JPH1161014A - インクに用いられる顔料分散剤の調整方法 - Google Patents

インクに用いられる顔料分散剤の調整方法

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JPH1161014A
JPH1161014A JP10170466A JP17046698A JPH1161014A JP H1161014 A JPH1161014 A JP H1161014A JP 10170466 A JP10170466 A JP 10170466A JP 17046698 A JP17046698 A JP 17046698A JP H1161014 A JPH1161014 A JP H1161014A
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ロビン・ガント・ネルリッチ
Anna M Pearson
アンナ・マリー・ペアソン
Ashok V Gangal
アショク・ヴィシュヌ・ガンガル
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 インクの分散体を製造する方法と、この方法
から得られるインクが開示される。 【構成】 この方法は、着色剤の凝集塊を含む分散体を
調製すること、及び、プラスチック媒体を用いることに
よってことにより前記凝集塊の大きさを低減することを
含む。分散体は、蒸留水又は脱イオン水のような液状キ
ャリアの任意の存在下に、着色剤の凝集塊を分散剤中に
分散することによって形成される。分散体中の着色剤
は、カーボンブラック、黄色、シアン、又はマゼンタの
顔料、或いはこれらの組合わせとしてよい。プラスチッ
ク媒体は、好ましくは、ポリスチレンのような粉砕媒体
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明はインクを製造する改
善方法に関する。特に、インク組成物に用いられる着色
剤の分散体を調製する改善方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来、インクは顔料又は染料の配合物の
ような着色剤を含む。顔料ベースのインクは、例えば、
個々の顔料粒子をクラスタ化するときに形成される、分
散体中の分散した顔料の凝集塊によって典型的には調製
される。ガラス、ステンレス鋼、又は酸化ジルコニウム
のような従来の粉砕媒体を用いて顔料分散体を粉砕する
ことにより、顔料の凝集塊の大きさを低減してもよい。
【０００３】インク・ジェット・インクに用いる顔料の
分散体を調製する際に、例えば、従来の粉砕媒体は、分
散体のｐＨを許容できないレベルに変化させ（通常、増
加させる）、或いは分散体を汚染することから、これが
用いられないことが見出された。許容できないほど高い
ｐＨにより、インク加工と印刷装置に非相溶性を有する
インクとなる。汚染は例えば、上述の顔料の分散体から
調製されるインクを退色させる結果となる。
【０００４】着色剤の分散体を粉砕するプラスチック媒
体が、顔料の分散体中の着色剤の凝集塊の大きさを十分
に低減しつつ、許容できないほどｐＨを変化させず、又
は分散体を過度に汚染しないことを見出したことに本発
明は基づく。さらに、ここで説明するようなプラスチッ
ク媒体を用いる結果、予期せぬことに、優れた色ガンマ
ウトを有するインク組成物が得られる。
【０００５】インクは一般に、基材上に印刷し乾燥でき
る液体又はペーストを形成するために、ビヒクル又はキ
ャリア中に分散又は溶解された着色剤の混合物である。
用いられる着色剤は一般に、レーキ、染料又はこれらの
材料の組合わせである。ビヒクルは、印刷操作中におい
て着色剤のキャリアとして作用し、ほとんどの場合、着
色剤を基材に結合させる役割を果たす。インクは、紙、
厚紙、金属シート、金属フォイル、プラスチックフィル
ム、プラスチック成形品、布及びガラスのような多くの
基材上に薄いフィルムで塗られてもよい。
【０００６】米国特許第５，１５８，６０６号と４，０
３８，２４１号には、インクが、顔料乳化剤のような成
分としてポリスチレンを含有してもよいことが開示され
