JPH05247669A - 薄肉化深絞り缶用高強度鋼板の製造方法 - Google Patents

薄肉化深絞り缶用高強度鋼板の製造方法

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JPH05247669A
JPH05247669A JP4084696A JP8469692A JPH05247669A JP H05247669 A JPH05247669 A JP H05247669A JP 4084696 A JP4084696 A JP 4084696A JP 8469692 A JP8469692 A JP 8469692A JP H05247669 A JPH05247669 A JP H05247669A
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JP
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steel sheet
rolled
strength
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steel
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JP4084696A
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Daizo Sato
台三 佐藤
Shinichi Aoki
晋一 青木
Sei Ikedaka
聖 池高
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Toyo Kohan Co Ltd
Original Assignee
Toyo Kohan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 重量%でC:0.07〜0.15%、Si≦
0.03%、Mn:0.5〜1.5%、P≦0.05
%、S≦0.05%、Al:0.02〜0.07%、
N:0.001〜0.02%、残部Feおよび不可避的
不純物より成る連続鋳造鋼片を熱間圧延、酸洗、冷間圧
延を施したのち、連続焼鈍において鋼板を750〜90
0℃の間のフェライトーオーステナイトの二相領域に加
熱し、1秒から60秒間均熱し、その後1000〜20
00℃/秒の冷却速度で二相域から200℃以下の温度
まで冷却し、その後錫またはCrめっきを施し、更に表
面にポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネート
することを特徴とする高強度高加工性缶用鋼板の製造方
法。 【効果】厳しい加工を施される薄肉化絞り缶用素材とし
て用いられ、二回圧延法により製造された板に比べ、延
性に優れるため、低延性に起因するDTR成形時のショ
ックラインを防止し、破胴をなくすことが出来る。ま
た、介在物周辺でのクラック発生も低減し、不良缶の発
生を抑制できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品、飲料缶等の缶容
器材料に関し、特に缶成形時に缶側壁部の破断防止を図
った高強度薄肉化深絞り缶(以下 DTR(Drawn
Tinned Redrawn)缶という。)用ポリ
エステル樹脂被覆鋼板製造に用いられる高強度原板に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】現在飲料缶や食缶として実用化されてい
るツーピース缶にはDI缶(Drawn and Ir
oned Can)、DRD缶(Drawn and
Redrawn Can)および上記DTR缶がある。
DTR缶は、深絞り加工を複数回施すことで所定の缶径
および缶高さを得る極めて過酷な塑性加工を適用した製
缶法によって成形されるものである。このためDTR缶
用鋼板に要求される特性としては、DTR加工時の異方
性が小さいことおよび加工時に受ける張力に耐え得るた
めの強度が高いこと等が必要である。かかる異方性が小
さくかつ高強度を有する鋼板の製造法として従来は、二
回冷延法によって製造されるのが通常であった。絞りし
ごき缶用樹脂被覆金属板としては、絞りしごき缶の内面
となる面にあらかじめポリエステルフイルムを被覆した
金属板がある(特開平2−70430号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年製缶業界において
はコスト低減の必要性から使用鋼板の薄手化が急激に進
んでいる。しかしながら、板厚を薄くすると缶強度(耐
圧強度、座屈強度)が低下する。缶強度は(板厚)2 ×
(板強度)で決まるため、薄手化するためには板強度を
高める必要があるが、上記従来法によって製造した鋼板
は延性が低いという欠点がある。つまり二回冷延法は、
一回冷延後焼鈍し、さらに第2回目の冷延を施して所定
の強度を得る鋼板製造方法であるが、製品の組織は冷間
圧延組織であり、延性は非常に低いままである。この低
延性の鋼板をDTR缶に加工する場合、下記(1)およ
び(2)の問題が生じる。 (1)延性が低いため、複数回の絞り工程においてショ
ックラインと呼ばれる缶壁に局部的な板厚減少部が発生
し、破胴の原因やラミネートフィルム破断の原因とな
る。 (2)延性が低いため、張力を受ける際、介在物周辺部
に応力が集中してクラックが生じ易く不良缶(穴空き
缶)発生の原因となる。 また、ネックイン,フランジ成形においても従来法の二
回圧延法では延性が低いため、ネックイン,フランジ成
形性が劣るという問題もある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記二回圧延
法での問題点に鑑みてなされたものであり、原板の成分
組成を限定し、連続焼鈍において鋼板を均熱後、急冷す
る事により高延性の高強度鋼板を製造することを目的と
している。また調質圧延を施さなくても高強度高加工性
の缶用鋼板の製造方法を提供することを目的とする。ま
た本発明は、延性に優れDTR加工によるショックライ
ンの発生がなく、フランジ成形性が良好なDTR缶用鋼
板の製造方法を提供することを目的とする。すなわち本
発明は重量%でC:0.07〜0.15%、Si≦0.
