目的
で、立体障害が大きくポリマー中を動きにくい分子構造
を有する有機酸系のアニオンが多く用いられる。
【0005】電解コンデンサは、その構造上の特徴とし
て多孔質弁金属の空孔表面に酸化皮膜を形成し、その酸
化物皮膜を誘電体層とし、芯に残った弁金属を陽極とし
ている。従って、この多孔体に陰極を形成する場合、非
常に入り組んだ多孔体の空孔表面を効率よく導電性高分
子層で覆う必要がある。この点において、電解酸化重合
法により形成する場合は、緻密な膜状に導電性高分子層
が生成され、その膜自体は低抵抗で良質なものが得られ
るが、多孔体の内部の空孔まで十分に導電性高分子が形
成されず、誘電体層の被覆面積不足により本来の容量を
引き出せないという欠点を有している。
【0006】一方、化学酸化重合法は、多孔体の内部の
空孔まで導電性高分子が形成されやすいという特長を有
するので工業的に利用されることが多い。一般に化学酸
化重合法では、米国特許USP4697001に示され
るように、モノマーと重合用の酸化剤の反応により導電
性高分子の形成を行う。従って、その形成速度は両者の
衝突確率に依存する。コンデンサのように導電性高分子
を形成するための基体が多孔体の場合、一般には、モノ
マー溶液と酸化剤溶液との交互浸漬により、いずれかを
空孔内に含ませた基体に他方を接触させ、空孔内に導電
性高分子を重合生成させる方法が行われている。また、
場合によってはモノマーと酸化剤の両者を含む溶液を多
孔体に含浸させ、多孔体空孔内部に導電性高分子を重合
生成させる方法も採られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、導電性
高分子の形成速度は、モノマーと酸化剤との衝突確率す
なわちその存在確率に依存するがゆえに、化学酸化重合
法を利用してモノマー液と酸化剤液とに交互浸漬を行う
ことにより導電性高分子を形成する場合、細孔深部およ
び多孔体中心付近の空孔表面における導電性高分子の形
成速度が多孔体表面近傍及び外部表面における導電性高
分子の形成に比してかなり緩やかとなり、内部まで完全
に導電性高分子層で被覆し本来の容量を完全に引き出す
には、非常に処理時間あるいは処理回数が必要となる。
場合によっては、多孔体外部表面に連通する空孔通路が
先に導電性高分子層で閉じられてしまい、結果的に深部
および中心部まで均質に導電性高分子層で被覆できない
という問題があった。
【0008】さらに、モノマー液と酸化剤溶液とに交互
浸漬を行うことにより化学酸化重合法で導電性高分子を
形成する場合、コンデンサ素子多孔体の空孔内部で導電
性高分子を反応形成する際に、多孔体外部の反応槽内に
も先に含浸させた液(モノマー溶液あるいは酸化剤溶
液)が流出し、反応槽においても導電性高分子が形成さ
れ、コンデンサ多孔体に収率よく導電性高分子層を形成
することが困難であった。
【0009】また、モノマーと酸化剤両者を含む反応溶
液を多孔体に含浸させる方法では、反応溶液を調合した
時から重合反応が開始し、多孔体内部に充分な反応活性
を保持したまま溶液を導入するのが困難なため、中心部
および細孔深部にまで均質に導電性高分子層で被覆でき
ないという問題点があった。さらに、最大の問題は調合
した反応溶液の活性時間が短いので保管困難であり、工
業的には適さないということである。
【0010】これに対し、反応溶液の濃度を低濃度にし
て反応速度を低減させることにより、長時間反応活性を
保持することができ、ある程度多孔体中心部および細部
にまで導電性高分子層を形成でき、かつある程度の時間
の保管も可能となるが、1回の反応あたりの導電性高分
子形成量が少なく、内部まで完全に導電性高分子層で被
覆し本来の容量を完全に引き出すには、非常に処理回数
が必要となる。このように、化学酸化重合法において
も、コンデンサ多孔体の内部の空孔にまで効率よく導電
性高分子層を形成し完全に設計容量を引き出すことが困
難であった。
【0011】本発明の目的は、以上のような課題を解決
し、導電性高分子をコンデンサの多孔体の内部の空孔に
まで収率よくかつ効率よく形成し、目的容量を容易に達
成する方法および容量達成率の高い電解コンデンサを提
供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の電解コンデンサの製造方法は、弁金属から
なる陽極と、陽極表面の弁金属の酸化物層から成る誘電
体層と、該誘電体層表面に形成された導電性高分子層か
ら成る陰極を具備した電解コンデンサを製造する方法で
あるが、前記導電性高分子層がそのモノマーを重合可能
な酸化剤とドーパントを含む溶液中で化学酸化重合法に
より形成する方法に関するものであり、多孔体外部の反
応槽における導電性高分子形成量を低減し、多孔体内部
および表面への導電性高分子付着形成量を増加させる方
法に関するものである。
【0013】その特徴は、第1の方法においては、その
導電性高分子層を形成する方法が、反応速度が遅い状態
に保たれたモノマーと酸化剤とドーパントとを含む溶液
中に、誘電体層を形成した弁金属多孔体を浸漬し、その
後前記多孔体を前記溶液中に浸漬したまま、多孔体又は
多孔体内部の温度を多孔体外部の前記溶液温度より高く
することにより、多孔体内部の重合反応を外部の重合反
応より速くして多孔体内部の誘電体層上に優先的に導電
性高分子層を形成することにある。
【0014】また、第2の方法として、本発明には、前
記導電性高分子の形成方法において、まず反応速度を遅
い状態に保ったモノマーと酸化剤とドーパントを含む溶
液中に、前記誘電体層を形成した弁金属多孔体を浸漬し
多孔体内部に溶液を含浸させた後、多孔体を溶液より引
き上げ、前記溶液温度より高い温度に保持して重合反応
を促進させることにより多孔体内部の空孔内、特に中心
部の空孔に導電性高分子層を優先的に形成するものを含
む。
【0015】また、好ましくは上述の方法において、多
孔体温度を前記溶液温度より高い温度に保持する加熱方
法として、多孔体内部に接続するリード部分を熱伝導媒
体として加熱することを特徴とするものである。
【0016】また、第3の方法として、本発明には、前
記導電性高分子の形成方法において、前記誘電体層を形
成した弁金属多孔体をあらかじめ反応用の素子ケースに
収容した後、少なくともいずれか一方にドーパントを含
有させたモノマー溶液と酸化剤溶液とを、反応用の素子
ケースに同時あるいは混合後反応活性が低下する前に注
入することにより、反応溶液の活性を高く保持した状態
で溶液を多孔体内部まで充分含浸させて導電性高分子層
を形成すると同時に、反応用の素子ケースを設けること
により反応空間を限定し、多孔体部以外での導電性高分
子形成量を低減するものを含む。
【0017】さらに、前記ドーパントの少なくとも一種
が有機酸系のドーパントである場合、好ましくは前記多
孔体に導電性高分子層を形成する際に、まず前処理とし
て、有機酸系のドーパントを含まない導電性高分子層を
