JP2001089829A - 缶用鋼板およびその製造方法 - Google Patents

缶用鋼板およびその製造方法

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JP2001089829A JP09648198A JP9648198A JP2001089829A JP 2001089829 A JP2001089829 A JP 2001089829A JP 09648198 A JP09648198 A JP 09648198A JP 9648198 A JP9648198 A JP 9648198A JP 2001089829 A JP2001089829 A JP 2001089829A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複雑な缶の成形に応えることのできる加工性
・加工後外観特性・高歩留り性を有する缶用鋼板および
その製造方法を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.03〜0.1 %、Mn:0.5
%超〜1.0 %を含む組成のスラブを、仕上温度800 〜10
00℃で熱間圧延し、500 〜750 ℃にて巻取り、冷間圧延
後、再結晶温度以上 800℃以下で連続焼鈍し、その後 5
00℃超〜 600℃で1hr以上の箱焼鈍を施す。、好ましく
はフェライトを主相とし、粒径 0.5〜3μm のパーライ
ト粒を体積比で 0.1〜1%を含有する平均結晶粒径が10
μm 以下の組織とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は缶用鋼板およびその
製造方法に係り、とりわけ、変形3ピース缶の使途に好
適な缶用鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】缶容器はその部品構造から、缶胴と上蓋
からなる2ピース缶と、缶胴および上蓋、底蓋からなる
3ピース缶と、に大別できる。3ピース缶ではその缶胴
の接合は、はんだ付け、樹脂接着、溶接などの方法で行
われている。ところで近年、缶の意匠性向上の観点か
ら、単純な円筒状の缶でなく、より3次元的な形状を有
する意匠缶の要求が高まってきている。これらの状況
は、例えば雑誌「THE CANMAKER Feb.1996, p32-37 」に
紹介されている。
【0003】これらの意匠缶は、主として3ピース缶で
製造され、円筒に成形され、接合された後に、精巧な割
型、静水圧プレス等の技術を適用して円筒状の接合胴部
に円周方向の伸び歪を付与して目的とする形状、例えば
樽型などに製造される。このような方法で製造される意
匠缶を、変形3ピース缶と呼ぶが、従来の3ピース缶に
比べ、下記の特性が優れることが要求される。 (1)2次変形(円筒成形後の、意匠性付与のための加
工を指すものとする。以下同じ)に際して破断を生じな
いこと。 (2)2次変形に際して、外観不良を生じない。 (3)2次変形に際して、缶高さの減少が少ないことが
要求される。なお、主な破断形態として、溶接部近傍の
破断、缶胴部の破断があり、主な外観不良として、肌荒
れ、ストレッチャーストレインがある。また、缶高さが
減少すると、缶容量の確保や材料歩留りの確保が困難と
なる。なお、缶高さの減少はr値が大きいと大きい。
【0004】さらに、近年のコストダウンのための板厚
低減要求に鑑み、 (4)強度(硬度)が高いこと、 (5)降伏強さ(YS)が過度に高くないこと、も要求さ
れる。強度(硬度)が低いと缶体強度が確保できず、ま
た降伏強さ(YS)が過度に高いと、スプリングバックの
増大を招き、円筒の真円度の低下や重ね代のばらつきに
より溶接性が低下する。
【0005】ところで、従来、缶用鋼板の製造方法は、
(i)C:0.01〜0.10%程度、好ましくは0.03%以上の
低炭素鋼を冷間圧延後、箱焼鈍にて製造する方法、(i
i)低炭素鋼を冷間圧延後、連続焼鈍にて製造する方
法、(iii )C:0.01%未満程度の極低炭素鋼にTi、Nb
等の強力な固溶C固定元素を添加したもの(IF鋼)を冷
間圧延後、連続焼鈍にて製造する方法、に大別される。
【0006】ところが、(i)の低炭素鋼箱焼鈍法で
は、一般に2次変形の加工性は良好な傾向となるが、r
値が低くできないため、2次変形に際しての缶高さ減少
を解消しがたい。また、この方法では、結晶粒が粗大に
なりやすいため、肌荒れがやや発生しやすく外観不良と
なりやすい。さらに、軟質化するため強度確保が困難と
なり、他方、一般的に用いられる2次圧延を施すと硬質
化し、YS過剰という問題が発生する。
【0007】一方、(ii)の低炭素鋼連続焼鈍法では、
箱焼鈍法に比べr値を不十分ながら低下することが可能
であり、結晶粒が細粒となるため肌荒れの防止や強度
(硬度)確保もしやすい。しかし、加工性が不足し、2
次変形に際し、とくに溶接部近傍の破断が発生しやす
い。またこの方法では、非時効化が困難でストレッチャ
ーストレインが発生しやすい。
【0008】(iii )のIF鋼連続焼鈍法では、一般的に
非時効性には優れるが、粗大粒となりやすいため肌荒れ
防止に最も不利であり、またr値も最も高い。再結晶焼
鈍を不完全に行う方法等によりこれらの問題を解決する
ことも考えられるが、2次変形に十分な加工性を得るの
は困難である。以上のように、従来の方法では、r値を
1.0 未満に低減して、缶高さの減少を抑制することが困
難であり、また一般に肌荒れ防止と2次変形加工性・非
時効性との両立が困難である。
【0009】なお、特開平1-16030 号公報には、C:0.