03%、Mn:0.5〜1.5%、P≦0.05%、S
≦0.05%、Al:0.02〜0.07%、N:0.
001〜0.02、残部Feおよび不可避的不純物より
成る連続鋳造鋼片を熱間圧延、酸洗、冷間圧延を施した
のち、連続焼鈍において鋼板を750〜900℃の間の
フェライトーオーステナイトの二相領域に加熱し、1秒
から60秒間均熱し、その後1000〜2000℃/秒
の冷却速度で二相域から200℃以下の温度まで冷却
し、その後錫またはCrめっきを施し、更に表面にポリ
エチレンテレフタレートフィルムをラミネートすること
を特徴とする高強度高加工性缶用鋼板の製造方法、重量
%でC:0.07〜0.15%、Si≦0.03%、M
n:0.5〜1.5%、P≦0.05%、S≦0.05
%、Al:0.02〜0.07%、N:0.001〜
0.02、B:0.001〜0.005%、残部Feお
よび不可避的不純物より成る連続鋳造鋼片を熱間圧延、
酸洗、冷間圧延を施したのち、連続焼鈍において鋼板を
750〜900℃の間のフェライトーオーステナイトの
二相領域に加熱し、1秒から60秒間均熱し、その後1
000〜2000℃/秒の冷却速度で二相域から200
℃以下の温度まで冷却し、その後錫またはCrめっきを
施し、更に表面にポリエチレンテレフタレートフィルム
をラミネートすることを特徴とする高強度高加工性缶用
鋼板の製造方法、重量%でC:0.07〜0.15%、
Si≦0.03%、Mn:0.5〜1.5%、P≦0.
05%、S≦0.05%、Al:0.02〜0.07
%、N:0.001〜0.02、残部Feおよび不可避
的不純物より成る連続鋳造鋼片を熱間圧延、酸洗、冷間
圧延を施したのち、連続焼鈍において鋼板を750〜9
00℃の間のフェライトーオーステナイトの二相領域に
加熱し、1秒から60秒間均熱し、その後1000〜2
000℃/秒の冷却速度で二相域から200℃以下の温
度まで冷却し、その後調質圧延工程を含まないことを特
徴とする高強度高加工性缶用鋼板の製造方法、および重
量%でC:0.07〜0.15%、Si≦0.03%、
Mn:0.5〜1.5%、P≦0.05%、S≦0.0
5%、Al:0.02〜0.07%、N:0.001〜
0.02、B:0.001〜0.005%、残部Feお
よび不可避的不純物より成る連続鋳造鋼片を熱間圧延、
酸洗、冷間圧延を施したのち、連続焼鈍において鋼板を
750〜900℃の間のフェライトーオーステナイトの
二相領域に加熱し、1秒から60秒間均熱し、その後1
000〜2000℃/秒の冷却速度で二相域から200
℃以下の温度まで冷却し、その後調質圧延工程を含まな
いことを特徴とする高強度高加工性缶用鋼板の製造方
法、によって構成される。
【作用】以下本発明を詳細に説明する。 原板の鋼成分 本発明の原板の鋼成分は重量%でC:0.07〜0.1
5%、Si≦0.03%、Mn:0.5〜1.5%以
下、P≦0.05%、S≦0.05%、Al:0.02
〜0.07%、N:0.001〜0.02、残部Feお
よび不可避的不純物より成る。さらに請求項2および4
の発明では、より焼き入性を増すため、Bを0.001
〜0.005%添加する。
【0009】Cは原板に高い調質度を与えるために重要
な成分である。少なくともCは0.07%に達しないと
本発明目的において必要な原板の耐力を保証出来ない。
また0.07%以上にすると結晶粒の細粒化に有効であ
る。従ってC成分下限値を0.07%とした。一方でC
成分が0.15%を越えると炭化物析出量が増大し原板
の耐食性の低下をもたらすと同時に、冷間圧延の負荷の
増大、形状の劣化、連続焼鈍工程での通板性阻害等、生
産性低下の原因となる。そのため本発明ではC成分の上
限値を0.15%とした。
【0010】Mnは不純物であるSによる熱延中の赤熱
脆性を防止するために必要な成分である。本発明では原
板の耐力保証の見地および結晶粒の細粒化の見地からM
