JPH1171634A - 製缶用鋼板、製缶用表面処理鋼板及びスチール缶 - Google Patents

製缶用鋼板、製缶用表面処理鋼板及びスチール缶

Info

Publication number
JPH1171634A
JPH1171634A JP24758697A JP24758697A JPH1171634A JP H1171634 A JPH1171634 A JP H1171634A JP 24758697 A JP24758697 A JP 24758697A JP 24758697 A JP24758697 A JP 24758697A JP H1171634 A JPH1171634 A JP H1171634A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel
steel sheet
iron
contents
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP24758697A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichiro Akao
謙一郎 赤尾
Kaneharu Okuda
金晴 奥田
Akio Tosaka
章男 登坂
Hiroki Nakamaru
裕樹 中丸
Masatoshi Araya
昌利 荒谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP24758697A priority Critical patent/JPH1171634A/ja
Publication of JPH1171634A publication Critical patent/JPH1171634A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Rigid Containers With Two Or More Constituent Elements (AREA)
  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 缶内面に施しためっきや塗膜等の表面皮膜に
存在する微小欠陥によって生じる缶素材から内容物中へ
溶出する鉄イオンの量を減じて、内容物の変性や風味変
化を防止することを可能にする。 【解決手段】 この発明の製缶用鋼板は、C:0.0005〜
0.0400wt%、S:0.0005〜0.0200wt%、P:0.0005〜0.
0200wt%を含有する素地鋼によって形成され、Fe,C,Mn,
S,Al,Nの少なくとも2種を構成成分とする析出物は、前
記素地鋼の断面積に占める面積率が3%以下であり、か
つ最大径が0.5 μm 以下であることを特徴とする。この
発明の製缶用表面処理鋼板は、上記鋼板にSnめっき又は
電解クロム酸処理を施したものである。この発明のスチ
ール缶は、上記製缶用鋼板又は上記表面処理鋼板を使用
したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、缶内面を被覆す
る表面皮膜の微小欠陥によって生じる缶素材から缶内容
物中への鉄の溶出を減じて、内容物の変性や風味変化を
極力防止することが可能な製缶用鋼板、すずめっき又は
電解クロム酸処理を施した製缶用表面処理鋼板、及びこ
れらの鋼板を使用したスチール缶に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼はそれ自体腐食しやすい性質を有する
ことから、鋼を缶用素材として使用する場合には、通常
は素地鋼の表面にめっき等の表面処理を施して、例えば
ぶりきやティンフリースチールのような表面処理鋼板に
し、これを使用してスチール缶を製造するのが一般的で
ある。さらに必要に応じて塗装を施したりフイルムで被
覆することもある。
【0003】このようにして製造したスチール缶の内面
を被覆する表面皮膜は、ミクロ的にみれば完全に欠陥が
ない場合は少なく、通常は皮膜欠陥やフィルム欠陥のよ
うな微小欠陥が存在することが多い。
【0004】これらの微小欠陥が存在すると、缶素材か
ら内容物中に鉄が溶出する原因となるが、このときの鉄
の溶出量はきわめて微量であり、缶に穿孔が生じる程の
腐食が生じることは少なく、缶体そのものの耐食性の点
で問題になることはほとんどない。
【0005】しかしながら、缶に充填される内容物によ
っては、わずかな量の鉄イオンが溶出しただけでも、内
容物に変性や風味変化が著しく発生する場合があり、か
かる場合には、内容物の品質を保持することができず、
商品価値を失うおそれがあった。
【0006】特に最近の飲料缶の普及等によって、スチ
ール缶に種々の内容物が充填されるようになってきたこ
