JPH1171334A - N−長鎖アシル酸性アミノ酸の製造方法 - Google Patents
N−長鎖アシル酸性アミノ酸の製造方法Info
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- JPH1171334A JPH1171334A JP23117197A JP23117197A JPH1171334A JP H1171334 A JPH1171334 A JP H1171334A JP 23117197 A JP23117197 A JP 23117197A JP 23117197 A JP23117197 A JP 23117197A JP H1171334 A JPH1171334 A JP H1171334A
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Abstract
アシル酸性アミノ酸が含有されている溶液または分散液
から、親水性有機溶媒を最終製品の香りに影響を及ぼさ
ない程度まで除去するN−長鎖アシル酸性アミノ酸の簡
便な製造方法を提供する。 【解決手段】 水と親水性有機溶媒の混合溶媒中にN−
長鎖アシル酸性アミノ酸が含有されている溶液または分
散液から親水性有機溶媒を蒸留除去するに際し、親水性
有機溶媒が溶液中5wt%以下の組成においてN−長鎖
アシル酸性アミノ酸と水の比を重量比で35/65〜6
5/35の範囲に維持し、かつ溶液温度を75℃〜10
0℃の範囲に維持しながら親水性有機溶媒を蒸留除去す
ることを特徴とするN−長鎖アシル酸性アミノ酸の製造
方法。
Description
媒の混合溶媒中にN−長鎖アシル酸性アミノ酸が含まれ
ている混合液中から親水性有機溶媒を除去するN−長鎖
アシル酸性アミノ酸の製造方法に関するものである。N
−長鎖アシル酸性アミノ酸は界面活性剤、抗菌剤等の原
料として使用されており、特に洗剤、シャンプー、化粧
品など香粧品分野でよく利用されている。
ミン塩またはアルカリ金属塩は、その界面活性作用から
界面活性剤や抗菌剤として広く利用されている。特に洗
剤やシャンプー、化粧品など香粧品分野での利用が多
く、直接人体に接触するケースも多い。そのため臭気や
外観等で使用者に不快感をもたらすようなものであって
はならない。
法として、特公昭46−8685では反応溶媒として親
水性有機溶媒と水の混合溶媒を使用し、アルカリの存在
下酸性アミノ酸と脂肪酸ハライドを縮合反応させ、反応
終了後反応液を鉱酸でpH1に調整してN−長鎖アシル
酸性アミノ酸の粗結晶を析出させ、ろ過、洗浄してN−
長鎖アシル酸性アミノ酸を得る方法が開示されている。
しかしこの方法で得られたN−長鎖アシル酸性アミノ酸
は無機塩の除去性が不十分であるとともに、上記のよう
なN−長鎖アシル酸性アミノ酸の分離法は設備、操作と
もに工業的ではない。
存在下に酸性アミノ酸と脂肪酸ハライドを反応させて得
られる合成反応液を、40℃から該親水性有機溶媒の沸
点温度においてpH1〜6に調整することにより水層と
有機層に分層し、次いで有機層より生成物を分離取得す
る方法が開示されている。そしてN−長鎖アシル酸性ア
ミノ酸を含む有機層からN−長鎖アシル酸性アミノ酸を
単離するのに特に困難はないと述べており、実施例では
有機層を真空加熱で大部分のアセトンを除去した後、残
渣に水を加え65℃で撹拌しながら空気を液面に吹きつ
けることにより残余のアセトンを除去するとの記載があ
る。しかし、この方法では無機塩含有量は1〜2%にな
っているにすぎず、また溶媒に由来する臭気物質の除去
に関しての記載はない。
57−47902と同一の出願人による特開平3−28
4685では、N−長鎖アシル酸性アミノ酸中に残存し
製品の臭いの原因となる物質としてアセトンやアセトン
のアルドール縮合物であるジアセトンアルコールやメシ
チルオキシドを挙げ、特公昭57−47902の方法で
すらこれらの臭気物質を完全に除くことができず、N−
長鎖アシル酸性アミノ酸中に残存し、製品の臭いの原因