10%以下の実質的に低炭素鋼を、再結晶温度以上 800℃
以下で連続焼鈍した後、 300℃〜 700℃の温度範囲で箱
焼鈍を施すことにより、結晶粒度番号9番以上(平均粒
径17.6μm 以下に相当)で、蓋の焼付塗装によっても時
効しない非時効性で、開缶性等に優れたイージーオープ
ン缶用鋼板を得る技術が開示されている。しかし、この
技術によってもr値は1.0以上になり、また本発明が目
標とする変形3ピース缶において要求されるレベルの2
次変形加工性、硬度、耐肌荒れ性を満足するものではな
かった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題を解決し、複雑な缶デザインの要求に対しても
応えることのできる加工性・加工後外観特性・高歩留り
性を満足する缶用鋼板およびその製造方法の提供を目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を達成するために鋭意研究した結果、適量のMnの添加
と適正な条件下での連続焼鈍を組合せることにより、r
値の低減、結晶粒の細粒化、高硬度化を同時に達成で
き、さらに箱焼鈍サイクルの熱処理を施すことにより2
次変形加工性の改善と、非時効化を得ることができるこ
とを新たに知見した。
【0012】さらに、本発明者らは、2次変形時の缶胴
割れを防止するためには、板厚の分布の不均一による変
形の集中を抑制することが重要で、そのために製品コイ
ルにおけるクラウンを5μm 以下とすることが有効であ
ることを見出した。本発明は、上記した知見に基づいて
完成されたものである。すなわち、第1の本発明は、重
量%で、C:0.03〜0.1 %、Mn:0.5 %超〜1.0 %を含
む組成と、フェライト相を主相とし、平均結晶粒径が10
μm 以下の組織を有し、圧延方向もしくは圧延直角方向
のr値が0.4 〜1.0 未満、時効硬化指数AI値が30MPa
以下であることを特徴とする缶用鋼板であり、前記組織
は、フェライトを主相とし、粒径 0.5〜3μm のパーラ
イト粒を体積比で 0.1〜1%を含有するのが好ましい。
【0013】また、第1の本発明では、前記組成を、重
量%で、C:0.03〜0.1 %、Mn:0.5 %超〜1.0 %、A
l:0.10%以下、N:0.0050%以下を含み、残部Feおよ
び不回避的不純物からなる組成とするのが好ましく、該
組成に加えて、さらに重量%で、Ti:0.20%以下、B:
0.01%以下、V:0.1 %以下、Nb:0.1 %以下のうちか
ら選ばれた1種以上を含有してもよく、また、さらにCa
を0.01%以下含有してもよい。また、Si:0.10%以下、
P:0.04%以下、S:0.01%以下に制限するのが好まし
い。
【0014】また、第1の本発明では、全伸びEL(%)
が、板厚t(mm)に対してEL≧ 110tであるのが好まし
く、また、製品コイルにおける板クラウンを5μm 以下
とするのが好ましい。また、第2の本発明は、重量%
で、C:0.03〜0.1 %、Mn:0.5 %超〜1.0 %を含有す
る組成の鋼スラブを、仕上温度800 〜1000℃で熱間圧延
し、500 〜750℃にて巻取り、冷間圧延後、再結晶温度
以上 800℃以下で連続焼鈍し、その後 500℃超〜 600℃
で1hr以上の箱焼鈍を施すことを特徴とする缶用鋼板の
製造方法であり、前記連続焼鈍の焼鈍温度は 720℃以上
とするのが好ましい。なお、第2の本発明では、前記組
成が、重量%で、C:0.03〜0.1 %、Mn:0.5 %超〜1.