とに伴い、缶素材から内容物中に溶出する鉄イオンの量
に対してはより一層の厳しい制限が課せられる状況にあ
る。
【0007】これに加えて、コスト削減の要望から、め
っきや塗装の皮膜は極力薄くする方向にある現状を踏ま
えると、鉄イオン溶出量をより一層低レベルまで減する
ことは非常に困難であった。
【0008】前記の問題を解決するものとして、例え
ば、特開昭61−6293号公報の方法が提案されている。こ
れは、Crを含有する、あるいはCr, Ni, Tiを含有する冷
延鋼板にNi系下地めっき、Snめっきさらに加熱溶融処理
する方法である。しかしながら、鋼中にCrを含有するた
めに、冷延鋼板の最表層にCr系酸化物層が形成され、た
とえめっき前に強力な酸洗を行っても、この酸化物層は
残存するために、めっきの形成が困難になる。したがっ
て、結果的にめっき欠陥の多いSnめっき鋼板となり、Fe
溶出が多くなるという問題があった。
【0009】さらに、鋼の代わりにステンレス鋼等のよ
うに優れた耐食性を有する素材を使用したり、塗料を二
重三重に塗布したり、フィルムを厚くする等の対策を講
じることは可能ではあるが、これらは、いずれも実際的
ではなく、また高速かつ大量に生産を行う現在の製缶工
程の大幅な変更を強いることになる。
【0010】このような缶素材から缶内容物中への鉄の
溶出、いわゆる鉄臭の問題から、缶に充填される内容物
によってはスチール缶が使用できないため、これに代わ
ってアルミ缶を使用する場合も生じるようになり、この
鉄臭の問題は、本来リサイクルに優れた特性を持つスチ
ール缶の普及を妨げていた。
【0011】この発明の目的は、缶素材に施しためっ
き、クロム酸処理皮膜あるいはこれら表面処理鋼板又は
鋼板に処理された塗膜やフィルムの表面皮膜に存在する
微小欠陥によって生じる缶素材から内容物中へ溶出する
鉄イオンの量を極力減じて、内容物の変性や風味変化を
防止することを可能にした製缶用鋼板、この鋼板にすず
めっき又は電解クロム酸を施した製缶用表面処理鋼板、
及びこれらの鋼板を使用したスチール缶を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の製缶用鋼板は、C:0.0005〜0.0400wt
%、S:0.0005〜0.0200wt%、P:0.0005〜0.0200wt%
を含有する素地鋼によって形成され、Fe,C,Mn,S,Al,Nの
少なくとも2種を構成成分とする析出物は、前記素地鋼
の断面積に占める面積率(以下「占有率」という。)が
3%以下であり、かつ最大径が0.5 μm 以下であること
を特徴とする。
【0013】尚、上記占有率の測定は、具体的には鋼板
断面を電解研磨により薄膜としたものを透過型電子顕微
鏡撮影して得られた写真からパーソナルコンピュータの
画像解析により析出物の面積を求めることによって行っ
た。また、析出物の最大径は、具体的には上記撮影範囲
内にある析出物のうちで最も大きな析出物の径の最大値
を意味する。
【0014】加えて、上記以外の添加元素は通常添加さ
れる程度の量であれば、析出物の析出状態に変化を与え
ず、実缶での鉄臭の有無及び鉄溶出量に影響を与えない
ので鋼の強度・加工性向上等の目的で適宜鋼中に添加す
ればよい。
【0015】具体的には、Si:0.2 wt%以下、Mn:0.05
〜0.60wt%、Al:0.15wt%以下及びN:0.02wt%以下と
し、特に加工性の向上を重視する場合には、Nb:0.003
〜0.020wt %及び/ 又はTi:0.003 〜0.020wt %を含有
することが好ましい。
【0016】そして、上記鋼板をスチール缶に使用する
場合には、少なくとも缶内面に直接フィルムを貼着した
だけで使用することもできるが、好ましくは、この鋼板
にSnめっき又は電解クロム酸処理を施してぶりき又はテ
ィンフリースチールのような表面処理鋼板にして使用す
ることが好ましく、さらに、必要に応じて塗装を施した
りフィルムで被覆してもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】前述したように既存の製缶工程の
大幅な変更を強いることなく、特に缶内面に施した表面
皮膜の微小欠陥を原因として発生する傾向にある缶素材
から内容物中に溶出する鉄イオンの量を減じて、缶内容
物の変性や風味変化を防止するためには、缶素材自体が
良好な耐食性を具備することは勿論のこと、特に表面皮
膜の微小欠陥を原因として生じる缶素材の局部腐食を防
止する必要がある。
【0018】そのため、発明者らは、缶内面の表面皮膜
の微小欠陥によって局部腐食が生じて金属鉄が鉄イオン
になって溶出する原因について鋭意検討を行った。ここ
で、缶内容物の変性、特に風味変化については、この発
明の鋼板に表面処理を施した後DI缶若しくはDRD缶
に成形し、内容物を充填して実缶試験を行い、実際に食