ている。しかしながら、これらの文献は、粉砕媒体とし
てポリスチレンを用いるというよりは、インク中の成分
としてポリスチレンを用いるものである。
【０００７】米国特許第５，１５８，６０６号には、ビ
ヒクル中に顔料を分散しビヒクル中にポリマーラテック
スを乳化することによって、耐摺り欠け性の印刷インク
を形成してもよいことが開示されている。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】我々が見出した一つの
対象は、着色剤の凝集塊を含む分散体を調製することに
よりインクの分散体を製造するための、かつ、物理的劣
化又は分散体との化学的相互作用を実質的に起こさず、
その結果インクの色ガンマウトを改善する粉砕媒体を用
いることによって前記凝集塊の大きさを低減するための
方法である。
【０００９】他の対象は、汚染、許容できない退色、及
び例えばインク中の着色剤の早発の沈降を実質的になく
しつつ、粉砕媒体が分散体中の着色剤の凝集塊の大きさ
を低減するインクの分散体を製造する方法である。
【００１０】さらに他の対象は、分散体又はこれから調
製されるインクのｐＨを許容できないほど変化させるこ
となく、粉砕媒体が分散体中の着色剤の凝集塊の大きさ
を低減するインクの分散体を製造する方法である。
【００１１】着色剤とは、それが液状ビヒクル中にある
ときに、インクを製造するために分散剤と共に分散する
ことが要求されるあらゆるグループを意味するように限
定されることが、ここで留意されるべきである。したが
って、このような着色剤には、不溶性染料と好ましくは
顔料が含まれる。
【００１２】
【課題を解決するための手段】これら及び他の利点を達
成するため、そして、ここで具体的に示し、かつ広く説
明したような我々の見出したことの目的にしたがい、我
々は一つの特徴において、分散剤と初期の大きさの凝集
塊を有すると共にこの初期の凝集塊の大きさをプラスチ
ック媒体を用いて低減する着色剤とを混合することによ
って、インクの分散体を製造する方法を説明する。好ま
しくは、分散体は、蒸留水又は脱イオン水のような液状
キャリアの任意の存在下に、着色剤の凝集塊を分散剤中
に分散することによって形成される。着色剤は例えば、
黄色、シアン、カーボンブラック又はマゼンタの顔料、
或いはこれらの組合わせから生成される色を含む分散体
中のどのような色であってもよい。好ましくは、プラス
チック媒体は、約１．４５ｋｇ／ｌ未満、好ましくは約
１．００ｋｇ／ｌ未満、最も好ましくは約０．７５ｋｇ
／ｌ未満でこれらに包含される全範囲を含むバルク密度
を有する粉砕媒体である。このようなプラスチック媒体
は、例えば、スチレン、カーボネート、アミド、エステ
ル又はウレタンで誘導された主鎖を有すると共にこれら
から調製される共重合体又はブレンドを含む媒体を含
む。プラスチック媒体は、好ましくは、着色剤の凝集塊
の大きさを低減する形状と大きさである。
【００１３】本発明はまた、このような分散体を含むイ
ンクと同様に、開示された方法によって得られる分散体
に関する。
【００１４】上記の一般的な説明と以下の詳細な説明の
両方は例示及び説明のためのものであり、請求の範囲の
発明を限定するものではない。
【００１５】
【発明の実施の形態】インクを形成することは、例えば
二つのステップ：（顔料のような）着色剤の分散体を形
成することと、次いでこの着色剤の分散体を液体と混合
してインクを形成することによってもよい。さらに、着
色剤の分散体を形成することは、例えば三つの段階：湿
潤、粉砕及び分散によってもよく、これらの段階は重な
ってもよく、通常はその順序が制限されなくてもよい。
【００１６】湿潤段階では、通常、着色剤の凝集塊の表
面に吸着されたガス又は他の汚染物質が除去され、次い
で着色剤の表面に湿潤ビヒクルが付与される。湿潤プロ
セスを促進させるため、凝結体（小さな大きさの凝集
塊）と粉砕前に凝集塊を形成する着色剤粒子とを機械的
に分離することによって、新しい着色剤表面が湿潤ビヒ
クルに好ましくはさらされる。
【００１７】他の段階である粉砕プロセスでは、着色剤
の凝集塊の大きさを小さくする。着色剤の凝結体と粒子
はしばしば、比較的に柔軟な詰ったクラスタの凝集塊と
