JPH1158808A - サーマルプリンタの制御装置及び方法並びに制御プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 サーマルヘッドにオーバーヒートが生じたと
きの回復に要する時間を短縮する。 【構成】 サーマルヘッド２の温度を温度センサ４によ
り検出する。マイクロコンピュータ１はサーマルヘッド
２の検出温度に基づいて、そのオーバーヒートを検知
し、サーマルヘッド２への通電を停止する。また、通電
停止中も紙送り用のステッピングモータ３を駆動し、サ
ーマルヘッド２に感熱紙を供給し続ける。オーバーヒー
トが解消された時点で、通電停止時の印字位置まで感熱
紙を逆送し、印字動作を再開する。サーマルヘッド２に
蓄積する熱が、感熱紙及びプラテンローラを介して効率
よく放散される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はファクシミリ、汎用
印字機器等に使用されるサーマルプリンタの制御装置及
び方法並びに制御プログラムを記録した記録媒体に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】ファクシミリの印字部には、サーマルヘ
ッドの発熱により感熱紙に印字を行うサーマルプリンタ
が多用されている。このサーマルプリンタにおいては、
サーマルヘッドでの印字に寄与しない余分な発熱を効率
よく放散させることが必要である。なぜなら、サーマル
ヘッドがオーバーヒートすると、印字品質が著しく低下
し、最悪の場合はサーマルヘッドの破損を招くからであ
る。このために、従来から種々のオーバーヒート対策が
講じられてきた。

【０００３】しかしながら、種々のオーバーヒート対策
にもかかわらず、連続使用時間、印字密度等によって
は、依然としてサーマルヘッドのオーバーヒートを避け
得ないのが実情である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】サーマルヘッドのオー
バーヒートが検知された場合、従来はその時点で印字を
停止し、サーマルヘッドの冷却を待って印字を再開する
ようにしている。一旦オーバーヒートが生じると、使用
可能な温度に冷えるまでに比較的長い時間がかかり、こ
の間、ファクシミリ等を使用できないという問題があ
る。

【０００５】本発明はかかる事情に鑑みて創案されたも
のであり、サーマルヘッドにオーバーヒートが生じたと
きにサーマルヘッドの放熱を促進し、印字再開までの待
機時間を短縮することにより、サーマルプリンタの稼働
率向上を可能にするサーマルプリンタの制御装置及び方
法並びに制御プログラムを記録した記録媒体を提供する
ことを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、サーマルヘッドの検出温度よりサーマ
ルヘッドのオーバーヒートの発生及び解消を検知し、サ
ーマルヘッドのオーバーヒートの発生が検知されたとき
にサーマルヘッドへの通電を停止し、そのオーバーヒー
トが解消されるまで通電停止状態のまま紙送りを続ける
いわゆる空送りを行う。

【０００７】このような構成によると、サーマルヘッド
への通電を停止した状態で紙送りが続けられることによ
り、プラテンローラと呼ばれる給紙ローラが回転し、サ
ーマルヘッドに新たに感熱紙が供給されるので、蓄積す
る熱が感熱紙及びプラテンローラを介して効率よく放出
される。因みに、従来はサーマルヘッドへの通電が停止
した状態で紙送りも停止するので、感熱紙及びプラテン
ローラを介した放熱が十分でなかった。

【０００８】好ましくは、サーマルヘッドのオーバーヒ
ートが解消された時点で、通電停止時の印字位置まで感
熱紙を逆送して印字動作を再開する。これによると、空
送りによる余白が感熱紙に生じない。

【０００９】また好ましくは、通電停止時における紙送
り速度を通常の紙送り速度よりも遅くする。これによる
と、感熱紙の空送り量が少なくなり、印字動作を再開す
る際に感熱紙の逆送を行う場合はその逆送時間が短縮さ
れ、その逆送を行わない場合は空送りによる余白が小さ
く抑えられる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図１は本発明の実施形態に係るサー
マルプリンタの制御装置の構成図、図２は同制御装置に
おいてマイクロコンピュータにより実行されるソフトウ
エアのフローチャートである。

【００１１】本発明の実施形態に係るサーマルプリンタ
の制御装置は、図１に示すように、当該サーマルプリン
タを備えた例えばファクシミリを統括的に制御するマイ
クロコンピュータ１を用いて、サーマルヘッド２及びス
テッピングモータ３を制御する構成となっている。ステ
ッピングモータ３は、サーマルヘッド２に対設されるプ
ラテンローラを駆動して紙送りを行うためのものであ
る。