味していわゆる「鉄臭を感じる」か否かで評価した。ま
た、この際、一部については缶内容物への鉄溶出量を原
子吸光法による定量も試みた。その結果、鋼中のC,S
及びP量が鉄イオン溶出量と相関があること、即ち、
C, S, Pの含有量の適正化を図れば鉄イオン溶出量を
少なくできることを見出した。
【0019】しかし、鋼中のC、S、P量の適正化だけ
を図っても、鋼種によっては鉄イオン溶出量を十分に低
減することができない場合があった。
【0020】そのため、発明者らはさらに鉄イオン溶出
量を低減するため、鋼組成の異なる種々の鋼を作製し、
各鋼の断面を電子顕微鏡による写真撮影を行い、鋼組織
と鉄イオン溶出量との関係を調べた。
【0021】図 1(a) は鉄イオン溶出量が少ない鋼の代
表的な断面組織であり、図 1(b) は鉄イオン溶出量が多
い鋼の代表的な断面組織を示す。図中の黒い斑点は析出
物である。
【0022】図 1(a),(b) から明らかなように、析出物
の存在割合が低い鋼(図 1(a) )は鉄イオン溶出量が少
なく、反対に、析出物の存在割合が高い鋼(図 1(b) )
は鉄イオン溶出量が多い傾向を有していることが判明し
た。
【0023】また、図1(b)中の黒い斑点で示されている
析出物についてEDX 分析を行ったところ、この析出物
は、Fe、C、Nb、Ti、N、Mn、S、Alから構成されてい
ることも明らかになった。
【0024】このことから、発明者らは、鋼中のC,
S, Pの含有量の適正化と析出物の適正化を図ること、
具体的には、C:0.0005〜0.0400wt%、S:0.0005〜0.
0200wt%、P:0.0005〜0.0200wt%を含有する素地鋼に
よって形成され、Fe,C,Mn,S,Al,Nの2種以上を構成成分
とする析出物の占有率を3%以下とし、かつ前記析出物
の最大径を0.5 μm 以下にすることによって、上記問題
点を解決することができ、内容物中への鉄イオンの溶出
を極力少なくできることを見出し、この発明を完成する
に至ったのである。
【0025】以下にこの発明を上記構成に限定した理由
について説明する。 (1) 鋼組成成分について C:0.0005〜0.0400wt% Cは鋼の強度確保のために必要な元素である。しかし、
C含有量が0.0400wt%を超えると、析出物そのものとな
ったり析出を促進する作用があるため好ましくなく、ま
た、0.0005wt%未満にしても缶内容物の変性、風味変化
の防止効果はもはやほとんど改善されず、製造コストが
過大となる問題もあるため好ましくない。従って、C含
有量は0.0005〜0.0400wt%とした。
【0026】S:0.0005〜0.0200wt% Sは鋼中に不可避的に混入する元素であり、S系析出物
の析出を抑制する点から低減することが望ましい。S含
有量が0.0200wt%を超えると、析出物そのものとなった
り析出を促進する作用があるため好ましくなく、また、
0.0005wt%未満にしても缶内容物の変性、風味変化の防
止効果はもはやほとんど改善されず、製造コストが過大
となる問題もあるため好ましくない。従って、S含有量
は0.0005〜0.0200wt%とした。
【0027】P:0.0005〜0.0200wt% Pは鋼中に不可避的に混入する元素であり、P系析出物
の析出を抑制する点から低減することが望ましい。P含
有量が0.0200wt%を超えると、析出物そのものとなった
り析出を促進する作用があるため好ましくなく、また、
0.0005wt%未満にしても缶内容物の変性、風味変化の防
止効果はもはやほとんど改善されず、製造コストが過大
となる問題もあるため好ましくない。従って、P含有量
は0.0005〜0.0200wt%とした。
【0028】一方、上記以外の添加元素は通常添加され
る程度の量であれば、析出物の析出状態に変化を与え
ず、実缶での鉄臭の有無及び鉄溶出量に影響を与えない
ので鋼の強度・加工性向上等の目的で適宜鋼中に添加す
ればよい。
【0029】Si:0.2 wt%以下 Siは0.2 wt% を超えて含有させると析出物の析出を促進
させる傾向があるので、0.2 wt% 以下にすることが好ま
しい。
【0030】Mn:0.05〜0.60wt% Mnは、0.60wt% を超えて含有させると析出物の析出を促
進し、0.05wt%未満では熱延時に耳荒れが発生する傾向
があるので0.05〜0.60wt%にすることが好ましい。
【0031】Al:0.15wt%以下 Alは鋼中の酸素濃度を低減し、清浄度を改善するために
含有させることが好ましいが、0.15wt% を超えて含有さ
せると鋳造時に介在物を生じ加工性を低下させる傾向が
あるので、0.15wt% 以下にすることが好ましい。
【0032】N:0.02wt%以下 Nは0.02wt% を超えて含有させると加工性が低下する傾
