JPH1171578A - 水溶液組成物及び吸収冷温水機の初期立ち上げ方法 - Google Patents

水溶液組成物及び吸収冷温水機の初期立ち上げ方法

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JPH1171578A
JPH1171578A JP10188816A JP18881698A JPH1171578A JP H1171578 A JPH1171578 A JP H1171578A JP 10188816 A JP10188816 A JP 10188816A JP 18881698 A JP18881698 A JP 18881698A JP H1171578 A JPH1171578 A JP H1171578A
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aqueous solution
thiosulfate
solution composition
absorption
heater
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JP10188816A
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English (en)
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Hidemasa Nonaka
英正 野中
Yoshimi Sakaguchi
義美 坂口
Shinji Shigiyou
信児 執行
Akinori Nagamatsuya
晃徳 長松谷
Kenji Takahashi
健二 高橋
Jun Kuroda
純 黒田
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Osaka Gas Co Ltd
Yazaki Corp
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
Yazaki Corp
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Publication date
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
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    • Y02B30/62Absorption based systems

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 5成分系の吸収溶液に、例えば、Na2 2
3 をインヒビターとして添加し、吸収冷温水機の吸収
溶液として用いたときに、ガス発生量が少なく充分な真
空状態を確保して機器の性能を充分に発揮できるととも
に、鋼材、銅材に腐食を発生しにくい水溶液組成物を得
る。 【解決手段】 吸収冷温水機の吸収溶液として使用され
る、LiBr,LiI,LiNO3 ,LiCl−H2
を含んでなる水溶液組成物において、前記水溶液組成物
が、チオ硫酸ナトリウム換算でチオ硫酸塩を100〜1
000ppm含有し、水酸化リチウム換算で水酸化アル
カリ金属化合物を0.05〜0.45wt%含有するこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸収冷温水機の吸
収溶液として使用される水溶液組成物に係るとともに、
このような水溶液組成物を使用して吸収冷温水機を運転
立ち上げする場合に於ける立ち上げ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】空冷型の吸収冷温水機に使用されている
5成分(LiBr,LiI,LiNO 3 ,LiCl−H
2 O)吸収溶液は、大気中の酸素や光によってLiI中
のヨウ素が遊離する(酸化される)と、吸収冷温水機に
備えられる各機器を構成するステンレス鋼材に対する腐
食性が激しくなる。そのため、上記5成分吸収溶液に
は、ヨウ素の遊離を抑制する目的で、還元剤としてチオ
硫酸ナトリウム(Na2 2 3 )をインヒビターとし
て添加することが提案されている。
【0003】特開平7−324838号公報には、ハロ
ゲン化合物を含む5成分系の吸収溶液に、チオ硫酸ナト
リウム(Na2 2 3 )を添加することが述べられ、
それらの添加量とステンレス鋼材における、自然電位と
