JP6057023B2 - 王冠用鋼板の製造方法及び王冠用鋼板 - Google Patents
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Description
王冠の役割は瓶の内容物を封止状態に保つことであり、そのためには、瓶の内圧上昇によっても内容物が瓶の外部に漏れない性能が必要である。図2に示すように、瓶の内圧が上昇すると王冠1のシェル2を上方に持ち上げる力(内圧11)が王冠に加わる。この力によってシェル2が変形し、瓶と王冠1が離れようとする。鋼板を薄手化するとシェル2の変形量が増加するので、内圧11に対する王冠1の耐圧性能(以下、王冠耐圧と呼称する場合がある)が低下する。
ここで、王冠耐圧を評価するための耐圧試験としては、例えば、厚生省告示第370号の食品、添加物等の規格基準に規定されたSST(Secure Seal Test)試験がある。このSST試験とは、王冠を取り付けて密封した容器の、王冠部に直径5〜10mmの穴をあけ、空気漏れのないようにこの穴に送気用ノズルを装着し、更に、ノズルに対して圧力計及び圧縮機を接続する。次に、この容器を水の入った水槽内に入れるとともに、圧縮機を作動させ容器内部の圧力が294kPaになるまで加圧を行い、空気漏れの有無を調べる方法である。空気の漏れがなければ、十分な耐圧が確保できていると判断される。なお、容器は水の中に入っているので、空気の漏れが生じた場合には、水中に泡が生じることになる。
なお、需要家によっては、同様な試験要領にて145PSIまでの加圧にて漏れないことを必須とすることが要求される場合もあるので、その場合には、145PSIで空気の漏れが生じなければよい。
図3は、従来の素材(王冠用鋼板)のYP(降伏強度)と板厚との関係を調査した結果である。図3において、領域Cは、一般的な王冠形状で王冠耐圧が確保できる領域であり、領域Dは、素材のYPが低く、王冠耐圧が確保できない領域である。すなわち、図3によれば、板厚減少に伴い王冠耐圧を確保可能なYPが上昇することが分かる。例えば、従来多く使われる板厚である0.22mmでは400MPa程度の降伏強度(YP)で王冠耐圧が確保可能だが、0.18mmでは、570MPaが必要であり、0.17mm以下で王冠耐圧を確保するためには700MPa以上の降伏強度が必要となる。しかしながら、特に、YPが700MPa以上である高強度鋼板を製造するには、二次冷間冷延圧下率を設備能力限界レベルに高くする必要があるので、製造が困難である。そのため、図3の領域Bは、素材のYPが高く、製造が困難な領域である。
したがって、一般的な王冠形状において、高強度化による板厚0.18mm未満への薄手化は容易ではなく、特に、板厚0.17mm以下への薄手化は困難である。
(1)すなわち、本発明の一態様に係る王冠用鋼板は、王冠用の鋼板であって、化学組成として、質量%で、C:0.0010%〜0.0060%、Si:0.005〜0.050%、Mn:0.10%〜0.50%、Ti:0〜0.100%、Nb:0〜0.080%、B:0〜0.0080%、を含有し、P:0.040%以下、S:0.040%以下、Al:0.1000%以下、N:0.0100%以下、に制限し、残部がFeおよび不純物を含有し;前記鋼板の圧延方向に対して25〜65°の方向のr値の最小値が1.80以上であり、かつ、前記圧延方向に対して0°以上360°未満の方向の前記r値の平均値が1.70以上であり;降伏強度が570MPa以上である。
350≦0.067×ln(t)×T×(−0.23×ln(C)+0.25)≦550 (a)
(i)所定の化学組成を有するスラブを、加熱する加熱工程。
(ii)加熱された前記スラブを熱間圧延して巻取ることで熱延鋼板を得る熱延工程。