0%、Al:0.10%以下、N:0.0050%以下を含み、残部F
eおよび不回避的不純物からなる組成とするのが好まし
く、該組成に加えて、さらに重量%で、Ti:0.20%以
下、B:0.01%以下、V:0.1 %以下、Nb:0.1 %以下
のうちから選ばれた1種以上を含有してもよく、また、
さらにCaを0.01%以下含有してもよく、Si:0.10%以
下、P:0.04%以下、S:0.01%以下に制限するのが好
ましい。
【0015】また、第2の本発明では、前記熱間圧延に
際し熱延板のクラウンを40μm 以下とし、前記冷間圧延
に際し冷延板のクラウンを5μm 以下とするのが好まし
い。前記熱延板のクラウンを40μm 以下とするために
は、熱間圧延は、ロールクロス方式の圧延機、好ましく
はペアクロス方式の圧延機を用いて、形状制御圧延する
のが好ましい。また、前記冷延板のクラウンを5μm 以
下とするためには、冷間圧延は、ロールクロス、ロール
シフトまたはロールクロスシフト方式の圧延機を用い
て、形状制御圧延するのが好ましい。
【0016】なお、第2の本発明では、箱焼鈍後に2次
冷間圧延を施してもよい。2次冷間圧延は、硬度調節等
を目的とした調質圧延であり、圧下率 0.5〜5%も付与
すれば所望の硬度が得られ、過度にYSを上げるような強
圧下は必要としない。また、鋼板の薄肉化が本発明の課
題の1つであるが、本発明の鋼板は板厚を0.25mm以下と
すると特に効果的である。
【0017】
【発明の実施の形態】3ピース缶の缶胴はL方向(圧延
方向)が缶の円周方向となるように円筒成形される方法
(ノーマルグレーン法)とC方向(圧延直角方向)が缶
の円周方向となるように円筒成形される方法(リバース
グレーン法)がある。ノーマルグレーンの場合は、円筒
成形した後に、鋼板は2次成形によりL方向に延伸され
ることになり(図4参照)、缶高さ方向の縮み量はL方
向に引張試験を行った場合の幅方向縮み量、すなわちL
方向のr値と相関があることがわかった。一方、リバー
スグレーンの場合は、C方向に延伸されることになるた
めに、缶高さ方向の縮み量はC方向のr値と相関がある
こととなる。従って、それぞれのr値が小さい程、2次
成形後の缶軸方向の縮み量は小さくなる。2次成形後の
缶高さは製缶メーカにより規定されているが、縮み量が
過度に大きいと内容量の確保が困難になったり、缶蓋、
缶底と缶胴部分の巻き締めができなくなるなどの問題が
生じる。
【0018】まず、本発明者らが行った基礎的実験結果
について説明する。種々の製品板を用いて、ノーマルグ
レーン法で円筒に成形したのち、図4(B)に示すよう
な2次成形を施し、缶胴部の寸法変化を詳細に調査し
た。図5に、圧延方向r値と2次成形後の缶高さ変化と
の関係を示す。図5から、缶の高さ方向の変化を小さく
し、かつ十分な加工性を確保するには、r値が 0.4〜
1.0とするのが適当であることがわかる。この傾向はリ
バースグレーン法の場合も同様である。なお、L方向、
C方向ともr値を 0.4〜 1.0とすることにより円筒成形
の方向によらず、缶高さ変化を小さくすることができる
ので好ましい。
【0019】このような比較的低いr値を得るために
は、鋼板の焼鈍方法は連続焼鈍法による短時間焼鈍で行
うことが必須である。ただし、一度再結晶による集合組
織の形成が進んでしまえば、その後箱焼鈍のような長時
間の焼鈍処理を施してもr値はほとんど変化しない。次
に、種々の製品板を用いて、210 ℃×20min の時効処理
後の降伏点伸びY-Elと鋼板の時効性指数AI値との関係
を調査しその結果を図2に示す。AI値は、7.5%引張
予歪後100 ℃×30min の時効処理を施し、処理前後の降
伏応力の変化量である。さらに、同じ製品板を用いて、
樽型缶(2次成形後に鋼板にかかる1軸相当歪み範囲0.
05〜0.15)に成形し、缶胴体部にストレッチャーストレ
インの発生の有無を調査し、図2に併記した。図2か
ら、ストレッチャーストレインの発生を防止するには、
塗装・焼き付けあるいはフィルムラミネート処理相当の
時効( 210℃×20分)処理後の鋼板の降伏点伸びを3%
未満、鋼板のAI値を30MPa 以下とすることが必要であ
り、C量を0.03〜 0.1%、Mn量を 0.5%超、Al量を0.01
〜 0.1%、N量を0.0050%以下に制限するとともに箱焼
鈍サイクルの適用が有効であるとの知見を得ている。こ
のような低時効性鋼板を得るには、低r値等のための連
続焼鈍に続いて箱型焼鈍による過時効処理を施し、炭化
物および窒化物を十分に析出させ、固溶Cおよび固溶N
を極力低減することが肝要であることを見いだした。
【0020】つぎに、2次成形後の肌荒れと結晶粒度の
関係について調査し図3に示す。図3から、2次成形後
の肌荒れ発生防止のためには、製品板の結晶粒径は10μ
m 以下である必要があることがわかる。製品の結晶粒径
を10μm 以下とするためには、C量を0.03%以上に制御
し、かつ冷間圧延後の再結晶焼鈍を短時間焼鈍とする連
続焼鈍で行い、それに続く箱型焼鈍は結晶粒が粗大化し
ない範囲とし、炭化物、窒化物の析出促進のみを目的と
するのがよい。
