JPH1166949A - ゲル状固体電解質形成用高分子マトリクス、固体電解質および電池 - Google Patents
ゲル状固体電解質形成用高分子マトリクス、固体電解質および電池Info
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Abstract
適した改善されたイオン伝導性と耐熱性の向上した固体
電解質を与えるフッ化ビニリデン系共重合体からなる高
分子マトリクスを得る。 【解決手段】 フッ化ビニリデン単量体を50〜97モ
ル%含み、かつ3フッ化塩化エチレン単量体を0.1モ
ル%以上含むフッ化ビニリデン系共重合体。
Description
リチウムイオン電池、を形成するに適したゲル状固体電
解質形成用の高分子マトリクス、高分子マトリクスを含
んで形成されたゲル状固体電解質ならびに該固体電解質
を含む非水系電池に関する。
の機器が小型軽量化されてきている。この電子機器の小
型軽量化と相まって、その電源となる電池の小型軽量化
の要望も非常に大きくなってきている。少ない容積及び
重量でより大きなエネルギーを得るためには電池一本当
たりの電圧が高いことが必要となり、この見地から最近
リチウムまたはリチウムイオンを吸蔵可能な炭素質材料
を負極活物質とし、正極活物質として例えばリチウムコ
バルト酸化物を使用した電池が注目されている。
チウムまたはリチウムイオンを吸蔵した炭素質材料やリ
チウムアルミニウム合金に接すると容易に分解されてし
まうため、電解液としてはリチウム塩を有機溶媒に溶解
した非水系の電解液が用いられている。この非水系電解
液の電解質としては、LiPF6 、LiAsF6 、Li
ClO4 、LiBF4 、LiCH3 SO3 、LiCF3
SO3 、LiN(CF3 SO2 )2 、LiC(CF3 S
O2 )3 、LiCl、LiBr等がある。また、電解質
の有機溶媒としてはプロピレンカーボネート、エチレン
カーボネート、γ−ブチロラクトン、などの高誘電率を
有し電解質をよく溶解する溶媒と、1,2−ジメトキシ
エタン、1,2−ジエトキシエタン、ジメチルカーボネ
ート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネー
ト、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、などの
低沸点溶媒との混合溶媒が主として用いられる。高誘電
率を有する溶媒の沸点は一般に約200℃以上と高く、
常温での蒸気圧も低いが、低粘度溶媒の方は一般に沸点
は約100℃付近のものが多く、常温での蒸気圧も高
い。
水系二次電池が高温にさらされて内部の電解液の蒸気圧
が非常に大きくなったり、また過充電されて電解液の分
解ガスが発生したりすると、電池内部の圧力が増大し爆
発するかも知れない危険な状態になることが予測され
る。そのため、現在市販されている非水系二次電池には
高くなりすぎた圧力を、電池そのものが爆発する前に解
放するために破裂板が装着されている。この破裂板が作
動すれば着火しやすい有機電解液の蒸気が電池外部に漏
れ出すことになる。このような漏液の他の原因として
は、缶体とキャップ部のパッキンの経時変化による劣化
や、電池が不用意な取り扱われ方をしておきるパッキン
部の変形などが予想される。よって非水系電解質を用い
た電池には、万一非水系電解液が電池外部に漏れるとそ
の電解液の高い蒸気圧ゆえ容易に着火し火災を招く潜在
的な危険性が存在する。
は、主として携帯電話やパーソナルコンピュータ、ビデ
オカムコーダなどの家庭で用いられる小型電子機器の電
源として用いられてきた。この間、通常の使用環境下で
は市場での火災の事故発生は皆無であり、二次電池の安
全性についても一般の理解が得られてきた。そこで、こ
れまでの安全性に関する実績をもとに、最近になって電
気自動車用や、夜間電力を有効利用するためのロードレ
ヴェリング用の大型電源としての開発が本格化してきて
いる。電池が大型化すると、万一火災が生じたときの危
険性は、小型電池の時とは比較にならない。そこでこの
ような大型の二次電池に対しては、従来以上にその安全
対策は重要になってくる。
性に関する問題が、有機溶媒、特に低温での蒸気圧の高
い低粘度溶媒の使用に起因すること、また万一電池のパ
ッキン部が不良になると有機電解液が容易に流れ出す構
造であることに着目し、その改善を考えた。即ち、既に
1970年代から開発されている高分子であるポリエチ
レンオキサイドと、高誘電率溶媒であるプロピレンカー
ボネートで構成された、ゲル状の物質中にLiClO4
やLiPF6 等のリチウムの電解質を分散させた高分子
固体電解質が、大型電池の安全上必須であると判断し
た。しかしながらこれまで各種の高分子固体電解質の開
発が伝えられ、実際それらを用いた一次電池も市販され
ているものの、二次電池として用いられて数百回を超え
るサイクル特性が得られたものはない。その原因の一つ
は固体電解質に用いられる高分子マトリクス物質がリチ
ウム金属やリチウムを吸蔵する負極との界面で還元され
てしまい、リチウムイオンの伝導性の悪い不動態膜が生
長してしまうためであると考えられる。また今一つの原
因は、従来の有機溶媒を用いた電解液に比し、高分子固
体電解質のリチウムイオンの伝導度が低いために電池の
内部抵抗が高くなり、電極活物質の本来の容量を利用し
ようとすると過充電や過放電が生じ、電極活物質を短時
間に劣化させるためであると考えられる。
非水系電解液を用いた小型のリチウムイオン二次電池の
電極活物質を結着するバインダーとして積極的に利用さ