すきま再不動態化電位との関係が議論されている。さら
に、その最大浸食深さに与える影響が議論されている。
【0004】提案されているように、チオ硫酸ナトリウ
ム(Na2 2 3 )を添加すると、各電位間の関係が
適正に保たれ、ステンレス鋼材の腐食を防止することが
できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、吸収冷
温水機に於ける水溶液組成物を考える場合にあっては、
機器に使用される材料(具体的にはステンレス鋼材およ
び銅)の腐食を考慮する必要があるとともに、このよう
な水溶液組成物を吸収溶液の循環系内に投入した場合
に、系内から発生するガスの量、溶液成分及びその量も
考慮する必要がある。即ち、通常運転中に、水溶液組成
物からガスが発生すると、機内の真空度が低下し、吸収
冷温水機の効率が低下して、実効ある運転ができない。
一方、吸収冷温水機の運転立ち上げ時(工場出荷時)に
は、水溶液組成物が機器の吸収溶液循環系内に投入さ
れ、ガスの発生が無くなるまで、所謂、エージングが行
われる。この場合、ガスの発生が継続的に続くと、この
エージングの時間が長すぎる(例えば数10時間から1
00時間程度)こととなり、実用上、このような水溶液
組成物は使用できない。
【0006】このような観点から、先に提案されている
5成分(LiBr,LiI,LiNO3 ,LiCl−H
2 O)吸収溶液に対して、チオ硫酸ナトリウム(Na2
23 )を添加した水溶液組成物を検討し、添加され
るNa2 2 3 が比較的強い還元力を有するものであ
るため、このインヒビターが吸収溶液中のLiNO3
反応してNOxを発生し、実用に耐えないと予見した。
事実、比較的大量に投入する場合にあっては、このガス
発生量が多くなり過ぎるため、吸収冷温水機の性能(能
力)が十分に発揮されないことがみいだされた。一方、
立ち上げ時のエージングに要する時間に関しても、長時
間となり問題であることを見出した。このような知見
(課題の認識)は特開平7−324838号公報にはな
い。一方、添加されるNa2 2 3 が少ないと、この
材料の還元性能が発揮されず、ヨウ素の腐食性能が表れ
ステンレス鋼の腐食が進み、この場合も問題がある。さ
て、吸収冷温水機にあっては、その機器構成材料とし
て、銅が使用されている部位がある。例えば、吸収器の
冷却水管、凝縮器の冷却水管、蒸発器の冷水管等が、こ
のような部位にあたる。この様な部位、例えば、冷却水
管の外面は、LiBr水溶液と接触しており、その腐食
性の高さから、取扱に注意を要する重要な部位である
が、本願発明者らは、5成分(LiBr,LiI,Li
NO3 ,LiCl−H2 O)吸収溶液、特に、水−ハロ
ゲン化塩−硝酸イオン(ここで、硝酸イオンは%オーダ
ーで含まれる)を含む吸収溶液において、インヒビター
としてチオ硫酸塩を使用すると、チオ硫酸塩の作用によ
り、アンモニアが発生することを新たに、見出した。こ
のアンモニアは、銅との関係で錯体を生成するため、結
果的に、上記のような銅材料使用部位において、材料を
溶かすこととなり、非常に重要な問題である。さらに、
先に説明したインヒビターとしてのチオ硫酸塩の使用に
あたって、その使用量が多い状態にあっては、アンモニ
アの発生量が増大し、この点においても、チオ硫酸塩の
添加使用量は、重要な問題をはらんでいる。
【0007】本発明の課題は、5成分系の吸収溶液に、
例えば、Na2 2 3 をインヒビターとして添加し、
吸収冷温水機の吸収溶液として用いたときに、ガス発生
量が少なく充分な真空状態を確保して機器の性能を充分
に発揮できるとともに、鋼材、銅材に腐食を発生しにく
い水溶液組成物を得るにある。さらなる、本発明の課題
は、吸収冷温水機の初期運転立ち上げ時(工場出荷時
等)にあって、そのエージングを実用上、容認できる時
間で完了できる吸収冷温水機の初期立ち上げ方法を得る
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本願の、吸収冷温水機の吸収溶液として使用され
る、LiBr,LiI,LiNO3 ,LiCl−H2
を含んでなる水溶液組成物の特徴構成は、この水溶液組
成物が、チオ硫酸ナトリウム換算で、チオ硫酸塩を10
0〜1000ppm含有し、水酸化リチウム換算で、水
酸化アルカリ金属化合物を0.05〜0.45wt%含
有することを特徴とする。
【0009】チオ硫酸塩(例えばチオ硫酸ナトリウム)
の濃度が100ppm未満の場合、還元力の低下により
