JP2009052108A - 建材用極低炭極薄冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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暢子 中川
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Koichiro Fujita
耕一郎 藤田
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Abstract

【課題】建物の外壁や屋根等のフラットな部材に供して好適な、板厚が0.12mm以下で強度および平坦度に優れる安価な建材用極低炭極薄冷延鋼板を提供する。
【解決手段】鋼板の成分組成を、質量%で、C:0.0080%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.005%以上 0.5%以下、P:0.010%以上 0.20%以下、S:0.03%以下、Al:0.01%以上 0.10%以下、N:0.0100%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物にすると共に、板厚が0.12mm以下で、かつ冷間圧延ままでの板表面平均硬さ(HR30T)を68以上 82以下とし、さらに板幅方向にわたる硬さ変動量が平均硬さの±2以内となる割合を鋼板全体の90%以上とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、建材用極低炭極薄冷延鋼板およびその製造方法に関し、特に板厚が0.12mm以下の極薄冷延鋼板に対して、建材用として必要とされる強度および平坦度を併せて付与しようとするものである。
近年、極薄冷延鋼板の建材用途への需要が増大している。すなわち、極薄冷延鋼板を、用途によっては電気めっき、塗装などの表面処理を施した後、例えばベニヤなどの基板に貼り合わせて、建物の外壁や屋根等の用途に供している。
基板との貼り合わせに際し、鋼板に耳伸びや中伸びが発生していると、基板との貼り合わせ後に、基板と鋼板の間にすき間が生じやすく、腐食等の問題が発生するため、鋼板は極力耳伸びや中伸びの発生がなく平坦であることが望まれる。
上記のような用途では、冷延鋼板は、ほとんど加工することなしに使用される。また、かような用途においては、延性やr値などの成形性よりも、むしろ板厚精度や強度、形状(平坦度)が重要視される。すなわち、極薄で、高い強度を有し、耳伸びや中伸びで評価される平坦度に優れることが必要とされる。さらに、かかる用途に用いる場合、汎用材として安価であることも要求される。
さらに、最近では、上記の特性を維持した上で、板厚がより薄い鋼板に対する需要が高まっている。例えば、建物の屋根等の用途においては、製品板厚を薄くすることにより、地震の際に揺れ幅が小さくなり、耐震性の面での効果が大きい。また、板厚を薄くすると、鋼使用量の減少に伴い製造コストを低減できるだけでなく、使用に至るまでの運送コストも低減できるという利点がある。
なお、従来は、板厚が0.12mmより厚い冷延鋼板は数多く製造されてきたが、板厚が0.12mm以下の極薄鋼板が製造されている例は少ない。
極薄冷延鋼板の製造方法としては、たとえば特許文献1に、C≦0.010%でかつC+N≦0.012%、Si≦0.01%、Mn≦0.15、P≦0.02%、S≦0.020%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼の熱間圧延後のコイルを、中間焼鈍なしに冷延率:80〜99%にて板厚:0.5mm以下まで冷間圧延することが、開示されている。この技術は、鋼中のC含有量およびN含有量を低減することで、冷間圧延における加工硬化を低減し、高い圧延率での冷間圧延を可能として、極薄鋼板を製造しようとするものである。
しかしながら、上記したような建材用の用途においては、高い強度、具体的には、降伏強度YS:600 MPa以上が要求されているが、特許文献1の技術では、冷間圧延後の高強度を達成するのが困難であった。また、上記の技術では、CおよびNをともに低減する必要があることから、製造コストが高くなるという問題があった。
