JPH0585619B2 - - Google Patents

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JPH0585619B2
JPH0585619B2 JP12753285A JP12753285A JPH0585619B2 JP H0585619 B2 JPH0585619 B2 JP H0585619B2 JP 12753285 A JP12753285 A JP 12753285A JP 12753285 A JP12753285 A JP 12753285A JP H0585619 B2 JPH0585619 B2 JP H0585619B2
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Japan
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steel
annealing
steel foil
treatment
foil
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JP12753285A
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Kazukyo Terayama
Yashichi Ooyagi
Yukio Tsukamoto
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) この発明は、加工性と同時に、耐蝕性、及び各
種プラスチツクフイルム、塗料、接着剤等との接
着性に優れた鋼箔の製造法に関する。 (従来の技術) 最近、各種の包装材、容器あるいは電気器機等
の分野に、鋼箔を適用しようとする動きがある
が、性能の面あるいは価格の面でも、末だ満足さ
れるものがなく、改善が望まれている。 鋼箔の製造法としては、現在 (a) 冷間圧延による方法(鉄鋼製造法,第3分
冊,加工2,昭和47.9.30丸善発行,639頁記
載)。 (b) 電気鉄メツキによる方法(電解法)。 (c) 溶鋼をロール表面へ流し急冷して鋼箔を形成
せしめる方法(急速冷却法)。 等が実用化されているが、それぞれ得失があり、
生産性,成品の性能,価格等の面から見て、改善
すべき点が多い。 (発明が解決しようとする問題点) 前述(a)の冷間圧延法は、現在大量に生産されて
いる冷延薄板を更に箔に迄冷間圧延する方法で、
現用の冷延薄板の製造設備が使用出来、広巾で、
表面状態及び形状の優れた鋼箔を製造出来、又生
産性にも優れている。しかし、この方法によつて
圧延された鋼箔は、高い冷間圧下を受けているた
めに、加工硬化が大きく加工性に甚だ乏しい。加
工性を回復せしめるには、焼鈍を施す必要がある
が、現在薄鋼板の焼鈍に用いられている箱焼鈍あ
るいは連続焼鈍法で、鋼箔を焼鈍する事は甚だ困
難である。即ち箱焼鈍では、鋼箔は強い張力をか
けて巻かれた、所謂コイルの状態で、長時間炉内
で加熱されるために、焼付きと称されている鋼箔
表面同志が圧着する現象があり、焼鈍後巻ほどく
事が出来なくなる。連続焼鈍では、コイルを巻戻
しながら、多数のロールが設置された焼鈍炉内を
通過せしめるために、鋼箔に回復不能なしわ、絞
りが発生し、しばしば破断を生じる。このため、
厚さ150μm以下、就中100μm以下では、焼鈍され
る事なく冷延のままで成品とされるのが一般であ
る。又、仮りに焼鈍を行なえたにしても、焼鈍に
よつて降伏点伸びが回復しているため、僅かの加
工で腰折れと称せられている鋭角の折れや、リユ
ーダスラインと呼ばれている凹凸模様が発生す
る。これを防止するため、ブリキやT.F.S.では、
焼鈍後調質圧延と称する軽圧下の圧延を行なつて
いる。然るに、厚さ150μm以下、就中100μm以下
の焼鈍鋼箔は、腰折れ、あるいはリユーダスライ
ンの発生を防ぐに必要な調質圧下率0.5%以上、
望ましくは1〜2%を与える事が甚だ困難なため
調質圧延は行なわれていないのが実状である。更
に、容器用鋼箔の場合、各種プラスチツクフイル
ム、紙等と貼合せ、あるいは塗装して使われるた
めに、これ等フイルムとの接着剤を介しての接着
力,塗装性,塗膜の密着力に優れている事、及び
実際に腐食性の水分を含む食品等の容器として使
用された場合、被膜を滲透した水分による腐食及
び被膜の接着力低下を防ぐために、耐蝕性に優れ
ている事が必要である。このためには、何等かの
表面処理を施す必要があるが、焼鈍した鋼箔の場
合、既存のブリキ、あるいはT.F.S.製造設備の如
く、大量のロールが設置され通板に大きな張力を
必要とする設備では、回復不能のしわ、絞り更に
は破断が多発し、処理出来ない。従つて、現在の
