JPH1158953A - フタロシアニン昇華性材料及びそれを用いた光記録媒体、並びにその光記録再生方法 - Google Patents

フタロシアニン昇華性材料及びそれを用いた光記録媒体、並びにその光記録再生方法

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JPH1158953A
JPH1158953A JP9222188A JP22218897A JPH1158953A JP H1158953 A JPH1158953 A JP H1158953A JP 9222188 A JP9222188 A JP 9222188A JP 22218897 A JP22218897 A JP 22218897A JP H1158953 A JPH1158953 A JP H1158953A
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phthalocyanine
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wavelength
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JP9222188A
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English (en)
Inventor
Akito Miyamoto
明人 宮本
Shinichi Takano
晋一 高野
Katsuyuki Takahashi
克幸 高橋
Toshiaki Kunieda
敏明 国枝
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速記録再生、耐光性及び保存安定性に優れ
た光記録媒体であって、760〜800nmのレーザー
光源を有するCD−Rシステムで記録再生が可能で、か
つ630〜680nmのレーザー光源を搭載したDVD
システムで再生が可能な互換性を有する光記録媒体を実
現し得る記録層用の材料を提供し、そしてかかる光記録
媒体を実現して光による情報の記録再生に用いることを
目的とする。 【解決手段】 本発明は、可視光及び近赤外光の波長範
囲で狭帯化された吸収ピークを持つ吸収スペクトルを呈
し、所定の波長範囲において光の照射により昇華性を呈
するフタロシアニン化合物を用いたフタロシアニン昇華
性材料、及びその材料を記録層2に用いた光記録媒体、
更にはその記録媒体を用いた光記録再生方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フタロシアニン昇
華性材料及びそれを用いた光記録媒体、並びにその光記
録再生方法に関し、特にレーザー光により情報を記録再
生する追記型光記録媒体に適したフタロシアニン昇華性
材料及びそれを用いた光記録媒体、並びにその光記録再
生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、レーザー光により情報を再生する
光記録媒体は、CD、CD−ROMと呼ばれ、音楽再生
用、コンピュター用にと広く普及してきている。
【0003】一般に、これらの構造は、厚さ1.2mm
の透明基板の一方に凹凸情報ピット列を設け、その上か
らアルミ、金、銀等の反射膜を有し、さらに保護膜をコ
ートして作製されている。
【0004】そして、これらは、半導体レーザー光を透
明基板を通して入射し、ピットの凹凸による反射率の変
化から信号を読みとり、情報を再生している。
【0005】また、最近では、記録可能な光ディスクと
してCD−R(一度だけ記録可能)、PD(書き換え可
能型)が開発され、実用化されており、これらは、編集
機能の他に、先に述べたCDやCD−ROMとの互換性
(再生機能)を有する。
【0006】このような光記録媒体は、テルル等のカル
コゲナイト系化合物、希土類金属化合物、シアニン系、
フタロシアニン系、ナフタロシアニン系等の有機化合物
を記録層としたものが実用化されている。
【0007】また、現在の追記型光記録媒体のシステム
で用いているレーザー光の波長は、760〜800nm
であり、CD−Rはこの波長域で記録・再生が可能なよ
うに設計されている。
【0008】しかしながら、今後、公文書、音声、画像
等のデーター量の増大に伴い、光記録媒体の高密度化は
必然であり、これに対応した光記録媒体やシステムの開
発が活発に進められている(これらを一般にDVDと呼
ぶ)。
【0009】このDVDのシステムでは、高密度化を達
成するために、記録再生に用いるレーザー光の波長が6
30〜680nmに短波長化されていることが大きな特
徴の一つである。
【0010】このように、現行のCD−Rシステムや、
DVDシステムでは、それぞれ異なった波長域のレーザ
ー光を用いているため、今後、それぞれのシステムで再
生できる光記録媒体が求められている現状にある。
【0011】しかし、一般に、CD−Rの記録層には、
600〜800nmに最大吸収ピークを有する色素を用
い、その色素の膜厚、屈折率、消衰係数等を最適化する
