JPH1165040A - 親水性コロイド層、その形成方法、クリーニングフィルム及びハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

親水性コロイド層、その形成方法、クリーニングフィルム及びハロゲン化銀写真感光材料

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JPH1165040A
JPH1165040A JP22941597A JP22941597A JPH1165040A JP H1165040 A JPH1165040 A JP H1165040A JP 22941597 A JP22941597 A JP 22941597A JP 22941597 A JP22941597 A JP 22941597A JP H1165040 A JPH1165040 A JP H1165040A
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JP
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silver
hydrophilic colloid
colloid layer
silver halide
coating
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JP22941597A
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Naoko Fukuwatari
直子 福渡
Eiichi Ueda
栄一 上田
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 効果的に溶液中の銀イオンを吸着し、回収す
ることが可能な材料の提供、及び銀汚れの改良された迅
速処理可能なハロゲン化銀写真感光材料の提供。 【解決手段】 銀吸着性粒子を含有する親水性コロイド
塗布液を、フィルム支持体上に塗布し、セット工程を経
てから乾燥して、銀吸着性粒子を含有する親水性コロイ
ド層を形成することを特徴とする親水性コロイド層形成
方法、該親水性コロイド層を有するフィルム及びハロゲ
ン化銀写真感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィルムに関し、
詳しくは溶液中に溶解している銀イオン及び銀錯体を吸
着可能な親水性コロイド層を有するフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀写真感光材料(単に感光材
料又は感材ともいう)は一般に像様露光後、現像、定
着、水洗及び乾燥の4プロセスで写真処理される。現像
処理の多くは現像主薬を含有する現像液で処理される
が、現像がアルカリ中で行われるので現像主薬の酸化を
防ぎ保存性を向上させるために、通常現像液中に亜硫酸
塩が含有される。ところが、この亜硫酸塩は銀塩を溶解
する性質があるため、ハロゲン化銀写真感光材料中から
現像処理中に銀塩が溶解し、現像液中に溶けだした銀塩
は還元されて金属銀となって析出し、感光材料の表面や
処理槽内壁に付着し銀汚れが生ずることになる。特に搬
送型自動現像機を用いた高温迅速処理においては銀汚れ
が問題となる。
【0003】この問題を解決するためには銀塩を溶解さ
せずに保存性を向上させるような化合物の研究や、溶解
してくる銀塩をトラップして析出を防ぐ手段についての
研究がなされてきた。
【0004】例えば、銀スラッジや液汚れの防止剤とし
て2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール類(英
国特許第940,169号)、2−メルカプト−1,
3,4−オキサジアゾール類あるいは1−フェニル−5
−メルカプトテトラゾール(米国特許第3,173,7
89号)、D,L−6,8−ジチオオクタン酸(米国特
許第3,318,701号)、o−メルカプト安息香酸
(英国特許第1,144,481号)、脂肪族メルカプ
トカルボン酸(英国特許第3,628,955号)、1
−チアゾリジン−4−カルボン酸(J.Photog
r.Sci.,13,233(1965))、ジスルフ
ィド化合物(特開昭56−36029号)、2−ベンゾ
オキサゾールチオール、2−ベンゾイミダゾールチオー
ル(Photogr.Sci.Eng.,20,220
(1976))、アセチレングリコール類(特開昭55
−95947号)、2−メルカプトベンゾチアゾール−
5−スルホン酸(特開昭56−72441号)等が知ら