表面処理鋼箔は、表面処理設備を通すに必要な張
力に耐え、絞りが比較的発生し難い厚さ100μm程
度の焼鈍されていないものがあるのみである。こ
の鋼箔は、接着性,耐蝕性には優れているが、高
圧下の冷間圧延を受けたままであるため加工性が
悪い。この外に、表面処理された鋼箔として、板
厚0.2mm以上のブリキを冷間圧延した所謂Tin
Firstと呼ばれるブリキ箔があるが、やはり高い
冷間圧下を受けたままであるため、加工性が悪い
ばかりでなく、錫メツキした後に圧延されている
ため、メツキ層の損傷が大きく。性能が不充分で
ある。又、錫は高価なため、より安価で高性能の
表面処理が強く望まれている。 (b)の電気鉄メツキ法による鋼箔の製造法は、2
価の鉄イオンを含む酸性メツキ浴中でロール表面
へ鉄を電析せしめ、連続的に剥ぎ取る方法である
が、鋼箔の生成速度がクーロンの法則に従うた
め、甚だ生産性が悪く大量の電気を必要とするた
め、同一厚さであれば冷延法より高価である。
又、局部的に電析が進行した微小凸部を生じ易
い、厚くなる程電析側の表面粗さが大きくなる等
の難点がある。更に、鉄メツキ浴中のFe2+
Fe3+に酸化され易く、Fe3+が増えるとメツキ効
率の低下、メツキ状態の悪化等を生じ、安定した
メツキが出来なくなるため、メツキ浴組成の管理
を厳重にする必要があり、このメツキ浴管理に多
額の費用を要する。次に、この鋼箔の場合も、表
面処理を施す事は困難であり、高性能の表面処理
が施されたものは未だ製造されていない。この電
気メツキ法による鋼箔を、冷間圧延法のそれと比
較した場合、加工性においては電気メツキ法のが
若干優れているものの、その他の性能では冷間圧
延法のものと同等であるかもしくは劣る上、製造
コスト特に生産性の面では大きく劣つている。 (c)の急速冷却法による鋼箔の製造法は、熔鋼を
冷却ロール上へカーテン状に滴下して急冷し、連
続的に巻き取つて箔を得る方法であり、非晶質の
鋼箔が得られる。この方法で作つた非晶質の電磁
鋼箔は、極めて優れた電磁特性を持つ故に、電気
機器材料として実用化されているが、大量生産を
行なうには至つていない。この鋼箔は非常に強度
が高く、機械的性質に方向性がないという特徴を
持つているが、絞り加工性が悪い。又、この鋼箔
においても、表面処理が望まれているが、この場
合にも、既に述べて来た様に、容器用材に要求さ
れる表面処理を行う事は甚だ困難である。 以上に述べて来た代表的な3種の鋼箔製造法の
中では、生産性、製造価格等の面から見て、冷間
圧延法が最も有利であるが容器用として見た場合
には性能的に改善を要する。 この発明の目的は冷間圧延法によつて鋼箔を製
造する場合の前述した問題点を解決して加工性と
耐蝕性、密着性のすぐれた鋼箔を製造する方法を
提供することにある。 (問題点を解決するための手段及び作用) 前記の如き目的を達成するために本発明は非時
効性の低炭素鋼を用いて冷間圧延により150μm以
下の厚みの鋼箔にまで圧延し、次いで表面処理を
行つた後短時間の急速焼鈍を行うこと、さらに必
要によつては急速焼鈍時の冷却過程で再度表面処
理を行うことに特徴がある。このような本発明法
によれば焼鈍後に調質処理を施すことなく加工性
のすぐれた鋼箔製品を製造することができる。 以下、本発明について詳細に説明する。 冷間圧延法によつて加工性の良い鋼箔製品を得
るには、従来技術の考え方では焼鈍後、調質が必
要である。しかし従来のブリキあるいはT.F.S.原
板に行なわれている調質圧延をそのまま鋼箔に適
用することは後述するように著しく困難である。
そこで本発明者等は焼鈍後の調質処理を省略する
ことと、併せて表面処理工程での処理速度を上げ
るために、焼鈍前の強度が高い状態で表面処理す
る方法について検討した。 本発明では炭素含有量が0.05%以下の非時効性
低炭素鋼を用いることによつて焼鈍後の調質処理
を省略することに1つの特徴があるが、この点に
ついて説明する。 低炭素普通鋼は、冷間圧延後焼鈍すると、降伏
現象が再現する。降伏点現象は、鋼中の固溶C,
Nが原因であり、完全に脱炭,脱窒された焼鈍材
は降伏点現象を生じない。又、Ti,Nb,Zr,
Cr,V,B,Al等の安定な炭化物あるいは窒化
物を形成する元素を添加した鋼は、焼鈍しても降
伏点を示さない事が知られている。又、固溶C,
Nは、焼鈍時に急冷した場合、焼入れ時効の原因
となり、降伏点現象が再現する原因となる他、調
質圧下率が低い場合、歪時効により降伏点現象が
再現する原因となる。この様な焼入れ時効及び歪
時効に対しても、Ti,Nb,Zr,Cr,V,B,Al
等の添加が有効である。これ等元素の他の炭化物
あるいは窒化物を形成する元素はTa,W,MO,
等多くの元素が知られているが、C,Nとの反応
し易さ、生成した炭化物あるいは窒化物の安定