【0021】つぎに、接合された缶胴を樽型缶(鋼板に
かかる一軸相当歪み範囲0.05〜0.15)に2次成形する際
に接合部に発生する割れと、製品板の延性との関係を調
査し、製品板の全伸びEL/板厚tの比(EL/t)と割れ
発生率との関係を図1に示す。図1から、2次成形後に
割れが発生しないためには(EL/t)> 110とする必要
があることがわかる。
【0022】(EL/t)> 110とするためには、C量を
0.1%以下、Mn量を 0.7%以下、Al量を0.07%以下、N
量を 0.003%以下に制限するとともに、連続焼鈍法によ
る短時間焼鈍と箱型焼鈍サイクルによる長時間焼鈍を合
わせ施すことが有効であるという知見を得ている。次
に、本発明での鋼の化学成分の限定理由について説明す
る。
【0023】C:0.03〜0.1 % Cは、本発明において重要な元素の1つであり、鋼板の
強化と時効性低減の観点から、0.03〜0.1 %の範囲とす
る。時効性を低減するためには、セメンタイトを十分に
析出させ、鋼中の固溶量を少なくする必要がある。C量
が0.03%未満では、薄肉化に対応した缶体強度が得られ
ない。一方、0.1 %を超えると鋼板が過度に硬質化し、
成形性が劣化する。このため、C量が0.03〜0.1 %が適
当である。
【0024】Mn:0.5 超〜1.0 %以下 Mnは、鋼板のr値を目標範囲内の低いr値に制御するた
めに重要な元素の1つである。変形3ピース缶において
は2次変形後の缶高さ方向の縮み量を小さくするため
に、製品板のL、C方向r値を0.4 以上、1.0 未満とす
る必要がある。Mnがr値の低減に効果を示すことについ
て、詳細な機構は不明であるが、鋼中の固溶Mnの増大が
r値の低減に有効に作用していると考えられる。
【0025】また、Mnの添加は鋼板の時効性低減にも効
果を示すと考えられる。Mnはセメンタイト中に濃化する
ことで、セメンタイト/フェライト界面の移動速度を遅
くする効果がある。熱延板で析出したセメンタイトは、
焼鈍工程において一部、再固溶するが、Mnがセメンタイ
ト中に濃化することで、セメンタイト/フェライト界面
の移動速度が遅くなっているために、セメンタイトの再
固溶が生じにくくなる。このことから焼鈍段階での固溶
Cの増大をMnが抑制することで低時効性を示す鋼板が得
られるものと考えられる。
【0026】さらに、Mnは固溶強化に対しても効果があ
り、今後の薄肉化に対応するためにもMnの添加は有効で
ある。これらの効果を発揮するには0.5 %を超える添加
が必要であり、一方、Mnを多量に添加すると、耐食性が
劣化傾向にあることに加え、鋼板を硬質化させ製缶加工
性を劣化させるためにその上限を1.0 %とした。好まし
くは 0.7%以下である。
【0027】なお、セメンタイトを主にパーライト中に
生成させることで、極めて優れた非時効性・延性(EL)
を得ることができるが、このようなパーライトを生成す
るためにも上記範囲のC、Mn量とするのが好ましい。 N:0.0050%以下 Nは、時効性を高める元素であり、ストレッチャースト
レインの発生頻度を増加させる。したがって、できるだ
け低減することが望ましい。実用上の不具合発生は0.00
50%以下とすることで防止できるため、N量を0.0050%
以下とした。N量の下限はとくに限定されないが、0.00
10%であれば、コスト的にみて工業的に達成できる範囲
といえる。また、延性の観点からは0.0030%以下がよ
く、材質の安定性確保という観点では、0.0020%以下の
範囲がさらに好適である。
【0028】Al:0.1 %以下 Alは、AlN として鋼中の固溶Nを固定化し、耐時効性に
対し有効な元素である。このような耐時効性を高めるた
めには、 0.010%以上の添加が好ましいが、より耐時効
性に対して厳しい用途については、0.05%以上の添加が
望ましい。また、含有量が多くなるとアルミナクラスタ
などに起因する表面欠陥の発生頻度が急増するため、そ
の上限を0.1 %とした。なお、成形性の観点からは0.07
%以下が好ましい。
【0029】また、本発明では、固溶N低減元素として
Alの1部または全部に代えてTi、B、V、Nbの1種以上
を添加してもよい。 Ti:0.20%以下 Tiは、TiN としてNと結合し、固溶N量を低減する元素
であり、耐時効性に対し有効な元素である。この効果を
得るためには、含有するN含有量に応じ添加量を調整す
るが、単独で添加する場合には、0.01%以上添加する必
要がある。一方、0.20%を超えて添加すると、コスト高
となり、延性が低下するとともに、表面欠陥を多発す
る。このため、Tiは0.20%以下、好ましくは0.01%以上
とする。
【0030】B:0.01%以下 Bは、BNとしてNと結合し、固溶N量を低減する元素で
あり、耐時効性に対し有効な元素である。この効果を得
るためには、含有するN含有量に応じ添加量を調整する
が、単独で添加する場合には、0.0003%以上とする必要
があるが、0.01%を超えて添加すると、コスト高となる
うえ、r値を1.0 以下とすることが、BN形成による過度
のフェライト清浄化のため困難となる。
