JPH115845A - ヒドロキシフェニル基含有オルガノポリシロキサンおよびシリコーン変性有機樹脂 - Google Patents

ヒドロキシフェニル基含有オルガノポリシロキサンおよびシリコーン変性有機樹脂

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Publication number
JPH115845A
JPH115845A JP9282692A JP28269297A JPH115845A JP H115845 A JPH115845 A JP H115845A JP 9282692 A JP9282692 A JP 9282692A JP 28269297 A JP28269297 A JP 28269297A JP H115845 A JPH115845 A JP H115845A
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JP
Japan
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group
hydroxyphenyl
carbon atoms
integer
silicone
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Pending
Application number
JP9282692A
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English (en)
Inventor
Hideki Kobayashi
秀樹 小林
Toru Masatomi
亨 正富
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DuPont Toray Specialty Materials KK
Original Assignee
Dow Corning Toray Silicone Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規なヒドロキシフェニル基含有オルガノポ
リシロキサンおよび該オルガノポリシロキサンにより改
質されたシリコーン変性有機樹脂を提供する。 【解決手段】 分子鎖末端にシクロシロキサン単位を有
する新規なヒドロキシフェニル基含有オルガノポリシロ
キサン、該オルガノポリシロキサンと有機樹脂モノマー
を共重合反応させてなるシリコーン変性有機樹脂、特
に、該オルガノポリシロキサンを共重合反応させてなる
シリコーン変性ポリカーボネート樹脂とその成形品およ
び、該オルガノポリシロキサンを共重合反応させてなる
シリコーン変性ポリアリレート樹脂とその成形品を提供
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なヒドロキシフ
ェニル基含有オルガノポリシロキサンおよび該オルガノ
ポリシロキサンにより改質されたシリコーン変性有機樹
脂に関する。
【0002】
【従来の技術】分子鎖中に、式:
【化9】 で表されるようなシクロシロキサン単位を有するオルガ
ノポリシロキサンとしては、例えば、式:
【化10】 で表される繰り返し単位から構成されるオルガノポリシ
ロキサン(特開平7−268100号公報参照)、式:
【化11】 で表されるエポキシ基含有オルガノポリシロキサン(特
公昭61−1471号公報参照)が知られている。
【0003】一方、有機官能性基を有するオルガノポリ
シロキサンは、有機樹脂の改質剤,界面活性剤,繊維処
理剤等として広い分野で使用されている。特に、有機樹
脂の改質剤として使用される場合において、有機樹脂分
子中にオルガノポリシロキサンが組み込まれるようない
わゆる共重合体の一原料として使用される際には、その
有機樹脂と共重合可能な有機官能性基を選択する必要が
ある。例えば、有機樹脂がポリカーボネート樹脂のよう
な主に縮重合反応により得られるものである場合には、
その改質剤として一般に、ヒドロキシフェニル基を含有
する直鎖状のオルガノポリシロキサンが使用されてい
る。そしてこのようなオルガノポリシロキサンにより改
質されたポリカーボネート樹脂として、主鎖中にシロキ
サン単位を組み込んだポリカーボネート樹脂(特開平3
−79626号公報参照)や、オルガノポリシロキサン
鎖の運動の自由度をより一層高めるためにシロキサン鎖
をグラフト結合させてなるポリカーボネート樹脂(特開
平5−155999号公報および特開平7−16589
7号公報参照)が提案されている。しかし、これらのシ
リコーン変性ポリカーボネート樹脂は、分子中のオルガ
ノポリシロキサン鎖が柔軟性に富む高分子であることか
らガラス転移点が低く、このため成形品のガラス転移点
や硬さが低下するという問題点があった。また、その離
型性や撥水性が不十分であるという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上記問題
点を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達し
た。即ち、本発明の目的は、分子鎖末端にシクロシロキ
サン単位を有する新規なヒドロキシフェニル基含有オル
ガノポリシロキサンおよび該オルガノポリシロキサンを
共重合反応させてなるシリコーン変性有機樹脂を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用】本発明
は、一般式:
【化12】 (式中、Rは脂肪族不飽和結合を含まない同種または異
種の一価炭化水素基であり、Aは置換もしくは非置換の
ヒドロキシフェニル基であり、Bは炭素原子数が2以上
のアルキレン基またはアルキレンオキシアルキレン基で
あり、R1は炭素原子数2〜10のアルキレン基であ
り、nは1以上13以下の整数であり、xは0以上n以
下の整数であり、yは0〜40の整数である。)で表さ
れるヒドロキシフェニル基含有オルガノポリシロキサ
ン、該ヒドロキシフェニル基含有オルガノポリシロキサ
ンを有機樹脂モノマーと共重合反応させてなるシリコー
ン変性有機樹脂、特に、下記構造式(A)で表される構
成単位:0.1〜100モル%と構造式(B)で表され
る構成単位:99.9〜0モル%からなるシリコーン変
性ポリカーボネート樹脂とその成形品および、下記構造
式(C)で表される構成単位:0.1〜100モル%と
構造式(D)で表される構成単位:99.9〜0モル%