性、材質的特性へ及ぼす影響及び価格等の面から
Ti,Zr,NbとB等の添加が適している。Ti,Zr
は鋼中のC,NとNaCl型の極めて安定した炭化
物及び窒化物を形成する。Nbも炭化物及び窒化
物を形成するが、炭化物はNaCl型で極めて安定
しているのに対し、窒化物は安定性が劣る。その
ため、Nbを用いるときは、より安定で微細な窒
化物を形成するBと複合添加する事が望ましい。
Ti又はZrの添加あるいはNbとBの複合添加によ
つて、鋼中の固溶C及びNは強固に固定され、非
時効性となり、冷間圧延後焼鈍しても、降伏点現
象を示さなくなる。而して、鋼中の固溶C,Nを
完全に固定せしめるに必要な添加量は、化学当量
的にはほぼ次の如くである。 (1) Tiを添加する場合 Ti/C+12/14N>4 (2) Zrを添加する場合 Zr/C+12/14N>8 (3) Nbを添加する場合 Nb/C>8,B/N>0.72 (Ti,Zr,Nb,C,Nは鋼中の%含有量で表
示) 上記は、Ti,Zr,あるいはNb,Bの添加量の
一応の目安であるが実際には鋼中のS,O等とも
反応し失なわれる事と、C,Nと完全には反応し
ない事もあつて完全に固溶C,Nを固定するには
過剰に添加する必要がある。 上記のTi,Zr,NbとB等の何れを用いても、
本発明の目的は達せられるが、価格的にはTiが
最も有利である。低炭素鋼へ添加されたTiによ
つて生成したTiC,TiNは非常に微細で、材質へ
の悪影響が極めて小さい。又Ti添加鋼は、熱間
圧延の終つた段階で、C,Nの全てがTiC及び
TiNとなつてほぼ全量析出し、固溶C,Nがな
く冷間圧延後の焼鈍でも分解せず極めて安定であ
り、従つて焼鈍による降伏点現象の再現もなく、
焼鈍時に急冷しても焼き入れ時効を生じない。
又、焼鈍調質圧延後に見られる歪時効も生じな
い。これ等の現象はZrあるいはNbとBを添加し
た鋼においても同様である。Ti及びZrは又、鋼
中のS,Oとも反応し、硫化物あるいは酸化物を
形成する。鋼中のSは熱間圧延時に赤熱脆性をも
たらす。これを防ぐため、通常Mnを添加して
MnSを形成せしめているが、このMnSは腐蝕環
境下において腐蝕の起点となる。しかるに、Ti
−S化合物はMnSと異なり、酸性の腐蝕液に侵
されず、腐蝕の起点となる事はなく、耐蝕性の面
でも、Tiの添加はMnの添加より優れている。 本発明ではこのように非時効性低炭素鋼を用い
るが炭素含有量が低いほど加工性が良いこと、ま
た炭素量が低いほど焼鈍時に結晶粒が成長し易く
焼鈍温度を低くできることなどから炭素含有量は
低いほど好ましく、一方、炭素含有量が高くなる
ほど前述のように炭素を安定化するために添加す
るTi、その他の添加量が相対的に多くなりコス
ト高となり、さらには特にCC材では表面疵が発
生しやすいので炭素含有量の上限は0.05%とし
た。 以上の如く、Ti,ZrあるいはNbとBを添加し
た非時効性低炭素鋼を用いる事によつて、焼鈍後
に調質を施さないでも加工性及び鋼そのものの耐
蝕性の面でも優れた鋼箔が得られる事が判つた。 既に述べた様に、容器用としての鋼箔には、表
面処理が必要であるが、焼鈍、調質の後表面処理
を施す場合には軟質の鋼箔を能率良く処理する事
は甚だ困難であり、薄くなればなる程困難度は高
くなる。例えば、厚さ100μm以下の焼鈍鋼箔を、
現在のブリキあるいはT.F.S.処理設備を利用して
処理する事は殆んど不可能であるが、冷延のまま
の硬化した状態ではかなり容易となる。例えば、
100μmの冷延のままの鋼箔であば、ブリキあるい
はT.F.S.設備で殆んど支障なく効率良く処理可能
である。 また鋼箔専用のロール数を極単に少くした表面
処理設備であれば10μm程度のうすいものでも処
理が可能である。 従つて本発明では表面処理作業を考慮して焼鈍
前の鋼箔に表面処理を施す点にも1つの特徴があ
る。なお本発明では厚みが150μm以下の鋼箔を対
象とするが、以下にその理由をのべる。 鋼箔製品はその需要家においては厚みが薄いほ
ど使用量が少くてすみコスト的に有利であるため
薄手化が要望されているが、厚みが150μm以下の
鋼箔製品を製造する場合には前述のように従来技
術では焼鈍が著しく困難である。従つて冷間圧延
法による厚みが150μm以下の従来の鋼箔製品は例
えば冷間圧延材を焼鈍後、再度冷間圧延する2CR
法等によつて最終的に冷間圧延したままで製品と
しているため材質的に硬く、加工性が劣ることが
さけられなかつた。 そこで本発明は従来製造が困難とさていた冷間
圧延法で製造された厚みが150μm以下で、加工性
が優れた鋼箔製品を新規に提供することをねらい
としたので鋼箔の厚みの上限を150μmとした。 以上の見地から、本発明者等は、焼鈍後に降伏
点現象解消のための調質を必要としない非時効性
鋼を用い、鋼箔に冷延した後、表面処理を施し、