となると述べている。その上でこれらの臭気物質および
塩類をルーズな逆浸透膜によりN−長鎖アシル酸性アミ
ノ酸塩水溶液から除去する方法を開示している。しかし
高価な膜分離装置を使用する点で不利であること、濃度
管理、膜管理等運転管理に煩雑さが伴うことから簡易な
方法であるとは言えない。
7902の方法により得られる有機層から有機溶媒を完
全に除去するには、N−長鎖アシル酸性アミノ酸を中和
して得られたN−長鎖アシル酸性アミノ酸塩の水溶液を
加熱し、水と有機溶媒を共沸除去する工程を何度も行う
か、その水溶液を加熱乾燥させ完全に揮発成分を除去す
るかして溶媒を除去しなければならず、多量の熱量を消
費すると述べ、またこのような溶媒除去工程を経ても臭
気の強い有機溶媒を用いたときには残存量が微量でも最
終製品の香りに影響するため脱臭管理が困難と述べてい
る。その上で膜分離プロセスを提案しているが、これも
特開平3−284685の場合に述べたのと同様に不利
な点を有している。さらにこの方法では製造しうるN−
長鎖アシル酸性アミノ酸の塩が非常に限定されている点
でいっそう不利である。酸性アミノ酸と脂肪酸ハライド
をアルカリの存在下縮合させて得られるN−長鎖アシル
酸性アミノ酸塩の反応液を強酸性側にすることなく膜分
離プロセスにかけるため、得られるN−長鎖アシル酸性
アミノ酸の塩は反応に使用したアルカリの塩しか得られ
ない。明細書中アルカリとしてアルカリ金属またはアル
カリ金属の水酸化物もしくは炭酸ナトリウムが示されて
いる。従ってN−長鎖アシル酸性アミノ酸のアルカリ金
属またはアルカリ土類金属塩しか製造することができな
い。また実施例で得られているN−長鎖アシル酸性アミ
ノ酸の塩は全てジアルカリ塩でありモノ塩の製造が可能
かどうかも不明である。
とイソプロパノールからなる親水性有機溶媒と水との混
合溶媒を用いることにより、アセトン単独では多量に副
生するジアセトンアルコールやメシチルオキサイドのよ
うな臭気成分の生成を抑制する反応方法、また反応液を
酸性化後晶析分離し得られた結晶を親水性有機溶媒に溶
解し硫酸ナトリウム水溶液を添加した後、有機層と水層
に分層する方法を開示している。しかし親水性有機溶媒
としてアセトンとイソプロパノールの混合溶媒を用いた
としても、除去が不要な程度にジアセトンアルコールや
メシチルオキサイドが生成しないわけではなく、これら
臭気成分の除去は必須である。また有機層から有機溶媒
を除去する方法については実施例中にも真空加熱により
除去するとの記載以外に何ら具体的な方法の記載がな
く、得られたN−長鎖アシル酸性アミノ酸中のアセトン
縮合物はtraceと記述されているだけで、最終製品
の香りに影響を及ぼさない程度に除去されているか不明
である。
コールやメシチルオキサイドのようなアセトン縮合物の
含有量はN−長鎖アシル酸性アミノ酸中に総含有量とし
て50ppm以下にしなければならないことが分かって
いるが、特公昭57−47902、特開平3−2793
54の方法でこの含有量が達成されているかどうか不明
である。
媒の混合溶媒中にN−長鎖アシル酸性アミノ酸が含まれ
る混合液から親水性有機溶媒を最終製品の香りに影響を
及ぼさない程度まで除去する簡便なN−長鎖アシル酸性
アミノ酸の製造方法は今までになかった。
有機溶媒の混合溶媒中にN−長鎖アシル酸性アミノ酸が
含まれる混合液から親水性有機溶媒を最終製品の香りに
影響を及ぼさない程度まで除去する簡便なN−長鎖アシ
ル酸性アミノ酸の製造方法を提供するものである。
と親水性有機溶媒の混合溶媒中にN−長鎖アシル酸性ア
ミノ酸が含有されている混合液から親水性有機溶媒を蒸
留除去するに際し、親水性有機溶媒が溶液中5wt%以
下の組成においてN−長鎖アシル酸性アミノ酸と水の比
を重量比で35/65〜65/35の範囲に維持し、か
つ溶液温度を75℃〜100℃の範囲に維持しながら親
水性有機溶媒を蒸留除去することを特徴とするものであ
る。
機溶媒を蒸留除去する際、熱供給の点から減圧下で実施
するのが一般的である。しかしながら水と親水性有機溶