ことにより、760nm〜800nm域で60%以上の
高い反射率が得られるように構成されている。
【0012】このため760nm以下の波長域では、色
素の吸収が大きすぎるため60%以上の反射率を得るこ
とが不可能となり、現在普及しているCD−Rシステム
で記録された情報が、630〜680nm域のレーザー
光を使用するDVDシステムで再生できないこととなっ
ている。
【0013】また、一方で現行のCD−Rの特性として
は、高感度、高速記録再生及び保存安定性に優れたもの
が望まれている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上より、760〜8
00nmのレーザー光を有するCD−Rシステムに適用
可能な高感度、高速記録再生、耐光性、保存安定性に優
れた光記録媒体であって、760〜800nmのレーザ
ー光源を搭載したドライブ装置(CD−Rシステム)で
記録再生が可能で、かつ、630〜680nmのレーザ
ー光源を搭載したドライブ装置(DVDシステム)で再
生が可能な、いわば互換性を持つ光記録媒体(CD−
R)の実現が待望されている現状にある。
【0015】本発明は、かかる要請に応えるべく、76
0〜800nmのレーザー光源を有するCD−Rシステ
ムに適用可能な高速記録再生特性等に優れた光記録媒体
であって、760〜800nmのレーザー光源を搭載し
たCD−Rシステムで記録再生が可能で、かつ630〜
680nmのレーザー光源を搭載したDVDシステムで
再生が可能な互換性を有する光記録媒体を実現し得る記
録層用の材料を提供し、そしてかかる光記録媒体を実際
に実現して光による情報の記録再生に用いることを目的
とする。
【0016】
【課題を解決する手段】この課題を解決するために、本
発明は、可視光及び近赤外光の波長範囲で狭帯化された
吸収ピークを有する吸収スペクトルを呈し、所定の波長
範囲において光の照射により昇華性を呈するフタロシア
ニン化合物を用いたフタロシアニン昇華性材料、及びそ
の材料を記録層に用いた光記録媒体、更にはその記録媒
体を用いた光記録再生方法である。
【0017】このような構成により、760〜800n
mのレーザー光源を有するCD−Rシステムに適用可能
な高速記録再生特性等に優れた光記録媒体であって、7
60〜800nmのレーザー光源を搭載したCD−Rシ
ステムで記録再生が可能で、かつ630〜680nmの
レーザー光源を搭載したDVDシステムで再生が可能な
互換性を有する光記録媒体を実現し得る記録層用の材料
を提供し、そしてかかる光記録媒体を実際に実現して光
による情報の記録再生に用いることを可能とする。
【0018】
【発明の実施の形態】請求項1記載の本発明は、可視光
及び近赤外光の波長範囲で狭帯化された吸収ピークを有
する吸収スペクトルを呈し、所定の波長範囲において光
の照射により昇華性を呈するフタロシアニン化合物を用
いたフタロシアニン昇華性材料である。
【0019】このようにフタロシアニン化合物を用いる
ことにより、従来のそれと少なくとも同等以上の記録再
生特性、耐光性、耐熱性及び保存安定性を確保し、かつ
可視光及び近赤外光の波長範囲で狭帯化された吸収ピー
クを有する吸収スペクトルを有することにより、吸収ピ
ークの比較的近傍の波長から反射と吸収のバランスがと
れた光学特性を呈し得て、光記録媒体の記録層に適用し
た場合には、従来に比して広い波長範囲で光の吸収によ
り昇華してピットを形成し情報を確実に記録し得るとと
もに、従来に比して広い波長範囲でピット形成部分以外
の未記録部分の反射率が十分高いがためにその記録され
た情報の再生を確実に行い得る。
【0020】もちろん、かかるフタロシアニン化合物
は、同様の特性を有する異種のものを組み合わせてフタ
ロシアニン昇華性材料としてもよい。
【0021】なお、ここでいう昇華とは、固体の気化、
蒸発を意味する。より具体的には、請求項2記載のよう
に、吸収ピークは最大吸収ピークであり、前記最大吸収
ピークの長波長側の波長範囲で昇華性を呈するととも
に、前記最大吸収ピークの長波長側及び短波長側の波長
の光の照射に対して15%以上の反射率を有することが
好適であり、更に、請求項3記載のように、最大吸収ピ
ークは、680〜760nmの波長範囲で吸光係数がε
≧104 cm-1である最大吸収ピークであり、前記最
大吸収ピークの半価幅が40〜90nmの範囲にあるこ
とが好適である。
【0022】前者の構成によっては、光記録媒体の記録
層に適用した場合には、最大吸収ピークから長波長側
で、従来に比して広い波長範囲で光の吸収により昇華し
てピットを形成し情報を確実に記録し得るとともに、ピ
ット形成部分以外の未記録部分の反射率が長波長側及び
短波長側で十分高いがためにその記録された情報の再生
を確実に行い得る。
【0023】更に、後者の構成では、光記録媒体の記録
層に適用した場合には、最大吸収ピークが存在する68
0〜760nmの波長範囲から長波長側で、従来に比し
て広い波長範囲で光の吸収により昇華してピットを形成
し情報を確実に記録し得るとともに、その680〜76
0nmの波長範囲外でピット形成部分以外の未記録部分