しかる後焼鈍を施す事によつて、加工性,接着
性,耐蝕性に優れた鋼箔が安価にかつ能率良く得
られる事を見出した。表面処理後の焼鈍によつ
て、表面処理被膜の種類によつては若干性能の劣
化を来すものもあるが、その程度は極めて小さ
く、本発明法で製造した鋼箔の主な用途である容
器用素材としての性能は、充分に保持される。
尚、焼鈍による被膜性能の劣化は、例えば連続焼
鈍における冷却過程で、クロム酸,クロム酸塩、
燐酸,燐酸塩等を含有する単独水溶液あるいはそ
れ等の内の2種以上の混合水溶液を噴霧するか、
そ等の水溶液を入れた槽中へ浸漬する等の方法に
よつて改善、あるいはより向上せしめる事が出来
る。 本発明法で使用する鋼は、現在鉄鋼業で一般に
行なわれている転炉,平炉あるいは電気炉のいづ
れかの製鋼法によつても作られる。しかし、屑鉄
の使用量が多い平炉又は電気炉法よりも、不純物
の少ない転炉法が、容器用としての鋼の耐蝕性の
面から望ましい。Ti,Zr,Nb等は比較的高価な
金属であり、極力添加量を少なくする事が望まし
い。そのためにはこれ等元素と化合物を形成する
元素を極力少なくする事が望ましい。特にTi,
Zr,Nb,B等の添加歩留りを高め、安定して行
なうには、酸素を低くする必要がある。又、酸素
が多いと、生成したこれ等の酸化物は鋼塊の表面
近くに集まり易いため、圧延後の表面疵が発生し
易くなる。これ等の理由から、転炉で熔製した熔
鋼は、脱硫処理を施し、次いで真空脱ガス装置で
脱炭と脱酸を施し、更にAl,Si,Ca等を添加し
て充分に脱酸した後Ti,Zr,あるいはNbとBを
添加する。Ti,Zr,あるいはNbとBを添加する
前の鋼成分は、C:0.05%以下、望ましくは0.01
%以下、S:0.02%以下が望ましい。 以下、本発明の目的を最も安価に達成出来る
Ti添加を例にして製造工程に従つて本発明を説
明する。 Ti添加量は、熔鋼中のC,N,Sと化学量論
的に見合う量が必要であり、一般的に重量比
Ti/Cで10以上となる様添加すれば充分である。
この場合SはTiと化合し、熱間脆性を生じない
ので、鋼の強度を上げる目的がある場合を別とし
てMnを添加する必要がない。而して、既に述べ
た如く、Ti−S化合物はMnSと異なり鋼の耐蝕
性に悪影響がなく、耐蝕性の面でも有利である。 かくの如くしてTiを添加した熔鋼は、現在鉄
鋼業で広く行なわれている方法である金型鋳造又
は連続鋳造により、鋼塊あるいはスラブにした
後、ブリキ原板あるいはT.F.S.原板の製造法と同
じ方法によつて薄鋼板にする。即ち、 熱間圧延→酸洗→冷間圧延→表面清浄→
箱焼鈍あるいは連続焼鈍 の工程を経て板厚0.15mm以上の焼鈍鋼板とする。
この焼鈍鋼板を再び冷間圧延を施して所要の厚さ
の鋼箔とする。この冷間圧延は、仕上厚さが
50μm以上の場合は、現状のブリキ又はT.F.S.原
板の圧延設備を用いて圧延する事が出来る。例え
ば、4重2連の調質圧延機で、能率良く圧延出来
る50μm以下の場合には、ワークロール径の小さ
な例えばゼンジマーミル等の圧延機を用いる事に
よつて、能率の良い圧延が可能である。尚、製造
しようとする鋼箔の厚さが100μm程度と厚い場合
は、熱延板の厚さを適当に薄くする事によつて、
直接鋼箔に迄圧延可能である。即ち、上記焼鈍鋼
板の製造において熱間圧延後の〜の工程を省
略する事が出来るが、100μm程度以下の鋼箔の製
造においては、必ずしも能率的とはいえない。 次に、上記の如くにして得た鋼箔に焼鈍に先立
つて表面処理を施すに際しては厚さ50μm以上で
あれば、現在の電気ブリキ、あるいはT.F.S.等の
連続表面処理設備が使用可能であり、特に100μm
以上であば従来のブリキあるいはT.F.S.の場合と
同様、何等の支障もなく処理出来る。しかし、
50μm以下になると、絞り,破断が生じ易くなり、
ロール数の少ない、通板性の良い処理設備が必要
である。この点からすれば、従来のブリキあるい
はT.F.S.製造設備に比し、極度に簡略な液体ホー
ニング設備による表面処理法は極めて優れた方法
である。表面処理としてはブリキの様な錫メツキ
は、高価であるばかりではなく、又次の焼鈍工程
において地鉄と合金化し、本来持つている優れた
性能及び外観の劣化が大きく望ましくない。 本発明における焼鈍前の表面処理としては、ク
ロムメツキ,ニツケルメツキ,各種のクロム酸あ
るいはクロム酸塩処理,燐酸塩処理,アルミン酸
塩処理等多くのものがあるが就中、現在T.F.S.と
して広く用いられているクロム酸処理被膜が特に
優れている。この被膜は、SO4 2-,F-等の陰イオ
ンを添加したクロム酸処理浴中で陰極電解処理を
行なつたもので、極く薄いクロムメツキ層とその
上の水和酸化クロム層の2層より成り、容器用と
して極めて優れた性能を持つている。ニツケルメ