媒の混合溶媒中にN−長鎖アシル酸性アミノ酸が含まれ
る溶液から親水性有機溶媒を蒸留除去するにあたって、
減圧下で実施すると以下のような状況が観察された。
に、アセトンと水にN−長鎖アシル酸性アミノ酸の一つ
であるN−ココイル−DL−グルタミン酸を溶解した溶
液を減圧下撹拌槽にてアセトンの蒸留除去を試みたとこ
ろ、蒸留が進行しアセトンがある組成以下になると溶液
は透明な状態から半透明状態になり粘度が若干上昇し
た。さらに蒸留を続けると大きく液の粘度が上昇し、ほ
とんど流動性のないペースト状となってしまった。この
状態からのアセトンの蒸留除去は効率が極めて悪く、臭
気物質であるアセトン、およびジアセトンアルコールや
メシチルオキサイドのようなアセトンの縮合物はほとん
ど除去されないことが判った。
香りに影響を及ぼさないためには、N−長鎖アシル酸性
アミノ酸中のアセトン縮合物の総含有量は50ppm以
下にしなければならないが、この方法ではこの含有量ま
で低減することが非常に困難である。ちなみに最終液温
度は特公昭57−47902の実施例では65℃と記載
されているが、本発明者等の検討時の液温度は最高で7
0℃であった。
ブタノールでも同様の状況が観察された。ターシャリー
ブタノールの場合、アセトンのようなアルドール縮合物
やその他の変成物を伴わないために、臭気物質としては
ターシャリーブタノール自身のみを考慮すればよい。タ
ーシャリーブタノール自身の臭気閾値は、アセトンの縮
合物であるジアセトンアルコールやメシチルオキサイド
に比べはるかに高く、最終製品の形態等にもよるが、最
終製品の香りに影響を及ぼさないためには、N−長鎖ア
シル酸性アミノ酸中のターシャリーブタノール含有量は
0.1%以下で良い。従って蒸留除去の負荷はアセトン
に比べターシャリーブタノールの場合はるかに小さいと
言える。
コイル−DL−グルタミン酸の混合液から減圧下ターシ
ャリーブタノールを蒸留除去していくと、ある時点で一
旦液は透明な均一溶液状態となるが、さらに蒸留を続け
るとアセトンのときと同じく半透明状態を経てペースト
状に至る。しかしそれでもなお、このペースト状となっ
た液からターシャリーブタノールを蒸留除去して上記含
有量を達成するのは困難であった。
を行った。
シル基とカルボキシル基を持っているため水素結合によ
る架橋をつくりやすく、ペースト状とは、水分子と少量
の親水性有機溶媒の分子がこの架橋構造の中に入り込ん
でいる状態であり、故に液の流動性が制限された状態で
ある。
の撹拌が効果的に行えないため、液の均一性が失われ、
例えば局部的な加熱および攪拌状態になり、溶媒の蒸留
除去が効果的に実施されない。
動性をもたらすことで溶媒の蒸留除去を効果的に実施す
ることができる。
た結果、前記のようにN−長鎖アシル酸性アミノ酸と有
機溶媒と水からなる混合物から有機溶媒を蒸留除去して
いくとき、混合物の流動性の低下現象が生起する親水性
有機溶媒が溶液中5〜0.001wt%の組成において
N−長鎖アシル酸性アミノ酸と水の組成比を重量比で3
5/65〜65/35の範囲に維持し、かつ溶液温度を
75℃〜100℃の範囲に維持することで溶液の流動性
を飛躍的に改善し、溶媒の蒸留除去を効果的に実施する
ことができることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
酸の製造方法は、水と親水性有機溶媒の混合溶媒中にN
−長鎖アシル酸性アミノ酸が含有されている混合液から
親水性有機溶媒を蒸留除去するに際し、親水性有機溶媒
が溶液中5wt%以下の組成において、N−長鎖アシル
酸性アミノ酸と水の比を重量比で35/65〜65/3
5の範囲に維持し、かつ溶液温度を75℃〜100℃の
範囲に維持しながら親水性有機溶媒を蒸留除去すること
を特徴とするものである。
酸性アミノ酸のアミノ基に、炭素数8〜20の飽和また
は不飽和の脂肪酸から誘導されるアシル基を導入したも
のである。ここでいう酸性アミノ酸とは、分子中に存在
するカルボキシル基とアミノ基の数がそれぞれ2個と1
個のモノアミノジカルボン酸のことであり、アミノ基は