れている。
【0005】しかしながら、これらの化合物は十分に満
足できるものとは言い難いという問題があった。また、
特開昭64−50047号ではフィルム支持体上に銀イ
オンもしくは金属銀が吸着可能な、例えば5−ラウロイ
ルアミド−2−メルカプトベンゾオキサゾール又はベン
ゾチアゾール等の有機化合物を含有する親水性コロイド
層を有することを特徴とするクリーニングフィルムを、
ハロゲン化銀感光材料を処理することによって溶出され
た銀錯体を含有する現像液に接触させ、銀スラッジを防
止する方法が述べられている。この発明は銀イオンもし
くは金属銀が吸着可能な有機化合物を用いることが特徴
であるが、この有機化合物はその合成工程が多かった
り、困難であったりして、化合物のコストが高くなる欠
点がある。
【0006】また、特開平3−273236号では、フ
ィルム支持体上に現像液中の銀イオンもしくは銀錯体と
物理現像を起こすことの出来る物理現像核を含有する親
水性コロイド層を有することを特徴とするクリーニング
フィルムまたはクリーニングペーパーを、ハロゲン化銀
感光材料を処理することにより溶出された銀錯体を含有
する現像液に接触させ、銀スラッジを防止する方法が述
べられている。この発明は銀イオン及び銀錯体が吸着可
能な物理現像核を含有するクリーニングシート及びクリ
ーニングペーパーを用いることが特徴であるが、これら
のクリーニングシート及びクリーニングペーパーは物理
現像核を用いる機構上、再生利用が不可能であり、ラン
ニングコストが高くなる欠点を持っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、銀汚
れの生じない、迅速処理性の優れた安定なハロゲン化銀
写真感光材料及びハロゲン化銀写真感光材料処理用素材
を提供することにある。
【0008】また本発明の目的は、溶液中の銀イオン及
び銀錯体を容易に回収し、再利用するための銀吸着性汎
用素材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成により達成された。
【0010】(1) 銀吸着性粒子を含有する親水性コ
ロイド塗布液を、フィルム支持体上に塗布し、セット工
程を経てから乾燥して、銀吸着性粒子を含有する親水性
コロイド層を形成することを特徴とする親水性コロイド
層形成方法。
【0011】(2) セット工程の条件が親水性コロイ
ド塗布液のセット温度未満の温度で1秒から60秒のセ
ット工程であることを特徴とする前記1記載の親水性コ
ロイド層形成方法。
【0012】(3) 前記1または2記載の親水性コロ
イド層形成方法により形成されたことを特徴とする親水
性コロイド層。
【0013】(4) 前記銀吸着性粒子が窒素原子と燐
原子を含有することを特徴とする前記3記載の親水性コ
ロイド層。
【0014】(5) 前記銀吸着性粒子の粒径が10n
m〜100μmであることを特徴とする前記3記載の親
水性コロイド層。
【0015】(6) 銀吸着性粒子が、該粒子を含む親
水性コロイド層のバインダー1.0g当たり10mg〜
500mg含有されていることを特徴とする前記3〜5
のいずれか1項記載の親水性コロイド層。
【0016】(7) 前記3〜6のいずれか1項記載の
親水性コロイド層を少なくとも1層有することを特徴と
するクリーニングフィルム。
【0017】(8) 前記3〜6のいずれか1項記載の
親水性コロイド層を少なくとも1層有することを特徴と
するハロゲン化銀写真感光材料。
【0018】本発明をさらに詳しく説明する。本発明の
銀吸着性粒子は、構造中に窒素原子と燐原子を共に有し
ており銀イオンあるいは銀錯体とクーロン力によって相
互作用して一時的に銀イオンあるいは銀錯体を吸着する
ことができるものが好ましく、さらに親水性コロイド中
で水不溶性の粒子として存在しているものである。例え
ば、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される構造
単位を有する化合物が挙げられる。
【0019】
【化1】
【0020】式中、R1、R2は各々置換又は無置換のア
ルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ
基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アルキル
アミノ基、アリールアミノ基、アルキルチオ基、アリー
ルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、シアノ基、シア