れている。それはテトラフルオロエチレン重合体がリチ
ウムにより容易に還元されてしまうような負極電極上で
の還元性雰囲気でも、このフッ化ビニリデン重合体は全
く還元されず、殆どの有機電解液が酸化されてしまうよ
うな正極上での酸化性雰囲気でも全く酸化されず、広い
電位窓に亙って電気化学的に安定であるからである。
の水素が電子のドナーとなり、二個のフッ素が電子のア
クセプターとなるので、モノマー単位で高い分極を有し
ており、電解質などの極性を有する物質をよくその内部
に溶解させる媒体となるからである。
明らかにされているように、ガラス転移点の低い高分子
中では、有機色素分子のような巨大分子でも室温で高分
子中を高速に伝播することが知られている。フッ化ビニ
リデン重合体は、そのガラス転移点が−45℃と低く、
室温はガラス転移点から50℃以上も高いのでその非晶
部の分子運動は十分に活発で、その内部に包含した電解
質を高速に伝播させる能力があると考えられる。
物質内部へのリチウムイオンの伝播を阻害しないと言う
相矛盾する特性を備えなければならないバインダーとし
て、フッ化ビニリデン重合体が広く使用されているもの
と考えられる。
造としてフッ化ビニリデン重合体を用いることが当然予
測されるが、これについては既に1980年代初頭に、
日本においてフッ化ビニリデン重合体を用いた高分子固
体電解質が既に報告されている(Tsuchida,
E.et al.Electrochimica Ac
ta.28(5),591−595(1983))。
約50%結晶化した結晶性高分子であり、結晶部の高分
子の分子運動性は極端に悪いため、結晶部のイオン伝導
性は非常に低いと思われる。そこで1990年代になる
と、米国特許第5296318号公報に開示されている
如く、フッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンとの結晶
性を低下させた共重合体を用いた高分子固体電解質が報
告されている。この特許公報に開示されている8wt%
以上の6フッ化プロピレンを共重合したフッ化ビニリデ
ン系共重合体は、6フッ化プロピレン中の3フッ化メチ
ル基が立体障害となるため、その結晶化度が大変低い。
よってフッ化ビニリデンの単独重合体を用いたものに比
較し、高いイオン伝導性が得られているものと考えられ
る。
ニリデンと6フッ化プロピレンとの共重合体を用いた高
分子固体電解質にも大きな実用上の欠点があることが明
らかとなってきた。即ち、この共重合体は、本質的に結
晶化し難くゴム的な構造物となるため、有機溶媒と混合
されたゲルとして用いられたとき、80℃以上の高温に
曝されると容易に溶解してしまい、正極と負極との間の
絶縁性を維持できなくなることである。
つイオン伝導性が高いゲル状固体電解質を、主として高
分子マトリクスの改良により提供することにある。
を与える高分子マトリクス、ならびにゲル状固体電解質
を含む非水系電池を提供することにある。
ば、上述の目的の達成のためには、3フッ化塩化エチレ
ンをコモノマーとしたフッ化ビニリデン系共重合体を高
分子マトリクスとして用いることが極めて好ましいこと
が見出された。即ち、フッ化ビニリデン系共重合体から
なるゲル状固体電解質のイオン伝導性を高め、且つ耐熱
性を良好とするためには、フッ化ビニリデン系共重合体
を架橋することが好ましいが、上述した3フッ化塩化エ
チレン−フッ化ビニリデン系共重合体は、このような架
橋構造の導入に極めて適した特性を有し、且つ良好なイ
オン伝導性を有するゲル状固体電解質を与えることが見
出された(後述実施例および比較例参照)。
いて、フッ化ビニリデン単量体を50〜97モル%含
み、かつ3フッ化塩化エチレン単量体を0.1モル%以
上含むフッ化ビニリデン系共重合体からなるゲル状固体
電解質形成用高分子マトリクスを提供するものである。
フッ化ビニリデン系共重合体からなる高分子マトリクス
に非水系電解液を含浸して得られたことを特徴とするも
のである。
正極材料からなる正極と、同じくリチウムを吸蔵放出す
る負極材料からなる負極を備えた二次電池形成用の高分
子固体電解質であって、正極または負極を構成する粉末
電極材料を結着するバインダーとして上記のフッ化ビニ
リデン系共重合体を用いて電極構造体を形成し、その後
該電極構造体を非水系電解液中に浸漬することにより、
該フッ化ビニリデン系共重合体に非水系電解液を含浸す
ることにより形成した粉末電極材料と一体の電極構造物
として形成されたゲル状固体電解質を提供するものであ
る。
チレン重合単位の導入の結果として、化学的にあるいは
物理的に、架橋された状態で上記フッ化ビニリデン系共
重合体を有することが好ましい。
いずれかのゲル状固体電解質を有することを特徴とする
ものである。
に非水系電解液を含浸し、粉末電極材料を実質的に含ま
ない高分子固体電解質層は、一対の正極と負極の間に配
置された際に、電解液とセパレータの役割を兼ね備えた
ものとなる。
極の粉末電極材料を分散含有させたゲル状固体電解質層
は、それぞれ正極層または負極層を形成する。
極および負極層としてのゲル状固体電解質層間にセパレ
ータとしての機能を有するゲル状固体電解質層を挾持さ
せることにより本発明の非水系電池が形成される。正極
層および負極層を構成するゲル状固体電解質層とセパレ
ータの機能も有するゲル状固体電解質層は、いずれもゲ
ル同士であるため、互いに良好な接着性を示し、簡単に
剥離しない積層構造を与える。
マーを含む高分子固体電解質層を用いずに従来の非水系
電解液とセパレータを用いる電池においても、上記のゲ
ル状固体電解質を含む正極および負極構造体を使用でき