【0031】V:0.1 %以下 Vは、VNとしてNと結合し、固溶N量を低減する元素で
あり、耐時効性に対し有効な元素である。この効果を得
るためには、含有するN含有量に応じ添加量を調整する
が、単独で添加する場合には、 0.005%以上とする必要
があるが、 0.1%を超えて添加すると、コスト高となる
うえ、延性が低下する。このため、Vは0.1 %以下、好
ましくは0.01%以上とする。
【0032】Nb:0.1 %以下 Nbは、NbN としてNと結合し、固溶N量を低減する元素
であり、耐時効性に対し有効な元素である。この効果を
得るためには、含有するN含有量に応じ添加量を調整す
るが、単独で添加する場合には、 0.002%以上とする必
要があるが、0.1 %を超えて添加すると、コスト高とな
るうえ、延性が低下する。このため、Nbは0.1 %以下、
好ましくは0.01%以上とする。
【0033】固溶N量低減のため、固溶N量低減元素を
複合して添加する場合には、Nに対して当量以上、好ま
しくは2倍以上となるように、下記条件とするのが好ま
しい。 (14/27 ・Al+14/48・Ti+14/11・B+14/51・V+ 14/93
・Nb) ≧N Al、Ti、B、V、Nb、Nは各元素の含有量(wt%)であ
る。
【0034】また、脱酸および介在物形態制御のため、
Caを添加してもよい。 Ca:0.01%以下 Caは、介在物形態を調整するのに有効な元素であり、必
要に応じ添加できる。しかし、0.01%を超える添加は、
加工性を劣化させるため上限とした。その他、Si、P、
Sはできるだけ低減するのが望ましい。
【0035】Si:0.10%以下 Siは、多量に含有されると表面処理性の劣化、耐食性の
劣化等の問題が生じてくるため、その上限を0.10%とし
た。特に、優れた耐食性が必要な場合には、0.02%以下
がより好適である。 P:0.04%以下 Pは多量に含有する場合、鋼を硬質化させ加工性を悪化
させると同時に、耐食性を劣化させるため、その上限を
0.04%とした。これらの特性が特に重要視される場合は
0.01%以下とする必要がある。
【0036】S:0.01%以下 Sは、介在物として存在し、鋼板の延性を減少させ、さ
らに耐食性の劣化をもたらす元素なので、その上限を0.
01%とした。特に良好な加工性が要求される用途におい
ては、0.005 %以下とすることが望ましい。その他、残
部はFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物と
しては、Cu、Cr、Ni、Mo、Zn、Pb等が原料もしくはスク
ラップからの混入元素として考えられるが、Cu、Cr、Ni
は各々 0.2%以下、Sn、Mo、Zn、Pbおよびその他の元素
は各々 0.1%以下であれば、缶としての使用特性に及ぼ
す影響は無視できる。
【0037】上記した組成に加えて、連続焼鈍終了時に
下記組織とするのが好ましい。本発明の缶用鋼板は、フ
ェライトを主相とし、平均結晶粒径が10μm 以下を有
し、好ましくは、粒径 0.5〜3μm のパーライト粒を体
積比で 0.1〜1%を含有する組織とするのが好ましい。
なお、上記粒径以外のパーライト粒は体積比1%以下ま
で許容できる。
【0038】上記した組成と組織とすることにより、A
I値≦20MPa 、EL/t≧140 の優れた特性を得ることがで
きる。これは、固溶Cがパーライト中のセメンタイトに
固定されるためと推測される。なお、主相であるフェラ
イト相は体積比で95%以上あればよい。 平均結晶粒径:10μm 以下 本発明では、2次成形時の肌荒れ発生を防止するため
に、製品板の平均結晶粒径は10μm 以下とする。なお、
延性確保の点から5μm 以上が好ましい。なお、本発明
における平均結晶粒径とは、板厚断面(圧延方向断面)
において測定した結晶粒の平均粒径を用いる(ただし、
最表面5μm ずつは平均から除外した)。
【0039】r値:圧延方向および圧延方向直角方向で
0.4 〜 1.0未満 圧延方向および圧延直角方向のr値を 0.4以上、1.0 未
満とことにより、円筒状の缶胴の2次成形に際して、円
筒の長手方向の収縮量を最低限に抑制でき、鋼材の歩留
りを改善できる。なお、変形部は薄肉化するが、加工硬
化により強度が増加し缶体特性としては問題なく、缶体
の軽量化の観点から望ましい。なお、r値は圧延方向あ
るいは圧延直角方向のいずれか一方、製缶時の2次成形
の引張方向に一致させる方向であればよいが、両方向を
満足することが好ましい。
【0040】時効性指数AI値:30MPa以下 製品板のAI値が30MPa を超えると、2次成形時にスト
レッチャーストレインが発生し、外観不良となるためA
I値は30MPa 以下とする必要がある。好ましくは20MPa
以下である。 全伸びEL/ 板厚tの比(EL/ t): 110以上 2次成形時の割れ発生を防止するために、変形方向の延
性を高くする必要があり、それぞれの方向の全伸びEL/
板厚tの比(EL/ t)を 110以上とする。好ましくは 1
40以上である。
【0041】表面硬さ:HR30T50 〜57 鋼板の硬さがHR30T にして50より低いと、十分な缶体強