N−メチル基またはN−エチル基でもかまわない。また
光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは
問わない。例えばグルタミン酸、アスパラギン酸、ラン
チオニン、β−メチルランチオニン、シスタチオニン、
ジエンコール酸、フェリニン、アミノマロン酸、β−オ
キシアスパラギン酸、α−アミノ−α−メチルコハク
酸、β−オキシグルタミン酸、γ−オキシグルタミン
酸、γ−メチルグルタミン酸、γ−メチレングルタミン
酸、γ−メチル−γ−オキシグルタミン酸、α−アミノ
アジピン酸、α,α’−ジアミノアジピン酸、β,β’
−ジアミノアジピン酸、α−アミノ−γ−オキシアジピ
ン酸、α−アミノピメリン酸、α−アミノ−γ−オキシ
ピメリン酸、β−アミノピメリン酸、α−アミノスベリ
ン酸、α−アミノセバシン酸、パントテン酸である。
和脂肪酸とは下記のようなものであり、直鎖、分岐、環
状を問わない。例えばカプリル酸、ペラルゴン酸、カプ
リン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミ
リスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリ
ン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸のよう
な直鎖脂肪酸、2−ブチル−5−メチルペンタン酸、2
−イソブチル−5−メチルペンタン酸、ジメチルオクタ
ン酸、ジメチルノナン酸、2−ブチル−5−メチルヘキ
サン酸、メチルウンデカン酸、ジメチルデカン酸、2−
エチル−3−メチルノナン酸、2,2−ジメチル−4−
エチルオクタン酸、メチルドコサン酸、2−プロピル−
3−メチルノナン酸、メチルトリデカン酸、ジメチルド
デカン酸、2−ブチル−3−メチルノナン酸、メチルテ
トラデカン酸、エチルトリデカン酸、プロピルドデカン
酸、ブチルウンデカン酸、ペンチルデカン酸、ヘキシル
ノナン酸、2−(3−メチルブチル)−3−メチルノナ
ン酸、2−(2−メチルブチル)−3−メチルノナン
酸、ブチルエチルノナン酸、メチルペンタデカン酸、エ
チルテトラデカン酸、プロピルトリデカン酸、ブチルド
デカン酸、ペンチルウンデカン酸、ヘキシルデカン酸、
ヘプチルノナン酸、ジメチルテトラデカン酸、ブチルペ
ンチルヘプタン酸、トリメチルトリデカン酸、メチルヘ
キサデカン酸、エチルペンタデカン酸、プロピルテトラ
デカン酸、ブチルトリデカン酸、ペンチルドデカン酸、
ヘキシルウンデカン酸、ヘプチルデカン酸、メチルヘプ
チルノナン酸、ジペンチルヘプタン酸、メチルヘプタデ
カン酸、エチルヘキサデカン酸、エチルヘキサデカン
酸、プロピルペンタデカン酸、ブチルテトラデカン酸、
ペンチルトリデカン酸、ヘキシルドデカン酸、ヘプチル
ウンデカン酸、オクチルデカン酸、ジメチルヘキサデカ
ン酸、メチルオクチルノナン酸、メチルオクタデカン
酸、エチルヘプタデカン酸、ジメチルヘプタデカン酸、
メチルオクチルデカン酸、メチルノナデカン酸、メチル
ノナデカン酸、ジメチルオクタデカン酸、ブチルヘプチ
ルノナン酸のような分岐脂肪酸、オクテン酸、ノネン
酸、デセン酸、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、リン
デル酸、トウハク酸、ラウロレイン酸、トリデセン酸、
ツズ酸、ミリストレイン酸、ペンタデセン酸、ヘキセデ
セン酸、パルミトレイン酸、ヘプタデセン酸、オクタデ
セン酸、オレイン酸、ノナデセン酸、ゴンドイン酸のよ
うな直鎖モノエン酸、メチルヘプテン酸、メチルノネン
酸、メチルウンデセン酸、ジメチルデセン酸、メチルド
デセン酸、メチルトリデセン酸、ジメチルドデセン酸、
ジメチルトリデセン酸、メチルオクタデセン酸、ジメチ
ルヘプタデセン酸、エチルオクタデセン酸のような分岐
モノエン酸、リノール酸、リノエライジン酸、エレオス
テアリン酸、リノレン酸、リノレンエライジン酸、プソ
イドエレオステアリン酸、パリナリン酸、アラキドン酸