の反射率が十分高いがためにその記録された情報の再生
を確実に行い得る。
【0024】ここで、請求項4記載のように、フタロシ
アニン化合物の分子の配向方向が、入射される光の入射
方向と略垂直方向であることが好ましく、換言すれば請
求項5記載のように、CuKα線を用いたX線回折パタ
ーンのブラッグ角(2θ)が25.5°〜27.5°に
回折ピークを有するものである。
【0025】かかる構成により、配向方向に垂直に入射
する光に対して、吸光係数と、屈折率、反射率とのバラ
ンスがとれ、かつ狭帯化された吸収ピークを有する吸収
スペクトルをより確実に呈することとなる。
【0026】そして、請求項6記載のように、用いられ
るフタロシアニン化合物が、下記一般式(化2)で示さ
れる請求項1から5のいずれかにフタロシアニン昇華性
材料であることが好適である。
【0027】
【化2】
【0028】ここで、R1〜R8は同一でも異なってい
てもよい水素または1価の有機残基である置換基を示
し、MはSi、Ge、Snから選択される金属元素であ
り、X1、X2は同一でも異なっていてもよいハロゲン
または1価の有機残基である。
【0029】更に、より好適には、請求項7記載のよう
に、請求項6記載の(化1)において、MがSiまたは
Snであり、X1、X2は同一でも異なっていてもよい
塩素、フェニル基またはメチル基である。
【0030】このR1〜R8の1価の有機残基として
は、分岐していてもしていなくてもよいアルキル基、周
辺が置換されていてもいなくてもよいアリール基、アル
コキシ、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アリールオキ
シ、アルキルチオ、アリールチオ、ニトロ基、アミノ
基、アミノアルキル基、シアノ基、シアノアルキル基、
周辺が置換されていてもいなくてもよい3員環以上の複
素環等であり、特に狭帯化された吸収スペクトルを確実
かつ安定的に得る観点からいえば、水素またはハロゲン
元素が好ましい。
【0031】また、Mの金属元素はSi、Ge、Snか
ら選ばれるが、特に狭帯化された吸収スペクトルを確実
かつ安定的に得る観点からいえば、ジクロロスズフタロ
シアニン、ジクロロシリコンフタロシアニン、ジフェニ
ルスズフタロシアニン、メチルクロロシリコンフタロシ
アニン化合物が好ましい。
【0032】また、X1、X2は、特に狭帯化された吸
収スペクトルを確実かつ安定的に得る観点から、特にハ
ロゲン、さらに望ましくは塩素が好ましい。
【0033】かかるフタロシアニン化合物を用いれば、
耐光性、耐熱性、保存安定性に優れ、波長範囲760〜
800nm及び630〜680nmにおいて15%以
上、場合によっては20%以上の高い反射率を呈し、昇
華による反射率の光学特性変化を利用した光記録媒体の
記録層として有用である。
【0034】そして、かかるフタロシアニン昇華性材料
は、請求項8記載のように、蒸着膜として形成されたも
のが好適である。
【0035】このように、蒸着膜にすることにより、特
にフタロシアニン化合物の分子の配向方向が、入射され
る光の入射方向と略垂直方向である構成が確実に得ら
れ、狭帯化された吸収スペクトルを確実かつ安定的に得
る。
【0036】この蒸着方法としては、10-3〜10-4
aの真空下で、蒸着原料を抵抗加熱方式により蒸着し、
その蒸着速度が0.1から200nm/sの範囲で基板
上に蒸着することが好適である。
【0037】次に、請求項9記載の本発明は、記録光が
照射されることにより反射率変化を生じて情報を記録す
る記録層を有する光記録媒体であって、前記記録層が請
求項1から8のいずれかに記載のフタロシアニン昇華性
材料を含む光記録媒体である。
【0038】この記録層の反射率変化は、かかるフタロ
シアニン昇華性材料への光照射によるピットの形成によ
りなされ、更にこの材料を用いた記録層は、耐光性、耐
熱性及び保存安定性に優れ、かつ狭帯域化された吸収ス
ペクトルを有するため、結果として高感度、高速記録及
び高信頼性の追記型光記録媒体、より具体的は、波長範
囲が760〜800nm域で記録再生が可能で、かつ6
30〜680nm域で再生が可能なDVDシステム等の
高密度記録再生システムと互換性もあるCD−Rが実現
される。
【0039】この記録層の作製方法は、フタロシアニン
化合物の昇華や蒸発を利用した方法例えば、真空蒸着
法、スパッタ法、イオンプレーティング法等が好適に用
い得るが、スピンコート法によってもよい。
【0040】また、必要に応じて、光安定化剤、酸化防
止剤等との複合化もし得るが、スピンコート法では、溶
液中でかかる化合物と混合しておくこと、また蒸着法等
ではかかる化合物と同時に蒸着等を行うことにより可能
である。
【0041】ここで、請求項10記載のように、記録層
の一方に透明の基板が隣接して形成され、前記記録層の
他方に反射層が隣接して形成された構成であってもよ
い。
【0042】この透明基板としては、光学特性として、
400〜800nmの範囲で高い透過率を示すものであ
ればよく、透過率は80%以上が望ましく、90%以上
あればより好ましい。
【0043】この透明基板の材質としては、ガラス、ア
クリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、
ポリスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂等からなる基板
が挙げられ、ポリカーボオネートが一般的である。
【0044】また、反射層は使用する光源に対して反射
率の高い材料を用いることになるが、使用する材料とし
ては、請求項13記載のように、金、銀、銅、白金、ア
ルミニウム、コバルト、錫、ニッケル等の金属が好まし
く、これらを単独または合金として使用できることがで
きる。もちろん、これら金属に限られるものではなく有
機系の高反射膜を使用することも可能である。
【0045】また、この反射層の膜厚は20〜200n
mが望ましく、形成法としてはスパッタ法または真空蒸
着法により好適に形成される。
【0046】また、請求項11記載のように、基板を介
した反射率が、波長範囲が760〜800nmの光に対
して60%以上であり、更に請求項12記載のように、
基板を介した反射率が、波長範囲が630〜680nm
の光に対して55%以上であることが好ましい。
【0047】かかる構成により、波長範囲が760〜8
00nm域での記録に加え確実なる再生、更には630
〜680nm域での確実なる再生が可能となり、DVD
システム等の高密度記録再生システムと互換性のあるC
D−Rが実現される。
【0048】また、請求項14記載のように、更に、反
射層の外方側に隣接して保護層が形成された構成であっ
てもよい。
【0049】この保護層は、記録層または反射層に対す
る傷や汚れの保護や保存安定性のために設けられるもの
で、無機材料としては、SiOやSiO2等が使用で
き、有機材料では、ポリメチルアクリレート、ポリカー
ボネート、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリエステル
樹脂、ビニル樹脂、セルロース、脂肪族系炭化水素樹脂
系、天然ゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロ
ジン等の熱軟化性、熱溶融樹脂等が用いることができ、
場合によっては、熱硬化性や光硬化性樹脂を用いてもよ
い。
【0050】更に、この保護層には、必要に応じ、難燃
剤、安定剤、帯電防止剤等を添加することができる。
【0051】また、請求項15記載のように、記録層の
厚さが、1〜200nmの範囲であることが、光学特性
上及び作製条件上等の観点から好ましい。
【0052】そして、請求項16記載の発明は、請求項
9から15のいずれかに記載の光記録媒体を用いて、波
長範囲760〜800nmのレーザー光を照射して情報
を記録及び/または再生する光記録再生方法である。
【0053】または、請求項17記載のように、請求項
9から15のいずれかに記載の光記録媒体を用いて、波
長範囲760〜800nmのレーザー光を照射して情報
を記録及び/または再生し、波長範囲600〜680n
mのレーザー光を照射して情報を再生する光記録再生方
法である。
【0054】または、請求項18記載のように、請求項
9から15のいずれかに記載の光記録媒体を用いて、波
長範囲600〜680nmのレーザー光を照射して情報
を再生する光再生方法である。
【0055】即ち、本発明者は、吸収ピークを狭帯域化
した有機材料を記録層に適用すれば、その吸収ピークを
挟むような2つの異なった波長領域で吸収と反射のバラ
ンスととることが可能となり、それらの波長領域の双方
で記録再生または再生を行い得るという技術的思想に基
づき、このような条件を満足する有機材料の探索を行っ
た結果、以上のような本発明を想到したものである。
【0056】本発明者の検討によれば、一般に、フタロ
シアニン系化合物の吸収スペクトルは、溶液状態と結晶
状態では異なる。
【0057】例えば、フタロシアニン系化合物の中でも
数多く研究報告がなされている銅フタロシアニン(Cu
Pc)は、溶液状態では吸収スペクトルのピークは非常
にシャープであり(半価幅20〜40nm)、これはC
uPcは溶液状態では単分子状態であることを示してい
ると考えられる。
【0058】これに対して蒸着膜等の固体膜の吸収スペ
クトルは、半価幅200nm以上と溶液状態に比べ非常
にブロードになる。これは、結晶状態では分子間の相互
作用により、溶液とは異なった吸収スペクトルを示すよ
うになるためである。
【0059】例えば、CuPcに代表されるように、そ
のX線回折パターンは、低角(2θ≦12°)に強い回
折ピークが観測され、フタロシアニン蒸着膜の分子配向
は、一般的には基板に対してフタロシアニン分子面がほ
ぼ垂直に配向していると考えられる。
【0060】また、CuPcの結晶系にはα型、β型、
ε型なのどの結晶系が知られており、これらの結晶系に
おいても吸収スペクトルがそれぞれ異なる。
【0061】更に、フタロシアニン膜の結晶系や配向性
は、膜作製条件、例えば、蒸着による場合には、蒸着速
度、基板温度等の蒸着条件に大きく左右され、フタロシ
アニン薄膜の作製時には、目的とする特性を得るための