なって凝集する。粉砕により着色剤の凝集塊の大きさが
小さくされ、かつ、分離した凝結体と粒子からなる群か
ら選択される少なくとも一つの材料に凝集塊を分離し、
これによってより多くの着色剤の表面部分がさらされ
る。湿潤に利用可能な着色剤の表面部分が増加すると、
着色剤の凝結体と粒子とは、湿潤ビヒクル内に良好に分
散し、着色剤の良好な分散体が得られる。
【００１８】所望の凝集塊（凝結体又は粒子）の大きさ
が得られるまで粉砕プロセスが続けられ、この大きさ
は、所望の分散体の使用、分散体が混合されるインクの
種類、粉砕装置の種類、使用する媒体、ならびに、粉砕
装置の処理量と処理時間のような数個のパラメータに依
存する。本発明では、粉砕後に得られる凝結体及び／又
は粒子が約５００ｎｍ未満、好ましくは約３００ｎｍ未
満、最も好ましくは約２０ｎｍ未満でこれらに包含され
る全ての範囲を含む大きさを有するように、凝集塊の平
均の大きさを低減するのが好ましい。
【００１９】分散段階では、湿潤化された凝結体と粒子
を液体ビヒクル中に分散させ、個々の粒子又は残存する
凝結体を分離するようにする。粒子及び／又は凝結体の
間の接触が最小限になるように、各粒子又は凝結体は十
分な分散剤で囲まれる。粒子又は凝結体が液体ビヒクル
中で再びクラスタ化する場合（凝集塊を形成するこ
と）、この効果は凝集又は凝結と呼ばれ、操作又は印刷
装置の問題を引起こす。
【００２０】本発明では、好ましくは顔料である着色剤
は、この分野においてよく知られる無機又は有機の顔料
であってよい。本発明で用いられる顔料に関しては、イ
ンクが得られるものであれば何等制限されるものではな
い。通常用いられるあらゆる有機又は無機の顔料を使用
してもよい。本発明で用いられる顔料の例示的な一覧に
は、縮合されたキレートアゾ顔料のようなアゾ顔料；フ
タロシアニン、アントラキノン、キナクリドン、チオイ
ンジゴイド、イソインドリノン、キノフタロンのような
多環式顔料；が含まれる。用いられるさらに他の顔料に
は、例えば、ニトロ顔料、デイライト蛍光性顔料、カー
ボネート、クロメート、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化
鉄、及びカーボンブラックが含まれる。このような顔料
は従来技術によって調製してもよく、また多くは商業的
に入手可能である。好ましくは、着色剤は顔料であり、
カーボンブラック、黄色、シアン、マゼンタ、赤色、緑
色又はオレンジ色の顔料、或いは、これらのいずれかの
組合わせであってもよい。より好ましくは、顔料はピグ
メントイエロー７４、ピグメントブルー１５：４又はピ
グメントレッド１２２である。
【００２１】従来、分散剤は、湿潤ビヒクルと粒子及び
／又は凝結体を安定化するビヒクルとの両方として作用
する。本発明で用いる分散剤に関する制限は本質的には
ない。実際に、インク組成物の基礎となる顔料を製造す
るのに用いられる、あらゆる非重合性又は重合性の分散
剤を本発明で用いてもよい。多くの場合に好ましい分散
剤は、重合性分散剤である。このような重合性の分散剤
の例示的な一覧には、ランダム、ブロック及び分枝の重
合体が含まれ、この重合体の性質は、アニオン性、カチ
オン性又は非イオン性であってよい。重合性の分散剤
は、典型的には、水溶解性のための親水性セグメントと
顔料の相互作用のための疎水性セグメントとを有する。
さらに、ここで用いられる重合性の分散剤には、ホモポ
リマー、共重合体（ターポリマーを含む）、非混和性ブ
レンド、ならびに混和性ブレンドが含まれることを意味
する。
【００２２】本発明の重合性の分散剤は、通常、インク
組成物中で着色剤を分散できる範囲においてのみ制限さ
れるので、このような重合性の分散剤を製造するのに用
いられる前駆体ユニットは制限されない。ここで用いら
れる前駆体には単量体ユニットと多量体ユニットが含ま
れることを意味する。
【００２３】このような重合性の分散剤を製造するのに
用いられる単量体ユニットの一般的な一覧には、例え
ば、アクリル単量体、スチレン単量体及びアミン基を有
する単量体が含まれる。用いられる単量体の例示的な例
には、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、な