【００１２】上記制御のために、マイクロコンピュータ
１の入力ポートには温度センサ４及び読取部５が接続さ
れている。温度センサ４は、サーマルヘッド２の温度を
検出するためのもので、その温度データをマイクロコン
ピュータ１に与える。また読取部５は、当該サーマルプ
リンタを備えた例えばファクシミリにおいて、原稿を読
み取る機構であり、その読取データを送信のためのデー
タとしてマイクロコンピュータ１に与える。さらに、こ
のマイクロコンピュータ１には、データを受信するモデ
ム８が接続されており、このモデム８に受信されたデー
タに基づいて印字を行うようになっている。

【００１３】マイクロコンピュータ１はこれらの受信さ
れたデータを用い、ＲＯＭに記録されているプログラム
に従ってＲＡＭとの間で情報の授受を行いながら所定の
演算処理を行うことにより、ヘッド通電回路６を通して
サーマルヘッド２を通電制御すると共に、モータ制御回
路７を通して紙送り用のステッピングモータ３の動作を
制御する。

【００１４】次に、マイクロコンピュータ１により実行
されるソフトウエア、即ちマイクロコンピュータ１のＲ
ＯＭに記録されている制御プログラムについて、図２の
フローチャートを参照して説明する。

【００１５】通常の印字動作では、ヘッド通電回路６を
通してサーマルヘッド２に通電が行われることにより、
サーマルヘッド２が発熱する。また、モータ制御回路７
を通して紙送り用のステッピングモータ３が所定速度で
正方向に駆動されることにより、感熱紙がサーマルヘッ
ド２に所定の速度で供給される。これらにより、読取デ
ータに基づいて感熱紙に正規の印字が行われる。

【００１６】このとき、マイクロコンピュータ１は、温
度センサ４から与えられる温度情報に基づいて、サーマ
ルヘッド２の温度を監視している。サーマルヘッド２の
温度がオーバーヒート到達温度として設定されている第
１の基準温度未満のときは、上記の通常動作が続行され
るが、サーマルヘッド２の温度がこの第１の基準温度に
達すると、マイクロコンピュータ１は、図２に示す割り
込みプログラムを実行する。

【００１７】即ち、サーマルヘッド２の温度がオーバー
ヒート温度として設定されている第１の基準温度に達す
ると、この時点の印字データを記憶してサーマルヘッド
２への通電を停止する（Ｓ１）。これにより、感熱紙へ
の印字は停止する。次に、ステッピングモータ３を正方
向に回転させたまま、その回転速度を通常速度より低下
させる（Ｓ２）。これにより、感熱紙が低速で空送りさ
れる。

【００１８】感熱紙が空送りされている間、プラテンロ
ーラは回転を続け、サーマルヘッド２に感熱紙を供給し
続ける。これにより、サーマルヘッド２に蓄積されてい
た熱が、サーマルヘッド２に接触する感熱紙と、感熱紙
に接触するプラテンローラとを介して効率良く放散す
る。その結果、この空送りにより、サーマルヘッド２の
温度が従来よりも速く低下する。

【００１９】マイクロコンピュータ１は、この間もサー
マルヘッド２の温度を監視しており、サーマルヘッド２
の温度がオーバーヒート解消温度として設定されている
第２の基準温度以下になるまで、感熱紙の空送りを続け
る（Ｓ３）。そして、サーマルヘッド２の温度が第２の
基準温度以下になった時点で、通電停止時に記憶した印
字データに基づいて、通電停止時の印字位置より印字動
作が再開されるように、ステッピングモータ３を逆方向
に回転させて、感熱紙のいわゆる頭出しを行う（Ｓ
４）。頭出しが終わると、サーマルヘッド２への通電を
再開し、通電停止時の印字位置より再び印字動作を開始
する（Ｓ５）。

【００２０】このような一連の制御により、サーマルヘ
ッド２への通電を停止してからのサーマルヘッド２の放
熱が促進されるので、印字動作を再開するまでの待機時
間が短縮される。

【００２１】また、待機時間中に感熱紙の空送りを行う
が、印字動作の再開に際して感熱紙の頭出しを行うの
で、空送りによる余白が感熱紙に生じない。

【００２２】更に、空送り速度を通常の給紙速度より遅
くしているので、空送り中の給紙量が少なく、感熱紙の
頭出しに要する時間が短縮される。

【００２３】更にまた、一連の制御をマイクロコンピュ
ータ１によるソフトウエアにて行い、ハードウエア上の
設計変更を必要としないので、コスト上昇が回避され
る。

【００２４】なお、上記実施形態はファクシミリの印字
部に本発明を適用したものであるが、パーソナルコンピ
ュータ等に接続される汎用の印字機器に適用することも
可能である。

