JP3261069B2 - 耐内容物性に優れる表面処理鋼板、ポリエステル樹脂被覆鋼板、およびその製造方法 - Google Patents

耐内容物性に優れる表面処理鋼板、ポリエステル樹脂被覆鋼板、およびその製造方法

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JP3261069B2
JP3261069B2 JP14452897A JP14452897A JP3261069B2 JP 3261069 B2 JP3261069 B2 JP 3261069B2 JP 14452897 A JP14452897 A JP 14452897A JP 14452897 A JP14452897 A JP 14452897A JP 3261069 B2 JP3261069 B2 JP 3261069B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐内容物性に優れ
る表面処理鋼板、ポリエステル樹脂被覆鋼板、およびそ
の製造方法に関する。より詳細には、鋼板表面にニッケ
ルめっきまたは錫めっきを施し、非酸化性雰囲気中で熱
処理し拡散層を形成させた後、さらに後処理層を形成さ
せた耐内容物性に優れる表面処理鋼板とその製造方法、
およびそれらの表面処理鋼板にポリエステル樹脂を被覆
してなるポリエステル樹脂被覆鋼板、さらにその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、食缶および飲料缶用途にポリエス
テルフィルムをラミネートした薄肉化深絞り缶が大量に
用いられている。従来、この薄肉化深絞り缶用鋼板の表
面処理には密着性の観点からティンフリースチール(T
FS)が用いられていたが、より厳しい製缶加工法が用
いられるにつれて、TFSの表面処理層の耐内容物性が
必ずしも十分ではないことが判明し、加工耐食性や加工
密着性に優れた表面処理を施した安価な鋼板の開発が望
まれている。さらに、製缶用材料の分野においてはアル
ミニウム合金板など、表面処理鋼板と競合する材料の進
出が著しく、この面からも加工耐食性の優れた安価な製
缶用表面処理鋼板の開発が要望されている。安価な製缶
用表面処理鋼板として、すでにTFSがあるが、TFS
は塗料密着性は優れているが、加工耐食性が十分ではな
く、この改良が必要である。また、安価な溶接缶用表面
処理鋼板として、最近開発された薄錫めっき鋼板がある
が、めっき層が薄いため、加工部などの耐食性は通常の
ぶりきより劣っており、加工の厳しい用途に適用するた
めには、めっき素地鋼板自体の耐食性を改良することが
必要である。その方法として、製鋼時にクロムなどを添
加する方法(特開昭61−6293号公報、特開昭62
−30896号公報)、鋼板表面にニッケルめっきを施
し、熱処理によって鋼板にニッケル拡散鋼を形成させる
方法(特開昭57−200592号公報、特開昭60−
155685号公報)、鋼板表面にニッケルめっき、あ
るいは錫−ニッケル合金めっきを施し、熱処理によって
鋼板に錫、あるいは錫とニッケルの拡散層を形成させる
方法(特開昭60−5894号公報、特開昭60−89
594号公報)などが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特開昭62−3089
6号公報などに示される、鋼の製造時にクロムを添加す
る方法は、加工の程度によらず鋼板自体の耐食性を改善
するが、クロム添加による鋼板のコストアップだけでな
く、熱間圧延後の脱スケール性、冷延後のめっき性、製
缶加工性に問題を生じ、安価なTFSやぶりきの素地鋼
板として適した素材とは言い難い。また、特開昭57−
200592号公報などに示される、ニッケルを 0.001
〜0.05μm の厚さに鋼板表面に拡散させた素地鋼板を用
いたTFSやぶりきは着眼点はよいが、拡散層の厚さが
十分ではないために、軽度の加工によってもニッケル拡