多孔体内部の誘電体層上に形成し、その後本処理とし
て、その層上に有機酸系のドーパントを含む導電性高分
子層を上述の第1、第2および第3の三つの方法のいず
れかにより形成するものを含む。
【0018】また、本発明に係る電解コンデンサの製造
方法は、さらに簡便な導電性高分子層の形成方法とし
て、上述の第1及び第2の二つの方法のいずれかを前処
理として施して予め多孔体中心部近傍の誘電体層上にド
ーパントを含む導電性高分子層を形成した後、本処理と
して従来の交互浸漬法等によりドーパントを含む導電性
高分子層を前記前処理にて形成した導電性高分子層上に
さらに形成するものである。
【0019】前記ドーパントの少なくとも一種が有機酸
系のドーパントである場合、上述の第1及び第2の二つ
の方法のいずれかを前処理として施す際の重合反応溶液
としてモノマーと酸化剤とを含み有機酸系のドーパント
を含まない溶液を用いて、上述の加熱法により有機酸系
のドーパントを含まない導電性高分子層を前記誘電体層
上に形成した後、本処理として従来の交互浸漬法等によ
り有機酸系のドーパントを含む導電性高分子層を前記有
機酸系のドーパントを含まない導電性高分子層上に形成
するものである。
【0020】さらに、前記ドーパントの少なくとも一種
が有機酸系であるドーパントを利用する場合、本発明に
は、上述の第1及び第2の二つの方法のいずれかを前処
理として施す際に、第1の前処理として重合反応溶液と
してモノマーと酸化剤とを含み有機酸系のドーパントを
含まない溶液を用いて、上述の加熱法により有機酸系の
ドーパントを含まない導電性高分子層を前記誘電体層上
に形成した後、第2の前処理として重合反応溶液として
モノマーと酸化剤と有機酸系のドーパントを含む溶液を
用いて、上述の加熱法により有機酸系のドーパントを含
む導電性高分子層を前記第1の前処理で形成した該有機
酸系のドーパントを含まない導電性高分子層上に形成し
た後、本処理として従来の交互浸漬法等により有機酸系
のドーパントを含む導電性高分子層をさらに前記有機酸
系のドーパントを含む導電性高分子層上に形成するもの
を含む。
【0021】また、本発明には、上述の製造方法を用い
て形成した電解コンデンサが包含される。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の電解コンデンサは、陽極
が弁金属の多孔体であり、誘電体層が弁金属の酸化物層
であり、陰極がドーパントを含む導電性高分子層からな
るものである。本発明において、陽極は、弁金属の多孔
体内部には外部表面に連通する多数の空孔ないし細孔を
有して、陽極表面積が著しく拡大され、本発明におい
て、陽極を成す弁金属には、例えば、アルミニウムやタ
ンタルが好ましく使用される。誘電体層は、多孔体内部
の空孔表面も含めた陽極表面に形成された非常に薄い酸
化皮膜である。
【0023】導電性高分子層は、内部の空孔も含めて誘
電体層上に被着されて、陰極とされる。陰極を成す導電
性高分子層は、そのモノマーを重合可能な酸化剤とドー
パントとを含む溶液中で化学酸化重合法により形成する
ものである。モノマーには、そのポリマーが導電性を示
すものから選ばれ、例えば、複素環式5員環化合物のな
かから、好ましくは、ピロール、チオフェン、3−アル
キルチオフェン、イソチアナフテンなどが利用される。
【0024】重合に使用される溶液は、導電性ポリマー
の成分である上記のモノマーと、重合用の酸化剤(例え
ば、過酸化水素、硫酸鉄(III) などの第二鉄イオンな
ど)と、さらに、ドーパントを含有させる場合について
は、ドーパントとを含む。
【0025】ドーパントは、導電性ポリマーの導電率を
更に高めるために付加される。無機酸系ドーパントとし
て、、塩素イオンや硫酸イオン等各種アニオンを利用す
ることができるが、無機酸系ドーパントは、形成後の処
理で水中に溶出などにより逃散する惧れがある。そこ
で、導電性高分子層中からの脱ドープを抑制する目的
で、立体障害が大きくポリマー中で動きにくい分子構造
を有する有機酸系のアニオンを利用するのが好ましい。
特に、上記の導電性ポリマーに対しては、アルキルナフ
タレンスルホン酸などのアーリルスルホン酸イオン、ア
ーリル燐酸イオンが利用することが好ましく、そのNa
塩、その他アルカリ塩などの形で溶液中に添加すること
ができる。
【0026】第1の製造方法は、この溶液中に、予め誘
電体層を形成した弁金属多孔体を浸漬し、そのまま一定
時間、多孔体あるいは多孔体内部の温度を多孔体外部の
前記溶液温度より高く保持するものである。この方法に
より、多孔体の空孔に含浸されたモノマーの化学酸化重
合の反応速度だけを外部の重合反応速度より速くして、
空孔内のポリマーの形成を促進するのである。
【0027】以上の方法により、従来は多孔体表層部に
おける導電性高分子層の形成が非常に速く、内部の空孔
内における導電性高分子層の形成が不十分なために、コ
ンデンサは多孔体の表面と内部空孔表面との全面積から
期待される容量の70%程度しか達成されなかったので
あるが、本発明の製造方法によれば、多孔質の多孔体内
部への導電性高分子層の形成速度が表層部における形成
より促進され、誘電体層の十分な被覆によりコンデンサ
としての容量達成率を90%程度まで向上させることが
できる。
【0028】また、第2の方法において、化学酸化重合
法で導電性高分子層を形成する方法が、モノマーと酸化
剤とドーパントとを含む溶液中に前記誘電体層を形成し
た弁金属多孔体を浸漬し多孔体内部に溶液を含浸させた
後、多孔体を溶液より引き上げ、前記溶液温度より高い
温度に保持して重合反応を促進させることもなされる。
【0029】この方法によれば、多孔体の空孔内に保持
されたモノマーを外部へ流出させることなく効率良く空
孔内で重合させてポリマーを充足させることができ、誘
電体層の充分な被覆により90%程度の容量を達成でき
る。この際、浸漬する溶液の温度を冷却することにより
引き上げ時との温度差を設けてもよく、引き上げ時にお
ける素子温度を強制加熱することにより浸漬時との温度
差を設けてもよく、あるいはその両者とも行ってもよ
い。特に、第1、2いずれの方法においても素子を強制
加熱する場合は、多孔体内部に通じるリード部分を加熱
する方法が好ましい。例えば、図1に示すように、多孔
体1に予めリード2を内部に埋め込んで、しかも他端を
表面10から突出させて成形した構造の場合、上記の如
く浸漬したあと、多孔体内部に通じる該突出したリード
2を介して加熱を行う。この場合、埋設されたリード2
の近傍すなわち多孔体中心部11より導電性高分子形成
反応が促進され、さらに内部の被覆性が向上する。
【0030】また、第2の方法においては多孔体に溶液
を含浸させた後引き上げるため、溶媒の揮散が速くな
る。従って、導電性ポリマーの形成は、溶媒蒸気中で行
うのが、溶媒の乾燥速度を緩やかにし、溶媒乾燥による
導電性高分子の形成阻害を抑制することができる。この