ヨウ素の遊離の恐れがあり、ヨウ素が遊離した場合に
は、インヒビターとしての機能を充分に発揮できない。
また、水溶液組成物中のチオ硫酸塩(例えばチオ硫酸ナ
トリウム)の濃度が1000ppmを超えた場合には、
還元力のあるチオ硫酸塩は、水溶液組成物中のヨウ素の
遊離を抑えることができ、鋼材の腐食を抑えることがで
きるが、水溶液組成物中の硝酸イオンと反応して硝酸イ
オンを還元し、ガスの発生を起こす。従って、この状態
にあっては、ガスの発生量が増えて吸収冷温水機の性能
に悪影響を及ぼす。同様に、吸収冷温水機の立ち上げ時
にあっては、長時間にわたりガスの発生が継続され、エ
ージングを適切に完了することができない。結果、水溶
液組成物中のチオ硫酸塩の濃度を、上記100〜100
0ppmの範囲内とすることで、鋼材の腐食の問題とガ
ス発生の問題の両方の問題を解決することができる。
【0010】ガス発生を考える場合、チオ硫酸ナトリウ
ム換算での前記チオ硫酸塩の濃度としては、100〜5
00ppmとすることが、さらに、好ましい。この範囲
にあっては、ガス発生量は、比較的フラットな傾向を示
し、チオ硫酸塩が、インヒビターとして有効に働く濃度
範囲にあって、ガス発生量が好適に抑えられるためであ
る。
【0011】さて、本願において問題となる生成物は、
2種があることを、発明者らは見出した。即ち、その第
1種は、所謂、NO、N2等であり、その第2種は、ア
ンモニアである。ここで、アンモニアは、高温状態(2
10℃程度)においては、主にガスとして溶液から分離
して存在し、機器がクールダウンされた常温状態にあっ
ては、水溶液中に溶け込む。さらに、これらの2種の物
質の発生にあって、インヒビターとしてのチオ硫酸塩の
添加量と、各成分の発生量との関係について述べると、
添加量の増加で、共に、発生量が増加する。さらに、ア
ンモニアに関しては、チオ硫酸塩の添加量と、ある値
(300ppm)を限界として、大きく関わる(添加量
がある量を超えるとガス発生量が増加する傾向を示す)
ことを見出した。即ち、アンモニアの発生量は、チオ硫
酸塩の添加量が300ppmを超えると、急に増加する
傾向を示す。従って、この量を300ppm以下にする
ことで、アンモニアの発生を起こり難くでき、系の状態
がアンモニア発生により不安定になることを、有効に防
止することができる。即ち、銅系材料が使用される部位
における、腐食の危険をも有効に抑制できる。
【0012】さらに、チオ硫酸ナトリウム換算でのチオ
硫酸塩の濃度として、100〜180ppmを選択して
おくことが、最も好ましい。ここで、下限値100pp
mは、インヒビターとしての働きを発揮して、腐食の問
題を許容できる範囲内とすることができる範囲であり、
上限値は、NO、N 2等の発生量が最低量に抑えられる
とともに、アンモニアの発生量も最低量とすることがで
き、良好な運転状態、機器の立ち上げ状態を確保できる
範囲である。ここで、下限値に関して、この値を150
ppmとすると、ヨウ素による問題をほぼ完全に抑える
ことができ、さらなる意味で最も好ましい。
【0013】一方、水酸化アルカリ金属化合物(例えば
水酸化リチウム)の濃度が0.05wt%未満の場合
は、腐食の抑制効果を得にくい。また、水溶液組成物中
の水酸化アルカリ金属化合物(例えば水酸化リチウム)
の濃度が0.45wt%より大きい場合は、アルカリに
よる腐食が発生しやすくなり、この成分が溶解しきれな
いで沈澱するといった問題等が発生しやすい。結果、水
溶液組成物中の水酸化アルカリ金属化合物の濃度を水酸
化リチウム換算で、上記0.05wt%〜0.45wt
%の範囲内とすることが好ましい。ここで、水酸化アル
カリ金属化合物としては、水酸化リチウムが他の溶液成
分との関係から実用的である。
【0014】本願は、上記の少なくとも硝酸イオン成分
(この成分は%オーダで含まれる)を含む5成分系の水
溶液組成物に対してチオ硫酸塩を使用して鋼材側の腐食
を防止するが、チオ硫酸塩は元来還元性能が非常に高
い。従って、この材料を本願で使用するような特有組成
の水溶液組成物との間で使用しようとした場合、ガス発
生が多くなり、実用的でない。しかしながら、本願の発
明者らは鋭意研究の結果、チオ硫酸塩の還元性能が発揮
されて鋼材側の腐食がほとんど発生しない濃度領域で、
且つ、水溶液組成物との間で反応が進行せず、ガス発生
が比較的短時間で完了する濃度領域が存在することを見
出して、本願の発明を完成したのである。さらに、銅材
からなる部位を有する吸収式冷温水機において、重要な
問題となるアンモニアの発生をも抑制出来る添加量を見