散層にクラックが入り、この状態で果汁などの飲料中に
浸漬されると、ニッケル拡散層の割れ目に露出している
鋼は、カソードとなるニッケル拡散層によってアノード
溶解を起こしやすく、孔食の危険性がある。特開昭57
−200592号公報に開示される鋼板は3ピースの溶
接缶用鋼板であり、ニッケル拡散層は、その上に錫めっ
きを施し、次いでリフローすることにより、島状の錫を
形成させること、および緻密な合金層を形成させること
を目的として形成させている。
【0004】すなわち、3ピースの溶接缶に用いられる
表面処理鋼板においては、2ピースの絞りしごき缶(D
I缶)や薄肉化深絞り缶とは異なり、軽度の加工しか受
けないため、少ないニッケル量で十分であった。むし
ろ、ニッケル量を多くしすぎると、拡散後も残存するニ
ッケルとその後めっきされる錫との合金化の問題があ
り、当初の目的が達成されないため、上限が規定されて
いた。
【0005】これに対して、2ピース缶においては、加
工により初期の表面皮膜はばらばらに破壊されるのが通
常であり、加工後の耐食性を維持することはかなり困難
である。唯一、展延性を有する錫のみが、軽度の加工に
追従できる。また、錫は鋼を陰極防食することが可能で
あり、DI缶に炭酸飲料や酸性飲料などの腐食性の高い
内容物を充填できるのも、この特徴によるところが大き
い。
【0006】ところが、錫の融点は232℃であるた
め、この温度以上の加熱をすると合金化反応により金属
錫が消失し、錫めっきの特徴が生かせなくなる。近年、
地球環境に優しい製缶法として発現した薄肉化深絞り缶
は、加熱した表面処理鋼板にポリエステル樹脂を被覆し
た樹脂被覆鋼板から成形されるが、その際に表面処理鋼
板は232℃以上の温度に加熱されることがある。この
ような場合、錫めっきの鋼板の代わりにクロムめっき鋼
板が使用されるが、上記の理由により、加工後の耐食性
は十分ではなかった。
【0007】本発明の解決しようとする課題は、加工後
の耐内容物性に優れた製缶用表面処理鋼板とその製造方
法、およびそれらの表面処理鋼板にポリエステル樹脂を
被覆してなるポリエステル樹脂被覆鋼板、さらにその製
造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、鋼板表面にニ
ッケル量で1000〜50000mg/m2のニッケル拡散層の第1層
を熱処理により形成させ、この拡散層の上に50〜300mg/
m2の金属クロムの第2層、および5〜50mg/m2のクロム水
和酸化物の第3層を形成させたことを特徴とする耐内容
物性に優れる表面処理鋼板、または鋼板表面にニッケル
量で1000〜50000mg/m2のニッケル拡散層の第1層を熱処
理により形成させ、この拡散層の上に500〜5000mg/m2
ニッケルめっきの第2層、50〜300mg/m2の金属クロムの
第3層、および5〜50mg/m2のクロム水和酸化物の第4層
を形成させたことを特徴とする耐内容物性に優れる表面
処理鋼板、さらにまたは鋼板表面に錫量で1000〜50000m
g/m2の錫拡散層の第1層を熱処理により形成させ、この
拡散層の上に50〜300mg/m2の金属クロムの第2層、およ
び5〜50mg/m2のクロム水和酸化物の第3層を形成させた
ことを特徴とする耐内容物性に優れる表面処理鋼板、さ
らにまたは鋼板表面に錫量で1000〜50000mg/m2の錫拡散
層の第1層を熱処理により形成させ、この拡散層の上に
500〜5000mg/m2のニッケルめっきの第2層、50〜300mg/
m2の金属クロムの第3層、および5〜50mg/m2のクロム水
和酸化物の第4層を形成させたことを特徴とする耐内容
物性に優れる表面処理鋼板である。また本発明は、上記
のいずれかの表面処理鋼板鋼板の少なくとも片面に、ポ
リエステル樹脂を被覆してなる耐内容物性に優れるポリ
エステル樹脂被覆鋼板も発明の対象とする。さらにまた
本発明は、鋼板表面に1000〜50000mg/m2のニッケルめっ