(iii)熱延工程後の熱延鋼板を酸洗する酸洗工程。
(iv)酸洗工程後の熱延鋼板を冷間圧延して冷延鋼板を得る冷延工程。
(v)冷延工程後の冷延鋼板を、焼鈍温度Tで焼鈍する焼鈍工程。
(vi)焼鈍工程後の冷延鋼板を、スタンド間張力tと前記焼鈍温度Tとが所定の関係を満たすように設定された2スタンドの圧延機を用いて、二次冷間圧延を行う二次冷間圧延工程。
Cは、鋼板の強度に寄与する元素である。C含有量が0.0010%未満では十分な強度を確保することが困難となるので、C含有量を0.0010%以上とする。好ましくは0.0030%以上である。一方、C含有量が0.0060%を超えるとr値及び延性が著しく低下する。そのためC含有量を0.0060%以下とする。
Siは、脱酸材として有効であるとともに、強度確保にも有効な元素である。この効果を得るため、Si含有量を0.005%以上とする。一方、Si含有量が0.050%を超えると熱延工程においてスケール模様と呼ばれる表面欠陥が発生し外観が損なわれる。そのため、Si含有量を0.050%以下とする。Si含有量が0.030%を超えると、耐食性の劣化が問題となる場合があるので、内容物の種類によってはSi含有量を0.030%以下とすることが好ましい。
Mnは、Sによる熱間割れを防止する上で有効な元素である。この効果を得るため、Mn含有量を0.10%以上とする。一方で、Mn含有量が過剰になると、耐食性が悪化するとともに、鋼板の硬質化によって冷間圧延性及び王冠成形性が悪化する。そのため、Mn含有量の上限を0.50%とする。
Pは、鋼を硬質化させ、加工性を悪化させる有害な元素であり、王冠成形時の成形不良をひきおこす元素である。そのため、P含有量は少ない方が好ましい。しかしながら、P含有量が0.040%を超えると、加工性の悪化が顕著となるので、P含有量を0.040%以下とする。王冠形状を安定的に製造するには、P含有量を0.020%以下とするのが好ましい。P含有量は少ない方が好ましいので、下限は特に規定せず0%でもよいが、P含有量を0.001%未満にすると、脱りんに係るコストおよび時間が著しく増加するので、P含有量の下限を0.001%としてもよい。
Sは、鋼中に介在物として存在し、延性を低下させるとともに、表面割れを引き起こして外観不良や耐食性の劣化をもたらす元素である。そのため、S含有量は少ない方が好ましい。しかしながら、S含有量が0.040%を超えると上記の悪影響が著しくなるので、S含有量を0.040%以下とする。特に良好な耐食性が要求される場合においてはS含有量を0.005%以下とすることが望ましい。S含有量は少ない方が好ましいので、下限は特に規定せず0%でもよいが、S含有量を0.001%未満にする場合、脱硫に係るコストおよび時間が著しく増加するので、S含有量の下限を0.001%としてもよい。
Alは、王冠用鋼板の規格(例えばASTM規格)に沿えば、0.1000%以下とする必要がある。また、Alは、Nと結合してAlNを形成する元素であり、鋼板中にNが存在する場合には、Al含有量が0.1000%超となると、AlNが粗大化するとともに、固溶Nが低減する。固溶Nが低減するとNの固溶強化の効果が小さくなり、必要強度を確保することが困難となる。そのためAl含有量を0.1000%以下とする。一方、Alは脱酸材として有効であり、脱酸による鋳造性向上の観点からは、Al含有量を0.005%以上とすることが好ましい。
N含有量が0.0100%を超えると鋼板の加工性が著しく劣化するとともに、連続鋳造時のスラブ割れなどの発生が懸念される。そのため、N含有量を0.0100%以下とする。一方、Nは、固溶強化効果による鋼板強度の増加に有効な元素であるので、N含有量を0.0010%以上としてもよい。