らびにメタクリルアミドが含まれる。
【００２４】多くの場合に用いられる重合性の分散剤
は、例えば、アニオン性、官能基移動性、又はフリーラ
ジカル性の、単量体ユニットの重合を含む従来技術によ
って製造される重合性の分散剤だけでなく、商業的に入
手可能な重合性の分散剤である傾向がある。
【００２５】本発明で用いられる、多くの場合に好まし
いい重合性の分散剤は、三つの前駆体から調製されるラ
ンダムターポリマーである。最も好ましい前駆体には、
アクリレートとメタクリレートからなる群から選択され
る少なくとも一つの材料、アクリロイル−及びメタクリ
ロイル−末端のポリジアルキルシロキサンからなる群か
ら選択される少なくとも一つの材料、ならびに、ステア
リルアクリレート、ステアリルメタクリレート及びラウ
リルメタクリレートからなる群から選択される少なくと
も一つの材料を含む、単量体の前駆体と多量体の前駆体
が含まれる。特に好ましい重合性の分散剤は、ここでＬ
ｅｘｍａｒｋＴＭアクリルターポリマーと記すが、これ
はメタクリル酸、ステアリルメタクリレート及びジメチ
ルシロキサンを重合することにより製造される。
【００２６】これらの特に好ましい前駆体から調製され
る重合性の分散剤は、フリーラジカル重合を含む技術と
して認識される技術によって、単量体の前駆体と多量体
の前駆体を重合することによって製造してもよい。本発
明で用いられる最も好ましい重合性の分散剤のさらに詳
細な説明は、米国特許出願番号第０８／５７８，１３８
号と同０８／６６７，２６９号に見られ、これらの出願
の開示はここに参照として示される。
【００２７】分散プロセスを促進するために、着色剤と
分散剤に任意の液状キャリアを加わえてもよい。この液
状キャリアにより、顔料と分散剤の粘度が希釈かつ変性
される。液状キャリアは、選択された着色剤と選択され
た分散剤とに相溶性である必要がある。好適な液状キャ
リアには、水、トルエン、イソプロピルアルコール、大
豆油、菜種油、桐油、鉱油及びこれらの混合物のよう
な、これらのパラメータ内で作用するものが含まれる。
好ましくは、液状キャリアは蒸留水又は脱イオン水であ
る。
【００２８】着色剤の凝集塊の大きさを低減するため
に、スメアラー−タイプ又は剪断ミル、スマッシャー−
タイプ又は衝撃ミル、或いは剪断と衝撃の両方の働きを
もつハイブリッドミルを含む従来の粉砕装置を用いるこ
とができる。特定の粉砕機には、バーミル、高速ディス
クインペラーミル、高速衝突ミル、３ロールミル、高速
ストーン、ビーズミル、ならびに高速ディスク分散機が
含まれる。好ましくは、この方法には微細媒体ミルが用
いられる。
【００２９】粉砕プロセスの間、着色剤の凝集塊が粉砕
機中の近接する粉砕媒体間を流れるようにこの凝集塊に
力が作用する結果、凝集塊の大きさが低減される。この
ようなプロセスの間、スレンレス鋼や酸化ジルコニウム
のような従来の粉砕媒体は物理的に劣化して（例えば、
欠けること、摺り欠けること、腐食等によって）汚染物
と退色物になることを我々は理論化した。このようなプ
ロセスの間、ガラスのような従来の粉砕媒体が着色剤の
分散体と化学的に反応して、分散体の許容できないｐＨ
変化とそれから調製されるインクが得られることも、我
々はまた理論化した。許容できないｐＨとは、プレミッ
クス（粉砕前の、分散剤と着色剤の混合物）のｐＨと比
較したとき、典型的には約８．０％を越える分散体ｐＨ
の増加、より典型的には約１３．０％を越えるｐＨの増
加である。
【００３０】粉砕媒体としての他の物質により、この化
学的相互作用又は物理的劣化が回避され又は最小限なる
ことを、我々は予期せぬことにを見出した。したがっ
て、材料が、例えば分散体の汚染を低減又はなくし、イ
ンクの退色を減少又はなくし、インクのためのより大き
な領域を生成し、分散体又はそれから製造されるインク
のｐＨを許容できないように変化させず、或いは、分散
体の安定性に不利な影響を与えない限りにおいて、我々
の方法において粉砕媒体として材料を用いてもよい。し
かしながら、粉砕媒体は凝集塊の大きさを所望の値に低
減できなければならない。
【００３１】特に、粉砕媒体としてのプラスチック材料