き層を形成させた後非酸化雰囲気中で加熱してニッケル
拡散層を形成させ、次いで前記ニッケル拡散層上に50〜
300mg/m2の金属クロム層、その上に5〜50mg/m2のクロム
水和酸化物層を形成させることを特徴とする耐内容物性
に優れる表面処理鋼板の製造方法、または鋼板表面に10
00〜50000mg/m2のニッケルめっき層を形成させた後、非
酸化雰囲気中で加熱してニッケル拡散層を形成させ、次
いで前記ニッケル拡散層上に 500〜5000mg/m2のニッケ
ルめっき層、その上に 50〜300mg/m2の金属クロム層、
さらにその上に5〜50mg/m2のクロム水和酸化物層を形成
させることを特徴とする耐内容物性に優れる表面処理鋼
板の製造方法、さらにまたは鋼板表面に1000〜50000mg/
m2の錫めっき層を形成させた後、非酸化雰囲気中で加熱
して錫拡散層を形成させ、次いで前記錫拡散層上に50〜
300mg/m2の金属クロム層、その上に5〜50mg/m2のクロム
水和酸化物層を形成させることを特徴とする耐内容物性
に優れる表面処理鋼板の製造方法、さらにまたは鋼板表
面に1000〜50000mg/m2の錫めっき層を形成させた後、非
酸化雰囲気中で加熱して錫拡散層を形成させ、次いで前
記錫拡散層上に500〜5000mg/m2のニッケルめっき層、そ
の上に50〜300mg/m2の金属クロム層、さらにその上に5
〜50mg/m2のクロム水和酸化物層を形成させることを特
徴とする耐内容物性に優れる表面処理鋼板の製造方法を
も発明の対象とする。さらにまた本発明は、上記のいず
れかに記載の表面処理鋼板を被覆しようとするポリエス
テル樹脂の融解温度以上の温度に加熱し、少なくともそ
の片面に前記ポリエステル樹脂からなるフィルムを接触
させて加圧し、積層することを特徴とする、耐内容物性
に優れるポリエステル樹脂被覆鋼板の製造方法をも発明
の対象とする。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の表面処理鋼板は、冷間圧
延した鋼板を電解クリーニングした後、鋼板表面に所定
厚みのニッケルめっき、または錫めっきを施した後、非
酸化性雰囲気中で熱処理を施して、鋼板の表面にニッケ
ル、または錫の熱拡散層を形成させ、さらに、この熱拡
散層上に金属クロムとクロム水和酸化物からなるTFS
処理皮膜を形成させるか、さらにまたは、この熱処理拡
散層とTFS層の間にニッケルめっき層を形成させたも
のであり、加工後の耐内容物性に優れている。また本発
明のポリエステル樹脂被覆鋼板は、上記の表面処理鋼板
にポリエステル樹脂を被覆したものであり、加工密着
性、および加工後の耐内容物性に優れている。
【0010】以下、本発明の方法について具体的に説明
する。本発明においては、熱延鋼板を冷間圧延し、電解
クリーニングを施した後、鋼板表面に1000〜50000mg/m2
の量のニッケルめっき、または錫めっきを施した後、非
酸化雰囲気中で熱処理し、鋼板の表面にめっきした金属
が十分に拡散した熱拡散層を形成させた鋼板を得る。電
解クリーニング後に施されるニッケルめっき、または錫
めっきの量が 1000mg/m2未満であると、拡散層の厚さが
十分ではなく、軽度の加工によっても拡散層にクラック
が入り、この状態で酸性飲料などの高腐食性の内容物と
接触すると、拡散層の割れ目に露出している鋼は、カソ
ードとなる拡散層によってアノード溶解を起こしやす
く、孔食の危険性がある。したがって、2ピース缶のよ
うに厳しい加工を施す用途には、従来よりも厚い拡散層
を形成させる必要がある。
【0011】また、ニッケルめっき、または錫めっきの
量が50000mg/m2を越えると、拡散層の厚みは十分である
が、拡散層の他に金属ニッケル、金属錫、およびそれら
の酸化物が熱処理後も鋼板表面に残存する危険性があ
り、これらは拡散層の割れ目に露出する鋼と局部電池を
作りやすく、飲料容器材として使用した場合に孔食発生
の要因となる。
【0012】ニッケルめっき浴としてはワット浴、錫め