度が得られず、外力に対して容易に変形したり、缶胴体
に蓋を巻き締める際に缶の高さ方向からの力により、缶
の上下に施したフランジ部が変形して蓋が巻き締めにく
くなるなどの問題が生じる。一方で、57を超える場合に
はフランジ成形性が悪くなり割れが発生しやすくなるの
に加えて、本発明の方法であっても調質圧延5%超えが
必要となり、円筒成形時にスプリングバック量が大きく
なり、溶接不良が生じるなどの問題が発生する。したが
って、硬さはHR30T50 〜57とするのが好ましい。
【0042】つぎに、製造条件の限定について説明す
る。上記した組成の鋼素材(スラブ)を熱間圧延し、熱
延鋼板とし、あるいはさらにこれら熱延板を冷延圧延に
より冷延板とする。製造条件の限定について説明する。 スラブ加熱温度:1000〜1300℃ スラブを熱間圧延に先だって加熱するスラブ加熱温度が
1000℃未満では、高い熱延仕上げ温度を確保することが
困難であり、一方、加熱温度が1300℃を超えると、鋼板
の表面性状が著しく劣化する。このため、スラブ加熱温
度を1000〜1300℃とした。また、スラブは、一旦室温ま
で冷却した後に再加熱しても、また、冷却することなく
加熱炉に挿入して加熱してもよい。また、仕上げ圧延に
先だって粗圧延を施してもよいし、薄スラブを用いて直
接仕上げ圧延を行ってもよい。
【0043】仕上げ圧延温度:800 〜1000℃ 仕上げ圧延温度が800 ℃未満では、最終製品板の結晶粒
を微細化することが困難となり、製缶後の外観の美麗性
が失われる。しかし、1000℃を超えて仕上圧延された場
合には、スケールのロスが顕著に増加し好ましくない。
このため、仕上げ圧延温度を800 〜1000℃に限定した。
なお、仕上げ圧延温度は、常法にしたがい、圧延機出側
で測定した値とする。
【0044】熱間圧延では、熱延板のクラウンを40μm
以下とする圧延を行うのが、冷延板のクラウンを5μm
以下に無理なく仕上げるために好ましい。熱延板のクラ
ウンを40μm 以下とする圧延は、ロールクロス方式の圧
延を実施し、特に仕上圧延に際し3スタンド以上をペア
クロスロールで圧延することにより実現できる。なお、
クラウン(板クラウン)の定義は〔板幅中央板厚−板幅
端部(最端部より30mm)板厚〕の絶対値(両板幅端部を
測定した平均値)である。
【0045】巻取温度:500 〜750 ℃ 巻取温度が500 ℃未満では、鋼板の形状、幅方向の材質
の均一性が低下する。また、固溶Nを AlN等として固定
化し、時効性を低下させるためには、巻取温度は600 ℃
以上とするのが望ましい。固溶Nの固定が主としてTi単
独で行う場合には、巻取温度は 500℃と低温でもよい。
一方、巻取温度が 700℃を超えると、セメンタイトが凝
集、粗大化し、冷延、焼鈍後のr値が目標範囲より高く
なるとともに熱延母板組織の均一性が低下し、さらにス
ケールの厚みが顕著に増加して脱スケール性が低下す
る。
【0046】なお、冷間圧延に先立ち、熱延板表面に生
成されたスケールを酸洗等で除去するのが望ましい。酸
洗条件については特に限定はなく、通常の塩酸あるいは
硫酸による酸洗が好適である。ついで、酸洗された熱延
板は冷間圧延を施される。冷間圧延の条件は特に規制し
ないが、極薄鋼板の製造においては、通常、80%以上と
するのが熱延・酸洗コスト上有利である。冷間圧延で
は、冷延板のクラウンを5μm 以下とする。クラウンが
5μm を超えると、特に板幅端部付近から板取りした鋼
板を2次変形させる際に、缶胴部での破断が発生するこ
とがある。なお、クラウン5μm 以下を実現させるため
には、ロールシフトもしくはロールクロス(あるいは両
方)方式の圧延が好ましく、特に1スタンド以上をクロ
ス・シフトで圧延することが好ましい。
【0047】再結晶焼鈍:連続焼鈍法により、再結晶終
了温度以上かつ 800℃以下 本発明では、円筒成形された後の高い2次成形性が必要
とされるため、鋼板は再結晶終了温度以上で焼鈍され、
再結晶組織となっていることが必要とされる。特殊な用
途として部分再結晶組織を応用する可能性はあるが、材
質の安定性の確保が困難である。一方、 800℃を超える
高い温度で焼鈍した場合には、高温強度が低下ししかも
鋼板板厚が薄いために、ヒートバックルと呼ばれる不良
現象を生ずる危険性が増大する。また、 800℃を超える
高い温度で焼鈍すると、鋼板のr値が 1.0を超え、2次
成形後の缶高さが低くなる。また、結晶粒が粗大化し、
2次成形後に肌荒れが発生する危険がある。したがっ
て、再結晶焼鈍は連続焼鈍法により、再結晶終了温度以
上、 800℃以下とする。なお、連続焼鈍後の組織が、フ
ェライトを主相とし、フェライト中に粒径 0.5〜3μm
のパーライト粒を体積比で 0.1〜1%含有する組織とす
ることにより、箱焼鈍後の非時効性および延性が向上す
ることがわかった。このような組織を得るためには、焼
鈍温度を 720℃以上とするのが好ましい。
【0048】箱焼鈍: 500℃超え 600℃で1〜10hr保持 本発明においては、連続焼鈍に続き、箱焼鈍型熱サイク
ル(本発明では、この熱サイクルを箱焼鈍と称する)を