特開平3−79726号公報
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、建物の外壁や屋根等のフラットな部材に供して好適な、板厚が0.12mm以下で強度および平坦度に優れる安価な建材用極低炭極薄冷延鋼板を、その有利な製造方法と共に提案することを目的とする。
以下、本発明の解明経緯について説明する。
さて、板厚が0.12mm以下の極薄冷延鋼板を建材用途に用いる場合、その使用に際して平坦度が損なわれいようにある程度の強度(降伏強度YS:600 MPa以上)が必要になる。
一般的に、冷間圧延板が高強度であると、圧延時の変形抵抗値が高く、圧延負荷が大きいため、安定した圧延が困難である。すなわち、鋼板とロールの焼き付き等が起こることによる鋼板形状の劣化(耳伸び、中伸びの発生)が起こりやすくなり、本発明用途で最も重要な平坦度を得ることが難しくなる。さらに、圧延後にレベラーによる鋼板形状矯正を実施するに際し、鋼板が伸長しにくく張力破断が起こることもある。
これらを回避するには、冷延鋼板およびその母板である熱延鋼板は、可能な限り軟質であることが望ましい。また、鋼板を軟質化させると、高い圧下率で冷間圧延を施したとしても、鋼板形状の劣化が軽微で済む利点がある。
そこで、発明者らは、所期した目的を達成するために、鋼板組成および製造方法について種々検討を行った結果、素材として安価な極低炭素鋼からなる一般軟鋼を用い、かつその製造に際し、特に仕上圧延温度および巻取り温度の適正化を図ることにより、建材用途に供して好適な板厚:0.12mm以下の極薄冷延鋼板が得られることの知見を得た。
本発明は上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、C:0.0080%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.005%以上 0.5%以下、P:0.010%以上 0.20%以下、S:0.03%以下、Al:0.01%以上 0.10%以下、N:0.0100%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、板厚が0.12mm以下で、かつ冷間圧延ままでの板表面平均硬さ(HR30T)が68以上 82以下で、しかも板幅方向にわたる硬さ変動量が平均硬さの±2以内となる割合が鋼板全体の90%以上であることを特徴とする建材用極低炭極薄冷延鋼板。
2.上記1に記載の鋼板にレベラーを施して得た極薄冷延鋼板であって、該鋼板の平坦度が2mm以下で、かつ降伏強度(YS)が600 MPa以上であることを特徴とする建材用極低炭極薄冷延鋼板。
3.質量%で、C:0.0080%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.005%以上 0.5%以下、P:0.010%以上 0.20%以下、S:0.03%以下、Al:0.01%以上 0.10%以下、N:0.0100%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を、加熱温度:1100℃以上で加熱後、仕上圧延温度:700℃以上 Ar3点以下の条件で熱間圧延を施したのち、巻取り温度:500℃以上750℃以下でコイルに巻き取って熱延板とし、ついで酸洗後、冷延圧下率:85%以上 99%以下にて板厚:0.12mm以下まで冷間圧延することを特徴とする建材用極低炭極薄冷延鋼板の製造方法。
4.質量%で、C:0.0080%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.005%以上 0.5%以下、P:0.010%以上 0.20%以下、S:0.03%以下、Al:0.01%以上 0.10%以下、N:0.0100%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を、加熱温度:1100℃以上で加熱後、仕上圧延温度:700℃以上 Ar3点以下の条件で熱間圧延を施したのち、巻取り温度:500℃以上750℃以下でコイルに巻き取って熱延板とし、ついで酸洗後、冷延圧下率:85%以上 99%以下にて板厚:0.12mm以下まで冷間圧延し、さらにレベラーを施すことを特徴とする建材用極低炭極薄冷延鋼板の製造方法。