ナート基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、
アジド基を表し、R1、R2は同じであっても異なってい
ても良い。n1は1以上の正の整数を表し、n1が複数
の場合、R1又はR2は各々同じであっても異なっていて
も良い。
【0021】
【化2】
【0022】式中、R3、R4は、各々上記一般式(1)
のR1、R2と同義の基を表し、R3、R4は同じであって
も異なっていても良い。n2は3以上の正の整数を表
し、R3又はR4は各々同じであっても異なっていても良
い。
【0023】上記一般式(1)及び(2)は、基本骨格
がP=N結合で構成されるホスファゼン誘導体で、一般
式(1)において、n1は1以上の正の整数であれば特
に限定しないが、好ましくは1以上30,000以下で
あり、より好ましくは1以上10,000以下であり、
更に好ましくは1以上5,000以下である。また一般
式(2)において、n2は3以上の正の整数であれば特
に限定しないが、好ましくは3以上10以下、より好ま
しくは3以上8以下、更に好ましくは3又は4である。
【0024】これらの化合物群は、P=N結合が線状の
高分子量の化合物群と、環状の化合物群及び環鎖状化合
物群がある。これらの化合物群の合成法を更に詳しく述
べれば、(PNF23、(PNF24、(PNF2)n
等の側鎖基がF原子の三量体、四量体、n量体の化合
物、(PNCl23、(PNCl24、(PNCl2
n(n<15)等の側鎖基がCl原子の三量体、四量
体、n量体の化合物、(PNBr23、(PNB
24、(PNBr2)n等の側鎖基がBr原子の三量
体、四量体、n量体の化合物、(PNI23、(PNI
24、(PNI2)n等の側鎖基がI原子の三量体、四
量体、n量体の化合物のハロゲン原子を、C25ON
a、CF2HCF2CH2ONa、C25SNa、C65
ONa、CH364ONa、(C65O)2Ca、CF
3CH2ONaのような有機化合物の金属塩との反応、C
65OHのような水酸基を有する有機化合物もしくはC
2(CH3)=C−COOCH2CH2OHのようなアル
コール、C65NH2のようなアミン類などのようなP
原子上のハロゲン原子と求核置換しうる有機化合物と、
アニリンなどのアミン類、水酸化ナトリウム、炭酸ナト
リウムなどのハロゲン受容体化合物との混合による方法
をあげることができる。
【0025】ホスファゼン誘導体は、一般にこのように
して合成されるが、置換反応を主体とする合成方法は、
特に限定しない。
【0026】また側鎖基の組み合わせとしては、必ずし
も単一の基で構成されなくてもよく、これらの中から複
数選ばれた組み合わせでもよい。この他、Chem.R
ev.、1972、vol.72、No.4、315〜
356に示されている化合物に含まれる官能基であって
良い。
【0027】次に一般式(1)又は(2)で表される化
合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されな
い。なお、以下の具体例において、Lは鎖状化合物、C
は環状化合物、Hyは環状化合物が更に鎖状或いは網目
状につながった構造の環鎖状化合物を表す。
【0028】L−1 [NP(NCS)2n L−2 [NP(NCO)2n L−3 [NP(COCH32n L−4 [NP(COC17352n L−5 [NP(CN)2n L−6 [NP(OMe)2n L-7 [NP(OEt)2n L−8 [NP(OCH2CF32n L−9 [NP(OCH2252n L−10 [NP(OCH2CF2CF2H)2n L−11 [NP(OCH2372n L−12 [NP(OCH2CF3)(OCH2
37)]n L−13 [NP(OCH2(CF26CF32n L−14 [NP(OCH225)(OCH2
37)]n L−15 [NP(OCH2CF2CF2H)(OCH2
612H)]n L−16 [NP(OPh)2n L−17 [NP(OC64F−p)2n L−18 [NP(OC64CF3−m)2n L−19 [NP(OC64Cl−p)2n L−20 [NP(OC63Cl2−2,4)2n L−21 [NP(OC64CH3−p)2n L−22 [NP(OC6465−p)2n L−23 [NP(NHPr−n)2n L−24 [NP(NHBu−n)2n L−25 [NP(NHPh)2n L−26 [NP(NMe22n L−27 [NP(NC5102n L−28 [NP(NEt2)Cl]n L−29 [NP(NEt2)(NHEt)]n L−30 [NP(NEt2)(NHPr−n)]n L−31 [NP(NEt2)(NHBu−n)]n L−32 (NPPh2n L−33 [NP(SEt)2n L−34 [NP(N32n L−35 [NP(NH22