薄膜作製条件を見いだす必要性もある。
【0062】例えば、Thin solid Film
s,256(1995)64−67等に報告されている
ように基板温度が100℃以上では三斜晶系の薄膜が成
長し、また、室温では単斜晶系のPbPc薄膜が成長
し、これらの吸収スペクトルは、それぞれのフタロシア
ニン分子の配向性の違いにより大きく異なることも報告
されている。
【0063】従って、溶液状態の単分子状態に類する状
態の結晶系を、固体状態で安定的に形成してやれば、求
める狭帯域化された吸収スペクトルを得ることができる
こととなる。もちろん、この場合、かかる状態で、耐光
性、耐熱性や保存安定性をも満足する材料を得ることも
必要である。
【0064】本発明は、かかる観点からなされたもの
で、フタロシアニン化合物に特定の分子面の配向状態を
付与すれば、必要な記録再生特性、耐光性、耐熱性及び
保存安定性を確保し、かつ可視光及び近赤外光の波長範
囲で狭帯化された吸収ピークを有する吸収スペクトルを
有する特性を確実に実現し得ることを新たに見出し完成
されたものである。
【0065】以下、各実施の形態により、本発明を図面
を参照しながら詳細に説明する。 (実施の形態1)本実施の形態では、フタロシアニン昇
華性材料の代表例について説明する。
【0066】本実施の形態では、まず27×25×3m
mの大きさの石英基板を用い、有機薄膜の原料として塩
化第二錫(IV)フタロシアニン(東京化成製:SnCl
2−Pc)を200nmの厚さとなるように真空蒸着法
により形成した。
【0067】この真空蒸着は、10-3〜10-4Paの真
空下で、蒸着原料をタングステンボートに入れ、抵抗加
熱方式により蒸着し、この蒸着速度は0.1nm/s
で、基板温度は室温で行った。
【0068】なお、有機薄膜の膜厚は、DEEKTAK
3 ST(SLOAN社製)を用いて計測した。
【0069】次に、この有機薄膜のCuKαX線の回折
パターンを図1に示す。この測定は、X線回折装置(理
学電機製:RAD−B)で、θ−2θ法により行った。
【0070】図1に示すように、本実施の形態の有機薄
膜は、回折ピークが、2θ=26.6°にであり、分子
の配向面が平行になった薄膜であることがわかる。
【0071】なお、図1の2θ=22°付近のブロード
なピークは、下地の石英基板のピークである。
【0072】次に、この有機薄膜の吸収スペクトルを図
2に示す。この測定は、分光光度計(日立製作所製:U
−4000)を用いて行った。
【0073】図2に示すように、最大吸収スペクトル
は、748nm、その半価幅が50nmであり、反射率
も780nmで20%であった。
【0074】また、748nmにおける吸光係数εは、
ε=4X105cm-1であった。この吸光係数ε(λ)
は、膜厚L(cm)の所定層、例えば記録層に波長λの
単色光を透過する場合、入射する単位面積当たりの光強
度I0(λ)(W/cm2)、透過する単位面積当たりの
光強度をI(λ)(W/cm2)とすると、透過前後の
光強度の関係を示したランベルトの法則による以下の
(数1)中に表現され、この(数1)から算出した。な
お左辺は、吸光度に対応する。
【0075】
【数1】
【0076】この(数1)は、厳密に議論すると、多重
干渉を無視できる希釈溶液で成立し、薄膜などの多重干
渉が無視できない状態では成立しないが、各ピーク波長
における吸光係数の大きい波長領域では、膜内で入射光
の急激な減衰が発生し、実質上(数1)に従うと考えて
よい。
【0077】以上のように、本実施の形態では、特定の
フタロシアニン化合物を用いれば、可視光及び近赤外光
の波長範囲で狭帯化された吸収ピークを持つ吸収スペク
トルを有する有機薄膜を確実に得ることができることが
わかる。
【0078】(実施の形態2)本実施の形態では、可視
光及び近赤外光の波長範囲で狭帯化された吸収ピークを
有する吸収スペクトルを呈するフタロシアニン化合物の
有機薄膜を用いた記録媒体について説明する。
【0079】図3は、本実施形態の追記型光記録媒体の
断面図を示す。図3において、1は基板、2は基板1上
に設けられた記録層、3は記録層2上に設けられた反射
層、及び4は反射層3上に設けられた保護層である。
【0080】この基板1は、一例としてポリカーボネー
ト製の円盤状の透明基板を用い、厚さ1.2mm、トラ
ックピッチ1.6μm、案内溝幅0.8μm、溝深さ7
6nmの形状に射出成形したものである。なお、案内溝
の形状については、平均溝幅は0.3〜1.2μm、溝
深さは70〜200nmの範囲が好ましい。
【0081】そして、この基板1上に有機記録層2を形
成し、さらに記録層2上に反射層3として金をスパッタ
ー法で積層し、最後にUV硬化樹脂で保護層4を形成し
たものである。
【0082】ここで、記録層3は、一例として実施の形
態1の塩化錫フタロシアニン(東京化成製:SnCl2
−Pc)を用いて、100nmの厚さになるように真空
蒸着法により形成したものである。
【0083】この記録層3は、10-3〜10-4Paの真
空下で、蒸着原料をタングステンボートに入れ、抵抗加
熱方式により蒸着して形成し、その際の蒸着速度は0.