本発明によれば、板厚が0.12mm以下の建材用極低炭極薄冷延鋼板について、冷延圧延ままで、建材用として必要な強度および平坦度を併せて付与することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において鋼板の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。なお、各元素の含有量の単位はいずれも「質量%」であるが、以下、特に断らない限り、単に「%」で示す。
C:0.0080%以下
Cは、鋼に固溶して素材の強度を上昇させる効果があるが、含有量が0.0080%を超えると炭化物を形成し、冷間圧延時の負荷が大きくなり、板厚:0.12mm以下で平坦度に優れた冷延鋼板を得ることが難しくなる。そこで、本発明では、冷間圧延性の観点からC量の上限を0.0080%とした。また、C量があまりに少ないと鋼板の強度低下を招くので、C量の下限は0.0015%程度とすることが好ましい。
図1に、C量が鋼板の平坦度および強度に及ぼす影響について調べた結果を示す。
実験は次のようにして行った。
Si:0.010%、Mn:0.20%、P:0.010%、S:0.010%、Al:0.040%およびN:0.0020%を基本成分として含有し、これにCを0.0014〜0.0085%の範囲で含有させ、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を、1250℃に加熱後、各鋼のAr3変態点温度以下である仕上圧延温度:780℃で熱間圧延を施したのち、600℃でコイルに巻き取って熱延板とし、ついで酸洗後、冷延圧下率:97%にて板厚:0.10mmまで冷間圧延し、さらにレベラーを施して得た極薄冷延鋼板について、平坦度および強度(降伏強度:YS)を調査した。
なお、平坦度は、JIS G 3141「冷間圧延鋼板及び鋼帯」に記載の方法に準拠して求め、耳伸びおよび中伸びのうち、最大のひずみを示すもので評価した。
図1に示したとおり、C量が0.0080%を超えると平坦度の劣化が著しくなり、またC量が0.0015%を下回ると強度が劣化する傾向にある。
そこで、本発明では、C量は0.0080%以下に限定したのである。より好ましくは、C:0.0015〜0.0060%の範囲、さらに好ましくはC:0.0015〜0.0040%の範囲である。
Si:0.03%以下
Siは、鋼の強度を上昇させる元素として有効ではあるが、多量に含有すると冷間圧延性のみならず、表面処理性、化成処理性、耐食性を低下させることになるので、この観点からSi量は0.03%以下に限定した。なお、本発明においてSiは必ずしも必要ではなく、0%であってもよい。
Mn:0.005%以上 0.5%以下
Mnは、Sによる熱間割れを抑制する働きがあるので、この効果を得るために0.005%以上を含有させる。しかしながら、Mnの多量添加は鋼板素材を硬質化させ、冷間圧延性を低下させるだけでなく、溶接性および溶接後の溶接部成形性を低下させるので、Mnの上限は0.5%とした。なお、より良好な形状および耐食性が要求される場合には、Mn量は0.30%以下とすることが望ましい。
P:0.010%以上 0.20%以下
Pは、鋼板素材の強度を上昇させる効果があるので、0.010%以上含有させるものとした。しかしながら、多量添加は冷間圧延性を低下させる。またPは、鋼中で偏析する傾向が強く、溶接部の脆化を招く。このため、本発明ではP:0.20%を上限とした。なお、より望ましくは0.10%以下である。なお、製鋼能力、コストの面から0.010%を下限とすることが好ましい。
S:0.03%以下
Sは、鋼中で主として介在物として存在し、耐食性を低下させるので、極力低減することが望ましいが、0.03%までであれば許容できるため、Sの上限は0.03%とした。なお、製鋼能力およびコストの面から、S量の下限は0.005%程度とすることが好ましい。
Al:0.01%以上 0.10%以下
Alは、脱酸剤として添加され、鋼の清浄度を向上させる元素であるので、積極的に添加する。しかしながら、Al量が0.01%未満では脱酸の効果が小さく、介在物が残存して成形性を低下させる場合があるため、Al量の下限は0.01%とした。一方、0.10%を超えると鋼板の表面清浄度が低下するので、本発明では上限を0.10%とした。なお、材質安定性の観点からは、Al:0.02%以上 0.08%以下とすることが望ましい。
