JP3524302B2 - 吸収式冷温水機用オーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents

吸収式冷温水機用オーステナイト系ステンレス鋼

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸収式冷温水機の
装置構成用材料に関し、より具体的には、作動媒体とし
て各種ハロゲン化アルカリを含む水溶液組成物、或いは
吸収剤として各種ハロゲン化アルカリと硝酸塩を含む水
溶液組成物を使用し、且つ高温で作動する吸収式冷温水
機用のオーステナイト系ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】吸収式冷温水機(吸収式ヒートポンプ)
に使用される作動媒体としては、これまで水とアンモニ
アとの組み合わせからなるもの、水とハロゲン化物との
組み合わせからなるものなど種々のものが提案されてき
ているが、我が国においては現実には専ら水と臭化リチ
ウムとからなる系(「水ーLiBr」系)が使用されて
いる。水ーLiBr系の作動媒体は、安定性、腐食性、
価格等に関して優れているため従来から採用されてきた
が、結晶限界に基づく性能上の限界があることから、そ
の結晶限界を緩和する試みや提案がいろいろと行われて
きている。
【0003】例えば、特公昭61ー52738号公報に
おいては、水と臭化リチウムとからなる系について、こ
れにヨウ化リチウムを加え、その量的割合として臭化リ
チウムを70〜99モル%、ヨウ化リチウムを1〜30
モル%とすることにより、臭化リチウム水溶液に比べて
蒸気圧降下が大きく、また結晶化温度が低くなり、この
吸収液の使用によって吸収冷暖房機の性能向上及び吸収
液の固化などの不具合の発生を抑制することが可能とな
ったというものである。
【0004】また特公平5ー28749号公報では、発
生器、凝縮器、蒸発器及び吸収器よりなる吸収冷凍機に
使用される吸収液において、臭化リチウム、ヨウ化リチ
ウム及び塩化リチウムが、重量比で、臭化リチウム1:
ヨウ化リチウム0.1〜1.0:塩化リチウム0.05
〜0.50の割合で混合された吸収剤を、冷媒としての
水に溶解させた水溶液からなる吸収冷凍機用吸収液が提
案され、これにより高濃度で且つ晶析温度の低い吸収液
が提供できたとしている。
【0005】しかし、水ーLiBr系の作動媒体は、そ
の結晶限界がさらに緩和されれば、吸収液の濃度幅を
広げることができ、それにより溶液の循環量が減少し、
溶液ポンプの小型化、省電力等が図られ、また吸収器
において吸収溶液の温度を高くできることから、吸収器
の小型化を図ることができ、その緩和効果が大きければ
空冷の可能性もでてくるだけでなく、温水機として使う
場合により高温の温水が得られ、さらには蒸発器の蒸
発温度を低下できるため、冷水機としてより低温の冷水
が得られ、温水機としてはより低温の低温熱源を利用で
きるなど、数多くの性能改善が期待できるものである。
【0006】本出願人は、水ーLiBr系作動媒体の一
環として、臭化リチウム及びヨウ化リチウムを含む系、
またこれらに塩化リチウムを加えてなる系について、上
記両公報で設定している組成範囲とは全く別異の箇所に
吸収液としてきわめて有効な特異な範囲があることをつ
きとめ、先に出願している(特開平7ー280379
号)。この水溶液組成物(水+吸収液)は、その結晶限
界を大幅に緩和させることにより、上記〜のような
諸利点を有し、実機において十分実用に耐え得るもので
ある。水ーLiBr系の作動媒体、或いは上記のような
高性能吸収液は、吸収式冷温水機用として例えば60重
量%という濃厚混合Li塩水溶液として用いられる。ま
たその効率をさらに上げるためには約200℃程度、2
10℃、或いは220℃というような苛酷な操作温度条
件下においても使用される。
【0007】吸収式冷温水機は基本的には再生器、凝縮
器、蒸発器、吸収器及びこれらを連結する配管からな
り、これら各装置及び配管は、従来、軟鋼その他の炭素
鋼系材料、銅、キュプロニッケルその他の銅系材料等の
種々の材料で構成されており、最近では、上記のような
高濃度の作動媒体や高温などの過酷な操作条件下、例え
ば炭素鋼系材料が使えない場合における代替材料とし
て、ステンレス鋼系の材料を用いることも検討されてい