る。
ビニリデン系共重合体は、フッ化ビニリデン単量体を5
0モル%以上、97モル%以下含み、かつ3フッ化塩化
エチレン単量体を0.1モル%以上、50モル%以下含
むフッ化ビニリデン系共重合体である。
を保持するためには、フッ化ビニリデン−3フッ化塩化
エチレン共重合体中に含まれるフッ化ビニリデン重合単
位は多い程良く、少なくとも50モル%以上とする必要
がある。また、得られた固体電解質のイオン伝導度を高
くするためには、該共重合体中に含まれるフッ化ビニリ
デン単量体以外の単量体が多い程良く、フッ化ビニリデ
ン単量体は最大でも97モル%以下とする必要がある。
さらに3フッ化塩化エチレン単量体の含量は、必要な架
橋促進効果を与えるために上記共重合体中に少なくとも
0.1モル%以上含まれている必要がある。好ましくは
1〜30モル%である。
所定の組成条件が満たされる範囲で、上記フッ化ビニリ
デンと、3フッ化塩化エチレンのみから構成することも
できるが、必要に応じてモノフッ化エチレン、3フッ化
エチレン、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、パ
ーフルオロメチルビニルエーテル等のフッ化ビニリデン
との共重合性の良い含フッ素単量体を含めた共重合体と
することもできる。モノフッ化エチレン、3フッ化エチ
レン、4フッ化エチレンは、フッ化ビニリデンの水素や
フッ素を水素またはフッ素で置換したものであり、元々
水素とフッ素の大きさがそれほど違わないので結晶化の
阻害要因とは成りにくく、ゲル中に結晶部が一部残るた
め耐熱性を阻害しにくいと推定される。一方米国特許第
5296318号明細書に開示された6フッ化プロピレ
ンは、4フッ化エチレンの1個のフッ素をCF3 基に置
換したものであるが、この置換されたCF3 基が大きす
ぎて、フッ化ビニリデンとの共重合体を形成したときに
結晶化を阻害しやすいので、その共重合比はその他のモ
ノマーよりも控えめにしなければならない。どの程度の
共重合比にすればよいかの判定は、該共重合体を用いて
得たゲル膜の示差熱分析を行い融点の存在の有無を調査
すればよい。100℃以上に融点を有することが、電気
自動車用などの高温での使用が予測される場合は、内部
短絡を防止するため、好ましい。
3フッ化エチレンがモノマー単位で極性を持つのに対
し、3フッ化塩化エチレンや4フッ化エチレン、6フッ
化プロピレン、パーフルオロメチルビニルエーテルはモ
ノマーそのものに極性がない。従って極性を持たないモ
ノマーの該共重合体中に占める割合が大きくなるとLi
PF6 等の電解質をその内部に取り込みにくくなり、か
つプロピレンカーボネート等の電解液とも相溶しにくく
なり、ゲル状固体電解質形成用高分子マトリクスとして
は好ましくない。従って極性を持たないモノマーの該共
重合体中に占める割合は多くとも50モル%以下でなけ
ればならない。
ン、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレンを共重合し
ていくと、ガラス転移点が上昇する。これはこれらのモ
ノマーが分子鎖全体に剛直性を与えるからである。水素
とフッ素はその大きさがほとんど変わらないが、若干フ
ッ素の方が大きい。この若干の差が分子鎖全体の剛直性
に与える影響は意外に大きい。ポリエチレンとポリテト
ラフルオロエチレンの耐熱性の違いは、この水素とフッ
素の若干の大きさの違いにある。従って、該共重合体中
の分子鎖にポリテトラフルオロエチレン類似の部分が増
えるに従い、ガラス転移点が上昇する。一方、パーフル
オロメチルビニルエーテルを共重合すると側鎖としてエ
ーテル部が激しく分子運動をするため、分子鎖全体のガ
ラス転移点を下げる効果がある。よって各モノマーをど
の程度共重合するとよいかは、得られた共重合体を用い
たゲル膜のガラス転移点を実際に測定するのがよい。電
池として使用するには低温での充放電を保証するためガ
ラス転移点は−25℃以下であることが好ましい。
リデン系共重合体は比較的高分子量であることが望まし
く、より具体的には固有粘度(本願においては、樹脂4
gを1リットルのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解
させた溶液の30℃における対数粘度、を意味する)
が、0.5〜10.0、特に0.8〜7.0の範囲のも
のが好ましい。
もしくは他の高分子マトリクス形成用樹脂との混合物と
して使用することが可能であるが、少なくとも高分子マ
トリクスの50重量%以上を占めることが望ましい。他
の樹脂の例としては、フッ化ビニリデン単独重合体や、
フッ化ビニリデンと前記フッ化ビニリデン系共重合体中
の単量体とは異なる単量体との共重合体、ポリエチレン
オキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタク
リレートなどの従来から高分子固体電解質として用いら
れている重合体やそのオリゴマー等が挙げられる。
体電解質を形成する非水系電解液としては、例えばリチ
ウム塩などの電解質を、非水系溶媒(有機溶媒)100
重量部に対し、5〜30重量部の割合で溶解したものを
用いることができる。
AsF6 、LiClO4 、LiBF4 、LiCl、Li
Br、LiCH3 SO3 、LiCF3 SO3 、LiN
(CF3 OSO2 )2 、LiC(CF3 OSO2 )3 、
LiN(CF3 SO2 )2 、LiC(CF3 S
O2 )3 、等がある。また、電解質の有機溶媒としては
プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,
2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジ
メチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエ
チルカーボネート、γ−ブチロラクトン、プロピオン酸
メチル、プロピオン酸エチル、ジエチレングリコールジ
メチルエーテル、及びこれらの混合溶媒などが用いられ
るが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
断面図を示すように、一般的にはシート状に形成された
固体電解質1を、同様の固体電解質を含む一対の正極2
(2a:集電基体、2a:正極合剤層)及び同様の固体
電解質を含む負極3(3a:集電基体、3b:負極合剤
層)間に挾持された形態で配置することにより得られ
る。
物質と非水系電解液を保持する正極合剤層2aおよび負
極合剤層2bの構造体、さらにはその両極層間に挾持さ
れるゲル層1を構成するために使用される。正極合剤層
2bおよび負極合剤層3bは、例えば以下のようにして
形成される。まず、上記フッ化ビニリデン系共重合体
(あるいは他の樹脂との混合物)を有機溶媒、粉末電極
材料とともに混合してスラリーとし、集電基体2aまた
は3aに塗布する。次に、有機溶媒を乾燥・除去して得
られた電極体を電解液に浸漬し、電解液を含浸させるこ
とにより正極2または負極3が得られる。ここで用いる
有機溶媒とは、好ましくは極性のものであり、例えばN
−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスル
ホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、1,4−ジオキ
サン、テトラヒドロフラン、テトラメチルウレア、トリ
エチルホスフェート、トリメチルホスフェート、などが
挙げられる。これら有機溶媒は単独でまたは二種以上混
合して用いられ、これら有機溶媒100重量部当たり、
上記共重合体を0.1〜30重量部、特に1〜25重量
部、の割合で使用することが好ましい。電極構造体の電
解液への含浸時間は数時間あれば十分であり、それ以上
長くても効果は変わらない。
上記フッ化ビニリデン系共重合体(あるいは他の樹脂と
の混合物)と、非水系電解液とから、例えば以下のよう
にして形成される。まず、前記のように電解質を有機溶
媒に溶解して非水電解液を形成する。次にフッ化ビニリ
デン系樹脂を、揮発性の有機溶媒に溶解した溶液を調製
し、別記非水電解液と均一に混合する。更に前記揮発性
の有機溶媒を揮発させる工程を経てフィルム状の高分子
固体電解質を得る。このとき用いる揮発性の有機溶媒と
しては、比較的低い温度で高い蒸気圧を有し揮発しやす
く且つフッ化ビニリデン系共重合体をよく溶解するもの
が好ましい。テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロ
フラン、アセトン、メチルエチルケトン、1,3−ジオ
キソラン、シクロヘキサノン、等が用いられるが、必ず
しもこれらに限定されるものではない。
く用いられるプロピレンカーボネートなどはそれ自身が
フッ化ビニリデン系共重合体の溶媒として用いることが
可能であるので、揮発性の有機溶媒を用いることなく高
分子固体電解質を構成することが可能である。この場合
は、予めフッ化ビニリデン系共重合体を有機溶媒で溶解
した溶液の中に電解質を加えて更に溶解することも可能
であるし、フッ化ビニリデン系共重合体と電解質を同時
に有機溶媒で溶解することも可能である。フッ化ビニリ
デン系共重合体と電解質を溶解させた溶液を室温に冷や
してゲル化させフィルム状の高分子固体電解質からなる
膜構造物1を得る。
ルム化してから電解液を含浸して高分子固体電解質を得
ることも可能である。少量生産のためのフィルム化する
手段としては、先に示したテトラヒドロフランなどの有
機溶媒で本フッ化ビニリデン系共重合体を溶解し、その
溶液をガラス板などの上にキャストして溶媒を蒸発させ
る溶媒キャスト法が好適に利用される。また大量生産の
ためのフィルム化手段としては、インフレイション法や
Tダイ押し出し法、カレンダー法等の通常のフィルム化
手段が好適に利用される。このフィルム化するときに架
橋剤を同時に添加してフィルム化時に、放射線を照射し
たり加温したりして架橋反応を促進させることも好適に
行える。尚、架橋後に電解液を含浸する方が、架橋時に
電解液が無い分余計な副反応が抑えられ架橋効率は一般
に増大する。
った場合、固体電解質ゲル層1は、厚さ0.002〜
1.000mm、特に0.010〜0.200mm程度
であることが好ましく、フッ化ビニリデン系共重合体1
00重量部に対して、10〜1000重量部、特に10
0〜500重量部の割合で非水電解液を含浸させたもの
が好ましく用いられる。
ス綱、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン等の金属箔
あるいは金属網等からなり、厚さが0.005〜100
mm、小規模の場合には例えば0.005〜0.020
mmとなるような集電基体2a、3aの例えば一面に、
例えば厚さが0.010〜1.000mmの正極合剤層
2b、負極合剤層3bを形成し、更に電解液を含浸する
ことにより得られる。
上述したフッ化ビニリデン系共重合体と電解液を揮発性
の有機溶媒に溶解した溶液、例えば100重量部に対
し、粉末電極材料(正極または負極活物質及び必要に応