出している。
【0015】さて、吸収冷温水機の吸収溶液循環系内
に、LiBr,LiI,LiNO3 ,LiCl−H2
を含んでなる水溶液組成物を投入した後、前記吸収溶液
循環系に於ける真空状態を確保して吸収冷温水機を運転
開始する初期段階においては、上述したような水溶液組
成物を使用して、吸収冷温水機の初期運転をおこなうと
ともに、吸収溶液循環系内で発生したガスを脱気処理し
て、吸収冷温水機を正常運転可能な状態(ガス発生が無
いか、許容限度内で、運転に支障の無い真空状態を吸収
溶液循環系で維持できる状態)とすることが好ましい。
このようにすることで、最も、過酷な状態ともいえる機
器立ち上げ時(この状態にあっては、一般に吸収溶液中
の溶存酸素の量が比較的多くある場合が多く、ヨウ素に
よる悪影響がでやすい)にあって、有効に鋼材の腐食を
抑えることができるとともに、吸収溶液循環系内に於け
る継続的なガスの発生を抑制して、エージングを比較的
短時間で完了することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の水溶液組成物の実
施の形態について説明する。5成分吸収溶液の代表サン
プルとして、以下の様な組成のサンプル水溶液を使用し
た。 臭化リチウム(LiBr)濃度 21.0〜52.5% ヨウ化リチウム(LiI)濃度 5.25〜21.0% 硝酸リチウム(LiNO3 )濃度 2.63〜10.5% 塩化リチウム(LiCl)濃度 2.63〜10.5% このサンプルは、上記成分が計63%程度溶解した水溶
液である。この溶液は、Ar中での濃縮により得るもの
とした。さらに、塩基度調節用として、水酸化リチウム
(LiOH)を0.4wt%添加した。
【0017】上記サンプル水溶液に、インヒビターとし
てのチオ硫酸ナトリウム(Na2 2 3 )を、それぞ
れ添加し、チオ硫酸ナトリウム濃度が、79、118、
159、318、394、480、1429、4765
ppmとなるものを作製し、さらに、比較サンプルとし
て、チオ硫酸ナトリウムを全く添加しないものも作製し
た。
【0018】このようなサンプルを使用して、以下の試
験をおこなった。 (1) すきま腐食試験 (2) 電気化学試験 (3) 不活性ガス発生試験 (4) 応力腐食割れ試験 (5) アンモニアの生成
【0019】以下、各試験の結果について、順次説明す
る。 (1) すきま腐食試験 この試験にあたっては、気相中にArを封入したオート
クレーブを使用した。テストピースの材料は、SUS3
16Lとし、ピースの寸法は、50(縦)×80(横)
×2t(厚み)とした。この寸法形状のテストピースを
各々5枚を一組として、これらをテフロンスペーサによ
り所定隙間(5mm)開けて配設した。ただし、各テス
トピースは、5枚とも同一水準に維持した。試験時間は
720時間とするとともに、温度は210℃(実機での
伝熱面温度に相当)とした 隙間腐食の判定にあたって
は、テストピース5枚の各々中に発生した隙間腐食の最
大値を測定した。この試験の結果を、図1の実線で示し
た。同図において、横軸はインヒビターの添加量(pp
m単位)を、縦軸(図面左側に示すスケールに従ったも
の)は最大隙間腐食深さ(μm単位)を示している。結
果から判明するように、インヒビター濃度の低い範囲で
は、充分な還元性能が発揮できず腐食が発生しやすい状
況にあることが判る。インヒビターを添加しないもので
は、250μmをこえる腐食を示したのに対して、10
0ppm程度で、ほぼ、20μm程度であり、許容でき
る範囲内におさまった。
【0020】(2) 電気化学試験 上記の試験に関連して、電気化学的な腐食の状況を確認
するため、チオ硫酸ナトリウムの濃度が480ppmの
サンプルに関して電気化学試験をおこなった。この試験
にあたっても、気相中にArを封入したオートクレーブ
を使用した。テストピースの材料は、SUS316Lと
し、ピースの寸法は、15(縦)×15(横)×2t
(厚み)とした。このピースにあっては、15×15の
試験面以外の全面にシリコン樹脂によるコーティング処
理を施した。さらに、ピース温度は、210℃(伝熱面
温度)とした。テストにあたっては、24時間の予備浸
漬後、自然電位(Ecorr)から20mV/分でアノード
分極、10000μA/cm2 で逆掃引で、再不動態化
電位(Epro )を求めた。結果を図3に示した。同図横
軸は電流量(μA/cm2 単位)を、縦軸は、電位(m
V.vs.Ag/AgCl)を示している。同図に示す
ように、自然電位(Ecorr)は、−235mV.vs.