により、従来の化学的相互作用又は物理的劣化が回避又
は低減されることを我々は見出した。商業的に入手可能
な、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、
ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ならびに
これらのブレンド及びコポリマーのようなプラスチック
媒体を粉砕媒体としてもよい。好ましくは、粉砕媒体と
してポリスチレンが用いられる。
【００３２】粉砕媒体は、着色剤の凝集塊の大きさを小
さくするのに十分な大きさと形状を有していてもよい。
粉砕媒体の大きさは、選択される粉砕機の種類、粉砕媒
体の形状のような数個の要因に依存する。粉砕媒体の形
状は、球状、円柱状又は立方状のようなあらゆる形状と
することができる。好ましくは、我々の発明の粉砕媒体
は、ノーストーン，インコーポから商業的に入手可能な
ようなポリスチレン球である。さらに、球を用いる場
合、これらは多くの場合、約０．３〜約１．５ｍｍ、好
ましくは約０．６〜約０．９ｍｍでこれらに包含される
全ての範囲を含む直径を有する。
【００３３】ここで用いられる粉砕媒体は、粉砕プロセ
スにおいて物理的に劣化したり又は化学的に相互作用を
起こさないような、十分な物理的及び化学的特性を有す
る。例えば粉砕媒体は、粉砕プロセスの応力と歪みに実
質的に抗するために、十分な物理的強度（例えば、引張
強度及び衝撃強度）と十分な柔軟性（例えば、破壊時に
おける％伸びとバルク密度）を有する。他の例では、粉
砕媒体は、実質的に着色剤の分散体と測定可能な形態に
おいて化学的に反応しない成分又は物質から構成され
る。
【００３４】粉砕プロセスにおいて、粉砕媒体は実質的
に化学的に相互作用しないので、予期せぬことに最初の
プレミックス（粉砕前の分散剤と顔料）のｐＨを約±
７．０％を越えて好ましくは約５．０％を越えて変化さ
せない。したがって、粉砕媒体から調製されるインクが
例えばインクジェット印刷装置と化学反応を起こすよう
な濃度以上で、粉砕媒体は分散体のｐＨを上昇又は低下
させない。
【００３５】本発明の粉砕媒体は粉砕プロセスの間に物
理的に劣化しないので、目視による点検と本発明により
調製したインクと従来の媒体で調製したインクとの比較
によって決定される分散体の汚染は、この粉砕媒体によ
り低減され又はなくされる。従来の粉砕媒体によって引
起こされる汚染によりインクは退色し、かつ短時間で目
視により観察可能な沈降が生じる。したがって、本発明
の粉砕媒体によりこの退色と早発の沈降が低減され又は
なくされる。さらに予期せぬことに、本発明は、分散体
とこれから調製されるインク中の沈降を同時に低減しつ
つ、最初のプレミックスのｐＨを最小のｐＨに変化させ
る。
【００３６】着色剤（不溶性染料又は顔料）の分散体
は、インクを形成するためにさらなる成分と混合され
る。さらなる成分は、顔料分散体と混合されたときに、
最適用途と性能特性を有するインク組成物を生成すべき
ものである。したがって、インク成分又は成分の組合わ
せは、所望の最適用途と性能特性にしたがって加えても
よい。例として、インクを形成するために以下の成分を
着色剤の分散体に加えてもよい：１，３−プロパンジオ
ール、ＰＥＧ４００、ＬｅｘｍａｒｋＴＭアクリルター
ポリマー（単量体：メタクリル酸、ステアリルメタクリ
レート、ポリジメチルシロキサンから調製された）、な
らびに脱イオン水。
【００３７】他の添加剤をインクに加えてもよい。これ
らの添加剤には、例えば、ドライヤー；ワックス；酸化
防止剤；ならびに、滑剤、表面−エネルギー改質剤、増
粘剤、ゲランツ、脱泡剤、湿潤剤、殺生剤、キレート化
剤、ショートニング剤及びカール防止剤のような雑添加
剤；が含まれる。
【００３８】インクの重要な性質の一つは色である。色
は、例えば、Ｌ＊、ａ＊及びｂ＊値といわれる特性によ
って説明される。色のガンマウト又はインクによって得
られる色の領域は、これらの値から得られるグラフの面
積に依存する。この面積が大きいほど、色のガンマウト
／領域が大きなインクが得られる。われわれのインク製
造で用いられる粉砕媒体は、これまた予期せぬことに、
従来の粉砕媒体によって製造されたインクに比べて、少