施す。箱焼鈍は、セメンタイトおよびAlN の析出促進を
目的として、長時間の均熱および徐冷となる熱処理であ
り、 500℃超え600℃で1〜10時間保持とするのが好ま
しい。熱処理温度が 500℃以下ではセメンタイト、AlN
等の析出が不十分であり、延性が不足する。一方で 600
℃を超えるとセメンタイトが過度に粗大化し、また再結
晶粒が粗大化する。このため、r値が 1.0以上と大きく
なり、2次成形時に肌荒れが生じる。このために箱焼鈍
の処理温度は 500℃超え、 600℃以下とする。また、箱
焼鈍の保持時間が1hr未満では上記の効果が得られな
い、一方、10hrを超える場合には生産性が低下するため
に保持時間は1〜10hrとするのが好ましい。セメンタイ
トおよびAlN を十分に析出させることにより、耐時効性
と延性が向上し、2次成形時のストレッチャーストレイ
ンの発生や2次成形時の割れ発生を防止する。
【0049】再結晶焼鈍後の2次圧延圧下率: 0.5〜5
% 再結晶焼鈍後、必要に応じ、2次冷間圧延を施す。2次
冷間圧延の圧下率は、缶体強度の確保と、焼鈍板の材質
の均一化、さらに可動転位の導入による時効性の低減の
ために 0.5〜5%とするのが好ましい。 0.5%未満の圧
下率では所定の効果が認められない。一方、圧下率が5
%を超えると、円筒成形した際のスプリングバック量が
大きくなったり、延性の劣化、あるいは延性の異方性に
起因してフランジ割れが生じるなどの問題が生じる。
【0050】製品の板厚:0.25mm以下 製缶コスト低減の観点から素材の薄肉化がすすめられて
おり、製缶メーカの要求に対応するという本発明の趣旨
より、板厚は0.25mm以下とするのが好ましい。本発明の
鋼板(方法)はt≦0.25mmにおいて従来鋼より特に優れ
た2次変形性を発揮する。
【0051】
【実施例】(実施例1)表1に示す化学組成の鋼を転炉
で溶製し、連続鋳造法によりスラブとした。これらスラ
ブを表2に示す条件で熱間圧延、冷間圧延、連続焼鈍、
そして2次冷延を行い、最終仕上板厚0.22mmの冷延板と
した。ついで、ハロゲンタイプの電気錫めっきラインに
て25番相当の錫めっきを連続的に施し、ぶりき板に仕上
げた。
【0052】このようにして得られた錫めっき鋼板の板
圧延方向(L方向)と直角方向(C方向)から試験片を
採取して、全伸びEL、表面硬さHR30T 、r値、AIおよび
焼付け相当の時効処理(210 ℃×20分)後の降伏点伸び
(Y-El)、全伸びEL/ t比を調査した。これらはJIS 5
号引張試験片を使用した。これら鋼板を 250g 缶サイズ
に円筒成形したのち、特殊な割型構造よりなるプレス治
具を用いて2次成形を行った。2次成形の際の引張歪の
方向はL方向(ノーマルグレーン法)およびC方向(リ
バースグレーン法)とし、伸び歪量は平均7%とした。
製缶後、割れ発生の有無、肌荒れおよびストレッチャー
ストレイン発生の有無を調査した。さらに、2次成形前
後の缶軸方向高さ変化を調査した。これらの結果を表3
に示す。なお、パーライト体積率は、製品板C断面組織
のSEM調査で測定した。肌荒れは、表面粗度Ra≧ 1.0
μm となった場合を発生とした。ストレッチャーストレ
インは明確に視認できるものを発生とした。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】本発明例は、2次成形後の肌荒れ、ストレ
ッチャーストレインの発生はなく、また2次成形時の割
れ発生もなかった。これに対し、Mn量が本発明の範囲を
外れる比較例(鋼板No.10 〜No.12 )では、r値が高
く、延性が低下し、2次加工後に肌荒れ、ストレッチャ
ーストレインの発生、割れが観察された。 (実施例2)表1に示す鋼No.Eを用いて、表4に示す条
件で熱間圧延、、冷間圧延、連続焼鈍、そして2次冷延
を行い、最終仕上板厚0.22mmの冷延板とした。ついで、
ハロゲンタイプの電気錫めっきラインにて25番相当の錫
めっきを連続的に施し、ぶりき板に仕上げた。これら製
品板について、実施例1と同様の調査を行った。それら
の結果を表5に示す。なお、熱間圧延は、製造条件No.2
-13 以外は、全スタンドにペアクロスロールを有する圧
延機により、ペアクロス圧延を施した。また、冷間圧延
は、製造条件No.2-13 以外は、前段にロールクロススタ
ンドを有する圧延機によるクロス・シフト圧延とし、冷
延板のクラウンを調整した。
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】本発明例は、r値が適正な範囲に制御さ
れ、2次成形時の缶軸方向の収縮量が小さく、初期のブ
ランク形状をより小さくできる。これによる歩留りの向
上は概ね2%程度であるが、生産数量の極めて大きい製
品分野においては顕著な効果となる。本発明例は他の特
性についても比較例以上の特性を有する。また、本発明
も実施例では錫めっきを施したが、テインフリー鋼板、
複合めっき鋼板などに用いてもよく、さらにめっきを施
さずに塗装鋼板として用いてもよい。また、鋼板の表面
に樹脂フィルムを接着したような鋼材へも適用できる。