からなるシリコーン変性ポリアリレート樹脂とその成形
品に関する。 構造式(A):
【化13】 [式中、R3は炭素原子数1〜4のアルキル基もしくは
アルコキシ基またはハロゲン原子であり、R4は炭素原
子数が2以上のアルキレン基またはアルキレンオキシア
ルキレン基であり、bは0〜4の整数である。Dは、
式:
【化14】 (式中、R,R1,n,xおよびyは前記と同じであ
る。)で表されるシロキサン単位である。] 構造式(B):
【化15】 (式中、R5はハロゲン原子または炭素原子数1〜4の
一価炭化水素基であり、Eは炭素原子数1〜20の二価
炭化水素基,−O−,−S−,−CO−,−SO2−か
らなる群から選択される基であり、cは0〜4の整数で
ある。) 構造式(C):
【化16】 [式中、R3,R4,Dおよびbは前記と同じであり、G
は炭素原子数1〜20の置換もしくは非置換の二価炭化
水素基である(但し、このGの内、少なくとも50%は
芳香族である。)。] 構造式(D):
【化17】 (式中、R5,E,Gおよびcは前記と同じである。)
【0006】
【発明の実施の形態】最初に本発明のヒドロキシフェニ
ル基含有オルガノポリシロキサンについて詳細に説明す
る。本発明のオルガノポリシロキサンは、一般式:
【化18】 で表される。上式中、Rは脂肪族不飽和結合を含まない
同種または異種の一価炭化水素基であり、具体的には、
メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル
基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,ノニル基,
デシル基等のアルキル基;フェニル基,トリル基,キシ
リル基等のアリール基;ベンジル基,フェネチル基等の
アラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基,1
H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル基,1H,1
H,2H,2H−パーフルオロデシル基等のハロゲン化ア
ルキル基が例示される。これらの中でもメチル基もしく
はフェニル基が好ましい。またこのRは同一のものでも
異なるものでもよい。Aは置換もしくは非置換のヒドロ
キシフェニル基であり、好ましくは、式:
【化19】 で表される基である。式中、R2は炭素原子数1〜4の
アルキル基もしくはアルコキシ基またはハロゲン原子で
あり、aは0〜4の整数である。このようなヒドロキシ
フェニル基として具体的には、2−ヒドロキシフェニル
基,3−ヒドロキシフェニル基,4−ヒドロキシフェニ
ル基,4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル基,4−
ヒドロキシ−2−メトキシフェニル基,3−ヒドロキシ
−4−メトキシフェニル基, 3−ヒドロキシ−2−メ
トキシフェニル基,2−ヒドロキシ−4−メトキシフェ
ニル基, 2−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル基が
例示される。Bは炭素原子数が2以上のアルキレン基ま
たはアルキレンオキシアルキレン基であり、アルキレン
基として具体的には、エチレン基,プロピレン基,ブチ
レン基,ペンチレン基,ヘキシレン基が例示され、アル
キレンオキシアルキレン基としては、エチレンオキシプ
ロピレン基,エチレンオキシブチレン基が例示される。
1は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、直鎖
状もしくは分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。具体
的には、エチレン基,メチルエチレン基,エチルエチレ
ン基,プロピルエチレン基,ブチルエチレン基,プロピ
レン基,ブチレン基,1−メチルプロピレン基,ペンチ
レン基,ヘキシレン基,ヘプチレン基,オクチレン基,
ノニレン基,デシレン基が例示される。これらの中でも
エチレン基,プロピレン基,ブチレン基,ヘキシレン基
が好ましい。このR1は同一のものでも異なるものでも
よい。nは1以上13以下の整数であり、特に、2また
は3であることが好ましい。また、上記一般式におい
て、(n+2)はシクロシロキサン単位中のシロキサン
の重合度を示す数である。xは0以上n以下の整数であ
り、このnやxは同一のものでも異なるものでもよい。
yは0〜40の整数であり、好ましくは2〜30の範囲
である。
【0007】このような本発明のヒドロキシフェニル基
含有オルガノポリシロキサンとしては、下記式で示され
る化合物が挙げられる。
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【0008】このような本発明のヒドロキシフェニル基
含有オルガノポリシロキサンは、例えば、式:
【化27】 (式中、R,nおよびxは前記と同じである。)で表さ
れる1分子中にケイ素原子結合水素原子を2個有するシ
クロシロキサンに、ヒドロシリル化反応用触媒の存在
下、式:R6(R2SiO)ySiR26(式中、Rおよ
びyは前記と同じであり、R6はビニル末端を有する炭
素原子数2〜10のアルケニル基である。)で表される
有機ケイ素化合物と、脂肪族不飽和結合含有フェノール
化合物とを付加反応させることによって製造することが
できる。この反応方法は特に限定されないが、例えば、
ヒドロシリル化反応用触媒の存在下、過剰量の上記シク
ロシロキサン中に上記アルケニル基含有有機ケイ素化合
物を滴下して反応させた後、過剰のシクロシロキサンを
除去する。次いで、アルケニル基含有有機ケイ素化合物
の2倍モル量の脂肪族不飽和結合含有フェノール化合物
を滴下してさらに反応させる方法が挙げられる。また、
ヒドロシリル化反応用触媒の存在下、過剰量のシクロシ
ロキサンと脂肪族不飽和結合含有フェノール化合物とを
反応させて過剰のシクロシロキサンを除去した後、脂肪
族不飽和結合含有フェノール化合物の1/2モル量のア
ルケニル基含有有機ケイ素化合物を滴下してさらに反応
させる方法も挙げられる。ここで使用される脂肪族不飽
和結合含有フェノール化合物としては、フェノール基中
の水酸基がトリオルガノシリル基等で保護されているも
のが好ましい。そしてそのようなフェノール化合物を使
用した場合には、付加反応終了後、酸触媒の存在下にメ
タノール等を加えて加熱することにより該保護基を脱離
すればよい。一方、上式で表される有機ケイ素化合物中