N:0.0100%以下
Nは、鋼板に固溶し、鋼板を硬質化させるため、低減することが好ましいが、含有量が0.0100%までは硬質化の程度は小さく、良好な冷間圧延性を得ることができるため、Nの上限は0.0100%とした。なお、製鋼能力やコストの面から、Nの下限は0.0010%程度とすることが好ましい。
残部はFeおよび不可避的不純物からなる。
ここに、不可避的不純物としては、Cu,Ni,Cr,Mo,Nb,TiおよびBなどが考えられるが、それぞれCu:0.20%以下、Ni:0.20%以下、Cr:0.20%以下、Mo:0.20%以下、Nb:0.02%以下、Ti:0.02%以下、B:0.0010%以下の範囲に制限することが望ましい。これらの元素が、上記した上限値を超えて含有されると、鋼板が硬質化し、冷間圧延性が低下するので、板厚:0.12mm以下で形状が良好な鋼板を得ることが難しくなる。
以上、本発明の好適成分組成について説明したが、これだけでは不十分で、冷間圧延後およびレベラー後にそれぞれ以下の要件を満足することが重要である。
すなわち、冷間圧延後は、板表面平均硬さを、ロックウェル硬さ(HR30T)で68以上 82以下の範囲に調整することが重要である。
冷間圧延後の鋼板の硬質度は、製品形状に非常に大きな影響を及ぼすので、本発明において硬質度は極めて重要である。本発明では、製品板厚が0.12mm以下と極薄であるため、硬質度は板表面を測定する。 試験方法はJIS Z 2245「ロックウエル硬さ試験方法」に準拠する。
この板表面平均硬さ(HR30T)が68未満では、製品加工時に腰折れが発生しやすく、またレベラー後にYS≧600 MPaを確保することが困難となる。一方、82より大きいとレベラーによる形状矯正が困難となり、製品形状の悪化が著しくなる。それ故、板表面平均硬さ(HR30T)は68以上 82以下の範囲に限定した。
また、板幅方向にわたる硬さ変動量が平均硬さの±2以内となる割合が鋼板全体の90%以上とすることも重要である。
板幅方向にわたる硬さ変動量が、平均硬さ(HR30T)の±2を超えると、その後にレベラーをかけた場合に形状が劣化するので、板幅方向にわたる硬さ変動量は平均硬さの±2以内とする必要がある。
また、上記した板幅方向にわたる硬さ変動量の規定は、必ずしも鋼板全体に対して満足させる必要はなく、少なくとも90%以上が上記の要件を満足していればよい。
なお、板幅方向にわたる平均硬さは、次のようにして求めることができる。
冷延鋼板の先端から長手方向:200mピッチで、板幅方向:両端から5mm部およびその内側については等間隔で例えば7ヶ所(従って合計9ヶ所)を測定し、これら長手・板幅方向の測定値の平均値を平均硬さとする。また、板幅方向にわたる硬さ変動量の割合は、全測定数における平均硬さの±2以内となる測定数の割合で算出する。
また、レベラー後は、鋼板の平坦度および引張強さが、以下の範囲を満足することが重要である。
平坦度:2mm以下
平坦度は、JIS G 3141「冷間圧延鋼板及び鋼帯」に記載の方法に準拠して求めるものとする。ここで、平坦度は、耳伸びおよび中伸びのうち、最大のひずみを示すもので評価する。
この平坦度が2mmを超えると、すなわち耳伸びあるいは中伸びが2mmを超えると、製品としての使用に支障をきたすので、平坦度は2mm以下に制限する。
降伏強度(YS):600 MPa以上
降伏強度が600 MPaに満たないと、基板に貼り合わせるまでの取り扱いの際に変形しやすく、平坦度の確保が困難となるので、降伏強度は600 MPa以上に限定する。
次に、本発明の製造方法について説明する。
前記した好適成分組成になる溶鋼を、転炉や電気炉等の公知の炉を用いて溶製した後、連続鋳造法や造塊−分塊法、薄スラブ鋳造法等の公知の方法でスラブとし、鋼素材とする。これら公知の方法の中でも、マクロ偏析を防止する上では連続鋳造法がより好ましい。