【0060】また、3ピース缶用鋼板としてのみではな
く、2ピース缶用鋼板として用いても何ら問題ない。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、円筒状に成形した鋼板
に円周方向に伸び歪を付与して、3次元的な変形缶を製
造する際に、缶軸方向の幅収縮量を低減させることで、
素材の歩留りを向上させることができる鋼板およびその
製造方法を提供するものである。
【0062】本発明によれば、複雑な缶デザインの要求
に対しても応えることのできる加工性、加工後外観特性
を有する缶用鋼板を製造でき、缶製造における素材の歩
留りを向上させることができ、産業上格段の効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】2次成形時の割れ発生とEl/tの関係を示すグラ
フである。
【図2】時効処理後の降伏伸びと時効硬化指数AI値と
の関係を示すグラフである。
【図3】2次成形後の肌荒れと製品板の平均結晶粒径と
の関係を示すグラフである。
【図4】変形3ピース缶の例を示す説明図である。
【図5】2次成形性、缶高さ方向の縮み傾向におよぼ
す、2次成形後の缶高さ変化と圧延方向r値との関係を
示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 古君 修 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 久々湊 英雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 荒谷 誠 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 Fターム(参考) 4K037 EA01 EA02 EA05 EA09 EA15 EA18 EA19 EA23 EA27 EA31 EA32 EB05 FA02 FA03 FC03 FC04 FE01 FE02 FE03 FH01 FH03 FH05 FJ04 FJ05 FM01 HA05 JA06 4K038 AA01 BA01 CA01 DA01 EA01 FA02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.03〜0.1 %、Mn:0.5
    %超〜1.0 %を含む組成と、フェライト相を主相とし、
    平均結晶粒径が10μm 以下の組織を有し、圧延方向もし
    くは圧延直角方向のr値が0.4 〜1.0 未満、時効硬化指
    数AI値が30MPa 以下であることを特徴とする缶用鋼
    板。
  2. 【請求項2】 前記組織が、フェライトを主相とし、粒
    径 0.5〜3μm のパーライト粒を体積比で 0.1〜1%を
    含有することを特徴とする請求項1記載の缶用鋼板。
  3. 【請求項3】 前記組成が、重量%で、C:0.03〜0.1
    %、Mn:0.5 %超〜1.0 %、Al:0.10%以下、N:0.00
    50%以下を含み、残部Feおよび不回避的不純物からなる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の缶用鋼板。
  4. 【請求項4】 前記組成に加えて、さらに重量%で、T
    i:0.20%以下、B:0.01%以下、V:0.1 %以下、N
    b:0.1 %以下のうちから選ばれた1種以上を含有する
    ことを特徴とする請求項3に記載の缶用鋼板。
  5. 【請求項5】 全伸びEL(%)が、板厚t(mm)に対し
    てEL≧ 110tであることを特徴とする請求項1ないし4
    のいずれかに記載の缶用鋼板。
  6. 【請求項6】 製品コイルにおける板クラウンが、5μ
    m 以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    に記載の缶用鋼板。
  7. 【請求項7】 重量%で、C:0.03〜0.1 %、Mn:0.5
    %超〜1.0 %を含有する鋼スラブを、仕上温度800 〜10
    00℃で熱間圧延し、500 〜750 ℃にて巻取り、冷間圧延
    後、再結晶温度以上 800℃以下で連続焼鈍し、その後 5
    00℃超〜 600℃で1hr以上の箱焼鈍を施すことを特徴と
    する缶用鋼板の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記連続焼鈍の焼鈍温度を 720℃以上と
    することを特徴とする請求項7に記載の缶用鋼板の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 前記熱間圧延に際し熱延板のクラウンを
    40μm 以下とし、前記冷間圧延に際し冷延板のクラウン
    を5μm 以下とすることを特徴とする請求項7または8
    に記載の缶用鋼板の製造方法。
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