【0029】
【化3】
【0030】C−1 [NP(CF323 C−2 (NPPh23 C−3 (NPPh24 C−4 [NP(C64Cl−p)23 C−5 [NP(OC64F−p)23 C−6 [NP(OC64F−p)24 C−7 (NPEt23 C−8 (NPEt24 C−9 [NP(COCH323 C−10 [NP(COC173523 C−11 [NP(COCH324 C−12 [NP(COC173524 C−13 [NP(OCH2CF323 C−14 [NP(OCH2CF324 C−15 [NP(OMe223 C−16 [NP(OMe224 C-17 [NP(OEt223 C−18 [NP(OEt224 C−19 [NP(OPr−i)23 C−20 [NP(OPr−i)24 C−21 [NP(OBu−n)23 C−22 [NP(OBu−n)24 C−23 [NP(OCH2Ph)23 C−24 [NP(OCH2Ph)24 C−25 [NP(OPh)23 C−26 [NP(OPh)24 C−27 [NP(OC64CH3−p)23 C−28 [NP(OC64CH3−p)24 C−29 [NP(SEt)24 C−30 [NP(SPh)23 C−31 [NP(SPh)24 C−32 [NP(NHMe)23 C−33 [NP(NHMe)24 C−34 [NP(NHEt)23 C−35 [NP(NHEt)24 C−36 [NP(NHBu−n)23 C−37 [NP(NHBu−n)24 C−38 [NP(NMe223 C−39 [NP(NMe224 C−40 [NP(NEt223 C−41 [NP(NEt224 C−42 [NP(NMePh)23 C−43 N33Ph3(NHMe)3(cis) C−44 N33Ph3(NHMe)3(trans) C−45 N33Ph3(NHEt)3(cis) C−46 N33Ph3(NHEt)3(trans) C−47 N33(NHEt)4(OCH2CF32(g
em) C−48 N33(NHEt)4(OCH2CF32(n
on−gem) C−49 N33(OC654(NH22(gem) C−50 N33(OC654(NH22(non−
gem) C−51 [NP(NCS)23 C−52 [NP(NCO)23 C−53 [NP(CN)23 C−54 [NP(N323 C−55 [NP(OPr−n)23 C−56 [NP(OCH2CF323 C−57 [NP(SEt)23 C−58 [NP(NH223 C−59 [NP(CF324 C−60 [NP(NCS)24 C−61 [NP(NCO)24 C−62 [NP(CN)24 C−63 [NP(OPr−n)24 C−64 [NP(NH224 C−65 [NP(OMe)25 C−66 [NP(NMe225 C−67 [NP(OPh)25 C−68 N55(OC658(NH22(gem) C−69 [NP(OMe)26 C−70 [NP(NMe226 C−71 [NP(OPh)26 C−72 N66(OC6510(NH22(gem) C−73 [NP(OMe)28 C−74 [NP(NMe228 C-75 [NP(OPh)28 C−76 N88(OC6514(NH22(gem)
【0031】
【化4】
【0032】
【化5】
【0033】
【化6】
【0034】
【化7】
【0035】
【化8】
【0036】
【化9】
【0037】
【化10】
【0038】本発明の銀吸着性粒子は、親水性コロイド
中に分散したり、親水性コロイド中で析出させたり、あ
るいは充分に分散したパウダー状のものを親水性コロイ
ド中に混入してもよい。例えば、一般式(1)または
(2)の化合物を親水性コロイド溶液中でパワーディス
パージョンや減圧分散を行ったり、ビーズを用いたメデ
ィア分散やボールミル分散などの方法によって分散した
ものを添加することが可能であるが、本発明はこれらに
限定されるものではない。また、親水性コロイド中での
形状は球状、針状、平板状その他いずれの形状を取って
いてもよい。
【0039】本発明の銀吸着性粒子の粒径は、その添加
方法によっても異なるが、親水性コロイド中で10nm
〜100μmであることが好ましく、より好ましくは5
0nm〜10μmであることが好ましい。
【0040】本発明の銀吸着性粒子は、その銀吸着能に
従ってさまざまな添加量で親水性コロイド中に添加する
ことが出来るが、該親水性コロイドのバインダー1.0
g当たり10mg〜500mgであることが好ましく、
より好ましくは20mg〜300mgであることが好ま
しい。
【0041】本発明における親水性コロイド層のバイン