るが、炭素鋼系材料や銅系材料の場合と同様、ステンレ
ス鋼系の材料についても、それら過酷な操作条件におけ
る腐食の問題には充分に配慮されなければならない。
【0008】ところで、本発明者等は、これまで数多く
の試験鋼を試作して海水等の塩水中におけるステンレス
鋼の耐腐食性ついての研究、検討を行い、耐海水用等を
目的としてNaClその他の中性塩化物環境における耐
応力腐食割れ(耐SCC)性に優れたオーステナイト系
ステンレス鋼を開発してきているが〔「防食技術」3
9、p.309ー314(1990)、等〕、これらの
成果からすると、吸収式冷温水機の諸機器や配管用とし
てステンレス鋼系材料を使用する場合、その好ましい候
補としてはオーステナイト系ステンレス鋼を挙げること
ができる。
【0009】しかし吸収式冷温水機における前述のよう
な高温且つ濃厚な吸収液環境下においては、オーステナ
イト系ステンレス鋼でさえ、これに局部腐食が起った場
合、応力腐食割れ(SCC)が生じることが懸念され、
そのような高温且つ濃厚な吸収液環境下においてはすき
ま腐食が起ることが避け得ないものと考えられる。この
ため中性塩化物環境中、すなわち上記耐海水用等として
開発した開発鋼が直ちに吸収式冷温水機の吸収液環境に
適用し得るものではない。
【0010】そこで、本発明者等は、そのような高温且
つ濃厚な吸収液環境下におけるSCC臨界温度(この温
度以下ではSCCは発生しない)を個々に求め、濃厚な
混合Li塩を用いる吸収式冷温水機用構成材料としての
オーステナイト系ステンレス鋼の適否について実験、検
討をし、そのステンレス鋼系の材料について、微量成分
を含めたその成分組成についてさらに工夫をすることに
より、その高温且つ濃厚な吸収液環境下において優れた
耐腐食特性を有する吸収式冷温水機用構成材料が得られ
ることを先に見い出し出願している(特願平6ー251
386号)。
【0011】上記出願に係る発明は、重量割合で、S
i:1.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.02
%以下、Ni:7〜25%、Cr:10〜20%、M
o:3.0%以下、Cu:1.0〜3.0%、Al:
0.5〜2.5%、残部Fe及び不可避不純物からな
り、作動媒体としてハロゲン化アルカリを含む水溶液組
成物を使用する吸収式冷温水機用オーステナイト系ステ
ンレス鋼に係るものであり、吸収式冷温水機用として作
動温度200℃程度においても優れた耐腐食性を備えて
おり、十分実用に耐え得るものである。
【0012】ところが、吸収式冷温水機の効率をさらに
上げるためには、作動温度200℃を超え、210℃以
上、さらには220℃というような作動温度が必要であ
る。本発明者等は、このような観点から、先に開発した
上記オーステナイト系ステンレス鋼について、そのよう
な過酷な作動温度範囲においても有効なオーステナイト
系ステンレス鋼についてさらに実験、検討し、追求した
ところ、18重量%Crー10重量%Niー2重量%C
uー1重量%Alを標準組成とするオーステナイト系ス
テンレス鋼にMo及びPを特定の量的関係で含有させる
ことにより、作動温度220℃以上というような過酷な
作動温度域においても優れた耐腐食性を有するオーステ
ナイト系ステンレス鋼を見い出した。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、本発明は、
作動媒体としてハロゲン化アルカリを含む水溶液組成物
を使用する吸収式冷温水機用のオーステナイト系ステン
レス鋼であって、作動温度が200℃を超え、210℃
以上、さらには220℃以上というような過酷な作動環
境においても優れた耐腐食性を備え、吸収式冷温水機用
として実用上充分に耐え得るオーステナイト系ステンレ
ス鋼を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、作動媒体とし
てハロゲン化アルカリを含む水溶液組成物を使用し、温
度200℃を超える温度で作動される吸収式冷温水機用
オーステナイトステンレス鋼であって、18%Crー1
0%Niー2%Cuー1%Alオーステナイト系ステン
レス鋼に対して、MoとPとを下記式(1)の割合で含
有させてなることを特徴とする吸収式冷温水機用オース
テナイト系ステンレス鋼を提供するものである。但し、