しかしながら、要求特性を満たすために必須ではないが、加工性の更なる改善を目的として、Ti、Nb、Bからなる群から選択される1種または2種以上を後述する範囲で含有させてもよい。ただし、Ti、Nb、B、いずれも必須ではないので、その含有量の下限は0%である。また、Ti、Nb、Bを後述する範囲未満で含有した場合も、本実施形態に係る製造方法の効果を損なうものではない。
(Nb:0.002〜0.080%)
(B:0.0003〜0.0080%)
Ti、Nb、Bはいずれも炭化物や窒化物を形成し、鋼板の加工性改善に有効な元素である。そのため、必要に応じ、1種または2種以上を組み合わせて含有させてもよい。
Ti含有量が0.01%未満では、十分な加工性改善効果が得られない。そのため、加工性改善効果を得るにはTi含有量を0.01%以上とするのが望ましい。一方、Ti含有量が0.100%を超えると硬質な析出物が生成し、耐食性が低下する。そのため、Tiを含有させる場合でも、Ti含有量を0.100%以下とすることが好ましい。
Nb含有量が0.002%未満では、十分な加工性改善効果が得られない。そのため、加工性改善効果を得るにはNb含有量を0.002%以上とすることが望ましい。一方、Nb含有量が0.080%を超えるとNb系析出物による結晶粒界のピン止め効果により再結晶温度が上昇し、連続焼鈍炉の通板作業性が低下する。そのため、Nbを含有させる場合でも、Nb含有量を0.080%以下とすることが好ましい。
B含有量が0.0003%未満では、十分な加工性改善効果が得られない。そのため、加工性改善効果を得るには0.0003%以上含有することが望ましい。一方、B含有量が0.0080%を超えると、連続焼鈍時にBが再結晶粒界に偏析し、再結晶を遅延させる。そのため、Bを含有させる場合でも、B含有量を0.0080%以下とすることが好ましい。
本実施形態に係る製造方法では、上記の化学組成を有するスラブを加熱し、熱間圧延し、巻取ることによって熱延鋼板を得る。また、この熱延鋼板を酸洗した後、冷間圧延することによって冷延鋼板を得る。加熱工程から冷延工程までは、常法に従い行えばよい。例えば、加熱工程での加熱温度(加熱炉抽出温度)を1140℃以上、熱延工程における巻取り温度を750℃以下、冷間圧延時の圧下率を80%〜95%とすればよい。
冷延工程後の冷延鋼板について、焼鈍を行う。焼鈍は連続焼鈍などの常法により行えばよいが、焼鈍温度Tが低すぎると未再結晶の状態になり鋼板が硬質化し、焼鈍温度Tが高すぎると鋼板が軟質化し、操業に支障をきたす場合がある。そのため、焼鈍温度Tは710℃〜800℃が望ましい。
焼鈍後の冷延鋼板に対し、二次冷間圧延を行う。二次冷間圧延は2つのスタンドで構成されたいわゆる2スタンドのテンパーパスミル(以下、TPMとする)にて行うことが好ましい。
焼鈍後に二次冷間圧延を行う場合、2つのスタンド間の鋼板にかかる張力tは、通常、1スタンド目と2スタンド目との圧下率配分および/または2スタンド目の圧延ロールから鋼板への粗度の転写等を考慮して決められる。しかしながら、本発明者らは、化学成分(特にC含有量)および焼鈍温度に応じてスタンド間張力tを適切な範囲に制御することにより、二次冷間圧延後の鋼板において、加工性を向上させることができることを知見した。
350≦0.067×ln(t)×T×(−0.23×ln(C)+0.25≦550 (1)
ここで、式中のCはC含有量(質量%)、Tは焼鈍温度(℃)、tは二次冷間圧延におけるスタンド間張力(MPa)である。また、lnは自然対数である。