とき、前記溶媒蒸気の蒸気分圧が保持温度における該溶
媒の飽和蒸気圧の70%以上の雰囲気であることが好ま
しく、これにより、十分その効果が認められる。
【0031】以上の第1の製造方法において、多孔体内
部の温度を前記多孔体外部の溶液温度より10℃以上高
く保持することにより多孔体内部での反応を外部での反
応のほぼ2倍以上の反応速度にすることが好ましい。こ
のように反応速度を制御することにより、多孔体内部に
効率よく導電性ポリマーを析出させることができる。
【0032】また、第2の方法において、多孔体を引き
上げ後に加温により重合反応を促進させて効率良くモノ
マーを重合させるために、前記浸漬する溶液中では、反
応が発生しないことが望ましい。しかし、反応をほぼ完
全に抑えるためには約−40℃以下の低温にする必要が
あり、工業的には不可能である。そのため、約1時間で
溶液を使いきるとして、約90%を使用するためには、
1時間あたりのポリマー析出重量を配合モノマー重量に
対して10%以下に制御しておくことが好ましい。この
ためには、溶液中のモノマー及び酸化剤の濃度とを定め
て、溶液の温度を低温に保持するのがよい。このように
溶液中のポリマー析出速度を規制しておくことにより、
多孔体内部でのポリマー析出効率を有効に高めることが
できるのである。
【0033】また、第3の製造方法は、化学酸化重合法
による前記導電性高分子の形成方法が、前記誘電体層を
形成した弁金属多孔体をあらかじめ反応用の素子ケース
に収容した後、少なくともいずれか一方にドーパントを
含有させたモノマー溶液と酸化剤溶液とを、前記素子ケ
ースに同時あるいは混合後反応活性が低下する前に注入
するものである。この方法により、反応空間を限定する
ことができ、ケースがない場合に比較して、仕込みモノ
マー重量に対する多孔体への付着ポリマー重量比が向上
し、収率よく誘電体皮膜上に導電性ポリマーを形成する
ことができる。かつ、反応溶液の活性を高く保持した状
態で溶液を多孔体内部まで充分含浸させることができ、
多孔体の細孔深部および中心近傍の空孔内部にも効率よ
く導電性高分子層を形成することができ、誘電体層の十
分な被覆により90%程度の容量を達成できる。
【0034】以上の第3の方法において、反応用の素子
ケースにモノマー溶液と酸化剤溶液を、同時注入するよ
りも混合後注入する方が、多孔体内部に均質に導電性ポ
リマーが形成されるが、あらかじめ両者を混合しておく
と、多孔体内部に充分反応溶液が到達するまでに反応活
性が低下する。そこで、反応用の素子ケースにモノマー
溶液と酸化剤溶液とを混合後注入するまでのポリマー析
出重量が、仕込みモノマー重量の10%以下になるよう
に反応を制御あるいは混合後注入までの時間を短く制御
することが好ましく、これにより、多孔体細孔深部およ
び中心部まで反応活性を保持しながら反応溶液を含浸さ
せることができ、多孔体内部に効率よく導電性ポリマー
を析出させることができる。この反応制御は、モノマー
溶液および酸化剤溶液を低温に保持することにより行っ
ても、各々の溶液濃度を低下させて行ってもよいが、反
応一回あたりのポリマー形成量を増加させるためには、
低温保持するのが好ましい。
【0035】また、第3の製造方法において、モノマー
溶液および酸化剤溶液を多孔体に含浸させた後、注入し
た溶液温度より高い温度に多孔体を保持することによ
り、反応が促進され導電性ポリマーを形成する処理時間
の短縮が図れる。この際、高温に保持する方法として、
陽極内部に通じる金属リードを介して加熱する方法が好
ましく採用でき、これにより、さらに内部における誘電
体層の導電性ポリマーによる被覆率が向上し、容量達成
率を向上させることができる。さらに、第3の製造方法
において、反応用の素子ケースの内容積を多孔体サイズ
の1倍を超え4倍以下にすることにより、全形成ポリマ
ー重量に対する多孔体の誘電体皮膜上における導電性ポ
リマー形成量の比を20%以上にすることができ、収率
を向上させることができる。
【0036】さらに、ドーパントの少なくとも一種が有
機酸系のドーパントの場合、化学酸化重合法で導電性高
分子層を形成する際に、まず前処理として、有機酸系の
ドーパントを含まない導電性ポリマー層を化学酸化重合
法により予め形成するのが好ましい。有機酸系のドーパ
ントを含む導電性ポリマー層は誘電体層への密着性およ
び膜の緻密性が低いが、この有機酸系のドーパントを含
まない導電性ポリマー層は、それ自体が緻密均質な膜と
して空孔内を含む表面の誘電体層上に密着良く形成する
ことができ、しかも、その後に形成される上述の有機酸
系のドーパントを含むポリマー層との密着性が高い。そ
こで、上述の第1、第2および第3の方法を本処理とし
て、この有機酸系のドーパントを含まない導電性ポリマ
ー層上に有機酸系のドーパントを含む導電性ポリマー層
を前記の液中加温法又は引き上げ加温法又は反応用素子
ケースへの液注入法により形成する。これにより、弁金
属多孔体の空孔内部まで誘電体層の被覆率を高くでき、
かつ緻密で誘電体層との密着性の高い導電性高分子膜を
形成することができる。このような前処理を含む方法に
より、非常に容量達成率が高く、低抵抗で周波数特性の
良いコンデンサを得ることができるのである。この際、
有機酸系以外のドーパントは、前処理時に含んでいても
含んでいなくでもよい。
【0037】さらにまた、化学酸化重合法で導電性高分
子層を形成する際に、まず前処理として、上述の加温方
法を採用してドーパントを含む導電性高分子層を化学酸
化重合法により形成し、多孔質の弁金属多孔体内部の空
孔の誘電体層表面上の導電性高分子層による被覆率を向
上させた後、本処理として従来の交互浸漬法等によりド
ーパントを含む導電性高分子層をさらに形成する方法も
採用される。これにより、簡便に内部から多孔体表面ま
で導電性高分子による被覆率が高い弁金属多孔体を形成
でき、容量達成率の高いコンデンサを容易に得ることが
できる。
【0038】さらに、ドーパントの少なくとも一種が有
機酸系のドーパントの場合、化学酸化重合法で導電性高
分子層を形成する際に、まず前処理として、上述の加温
方法を応用して、誘電体層表面に有機酸系のドーパント
を含まない導電性高分子層を化学酸化重合法により形成
した後、本処理として従来の交互浸漬法等により有機酸
系のドーパントを含む導電性高分子層を形成する方法も
採用することができる。これにより、多孔質の弁金属多
孔体の中心部近傍まで空孔内部の導電性高分子による被
覆率が高く、且つ誘電体層との密着性の高い導電性高分
子膜を前記誘電体層上に簡便に形成することができ、簡
便に、容量達成率が高く、周波数特性が良い品質の良い
コンデンサを得ることができる。
【0039】また、ドーパントの少なくとも一種が有機
酸系のドーパントの場合には、化学酸化重合法で導電性
高分子層を形成する際に、まず第1の前処理として、上
述の加温方法を応用して、誘電体層表面に有機酸系のド