ツキの上に水和酸化クロム層を付加した被膜も優
れた性能を持つている。しかしこの場合はニツケ
ルメツキとクロム酸処理の2工程が必要であり、
この点、一工程で金属クロム層と水和酸化クロム
層を形成するクロム酸処理の方がすぐれている。 表面処理後の焼鈍に際しては鋼箔の場合、現在
一般に用いられている薄鋼板用の連続焼鈍設備で
は焼鈍が甚だ難しい。現有の連続焼鈍炉は、鋼板
を500m/min程度の高速で加熱,冷却迄に3分
程度の時間をかける様作られているため、炉内に
上下対になつたロールを大量に設置し、鋼板を繰
り返えし蛇行せしめる様にしているため鋼箔の如
く薄いものでは通板に必要な張力が得られず、加
熱による膨腸と相俟つて、絞り、破断が頻発す
る。炉内での破断は炉全体が高温に保たれ、かつ
その熱容量も大きいため、再通板に多大の時間を
要し、受ける損失は甚だ大きい。又、炉外の事故
で停止した場合でも、それが長時間に及ぶと再起
動の際炉内で破断を生じ易い。この様な事故は、
鋼箔では、通常のブリキあるいはT.F.S.原板の場
合よりも発生する頻度が高い。従つて、鋼箔の連
続焼鈍においては、極力通過せねばならないロー
ル数を少なくし、焼鈍時間を短くする事が必要で
ある。焼鈍法について種々検討した結果、鋼箔を
直接加熱する急速焼鈍が好ましいことを見い出し
た。 本発明のTiあるいはZr,あるいはNbとBを添
加した非時効性鋼より作つた鋼箔は、既に述べた
様に、熱間圧延後において既に固溶C,Nが殆ん
ど存在せず、安定かつ微細な炭化物あるいは窒化
物として析出しており、焼鈍によつて分解する事
もなく、又、焼鈍温度から急冷しても焼入れ時効
を生じる事はない。 本発明で行う急速焼鈍法は、鋼箔に直接通電、
誘導加熱あるいはそれ等の組合せ、あるいはそれ
等と簡単な炉とを併用し、鋼箔を再結晶温度以上
に1〜10秒程度の短時間で急速に加熱し、次いで
急冷するものである。而して、この焼鈍方法で
は、加熱時間が極めて短いため、焼鈍による表面
処理被膜の劣化は極めて少ない。 又、クロムメツキ,ニツケルメツキ等メツキ層
の地鉄への拡散、各種の水和酸化物の被膜の脱水
も極度に小さい。更にこの急速焼鈍では、焼鈍で
多少たりとも劣化した表面処理被膜の性能回復あ
るいは向上に有効な処理が、簡単な装置を付加す
る事によつて何等作業性を損う事なく簡単に行な
えるという利点がある。即ち、焼鈍工程におけ
る、所定温度に加熱後の冷却において、クロム
酸,各種のクロム酸塩,燐酸,各種の燐酸塩の1
種又はそれ等の2種以上の混合水溶液を噴霧する
か、又はそれ等の水溶液を入れた槽中へ浸漬した
後水洗乾燥する事によつて、表面処理被膜の性能
を向上せしめる事が出来る。 以上に述べて来た如く、直接通電加熱、誘導加
熱、あるいはこれらの組合せよりなる急速焼鈍法
は、従来の連続焼鈍あるいは箱焼鈍法に比して、
加工性の面では若干劣るものの、表面性能、耐蝕
性等の面では格段に優れており、本発明における
焼鈍方法として最も適している。焼鈍によつて鋼
箔の形状は若干悪化するが、これはテンシヨンレ
ベラーによつて、矯正可能であり、急速焼鈍装置
にはテンシヨンレベラーを設置する事が望まし
い。 (実施例) 実施例 1 高炉にて製鋼用として吹製された熔銑を混銑車
に移し、脱珪,脱硫,脱燐処理を施し、次いで転
炉で精錬した後真空脱ガス装置に移し、脱炭及び
脱ガスを行なつた。Cが0.005%迄脱炭された時
点でフエロマンガンをMnで0.15%になる様添加、
更にAlを固溶Alで0.02%になる様添加して充分
に脱酸した後フエロチタンをTiで0.05%になる様
添加し、連続鋳造設備でスラブにした。このスラ
ブを現在鉄鋼業において一般に用いられている方
法によつて熱間圧延し、板厚2mmの熱延コイルと
し、次いで酸洗を行なつて表面のスケールを除去
した後冷間圧延を行ない厚さ100μmの鋼箔コイル
とした。この鋼箔を連続T.F.S.製造設備により処
理し、金属クロム100mg/m2、水和酸化クロム18
mg/m2よりなる2層被膜を付与した後、急速連続
焼鈍法により、次の条件で焼鈍した。 急速焼鈍条件 加熱方法:直接通電及び誘導加熱の組合せ 最高到達温度:800℃ 加熱時間:2sec 雰囲気:N2,室温 最高温度に到達後の冷却過程で5g/のクロ
ム酸水溶液を高圧窒素で鋼箔表面へ吹き付け、水
洗乾燥し、連続して設置されているテンシヨンレ
ベラーにより形状矯正を行なつて巻き取り成品と
した。 得られた成品の性能を表1に示す。 実施例 2 実施例1で用いたスラブを厚さ3mmに熱延、酸
洗後厚さ0.3mmに冷延した。この冷延コイルを現
在鉄鋼業で一般に用いられている薄鋼板用の連続
焼鈍炉により焼鈍し、次いで調質圧延機で厚さ
50μmの箔に冷延した。次いで連続電解洗浄装置
により表面を清浄した後、下記のアルミン酸塩処