のR6として具体的には、ビニル基,アリル基,ブテニ
ル基,ペンテニル基,5−ヘキセニル基,ヘプテニル
基,オクテニル基,ノネニル基,デセニル基が例示さ
れ、好ましくはビニル基,アリル基,5−ヘキセニル基
である。ヒドロシリル化反応用触媒としては、例えば、
白金系触媒,ロジウム系触媒,パラジウム系触媒,有機
過酸化物が挙げられる。これらの中でも特に白金系触媒
が好ましく、具体的には、白金黒,白金担持のシリカ微
粉末,白金担持のカーボン粉末,塩化白金酸,塩化白金
酸のアルコール溶液,白金とビニルシロキサンとの錯
体,白金とオレフィンとの錯体が例示される。またこの
付加反応は、加熱下でも有機溶媒存在下でも行うことが
できる。有機溶媒として具体的には、トルエン,キシレ
ン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン,ヘプタン,オ
クタン,ノナン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキ
サン,シクロヘプタン,シクロオクタン等の脂環式炭化
水素系溶媒;トリフルオロメチルベンゼン,1,3−ビ
ス(トリフルオロメチル)ベンゼン等の含フッ素原子芳
香族炭化水素系溶媒が使用できる。
【0009】以上のような本発明のヒドロキシフェニル
基含有オルガノポリシロキサンは室温で粘性のある液体
であり、またその表面張力がポリジメチルシロキサンと
有機材料の中間(20〜30mN/m)であるという特
性を有する。加えて、酸やアルカリ等のイオン性物質に
よる分子鎖の切断が生じ難く耐加水分解性に優れ、ま
た、直鎖状のジオルガノポリシロキサンのように屈曲性
が高すぎないので、このような特性を活かした工業用材
料として有用である。
【0010】また、本発明のオルガノポリシロキサンは
分子鎖両末端にヒドロキシフェニル基を有することか
ら、各種有機樹脂の改質剤として利用される。即ち、該
オルガノポリシロキサンを各種有機樹脂モノマーと共重
合反応させると、シクロシロキサン単位がブロック共重
合してなるシリコーン変性有機樹脂が得られる。該オル
ガノポリシロキサンと有機樹脂モノマーとの共重合反応
比率は、1:99〜70:30の範囲であることが好ま
しく、より好ましくは1:99〜50:50の範囲であ
る。本発明のオルガノポリシロキサンにより改質される
有機樹脂としては、ポリカーボネート樹脂,ポリアリレ
ート樹脂,ポリスルホン樹脂,フェノール樹脂,エポキ
シ樹脂などが挙げられる。これらの中でも本発明のヒド
ロキシフェニル基含有オルガノポリシロキサンは、ポリ
カーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂の共重合反
応成分として好適に使用される。
【0011】次に、本発明のシリコーン変性ポリカーボ
ネート樹脂について詳細に説明する。本発明のシリコー
ン変性ポリカーボネート樹脂は、下記構造式(A)で表
される構成単位と構造式(B)で表される構成単位から
なる化合物である。 構造式(A):
【化28】 上式中、R3は炭素原子数1〜4のアルキル基もしくは
アルコキシ基またはハロゲン原子である。R4は炭素原
子数が2以上のアルキレン基またはアルキレンオキシア
ルキレン基である。アルキレン基として具体的には、エ
チレン基,プロピレン基,ブチレン基,ペンチレン基,
ヘキシレン基が例示され、アルキレンオキシアルキレン
基としては、エチレンオキシプロピレン基,エチレンオ
キシブチレン基が例示される。bは0〜4の整数であ
る。Dは、式:
【化29】 (式中、R,R1,n,xおよびyは前記と同じであ
る。)で表されるシロキサン単位である。 構造式(B):
【化30】 上式中、R5はハロゲン原子または炭素原子数1〜4の
一価炭化水素基であり、一価炭化水素基として具体的に
は、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基等のア
ルキル基;ビニル基,アリル基等のアルケニル基が例示
される。Eは炭素原子数1〜20の二価炭化水素基,−
O−,−S−,−CO−,−SO2−からなる群から選
択される基である。二価炭化水素基として具体的には、
アルキリデン基,アリール置換アルキリデン基,アルキ
レン基,シクロアルキレン基,アリーレン基およびこれ
らの基を結合させた基が挙げられる。アルキリデン基の
構造は直鎖状,分岐状,環状のいずれでもよく、具体的
には次式で示される基が例示される。
【化31】
【化32】 アリール置換アルキリデン基としては、次式で示される
基が例示される。
【化33】 アルキレン基としては、メチレン基,エチレン基,イソ
プロピレン基が例示され、アリーレン基としてはフェニ
レン基が例示される。これらの他にも、次式で示される
基が例示される。
【化34】 また、cは0〜4の整数である。
【0012】本発明のシリコーン変性ポリカーボネート
樹脂中、上記構造式(A)で表される構成単位と構造式
(B)で表される構成単位の共重合比は、0.1〜10
0モル%:99.9〜0モル%であり、好ましくは1〜
70モル%:99〜30モル%であり、より好ましくは
1〜50モル%:99〜50モル%である。またその分
子量は特に限定されないが、重量平均分子量が5,00
0〜300,000の範囲であることが好ましい。
【0013】本発明のシリコーン変性ポリカーボネート
樹脂は前記した構成単位からなるものであるが、使用目
的に応じて、テフロン粉末や他の有機樹脂,亜硫酸ナト
リウムやハイドロサルファイト等の酸化防止剤,光安定
剤や酸化チタン等の光触媒,着色剤,無機系もしくは有
機系の充填剤,炭素繊維,ガラス繊維などの補強剤,滑
剤,帯電防止剤などを添加配合することができる。
【0014】このような本発明のシリコーン変性ポリカ
ーボネート樹脂は、例えば、本発明のヒドロキシフェニ
ル基含有オルガノポリシロキサンと、一般式:
【化35】 (式中、R5,Eおよびcは前記と同じである。)で示
される二価フェノール化合物に、ホスゲン,炭酸ジエス
テルまたはポリカーボネートオリゴマーを反応させるこ
とにより製造することができる。通常、芳香族ポリカー
ボネート樹脂の一般的な製造方法が使用され、例えば、
炭酸ジエステルとの反応によるエステル交換法や、ホス
ゲンとの反応によるホスゲン法が挙げられる。ホスゲン
法の中では、界面重合法,ピリジン法が例示される。
【0015】上記一般式で示される二価フェノール化合