向があるので、0.02wt% 以下にすることが好ましい。
【0033】Nb:0.003 〜0.020wt %、Ti:0.003 〜0.
020wt % Nb及びTiは、加工性を向上させるために含有させること
が好ましいが、0.020wt%を超えて含有させると連続焼鈍
時の再結晶温度が高くなり、また製造コストが増大する
という問題があり、また、0.003wt %未満では加工性向
上効果が認められなくなる傾向があるので0.003 〜0.02
0wt %にすることが好ましい。
【0034】(2) 前記析出物について (a)前記析出物の占有率:3%以下 上記適正範囲のC、S、P量を含有する種々の鋼板を作
製し、各鋼板にSnめっき若しくは電解クロム酸処理によ
る表面処理を施した後、DI缶若しくはDRD缶に成形
し、場合によってはさらに塗装し、市販のお茶飲料を充
填して密封し、10時間室温で放置後食味して鉄臭の有
無を調べた。また、この際の缶内容物への鉄溶出量を原
子吸光法によって定量した。尚、各鋼において、鉄溶出
量の相違を明らかにするため、塗膜若しくはフィルムに
はカッターナイフで長さ5mmの一筋の傷を入れてある。
この結果を図2に示す。
【0035】図2の結果から、析出物の占有率が3%以
下である全ての鋼については、いずれもお茶飲料を食味
しても鉄臭は感じず、内容物中への鉄溶出量も低レベル
(0.020ppm以下) であった。一方、析出物の占有率が3
%を超える鋼については、いずれもお茶飲料を食味した
ところ鉄臭が感じられ、内容物中への鉄溶出量もかなり
多いことがわかり、また、鉄臭の有無と缶内容物への鉄
溶出量には相関があることもわかった。このことから、
Fe,C,Mn,S,Al,Nの少なくとも2種を構成成分とする析出
物の占有率は3%以下とした。
【0036】(5) 前記析出物の最大径:0.5μm 以下 また、析出物の占有率が3%以下であっても、径が0.5 μ
m を超える粗大粒がある場合には、実缶試験で鉄臭が生
じ鉄溶出量が多くなる場合があった。従って、Fe,C,Mn,
S,Al,Nの少なくとも2種を構成成分とする析出物の最大
径は0.5 μm 以下とした。
【0037】尚、析出物の最大径が0.5 μm 以下の場合
に鉄溶出量が抑制される理由については明確てはない
が、局部カソードとなる析出物が大きいとカソード反応
により生じた水素等が脱離しやすく反応が進行するため
と考えられる。ここでNbを添加した場合に析出するNbC
は粒径が極めて小さいこと(0.1μm 以下) が確認されて
おり、NbC のみの析出物は鉄溶出量への悪影響はなかっ
た。しかしながらNbC を核としたFe, C,Mn, S,Al,
Nの二種以上を含む析出物は粗大化する場合があり、こ
れらは占有率3%以下、最大径0.5 μm 以下でなければ
ならない。
【0038】また、この発明においては、析出物の占有
率が3%以下、かつ径が0.5 μm 以下に制御することが重
要であるが、この析出物の制御は、例えば熱間仕上げ圧
延終了後、直ちに(0.5 秒以内)急冷を開始する方法に
よって行うことができる。
【0039】この理由は定かではないが、熱間圧延後に
直ちに冷却することで鋼板表面付近の結晶径が微細化す
るためではないかと推定している。介在物は通常粒界に
析出することから、鋼板の結晶粒そのものが微細化する
ことで、介在物も微細化するものと思われる。
【0040】尚、上記析出物の制御方法としては、上述
した方法だけには限定されず種々の方法を用いることも
できる。
【0041】以上の素地鋼組成を有する製缶用鋼板にSn
めっきあるいは電解クロム酸処理を施すことも可能であ
り、又上記製缶用鋼板あるいは表面処理鋼板を、缶胴だ
けでなく缶蓋や缶底に使用することによって、鉄溶出量
の少ないスチール缶を製造することが可能であり、これ
により缶内容物の変性、風味変化を防止し、種々の缶内
容物中においても鉄臭を感じることがないので、ビール
等の従来スチール缶が普及されなかった分野にも鋼板を
製缶用材料として使用できるようになる。
【0042】
【実施例】次にこの発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。各種成分を有する真空溶解鋼を圧延して板厚
0.2mmの鋼板とした。実施例1〜5及び比較例A〜C
は、表1に示す鋼組成を有する鋼板に、下記に示す条件
のSnめっきとクロメート処理を行った後DI缶に成形
し、缶内面にエポキシフェノール系塗料を塗布し、210
℃で10分間保持して焼付硬化させた。
【0043】この缶内面にカッターナイフで長さ5mmの
一筋の傷を入れ、市販のお茶飲料を充填して脱気した
後、缶蓋を巻き締めて密封し、10時間室温で放置した後
に食味して鉄臭の有無を判定した。また、この際の缶内
容物への鉄溶出量を原子吸光法によって定量した。これ