n成分は0.5%以上とし、一方1.5%を越えるとス
ラブ圧延中に割れを生ずるので、上限値を1.5%とし
た。なお焼入れ性を増すため望ましくは0.7%を超え
1.5%以下である。
【0011】Pは結晶粒微細化成分であり、また原板の
強度を高めることから一定の割合で添加されるが、一方
で耐食性を阻害する。本発明用途の缶用鋼板としては、
Pが0.05%を超えると耐食性、特に耐孔明性が著し
く低下するため上限値を0.05%とした。
【0012】Sは熱延中において赤熱脆性を生じる不純
物成分であり、極力少ないことが望ましいが、鉄鉱石等
からの混入を完全に防止することができず、工程中の脱
硫も困難なことからある程度の残留もやむをえない。少
量の残留Sによる赤熱脆性はMnにより軽減できるた
め、S成分の上限値は0.05%とした。
【0013】Alは製鋼に際し脱酸剤として鋼浴中に添
加されるが、添加量が少ないと安定した脱酸効果が得ら
れないため、0.02%以上必要である。またAlは固
溶Nと反応してAlNとして析出し結晶粒の細粒化に寄
与する。一方で0.07%を超える添加はNの固定が著
しくなり、Nの固溶強化が低減するので、最大量は0.
07%とした。
【0014】NはC,Mnと同様に原板に高い調質度を
与える。耐力強化のために必要な成分であるが、0.0
01%より少なくすることは製鋼上の困難を生じ、また
一方0.02%を超える添加は製鋼時に添加するフェロ
窒化物の歩留の低下が著しく、安定性に欠けると同時
に、プレス成形時の異方性を著しく劣化させる。さらに
連続鋳造片の表面に割れが生じ、鋳造欠陥となるため本
発明ではN成分範囲を0.001〜0.02%とした。
【0015】Siは耐食性を阻害する不純物成分として
鋼中に残留するが、通常Alキルド連鋳鋼に含有する程
度であれば缶用材料として用いるのには差し支えない。
このためSi成分は、通常のAlキルド連鋳鋼の範囲で
ある0.03%以下とした。
【0016】Bは焼入れ性を向上し、鋼板の強度を増す
ため添加する元素である。0.001以下では効果が小
さく、0.005以上では焼入れ効果に差がないので、
0.001〜0.005%とした。
【0017】熱間圧延 熱間圧延工程における鋼片加熱温度は本発明において特
定するものではないが、Nの積極的分解固溶および熱間
仕上圧延温度の安定的確保の見地から1100℃以上と
するのが望ましい。熱間圧延仕上温度をAr3 点以下に
すると、熱間鋼帯の結晶組織が混粒化するとともに粗大
化し、製品冷延鋼板において肌荒れが生じかつ耐力が低
下するので熱間圧延仕上温度はAr3 点以上とする。
【0018】巻き取り温度は450℃〜650℃とす
る。熱延時のコイルの幅方向および長手方向の品質安定
性を考慮して450℃を下限とする。また巻取温度が6
50℃を超えると、熱延時および連続焼鈍時で結晶粒径
が大きくなり、DTR成形後缶側壁の耐食性不良の原因
となる肌荒れが生じるため、巻取温度は650℃以下と
する。
【0019】連続焼鈍 図1は焼鈍温度と引張強さとの関係を示す。焼鈍温度が
高くなるほど引張強さは増加することがわかる。図1か
ら本発明の目的の高強度薄鋼板(強度約700N/mm
2 以上)を得るためには最低750℃以上で焼鈍する必
要がある。また焼鈍温度の上限は900℃である。この
範囲を外れると各々フェライト分率、オーステナイト分
率が高くなり過ぎ、本発明の目的とする高強度鋼板が得
られない。均熱時間は1〜60秒とする。1秒以上あれ
ば焼入れ効果が得られるが、60秒を超えて均熱する
と、セメンタイトの固溶が多くなり、焼入れ時に目的と
する微細なコロニー状のマルテンサイトが分散した組織
が得られないばかりか経済上好ましくない。図2は焼鈍
における均熱後の冷却速度と引張強さとの関係を示す。
冷却速度が速いほど引張強さは上昇することが分かる。