式(1)の右辺の値と圧延方向に対して25〜65°の方向におけるr値の最小値との関係を図6に示す。式(1)の右辺の値が350未満では圧延方向に対して25〜65°の方向におけるr値の最小値が1.8未満となる。そのため、式(1)の右辺の値を350以上とする。式(1)の右辺の値が550を超えると、焼鈍温度Tが高くなりすぎて焼鈍ラインにトラブルが発生したり、スタンド間張力tが高くなりすぎて板が破断したりすることが懸念される。そのため、式(1)の右辺の値を550以下とするように、C含有量と焼鈍温度とスタンド間張力とを調整することが好ましい。
ここで、二次冷間圧延の圧下率は、2つのスタンドにおける累積圧下率である。
(I)化学組成として、質量%で、C:0.0010%〜0.0060%、Si:0.005〜0.050%、Mn:0.10%〜0.50%、Ti:0〜0.100%、Nb:0〜0.080%、B:0〜0.0080%、を含有し、P:0.040%以下、S:0.040%以下、Al:0.1000%以下、N:0.0100%以下に制限し、残部がFeおよび不純物を含有する。
(II)前記鋼板の圧延方向に対して25〜65°の方向のr値の最小値が1.80以上であり、かつ、前記圧延方向に対して0°以上360°未満の方向の前記r値の平均値が1.70以上である。
(III)降伏強度が570MPa以上である。
本実施形態に係る鋼板は、上記の化学組成を有する。各成分元素の含有量及びその限定理由は本実施形態に係る製造方法の説明で述べたものと同じであるため説明を省略する。
本発明者らは、特許文献1のように王冠のシェルにビード加工しても王冠耐圧が確保できない原因を調査した。その結果、以下の知見を得た。即ち、王冠が瓶口に取り付けられる際、ライナーは瓶口に押し付けられる。その際、ライナーが潰れて変形する。内圧上昇時は王冠シェルと瓶とが離れようとするが、変形したライナー形状が復元してシェルと瓶口との隙間を塞ぐことにより王冠耐圧が保たれる。ただし、ライナーの外周側(即ち王冠シェルからスカート部に繋がる肩部と瓶口との間)に空隙が存在すると、潰れたライナーがその空隙に逃げ、内圧上昇によるシェル変形の補填に寄与するライナー変形量が不足する(即ち王冠シェルと瓶口との隙間を塞ぐことができなくなる)ことを見出した。更に、本発明者らは、王冠を瓶口に取り付ける際に肩部と瓶口に空隙が形成されるかどうかは素材となる鋼板のr値に依存すること、及び鋼板のr値と王冠耐圧とに相関があることを見出した。図5にr値と王冠耐圧との相関を示す。これによれば、鋼板の圧延方向に対して25〜65°の方向のr値の最小値(25〜65°の最小r値)が1.80以上、かつ、圧延方向に対して0°以上360°未満の方向(全方向)のr値の平均値(平均r値)が1.70以上であれば、王冠は巻き締め時に空隙が生まれず、王冠耐圧試験(SST試験)で145PSIを確保できることを発見した。具体的には、上記のr値を確保できれば、王冠を取り付けて密封した容器の、王冠部に直径5〜10mmの穴をあけ、空気漏れのないように送気用ノズルを装着し、ノズルに対して圧力計及び圧縮機を接続し、圧縮機を作動させ145PSIまで加圧を行った際に、空気漏れがないことを知見した。このような、王冠の素材となる鋼板のr値が王冠を瓶口に取り付ける際の密着性(空隙の有無)に影響するとの報告は従来なく、本発明者らが得た新たな知見である。
圧延方向に対して全ての方向(0〜360°)において、r値が1.80以上であることは好ましいが、必須ではない。上述の平均r値及び、25〜65°の最小r値を確保することで、薄厚鋼板においても王冠形状が適切となり王冠耐圧が確保できる。ただし、25〜65°の最小r値が1.80以上であっても、この範囲以外でのr値が低く、平均r値が1.70未満の場合には、王冠耐圧が確保できない。また、平均r値が1.70以上であっても、25〜65°の最小r値が1.80未満であると、王冠耐圧が確保できない。
材質の観点からは平均r値及び25〜65°の最小r値の上限を限定する必要はないが、r値を2.5超とすることは、実製造上困難であるので、上限を2.5としてもよい。