のようなジまたはトリエン酸、オクチン酸、ノニン酸、
デシン酸、ウンデシン酸、ドデシン酸、トリデシン酸、
テトラデシン酸、ペンタデシン酸、ヘプタデシン酸、オ
クタデシン酸、ノナデシン酸、ジメチルオクタデシン酸
のようなアセチレン酸、メチレンオクタデセン酸、メチ
レンオクタデカン酸、アレプロール酸、アレプレスチン
酸、アレプリル酸、アレプリン酸、ヒドノカルプン酸、
ショールムーグリン酸、ゴルリン酸、α−シクロペンチ
ル酸、α−シクロヘキシル酸、α−シクロペンチルエチ
ル酸のような環状酸があげられる。また天然油脂由来の
脂肪酸でも良く、上記の炭素原子数8〜20の飽和また
は不飽和脂肪酸を80%以上含む混合脂肪酸であれば良
い。例えば、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、アマニ油
脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪
酸、ヒマシ油脂肪酸、オリブ油脂肪酸、ツバキ油脂肪酸
等である。
中5wt%以下の組成において、N−長鎖アシル酸性ア
ミノ酸と水の重量比を35/65〜65/35の範囲に
維持し、かつ溶液温度を75〜100℃に維持すること
が重要である。溶液温度が75℃未満であると、溶液は
N−長鎖アシル酸性アミノ酸濃度が希薄な領域を除いて
流動性をもたない。溶液温度が100℃を越える場合に
は、加圧にするなどの特別な装置が必要となる。
て、N−長鎖アシル酸性アミノ酸と水の重量比が65/
35より水が少なくなると溶液はペースト状になりやす
く、一方、N−長鎖アシル酸性アミノ酸と水の重量比が
35/65より水が多くなると寒天状になりやすく、ど
ちらの場合も液流動性に欠けることになる。理由は定か
でないが、混合脂肪酸から導入されたアシル基、すなわ
ちアシル基の炭素数に分布をもつN−長鎖アシル酸性ア
ミノ酸ではこの傾向が強い。
機溶媒とともに水も失われるので場合によってはN−長
鎖アシル酸性アミノ酸と水の重量比35/65〜65/
35の範囲をこの組成範囲を保つ手段が必要になる。N
−長鎖アシル酸性アミノ酸と水の重量比を本発明の範囲
に保つ手段は、例えば水または温水を間欠的もしくは連
続的に溶液に補充してもいいし、水蒸気を吹き込んでも
良い。
の水蒸気を吹き込む手段は潜熱を利用するので熱供給と
いう点から効果的である。本発明の方法の溶液温度およ
び溶液の組成範囲であれば液流動性は確保されてはいる
が溶液粘度は高く、外部ジャケットの付いた撹拌槽で実
施する場合、総括伝熱係数が小さくなりジャケット加熱
だけでは熱供給が充分でなくなる。伝熱面積を大きく取
るために蛇管コイルのような内部熱交換器や外部熱交換
器も考えられるが、これらと水蒸気吹き込みによる加熱
を組み合わせると効果的である。
で実施するのが好ましい。ただし親水性溶媒を混合液か
ら蒸留除去している間、圧力を一定に保つことが好まし
い。特に、圧力を下げる操作をした場合、混合液中に分
散している気泡が瞬時に成長し突沸を起こしやすい。通
常の低粘性溶液の蒸留操作においては圧力を下げた場
合、一瞬発泡するがすぐにおさまりさほどの注意は必要
ないが、本混合液の場合液粘性が高いため気泡の安定性
が高く突沸を起こしやすい。そのため蒸留操作中は可能
な限り圧力を一定に保たなければならない。また、N−
長鎖アシル酸性アミノ酸/親水性有機溶媒/水の系にお
いて、圧力−沸点曲線は親水性有機溶媒/水の系の圧力
−沸点曲線に一致する。N−長鎖アシル酸性アミノ酸は
圧力−沸点曲線に全く関与しないので、混合液温度を決
めると親水性有機溶媒/水系の圧力−沸点曲線から操作
圧力を決めることができる。
付いた撹拌槽でも良いし、内部循環型の装置、または外
部循環型の装置でもかまわない。マクロな均一性を溶液
に付与するために撹拌作用は強い方が良い。例えば撹拌
槽の場合、撹拌翼としてアンカー翼、傾斜多段翼、ヘリ
カルリボン翼、ドラフトチューブ付きスクリュー翼を採
用しても良い。
法を詳細に説明する。