式(1)中、xはMoの重量%、yはPの重量%であ
る。
【数 1】 1.4 log x + log y < −3.4 (1)
【0015】
【発明の実施の形態】上記「18%Crー10%Niー
2%Cuー1%Al」オーステナイト系ステンレス鋼と
は、標準として、重量比で、Crを18%、Niを10
%、Cuを2%、Alを1%含むことを基本的組成とす
るという意味であり、市販のSUS316L鋼に対し、
Sを含まず、Cu及びAlを添加し、Si、P、
Ni及びMoの量を低減させ、且つ、MoとPの量的
関係を上記式(1)で示される特定条件に設定したもで
ある。
【0016】その組成範囲は、好ましくは、重量比でS
i:1.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.02
%以下、Ni:8.0〜12.0%、Cr:17〜20
%、Mo:3.0%以下、Cu:1.0〜3.0%、A
l:0.5〜2.0%、残部Fe及び不可避不純物から
なり、このうちMoとPとの量的関係について上記式
(1)で示される組成で構成される。また本発明鋼はオ
ーステナイト系ステンレス鋼を製造するに際して通常と
られる製造法により製造される。
【0017】本発明鋼は、これによって作動媒体として
ハロゲン化アルカリを含有す水溶液組成物を使用し、温
度200℃を超え、210℃以上、さらには220℃以
上という過酷な吸収式冷温水機の吸収液環境において、
優れた耐腐食性を備え、耐腐食割れ(耐SCC)性を有
効に改善したものである。なお、本発明鋼は、温度20
0℃程度以下の温度においても有効で、適用し得るもの
であり、本明細書中「温度200℃を超える温度で作動
される」とは、温度200℃を超える温度に加え、温度
200℃以下の作動環境もカバーする意味である。
【0018】本発明で使用される、作動媒体としてハロ
ゲン化アルカリを含有する水溶液組成物としては、水ー
臭化リチウム系の水溶液組成物、これにヨウ化物を含む
水溶液組成物、これらにさらに硝酸塩を含む水溶液組成
物、その他ハロゲン化アルカリを含む水溶液組成物であ
れば特に限定はなく、またその補足成分として、例えば
インヒビターや亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリ
ウム等の還元剤を添加することができる。
【0019】また、本発明鋼は特に「吸収剤成分として
ヨウ化物を含む水溶液組成物」及び「吸収剤成分として
ヨウ化物及び硝酸塩を含む水溶液組成物」を用いる場合
にも優れた耐腐食性を有するが、その例としては水ーヨ
ウ化リチウム系、水ーヨウ化リチウムー硝酸リチウム
系、水ー臭化リチウムーヨウ化リチウム系、水ー臭化リ
チウムーヨウ化リチウムー硝酸リチウム系、水ー臭化リ
チウムーヨウ化リチウムー塩化リチウム系、水ー臭化リ
チウムーヨウ化リチウムー塩化リチウムー硝酸リチウム
系等を挙げることができる。なお「・・・系」、例えば
水ーヨウ化リチウム系とは、ヨウ化リチウムを含む水溶
液組成物のほか、必要に応じてインヒビターや還元剤等
をも含む意味である。
【0020】前記のように特定の成分組成を有し、且
つ、MoとPとが特定の量的関係で含まれる「18%C
rー10%Niー2%Cuー1%Al」オーステナイト
系ステンレス鋼は、吸収式冷温水機を構成する各種装置
(機器)すなわち再生器、凝縮器、蒸発器、吸収器及び
ポンプその他の要素機器、またこれらを連結する配管等
を構成する材料として適用することができる。ここで吸
収式冷温水機とは、広義の意味すなわち得られる冷水を
利用するための吸収式冷凍機と、得られる温水を利用す
るための狭義の吸収式ヒートポンプの両方を意味する。
【0021】
【実施例】以下、実施例を基に本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明がこの実施例に限定されるものでない
ことはもちろんである。本実施例においては各種組成を
有するオーステナイト系ステンレス鋼を製造し、試験に
供したが、そのうち11種類のオーステナイト系ステン
レス鋼の化学組成を表1に示している。これらは何れも
従来のオーステナイト系ステンレス鋼の場合と同様にし
て製造し、厚さ約3mmの板に圧延し、温度1050℃
で15分間保持した後、水焼き入れによる溶体化処理を