図2から本発明の目的(約700N/mm2 以上の強度
を有する高強度薄鋼板)を達成するためには1000〜
2000℃/秒の範囲が適性な冷却速度である。100
0℃未満では本発明の目的とする高強度を有する鋼板が
得られない。一方2000℃を超える冷却速度は工業上
不経済となるからである。冷却開始温度は750℃以下
とする。冷却開始温度は焼入れ効果に強く影響し、75
0℃より下ではオーステナイト分率が低くなり、目標と
する強度がえられない。冷却終点温度が200℃を超え
ては鋼板が軟質化し、本発明の目的とする高強度鋼板が
得られない。従って二相域からの冷却は200℃以下に
まですることとした。調質圧延は不要である。本発明は
焼鈍後の降伏点伸びの発生が悪いため、ストレッチャー
ストレイン抑制のための調質圧延作業は省略できる。本
発明においては降伏点伸びが発生しない理由は明確でな
いが、本発明の組織はフェライト相とマルテンサイト相
の2相からなる複合組織を有しており、硬質なマルテン
サイトの存在が変形を受けた場合のすべり発生に有効に
働き、降伏点伸びのない一様な変形を生じさせているも
のと思われる。
【0024】つぎに、本発明に用いられる鋼板として
は、シ−ト状およびコイル状の鋼板、鋼箔およびそれら
の鋼板に表面処理を施したものがあげられる。特に、下
層が金属クロム、上層がクロム水和酸化物の2層構造を
もつ電解クロム酸処理鋼板あるいは極薄錫めっき鋼板、
ニッケルめっき鋼板、亜鉛めっき鋼板およびこれらのめ
っき鋼板にクロム水和酸化物あるいは上層がクロム水和
酸化物、下層が金属クロム層からなる2層構造をもつ表
面処理をほどこしたものがポリエステル樹脂との接触性
に優れている。
【0025】樹脂皮膜 本発明の被覆鋼板の被覆材として必要なポリエステル樹
脂の特性について説明する。まず、ポリエステル樹脂の
種類としては、少なくともエステル反復単位の75%〜
99%がエチレンテレフタレ−ト単位からなり、残りの
1〜25%のエステル反復単位は、フタ−ル酸、コハク
酸、アゼライン酸、アジピン酸、セパシン酸、ドデカン
ジオン酸、ジフェニルカルボン酸、2.6ナフタレンジ
カルボン酸、1.4シクロヘキサンジカルボン酸、無水
トリメット酸の一種あるいは二種以上の酸成分とエチレ
ングリコ−ル、1.4ブタンジオ−ル、1.5ペンタン
ジオ−ル、1.6ヘキサンジオ−ル、プロピレングリコ
−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、トリメチレング
リコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ネオペンチルグリ
コ−ル、1.4シクロヘキサンジメタノ−ル、トリメチ
ロ−ルプロパン、ペンタエリスリト−ル、の1種あるい
は2種以上の飽和多価アルコ−ルが使用される。かかる
ポリエステル樹脂は、公知の押出機によりフィルム成形
され、未延伸ポリエステルフィルムとしても供し得る
が、フィルム成形後、たて、横二方向に延伸した後、熱
固定工程を経たものの方が、ポリエステルフィルムのバ
リヤ−性を向上させるのでより好ましい。
【0026】つぎに、ポリエステルフィルムの機械的性
質も重要な要因の一つで、特に、ポリエステルフィルム
の破断伸びは、通常の引張り試験機により、25℃の一
定温度下で引張り速度100mm/minで引張り試験
を行い求める。ポリエステルフィルムの破断伸びが15
0%以下になると、ポリエステルフィルムの加工性が乏
しくなり、深絞り加工、張り出し加工のような厳しい加
工を施すと、フィルムに延性がないためクラックが入り
やすくなる。一方、破断伸びが400%以上になると、
フィルム成形時に厚みやむらが生じやすくなり、特に、
二軸延伸工程などで 破断しやすくなり実用的でない。
【0027】つぎに、ポリエステルフィルムの片面に塗