理を施した。 アルミン酸塩処理条件 (1) 処理浴 アルミン酸ソーダ:25g/ 酒石酸:2.5g/ PH :12 温 度:室温 (2):電解処理条件 極 性:鋼箔陽極 電流密度:10A/dm2 処理時間:0.7sec 表面処理後、次に示す条件で急速焼鈍を行なつ
た。 急速焼鈍条件 加熱方法:直接通電及び誘導加熱の組合せ 最高到達温度:750℃ 加熱時間:2sec 雰囲気:96%N2+4%H2,室温 焼鈍時の冷却において5g/のクロム酸水溶
液中に浸漬し、水洗,乾燥及びテンシヨンレベラ
ーによる形状矯正を行なつた後巻き取り、成品と
した。得られた成品の性能を表1に示す。 実施例 3 実施例2におけるアルミン酸塩処理による表面
処理に代えてT.F.S.製造設備により、金属クロム
85mg/m2、水和酸化クロム18mg/m2を有するクロ
ム酸処理を行い他は全て実施例2と同一条件で処
理した。 得られた成品の性能を表1に示す。 尚、本実施例のT.F.S.製造設備による処理にお
いて、鋼箔の横方向へのずれ、絞り等が発生し易
く、作業性がやや悪かつたが、処理速度を下げる
事によつて、良好な処理が行なえた。 実施例 4 実施例2で用いた厚さ0.3mmの焼鈍鋼板を、ゼ
ンジマーミルによつて厚さ30μmに冷間圧延した。
次いで市販の鉄鋼用脱脂兼用燐酸塩処理剤を用い
て化成処理を施した。 処理条件を下記に示す。 処理浴:脱脂兼用鉄鋼用燐酸塩処理浴 温 度:60℃ 処理法:スプレー 処理時間:10秒 燐酸塩処理後、次の条件で急速焼鈍を行なつ
た。 急速焼鈍条件 加熱方法:誘導加熱及び雰囲気加熱の組合せ 最高到達温度:780℃ 加熱時間:1.5sec 雰囲気:N2,450℃ 焼鈍の冷却過程において、10g/の燐酸水溶
液を高圧窒系を用いて噴霧、水洗,乾燥後、テン
シヨンレベラーで形状矯正を行ない成品とした。
得られた成品の諸性能を表1に示す。 実施例 5 実施例4の焼鈍時の冷却過程における燐酸水溶
液噴霧に代えて、1g/のクロム酸水溶液噴霧
とした以外は全て実施例4と同様に処理した。 得られた成品の諸性能を表1に示す。 実施例 6 実施例1の製鋼工程の真空脱ガス処理におい
て、C:0.03%になる様処理し、フエロマンガン
をMnで0.2%になる様に添加、次いで固溶Alで
0.04%になる様Alを加えて充分に脱酸した後、フ
エロチタンをTiで0.18%になる様添加した。この
熔鋼を鋳型に注入し、鋼塊とした後、分塊圧延を
行いスラブとした。以後実施例1と同様に厚さ
100μmの鋼箔とした後、T.F.S.製造設備におい
て、ニツケルメツキ浴を用い、メツキ量1000mg/
m2のニツケルメツキを施し、次いでクロム酸によ
る後処理を行なつた後、急速焼鈍を施した。急速
焼鈍の条件を次に示す。 急速焼鈍条件 加熱方法:直接通電と雰囲気加熱の組合せ 最高到達温度:760℃ 加熱時間:1sec 雰囲気:N2,450℃ 焼鈍の冷却過程で50℃、10g/のクロム酸水
溶液中に浸漬、水洗,乾燥後、テンシヨンレベラ
ーをかけて形状矯正を行ない成品とした。 得られた成品の諸性能を表1に示す。 実施例 7 実施例1と同様に製鋼工程の真空脱ガス処理に
おいて、C=0.002%になる様処理し、次いでフ
エロマンガンをMnで0.25%になる様に添加、さ
らにフエロシリコンを加えて予備脱酸を行ない、
フエロジルコンを鋼中濃度で0.03%になる様に添
加し、連続鋳造によりスラブとした。鋼成分を表
1に示す。 以下、実施例1と同様に、熱間圧延,冷間圧
延,表面処理及び急速焼鈍を施し、厚さ100μmの
表面処理鋼箔を作つた。但し、急速焼鈍でのクロ
ム酸スプレー処理は省略した。 得られた成品の性能を表1に示す 実施例 8 実施例1と同様にC:0.002%になる様に真空
脱ガス処理までを行い、真空脱ガス処理後Alを
鋼中濃度で0.03%になる様添加して脱酸、次いで
フエロニオビウム及びフエロボロンを鋼中濃度で
それぞれ0.025%及び0.002%になる様に添加、連
続鋳造によりスラブとした。以後実施例1と同様
に熱間圧延,冷間圧延,表面処理及び急速焼鈍を
施し、厚さ100μmの表面処理鋼箔を作つた。得ら
れた成品の性能を表1に示す。 実施例 9 製鋼用熔銑を混銑車に移し、脱硫,脱珪,脱燐
処理を施した後転炉に移し、C=0.04%になる様
精錬し、取鍋に移し、フエロマンガンを鋼中Mn
濃度で0.3%になる様に添加、次いでAlを鋼中濃
度で0.04%になる様添加して脱酸し、次いでTiを
0.3%になる様添加、鋳型に注入し、鋼塊とした。
この鋼塊を分塊圧延によりスラブとし、以後実施
例1と同様にして、熱間圧延及び冷間圧延を施
し、100μmの箔とした。この鋼箔に実施例6と同
様にして表面処理及び急速焼鈍を施し、ニツケル
メツキ鋼箔を作つた。得られた成品の性能を表1