ーパントを含まない導電性高分子層を化学酸化重合法に
より形成した後、第2の前処理として、上述の加温方法
を応用して、誘電体層表面に有機酸系のドーパントを含
む導電性高分子層を化学酸化重合法により形成した後、
本処理として従来の交互浸漬法等により有機酸系のドー
パントを含む導電性高分子層をさらに形成する方法も採
用することができる。これにより、多孔質の金属多孔体
の中心部近傍から外部表面まで空孔内部の導電性高分子
による被覆率がさらに高く、且つ誘電体層との密着性の
高い導電性高分子膜を前記誘電体層上に形成することが
でき、本発明の製造方法の中で最も容量達成率が高く、
周波数特性が良い品質の良いコンデンサを得ることがで
きる。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。モ
ノマー溶液の調製について、イソプロピルアルコールを
10vol %含有する水溶液に0.05mol/lとなる
ようにピロールを溶解させて、モノマー溶液Iとした。
また、イソプロピルアルコールを10vol %含有する水
溶液に0.1mol/lとなるようにピロールを溶解さ
せて、モノマー溶液IIとした。
【0041】酸化剤溶液の調製について、イソプロピル
アルコールを10vol %含有する水溶液に、酸化剤とし
て硫酸鉄(III) を0.05mol/l、有機酸系のドー
パントとしてアルキルナフタレンスルホン酸イオンをN
a塩の形で0.03mol/lとなるように溶解させ
て、酸化剤溶液Iとした。
【0042】さらに、イソプロピルアルコールを10vo
l %含有する水溶液に、酸化剤として硫酸鉄(III) を
0.1mol/l、有機酸系のドーパントとしてアルキ
ルナフタレンスルホン酸イオンをNa塩の形で0.05
mol/lとなるように溶解させて、酸化剤溶液IIとし
た。
【0043】さらに、イソプロピルアルコールを10vo
l %含有する水溶液に、硫酸鉄(III) を0.05mol
/lとなるように溶解させて、酸化剤溶液III とした。
イソプロピルアルコールを10vol %含有する水溶液
に、硫酸鉄(III) を0.1mol/lとなるように溶解
させて、酸化剤溶液IVとした。
【0044】次に、タンタル粉末をリードとともに圧縮
成形した後、焼成して1.4mm×3.0mm×3.8
mmの多孔体を形成した後、タンタル多孔体の空孔表面
および外部表面をリン酸水溶液中にて化成電圧30Vで
化成して酸化皮膜誘電体層を形成し、コンデンサ用の多
孔体とした。
【0045】準備したコンデンサ用の多孔体の誘電体層
上に、以下の化学酸化重合法により導電性高分子層を形
成して陰極とし、さらに外部に陰極の集電体としてのリ
ード板を設け導電性高分子層と集電体リード板との間を
カーボンおよび銀層で接続し、タンタルリードを陽極端
子とし、銀で接続したリード板を陰極端子とした電解コ
ンデンサを形成した。多孔体内部の誘電体層の導電性高
分子による被覆状態を破断面にて観察した。また、電解
コンデンサとしての120Hz、1kHzでの静電容量
を測定した。
【0046】実施例(1) モノマー溶液Iと酸化剤溶液Iを5℃に保持して混合
し、この混合液中に金属多孔体を浸漬し、リードを加熱
してリードを介して多孔体を30℃に加熱して保持し、
ドーパントを含む導電性高分子層を多孔体の空孔内部お
よび表面の誘電体層表面上に形成した。加熱した多孔体
での重合速度は、溶液中での重合速度の約4倍であっ
た。導電性高分子形成後、洗浄乾燥を行った。
【0047】実施例(2) モノマー溶液Iと酸化剤溶液Iを5℃に保持して混合
し、この混合液中に多孔体を浸漬し溶液を多孔体に含浸
させた後、多孔体を溶液より引き上げ、相対湿度80%
の雰囲気中でリードを介して多孔体を30℃に加熱して
保持し、ドーパントを含む導電性高分子層を多孔体の空
孔内部および多孔体表面の誘電体層表面上に形成した。
その後、洗浄乾燥を行い、この含浸と引き上げ加温およ
び洗浄乾燥とから成る操作を5回繰り返した。
【0048】実施例(3) 反応用素子ケースに多孔体を収納して導電性高分子層を
形成する方法を示す。図2は、素子ケース3に収容した
多孔体1を示す。反応用素子ケース3の容積を多孔体1
の体積の2倍とし、モノマー溶液IIと酸化剤溶液IIをあ
らかじめ5℃に保持して、混合し、即座に素子ケース3
と多孔体1との間隙31に注入した。その後、反応用素
子ケースごと多孔体を30℃に保持し、ドーパントを含
む導電性高分子層を多孔体の誘電体皮膜上に形成した。
その後、洗浄乾燥を行った。このケースを利用して、溶
液混合注入と加温および洗浄乾燥とからなる操作を5回
繰り返した。
【0049】実施例(4) モノマー溶液IIと酸化剤溶液IVを5℃に保持し混合し、
この混合液中に多孔体を浸漬し、有機酸系のドーパント
を含まない(硫酸イオンは含む)導電性高分子膜を多孔
体の空孔内部および多孔体表面の誘電体層表面上に形成
した後、洗浄乾燥を行った。その後、モノマー溶液Iと
酸化剤溶液Iを5℃に保持し混合し、この混合液中に前
記処理を施した多孔体を浸漬し、リードを介して多孔体
を30℃に加熱しながら有機酸系のドーパントを含む導
電性高分子層を有機酸系のドーパントを含まない導電性
高分子膜上に形成した。最後に再度洗浄乾燥を行った。
【0050】実施例(5) モノマー溶液Iと酸化剤溶液Iを5℃に保持し混合し、
この混合液中に多孔体を浸漬し溶液を多孔体に含浸させ
た後、多孔体を溶液より引き上げ、相対湿度80%の雰
囲気中でリードを介して多孔体を30℃に加熱し、ドー
パントを含む導電性高分子層を多孔体の空孔内部および
多孔体表面の誘電体層表面上に形成した後洗浄乾燥を行
った。その後、モノマー溶液IIおよび酸化剤溶液IIへの
多孔体の交互浸漬と乾燥洗浄を15回繰り返すことによ
りさらに導電性高分子層を形成した。
【0051】実施例(6) モノマー溶液Iと酸化剤溶液III を5℃に保持し混合
し、この混合液中に多孔体を浸漬し溶液を多孔体に含浸
させた後、多孔体を溶液より引き上げ、相対湿度80%
の雰囲気中でリードを介して多孔体を30℃に加熱し、
有機酸系のドーパントを含まない(硫酸イオンは含む)
導電性高分子膜を多孔体の空孔内部および多孔体表面の
誘電体層表面上に形成した後洗浄乾燥を行った。その
後、モノマー溶液IIおよび酸化剤溶液IIへの多孔体の交
互浸漬および洗浄乾燥を15回繰り返すことにより有機
酸系のドーパントを含まない導電性高分子膜上に有機酸
系のドーパントを含む導電性高分子層を形成した。
【0052】実施例(7) 第1の前処理としてモノマー溶液Iと酸化剤溶液III を
5℃に保持し混合し、この混合液中に多孔体を浸漬し溶
液を多孔体に含浸させた後、多孔体を溶液より引き上
げ、相対湿度80%の雰囲気中でリードを介して多孔体
を30℃に加熱し、有機酸系のドーパントを含まない
(硫酸イオンは含む)導電性高分子膜を多孔体の空孔内
部および多孔体表面の誘電体層表面上に形成し、洗浄乾