布される重合体組織物としては、分子内にエポシキ基、
ウレタン基、アクリル基、アミノキ基の1種類以上を含
んだものが好ましい。これらの重合体組織物は一例とし
て、エボキシ樹脂、フェノ−ル樹脂、ナイロン樹脂、ポ
リエステル樹脂、変性ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アク
リル樹脂、ユリヤ樹脂などがあげられる。かかる重合体
組成物の形態は、特に規制するものではないが、ポリエ
ステルフィルムの上に薄膜塗装するためには、ロ−ルコ
−トあるいはスプレ−塗装可能な溶液状態が好ましい。
【0028】ポリエステルフィルムの厚みとしては、特
に制限するものではないが5〜50μmの範囲が好まし
い。厚みが5μm以下になると、ラミネ−ト作業性が著
しく低下するとともに、充分な加工耐食性が得られず、
一方、50μm以上になると製缶分野で広く使用されて
いるエポキシ系塗料などと比較して経済的でない。
【0029】次にポリエステルフィルムの結晶融解温度
は200〜250℃の範囲内が好ましい。ポリエステル
樹脂の結晶融解温度が250℃を超えると、ポリエステ
ルフィルム自体は非常に剛直となり加工性が極端に乏し
くなる。一方、結晶融解温度が200℃以下になると、
ポリエステルフィルム自体のラミネ−ト性が著しく低下
し、特に10μm以下の薄膜ポリエステルフィルムを高
速でラミネ−トすることは非常に難しくなる。
【0030】ラミネ−ト条件 ラミネ−トされる直前の金属板の温度は(結晶融解温度
−50)℃〜(結晶融解温度+50)℃の範囲内である
ことが好ましい。ここでラミネ−ト温度がポリエステル
フィルムの(結晶融解温度+50)℃以上になれば、ポ
リエステルフィルムは部分的に熱劣化しやすくなり、缶
用材料として適用した場合、内容品に対してバリヤ−性
がなくなり金属板が腐食しやすくなる。一方、ラミネ−
ト温度がポリエステルフィルムの(結晶融解温度−5
0)℃以下になると、ポリエステルフィルムと金属板の
加工密着力が低下する傾向にあり、深絞り加工を施すと
ポリエステルフィルムは金属板より剥離しやすくなる。
ラミネ−ト後は、急冷、徐冷のいずれのプロセスを経て
も差支えない。
【実施例】本発明製品を比較例との関係において表1を
もって説明する。表1において本発明品であるNo.1
〜3,9,10,12,14は高硬質であるにもかかわ
らず延性が高く缶成形性に優れている(表中評価の欄に
○印を記載)。一方、比較例No.4〜8,11,13
は本発明の製造条件のいずれかを満足しておらず、いず
れも強度あるいは延性において劣っている。本発明範囲
外の製造条件に従って製造された比較例の製品は、DT
R缶成形時に破胴あるいはフィルム破断等の欠陥を生じ
ている(表中評価の欄に×印を記載)。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】請求項1、2、3、および4の発明を適
用して製造された原板は、厳しい加工を施される薄肉化
絞り缶用素材として適したポリエステル樹脂被覆鋼板と
して用いられる。また、リベット加工などの厳しい加工
を施したイ−ジ−オ−プン蓋、軽しごき缶、王冠、キャ
ップ類などの容器用素材の他、電池用内装缶としても広
く適用できるものである。さらに本発明を適用して製造
した原板は、二回圧延法により製造された板に比べ、延
性に優れるため、低延性に起因するDTR成形時のショ
ックラインを防止し、破胴をなくすことが出来る。ま
た、介在物周辺でのクラック発生も低減し、不良缶の発
生を抑制できる。更に、本製造法で製造した原板は、焼
鈍後に降伏点伸びがなく、ストレッチャーストレインを
防止するための調質圧延作業は不要であり、工程短縮も
可能であるという極めて工業的効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼鈍温度と引張強さとの関係を示すグラフであ