っき浴としてはフェロスタン浴など、通常用いられるめ
っき浴が用いられる。本発明においては、例えば通常の
表面処理鋼板の製造で実施されている冷間圧延後に施す
連続焼鈍の工程において、連続焼鈍設備の前めっき部で
20A/dm2以上の電流密度で1000〜50000mg/m2の量のニッ
ケル、または錫を析出させることが好ましい。そのため
には高速攪拌が好ましく、場合によっては、噴流めっき
などの設備を用いてもよい。また、電解法の代わりに真
空蒸着やイオンプレーティングなどの手法を用いて、ニ
ッケル層または錫層を形成させてもよい。
【0013】次に、ニッケルめっき、または錫めっき後
に実施される非酸化雰囲気中での熱拡散処理について説
明する。本発明の方法で得られる表面処理鋼板は製缶用
の素材であり、優れた加工耐食性の他に、製缶性など、
優れた機械的特性も兼ね備えていることが必須の条件で
ある。したがって、ぶりきおよびTFSなどの缶用鋼板
の素地鋼板におけるのと同様な条件で熱処理を施すこと
によって、鋼板表層にニッケル、または錫の熱処理拡散
層を形成させる必要がある。すなわち、例えば、水素 6
%、窒素94%の混合ガスからなる非酸化雰囲気中で520
〜750℃の温度で、10〜300 秒の熱処理を施すことによ
り、めっきしたニッケルまたは錫の95%以上の量を含む
熱拡散層が鋼板表面に形成される。例として、ぶりきな
どの素地鋼板の製造工程における連続焼鈍設備を用い、
ニッケルまたは錫の熱拡散層を形成させる場合、均熱時
間は約15〜60秒と短くする。この熱処理条件では、めっ
きしたニッケル、または錫のほとんどは素地鋼板と反応
するが、できるだけ熱拡散処理層を厚くするためには高
温度で熱処理することが好ましい。しかし、あまり高温
になりすぎると鋼板の形状が不良となったり、缶用材料
に要求される材質を有する鋼板が得られないので、熱処
理の最高温度は約 750℃に限定される。一方、加熱温度
が 520℃未満では十分な拡散層を形成するのに長時間を
要し、好ましくない。
【0014】次に、熱拡散層上に、前記の金属クロム、
およびクロム水和酸化物からなるTFS皮膜を形成させ
る場合、熱拡散処理において拡散が不十分であったり、
非酸化雰囲気の非酸化性の程度が不十分であると、TF
S処理前に施される電解クリーニング工程や酸洗工程で
酸化皮膜が十分除去されず、TFS皮膜の均一性、およ
び析出効率を低下させる危険性がある。したがって、め
っきしたニッケルまたは錫の95%以上を熱拡散層中に
形成させる必要がある。
【0015】上記のTFS処理に使用されるめっき浴
は、金属クロムの均一析出性に優れる高濃度のクロムめ
っき浴が好ましい。電解条件などは通常の缶用に用いら
れるTFSに適用される条件でよい。また、電解の代わ
りに真空蒸着やイオンプレーティングの手法を用いて金
属クロム層を形成させてもよい。優れた耐食性と密着性
を付与するには、金属クロムの量は 50mg/m2以上である
ことが好ましい。金属クロム量の多い方が耐食性には有
利であるが、300mg/m2を越えるとその効果が飽和するの
で上限とした。クロム水和酸化物はその上に被覆される
樹脂フィルムとの加工密着性を確保するために必要であ
るが、その量は5〜50mg/m2の範囲が加工密着性および色
調の観点から好ましい。
【0016】このTFS処理の前に、さらに、ニッケル
めっきや錫めっきを施すと、耐食性をさらに向上させる
ことができる。ニッケルめっき層を前記熱拡散層とTF
S処理層の間に形成させる場合、めっき量は耐食性に与
える効果と経済性の観点から500〜5000mg/m2の範囲であ
ることが好ましい。めっき量が500mg/m2未満ではめっき
層による加工耐食性の効果がなく、めっき層を形成させ
る意味がなくなる。一方、めっき量が 5000mg/m2を越え
ると、加工耐食性におよぼす効果が飽和すると共に経済
的でない。以上のようにして本発明の目的とする、耐内
容物性に優れる表面処理鋼板が得られる。