220.28g(1.18mol)、純水317.60
g、25%水酸化ナトリウム水溶液188.48g(水
酸化ナトリウム1.18mol)の溶液に、ターシャリ
ーブタノール/水混合溶媒(ターシャリーブタノール8
8容量%)400.96mlを加え、この溶液を氷冷し
ながら25%水酸化ナトリウムでpHを11.5に調整
しながら塩化ココイル261.05g(1.15mo
l)を攪拌下、2時間を要して滴下した。さらに30分
攪拌を続けた後、75%硫酸を滴下して液のpH値を2
に、また液の温度を50℃に調整した。滴下終了後、攪
拌を停止し、15分間50℃で静置すると有機層と水層
とに分層し、これから有機層を分離した。分離した有機
層より圧力525Torrの減圧下においてスチームを
150g/Hrで吹き込みながら減圧蒸留を行った。蒸
留開始2Hr後に液をサンプリングしたところ、N−コ
コイルグルタミン酸と水との重量比は65/35、液中
のターシャリーブタノール濃度は4.2wt%、この時
の液温度は83℃であった。さらに蒸留開始4Hr後に
は、N−ココイルグルタミン酸と水との重量比は62/
38、液中のターシャリーブタノール濃度は0.009
wt%、この時の液温度は90℃となり蒸留を終了し
た。この間の液の流動性は良好であった。
られた有機層に水を添加してその組成をN−ココイルグ
ルタミン酸/水/ターシャリーブタノール=40/25
/35(重量比)に調整してから蒸留を開始した以外は
実施例1と同じ条件で行った。蒸留開始2Hr後に液を
サンプリングしたところ、N−ココイルグルタミン酸と
水との重量比は55/45、液中のターシャリーブタノ
ール濃度は2.6wt%、この時の液温度は84℃であ
った。さらに蒸留開始4Hr後には、N−ココイルグル
タミン酸と水との重量比は50/50、液中のターシャ
リーブタノール濃度は0.015wt%、この時の液温
度は90℃となり蒸留を終了した。
られた有機層に水を添加してその組成をN−ココイルグ
ルタミン酸/水/ターシャリーブタノール=30/45
/25(重量比)に調整してから蒸留を開始した以外は
実施例1と同じ条件で行った。蒸留開始2Hr後に液を
サンプリングしたところ、N−ココイルグルタミン酸と
水との重量比は40/60、液中のターシャリーブタノ
ール濃度は2.0wt%、この時の液温度は84℃であ
った。さらに蒸留開始4Hr後には、N−ココイルグル
タミン酸と水との重量比は36/64、液中のターシャ
リーブタノール濃度は0.014wt%、この時の液温
度は90℃となり蒸留を終了した。
られた有機層に水を添加してその組成をN−ココイルグ
ルタミン酸/水/ターシャリーブタノール=40/25
/35(重量比)に調整し、蒸留時の圧力を355To
rrとした以外は実施例1と同じ条件で行った。蒸留開
始2Hr後に液をサンプリングしたところ、N−ココイ
ルグルタミン酸と水との重量比は48/52、液中のタ
ーシャリーブタノール濃度は2.5wt%、この時の液
温度は75℃であった。さらに蒸留開始4Hr後には、
N−ココイルグルタミン酸と水との重量比は46/5
4、液中のターシャリーブタノール濃度は0.01wt
%、この時の液温度は80℃となり蒸留を終了した。
られた有機層に水を添加してその組成をN−ココイルグ
ルタミン酸/水/ターシャリーブタノール=40/25
/35(重量比)に調整し、蒸留時の圧力を常圧(76
0Torr)とした以外は実施例1と同じ条件で行っ
た。蒸留開始2Hr後に液をサンプリングしたところ、
N−ココイルグルタミン酸と水との重量比は54/4
6、液中のターシャリーブタノール濃度は2.0wt
%、この時の液温度は98℃であった。さらに蒸留開始
4Hr後には、N−ココイルグルタミン酸と水との重量
比は49/51、液中のターシャリーブタノール濃度は
0.005wt%、この時の液温度は100℃となり蒸
留を終了した。
いた有機溶媒をアセトンとし、分層して得られた有機層
に水を添加してその組成をN−ココイルグルタミン酸/
水/アセトン=40/25/35(重量比)に調整した
以外は実施例1と同じ条件で行った。