物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン,
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル,ビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルホン,ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルホキシド,ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルフィド,ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケト
ン,1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン,
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン,2,
2−ビス(2−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン,2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン,2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ヘキサフルオロプロパン,2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ブタン,1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサン,2,2−ビス(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン,2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プ
ロパン,2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフ
ェニル)プロパン,2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3
−クロロフェニル)プロパン,2,2−ビス(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン,1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタ
ン,ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン
が例示される。これらの中でも、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン,1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘキサンが好ましい。
【0016】本発明のシリコーン変性ポリカーボネート
樹脂をエステル交換法により製造する場合には、例え
ば、本発明のオルガノポリシロキサン、前記した二価フ
ェノール化合物およびジフェニルカーボネートを溶融重
縮合する方法が挙げられる。このとき、エステル交換法
は平衡反応であるので、真空下で温度を150〜300
℃に上げて、副生するフェノールを系外に除去する必要
がある。ここで使用される触媒としては、アルカリ金
属,アルカリ土類金属の水素化物,水酸化物,酸化物,
アルコレート,フェノラート,有機無機の弱酸塩が例示
される。これ以外にも、エステル交換触媒として一般に
使用されているものを使用してもよい。また必要に応じ
て、分子量調節剤(末端停止剤)を使用することができ
る。この分子量調節剤(末端停止剤)としては、一価の
フェノール性水酸基を有する有機化合物が挙げられ、具
体的には、フェノール,p−第三ブチルフェノール,ト
リブロモフェノール,長鎖アルキルフェノール,脂肪族
カルボン酸クロライド,脂肪族カルボン酸,ヒドロキシ
安息香酸アルキルエステル,ヒドロキシ・フェニル酸ア
ルキルエステル,アルキルエーテルフェノールが例示さ
れる。これらの化合物を2種類以上混合して使用しても
よい。この分子量調節剤の添加量は、上記オルガノポリ
シロキサンと二価フェノール化合物の合計100モルに
対して100〜0.5モルの範囲であるのが好ましく、
特に50〜1モルの範囲であるのがより好ましい。尚、
この分子量調節剤の添加時期は重合反応開始から終了ま
での間であればよく、特に限定されない。さらに分岐化
剤を添加配合することにより、分岐化したシリコーン変
性ポリカーボネート樹脂を製造することもできる。分岐
化剤としては、フロログリシン,2,6−ジメチル−2,
4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−
3,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキ
シフェニル)へプテン−2,1,3,5−トリ(2−ヒド
ロキシフェニル)ベンゾール,1,1,1−トリ(4−ヒ
ドロキシフェニル)エタン,2,6−ビス(2−ヒドロ
キシ−5−メチルベンジル)− メチルフェノール,α,
α',α'−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5
−トリイソプロピルベンゼンなどのポリヒドロキシ化合
物;3,3−ビス(1−ヒドロキシアリール)オキシイ
ンドール(=イサチンビスフェノール),5−クロルイ
サチン,5,7−ジクロルイサチン,5−ブロムイサチ
ンが例示される。この分岐化剤の添加量は、上記オルガ
ノポリシロキサンと二価フェノール化合物の合計量に対
して0.01〜3.0モル%となるような量、特に0.1
〜1.0モル%となるような量であることが好ましい。
またこの反応は、重合反応に対して不活性である有機溶
媒の存在下で行うことができる。このような有機溶媒と
しては、ジクロロメタン,1,2−ジクロロエタン,1,
1,2,2−テトラクロロエタン,クロロホルム,1,1,
1−トリクロロエタン,四塩化炭素,モノクロロベンセ
ン,ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素類;ベンゼ
ン,トルエン,キシレン,エチルベンゼン等の芳香族炭
化水素類;ジエチルエーテル等のエーテル系化合物が例
示される。これらの有機溶媒を2種類以上混合して使用