燥を行った。その後、第2の前処理としてモノマー溶液
Iと酸化剤溶液Iを5℃に保持し混合し、この混合液中
に多孔体を浸漬し溶液を多孔体に含浸させた後、多孔体
を溶液より引き上げ、相対湿度80%の雰囲気中でリー
ドを介して多孔体を30℃に加熱し、有機酸系のドーパ
ントを含む導電性高分子膜を有機酸系のドーパントを含
まない導電性高分子膜上に形成し、洗浄乾燥を行った。
その後、本処理としてモノマー溶液IIおよび酸化剤溶液
IIへの多孔体の交互浸漬および洗浄乾燥を15回繰り返
すことによりさらに有機酸系のドーパントを含む導電性
高分子層を形成した。
【0053】従来例(8)として、モノマー溶液IIおよ
び酸化剤溶液IIへの多孔体の交互浸漬および洗浄乾燥を
15回繰り返すことによりドーパントを含む導電性高分
子層を多孔体の空孔内部および多孔体表面の誘電体層表
面上に堆積形成した。
【0054】以上のようにして作製した電解コンデンサ
の多孔体を破断し、その破断面で導電性高分子層の形成
状態を観察した。従来例(8)では多孔体の中央部にお
ける導電性高分子による被覆性が不十分であるのに対
し、本発明の方法である実施例(1)ないし(7)の方
法においては中央部まで導電性高分子による被覆率が向
上していることがわかった。
【0055】
【表1】
【0056】また、電解コンデンサの静電容量の測定結
果を表1に示す。本実施例で用いた多孔体は容量が10
0μF品になるよう設計製作されたものであるが、表1
より明らかなように従来例(8)では70%程度しか容
量が達成しなかった。しかし、本発明の加熱方法および
液注入法による実施例(1)、(2)、(3)において
は90%以上容量を達成することができ、さらに前処理
を施した実施例(4)、(5)、(6)、(7)におい
てはほぼ完全に容量を達成することができた。特に、周
波数120Hzと1kHzでの容量の比較を行うと、前
処理として有機酸系のドーパントを含まない導電性高分
子層を設けた実施例(4)、(6)、(7)は、高周波
特性が非常に良く1kHzにおける容量減少が発生せず
良好なコンデンサ特性を示した。特に第1の前処理とし
て有機酸系のドーパントを含まない導電性高分子層を形
成し、第2の前処理として有機酸系のドーパントを含む
導電性高分子層を内部より優先的に形成した実施例
(7)では、容量達成、高周波特性ともに最も優れた特
性を示した。
【0057】ここで、有機酸系のドーパントを含まない
導電性高分子層を設けた場合は、形成された導電性高分
子層が膜状に均質に形成されていることが、走査電子顕
微鏡による観察で確認された。本発明者らは、この均質
な膜が誘電体層との密着性にすぐれ、かつ、導電性高分
子層としての抵抗を非常に低下させることを確認した。
従って、本発明の実施例(4)、(6)、(7)のよう
に有機酸系のドーパントを含まない導電性高分子層を予
め誘電体層表面上に形成しておくと、陰極が低抵抗とな
るため、高周波における容量引出率が向上したと推察さ
れる。
【0058】本実施例においては、モノマーとしてピロ
ールを用いたが、本発明は、複素環式五員環化合物もし
くはその誘導体であれば、その種類については限定され
るものではない。また、本実施例ではアルキルナフタレ
ンスルホン酸Na塩の形で有機酸系のドーパントを添加
したが、他のアーリルスルホン酸イオンでも同様の効果
が得られ、さらには、アーリルリン酸イオンを用いた場
合の方が耐熱性のよい導電性高分子層が形成された。
【0059】本実施例(1)においては、多孔体あるい
は多孔体内部の温度を多孔体外部の溶液温度より25℃
高くしてその効果を確認したが、10℃以上高くするこ
とで十分効果が確認された。また本実施例(1)におい
ては、実際の多孔体内部での導電性高分子層の重合形成
速度は外部における重合形成速度の4倍程度であった
が、2倍以上に制御することで効果が確認された。
【0060】本実施例(2)においては多孔体引き上げ
時の雰囲気を溶媒飽和蒸気圧の80%の溶媒蒸気を含む
雰囲気(相対蒸気圧80%)としてその効果を確認した
が、溶媒蒸気の相対蒸気圧が70%以上の雰囲気であれ
ば十分その効果が認められた。また、本実施例(2)に
おける浸漬する溶液中での1時間あたりのポリマー析出
重量は、配合モノマー重量の5%程度であったが、10
%以下に制御しておくことでかなり効率よく導電性高分
子層が形成されることが確認された。
【0061】本実施例(3)においては、反応用素子ケ
ースの内容積の大きさを多孔体サイズの2倍としたが、
4倍以下であれば反応収率が良好であることが確認でき
た。また、本実施例(3)におけるモノマー溶液と酸化
剤溶液を混合後、反応用の素子ケースへの注入までのポ
リマー析出量は、仕込みモノマー重量に対し2%以下で
あったが、10%以下に反応制御することにより、十分
効果が確認できた。
【0062】本実施例(4)においては、前処理として
形成する有機酸系のドーパントを含まない導電性高分子
膜の形成を、酸化剤溶液とモノマー溶液を混合した溶液
に多孔体を浸漬することにより行ったが、浸漬洗浄乾燥
をくり返しても良く、また、酸化剤溶液およびモノマー
溶液に多孔体の交互浸漬洗浄乾燥を1回またはくり返し
行うことにより形成しても同様の効果が得られた。この
場合酸化剤溶液およびモノマー溶液のうちどちらに先に
浸漬するかは限定されるものではない。また、有機酸系
のドーパントを含まない導電性高分子膜の形成を本発明
の加熱法のいずれかを用いて行っても同様の効果が得ら
れた。また、本処理は本発明の加熱法および液注入法の
いずれを用いても同様の効果が得られた。
【0063】また、本実施例(5)、(6)、(7)に
おいては、本発明の加熱法による前処理後の本処理とし
て形成する導電性高分子層の形成を、酸化剤溶液および
モノマー溶液に多孔体の交互浸漬洗浄乾燥を繰り返し行
うことにより行ったが、この場合酸化剤溶液およびモノ
マー溶液のうちどちらを先に浸漬するかは限定されるも
のではない。また、酸化剤溶液とモノマー溶液を混合し
た溶液に多孔体を浸漬することにより形成しても同様の
効果が得られた。また、前処理は本発明の加熱法のいず
れを用いても同様の効果が得られた。また、本実施例に
おいてはタンタル電解コンデンサについて示したが、弁
金属の種類は限定されるものではない。
【0064】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、化成処理
をし誘電体層を形成した陽極金属の多孔体に化学酸化重
合法により導電性高分子層を形成する際に、浸漬した溶
液中で又は引き上げ後に陽極の多孔体を加温することに
より多孔体内部の空孔の誘電体層表面への導電性高分子
層の重合形成を優先的に促進させ、多孔体中心部まで内
部空孔表面の導電性高分子による被覆率を向上させるこ
とができる。
【0065】また、本発明によればモノマー溶液と酸化
剤溶液を多孔体への注入と同時あるいは直前に混合する