施して作製した。
【0022】これらの各供試鋼を使用して、それぞれス
ポット溶接試験片を作製した。図2(a)、(b)はそ
の形状、構造を示す図である。図2(a)は側面図、図
2(b)は正面図であり、図中に記載の数値はmm単位
で示した各部の寸法である。図示のとおり、厚さ1mm
の40×20mm2 及び20×10mm2 の大小2枚の
供試鋼板を、表面をSiC紙を用いて#800まで湿式
研磨し、両者を重ね合わせて2点のスポット溶接を施す
ことにより、すきまと残留応力の両者を付与した。図2
(a)、(b)中、1は供試鋼板(大)、2は供試鋼板
(小)、3はスポット溶接部、4は試験液への浸漬液面
である。
【0023】一方、試験液としては、60%LiXs+
0.2%LiOH(LiXsはモル比でLiBr:Li
I:LiCl:LiNO3 =100:75:41:2
5)に対して、液中に生成しているI2を還元する目的
でNaHSO3を650ppm加えたものを使用した。
LiIを含む場合、ヨウ素が遊離し易く、遊離ヨウ素が
ステンレス鋼のすき間腐食を著しく促進するが、還元剤
として亜硫酸水素ナトリウムを添加することによりヨウ
素が遊離すること自体を抑制ないし皆無とすることがで
きるが(特願平5ー346533号)、上記NaHSO
3 はこの意味で加えている。
【0024】この試験液をテフロンライニングを施した
Ti製のオートクレーブに入れ、試験片を浸漬して密閉
後、N2 ガスを用いてオートクレーブ内の圧力を2kg
/cm2 とし、密閉してから、温度を所定の温度まで昇
温した。最初の保持電位を−200mV.SCE程度に
し、+10mV/10minで貴化させた。試験片電流
が10mAに達したら、この値を10時間保持するよう
に電位を操作した後、−10mV/60minで電位を
卑化させた。こうして試験片電流がはじめてカソーディ
ックになった電位をER.CREVとした。以上の操作を各供
試鋼の試験片毎に実施し測定した。
【0025】また、自然電位に保ったまま各試験温度ま
で昇温し、室温の飽和甘電極(SCE)に照合して定電
位(SUS316Lにおける200℃では−100m
V、試験NO.1における200℃では−150mV、
その他は−130mV)に72時間保持した。保持電位
は原則として同種供試鋼の試験片を用いて測定した上記
「すきま再不動態化電位(ER.CREV)」の直上とした。
これは前述NaCl等の中性塩化物環境における耐SC
C鋼の開発に際して、中性塩化物水溶液中で行った割れ
試験において、SCCを起こす温度ではER.CREV直上の
20〜30mVの電位域で最も割れやすく、この電位域
で割れなかった場合はより貴な電位でも割れなかったこ
とを目安にしたものである。以上の操作を各供試鋼の試
験片毎に実施した。
【0026】各試験片に対する試験終了後、溶接ナゲッ
ト(nugget)をその厚さよりやや小さい直径のド
リルでくりぬき、大小2枚の試験板片に分離した。次い
で各々のすきま面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察
して割れの有無を調べた。この場合、局部腐食を起点と
してとり、割れ長さが数10μm以上、深さも十分にあ
るものを「割れあり」とし、分離した大小二つの試験片
のすきま面をすべて調べて割れが一つも発見されなかっ
たものを「割れなし」とした。
【0027】表1は以上の試験による観察結果を各試験
片の組成に対応させて示したものである。表1中、○印
は上記基準による「割れなし」を意味し、×印は同じく
上記基準による「割れあり」の意味である。また、表1
中の「臨界温度」は、上記観察の結果を総合して得たS
CC臨界温度(Tc:この温度以下ではSCCは発生し
ない)である。表1のとおり、本発明鋼に係る試験N
o.7及びNo.9〜No.10の各試験片のSCC臨
界温度は何れも220℃以上であり、このような高温下
で作動される吸収式冷温水機の実機における腐食に十分
に耐え、その構成材料として有効に適用し得ることを示
している。
【0028】図1は、表1に示したデータを基にし、各
供試鋼について、耐腐食割れ特性に関してMoとPとの
量的関係をプロットしたものであり、図1中縦軸、横軸
は対数目盛である。図1のとおり、試験片が「割れな
し」の場合である○印の試験片は試験No.7、No.