してもよい。さらに、上記以外のエーテル類,ケトン
類,エステル類,ニトリル類などの水に対して親和性を
有する有機溶媒を、これを添加した後の混合溶媒系が水
と完全に相溶しない限度内であれば使用することができ
る。
【0017】また、本発明のシリコーン変性ポリカーボ
ネート樹脂を界面重合法により製造する場合には、例え
ば、重合反応に対して不活性である有機溶媒およびアル
カリ水溶液の存在下に、本発明のオルガノポリシロキサ
ンと前記したような二価フェノール化合物、分子量調節
剤(末端停止剤)、分岐化剤を加えてこれらとホスゲン
とを反応させた後、第三級アミンもしくは第四級アンモ
ニウム塩などの重合触媒を用いて界面重合を行う方法が
挙げられる。このとき上記オルガノポリシロキサンと二
価フェノール化合物の配合順序は特に限定されない。例
えば、両者を同時に反応させたり、オルガノポリシロキ
サンもしくは二価フェノール化合物の一部をホスゲンと
反応させた後、これにオルガノポリシロキサンもしくは
二価フェノール化合物を反応させたりすることができ
る。重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン,ト
リエチルアミン,トリブチルアミン,トリプロピルアミ
ン,トリヘキシルアミン,トリデシルアミン,N,N−
ジメチルシクロヘキシルアミン,ピリジン,キノリン,
ジメチルアニリンなどの第三級アミン類;トリメチルベ
ンジルアンモニウムクロライド,テトラメチルアンモニ
ウムクロライド,トリエチルベンジルアンモニウムクロ
ライドなどの第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0018】次に、本発明のポリカーボネート樹脂成形
品について説明する。本発明の成形品は、本発明のシリ
コーン変性ポリカーボネート樹脂を加熱溶融した後、成
形、冷却固化することにより得られる。成形方法として
は、通常、芳香族ポリカーボネート樹脂の成形方法に適
用されている方法が使用でき、特に射出成形法が好適に
用いられる。即ち、シリコーン変性ポリカーボネート樹
脂ペレットを十分乾燥させた後、これを射出成形機のホ
ッパー中に吸湿しないように投入、保持し、次いで温度
250〜320℃のシリンダ中で成形することによって
ポリカーボネート成形品として得ることができる。
【0019】以上のような本発明のシリコーン変性ポリ
カーボネート樹脂は成形加工性に優れるという利点を有
する。また、このシリコーン変性ポリカーボネート樹脂
を例えばジクロロメタンのような有機溶媒に溶解した
後、これを各種基材表面にキャストすればコーティング
薄膜を得ることができる。さらに、該ポリカーボネート
樹脂を硬化させてなる本発明の成形品は、離型性,撥水
性,撥油性,機械的特性に優れるという利点を有する。
【0020】次に、本発明のシリコーン変性ポリアリレ
ート樹脂について詳細に説明する。本発明のシリコーン
変性ポリアリレート樹脂は、下記構造式(C)で表され
る構成単位と構造式(D)で表される構成単位からなる
化合物である。 構造式(C):
【化36】 上式中、R3,R4,Dおよびbは前記と同じである。G
は炭素原子数1〜20の置換もしくは非置換の二価炭化
水素基であるが、この内少なくとも50%は芳香族であ
る。芳香族としては、オルトフェニレン基,メタフェニ
レン基,パラフェニレン基,ナフチレン基,ジフェニレ
ンアルカン基が挙げられる。また芳香族以外の二価炭化
水素基としては、アルキレン基,シクロアルキレン基お
よびこれらのハロゲン置換基が挙げられる。 構造式(D):
【化37】 上式中、R5,E,Gおよびcは前記と同じである。
【0021】本発明のシリコーン変性ポリアリレート樹
脂中、上記構造式(C)で表される構成単位と構造式
(D)で表される構成単位の共重合比は、0.1〜10
0モル%:99.9〜0モル%であり、好ましくは1〜
70モル%:99〜30モル%であり、より好ましくは
1〜50モル%:99〜50モル%である。またその分
子量は特に限定されないが、重量平均分子量が5,00
0〜300,000の範囲であることが好ましい。
【0022】本発明のシリコーン変性ポリアリレート樹
脂は前記した構成単位からなるものであるが、使用目的
に応じて、テフロン粉末や他の有機樹脂,亜硫酸ナトリ
ウムやハイドロサルファイト等の酸化防止剤,光安定剤
や酸化チタン等の光触媒,着色剤,無機系もしくは有機
系の充填剤,炭素繊維,ガラス繊維などの補強剤,滑
剤,帯電防止剤などを添加配合することができる。
【0023】このような本発明のシリコーン変性ポリア
リレート樹脂は、例えば、本発明のヒドロキシフェニル
基含有オルガノポリシロキサンと、前記した一般式:
【化38】 (式中、R5,Eおよびcは前記と同じである。)で示
される二価フェノール化合物と芳香族ジカルボン酸とを
重縮合反応させることにより製造することができる。反
応方法としては、通常の溶融重合法,界面重合法,溶液
重合法などが使用される。
【0024】上記一般式で示される二価フェノール化合
物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン,1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)1
−フェニルエタン,ハイドロキノン,レゾルシノール,
4,4'−ジヒドロキシビフェニル,1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン,1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン,ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン,ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン,ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン,ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン,1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)エタン,1,1−ビス(3,5−ジエチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)エタン,1,1−ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン,2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン,1,1−ビス(3,5−ジエチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロパン,2,2−ビス(3,5