ことにより、多孔体細孔深部まで導電性高分子による被
覆率を向上させることができる。この際、反応用の素子
ケースを設けて反応空間を限定することにより、収率よ
く多孔体に導電性高分子を形成することができる。
【0066】以上により、収率および効率よくコンデン
サとしての有効な電極面積を大きく確保して容量達成率
を向上させることができ、部品歩留まりが向上する。
【0067】また、本発明によれば、予め有機酸系のド
ーパントを含まない導電性ポリマー層を誘電体層表面上
に緻密な膜として形成してその上に有機酸系のドーパン
トを含む導電性ポリマー層を形成するので、導電性高分
子層の一層の低抵抗化が図れ、容量達成率も高く、低抵
抗で高周波特性の良い電解コンデンサを提供することが
できる。
【0068】さらに、本発明の導電性高分子層加熱形成
法を前処理として採用することにより、その後の処理を
従来形成法で行っても非常に優れた特性を得ることがで
き、製造方法としても非常に簡便に良好なコンデンサを
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に使用する多孔体の部分切欠
き斜視図。
【図2】本発明の一実施例におけるコンデンサ多孔体の
反応用素子ケースへの収納状態を示す斜視図。
【符号の説明】
1 多孔体 2 リード 3 反応用素子ケース

Claims (37)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極が弁金属多孔体であり、誘電体層が
    該弁金属の酸化物層であり、且つ、陰極がドーパントを
    含む導電性高分子層である電解コンデンサの製造方法で
    あって、 前記導電性高分子層が、そのモノマーを重合可能な酸化
    剤とドーパントを含む溶液中で重合させてなるポリマー
    層であって、 前記導電性高分子層の形成方法が、モノマーと酸化剤と
    ドーパントとを含む溶液中に、前記誘電体層を形成した
    弁金属多孔体を浸漬し、その後該多孔体を該溶液中に浸
    漬したまま、多孔体若しくは多孔体内部の温度を多孔体
    外部の前記溶液温度より高く保持して、多孔体内部の重
    合反応を溶液中の重合反応より速くして多孔体内部に導
    電性ポリマーを形成することを特徴とする電解コンデン
    サの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記多孔体若しくは多孔体内部の温度を
    多孔体外部の溶液温度より10℃以上高くすることを特
    徴とする請求項1記載の電解コンデンサの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記多孔体内部の重合反応速度が該溶液
    中での重合反応速度の2倍以上である請求項1記載の電
    解コンデンサの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記多孔体若しくは多孔体内部の加熱方
    法が、多孔体内部に接続したリード部分を熱伝導媒体と
    して加熱することを特徴とする請求項1、2又は3記載
    の電解コンデンサの製造方法。
  5. 【請求項5】 陽極が弁金属多孔体であり、誘電体層が
    該弁金属の酸化物層であり、陰極がドーパントを含む導
    電性高分子層である電解コンデンサの製造方法であっ
    て、 前記導電性高分子層が、そのモノマーを重合可能な酸化
    剤とドーパントを含む溶液中で重合させてなるポリマー
    層であって、 前記導電性高分子層の形成方法が、モノマーと酸化剤と
    ドーパントとを含む溶液中に、前記誘電体層を形成した
    弁金属多孔体を浸漬し多孔体内部に溶液を含浸させた
    後、多孔体を溶液より引き上げて前記溶液温度より高い
    温度に保持して重合反応を促進させ、前記多孔体内部に
    導電性ポリマー層を形成することを特徴とする電解コン
    デンサの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記浸漬する溶液中での1時間あたりの
    ポリマー析出重量が配合モノマー重量に対して10%以
    下である請求項5記載の電解コンデンサの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記溶液を含浸させた弁金属多孔体を前
    記溶液温度より高い温度で保持する際の雰囲気が、前記
    溶液のその温度での飽和蒸気圧の70%以上の溶媒蒸気
    を含む雰囲気であることを特徴とする請求項5又は6記
    載の電解コンデンサの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記多孔体に前記溶液を含浸させる操作
    と、引き上げ後に前記溶液より高い温度でモノマーを重
    合させる操作と、を複数回繰り返すことを特徴とする請
    求項5、6又は7記載の電解コンデンサの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記多孔体を前記溶液より引き上げ、前
    記溶液温度より高い温度に保持する際の加熱方法が、多
    孔体内部に接続するリード部分を熱伝導媒体として多孔
    体を加熱することを特徴とする請求項5ないし8何れか
    に記載の電解コンデンサの製造方法。
  10. 【請求項10】 陽極が弁金属多孔体であり、誘電体層
    が該弁金属の酸化物層であり、且つ、陰極がドーパント
    を含む導電性高分子層である電解コンデンサの製造方法
    であって、 前記導電性高分子層が、そのモノマーを重合可能な酸化
    剤とドーパントを含む溶液中で重合させてなるポリマー
    層であって、 前記導電性高分子層の形成方法が、前記誘電体層を形成
    した弁金属多孔体を予め反応用の素子ケースに収納した
    後、少なくともいずれか一方にドーパントを含有させた
    モノマー溶液と酸化剤溶液とを、素子ケースに同時ある
    いは混合後注入することにより多孔体内部および外部に
    導電性ポリマー層を形成することを特徴とする電解コン
    デンサの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記素子ケースにモノマー溶液と酸化
    剤溶液を混合後注入するまでのポリマー析出重量が仕込
    みモノマー量の10%以下であることを特徴とする請求
    項10記載の電解コンデンサの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記モノマー溶液および酸化剤溶液を
    前記素子ケースに注入した後、多孔体の温度を注入前の
    溶液温度より高くして重合反応を促進させて、導電性ポ