9及びNo.10であるが、何れも式「1.4logx
+logy=−3.4」で示される線より左下側に位置
している。
【0029】
【表 1】
【0030】他方、試験No.1〜No.6及びNo.
8は試験片が「割れあり」の場合であるが、これらは何
れも式「1.4logx+logy=−3.4」の線よ
り右上方に位置し、SUS316の試験片については、
はるかに右上方に位置している。このように「18%C
rー10%Niー2%Cuー1%Al」オーステナイト
系ステンレス鋼において、高温における耐応力腐食割れ
性を得る上では、Moの添加量とPの添加量とが式
「1.4logx+logy<−3.4」を満たすこと
が重要な要件であることを示している。
【0031】
【発明の効果】本発明に係るMoとPとを所定割合で含
有させた「18%Crー10%Niー2%Cuー1%A
l」オーステナイト系ステンレス鋼は、吸収式冷温水機
の高温下吸収液環境における耐応力腐食割れ(耐SC
C)性の改善にきわめて有効である。本発明に係るオー
ステナイト系ステンレス開発鋼の臨界温度は200℃を
超え、220℃以上においても優れた耐食性を備え、実
機における使用に際して応力腐食割れの懸念はなく、そ
の構成材料として有効に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】18%Crー10%Niー2%Cuー1%Al
オーステナイト系ステンレス鋼のSCCに与えるMo及
びP含有量の影響を示す図(220℃)。
【図2】実施例で用いたスポット溶接試験片の形状、構
造の概略を示す図。
【符号の説明】
1 供試鋼板(大) 2 供試鋼板(小) 3 スポット溶接部 4 浸漬液面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小向 茂 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央3ー18ー 12ー5ー305 (72)発明者 新谷 嘉弘 神奈川県川崎市幸区南幸町2ー43ー601 (56)参考文献 特開 平8−85852(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】作動媒体としてハロゲン化アルカリを含む
    水溶液組成物を使用し、210℃以上の温度で作動され
    る吸収式冷温水機用のオーステナイト系ステンレス鋼で
    あって、該オーステナイト系ステンレス鋼が、重量比
    で、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、P:
    0.02%以下、Ni:8.0〜12.0%、Cr:1
    7〜20%、Mo:3.0%以下、Cu:1.0〜3.
    0%、Al:0.5〜2.0%、残部Fe及び不可避不
    純物からなり、且つ、MoとPとの量的関係が下記式
    (1)で示される組成で構成されたオーステナイト系ス
    テンレス鋼であることを特徴とする吸収式冷温水機用オ
    ーステナイト系ステンレス鋼。但し、式(1)中、xは
    Moの重量%、yはPの重量%である。 【数1】 1.4 log x + log y < −3.4 (1)
  2. 【請求項2】上記ハロゲン化アルカリを含む水溶液組成
    物が、水ー臭化リチウム系、水ーヨウ化リチウム系、水
    ー臭化リチウムーヨウ化リチウム系、水ー臭化リチウム
    ーヨウ化リチウムー塩化リチウム系の水溶液組成物又は
    これら各系の水溶液組成物に硝酸リチウムを含む水溶液
    組成物である請求項1に記載の吸収式冷温水機用オース
    テナイト系ステンレス鋼。
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