じて加えられる導電助剤、その他の助剤)1〜20重量
部を分散させて得られた電極合剤スラリーを塗布乾燥に
より得られる。
は、正極の場合は、一般式LiMY2 (Mは、Co、N
i、Fe、Mn、Cr、V等の遷移金属の少なくとも一
種:YはO、S等のカルコゲン元素)で表わされる複合
金属カルコゲン化合物、特にLiNix Co1-x O
2 (0≦x≦1)をはじめとする複合金属酸化物やLi
Mn2 O4 などのスピネル構造をとる複合金属酸化物が
好ましい。
るいはフェノール樹脂やピッチ等を焼成炭化したもの、
さらには椰子殻活性炭等の炭素質物質に加えて、金属酸
化物系のGeO、GeO2 、SnO、SnO2 、Pb
O、PbO2 、SiO、SiO2 等、或いはこれらの複
合金属酸化物等が用いられる。
bの高分子固体電解質を構成するフッ化ビニリデン系共
重合体を、積極的に架橋することは、該共重合体の非水
系電解液への溶解を抑制し、適度に膨潤した耐熱性の良
好なゲル状態を維持するのに効果がある。その結果、電
池としてより高温での使用が可能となり、電池の耐熱性
を向上するのに役立つものである。この架橋法としては
ポリアミン類や、ポリオール類や、不飽和結合を有する
重合性架橋剤とラジカル発生剤を添加して行なう化学的
手段と、電子線照射やガンマー線照射などの物理的手段
とが好適に用いられる。本発明のフッ化ビニリデン−3
フッ化塩化エチレン共重合体における、3フッ化モノ塩
化エチレンの塩素の部分は、アミンなどのアルカリ物質
により容易に脱塩素を起こすため、架橋の促進のために
好適なサイトを与える。また、該化学的架橋法において
カーボンブラック、黒鉛、シリカゲル、フロリジル、等
の粉体を添加することにより、架橋速度が極端に速めら
れることが見出されている。このように架橋して得られ
たゲルは100℃の高温においても電解液に溶解するこ
とはない。
燥フィルムまたは電解液を含むフィルム、該共重合体の
有機溶媒溶液、あるいは該共重合体と電極活物質を含む
合材、のいずれの状態においても行なうことができる。
際し、共重合体に電解液を含浸してゲル化する工程は、
活物質と導電助剤を含む電極層を形成するとき同時に行
ってもよいし、電極層を形成してから電解液を含浸して
もよい。
ては、ジブチルアミン、ピペリジン、ジエチルシクロヘ
キシルアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレ
ンジアミンカルバメート、N,N′−ジシンナミリデン
−1,6−ヘキサジアミン、4,4′−ビス(アミノシ
クロヘキシル)メタカルバメート、等が好適に用いられ
るが、これらに限定されるものではない。
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ヒドロ
キノン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、等
が好適に用いられるが、これらに限定されるものではな
い。
ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸エチレングリコー
ル、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタク
リル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸1,
3−ブチルグリコール、ジメタクリル酸プロピレングリ
コール、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、
1,6−ヘキサンンジオールジメタクリレート、ネオペ
ンチルグリコールジメタクリレート、メタクリル酸アリ
ル、アクリル酸アリル、2−ヒドロキシ1,3−ジメタ
クリロキシプロパン、ビスフェノール系ジメタクリレー
ト、ビスフェノール系ジアクリレート、環状脂肪族ジア
クリレート、ジアクリル化イソシアヌレート、トリメタ
クリル酸トリメチロールプロパン、トリアクリルホルマ
ール、トリアクリルイソシアヌネート、トリアリルシア
ヌネート、脂肪族トリアクリレート、テトラメタクリル
酸ペンタエリスリトール、テトラアクリル酸ペンタエリ
スリトール、脂肪族テトラアクリレート、等が好適に用
いられるが、これらに限定されるものではない。
化物が使用可能であり、ジ−t−ブチルパーオキシド等
のジアルキルパーオキシド類、ベンゾイルパーオキシド
などのジアシルパーオキシド類、2,5−ジメチル−ジ
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシケタ
ール類、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート
類、等が好適に用いられが、これらに限定されるもので
はない。
や、不飽和結合を有する重合性架橋剤とラジカル発生剤
に加えて加硫促進剤として、フッ化ビニリデンの脱フッ
酸反応を促進するが、それ自身は付加しにくい性質の化
合物が用いられる。加硫促進剤の例としてはR4 P+ X
- 、R4 N+ X- で示される有機フォスフォニウム塩、
第4級アンモニウム塩などが用いられる。
負極の活物質のバインダーとしても用いられるが、この
場合は電子伝導性をもたせるために導電助剤としてカー
ボンブラック、黒鉛微粉末あるいは繊維等の炭素質物質
やニッケル、アルミニウム等の金属微粉末あるいは、繊
維が添加される。この導電助剤を受酸剤(加硫反応時に
発生するフッ酸などの酸性物質の受容体)として用いる
ことも可能であり、黒鉛微粉末よりカーボンブラックの