【0017】次に、本発明の今一つの目的であるポリエ
ステル樹脂被覆鋼板について説明する。本発明において
は、上記のようにして得られた表面処理鋼板に、ポリエ
ステル樹脂フィルムを積層することにより、薄肉化深絞
り缶などにおけるような厳しい加工を施した後も皮膜が
剥離したり破損したりすることのない、優れた加工密着
性、および優れた耐内容物性を有するポリエステル樹脂
被覆鋼板が得られる。すなわち、上記の表面処理鋼板を
加熱炉のような加熱手段を用いて被覆しようとするポリ
エステル樹脂の融解温度以上の温度に加熱し、この片面
または両面に前記のポリエステル樹脂からなるフィル
ム、好ましくは1軸または2軸方向に延伸した配向を有
するフィルムを接触させ、1対のラミネートロールなど
を用いて両者を挟み付けて圧着し、直ちに急冷すること
により、本発明の目的とするポリエステル樹脂被覆鋼板
が得られる。
【0018】以下、実施例に基づいて本発明を具体的に
説明する。 (実施例1〜3)脱脂、酸洗により表面を清浄化した板
厚0.24mmの冷延鋼板に(1)に示す条件で1〜45g/m2
ニッケルを電気めっきした後、 5%の水素と95%の窒素
からなる雰囲気中で700℃の温度で 60秒間加熱する条件
で焼鈍を行い、ニッケルを完全に鋼中に拡散させた。そ
の後、2% の調質圧延を行い、引き続き通常の行程で脱
脂後、(2)に示す条件で電解クロム酸処理を施し、55
〜300mg/m2の金属クロムと7〜30mg/m2 のクロム水和酸
化物を同時に析出させた。 引き続き、以下に示す方法で耐食性を評価した。 (鉄溶出試験)上記の表面処理鋼板を290℃に加熱し、
その両面に20μmのポリエチレンテレフタレートフィル
ムを接触させ、1対のラミネートロールで挟み付けて圧
着し、直ちに水中に急冷し、樹脂被覆鋼板を得た。この
樹脂被覆鋼板を、350 mlサイズの容器となるように、薄
肉化深絞り加工を施した。さらに上端部をトリミング
し、ネック加工後、酸性飲料(カルピスウォーター:カ
ルピス食品工業(株)製)を充填し蓋を巻き締めた。こ
の内容物を充填した缶を 5℃に冷却後、缶のネック加工
近辺の缶上部にデント(へこみ傷)を形成させ、37℃の
恒温槽に 2週間経時させた後の溶出鉄量を測定し、1pp
m以下を合格範囲とした。 (交流インピーダンス試験)上記の表面処理鋼板をエリ
キセンにより 5mm張り出し、上記の酸性飲料に浸漬して
直ちに交流インピーダンス法により表面皮膜の抵抗値を
測定し、3000Ω以上を合格範囲とした。
【0019】(実施例4〜5)実施例1〜3と同様のプ
ロセスで処理する過程の途中で、(2)に示す条件の電
解クロム酸処理を施す前に、(1)に示す条件で500〜5
000mg/m2のニッケルをめっきし、その後(2)の条件で
電解クロム酸処理を施し、250〜280 mg/m2の金属クロム
と20〜45mg/m2 のクロム水和酸化物を同時に析出させ
た。その後、実施例1に示す方法を用いて鉄溶出試験、
および交流インピーダンス試験を実施し、耐食性を評価
した。
【0020】(実施例6〜7)脱脂、酸洗により表面を
清浄化した板厚0.24mmの冷延鋼板に(3)に示す条件で
1〜50 g/m2の錫を電気めっきした後、 5%の水素と95%
の窒素からなる雰囲気中で680℃の温度で 20秒間加熱す
る条件で焼鈍を行い、錫を完全に鋼中に拡散させた。そ
の後 2%の調質圧延を行い、引き続き通常の行程で脱脂
後、(2)に示す条件で電解クロム酸処理を施し、50〜
100mg/m2 の金属クロムと5〜50mg/m2 のクロム水和酸化
物を同時に析出させた。 引き続き、実施例1に示す方法を用いて鉄溶出試験、お
よび交流インピーダンス試験を実施し、耐食性を評価し
た。
【0021】(実施例8〜9)脱脂、酸洗により表面を
清浄化した板厚0.24mmの冷延鋼板に(3)に示す条件で
1〜50 g/m2の錫を電気めっきした後、 5%の水素と95%
の窒素からなる雰囲気中で680℃の温度で 20秒間加熱す