上述した最小r値及び、平均r値については、引張試験による方法でも測定することができる。引張試験によって測定する場合、鋼板から圧延方向に対して、0°〜90°の範囲で5°刻み方向に引張試験片を採取し、JIS Z 2241に従って引張試験を行い、得られた各方向のr値から求めることができる。なお、0〜90°、90〜180°、180〜270°及び270〜360°はほぼ等価であると考えられるので、0〜90°のr値測定結果を元に、0〜360°未満の平均r値を求めても差し支えない。
王冠で封入した内容物の内圧による王冠シェルの変形を押さえるために、最低限の耐圧強度の確保が必要であり、図3に示したように板厚が薄くなると耐圧強度を上昇させる必要があり、例えば0.18mm未満の板厚の場合、570MPa以上の降伏強度が必要である。降伏強度が570MPa未満であるときは、r値が上述の範囲内であっても、内圧による王冠シェルの変形量が増大し、王冠耐圧が確保できない。また、YPが700MPa以上となると、一般的な設備では製造が困難となるため、YPの上限を700MPa未満としてもよい。
なお、王冠に加工した後であっても、王冠の加工されていない部分、すなわち、シェルの中心からライナーまでは、鋼板と同じ特性を示す。また、王冠とした場合であっても、組織や介在物等を観察することで、鋼板の製造の際の圧延方向は判断可能である。
YPは、図8A、図8Bに示す試験片を用い、「JIS Z 2241」に示される金属材料引張試験方法により測定した。試験片は、コイルのエッジから25mm以上内側からコイルの圧延方向に平行に採取した。
平均r値及び25〜65°の最小r値はEBSD(Electron Backscater Diffraction、電子線後方散乱回折)法により得られた結晶方位データを基に算出した。具体的には、供試材に前処理(アセトン超音波脱脂)を施した後、SEM/EBSD試料台にセットし、RD方向:120μmかつTD方向:100μmの領域に対して、0.2μm間隔にて、方位測定を行った。測定には電解放出型走査電子顕微鏡(日本電子製JSM−7001F)を用い、加速電圧は25kVに設定した。EBSD法による分析を行うためのソフトとして、TSLソリューションズ製OIMシステムを使用した。
鋼板については、ランダムな位置を数点サンプルとして、鋼板加工後の王冠については、外延から中心に向かって10mm程度の中央部の位置を測定した。
外観としては、スラブや熱延起因の割れやスケールキズが残った線状の表面キズが特に問題となるので、二次冷間圧延後の通板ライン内で通板しながら、目視観察により線状キズ有無を検査した。検査の結果、線状キズを見出した場合は不合格(NG)、見出せなかった場合は合格(OK)とした。
王冠形状の評価は、目視によりヒダが全周にわたり均一に形成されているかどうかを観察し、均一と判断された場合は合格(OK)、不均一と判断された場合は不合格(NG)と評価した。
王冠耐圧は次のように評価した。すなわち、瓶に内容物を充填し封止した王冠に直径2〜5mmの穴をあけ、空気漏れのないように送気用ノズルを装着し、これに圧力計及び圧縮機を接続する。次に、この瓶を水の入った水槽内に入れるとともに、圧縮機を作動させ加圧を行い、空気漏れが発生した時点の圧力を王冠耐圧とし、王冠耐圧が145PSI以上の場合を合格と判断した。
一方、成分またはスタンド間張力が式(1)を外れた方法で製造された王冠用鋼板は、YP、平均r値、25〜65°の最小r値が本発明の範囲を外れ、王冠耐圧が目標を満足しない、もしくは、王冠形状、外観のいずれ一つ以上が王冠として使用に適さない状態であった。
鋼板を加工した後の王冠の平均r値、25〜65°の最小r値は、加工前の王冠用鋼板とほぼ同様の傾向を示した。