−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン,2,
2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロ
パン,2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェ
ニル)プロパン,2,2−ビス(2−アリル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン,2,2−ビス(3−アリル
−4−ヒドロキシフェニル)プロパン,2,2−ビス
(4−ヒドロキシ)ヘキサフルオロプロパン,1,1−
ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ブ
タン,2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ
フェニル)ブタン,1,1−ビス(3,5−ジエチル−4
−ヒドロキシフェニル)ブタン,2,2−ビス(3,5−
ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン,1,1−
ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シ
クロヘキサン,1,1−ビス(3,5−ジエチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロヘキサン,ビス(3,5−ジ
メチル−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン,ビ
ス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)フェ
ニルメタン,1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)−1−フェニルエタン,1,1−ビス
(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−
フェニルエタン,ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロ
キシフェニル)ジフェニルメタン,ビス(3,5−ジエ
チル−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン,ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル,ビス(3,5
−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル,ビス
(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテ
ル,ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド,ビ
ス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)サル
ファイド,ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)サルファイド,ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホン,ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキ
シフェニル)スルホン,ビス(3,5−ジエチル−4−
ヒドロキシフェニル)スルホン,ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ケトン,ビス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)ケトン,ビス(3,5−ジエチル−4
−ヒドロキシフェニル)ケトン,4,4'−ジヒドロキシ
ジフェニルが挙げられる。これらの中でも、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン,1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン,
2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパンが好ましい。この二価フェノール化合物は
単独で使用してもよく、また2種類以上を混合して使用
してもよい。
【0025】芳香族ジカルボン酸としては、オルトフタ
ル酸,テレフタル酸,イソフタル酸,ナフタレンジカル
ボン酸,4,4'−ジカルボキシジフェニル,ビス(p−
カルボキシフェニル)アルカンが挙げられる。これらの
中でも、オルトフタル酸,テレフタル酸,イソフタル酸
が好ましい。これらのオルトフタル酸,テレフタル酸,
イソフタル酸はそれぞれ単独で使用してもよく、また混
合して使用してもよく、その混合比率に特に制限はな
い。
【0026】本発明のシリコーン変性ポリアリレート樹
脂では、その特性を実用的に損なわない範囲であれば、
芳香族ジカルボン酸の一部をその他のジカルボン酸に置
き換えてもよい。このようなジカルボン酸としては、シ
クロヘキサンジカルボン酸,アジピン酸,セバシン酸,
グルタル酸などの脂環式あるいは脂肪族ジカルボン酸お
よびこれらのハロゲン化物などが挙げられる。またこの
種のジカルボン酸は、全てのジカルボン酸に対して50
モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であ
ることがより好ましい。
【0027】本発明のシリコーン変性ポリアリレート樹
脂を溶融重合法で製造する場合には、例えば、アセチル
化された二価フェノール化合物と芳香族ジカルボン酸と
本発明のヒドロキシフェニル基含有オルガノポリシロキ
サンとを、必要に応じてルイス酸などの触媒を用いて、
高温,減圧下で重合すればよい。また、本発明のシリコ
ーン変性ポリアリレート樹脂を界面重合法で製造する場
合には、テレフタル酸,イソフタル酸を酸ハロゲン化物