Ag/AgClであり、−67mV.vs.Ag/Ag
Clである再不動態化電位(Epro)より低く、このイ
ンヒビター濃度にあっては、局部腐食をおこし難い状況
に維持できていることが判る。
【0021】(3) ガス発生試験 この試験にあたっては、真空脱気状態のオートクレーブ
を使用した。テストピースの材料は、SUS316Lと
し、ピースの寸法は、直径59mm(実質試験面径51
mm)×2t(厚み)とした。この寸法形状のテストピ
ースを各々4枚を一組として、各テストピースを同一水
準に維持した。試験時間は100時間とするとともに、
温度は、テストピースは190℃、溶液は175℃に維
持した。ガス発生量の計測にあたっては、試験後、気相
中のガスを水上置換で採取し、そのガス量を測定した。
ここで、捕集されたガスは、主に、NO、N2 であっ
た。このような窒素は、溶液中に含まれる硝酸イオン起
因のものと推察される。この試験の結果を、図1に破線
で示した。同図において、横軸はインヒビターの添加量
(ppm単位)を、縦軸(図面右側に示すスケールに従
ったもの)はガス発生量(Nml単位)を示している。
結果から判明するように、インヒビター濃度が高い範囲
(例えば、1000ppmより上の範囲)では、ガス発
生量が多く、機器運転上の障害になることが判る。さら
に、図2に示す別途行った詳細な実験から、このガス発
生量に於ける経時的な変化について説明すると、インヒ
ビター濃度が1000ppmより高い範囲にあっては、
数10時間から100時間経過時点にあっても、徐々に
ではあるが、ガスの発生が見受けられ、実用上、エージ
ング時間が長時間となり、問題があることが判明した。
この検討に関連して、インヒビター濃度の差に伴う経時
的なガス発生量の結果を、図2に示した。この図には、
118ppmを除く全ての結果を示した。ただし、経過
時間は、50時間までの時間を示した。図より、インヒ
ビター濃度が、1429ppmより高い(1429pp
mを含む)ものに関して、継続的なガスの発生が起こっ
ていることが判る。さらに、このように100時間程度
のガス発生試験をおこなった場合にあって、トータルと
して発生するガス量が本願に於けるチオ硫酸塩濃度が1
000ppm以上の発生量を越える場合には、経験的
に、これまで説明してきたエージング時間を数10時間
未満とすることはできない。
【0022】(4) 応力腐食割れ試験 この試験にあたっては、気相中にArを封入したオート
クレーブを使用した。テストピースの材料は、SUS3
16Lとし、幅15mm・長さ8〜10cm程度の平板
をダブルUベンドとしたものを使用した。この寸法形状
のテストピースを各々3個を一組として、同一水準に維
持した。さらに、3個、一組のものを2組作製し、一方
を全浸漬状態に維持し、他方を半浸漬状態に維持するも
のとした。インヒビターの濃度に関しては、480pp
mのものを使用した。試験時間は720時間とするとと
もに、温度は210℃(実機に於ける伝熱面温度)とし
た 応力腐食割れの判定にあたっては、テストピース3
枚の各々について、割れの有無を確認した。以下に示す
表1に示すように、全テストピースに関して、割れの発
生は認められなかった。同表中〇は、割れの発生がない
ことを示す。結果、本願のインヒビターは、応力腐食割
れの発生を防止している効果もある。
【0023】
【表1】 さらに、この濃度以下のものにおいても、同様な実験を
おこなった。結果、79ppmのもののみ、半浸漬の場
合、応力腐食割れが一部発生した。全浸漬では、全ての
例で割れは発生しなかった。
【0024】(5) アンモニアの生成 発明者らは、試験後のクールダウンした状態における溶
液内に含まれる成分について検討した。結果、溶液内に
アンモニアが含有されていることをみいだした。この結
果について以下説明する。この試験結果のデータは、先
に説明したガス発生試験の結果得られた溶液の成分を、
常温状態で分析した結果である。図4に、インヒビター
の添加量(ppm単位)と、アンモニアの発生量(mg
/リットル単位)で示した。この図においてインヒビタ
ー濃度は対数目盛りである。図より明らかなように、イ