る条件で焼鈍を行い、錫を完全に鋼中に拡散させた。そ
の後、2%の調質圧延を行い、引き続き通常の行程で脱
脂後、(1)に示す条件で500〜5000mg/m2のニッケルめ
っきを施した。引き続き、(2)に示す条件で電解クロ
ム酸処理を施し、50〜100mg/m2 の金属クロムと10〜20m
g/m2のクロム水和酸化物を同時に析出させた。引き続
き、実施例1に示す方法を用いて鉄溶出試験、および交
流インピーダンス試験を実施し、耐食性を評価した。
【0022】(比較例1)脱脂、酸洗により表面を清浄
化した板厚0.24mmの冷延鋼板を、5 %の水素と95%の窒
素からなる雰囲気中で700℃の温度で 20秒間焼鈍した。
その後、2 %の調質圧延を行い、引き続き通常の行程で
脱脂後、(1)に示す条件で5000 mg/m2のニッケルめっ
きを施した。引き続き、(2)に示す条件で電解クロム
酸処理を施し、150mg/m2の金属クロムと15mg/m2 のクロ
ム水和酸化物を同時に析出させた。引き続き、実施例1
に示す方法を用いて鉄溶出試験、および交流インピーダ
ンス試験を実施し、耐食性を評価した。
【0023】(比較例2)脱脂、酸洗により表面を清浄
化した板厚0.24mmの冷延鋼板に(1)に示す条件で0.06
g/m2のニッケルを電気めっきした後、5 %の水素と95%
の窒素からなる雰囲気中で700℃の温度で 20秒間加熱す
る条件で焼鈍を行い、ニッケルを完全に鋼中に拡散させ
た。その後、2 %の調質圧延を行い、引き続き通常の行
程で脱脂後、(3)に示す条件で800mg/m2の錫めっきを
施した。引き続き、(2)に示す浴を0.3倍に希釈し、
(2)に示した条件で電解クロム酸処理を施し、8 mg/m
2の金属クロムと8mg/m2のクロム水和酸化物を同時に析
出させた。引き続き、実施例1に示す方法を用いて鉄溶
出試験、および交流インピーダンス試験を実施し、耐食
性を評価した。実施例1〜9、および比較例1〜2のめ
っき条件、および耐食性の評価結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】本発明の表面処理鋼板は、冷間圧延した
鋼板を電解クリーニングした後、鋼板表面に所定厚みの
ニッケルめっき、または錫めっきを施した後、非酸化雰
囲気中で熱処理を施して、鋼板の表面にニッケル、また
は錫の熱拡散層を形成させ、さらに、この熱拡散層上に
金属クロムとクロム水和酸化物からなるTFS処理皮膜
を形成させるか、さらにまたは、この熱処理拡散層とT
FS層の間にニッケルめっき層を形成させたものであ
り、加工後の耐内容物性に優れている。また本発明のポ
リエステル樹脂被覆鋼板は、上記の表面処理鋼板にポリ
エステル樹脂を被覆したものであり、薄肉化深絞り缶な
どの厳しい加工が施される缶用途において、優れた加工
密着性、および加工後の優れた耐内容物性を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C25D 11/38 304 C25D 11/38 304 307 307 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 28/00 B32B 15/08 104 C25D 5/10 C25D 5/12 C25D 5/50 C25D 11/38 304 C25D 11/38 307

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板表面にニッケル量で1000〜50000mg/
    m2のニッケル拡散層の第1層を熱処理により形成させ、
    この拡散層の上に50〜300mg/m2の金属クロムの第2層、
    および5〜50mg/m2のクロム水和酸化物の第3層を形成さ
    せたことを特徴とする耐内容物性に優れる表面処理鋼
    板。
  2. 【請求項2】 鋼板表面にニッケル量で1000〜50000mg/