としたものを水に対して非相溶性の有機溶剤に溶解した
溶液と、二価フェノール化合物をアルカリ水溶液に溶解
した溶液と、本発明のヒドロキシフェニル基含有オルガ
ノポリシロキサンをアルカリ水溶液に懸濁した溶液とを
混合攪袢すればよい。
【0028】次に、本発明のポリアリレート樹脂成形品
について説明する。本発明の成形品は、本発明のシリコ
ーン変性ポリアリレート樹脂を加熱溶融した後、成形、
冷却固化することにより得られる。成形方法としては、
通常、ポリアリレート樹脂の成形方法に適用されている
方法が使用でき、特に射出成形法が好適に用いられる。
即ち、シリコーン変性ポリアリレート樹脂ペレットを十
分乾燥させた後、これを射出成形機のホッパー中に吸湿
しないように投入、保持し、次いで温度250〜320
℃のシリンダ中で成形することによってポリアリレート
成形品として得ることができる。
【0029】以上のような本発明のシリコーン変性ポリ
アリレート樹脂は成形加工性に優れるという利点を有す
る。また、このシリコーン変性ポリアリレート樹脂を例
えばジクロロメタンのような有機溶媒に溶解した後、こ
れを各種基材表面にキャストすればコーティング薄膜を
得ることができる。さらに、該ポリアリレート樹脂を硬
化させてなる本発明の成形品は、離型性,撥水性,撥油
性,機械的特性に優れるという利点を有する。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。なお、実施例中、粘度の値は25℃において測定し
た値である。
【0031】
【実施例1】反応容器に、式:
【化39】 で表されるジエチルテトラメチルシクロテトラシロキサ
ン296g(1モル),トルエン100gおよび白金と
ジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体溶液を系中
の白金金属自体の含有量が20ppmとなるような量投
入して、これらを均一に攪拌しながら70℃に加熱し
た。攪拌下、この反応系に18.6g(0.1モル)の
1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンと20gの
トルエンの混合物を滴下した。滴下終了後、2時間加熱
還流した。次いで減圧下にて揮発分を留去し、冷却後ト
ルエン80gを加えて70℃に加熱した。さらにこの反
応系に26.8g(0.2モル)の2−アリルフェノール
と30gのトルエンの混合物を滴下した。これを2時間
加熱還流した後、冷却、ろ過を行い、さらに減圧下にて
揮発分を留去して粘稠な液体88.9gを得た。収率は
85%であった。この粘稠な液体を、フーリエ変換赤外
線分光分析(以下、FT−IR)、13C−核磁気共鳴ス
ペクトル分析(以下、13C−NMR)および29Si−核
磁気共鳴スペクトル分析(以下、29Si−NMR)によ
り分析したところ、次式で表されるヒドロキシフェニル
基含有オルガノポリシロキサンであることが確認され
た。
【化40】 (式中、xは0または1である。)
【0032】
【実施例2】反応容器に、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン114g,実施例1で得たヒドロ
キシフェニル基含有オルガノポリシロキサン15g,ジ
フェニルカーボネート121.2g,トルエン100g
および水素リチウム0.02gを投入して、これらを窒
素雰囲気下で加熱攪拌して溶媒を30分間還流させた。
次いでこれを徐々に減圧して緩やかな真空下(100〜
50mmHg)にして、温度を次第に上げたところ、1
60〜180℃の条件下でフェノールの留出が認められ
た。さらにゆっくりと温度を250℃まで上げて、フェ
ノールの留出がほぼ終了するまでこの温度を維持した。
その後、徐々に真空度を上げて1mmHg以下とすると
ともに温度を290℃にして、2時間反応させた。冷却
後、塩化メチレン−イソプロパノールを用いて反応重合
物を再沈させた。この沈殿物を濾過した後乾燥して、白
色粉末状の樹脂を得た。得られた樹脂をNMRにより分
析したところ、下記構造式(A−1)と構造式(B−
1)で表される構成単位からなるシリコーン変性ポリカ
ーボネート樹脂であることが判明した。これらの構成単
位の共重合比(A−1):(B−1)は、モル%でおよ
そ3:97であった。また得られた樹脂の重量平均分子
量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)を用いて測定したところ、21,000であった。 構造式(A−1):
【化41】 式中、x=1であるものと、x=0であるものとの比
は、1:1であった。) 構造式(B−1):
【化42】 得られたシリコーン変性ポリカーボネート樹脂を、ベン
ト付きの押し出し機を用いて280℃の温度で押出して
ペレット状とした。そしてこのペレットを120℃の熱
風乾燥機中で8時間以上乾燥した後、射出成形機により
成形温度280℃,金型温度100℃の条件下で、肉厚
2mmの板状成形品を成形した。成形品の離型性を、射
出成形機から抜き出す時の触感から測定した。さらに成
形品表面の水に対する接触角を接触角度計にて測定し
た。またその鉛筆硬度を、JISK 5400に規定さ
れる方法に従って測定した。これらの結果を表1に示し
た。
【0033】
【比較例1】実施例2において、実施例1で得たヒドロ
キシフェニル基含有オルガノポリシロキサンを使用せ
ず、ジフェニルカーボネートの配合量(121.2g)
を118gとした以外は実施例2と同様にして、白色粉
末状のポリカーボネート樹脂を得た。得られた樹脂の重
量平均分子量は22,000であった。得られたポリカ
ーボネート樹脂を実施例2と同様にしてペレットとし、
さらにこのペレットから板状成形品を成形した。成形品
の離型性、水に対する接触角および鉛筆硬度を実施例2
と同様にして測定した。これらの結果を表1に示した。
【0034】
【比較例2】実施例2において、実施例1で得たヒドロ
キシフェニル基含有オルガノポリシロキサンの代わり
に、式:
【化43】 で表されるヒドロキシフェニル基含有オルガノポリシロ
キサンを使用し、ジフェニルカーボネートの配合量(1
21.2g)を118gとした以外は実施例2と同様に
して、白色粉末状の樹脂を得た。得られた樹脂をNMR
により分析したところ、下記構造式(A−2)と構造式
(B−2)で表される構成単位からなるシリコーン変性
ポリカーボネート樹脂であることが判明した。またその