に示す。 実施例 10 本発明9のスラブを厚さ3mmに熱間圧延後、厚
さ0.3mmに冷間圧延し、現在鉄鋼業で薄鋼板の焼
鈍に広く用いられている連続焼鈍設備により焼鈍
した。この焼鈍板を、調質圧延機により厚さ
50μmに圧延し箔とした。この鋼箔に実施例1と
同様の表面処理及び急速焼鈍を施した。但し、急
速焼鈍でのクロム酸処理は浸漬処理とした。得ら
れた成品の性能を表1に示す。 比較例 1 現在、鉄鋼業でブリキあるいはT.F.S.用原板の
製造に一般に用いられている方法で作つた低炭
素,アルミキルド連続鋳造スラブを素材とした。
このスラブを厚さ2mmに熱延,酸洗し、厚さ
100μmに冷延した。この鋼箔は、現在鉄鋼業で冷
延鋼板の焼鈍に用いられている連続焼鈍あるいは
箱焼鈍の何れの方法によつても、焼鈍する事が出
来なかつた。即ち、連続焼鈍では、焼鈍炉内で絞
り発生及び破断が頻発、箱焼鈍では焼付きが発生
し、焼鈍後巻ほどく事が出来なかつた。そこで、
冷延のままT.F.S.製造設備を用い、金属クロム付
着量100mg/m2、水和酸化クロム付着量15mg/m2
のクロム酸処理を行ない成品とした。得られた成
品の性能を表1に示す。 比較例 2 比較例1のアルミキルド連続鋳造スラブより、
冷延鋼板を製造し現在鉄鋼業において一般に行な
わている方法により板厚0.2mm、メツキ量6g/
m2のブリキを作つた。このブリキを調質圧延機に
より厚さ100μmに冷間圧延し、鋼箔成品とした。
この成品の性能を表1に示す。 比較例 3 板厚2mmの連続焼鈍ブリキ原板を調質圧延機で
厚さ50μmに冷延し箔とした。この鋼箔をT.F.S.
製造設備に通し、金属クロム付着量95mg/m2、水
和酸化クロム付着量17mg/m2のクロム酸処理を施
し、成品とした。T.F.S.製造設備において、絞
り、破断等が生じ易く、作業性が悪かつたが、低
速で処理する事によつて、一応良好な成品が得ら
れた。成品の性能を表1に示す。 比較例 4 比較例3と同様に処理したクロム酸処理鋼箔
を、現在鉄鋼業で薄鋼板の製造に一般的に用いら
れている箱型焼鈍炉を用い、630℃で1時間焼鈍
した。焼鈍による焼付きの発生はなかつたが、コ
イル端面より大きなムラ状の青い変色を生じ、外
観の劣化が著るしかつた。又、再結晶しているた
め腰折れが発生し易かつたが、調質圧延は絞り発
生のため行えずそのまま成品とした。成品の性能
を表1に示す。 比較例 5 比較例1の冷延鋼箔において、クロム酸処理に
代え、メツキ量1g/m2のニツケルメツキ及びそ
の上に付着量20mg/m2の水和酸化クロム層をクロ
ム酸処理により付与した。次にこの鋼箔を箱型焼
鈍炉により620℃で1時間焼鈍した。焼鈍による
焼き付きはなかつたが、ニツケルメツキ層が地鉄
と合金化し、灰色に変色し、再結晶しているた
め、非常に腰折れが発生し易かつた。腰折れ改善
のための調質圧延を試みたが、現状の調質圧延機
では圧延不能であつた。そこで焼鈍のままで成品
とした。成品の性能を表1に示す。 以上の実施例及び比較例の成品各々について、
次に示す各種の性能試験を行なつた。試験結果は
まとめて表1に示した。 1 加工性 (1) 腰折れ 鋭角の当金に鋼箔を当て折り曲げた時の腰折れ
及びストレツチヤーストレインの発生状況を調べ
た。 (2) 絞り加工性 直径60mmの円筒絞りを行なつた時、破断を生じ
る事なく絞れる最大深さ及び側壁部のしわの発生
程度で評価した。しわの発生程度は次の如く評点
を付けた。 〇:殆んどしわの発生なし △:上端部にややしわ発生、実用上は殆んど問
題なし ×:大きなしわ発生、実用不可 2 耐蝕性 (1) 無塗装での耐蝕性 (i) 湿気槽試験 100×100mm2に剪断した試片を40℃、相対湿度95
%の湿気槽中に10日間吊した時の発錆率を調べ
た。 (ii) 積み重ね発錆試験 100×100mm2に剪断した試片を積み重ね、厚さ20
mm、120×120mm2のベークライト板の間にはさみ、
固くしばつて40℃、相対湿度85%の湿気槽中に入
れ、表面に発錆する迄の日数を調べた。 (2) 塗装後の耐蝕性(塗膜下腐食試験) (i) 湿気槽試験 現在、食品缶詰の缶用塗料として広く使われて
いるエポキシ系の塗料を、塗膜量45mg/dmm2にな
る様塗装したものについて試験した。塗装後100
×100mm2に切出し、下地に達する×印の疵を鋭利
なナイフで対角線全体にわたつて入れ、40℃相対
湿度85%の湿気槽中に4日間吊し、塗膜下の腐蝕
状況を調べた。評価は次の如く行なつた。 〇:疵部からの糸状錆の進行殆んどなし △: 〃 〃 〃5mm以下 ×: 〃 〃 〃6mm以上10mm以下 ××: 〃 〃 〃11mm以上 (ii) 食塩−クエン酸液浸漬試験 前項(i)と同様に塗装した鋼箔より50×50m2の試
片を切り出し、対角線全体にわたり鋭利なナイフ