ンヒビターの添加量が300ppmより大きくなるに従
って、急激にアンモニアの生成量が増大していることが
判る。従って、この濃度が、ある種の限界値となる。発
生を最低限に抑えられ、比較的フラットな分布を示すの
は、180ppm以下の範囲である。
【0025】〔別実施形態〕以下に別実施形態を説明す
る。上記の実施例では、チオ硫酸塩の例として、チオ硫
酸ナトリウムを使用する例を示したが、この化合物の
他、チオ硫酸リチウム、チオ硫酸カリウム等を使用する
ことも可能である。この場合も、これらの塩濃度を、チ
オ硫酸ナトリウム換算で、100〜1000ppmの範
囲内に設定することが好ましい。これまで説明してき
た、それぞれの濃度上限に対しても、同様である。さら
に、先にも説明したように、水酸化アルカリ金属化合物
の濃度は、0.05〜0.45wt%とすることが好ま
しい。ここで、上記の本願で有用なチオ硫酸塩の濃度及
び水酸化アルカリ金属化合物の有用な濃度範囲は、Li
Br,LiI,LiNO3 ,LiCl成分の合計濃度
で、これがほぼ63%ある、あるいはその近傍となって
いる状態に対応している。吸収冷温水機に於ける吸収溶
液循環系内にあっては、水の蒸発、吸収が発生するた
め、LiBr,LiI,LiNO3 ,LiCl成分の合
計濃度が、水の蒸発、吸収により上記範囲より上下する
場合もある。このような状態にあっては、本願のチオ硫
酸塩の濃度及び水酸化アルカリ金属化合物の本願にいう
有用な濃度範囲も、水の吸収量に従って上下することと
なることは当然である。
【図面の簡単な説明】
【図1】インヒビター濃度に従った最大すき間腐食深
さ、ガス発生量の結果を示す図
【図2】異なったインヒビター濃度に対するガス発生量
の経時的な変化を示す図
【図3】インヒビター添加時のSUS316Lの分極曲
線を示す図
【図4】異なったインヒビター濃度に対するアンモニア
生成量を示す図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 執行 信児 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 長松谷 晃徳 静岡県浜松市子安町1370 矢崎総業株式会 社内 (72)発明者 高橋 健二 静岡県浜松市子安町1370 矢崎総業株式会 社内 (72)発明者 黒田 純 静岡県浜松市子安町1370 矢崎総業株式会 社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸収冷温水機の吸収溶液として使用され
    る、LiBr,LiI,LiNO3 ,LiCl−H2
    を含んでなる水溶液組成物において、前記水溶液組成物
    が、チオ硫酸ナトリウム換算でチオ硫酸塩を100〜1
    000ppm含有し、水酸化リチウム換算で水酸化アル
    カリ金属化合物を0.05〜0.45wt%含有するこ
    とを特徴とする水溶液組成物。
  2. 【請求項2】 チオ硫酸ナトリウム換算での前記チオ硫
    酸塩の濃度が、100〜500ppmである請求項1記
    載の水溶液組成物。
  3. 【請求項3】 チオ硫酸ナトリウム換算での前記チオ硫
    酸塩の濃度が、100〜300ppmである請求項2記
    載の水溶液組成物。
  4. 【請求項4】 前記チオ硫酸塩がチオ硫酸ナトリウムで
    ある請求項1〜3のいずれか1項に記載の水溶液組成
    物。
  5. 【請求項5】 吸収冷温水機の吸収溶液循環系内に、L
    iBr,LiI,LiNO3 ,LiCl−H2 Oを含ん
    でなる水溶液組成物を投入した後、前記吸収溶液循環系
    に於ける真空状態を確保して吸収冷温水機を運転開始す
    る初期段階において、請求項1〜4のいずれ1項に記載
    の水溶液組成物を使用して、吸収冷温水機の初期運転を
    おこない、前記吸収溶液循環系内で発生したガスを脱気
    処理して、吸収冷温水機を正常運転可能な状態とする吸
    収冷温水機の初期立ち上げ方法。
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