らの評価結果を表1に示す。
【0044】また、実施例6〜10及び比較例D〜Eは、
鋼板に下記に示す条件で電解クロム酸処理を施した後、
280 ℃に加熱保持し、このTFS鋼板に結晶性飽和ポリ
エステル樹脂フィルムをラミネートし急冷した(2
秒)。このラミネート鋼板を公知のDRD加工によりD
RD缶(絞り再絞り缶)に成形し、成形した各缶体を上
述したのと同様な方法で評価し、それらの評価結果を表
1に示す。
【0045】〔Snめっき〕: Sn(2価)イオン 30 g/l 遊離酸(硫酸換算) 30 g/l 添加剤 1 g/l 浴温 45 ℃ 電流密度 20 A/dm2 Snめっき付着量 1.0 g/m2
【0046】〔クロメート処理〕: 重クロム酸ナトリウム 15 g/l pH 5 浴温 50 ℃ 浸漬時間 1 秒
【0047】〔電解クロム酸処理〕: CrO3 60 g/l 遊離酸(硫酸換算) 1 g/l 添加剤 1 g/l 浴温 50 ℃ 電流密度 50 A/dm2 金属Cr付着量 100 mg/m2 上記クロム水和酸化物付着量 18 mg/m2
【0048】
【表1】
【0049】表1の評価結果から、実施例1〜10は、い
ずれも実缶試験後の鉄臭がなく、内容物中への鉄溶出量
も少なく、内容物の風味変化が認められなかった。
【0050】一方、比較例A〜Eは、鋼中のC,S,P
含有量、析出物の占有率及びその最大径のうちの少なく
とも1つがこの発明の適正範囲外であるため、カソード
反応が促進された結果、実缶試験後に鉄臭を生じ、内容
物中への鉄溶出量も多く、缶内容物の風味が著しく損な
われていた。
【0051】
【発明の効果】この発明によれば、缶内面に施された表
面皮膜に微小欠陥があったとしても、缶内面から溶出す
る鉄イオンの量を極力少なくして、缶内容物の変性や風
味変化を防止することを可能にした製缶用鋼板、この鋼
板にすずめっき又は電解クロム酸を施した製缶用表面処
理鋼板、及びこれらの鋼板を使用したスチール缶を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】透過電子顕微鏡で撮影した析出物の分布状態を
示したものであり、(a) は鉄溶出量が少ない鋼(実施例
1)の断面の薄膜を撮影した図面の代用写真であり、
(b) は鉄溶出量が多い鋼(比較例A)の断面の薄膜を撮
影した図面の代用写真である。
【図2】内容物を充填して実缶試験を行ったときの、内
容物の鉄臭の有無及び内容物への鉄溶出量と、析出物が
鋼断面において占める面積率(占有率)の関係を示す図
の一例である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 登坂 章男 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 中丸 裕樹 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 荒谷 昌利 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.0005〜0.0400wt%、S:0.0005〜
    0.0200wt%、P:0.0005〜0.0200wt%を含有する素地鋼
    によって形成され、Fe,C,Mn,S,Al,Nの少なくとも2種を
    構成成分とする析出物は、前記素地鋼の断面積に占める
    面積率が3%以下であり、かつ最大径が0.5 μm 以下で
    あることを特徴とする製缶用鋼板。
  2. 【請求項2】 Si:0.2 wt%以下、Mn:0.05〜0.60wt
    %、Al:0.15wt%以下及びN:0.02wt%以下である請求
    項1に記載の製缶用鋼板。
  3. 【請求項3】 さらにNb:0.003 〜0.020wt %及び/ 又
    はTi:0.003 〜0.020wt %を含有する請求項1又は2に
    記載の製缶用鋼板。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3に記載の鋼板にSnめ
    っき又は電解クロム酸処理を施してなる製缶用表面処理
    鋼板。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼
    板を使用したスチール缶。
JP24758697A 1997-08-29 1997-08-29 製缶用鋼板、製缶用表面処理鋼板及びスチール缶 Pending JPH1171634A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24758697A JPH1171634A (ja) 1997-08-29 1997-08-29 製缶用鋼板、製缶用表面処理鋼板及びスチール缶