2nm/sであり、基板温度は室温で行った。
【0084】図4に、この記録層3のCuKα線を用い
たX線回折パターン、図5に、その吸収スペクトルを示
す。
【0085】図4において、本実施の形態における記録
層3は、2θ=26.8°に回折ピークを有することが
わかる。なお、図4の2θ=17°付近のブロードなピ
ークは、下地のポリカーボネートの透明基板1のピーク
である。
【0086】また、図5において、最大吸収スペクトル
は、748nmであり、その半価幅が50nmで、吸光
係数ε=1X105cm-1であった。
【0087】以上のように構成された光記録媒体を10
個作製し、透明基板1を通して記録層2にレーザー光を
照射し、このときに発生する熱によりピットを形成す
る、いをゆるヒートモード方式により記録を行い、その
後再生を試みた。
【0088】具体的には、780nmの半導体レーザー
により、記録速度1.5m/sでピットを生成をして記
録を行い、その後、780nm及び650nmの半導体
レーザーにより、再生速度1.5m/s、0.5mWで
再生を行った。
【0089】その結果、780nmでの未記録部分の反
射率は70%、記録感度は8mWであり、更に11T信
号出力については、市販のCD出力を1と規格化する
と、0.8〜0.9の出力が確認され、オレンジブック
の規格を十分に満足したデータを得た。
【0090】また、650nmでの未記録部分の反射率
は60%、11T信号出力は、市販のCD比で0.4以
上の出力が確認され、650nmの半導体レーザーにお
いても、十分に実用的な再生結果であった。
【0091】なお、以上のデータは、10個の媒体の平
均値である。そして、以上の再生行程を、1000回行
ったが、再生出力及びCN出力ともに劣化は見られなか
った。
【0092】更に、760〜800nm、630〜68
0nmの範囲内で入手可能な他のレーザ光源を用いて同
様の測定を行ったが、同様の結果が確認された。
【0093】以上のように、本実施の形態では、狭帯化
された吸収ピークを持つ吸収スペクトルを有する特定の
フタロシアニン化合物を用いれば、そのピークの長波長
側で記録再生が十分使用可能な追記型光記録媒体を実現
することができ、そのピークの短波長側で再生が可能な
光記録媒体が実現できたことがわかる。
【0094】(実施の形態3)本実施の形態では、実施
の形態1の有機色素を、ジクロロシリコンフタロシアニ
ン(SiCl2−Pc)に変えたこと以外は同様に、フ
タロシアニン昇華性材料を用いた薄膜を作製した。
【0095】この有機薄膜のX線回折パターンを図6に
示す。図6に示すように、本実施の形態の有機薄膜は、
回折ピークが2θ=26.4°であり、分子の配向面が
平行になった薄膜であることがわかる。
【0096】なお、図6の2θ=20°付近のブロード
なピークは、下地の石英基板のピークである。
【0097】次に、この有機薄膜の吸収スペクトルを図
7に示す。図7に示すように、最大吸収スペクトルは、
748nmにあり、その半価幅、780nmにおける反
射率、及び748nmにおける吸光係数も実施の形態1
の結果と同様であった。
【0098】以上のように、本実施の形態によっても、
特定のフタロシアニン化合物を用いれば、可視光及び近
赤外光の波長範囲で狭帯化された吸収ピークを持つ吸収
スペクトルを有する有機薄膜を確実に得ることができる
ことがわかる。
【0099】(実施の形態4)本実施の形態では、実施
の形態2の有機色素を、実施の形態3のジクロロシリコ
ンフタロシアニン(SiCl2−Pc)に変えたこと以
外は、同様に光記録媒体を作製し、同様に記録再生を行
った。
【0100】その結果、780nmでの未記録部分の反
射率は68%、記録感度8mW、11T信号出力は、市
販のCD比で0.8の出力が確認された。
【0101】また、650nmでの未記録部分の反射率
は60%、11T信号出力は、市販のCD比に対して
0.4の出力が確認された。
【0102】以上のように、本実施の形態でも、実施の
形態2と同様の結果を得ており、狭帯化された吸収ピー
クを持つ吸収スペクトルを有する特定のフタロシアニン
化合物を用いれば、そのピークの長波長側で記録再生が
十分使用可能な追記型光記録媒体を実現することがで
き、そのピークの短波長側で再生が可能な光記録媒体が
実現できたことがわかる。
【0103】(実施の形態5〜8)実施の形態5〜8で
は、実施の形態1及び2において、前述の(化2)で示
されるフタロシアニン系化合物として、臭化スズフタロ
シアニン(SnBr2−Pc)、ヨウ化スズフタロシア
ニン(SnI2−Pc)、ジフェニルスズフタロシアニ
ン(SnPh2−Pc)、メチルクロロシリコンフタロ
シアニン(MeSiCl−Pc)を用いたこと以外は同
様に、フタロシアニン昇華性材料及び光記録媒体を作製
した。
【0104】以下の(表1)に、実施の形態5〜7の有
機薄膜の最大吸収ピーク波長及びX線回折による回折ピ
ークを示すブラッグ角(2θ)を示す。
【0105】
【表1】
【0106】この(表1)で示すように、各薄膜の最大
吸収ピーク波長は、680〜760nmにあり、また、
CuKα線を用いたX線回折のブラッグ角(2θ)も2
5.5°〜27.5°の範囲に存在していることがわか
る。
【0107】次に、以上の薄膜を、実施の形態2と同様
に光記録媒体に適用し、記録再生を行った。
【0108】以下の(表2)に、レーザー波長780n
mに対する未記録部分の反射率、記録感度及び再生出力
結果を示し、(表3)に、レーザー波長650nmでの
未記録部分での反射率、及び650nmの再生出力を市
販のCD出力を1と規格化した値を示す。
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】これらの(表2)、(表3)で示すよう
に、780nm記録再生特性、及び650nmの再生特
性は、実施の形態2と遜色ないもであった。
【0112】以上のように、これらの実施の形態によっ
ても、特定のフタロシアニン化合物を用いれば、可視光