で下地に達する×印の疵を入れ、食塩及びクエン
酸をそれぞれ1.5%含む55℃の水溶液中に96時間
浸漬した後の、腐蝕状況及び塗膜の接着状況をテ
ーピングにより調べた。評価は次の如くにして行
なつた。 〇:疵部の腐蝕広がり及び塗膜剥離なし △: 〃 〃 〃0.5mm以下、塗膜剥離
小 ×: 〃 〃 〃0.6mm以上1mm以下、
塗膜剥離中 ××: 〃 〃 〃1.1mm以上 〃
大 3 塗膜の密着性 前項2−2)−(i)と同様に塗装した鋼箔を100℃
に加熱した純水中に1時間浸漬した後取り出し、
水分を紙タオルで拭き取り、直ちに1mm間隔の下
地に達する疵を鋭利なナイフでゴバン目状に入
れ、テーピングして塗膜の剥離状況を調べた。評
価は塗膜の剥離した面積率(%)で行なつた。 4 プラスチツクフイルムの接着性 (1) ポリエチレンテレフタレートフイルムの接着
性 熱可塑性ポリエステル系の接着剤を用い、厚
さ30μのポリエチレンテレフタレートフイルム
を加熱ロールを用いて圧着する事により貼り合
せた時の接着性を次の方法で評価した。 (i) ポリエチレンテレフタレートフイルムが内面
になる様にして、径60mmの円筒絞りを行ない、
フイルムの剥離の有無を調べた。 (ii) 100℃の純水中に1時間浸漬した後、直ちに
鋭利なナイフで下地に達する2mm間隔のゴバン
目を入れ、テーピングしたときのフイルムの剥
離状況を調べた評価はフイルムの剥離面積率
(%)で行なつた。 (2) ポリピロピレンフイルムの接着剤 厚さ30μのポリプロピレンフイルムについて、
前項(1)と同様にして接着性を調べた。 表1に性能試験の結果をまとめて示した。 本発明の鋼箔は、焼鈍しても降伏点現象が現わ
れず、調質圧延の必要がない。又、急速焼鈍と組
合せる事によつて、表面処理後に焼鈍しても、表
面性能の劣化が極めて少ないため、広範囲の厚さ
の鋼箔に性能の良い表面処理被膜を付与出来る。
【表】
【表】 * 水和酸化クロム被膜中のクロム量を表示
【表】
【表】 (発明の効果) 本発明によつて焼鈍後に調質処理を施すことな
く鋼箔の加工性が確保でき、同時に耐蝕性及び有
機樹脂等との密着性がすぐれた鋼箔製品が得ら
れ、また一方では冷間圧延法による高生産性に基
づく低コストとが相俟つて鋼箔の用途を拡大する
ことができる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 炭素が0.05%以下の非時効性低炭素鋼を
    150μm以下の厚みに冷間圧延し、次いで表面処理
    を施して処理被膜を形成した後、直接通電加熱、
    または電気誘導加熱、あるいはこれらの組合せで
    再結晶温度以上に短時間で急速加熱して焼鈍を施
    すことを特徴とする加工性,接着性,耐蝕性に優
    れた鋼箔の製造法。 2 急速加熱後の冷却過程においてクロム酸,ク
    ロム酸塩,燐酸,燐酸塩の1種、または2種以上
    を含有する水溶液を鋼箔表面へ噴霧するか、若し
    くは前記水溶液中に鋼箔を浸漬して表面処理する
    特許請求の範囲第1項記載の加工性,接着性,耐
    蝕性に優れた鋼箔の製造方法。
JP12753285A 1985-06-12 1985-06-12 加工性,接着性,耐蝕性に優れた鋼箔の製造法 Granted JPS61284530A (ja)

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ES2101285T3 (es) * 1993-12-14 1997-07-01 Aalborg Ind As Intercambiador de calor con cuerpo en forma tubular.
DE102011056846B4 (de) * 2011-12-22 2014-05-28 Thyssenkrupp Rasselstein Gmbh Verfahren zur Herstellung eines Aufreißdeckels sowie Verwendung eines mit einer Schutzschicht versehenen Stahlblechs zur Herstellung eines Aufreißdeckels
DE102011056847B4 (de) * 2011-12-22 2014-04-10 Thyssenkrupp Rasselstein Gmbh Stahlblech zur Verwendung als Verpackungsstahl sowie Verfahren zur Herstellung eines Verpackungsstahls

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