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24758697A JPH1171634A (ja) 1997-08-29 1997-08-29 製缶用鋼板、製缶用表面処理鋼板及びスチール缶

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1171634A true JPH1171634A (ja) 1999-03-16

Family

ID=17165718

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24758697A Pending JPH1171634A (ja) 1997-08-29 1997-08-29 製缶用鋼板、製缶用表面処理鋼板及びスチール缶

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1171634A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9689052B2 (en) 2009-05-18 2017-06-27 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Very thin steel sheet and production method thereof

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9689052B2 (en) 2009-05-18 2017-06-27 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Very thin steel sheet and production method thereof

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5884161B2 (ja) 缶用鋼板用原板と缶用鋼板の製造方法
US5534089A (en) Method of manufacturing small planar anisotropic high-strength thin can steel plate
US3772091A (en) Very thin steel sheet and method of producing same
WO2020129482A1 (ja) 缶用鋼板およびその製造方法
JPH1171634A (ja) 製缶用鋼板、製缶用表面処理鋼板及びスチール缶
JP3377825B2 (ja) 缶用鋼板およびその製造方法
JPS61110744A (ja) 包装用a1合金板及びその製造方法
JP2623432B2 (ja) 薄肉化深絞り缶用途に適した鋼板およびその製造法
JP3932658B2 (ja) 均一変形性および表面美麗性に優れた缶用鋼板の製造方法
JP3163986B2 (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板
JP2002060900A (ja) イヤリング性の極めて優れた絞り缶用鋼板および製造方法
JPH08337842A (ja) 耐木目状疵性に優れた電気亜鉛めっき用鋼板および電気亜鉛めっき鋼板、並びにそれらの製造方法
JP3775215B2 (ja) 磁気シールド材、磁気シールド材用鋼板とその製造方法
JP4655432B2 (ja) 塗装皮膜の密着性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JP3164853B2 (ja) 食缶用薄鋼板の製造方法
JP2000282289A (ja) 高速溶接性に優れた缶用鋼板およびその製造方法
JPH11315346A (ja) イヤリング性の優れた深絞り缶用鋼板および製造方法
JPH07102344A (ja) 深絞り性と耐深絞り脆性とのバランスの優れた連続焼鈍冷延鋼板
JP3224265B2 (ja) ネックドイン加工性に優れた非時効性容器用鋼板
JPH04236751A (ja) 成形性の優れた合金化亜鉛メッキ鋼板およびその製造方法
JPH0585619B2 (ja)
JPH07331383A (ja) 耐食性に優れた表面処理用冷延鋼板およびその表面処理鋼板
JP3273383B2 (ja) 深絞り性の優れた冷延鋼板およびその製造方法
JPH051327A (ja) 耐食性と深絞り性に優れた表層フエライト系ステンレス複層冷延鋼板及びその製造法
JPS5948860B2 (ja) 電解エッチング性の優れた弗素樹脂コ−ト厨房器用Al基合金板の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040608