方がゲル化の進行が速い原因は、カーボンブラックが受
酸剤として働いていると推定される。従来、受酸剤とし
て用いられてきた酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化カル
シウム、酸化珪素、酸化錫、等は電池内部でリチウムイ
オンをトラップすることが考えられ、電池性能に悪影響
を与える可能性があるので使用に適さない。カーボンブ
ラックの添加量はフッ化ビニリデン系共重合体の0.1
〜50重量%が適当である。
トリクスを架橋するその他の方法としては、電子線やガ
ンマー線を照射して架橋構造を導入する手段が好適に用
いられる。このときの放射線量としては10〜500k
Gy程度が好適である。また、この放射線架橋の効果を
増大するために、予め、ゲル状固体電解質を構成する高
分子マトリクスの中に、先に挙げた不飽和結合を有する
重合性架橋剤を添加することも好適に用いられる。
の積層シート状電池体は、必要に応じて、捲回し、折り
返し等により更に積層して、容積当たりの電極面積を増
大させ、更には比較的簡単な容器に収容して取り出し電
極を形成する等の処理により、例えば、角形、円筒型、
コイン型、ペーパー型等の全体構造を有する非水系電池
が形成される。
に具体的に説明する。
体の調製) 内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1
075g、メチルセルロース0.42g、酢酸エチル
6.3g、ジノルマルプロピルパーオキシジカーボネー
ト4.2g、フッ化ビニリデン378g及び3フッ化塩
化エチレン4.2gを仕込み、重合開始させて2時間後
から3フッ化塩化エチレン37.8gを2.1gずつ3
0分ごとに分割添加して、25℃で21時間懸濁重合を
行った。重合完了後、重合体スラリーを脱水、水洗後、
80℃で20時間乾燥して重合体粉末を得た。重合率は
88重量%で、得られた重合体の固有粘度は1.01で
あった。
リデン系共重合体10gをテトラヒドロフラン90gに
溶解させ、そこに架橋剤としてヘキサイメチレンジアミ
ン1.5g、加速剤としてジエチルアミン0.6gを添
加し、第一の溶液を調製した。次にLiPF6 4.5g
をプロピレンカーボネート30ml中に溶解させた第二
の溶液を調製した。この第一の溶液と第二の溶液を室温
で混合して1時間よく撹拌した後、ガラス板上にキャス
トし、テトラヒドロフランを揮発させるために50℃で
12時間静置した。得られた厚さ約80μmのゲル状の
固体電解質膜を秤量したところ使用したテトラヒドロフ
ランに見合った重量減少が確認された。
トラヒドロフラン90gに溶解させ、そこに架橋剤とし
てトリアリルイソシアヌレート1.0gを添加し、第一
の溶液を調製した。次にLiPF6 6gをプロピレンカ
ーボネート30ml中に溶解させた第二の溶液を調製し
た。この第一の溶液をガラス板上にキャストし、テトラ
ヒドロフランを揮発させるために室温で1時間静置し
た。得られた厚さ約30μmのキャスト膜を秤量したと
ころ使用したテトラヒドロフランに見合った重量減少が
確認された。このキャスト膜にガンマー線を150kG
y照射して架橋を行わせた。次にこの架橋されたキャス
ト膜を第二の溶液に浸漬して80℃で2時間保持し電解
液を含浸した厚さ約100μmのゲル状固体電解質膜を
得た。
の調製) 内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1
176g、メチルセルロース0.3g、フッ化ビニリデ
ン528g及び6フッ化プロピレン72gを仕込み、2
8℃で16.5時間懸濁重合を行った。重合完了後、重
合体スラリーを脱水、水洗後、80℃で20時間乾燥し
て重合体粉末を得た。重合率は、80重量%で、得られ
た重合体の固有粘度は1.11であった。
れたフッ化ビニリデン系共重合体15gをテトラヒドロ
フラン90gに溶解させ、第一の溶液を調製した。次に
LiPF6 4.5gをプロピレンカーボネート30ml
中に溶解させた第二の溶液を調製した。この第一の溶液
と第二の溶液を混合してよく撹拌した後、ガラス板上に
キャストし、テトラヒドロフランを揮発させるために室
温で1時間静置した。なお、以上の作業は電解質が水分
などにより分解することのないように露点が−70℃以
下の窒素気流下で行った。得られた厚さ約80μmのゲ
ル状の固体電解質膜を秤量したところ使用したテトラヒ
ドロフランに見合った重量減少が確認された。
橋) 比較例1で得たフッ化ビニリデン系共重合体15gを用
いて、実施例1と同様にして化学架橋を行い、厚さ約8
0μmのゲル状の固体電解質膜が得られた。
橋) 比較例1で得たフッ化ビニリデン系共重合体10gを用
いて、実施例2と同様にして物理架橋を行い、厚さ約1
00μmのゲル状の固体電解質膜が得られた。
質膜を小型密閉容器中に取り100℃のオーブンに入
れ、1時間加温した後に取り出し室温まで冷却し、その
形状の変化を目視・観察した。結果を表1にまとめた。
尚、Aは固体電解質膜の形状が全く変化しなかったこと
を表し、Bは膜周辺部が多少丸くなるものの溶融しなか
ったことを表し、Cは少なくとも膜の一部は溶融せず形
状が残っていることを表し、Dは膜全体が溶融し形状が
保持できなかったことを表す。
質膜の耐熱安定性は、従来のものより著しく向上し、1
00℃でも形状を維持しており、本発明から成るゲル状
固体電解質を用いた電池は正極と負極が短絡するような
危険が著しく少なくなる。
窒素気流下で前記の各ゲル状固体電解質膜をポンチで打
ち抜き、円盤状のフィルムを得た。これを二枚のSUS