なくとも約１０％、好ましくは少なくとも約１５％、最
も好ましくは約２０％、インクの色ガンマウトを向上さ
せる。
【００３９】我々の方法は以下の実施例によって示され
るが、これらはいかなる形態においても本発明の範囲を
限定するものと解釈されるべきでない。
【００４０】実施例 以下の実施例において、分散剤によって着色剤に適切な
湿潤性を付与するために、分散体は、着色剤、分散剤及
び蒸留水をミキサー中で典型的には３０分混合すること
によって形成される。この混合物は、選択された媒体で
満たされた微細媒体のミル（イーガーマシネリー，イン
コーポからの微細媒体のミルのような）に移される。こ
の粉砕機は、媒体粒子径が約２００ｎｍ未満（リーズ＋
ノースアップミクロトラック ＵＰＡ１５０によって測
定されるとき）になるまで操作される。得られる分散体
は粉砕機から排出される。各実施例の操作パラメータを
下記に示す。
【００４１】３％の顔料、１０％の１，３−プロパンジ
オール、１０％のＰＥＧ４００、及び残余のレックスマ
ークアクリル酸ターポリマーと脱イオン水からなるイン
ク配合物を製造するために、この分散体をさらなる成分
と混合した。いくつかのインクのＬ＊、ａ＊、ｂ＊値
を、塗布されたインクジェット紙（レックスマークのハ
イレゾリューションプレミアムインクジェット紙）上で
ミノルタ分光光度計ＣＭ−２００２を用いて測定した。
表１のデータは、ガンマウトの改良に関する予期しない
結果を示す。
【００４２】実施例１ 顔料 ピグメントイエロー７４ 媒体 ホウ珪酸塩ガラス 顔料：分散剤比 ３．２５：１．０ 固形分 ３０％ 粉砕速度 ５０００ＲＰＭ 粉砕時間 ４時間 初期ｐＨ ７．５３ 終期ｐＨ ９．６６ 外観 濁った黄色 実施例２ 顔料 ピグメントイエロー７４ 媒体 ＹＴＺ（イットリウム処理されたジルコニア） 顔料：分散剤比 ２．０：１．０〜４．０：１．０ 固形分 ２０〜３０％ 粉砕速度 ２０００〜５０００ＲＰＭ 粉砕時間 ４時間 終期ｐＨ ７．２〜７．６ 外観 沈殿のある緑がかった黄色 実施例３ 顔料 ピグメントイエロー７４ 媒体 ポリスチレン 顔料：分散剤比 １．０：１．０〜４．０：１．０ 固形分 ２０〜３０％ 粉砕時間 ４時間 粉砕速度 ３５００ＲＰＭ 外観 沈殿のない、明るい黄色 実施例４ 顔料 ピグメントブルー１５：４ 媒体 ホウ珪酸塩ガラス 顔料：分散剤比 ２．５：１．０ ％固形分 ２５％ 粉砕速度 ５０００ＲＰＭ 粉砕時間 ４時間 初期ｐＨ ７．６２ 終期ｐＨ ９．８４ 実施例５ 顔料 ピグメントブルー１５：４ 媒体 ＹＴＺ 顔料：分散剤比 ４．０：１．０〜１．０：１．０ 粉砕速度 ２０００〜５０００ＲＰＭ 固形分 ２０〜３０％ 粉砕時間 ４時間 実施例６ 顔料 ピグメントブルー１５：４ 媒体 ポリスチレン 顔料：分散剤比 ２．５：１．０ 固形分 ２５％ 粉砕時間 ４時間 粉砕速度 ５０００ＲＰＭ 平均初期ｐＨ ７．８５ 平均終期ｐＨ ８．３７ 実施例７ 顔料 ピグメントレッド１２２ 媒体 ＹＴＺ 顔料：分散剤比 ４．０：１．０ 固形分 ３０％ 粉砕時間 ４時間 粉砕速度 ５０００ＲＰＭ 初期ｐＨ ８．０３ 終期ｐＨ ８．２８ 実施例８ 顔料 ピグメントレッド１２２ 媒体 ポリスチレン 顔料：分散剤比 ４．０：１．０ 固形分 ３０％ 粉砕時間 ４時間 粉砕速度 ５０００ＲＰＭ 初期ｐＨ ７．２５ 終期ｐＨ ７．２２
【００４３】
【表１】
【００４４】単一チャンバのインク・ジェット・プリン
ト・カートリッジに、実施例２、５、７（コントロー
ル）、３、６及び８（ポリスチレン媒体で調製されたイ
ンク）において調製したインクを詰めた。商業的に入手
可能な幅広型のインク・ジェット・プリンタを用いてカ
ラーの四角形（面積９ｃｍ２）を印刷した。各四角形の
Ｌ＊、ａ＊及びｂ＊値を、ミノルタ分光光度計（ＣＭ−
２００２）を用いて測定した。ａ＊及びｂ＊の座標軸を
プロットした。得られたグラフ（コントロール対ポリス
チレン）の面積を比較した。粉砕媒体としてポリスチレ
ンを用いて調製したインクに対するグラフの面積は、粉
砕媒体としてＹＴＺを用いて調製したインクに対するグ
ラフの面積より約３０．０％大きかった。これは予期せ