ダーとしてはゼラチンを用いることが好ましいが、それ
以外の親水性コロイドを単独またはゼラチンと併せて用
いることもできる。例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチン
と他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼ
イン等の蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類など
のセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、デンプン誘導
体などの糖誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニル
アルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリド
ン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル
アミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾー
ルなどの単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性
高分子物質を用いることが出来る。ゼラチンとしては石
灰処理ゼラチンのほか酸処理ゼラチンを用いてもよく、
ゼラチン加水分解物、ゼラチン酵素分解物など通常工業
的に用いられているものを使用することが出来る。
【0042】本発明の銀吸着性粒子を含有する親水性コ
ロイド層バインダーの塗布量は添加する銀吸着性粒子の
銀吸着能及び使用目的に従って適宜決められてよい。
【0043】本発明の銀吸着性粒子を含有する親水性コ
ロイド層を塗布する支持体としては、セルロース、セル
ロース誘導体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レンテレフタレート誘導体、ポリナフタレンテレフタレ
ート、ポリナフタレンテレフタレート誘導体などをはじ
め、リサーチ・ディスクロージャー(RD)−1764
3号(1979年11月)、RD−18716号(19
79年11月)及びRD−308119号(1989年
12月)中に記載されているものが挙げられる。適当な
支持体としてはプラスチックフィルムや紙などで、支持
体表面は塗布層の接着性をよくするために下引き層を設
けたりコロナ放電や紫外線照射などが施されていてもよ
い。また、支持体の厚みは通常写真感光材料の自動現像
機などで搬送可能な厚みであればよく、好ましくは40
μm〜300μmであればよい。
【0044】本発明の銀吸着性粒子を含有する親水性コ
ロイド層を少なくとも1層有するフィルムは、該親水性
コロイド層が支持体上に塗布工程後、乾燥工程前にセッ
ト工程を経て得られるフィルムであり、該セット工程の
条件は該銀吸着性粒子含有親水性コロイド溶液のセット
温度未満で1秒から60秒であればよい。ここでセット
温度とは塗布液の流動性がなくなるときの温度であり、
塗布液の組成によってそれぞれ異なっている。本発明に
おいては、塗布工程中セット工程を経ることが必須であ
る。セット工程を経ない場合、塗布層表面に乾燥ムラに
よるヨレやヒビワレが生じるだけでなく、同一塗布・乾
燥条件の銀吸着性粒子含有親水性コロイド組成であって
も本発明で達成されるべき優れた銀吸着能が発揮できな
い。
【0045】本発明で、「セット」とは該親水性コロイ
ド溶液をそのセット温度以下に冷却し、溶液の流動性を
なくすことを指す。
【0046】本発明の銀吸着性粒子を含有する親水性コ
ロイド層を少なくとも1層有するフィルムは、例えばク
リーニングフィルムとして用いることが出来る。このク
リーニングフィルムは、例えばハロゲン化銀感光材料の
自動現像機における現像処理時に、ハロゲン化銀感光材
料の現像処理の後に自動現像機に通すことで、処理糟中
やハロゲン化銀写真感光材料表面に生じる銀汚れを低減
することが出来る。さらに、このクリーニングフィルム
は、使用後水洗することで銀吸着能を再生することが容
易であり、繰り返し使用することが出来る。
【0047】また、本発明の銀吸着性粒子を含有する親
水性コロイド層を少なくとも1層有するフィルムは、写
真用途以外にも銀回収の目的で使用することが出来る。
【0048】さらに、本発明の銀吸着性粒子を含有する
少なくとも1層の親水性コロイド層はハロゲン化銀写真
感光材料を構成する層のうちいずれの層であってもよ
い。このとき、該親水性コロイド層は感光性ハロゲン化