    リマー層を形成することを特徴とする請求項10又は1
    1記載の電解コンデンサの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記の多孔体の加熱方法が、多孔体内
    部に接続したリード部分を熱伝導媒体として加熱するこ
    とを特徴とする請求項10、11又は12記載の電解コ
    ンデンサの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記重合反応により前記ドーパントを
    含む導電性ポリマー層を形成する操作を複数回繰り返す
    ことを特徴とする請求項10ないし13いずれかに記載
    の電解コンデンサの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記素子ケースの内容積が前記弁金属
    多孔体素子サイズの1倍を超え4倍以下であることを特
    徴とする請求項10ないし14いずれかに記載の電解コ
    ンデンサの製造方法。
  16. 【請求項16】 前記ドーパントの少なくとも一種が有
    機酸系であり、前記ドーパントを含む当該導電性ポリマ
    ー層を形成するに先立って、前処理として、有機酸系の
    ドーパントを含有しない導電性ポリマー層を前記多孔体
    内部に予め形成することを特徴とする請求項1ないし1
    5いずれかに記載の電解コンデンサの製造方法。
  17. 【請求項17】 前記前処理が、モノマーと酸化剤とを
    含み有機酸系のドーパントを含まない溶液中に前記誘電
    体層を形成した弁金属多孔体を浸漬し、多孔体内部に重
    合反応により前記有機酸系のドーパントを含まない導電
    性ポリマー層を形成することを特徴とする請求項16記
    載の電解コンデンサの製造方法。
  18. 【請求項18】 前記前処理が、いずれも有機酸系のド
    ーパントを含まないモノマー溶液と酸化剤溶液とに前記
    誘電体層を形成した弁金属多孔体を交互浸漬し、多孔体
    内部に重合反応により前記有機酸系のドーパントを含ま
    ない導電性ポリマー層を形成することを特徴とする請求
    項16記載の電解コンデンサの製造方法。
  19. 【請求項19】 前記前処理が、モノマーと酸化剤とを
    含み有機酸系のドーパントを含まない溶液中に、前記誘
    電体層を形成した弁金属多孔体を浸漬し、その後、多孔
    体若しくは多孔体内部の温度を多孔体外部の前記溶液温
    度より高くすることにより、多孔体内部の重合反応を外
    部の重合反応より速くして、多孔体内部に前記有機酸系
    のドーパントを含まない導電性ポリマー層を形成するこ
    とを特徴とする請求項16記載の電解コンデンサの製造
    方法。
  20. 【請求項20】 前記前処理が、モノマーと酸化剤とを
    含み有機酸系のドーパントを含まない溶液中に、誘電体
    層を形成した弁金属多孔体を浸漬し多孔体内部に溶液を
    含浸させた後、多孔体を溶液より引き上げ、前記溶液温
    度より高い温度に保持して重合反応を促進させることに
    より、多孔体内部に前記有機酸系のドーパントを含まな
    い導電性ポリマー層を形成することを特徴とする請求項
    16記載の電解コンデンサの製造方法。
  21. 【請求項21】 前記前処理における多孔体若しくは多
    孔体内部の加熱方法が、多孔体内部に接続したリード部
    分を熱伝導媒体として加熱することを特徴とする請求項
    19、20記載の電解コンデンサの製造方法。
  22. 【請求項22】 前記前処理が、前記重合反応により前
    記有機酸系のドーパントを含まない導電性ポリマー層を
    形成する操作を複数回繰り返すことを特徴とする請求項
    16ないし21いずれかに記載の電解コンデンサの製造
    方法。
  23. 【請求項23】 陽極が弁金属多孔体であり、誘電体層
    が弁金属の酸化物層であり、陰極がドーパントを含む導
    電性高分子層である電解コンデンサの製造方法であっ
    て、 前記導電性高分子層が、そのモノマーを重合可能な酸化
    剤とドーパントとを含む溶液中で重合させてなる導電性
    ポリマー層であって、 前記導電性高分子層の形成方法が、まず前処理として、
    モノマーと酸化剤とドーパントを含む溶液中に、前記誘
    電体層を形成した弁金属多孔体を浸漬し、その後、多孔
    体あるいは多孔体内部の温度を多孔体外部の前記溶液温
    度より高くすることにより、多孔体内部の重合反応を外
    部の重合反応より速くして多孔体内部にドーパントを含
    む導電性ポリマー層を形成した後、本処理によりドーパ
    ントを含む導電性ポリマー層をさらに形成することを特
    徴とする電解コンデンサの製造方法。
  24. 【請求項24】 陽極が弁金属多孔体であり、誘電体層
    が弁金属の酸化物層であって、陰極がドーパントを含む
    導電性高分子層からなる電解コンデンサの製造方法であ
    って、 前記導電性高分子層が、そのモノマーを重合可能な酸化
    剤とドーパントを含む溶液中で重合させてなるポリマー
    層であって、 前記ドーパントの少なくとも一種が有機酸系であり、 前記導電性高分子層の形成方法が、前処理として、モノ
    マーと酸化剤とを含み有機酸系のドーパントを含まない
    溶液中に、前記誘電体層を形成した弁金属多孔体を浸漬
    し、その後、多孔体若しくは多孔体内部の温度を多孔体
    外部の前記溶液温度より高くすることにより、多孔体内
    部の重合反応を外部の重合反応より速くして多孔体内部
    に有機酸系のドーパントを含まない導電性ポリマー層を
    形成した後、本処理により有機酸系のドーパントを含む
    導電性ポリマー層を該有機酸系のドーパントを含まない
    導電性ポリマー層上に形成することを特徴とする電解コ
    ンデンサの製造方法。
  25. 【請求項25】 陽極が弁金属多孔体であり、誘電体層
    が弁金属の酸化物層であって、陰極がドーパントを含む
    導電性高分子層からなる電解コンデンサの製造方法であ
    って、 前記導電性高分子層が、そのモノマーを重合可能な酸化
    剤とドーパントを含む溶液中で重合させてなるポリマー
    層であって、 前記ドーパントの少なくとも一種が有機酸系であり、 前記導電性高分子層の形成方法が、前処理1として、モ
    ノマーと酸化剤とを含み有機酸系のドーパントを含まな
    い溶液中に、前記誘電体層を形成した弁金属多孔体を浸
    漬し、その後、多孔体若しくは多孔体内部の温度を多孔
    体外部の前記溶液温度より高くすることにより、多孔体
    内部の重合反応を外部の重合反応より速くして多孔体内