ところ、N−ココイルグルタミン酸と水との重量比は4
8/52、液中のアセトン濃度は1.8wt%、この時
の液温度は80℃であった。さらに蒸留開始4Hr後に
は、N−ココイルグルタミン酸と水との重量比は45/
55、液中のアセトン濃度は0.0001wt%以下、
ジアセトンアルコール、メシチルオキサイドはそれぞれ
0.0005wt%、0.001wt%この時の液温度
は90℃となり蒸留を終了した。
吹き込みを行わずに蒸留を開始した以外は実施例1と同
じ条件で行った。蒸留開始2Hr後に液をサンプリング
したところ、N−ココイルグルタミン酸と水との重量比
は91/9、液中のターシャリーブタノール濃度は2.
1wt%、この時の液温度は83℃であった。さらに蒸
留を継続しようとしたが液の増粘により流動性が低下
し、全体が均一に攪拌される状態ではなくなったため蒸
留を停止した。この時点での液中のターシャリーブタノ
ール濃度は0.7wt%であった。
られた有機層に水を添加してその組成をN−ココイルグ
ルタミン酸/水/ターシャリーブタノール=20/60
/20(重量比)に調整してから蒸留を開始した以外は
実施例1と同じ条件で行った。蒸留開始2Hr後に液を
サンプリングしたところ、N−ココイルグルタミン酸と
水との重量比は25/75、液中のターシャリーブタノ
ール濃度は2.6wt%、この時の液温度は84℃であ
った。さらに蒸留を継続しようとしたが液が寒天状にな
り、全体が均一に攪拌される状態ではなくなったため蒸
留を停止した。この時点での液中のターシャリーブタノ
ール濃度は0.5wt%であった。
られた有機層に水を添加してその組成をN−ココイルグ
ルタミン酸/水/ターシャリーブタノール=40/25
/35(重量比)に調整し、圧力を188Torrとし
た以外は実施例1と同じ条件で行った。
ところ、N−ココイルグルタミン酸と水との重量比は5
2/48、液中のターシャリーブタノール濃度は2.5
wt%、この時の液温度は61℃であった。さらに蒸留
を継続しようとしたが液の粘度が高く、全体が均一に攪
拌される状態ではなくなったため蒸留を停止した。この
時点での液中のターシャリーブタノール濃度は0.5w
t%であった。
られた有機層に水を添加してその組成をN−ココイルグ
ルタミン酸/水/ターシャリーブタノール=40/25
/35(重量比)に調整した以外は実施例1と同じ条件
で行った。蒸留開始2Hr後に液をサンプリングしたと
ころ、N−ココイルグルタミン酸と水との重量比は52
/48、液中のターシャリーブタノール濃度は2.6w
t%、この時の液温度は84℃であった。この後、圧力
を525Torrから325Torrに変化させたとこ
ろ液が突沸したため蒸留を停止した。この時点での液中
のターシャリーブタノール濃度は1.2wt%であっ
た。
た有機溶媒をアセトンとし、スチームの吹き込みを行わ
ずに蒸留を開始した以外は実施例1と同じ条件で行っ
た。蒸留開始2Hr後に液をサンプリングしたところ、
N−ココイルグルタミン酸と水との重量比は90/1
0、液中のアセトン濃度は1.8wt%、この時の液温
度は83℃であった。さらに蒸留を継続しようとしたが
液の増粘により流動性が低下し、全体が均一に攪拌され
る状態ではなくなったため蒸留を停止した。この時点で
の液中のアセトン濃度は0.7wt%、ジアセトンアル
コール、メシチルオキサイドの濃度はそれぞれ0.04
wt%、0.05wt%であった。
がある。
剤およびそれに由来する臭気物質を影響のないレベルま
で低減除去したN−長鎖アシル酸性アミノ酸が製造でき
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 水と親水性有機溶媒の混合溶媒中にN−
長鎖アシル酸性アミノ酸が含有されている混合液から親
水性有機溶媒を蒸留除去するに際し、混合液中の親水性
有機溶媒が5wt%以下の組成において、N−長鎖アシ
ル酸性アミノ酸と水の比を重量比で35/65〜65/
35の範囲に維持し、かつ混合液温度を75℃〜100