銀層であっても非感光性層であってもよいが、感光性ハ
ロゲン化銀層の外接隣接層が好ましい。例えば、ハロゲ
ン化銀写真感光材料のハロゲン化銀乳剤層の保護層に本
発明の銀吸着性粒子を含有する親水性コロイド層を用い
ることで、現像処理時の現像処理液中への不必要な銀溶
出を低減することが出来るのみならず、引き続き行われ
る定着処理及び水洗処理によって吸着していた不必要な
銀イオン及び銀錯体を脱着することが可能なので処理後
のハロゲン化銀写真感光材料中における残留銀量にもな
んら問題はない。
【0049】本発明の銀吸着性粒子を含有する親水性コ
ロイド層は、当業界で用いられる総てのハロゲン化銀写
真感光材料に含有させることができる。その際、ハロゲ
ン化銀写真感光材料の製造時、該銀吸着性粒子を含有す
る親水性コロイド層の塗布工程においては、前述のセッ
ト工程を経ることが必須であり、また、種々の写真特性
に与える影響を鑑みて該銀吸着性粒子の構造や粒径、添
加量などの好ましい範囲が決められるべきである。また
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の処理は、一般に用
いられる構成のものを通常の方法で用いることが出来
る。
【0050】
【実施例】次に本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例により限定されるものでは
ない。
【0051】実施例1 15%ゼラチン水溶液300mlに対し、表1に記載の
化合物をそれぞれ22gずつ酢酸エチル中に溶解したも
のを加え、減圧状態でパワーディスパージョンによる分
散を行った。この分散物をゼラチン濃度が10%になる
ように希釈して親水性コロイド塗布液とした。この親水
性コロイド塗布液を、下引き加工したポリエチレンテレ
フタレートベースの下引き加工面に親水性コロイドが
1.0g/m2になるように塗布し、セット、乾燥して
本発明の試料を作製した。比較試料として、この分散希
釈物を同様に下引き加工したポリエチレンテレフタレー
トベースの下引き加工面に親水性コロイドが1.0g/
2になるように塗布し、セットを行わずに直接乾燥し
たフィルム支持体試料を作製した。
【0052】このようにして作製した試料をそれぞれ2
5cm×30cmに断裁し、試料の銀吸着能を評価し
た。評価は銀濃度が1%の硝酸銀水溶液中に試料を浸し
た後の試料中の含有銀量(mg/m2)を測定して行っ
た。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】表1に示すように、本発明のセット工程を
経たフィルム支持体はセット工程を経ないフィルム支持
体に比べて多くの銀を吸着できることがわかった。さら
に、本発明の試料を硝酸銀水溶液に浸した後水洗した場
合、吸着されていた銀は全て脱着されており、水洗後の
洗浄液から相当量の銀を回収することが出来た。
【0055】実施例2 下引き処理したポリエチレンテレフタレートに8W/
(m2・min)のエネルギーでコロナ放電した後下記
構成の帯電防止液を、下記の付量になる様に30m/m
inの速さでロールフィットコーティングパン及びエア
ーナイフを使用して塗布した。
【0056】(導電性層を有する支持体の調製)下引き
処理した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート
にコロナ放電した後、下記構成の帯電防止液を、下記の
付量になる様に70m/minの速さでロールフィット
コーティングパン及びエアーナイフを使用して塗布し
た。
【0057】 水溶性導電性ポリマー P−1 0.6g/m2 疎水性ポリマー粒子 P−2 0.4g/m2 ポリエチレンオキサイド化合物 Ao−1 0.06g/m2 硬膜剤E−1 0.2g/m2 これを90℃、2分間乾燥し、140℃、90秒間熱処
理した。この導電性層を支持体の片側に塗布したものを
調製した。
【0058】
【化11】
【0059】(ハロゲン化銀乳剤の調製)同時混合法を
用いて塩沃臭化銀(塩化銀62モル%、沃化銀化0.5
モル%他は臭化銀)乳剤を調製した。
【0060】なお、最終到達平均粒径の5%が形成され
てから最終到達平均粒径に至るまでの混合工程時にヘキ
サブロモロジウム酸カリウム塩とヘキサクロロイリジウ
ム酸カリウムを、それぞれ銀1モル当たり8×10-8
ルと8×10-7モル添加した。
【0061】得られた乳剤をフェニルイソシアナートで
処理した変性ゼラチンを用いて通常のフロキュレーショ
ン法で脱塩してからゼラチン中に分散し、防ばい剤とし
て下記の〔A〕、〔B〕及び〔C〕を加え平均粒径0.