    部に有機酸系のドーパントを含まない導電性ポリマー層
    を形成した後、前処理2として、モノマーと酸化剤と有
    機酸系のドーパントとを含む溶液中に前処理1後の弁金
    属多孔体を浸漬し、その後、多孔体若しくは多孔体内部
    の温度を多孔体外部の前記溶液温度より高くすることに
    より、多孔体内部の重合反応を外部の重合反応より速く
    して前処理1で形成した該有機酸系のドーパントを含ま
    ない導電性ポリマー層上に有機酸系のドーパントを含む
    導電性ポリマー層を形成した後、本処理により有機酸系
    のドーパントを含む導電性ポリマー層をさらに形成する
    ことを特徴とする電解コンデンサの製造方法。
  26. 【請求項26】 陽極が弁金属であり、誘電体層が弁金
    属の酸化物層であり、陰極がドーパントを含む導電性高
    分子層である電解コンデンサの製造方法であって、 前記導電性高分子層が、そのモノマーを重合可能な酸化
    剤とドーパントを含む溶液中で重合させてなるポリマー
    層であって、 前記導電性高分子層の形成方法が、前処理として、モノ
    マーと酸化剤とドーパントとを含む溶液中に、前記誘電
    体層を形成した弁金属多孔体を浸漬して多孔体内部に溶
    液を含浸させた後、多孔体を溶液より引き上げ、前記溶
    液温度より高い温度に保持して重合反応を促進させるこ
    とにより、多孔体内部にドーパントを含む導電性ポリマ
    ー層を形成した後、本処理によりドーパントを含む導電
    性ポリマー層をさらに形成することを特徴とする電解コ
    ンデンサの製造方法。
  27. 【請求項27】 陽極が弁金属であり、誘電体層が弁金
    属の酸化物層であり、陰極がドーパントを含む導電性高
    分子層である電解コンデンサの製造方法であって、 前記導電性高分子層が、そのモノマーを重合可能な酸化
    剤とドーパントを含む溶液中で重合させてなる導電性ポ
    リマー層であって、 前記ドーパントの少なくとも一種が有機酸系であり、 前記導電性高分子層の形成方法が、前処理として、モノ
    マーと酸化剤を含み有機酸系のドーパントを含まない溶
    液中に、前記誘電体層を形成した弁金属多孔体を浸漬し
    多孔体内部に溶液を含浸させた後、多孔体を溶液より引
    き上げ、前記溶液温度より高い温度に保持して重合反応
    を促進させることにより、多孔体内部に有機酸系のドー
    パントを含まない導電性ポリマー層を形成した後、本処
    理により有機酸系のドーパントを含有する導電性ポリマ
    ー層を該有機酸系のドーパントを含まない導電性ポリマ
    ー層上に形成することを特徴とする電解コンデンサの製
    造方法。
  28. 【請求項28】 陽極が弁金属であり、誘電体層が弁金
    属の酸化物層であり、陰極がドーパントを含む導電性高
    分子層である電解コンデンサの製造方法であって、 前記導電性高分子層が、そのモノマーを重合可能な酸化
    剤とドーパントを含む溶液中で重合させてなる導電性ポ
    リマー層であって、 前記ドーパントの少なくとも一種が有機酸系であり、 前記導電性高分子層の形成方法が、前処理1として、モ
    ノマーと酸化剤を含み有機酸系のドーパントを含まない
    溶液中に、前記誘電体層を形成した弁金属多孔体を浸漬
    し多孔体内部に溶液を含浸させた後、多孔体を溶液より
    引き上げ、前記溶液温度より高い温度に保持して重合反
    応を促進させることにより、多孔体内部に有機酸系のド
    ーパントを含まない導電性ポリマー層を形成した後、前
    処理2として、モノマーと酸化剤と有機酸系のドーパン
    トとを含む溶液中に、前処理1後の弁金属多孔体を浸漬
    し多孔体内部に溶液を含浸させた後、多孔体を溶液より
    引き上げ、前記溶液温度より高い温度に保持して重合反
    応を促進させることにより、前処理1で形成した該有機
    酸系のドーパントを含まない導電性ポリマー層上に有機
    酸系のドーパントを含む導電性ポリマー層を形成した
    後、本処理により有機酸系のドーパントを含有する導電
    性ポリマー層をさらに形成することを特徴とする電解コ
    ンデンサの製造方法。
  29. 【請求項29】 前記前処理が、前記重合反応により導
    電性ポリマー層を形成する操作を複数回繰り返すことを
    特徴とする請求項23ないし28いずれかに記載の電解
    コンデンサの製造方法。
  30. 【請求項30】 前記前処理における多孔体の前記溶液
    温度より高い温度に保持する方法が、多孔体内部に接続
    するリード部分を熱伝導媒体として加熱することを特徴
    とする請求項23ないし29いずれかに記載の電解コン
    デンサの製造方法。
  31. 【請求項31】 前記本処理が、モノマーと酸化剤とド
    ーパントとを含む溶液中に前記前処理をした弁金属多孔
    体を浸漬し、前処理により形成された導電性ポリマー層
    上に、重合反応によりドーパントを含む導電性ポリマー
    層を形成することを特徴とする請求項23ないし30い
    ずれかに記載の電解コンデンサの製造方法。
  32. 【請求項32】 前記本処理が、少なくともいずれか一
    方にドーパントを含有させたモノマー溶液と酸化剤溶液
    とに前記前処理を施した弁金属多孔体を交互浸漬し、前
    記前処理により形成された導電性ポリマー層上に、重合
    反応によりドーパントを含む導電性ポリマー層を形成す
    ることを特徴とする請求項23ないし30いずれかに記
    載の電解コンデンサの製造方法。
  33. 【請求項33】 前記本処理が、前記重合反応により前
    記ドーパントを含む導電性ポリマー層を形成する操作を
    複数回繰り返すことを特徴とする請求項31又は32記
    載の電解コンデンサの製造方法。
  34. 【請求項34】 前記モノマーが複素環式五員環化合物
    若しくはその誘導体である請求項1から33いずれかに
    記載の電解コンデンサの製造方法。
  35. 【請求項35】 前記ドーパントもしくは前記有機酸系
    のドーパントが、アーリルスルホン酸イオン若しくはア
    ーリルリン酸イオンである請求項1から33いずれかに
    記載の電解コンデンサの製造方法。
  36. 【請求項36】 前記弁金属が、アルミニウム若しくは
    タンタルである請求項1から33いずれかに記載の電解
    コンデンサの製造方法。
  37. 【請求項37】 請求項1ないし36いずれかに記載の
    導電性高分子層の形成方法を用いて製造した電解コンデ
    ンサ。
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