    m2のニッケル拡散層の第1層を熱処理により形成させ、
    この拡散層の上に500〜5000mg/m2のニッケルめっきの第
    2層、50〜300mg/m2の金属クロムの第3層、および5〜5
    0mg/m2のクロム水和酸化物の第4層を形成させたことを
    特徴とする耐内容物性に優れる表面処理鋼板。
  3. 【請求項3】 鋼板表面に錫量で1000〜50000mg/m2の錫
    拡散層の第1層を熱処理により形成させ、この拡散層の
    上に50〜300mg/m2の金属クロムの第2層、および5〜50m
    g/m2のクロム水和酸化物の第3層を形成させたことを特
    徴とする耐内容物性に優れる表面処理鋼板。
  4. 【請求項4】 鋼板表面に錫量で1000〜50000mg/m2の錫
    拡散層の第1層を熱処理により形成させ、この拡散層の
    上に500〜5000mg/m2のニッケルめっきの第2層、50〜30
    0mg/m2の金属クロムの第3層、および5〜50mg/m2のクロ
    ム水和酸化物の第4層を形成させたことを特徴とする耐
    内容物性に優れる表面処理鋼板。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の表面処
    理鋼板の少なくとも片面に、ポリエステル樹脂を被覆し
    てなる耐内容物性に優れるポリエステル樹脂被覆鋼板。
  6. 【請求項6】 鋼板表面に1000〜50000mg/m2のニッケル
    めっき層を形成させた後非酸化雰囲気中で加熱してニッ
    ケル拡散層を形成させ、次いで前記ニッケル拡散層上に
    50〜300mg/m2の金属クロム層、その上に5〜50mg/m2のク
    ロム水和酸化物層を形成させることを特徴とする耐内容
    物性に優れる表面処理鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 鋼板表面に1000〜50000mg/m2のニッケル
    めっき層を形成させた後非酸化雰囲気中で加熱してニッ
    ケル拡散層を形成させ、次いで前記ニッケル拡散層上に
    500〜5000mg/m2のニッケルめっき層、その上に50〜300m
    g/m2の金属クロム層、さらにその上に5〜50mg/m2のクロ
    ム水和酸化物層を形成させることを特徴とする耐内容物
    性に優れる表面処理鋼板の製造方法。
  8. 【請求項8】 鋼板表面に1000〜50000mg/m2の錫めっき
    層を形成させた後非酸化雰囲気中で加熱して錫拡散層を
    形成させ、次いで前記錫拡散層上に 50〜300mg/m2の金
    属クロム層、その上に 5〜50mg/m2のクロム水和酸化物
    層を形成させることを特徴とする耐内容物性に優れる表
    面処理鋼板の製造方法。
  9. 【請求項9】 鋼板表面に1000〜50000mg/m2の錫めっき
    層を形成させた後非酸化雰囲気中で加熱して錫拡散層を
    形成させ、次いで前記錫拡散層上に500〜5000mg/m2のニ
    ッケルめっき層、その上に50〜300mg/m2の金属クロム
    層、さらにその上に5〜50mg/m2のクロム水和酸化物層を
    形成させることを特徴とする耐内容物性に優れる表面処
    理鋼板の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜4のいずれかに記載の表面
    処理鋼板を被覆しようとするポリエステル樹脂の融解温
    度以上の温度に加熱し、少なくともその片面に前記ポリ
    エステル樹脂からなるフィルムを接触させて加圧し、積
    層することを特徴とする、耐内容物性に優れるポリエス
    テル樹脂被覆鋼板の製造方法。
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