30μmの立方体単分散粒子(変動係数10%)からな
る乳剤を得た。
【0062】
【化12】
【0063】この乳剤にクエン酸と塩化ナトリウム及び
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールを加えた
後、塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを加えて60℃で化
学熟成し最高感度に達してから、4−ヒドロキシ−6−
メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを銀1モ
ル当たり1g添加して熟成を停止した後、ハロゲン化銀
1モル当たり臭化カリウム600mg及び下記構造SD
−1の増感色素を150mg添加した。
【0064】(乳剤塗布液の調製)この乳剤にハロゲン
化銀1モル当りハイドロキノンを4g、下記構造のポリ
マーラテックスP−3を15g、抑制剤ST−1を15
0mg、スチレン−マレイン酸重合体を2g、1Nの水
酸化ナトリウム溶液、下記構造S−1を1.5g及び塗
布助剤としてサポニンと硬膜剤として2,4−ジクロル
−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンのナトリウ
ム塩を添加した。
【0065】(乳剤保護膜層塗布液の調製)1m2当た
り、ゼラチン1.1gを含む水溶液に重亜硫酸ナトリウ
ムのホルマリン付加物を1mg、1−フェニル−4−ヒ
ドロキシメチル−3−ピラゾリドンを5.5mg、平均
粒径3μm及び平均粒径8μmの単分散シリカをそれぞ
れ15mgずつ塗布助剤として下記構造S−2とクエン
酸を添加し、更に硬膜剤としてホルマリンを添加した。
又、フッ素系の界面活性剤FA−1を塗布量が3×10
-6モル/m2となるように添加した。更に、実施例1で
作製した銀吸着性粒子を含有する親水性コロイド塗布液
を表2に示すように、一般式(1)又は(2)で表され
る化合物などが0.1g/m2になるように加えた。
【0066】(バッキング層塗布液の調製)1m2当た
り、ゼラチン2.3gを含む水溶液に、下記水溶性染料
化合物−1を100mg、同−2を25mg、同−3を
100mg、ポリマーラテックスP−1を350mg、
スチレン−マレイン酸重合体を60mg、コロイダルシ
リカを150mg、〔A〕、〔B〕、〔C〕の混合物、
塗布助剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、硬
膜剤としてグリオキザール及びE−2を55mg添加し
攪拌した。
【0067】
【化13】
【0068】
【化14】
【0069】(バッキング層保護膜層塗布液の調製)1
2当たり、ゼラチン0.7gを含む水溶液に、S−2
を7mg、平均粒径5.5μmの単分散ポリメチルメタ
アクリレートの分散物、〔A〕、〔B〕、〔C〕の混合
物、スチレン−マレイン酸重合体を添加し攪拌し、更に
硬膜剤としてグリオキザール及び2,4−ジクロル−6
−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンのナトリウム塩
を添加した。
【0070】(試料の作成)上記帯電防止層を有するポ
リエチレンテレフタレートフィルム支持体上の片側に1
5W/(m2・min)のエネルギーでコロナ放電した
後、上記帯電防止層を有する側に以上のようにして調製
したバッキング層塗布液及びバッキング層保護膜層塗布
液を塗布した。また支持体上の片側に15W/(m2
min)のエネルギーでコロナ放電した後、乳剤層及び
乳剤保護膜層を塗布した。尚乳剤層は銀量4.0mg/
2、ゼラチン量1.7mg/m2になるように塗布し、
塗布工程後セット工程・乾燥工程を経て作成した本発明
の試料、及び塗布工程後セット工程を経ずに乾燥工程を
経て作成した比較用試料を得た。
【0071】次いで下記の現像液及び定着液を用い製版
自動現像機GQ・26SR(コニカ製)にて下記条件で
現像処理した。
【0072】〈処理条件〉処理条件は以下の通りであ
る。
【0073】 〔現像液処方〕 (組成A) 純水 150ml エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 2g ジエチレングリコール 50g 亜硫酸カリウム(55%W/V水溶液) 130ml 炭酸カリウム 50g ハイドロキノン 15g 5−メチルベンゾトリアゾール 200mg 水酸化カリウム使用液のpHを10.5にする量 臭化カリウム 4.5g (組成B) 純水 3ml ジエチレングリコール 50g エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 25mg 酢酸(90%水溶液) 0.3ml 5−ニトロインダゾール 110mg 1−フェニル−3−ピラゾリドン 500mg 現像液の使用時に水500ml中に上記組成A、組成Bの順に溶かし、1リッ トルに仕上げて用いた。