2 シェル
3 ライナー
4 スカート
5 フランジ
6 ヒダ
11 内圧
21 ビード加工
A 本発明で達成可能な領域
B 素材のYPが高く、製造が困難な領域
C 一般的な王冠形状で王冠耐圧が確保できる領域
D 素材のYPが低く、王冠耐圧が確保できない領域
Claims (8)
- 王冠用の鋼板であって、
化学組成として、質量%で、
C:0.0010%〜0.0060%、
Si:0.005〜0.050%、
Mn:0.10%〜0.50%、
Ti:0〜0.100%、
Nb:0〜0.080%、
B:0〜0.0080%、
を含有し、
P:0.040%以下、
S:0.040%以下、
Al:0.1000%以下、
N:0.0100%以下、
に制限し、
残部がFeおよび不純物を含有し;
前記鋼板の圧延方向に対して25〜65°の方向のr値の最小値が1.80以上であり、かつ、前記圧延方向に対して0°以上360°未満の方向の前記r値の平均値が1.70以上であり;
降伏強度が570MPa以上である
ことを特徴とする王冠用鋼板。 - 前記化学組成が、質量%で、
Ti:0.01〜0.100%、
Nb:0.002〜0.080%、
B:0.0003〜0.0080%
のうちの1種または2種以上を含有する
ことを特徴とする請求項1に記載の王冠用鋼板。 - 前記鋼板の表面にさらにSnメッキ層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の王冠用鋼板。
- 前記鋼板の表面にさらにCrメッキ層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の王冠用鋼板。
- 化学組成として、質量%で、
C:0.0010%〜0.0060%、
Si:0.005〜0.050%、
Mn:0.10%〜0.50%、
Ti:0〜0.100%、
Nb:0〜0.080%、
B:0〜0.0080%、
を含有し、
P:0.040%以下、
S:0.040%以下、
Al:0.1000%以下、
N:0.0100%以下、
に制限し、
残部がFeおよび不純物を含有するスラブを、加熱する加熱工程と;
前記加熱工程後の前記スラブを熱間圧延して巻取ることで熱延鋼板を得る熱延工程と;
前記熱延工程後の前記熱延鋼板を酸洗する酸洗工程と;
前記酸洗工程後の前記熱延鋼板を冷間圧延して冷延鋼板を得る冷延工程と;
前記冷延工程後の前記冷延鋼板を、焼鈍温度Tで焼鈍する焼鈍工程と;
前記焼鈍工程後の冷延鋼板を、スタンド間張力tと前記焼鈍温度Tとが下記式(1)を満たすように設定された2スタンドの圧延機を用いて、二次冷間圧延を行う二次冷間圧延工程と;
を有することを特徴とする請求項1に記載の王冠用鋼板の製造方法。
350≦0.067×ln(t)×T×(−0.23×ln(C)+0.25)≦550 (1)
ここで、式中のCは質量%でのC含有量であり、Tは単位℃での焼鈍温度であり、tは単位MPaでの前記二次冷間圧延におけるスタンド間張力である。 - 前記化学組成が、質量%で、
Ti:0.01〜0.100%、
Nb:0.002〜0.080%、
B:0.0003〜0.0080%
のうちの1種または2種以上を含有する
ことを特徴とする請求項5に記載の王冠用鋼板の製造方法。 - 前記二次冷間圧延の後に、前記冷延鋼板にSnメッキを施すSnめっき工程をさらに有することを特徴とする請求項5または6に記載の王冠用鋼板の製造方法。
- 前記二次冷間圧延の後に、前記冷延鋼板にCrメッキを施すCrめっき工程をさらに有することを特徴とする請求項5または6に記載の王冠用鋼板の製造方法。
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