電極ではさみ2016型(直径20mm×厚み1.6m
m)のコイン型電池の中に収納した後、大気中に取り出
した。このコイン型電池を用いていわゆるCole−C
ole−Plot法により固体電解質の抵抗値を求め
た。即ち、コイン型電池の両極に周波数0.5mHzか
ら500kHzで出力電圧5mVの交流電圧を印加した
ときの電流を測定して、その複素インピーダンスを求め
た。次に各周波数で得られた複素インピーダンスを複素
平面上にプロットし、実軸との交点を求め、交点の示す
値を固体電解質膜の抵抗値とした。この測定の原理はS
US電極がリチウムイオンと合金を作らず電荷移動反応
を行わないので、複素インピーダンスの複素平面上の軌
跡は実軸に垂直な半無限直線となるからである。得られ
た抵抗値を測定した固体電解質の厚みと面積で補正する
ことにより、比抵抗値が得られ、その逆数を持ってイオ
ン伝導度とした。この様にして室温25℃での各固体電
解質膜のイオン伝導度を求めたところ下表2の結果が得
られた。
質膜のイオン伝導度は従来のものと比較しても全く遜色
ないことが明らかとなった。
LiCoO2 (日本化学工業製“C−5”)50gと、
カーボンブラック(三菱化学製、導電助剤)5gをテト
ラヒドロフラン150gに溶解させ、第一の溶液を調製
した。次にLiPF6 4.5gをプロピレンカーボネー
ト30ml中に溶解させた第二の溶液を調製した。この
第一の溶液と第二の溶液を室温で混合して1時間よく撹
拌した後、ガラス板上にキャストし、テトラヒドロフラ
ンを揮発させるために50℃で12時間静置した。
橋) 実施例1で得たフッ化ビニリデン系共重合体10gと、
LiCoO2 を50gと、カーボンブラック5gとをテ
トラヒドロフラン150gに溶解させ、そこに架橋剤と
してヘキサメチレンジアミン1.5g、加速剤としてジ
エチルアミン0.6gを添加し、第一の溶液を調製し
た。次にLiPF6 4.5gをプロピレンカーボネート
30ml中に溶解させた第二の溶液を調製した。この第
一の溶液と第二の溶液を室温で混合して1時間よく撹拌
した後、ガラス板上にキャストし、テトラヒドロフラン
を揮発させるために50℃で12時間静置した。実施例
3に比較すると、加速剤が添加されたためか室温で撹拌
中から粘度の上昇が見られ、ゲル化が急速に進行してい
ることがうかがわれた。
橋) 実施例1で得たフッ化ビニリデン系共重合体10gと、
LiCoO2 50gと、カーボンブラック5gとをテト
ラヒドロフラン150gに溶解ないし分散させ、そこに
架橋剤としてトリアリルイソシアヌレート1.0gを添
加し、第一の液(スラリー)を調製した。次にLiPF
6 4.5gをプロピレンカーボネート30ml中に溶解
させた第二の液(溶液)を調製した。この第一の液をガ
ラス板上にキャストし、テトラヒドロフランを揮発させ
るために室温で1時間静置した。得られた正極合剤層を
秤量したところ使用したテトラヒドロフランに見合った
重量減少が確認された。このキャスト膜にガンマー線を
150kGy照射して架橋を行わせた。つぎにこの架橋
されたキャスト膜を第二の液に浸漬して80℃で2時間
保持し電解液を含浸した正極合剤層を得た。
橋1) 実施例1で得たフッ化ビニリデン系共重合体10gと、
ピッチを酸素架橋して焼成された難黒鉛化性炭素材(呉
羽化学製“カーボトロンP”)50gとをテトラヒドロ
フラン150gに溶解させ、そこに架橋剤としてヘキサ
メチレンジアミン1.5g、加速剤としてジエチルアミ
ン0.6gを添加し、第一の液を調製した。次にLiP
F6 4.5gをプロピレンカーボネート30ml中に溶
解させた第二の液を調製した。この第一の液と第二の液
を室温で混合して1時間よく撹拌した後、ガラス板上に
キャストし、テトラヒドロフランを揮発させるために5
0℃で12時間静置した。
橋2) 実施例1で得たフッ化ビニリデン系共重合体10gと、
難黒鉛化性炭素材(“カーボトロンP”)50gと、カ
ーボンブラック5gをテトラヒドロフラン150gに溶
解ないし分散させ、そこに架橋剤としてヘキサメチレン
ジアミン1.5g、加速剤としてジエチルアミン0.6
gを添加し、第一の液を調製した。次にLiPF6 4.
5gをプロピレンカーボネート30ml中に溶解させた
第二の液を調製した。この第一の液と第二の液を室温で
混合して1時間よく撹拌した後、ガラス板上にキャスト
し、テトラヒドロフランを揮発させるために50℃で1
2時間静置した。実施例6に比較すると、室温で撹拌中
から粘度の上昇が見られ、ゲル化が急速に進行している
ことがうかがわれた。これは、添加されたカーボンブラ
ックが単に導電助剤としての役割の他に、ゲル化におけ
るネットワークの形成に何らかの役割を果たしたため、
と推定される。
橋) 実施例1で得たフッ化ビニリデン系共重合体10gと、
難黒鉛化性炭素材(“カーボトロンP”)50gと、カ
ーボンブラック5gをテトラヒドロフラン150gに溶
解させ、そこに架橋剤としてトリアリルイソシアヌレー
ト1.0gを添加し、第一の液を調製した。次にLiP
F6 4.5gをプロピレンカーボネート30ml中に溶
解させた第二の液を調製した。この第一の溶液をガラス
板上にキャストし、テトラヒドロフランを揮発させるた
めに室温で1時間静置した。得られた負極合剤層を秤量
したところ、使用したテトラヒドロフランに見合った重
量減少が確認された。このキャスト膜にガンマー線を1
50kGy照射して架橋を行わせた。つぎにこの架橋さ
れたキャスト膜を第二の液に浸漬して80℃で2時間保
持し電解液を含浸した負極合剤層を得た。
LiCoO2 を50gと、カーボンブラック5gとをテ