ぬことに、ガンマウトの約３０．０％が改善されたこと
を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アンナ・マリー・ペアソン アメリカ合衆国 40475 ケンタッキー、 リッチモンド、ハイランズ・ドライブ 1012 (72)発明者 アショク・ヴィシュヌ・ガンガル アメリカ合衆国 40503 ケンタッキー、 レキシントン、ウエスターフィールド・ウ ェイ 413

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 ａ）プレミックスを形成するために、分
    散剤と初期の大きさを有する着色剤とを混合する段階
    と； ｂ）着色剤の凝結体と着色剤の粒子とからなる群から選
    択される少なくとも一つの材料を生成するために、プラ
    スチック媒体を用いて前記着色剤の初期の大きさを低減
    する段階と；を含む、インクの分散体を製造する方法。
  2. 【請求項２】 前記分散体が、前記分散剤中に前記着色
    剤を分散させることによって生成される、請求項１に記
    載の方法。
  3. 【請求項３】 前記分散体に液状キャリアを加える段階
    をさらに含む、請求項２に記載の方法。
  4. 【請求項４】 前記液状キャリアが、蒸留水、脱イオン
    水、トルエン、イソプロピルアルコール、大豆油、菜種
    油、桐油、鉱油又はこれらの混合物である、請求項３に
    記載の方法。
  5. 【請求項５】 前記着色剤が顔料であり、当該顔料がカ
    ーボンブラック、又は黄色、シアン、マゼンタ、赤色、
    緑色もしくはオレンジ色の顔料である、請求項１に記載
    の方法。
  6. 【請求項６】 前記プラスチック媒体が粉砕媒体であ
    る、請求項１に記載の方法。
  7. 【請求項７】 前記粉砕媒体が約１．４５ｋｇ／ｌ未満
    のバルク密度を有する、請求項６に記載の方法。
  8. 【請求項８】 前記粉砕媒体が、ポリスチレン、ポリカ
    ーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリル
    酸、又は、これらから調製される共重合体もしくはブレ
    ンドである、請求項６に記載の方法。
  9. 【請求項９】 前記粉砕媒体がポリスチレンである、請
    求項８に記載の方法。
  10. 【請求項１０】 前記プラスチックが、球状、円柱状又
    は立方状である、請求項１に記載の方法。
  11. 【請求項１１】 前記着色剤が顔料の凝集塊である、請
    求項１に記載の方法。
  12. 【請求項１２】 前記着色剤の初期の大きさが微細媒体
    の粉砕機で低減される、請求項１に記載の方法。
  13. 【請求項１３】 前記分散体が、メタクリル酸、ステア
    リルメタクリレート及びポリジメチルシロキサンから調
    製されるアクリルターポリマーである、請求項１に記載
    の方法。
  14. 【請求項１４】 前記分散体が、前記プレミックスのｐ
    Ｈと比べたときに、約±７．０％より大きく変化するｐ
    Ｈを有していない、請求項１に記載の方法。
  15. 【請求項１５】 ａ）プレミックスを形成するために、
    分散剤と初期の大きさを有する着色剤とを混合する段階
    と； ｂ）着色剤の凝結体と着色剤の粒子とからなる群から選
    択される少なくとも一つの材料を生成するために、プラ
    スチック媒体を用いて前記着色剤の初期の大きさを低減
    する段階と；を含む方法によって製造される分散体。
  16. 【請求項１６】 ａ）プレミックスを形成するために、
    分散剤と初期の大きさを有する着色剤とを混合する段階
    と； ｂ）着色剤の凝結体と着色剤の粒子とからなる群から選
    択される少なくとも一つの材料を生成するために、プラ
    スチック媒体を用いて前記着色剤の初期の大きさを低減
    する段階と；を含む方法によって製造される分散体を含
    む、インク・ジェット・インク組成物。
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