ついで、鋼素材を、加熱し、熱間圧延を施す。この際、素材の加熱温度が1100℃未満では、熱間圧延時の変形抵抗が高くなり、圧延荷重が増加して熱間圧延が困難となるので、加熱温度は1100℃以上とする。また、材質均一化のためにも1100℃以上とすることが好適である。但し、1300℃を超えて加熱すると、結晶粒が粗大化し、延性が低下するので、加熱温度の上限は1300℃とすることが好ましい。
ついで、熱間圧延を施すが、本発明では、この熱間圧延における仕上圧延温度が重要である。
すなわち、仕上圧延温度を700℃以上 Ar3点以下とすることにより、軟質な熱延鋼板が得られ、冷間圧延時の負荷が軽減されるため、所望の板厚:0.12mm以下の冷延材を板厚精度よく得ることができる。この点、仕上温度が700℃未満では、熱延板が軟質となりすぎ、冷間圧延時の負荷は低減されるものの、製品加工時に腰折れが発生し、製品形状が悪くなる。また、仕上温度が700℃より低くなると熱間圧延時の負荷が大きくなる。このため熱延板の仕上温度は700℃以上とする。一方、仕上圧延温度がAr3変態点温度を超えると、熱延板が硬質となり、冷間圧延での負荷が大きくなり、冷間圧延性が低下する。なお、材質の均一性および表面性状の観点からは、仕上圧延温度は750℃以上 830℃以下とすることが望ましい。
なお、Ar3変態点は、次式で求めることができる。
Ar3 変態点=901−325〔%C〕−92〔%Mn〕+33〔%Si〕+287〔%P〕
但し、〔 〕内は、各元素の含有量(質量%)
巻取り温度:500℃以上 750℃以下
巻取り温度を500℃以上とすることにより、熱延終了後の結晶粒が成長、粗大化すると共に、炭化物が凝集粗大化する。これにより、軟質な熱延板を得ることができ、冷間圧延時の負荷が低くなって冷間圧延性が向上する。しかしながら、巻取り温度を高くしすぎると、表面スケールの発生が多くなり、熱延板の表面性状ひいては冷間圧延後の表面性状が悪化するおそれがある。このため、巻取り温度は500℃以上 750℃以下とした。なお、巻取り温度の好適上限値は700℃である。
ついで、酸洗後、冷間圧延により冷延板とする。
熱延板の酸洗条件は特に規定する必要はなく、表面スケールを除去できれば良い。そのためには、公知の方法、例えば、塩酸、硫酸等の酸で表面スケールを除去すればよい。
冷間圧延は、圧下率:85%以上 99%以下の条件で、板厚:0.12mm以下まで圧延する。ここに、冷間圧延における圧下率が85%未満では、熱延板の板厚を0.8mm以下とする必要が生じ、所定の温度以上の仕上げ温度を確保するのが困難となり、圧延時の負荷が増加したり、コイル内での温度バラツキが大きくなって、所望の材質が得られなくなる。一方、99%を超える圧延は実施困難なので、冷間圧下率は85〜99%の範囲に限定した。
上記の冷間圧延により、板厚が0.12mm以下で、板表面平均硬さ(HR30T)が68以上 82以下で、かつ板幅方向にわたる硬さ変動量が平均硬さの±2以内となる割合が鋼板全体の90%以上の極薄冷延鋼板を得ることができる。
しかしながら、この冷間圧延ままでは、平坦度が所望の要件を満たしているとは限らない。
そこで、かような場合には、冷間圧延後にレベラーをかけて、平坦度を改善すると共に、強度を調整する。
ここで、所望する平坦度は2mm以下である。また、所望強度は降伏強度(YS)で600 MPa以上である。上記した平坦度および強度とするには、伸び率:0.3%以下の条件でレベラーをかけることが好ましい。ここに、伸び率が0.3%を超えると鋼板が硬質化し、レベラー鋼板が破断するおそれが生じる。
なお、板表面硬さは、例えば伸び率が0.3%以下の条件下では、レベラー後においてもほとんど変動せず、HR30Tで1〜2ポイント程度である。
レベラー済みの鋼板は、必要に応じて表面処理を施しても良い。施される表面処理としては、錫めっき、クロムめっき、ニッメルめっき、ニッケル・クロムめっき、亜鉛めっき等のめっきや各種合金めっき、化成処理など、通常の冷延鋼板に適用される表面処理いずれもが適合する。
表1に示す成分組成の鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法で260mm厚のスラブとした。ついで、これらのスラブを表2に示す条件で熱間圧延、冷間圧延して冷延鋼板とした。なお、板幅は1000mmとした。さらに、得られた冷延鋼板に表2に示す伸び率でレベラーをかけた。なお、表2には、熱間圧延板の降伏強度も併せて示す。