【００２５】また、上記実施形態では印字動作の再開に
際して、記録紙を空送り分だけ逆送するようにしている
が、この逆送を行わずに印字動作を再開することも可能
である。この場合、空送りによる余白が記録紙に生じる
が、空送り速度を通常の給紙速度より遅くすることによ
り、この余白は小さく抑えられる。

【００２６】なお、上記実施形態では、ファクシミリを
例に挙げたが、感熱式のプリンタであってもよいことは
勿論である。

【００２７】

【発明の効果】以上に説明した通り、本発明による場合
には、サーマルヘッドのオーバーヒートが検知されたと
きにサーマルヘッドへの通電が停止されて通電停止状態
のまま紙送りが続けられることにより、オーバーヒート
が生じたサーマルヘッドの放熱が促進され、印字再開ま
での待機時間が短縮されるので、サーマルプリンタの稼
働率が向上する。また、一連の制御がマイクロコンピュ
ータによるソフトウエアで実行可能であるので、その制
御に伴うコスト上昇が回避される。

【００２８】上記効果に加え、サーマルヘッドのオーバ
ーヒートが解消された時点で通電停止時の印字位置まで
感熱紙を逆送して印字動作を再開する場合は、空送りに
よる余白が感熱紙に生じる事態が回避される。

【００２９】また、通電停止時における紙送り速度を通
常の紙送り速度よりも遅くすることにより、印字動作を
再開する際に感熱紙の逆送を行う場合はその逆送時間が
短縮され、その逆送を行わない場合は空送りによる余白
が小さく抑えられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態に係るサーマルプリンタの制
御装置の構成図である。

【図２】同制御装置においてマイクロコンピュータによ
り実行されるソフトウエアのフローチャートである。

【符号の説明】

１ マイクロコンピュータ ２ サーマルヘッド ３ ステッピングモータ ４ 温度センサ ５ 読取部 ６ ヘッド通電回路 ７ モータ制御回路

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 サーマルヘッドの発熱により感熱紙に印
   字を行うサーマルプリンタの制御装置において、サーマ
   ルヘッドの温度を検出する手段と、検出されたサーマル
   ヘッド温度よりサーマルヘッドのオーバーヒートの発生
   及び解消を検知する手段と、サーマルヘッドのオーバー
   ヒートの発生が検知されたときにサーマルヘッドへの通
   電を停止し、そのオーバーヒートが解消されるまで通電
   停止状態のまま紙送りを続行させる制御部とを具備する
   ことを特徴とするサーマルプリンタの制御装置。
2. 【請求項２】 前記制御部は、サーマルヘッドのオーバ
   ーヒートが解消された時点で通電停止時の印字位置まで
   感熱紙を逆送させて印字動作を再開させることを特徴と
   する請求項１に記載のサーマルプリンタの制御装置。
3. 【請求項３】 前記制御部は、サーマルヘッドへの通電
   停止時における紙送り速度を通常の紙送り速度よりも遅
   くさせることを特徴とする請求項１又は２に記載のサー
   マルプリンタの制御装置。
4. 【請求項４】 サーマルヘッドの発熱により感熱紙に印
   字を行うサーマルプリンタの制御方法において、サーマ
   ルヘッドの検出温度よりサーマルヘッドのオーバーヒー
   トの発生及び解消を検知し、サーマルヘッドのオーバー
   ヒートの発生が検知されたときにサーマルヘッドへの通
   電を停止し、そのオーバーヒートが解消されるまで通電
   停止状態のまま紙送りを続行することを特徴とするサー
   マルプリンタの制御方法。
5. 【請求項５】 サーマルヘッドの発熱により感熱紙に印
   字を行うサーマルプリンタをコンピュータによって制御
   するための制御プログラムを記録した記録媒体であっ
   て、該制御プログラムは、コンピュータにサーマルヘッ
   ドのオーバーヒートの発生及び解消を検知させ、サーマ
   ルヘッドのオーバーヒートの発生が検知されたときにサ
   ーマルヘッドへの通電を停止させ、そのオーバーヒート
   が解消されるまで通電停止状態のまま紙送りを続行させ
   ることを特徴とするサーマルプリンタの制御プログラム
   を記録した記録媒体。