【0074】 〔定着液処方〕 (組成A) チオ硫酸アンモニウム(72.5%W/V水溶液) 230ml 亜硫酸ナトリウム 9.5g 酢酸ナトリウム・3水塩 28g 硼酸 6.7g クエン酸ナトリウム・2水塩 2g 酢酸(90%W/W水溶液)使用液のpHを4.7にする量 (組成B) 純水 17ml 硫酸(50%W/W水溶液) 2.5g 硫酸アルミニウム(Al23換算含量が8.1%W/W水溶液) 21g 定着液の使用時に水500ml中に上記組成A、組成Bの順に溶かし、1リッ トルに仕上げて用いた。
【0075】〔現像処理条件〕 工 程 温 度 時間 現 像 38℃ 12秒 定 着 35℃ 10秒 水 洗 常 温 10秒 乾 燥 50℃ 13秒 合 計 45秒 各工程時間は次工程までのいわゆるワタリ搬送時間も含
む。
【0076】補充液は現像液及び定着液の組成と同一の
ものを使用し、現像250cc/m2、定着400cc
/m2の割合で補充しながら試料を30m2処理した。
【0077】(現像汚れの評価)処理後の銀汚れの有無
を調べるために、3.5×12cmのフィルム片を未露
光で処理してフィルム表面の汚れを目視観察した。現像
汚れの評価は5段階評価とし、汚れの最も酷いものをラ
ンク1とし、汚れのないものをランク5とした。ランク
3未満では実用上許容できない状態である。結果を表2
に示す。
【0078】
【表2】
【0079】表2に示すように、本発明のセット工程を
経るハロゲン化銀写真感光材料は、比較のセット工程を
経ないハロゲン化銀写真感光材料と比べて銀汚れのレベ
ルがよいことがわかった。
【0080】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、本発明によ
り効果的に溶液中の銀イオンを吸着し、回収することが
可能な材料を提供することが出来た。また、本発明の材
料を用いることで、銀汚れの改良された迅速処理可能な
ハロゲン化銀写真感光材料を提供することが出来た。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀吸着性粒子を含有する親水性コロイド
    塗布液を、フィルム支持体上に塗布し、セット工程を経
    てから乾燥して、銀吸着性粒子を含有する親水性コロイ
    ド層を形成することを特徴とする親水性コロイド層形成
    方法。
  2. 【請求項2】 セット工程の条件が親水性コロイド塗布
    液のセット温度未満の温度で1秒から60秒のセット工
    程であることを特徴とする請求項1記載の親水性コロイ
    ド層形成方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の親水性コロイド
    層形成方法により形成されたことを特徴とする親水性コ
    ロイド層。
  4. 【請求項4】 前記銀吸着性粒子が窒素原子と燐原子を
    含有することを特徴とする請求項3記載の親水性コロイ
    ド層。
  5. 【請求項5】 前記銀吸着性粒子の粒径が10nm〜1
    00μmであることを特徴とする請求項3記載の親水性
    コロイド層。
  6. 【請求項6】 銀吸着性粒子が、該粒子を含む親水性コ
    ロイド層のバインダー1.0g当たり10mg〜500
    mg含有されていることを特徴とする請求項3〜5のい
    ずれか1項記載の親水性コロイド層。
  7. 【請求項7】 請求項3〜6のいずれか1項記載の親水
    性コロイド層を少なくとも1層有することを特徴とする
    クリーニングフィルム。
  8. 【請求項8】 請求項3〜6のいずれか1項記載の親水
    性コロイド層を少なくとも1層有することを特徴とする
    ハロゲン化銀写真感光材料。
JP22941597A 1997-08-26 1997-08-26 親水性コロイド層、その形成方法、クリーニングフィルム及びハロゲン化銀写真感光材料 Pending JPH1165040A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003501511A (ja) * 1999-05-27 2003-01-14 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー セラマー組成物およびそれから製造される帯電防止性耐摩耗性セラマー
JP2005059001A (ja) * 2003-07-31 2005-03-10 Cluster Technology Co Ltd 析出方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003501511A (ja) * 1999-05-27 2003-01-14 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー セラマー組成物およびそれから製造される帯電防止性耐摩耗性セラマー
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