及び近赤外光の波長範囲で狭帯化された吸収ピークを持
つ吸収スペクトルを有する有機薄膜を得ることができる
ことがわかり、狭帯化された吸収ピークを持つ吸収スペ
クトルを有する特定のフタロシアニン化合物を用いれ
ば、そのピークの長波長側で記録・再生が十分使用可能
な追記型光記録媒体を実現することができ、そのピーク
の短波長側で再生が可能な光記録媒体が実現できたこと
がわかる。
【0113】(比較例1)本比較例では、まず、実施の
形態1において、有機色素を銅フタロシアニン(CuP
c)に変えたこと以外は同様に、フタロシアニン昇華性
材料を用いた薄膜を作製した。
【0114】図8に、CuKα線を用いたX線回折パタ
ーン、図9に、その吸収スペクトルを示す。
【0115】図8に示すように、このX線回折パターン
は、ブラック角度2θ=6.8°(面間隔d=1.28
nm)のピークが最大である。なお、2θ=22°付近
のブロードなピークは、下地の石英基板のピークであ
る。
【0116】また、図9に示すように、最大吸収スペク
トルは610nmにあり、半価幅も200nmである。
【0117】そして、記録層をこの銅フタロシアニンに
変えたこと以外は実施の形態2と同様に、光記録媒体を
作製し、記録再生を行った。
【0118】しかし、780nmにおける記録感度は1
2mWで、記録に要するレザーパワーが非常に大きく、
規格を満足する記録感度が得られなかった。更に、78
0nm及び650nmにおける再生では出力は確認され
なかった。
【0119】(比較例2)本比較例では、まず、実施の
形態1において、有機色素をクロロアルミニウムフタロ
シアニン(AlCl−Pc)に変えたこと以外は同様
に、フタロシアニン昇華性材料を用いた薄膜を作製した
した。
【0120】図10に、CuKα線を用いたX線回折パ
ターン、図11に、その吸収スペクトルを示す。
【0121】図10に示すように、このX線回折パター
ンは、ブラック角度2θ=6.7°(面間隔d=1.3
1nm)のピークが最大である。
【0122】また、図11に示すように、最大吸収スペ
クトルは620nmにあり、半価幅も200nmであ
る。
【0123】そして、記録層をこのクロロアルミニウム
フタロシアニンに変えたこと以外は実施の形態2と同様
に、光記録媒体を作製し、記録再生を行った。
【0124】しかし、780nmにおける記録感度は1
3mW以上で、記録に要するレザーパワーが非常に大き
く、規格を満足する記録感度が得られなかった。更に、
780nm及び650nmにおける再生では出力は確認
されなかった。
【0125】(比較例3)本比較例では、まず実施の形
態1において、有機色素をフタロシアニン環が塩素化さ
れた亜鉛フタロシアニン(Zn−PcCl)に変えたこ
と以外は同様にフタロシアニン昇華性材料を用いた薄膜
を作製したした。
【0126】図12に、CuKα線を用いたX線回折パ
ターン、図11に、その吸収スペクトルを示す。
【0127】この図12図に示すように、X線回折パタ
ーンは、ブラック角度2θ=6.86(d=1.28n
m)のピークが最大である。
【0128】また、図13に示すように、最大吸収スペ
クトルは625nmにあり、半価幅も200nmであ
る。
【0129】そして、記録層をこの亜鉛フタロシアニン
に変えたこと以外は実施の形態2と同様に、光記録媒体
を作製し、記録再生を行った。
【0130】しかし、780nmにおける記録感度は1
3mW以上で、記録に要するレザーパワーが非常に大き
く、規格を満足する記録感度が得られなかった。更に、
780nm及び650nmにおける再生では出力は確認
されなかった。
【0131】以上の本発明の各実施の形態と各比較例と
を対比すると、各比較例においては、可視光及び近赤外
光の波長範囲で狭帯化された吸収ピークを有する有機薄
膜を得ることができておらず、それ故、本発明の各実施
の形態で可能とした本発明の各実施の形態が呈するピー
クの長波長側で記録再生及びそのピークの短波長側で再
生が可能な光記録媒体が実現され得ていないことがわか
る。
【0132】
【発明の効果】以上のように、本発明は、可視光及び近
赤外光の波長範囲で狭帯化された吸収ピークを呈する吸
収スペクトルを有し、所定の波長範囲において光の照射
により昇華性を呈するフタロシアニン化合物を用いたフ
タロシアニン昇華性材料を確実に提供することができ、
そのような材料を記録層に用いた光記録媒体は、高感
度、高速記録及び高信頼性の追記型光記録媒体として機
能し、特にレーザー光の波長が760〜800nm域で
好適に記録再生が可能であって、かつ630〜680n
m域でも好適に再生が可能であるという特性を実現する
ことができ、いわゆる高密度ドライブと互換性のある光
記録媒体を実現することができる。
【0133】更に、このような光記録媒体を用いて、波
長域760〜800nmにおける光記録再生方法や波長
域630〜680nmにおける光再生方法をも、実際に
実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における有機色素材料
(SnCl2−Pc)の蒸着膜のX線回折パターン図
【図2】同蒸着膜の吸収スペクトル図
【図3】本発明の実施の形態2における光記録媒体の構
造図
【図4】同光記録媒体の記録層のX線回折パターン図
【図5】同光記録媒体の記録層の吸収スペクトル図
【図6】本発明の実施の形態3における有機色素材料
(SiCl2−Pc)の蒸着膜のX線回折パターン図
【図7】同蒸着膜の吸収スペクトル図
【図8】比較例1の有機色素材料(CuPc)の蒸着膜
のX線回折パターン図
【図9】同蒸着膜の吸収スペクトル図
【図10】比較例2の有機色素材料(AlCl−Pc)
の蒸着膜のX線回折パターン図
【図11】同蒸着膜の吸収スペクトル図
【図12】比較例3の有機色素材料(Zn−PcCl)
の蒸着膜のX線回折パターン図
【図13】同蒸着膜の吸収スペクトル図
【符号の説明】