冷間圧延後、レベラー前の冷延鋼板の板表面平均硬さ(HR30T)および板幅方向にわたる硬さ変動量について調査した。結果を表3に示す。
また、表3には、前述の方法で求めた平均硬さおよび変動量≦±2の割合(%)について調べた結果と共に、長手方向の中央で測定した板幅5mm位置および板幅中央位置の硬度についての測定結果も示す。
さらに、レベラー後の鋼板については、平坦度および降伏強度(YS)を調べた。得られた結果を表3に併記する。なお、平坦度は前述の方法で求めたものであり、また降伏強度(YS)は引張り方向を圧延方向とするJIS 5号試験片を用いて求めたものである。
Figure 2009052108
Figure 2009052108
Figure 2009052108
表3から明らかなように、本発明に従い製造された極低炭極薄冷延鋼板はいずれも、冷間圧延後の板表面硬さが本発明の適正範囲を満足しており、またレベラー前に板表面硬さが本発明の要件を満足している鋼板はいずれも、適正なレベラー後には、耳伸び、中伸びとも2mm以下で、かつ降伏強度が600 MPa以上であり、本発明で所期した平坦度および強度の両者を兼備していた。また、本発明に従い製造された極低炭素冷延鋼板は、熱間圧延板の降伏強度も200 MPa以下と低く、0.12mm以下に圧延する際の冷間圧延時の負荷も問題がないものであった。
C含有量と鋼板の平坦度および降伏強度との関係を示したグラフである。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.0080%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.005%以上 0.5%以下、P:0.010%以上 0.20%以下、S:0.03%以下、Al:0.01%以上 0.10%以下、N:0.0100%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、板厚が 0.12mm以下で、かつ冷間圧延ままでの板表面平均硬さ(HR30T)が68以上 82以下で、しかも板幅方向にわたる硬さ変動量が平均硬さの±2以内となる割合が鋼板全体の90%以上であることを特徴とする建材用極低炭極薄冷延鋼板。
  2. 請求項1に記載の鋼板にレベラーを施して得た極薄冷延鋼板であって、該鋼板の平坦度が2mm以下で、かつ降伏強度(YS)が600 MPa以上であることを特徴とする建材用極低炭極薄冷延鋼板。
  3. 質量%で、C:0.0080%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.005%以上 0.5%以下、P:0.010%以上 0.20%以下、S:0.03%以下、Al:0.01%以上 0.10%以下、N:0.0100%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を、加熱温度:1100℃以上で加熱後、仕上圧延温度:700℃以上 Ar3点以下の条件で熱間圧延を施したのち、巻取り温度:500℃以上 750℃以下でコイルに巻き取って熱延板とし、ついで酸洗後、冷延圧下率:85%以上 99%以下にて板厚:0.12mm以下まで冷間圧延することを特徴とする建材用極低炭極薄冷延鋼板の製造方法。
  4. 質量%で、C:0.0080%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.005%以上 0.5%以下、P:0.010%以上 0.20%以下、S:0.03%以下、Al:0.01%以上 0.10%以下、N:0.0100%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を、加熱温度:1100℃以上で加熱後、仕上圧延温度:700℃以上 Ar3点以下の条件で熱間圧延を施したのち、巻取り温度:500℃以上 750℃以下でコイルに巻き取って熱延板とし、ついで酸洗後、冷延圧下率:85%以上 99%以下にて板厚:0.12mm以下まで冷間圧延し、さらにレベラーを施すことを特徴とする建材用極低炭極薄冷延鋼板の製造方法。
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