℃の範囲に維持しながら親水性有機溶媒を蒸留除去する
ことを特徴とするN−長鎖アシル酸性アミノ酸の製造方
法。 - 【請求項2】 親水性有機溶媒がアセトンまたはターシ
ャリーブタノールである請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 N−長鎖アシル酸性アミノ酸が、N−長
鎖アシルグルタミン酸である請求項1または2のいずれ
かに記載の方法。 - 【請求項4】 親水性有機溶媒を蒸留除去するときの圧
力を一定に保つことを特徴とする請求項1〜3のいずれ
かに記載の方法。 - 【請求項5】 混合液中に水蒸気を吹き込みながら、親
水性有機溶媒を蒸留除去することを特徴とする請求項1
〜4のいずれかに記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23117197A JP4117744B2 (ja) | 1997-08-27 | 1997-08-27 | N−長鎖アシル酸性アミノ酸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23117197A JP4117744B2 (ja) | 1997-08-27 | 1997-08-27 | N−長鎖アシル酸性アミノ酸の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1171334A true JPH1171334A (ja) | 1999-03-16 |
JP4117744B2 JP4117744B2 (ja) | 2008-07-16 |
Family
ID=16919437
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23117197A Expired - Lifetime JP4117744B2 (ja) | 1997-08-27 | 1997-08-27 | N−長鎖アシル酸性アミノ酸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4117744B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000040546A1 (fr) * | 1998-12-28 | 2000-07-13 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | Processus de production d'acide amine acide n-(chaine acyle longue) |
JP2006188478A (ja) * | 2005-01-07 | 2006-07-20 | Lion Akzo Kk | カルボン酸アミドの製造方法、並びにカルボン酸アミド誘導体及びその製造方法 |
-
1997
- 1997-08-27 JP JP23117197A patent/JP4117744B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000040546A1 (fr) * | 1998-12-28 | 2000-07-13 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | Processus de production d'acide amine acide n-(chaine acyle longue) |
JP2006188478A (ja) * | 2005-01-07 | 2006-07-20 | Lion Akzo Kk | カルボン酸アミドの製造方法、並びにカルボン酸アミド誘導体及びその製造方法 |
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JP4117744B2 (ja) | 2008-07-16 |
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