1 基板 2 記録層 3 反射層 4 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 国枝 敏明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可視光及び近赤外光の波長範囲で狭帯化
    された吸収ピークを有する吸収スペクトルを呈し、所定
    の波長範囲において光の照射により昇華性を呈するフタ
    ロシアニン化合物を用いたフタロシアニン昇華性材料。
  2. 【請求項2】 吸収ピークは最大吸収ピークであり、前
    記最大吸収ピークの長波長側の波長範囲で昇華性を呈す
    るとともに、前記最大吸収ピークの長波長側及び短波長
    側の波長の光の照射に対して15%以上の反射率を有す
    る請求項1記載のフタロシアニン昇華性材料。
  3. 【請求項3】 最大吸収ピークは、680〜760nm
    の波長範囲で吸光係数がε≧104 cm-1である最大
    吸収ピークであり、前記最大吸収ピークの半価幅が40
    〜90nmの範囲にある請求項2記載のフタロシアニン
    昇華性材料。
  4. 【請求項4】 フタロシアニン化合物の分子の配向方向
    が、入射される光の入射方向と略垂直方向である請求項
    1から3のいずれかに記載のフタロシアニン昇華性材
    料。
  5. 【請求項5】 CuKα線を用いたX線回折パターンの
    ブラッグ角(2θ)が25.5°〜27.5°に回折ピ
    ークを有する請求項4記載のフタロシアニン昇華性材
    料。
  6. 【請求項6】 フタロシアニン化合物が、下記一般式
    (化1)で示される請求項1から5のいずれかにフタロ
    シアニン昇華性材料。 【化1】 ここで、R1〜R8は同一でも異なっていてもよい水素
    または1価の有機残基である置換基を示し、MはSi、
    Ge、Snから選択される金属元素であり、X1、X2
    は同一でも異なっていてもよいハロゲンまたは1価の有
    機残基である。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の(化1)において、Mが
    SiまたはSnであり、X1、X2は同一でも異なって
    いてもよい塩素、フェニル基またはメチル基である請求
    項6記載のフタロシアニン昇華性材料。
  8. 【請求項8】 蒸着膜として形成された請求項1から7
    のいずれかに記載のフタロシアニン昇華性材料。
  9. 【請求項9】 記録光が照射されることにより反射率変
    化を生じて情報を記録する記録層を有する光記録媒体で
    あって、前記記録層が請求項1から8のいずれかに記載
    のフタロシアニン昇華性材料を含む光記録媒体。
  10. 【請求項10】 記録層の一方に透明の基板が隣接して
    形成され、前記記録層の他方に反射層が隣接して形成さ
    れた請求項9記載の光記録媒体。
  11. 【請求項11】 基板を介した反射率が、波長範囲が7
    60〜800nmの光に対して60%以上である請求項
    10記載の光記録媒体。
  12. 【請求項12】 基板を介した反射率が、波長範囲が6
    30〜680nmの光に対して55%以上である請求項
    10または11記載の光記録媒体。
  13. 【請求項13】 反射層が、金属層である請求項10か
    ら12のいずれかに記載の光記録媒体。
  14. 【請求項14】 更に、反射層の外方側に隣接して保護
    層が形成された請求項10から13のいずれかに記載の
    光記録媒体。
  15. 【請求項15】 記録層の厚さが、1〜200nmの範
    囲である請求項9から14のいずれかに記載の光記録媒
    体。
  16. 【請求項16】 請求項9から15のいずれかに記載の
    光記録媒体を用いて、波長範囲760〜800nmのレ
    ーザー光を照射して情報を記録及び/または再生する光
    記録再生方法。
  17. 【請求項17】 請求項9から15のいずれかに記載の
    光記録媒体を用いて、波長範囲760〜800nmのレ
    ーザー光を照射して情報を記録及び/または再生し、波
    長範囲600〜680nmのレーザー光を照射して情報
    を再生する光記録再生方法。
  18. 【請求項18】 請求項9から15のいずれかに記載の
    光記録媒体を用いて、波長範囲600〜680nmのレ
    ーザー光を照射して情報を再生する光再生方法。
JP9222188A 1997-08-19 1997-08-19 フタロシアニン昇華性材料及びそれを用いた光記録媒体、並びにその光記録再生方法 Pending JPH1158953A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003019548A1 (de) * 2001-08-22 2003-03-06 Bayer Chemicals Ag Optischer datenträger enthaltend in der informationsschicht einen phthalocyaninfarbstoff als lichtabsorbierende verbindung
WO2003079339A1 (de) * 2002-03-19 2003-09-25 Bayer Chemicals Ag Squaryliumfarbstoffe als lichtabsorbierende verbindung in der informationschicht von optischen datenträgern
JP2010002892A (ja) * 2008-05-22 2010-01-07 Konica Minolta Business Technologies Inc フルカラー画像形成方法

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