る。
【図2】均熱後の冷却速度と引張強さとの関係を示すグ
ラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%でC:0.07〜0.15%、Si
    ≦0.03%、Mn:0.5〜1.5%、P≦0.05
    %、S≦0.05%、Al:0.02〜0.07%、
    N:0.001〜0.02、残部Feおよび不可避的不
    純物より成る連続鋳造鋼片を熱間圧延、酸洗、冷間圧延
    を施したのち、連続焼鈍において鋼板を750〜900
    ℃の間のフェライトーオーステナイトの二相領域に加熱
    し、1秒から60秒間均熱し、その後1000〜200
    0℃/秒の冷却速度で二相域から200℃以下の温度ま
    で冷却し、その後錫またはCrめっきを施し、更に表面
    にポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネートす
    ることを特徴とする高強度高加工性缶用鋼板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】重量%でC:0.07〜0.15%、Si
    ≦0.03%、Mn:0.5〜1.5%、P≦0.05
    %、S≦0.05%、Al:0.02〜0.07%、
    N:0.001〜0.02、B:0.001〜0.00
    5%、残部Feおよび不可避的不純物より成る連続鋳造
    鋼片を熱間圧延、酸洗、冷間圧延を施したのち、連続焼
    鈍において鋼板を750〜900℃の間のフェライトー
    オーステナイトの二相領域に加熱し、1秒から60秒間
    均熱し、その後1000〜2000℃/秒の冷却速度で
    二相域から200℃以下の温度まで冷却し、その後錫ま
    たはCrめっきを施し、更に表面にポリエチレンテレフ
    タレートフィルムをラミネートすることを特徴とする高
    強度高加工性缶用鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】重量%でC:0.07〜0.15%、Si
    ≦0.03%、Mn:0.5〜1.5%、P≦0.05
    %、S≦0.05%、Al:0.02〜0.07%、
    N:0.001〜0.02、残部Feおよび不可避的不
    純物より成る連続鋳造鋼片を熱間圧延、酸洗、冷間圧延
    を施したのち、連続焼鈍において鋼板を750〜900
    ℃の間のフェライトーオーステナイトの二相領域に加熱
    し、1秒から60秒間均熱し、その後1000〜200
    0℃/秒の冷却速度で二相域から200℃以下の温度ま
    で冷却し、その後調質圧延工程を含まないことを特徴と
    する高強度高加工性缶用鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】重量%でC:0.07〜0.15%、Si
    ≦0.03%、Mn:0.5〜1.5%、P≦0.05
    %、S≦0.05%、Al:0.02〜0.07%、
    N:0.001〜0.02、B:0.001〜0.00
    5%、残部Feおよび不可避的不純物より成る連続鋳造
    鋼片を熱間圧延、酸洗、冷間圧延を施したのち、連続焼
    鈍において鋼板を750〜900℃の間のフェライトー
    オーステナイトの二相領域に加熱し、1秒から60秒間
    均熱し、その後1000〜2000℃/秒の冷却速度で
    二相域から200℃以下の温度まで冷却し、その後調質
    圧延工程を含まないことを特徴とする高強度高加工性缶
    用鋼板の製造方法。
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