トラヒドロフラン150gに溶解ないし分散させ、第一
の液を調製した。次にLiPF6 4.5gをプロピレン
カーボネート30ml中に溶解させた第二の液を調製し
た。この第一の液と第二の液を室温で混合して1時間よ
く撹拌した後、ガラス板上にキャストし、テトラヒドロ
フランを揮発させるために50℃で12時間静置した。
橋) 比較例1で得たフッ化ビニリデン系共重合体10gを用
いる他は、実施例4と同様にして化学架橋された正極合
剤層を調製した。
橋) 比較例1で得たフッ化ビニリデン系共重合体10gを用
いる他は、実施例5と同様にして物理架橋された正極合
剤層を調製した。
難黒鉛化性炭素材(“カーボトロンP”)50gと、カ
ーボンブラック5gとをテトラヒドロフラン150gに
溶解させて第一の液を調製した。次にLiPF6 4.5
gをプロピレンカーボネート30ml中に溶解させた第
二の液を調製した。この第一の液と第二の液を室温で混
合して1時間よく撹拌した後、ガラス板上にキャスト
し、テトラヒドロフランを揮発させるために50℃で1
2時間静置した。
橋) 比較例1で得たフッ化ビニリデン系共重合体10gを用
いる他は、実施例7と同様にして化学架橋された負極合
剤層を調製した。
橋) 比較例1で得たフッ化ビニリデン系共重合体10gを用
いる他は、実施例8と同様にして物理架橋された負極合
剤層を調製した。
極合剤層を、LiPF6 4.5gをプロピレンカーボネ
ート30ml中に溶解させた溶液中に浸漬したものを1
00℃のオーブンに入れ、1時間加温した後に取り出し
室温まで冷却し、その形状の変化を記録した。結果を表
1にまとめた。尚、Aは合剤層の形状が全く変化しなか
ったことを表し、Bは合剤層から多少活物質が脱落する
ものの溶融しなかったことを表し、Cは少なくとも合剤
層の一部は溶融せず形状が残っていることを表し、Bは
合剤層全体が溶融し形状が保持できなかったことを表
す。
定性は、従来のものより著しく向上し、100℃でも形
状を維持していることが明らかとなった。特に実施例3
のように架橋剤や加速剤を添加しなくても耐熱性が向上
したのは、正極合剤の活物質そのものがアルカリ性であ
るため3フッ化モノ塩化エチレンが脱塩素反応して架橋
が進行したものと考えられる。また実施例6に比し実施
例7が優れた耐熱性が得られたのは、添加した導電助剤
であるカーボンブラックがゲル化のためのネットワーク
の形成において何らかの役割、例えば受酸剤としての役
割を果たしたためと考えられる。
なように、本発明の3フッ化塩化エチレン−フッ化ビニ
リデン系共重合体を高分子マトリクスとして電解液を含
浸させることにより形成したゲル状固体電解質膜は、従
来のヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン系共
重合体を用いて得られたものに比べて、特別な架橋促進
処理をせずともゲル状固体電解質製膜のための処理工程
において架橋による耐熱性向上効果が見られ(実施例3
/比較例4)、また架橋処理を加えた際にも架橋の進行
が速やかでより耐熱性の良いゲル状固体電解質膜が得ら
れている(実施例1〜2および4〜8/比較例2〜3お
よび5〜9)、更に共重合体化によるイオン伝導性も良
好である(表2実施例1〜2/比較例1〜2)。
を示す厚さ方向断面図。
Claims (8)
- 【請求項1】 フッ化ビニリデン単量体を50〜97モ
ル%含み、かつ3フッ化塩化エチレン単量体を0.1モ
ル%以上含むフッ化ビニリデン系共重合体からなるゲル
状固体電解質形成用高分子マトリクス。 - 【請求項2】 請求項1の高分子マトリクスに非水系電
解液を含浸して得られたゲル状固体電解質。 - 【請求項3】 リチウムを吸蔵放出する正極材料からな
る正極と、同じくリチウムを吸蔵放出する負極材料から
なる負極を備えた二次電池形成用のゲル状固体電解質で
あって、正極または負極を構成する粉末電極材料を結着
するバインダーとしてフッ化ビニリデン単量体を50〜
97モル%含み、かつ3フッ化塩化エチレン単量体を
0.1モル%以上含むフッ化ビニリデン系共重合体を用
いて電極構造体を形成し、その後該電極構造体を非水系
電解液中に浸漬することにより、該フッ化ビニリデン系
共重合体に非水系電解液を含浸することにより形成し
た、粉末電極材料と一体の電極構造物として形成された
ゲル状固体電解質。 - 【請求項4】 粉末電極材料がカーボンブラックからな
る導電助剤を含む請求項3のゲル状固体電解質。 - 【請求項5】 該ゲル状固体電解質形成用高分子マトリ
クスを構成するフッ化ビニリデン系共重合体が架橋され
ている請求項2〜4のいずれかのゲル状固体電解質。 - 【請求項6】 フッ化ビニリデン系共重合体がポリアミ
ン類、ポリオール類および、不飽和結合を有する重合性
架橋剤から選ばれた架橋剤と、ラジカル発生剤との存在
下に架橋されてなる請求項5のゲル状固体電解質。 - 【請求項7】 フッ化ビニリデン系共重合体が電子線ま
たはガンマー線の照射により架橋されてなる請求項5の
ゲル状固体電解質。 - 【請求項8】 正極と負極との間に請求項2〜7のいず
れかのゲル状固体電解質を有する非水系電池。
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JP23547097A JP3854382B2 (ja) | 1997-08-18 | 1997-08-18 | ゲル状固体電解質形成用高分子マトリクス、固体電解質および電池 |
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