重量平均分子量は19,000であった。 構造式(A−2):
【化44】 構造式(B−2):
【化45】 得られたシリコーン変性ポリカーボネート樹脂を実施例
2と同様にしてペレットとし、さらにこのペレットから
板状成形品を成形した。成形品の離型性、水に対する接
触角および鉛筆硬度を実施例2と同様にして測定した。
これらの結果を表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】
【実施例3】反応容器に、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン5.14g(0.0225モル),
実施例1で得られたヒドロキシフェニル基含有オルガノ
ポリシロキサン2.62g(0.0025モル)および水
酸化ナトリウム2.0gを投入し、これらを150ml
の水に溶解した。この溶液をホモミキサーで激しく混合
しながら、二塩化テレフタロイル2.54g(0.012
5モル)と二塩化イソフタロイル2.54g(0.012
5モル)を75mlのクロロホルムに溶解した溶液を滴
下した。滴下終了後、1時間攪拌した。次いで、多量の
アセトンを加えてポリマーを濾別し、水およびアセトン
で洗浄した後乾燥して、白色粉末状の樹脂を得た。得ら
れた樹脂をFT−IRおよびNMRにより分析したとこ
ろ、下記構造式(C−1)と構造式(D−1)で表され
る構成単位からなるシリコーン変性ポリアリレート樹脂
であることが判明した。これらの構成単位の共重合比
(C−1):(D−1)は、モル%でおよそ10:90
であった。また得られた樹脂の重量平均分子量をGPC
により測定したところ、27,000であった。 構造式(C−1):
【化46】 (式中、x=1であるものとx=0であるものとの比は
1:1であり、フタル酸エステル部分がm位であるもの
とp位であるものとの比は1:1であった。) 構造式(D−1):
【化47】 (フタル酸エステル部分がm位であるものとp位である
ものとの比は1:1であった。) 得られたシリコーン変性ポリアリレート樹脂をクロロホ
ルムに溶解して10重量%溶液を調製した。これをガラ
ス板にキャストした後、100℃の温度条件下で10分
間乾燥して、無色透明の皮膜を形成した。得られた皮膜
の鉛筆硬度は2Hであり、水に対する接触角は100度
であった。
【0037】
【発明の効果】本発明のヒドロキシフェニル基含有オル
ガノポリシロキサンは、分子鎖両末端にシクロシロキサ
ン単位を有する新規な化合物である。そしてこのオルガ
ノポリシロキサンは有機樹脂用改質剤、特にポリカーボ
ネート樹脂用改質剤やポリアリレート樹脂用改質剤とし
て有用であるという利点を有する。また該オルガノポリ
シロキサンにより改質されたシリコーン変性有機樹脂は
成形加工性に優れるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は実施例1で得られたヒドロキシフェニ
ル基含有オルガノポリシロキサンのFT−IRスペクト
ルチャートである。
【図2】 図2は実施例1で得られたヒドロキシフェニ
ル基含有オルガノポリシロキサンの29Si−NMRスペ
クトルチャートである。
【図3】 図3は実施例1で得られたヒドロキシフェニ
ル基含有オルガノポリシロキサンの13C−NMRスペク
トルチャートである。
【図4】 図4は実施例3で得られたシリコーン変性ポ
リアリレート樹脂のFT−IRスペクトルチャートであ
る。
【図5】 図5は実施例3で得られたシリコーン変性ポ
リアリレート樹脂の29Si−NMRスペクトルチャート
である。
【図6】 図6は実施例3で得られたシリコーン変性ポ
リアリレート樹脂の13C−NMRスペクトルチャートで
ある。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式: 【化1】 (式中、Rは脂肪族不飽和結合を含まない同種または異
    種の一価炭化水素基であり、Aは置換もしくは非置換の
    ヒドロキシフェニル基であり、Bは炭素原子数が2以上
    のアルキレン基またはアルキレンオキシアルキレン基で
    あり、R1は炭素原子数2〜10のアルキレン基であ
    り、nは1以上13以下の整数であり、xは0以上n以
    下の整数であり、yは0〜40の整数である。)で表さ
    れるヒドロキシフェニル基含有オルガノポリシロキサ
    ン。
  2. 【請求項2】 Aの置換もしくは非置換のヒドロキシフ
    ェニル基が、式: 【化2】 (式中、R2は炭素原子数1〜4のアルキル基もしくは
    アルコキシ基またはハロゲン原子であり、aは0〜4の
    整数である。)で表される請求項1に記載のヒドロキシ
    フェニル基含有オルガノポリシロキサン。
  3. 【請求項3】 有機樹脂用改質剤である請求項1または
    請求項2に記載のヒドロキシフェニル基含有オルガノポ
    リシロキサン。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のヒドロキシフェニル基
    含有オルガノポリロキサンを有機樹脂モノマーと共重合
    反応させてなるシリコーン変性有機樹脂。
  5. 【請求項5】 下記構造式(A)で表される構成単位:
    0.1〜100モル%と構造式(B)で表される構成単
    位:99.9〜0モル%からなる、請求項4に記載のシ
    リコーン変性ポリカーボネート樹脂。 構造式(A): 【化3】 [式中、R3は炭素原子数1〜4のアルキル基もしくは
    アルコキシ基またはハロゲン原子であり、R4は炭素原
    子数が2以上のアルキレン基またはアルキレンオキシア
    ルキレン基であり、bは0〜4の整数である。Dは、
    式: 【化4】 (式中、Rは脂肪族不飽和結合を含まない同種または異
    種の一価炭化水素基であり、R1は炭素原子数2〜10
    のアルキレン基であり、nは1以上13以下の整数であ
    り、xは0以上n以下の整数であり、yは0〜40の整
    数である。)で表されるシロキサン単位である。] 構造式(B): 【化5】 (式中、R5はハロゲン原子または炭素原子数1〜4の
    一価炭化水素基であり、Eは炭素原子数1〜20の二価
    炭化水素基,−O−,−S−,−CO−,−SO2−か
    らなる群から選択される基であり、cは0〜4の整数で
    ある。)
  6. 【請求項6】 請求項5記載のシリコーン変性ポリカー
    ボネート樹脂を成形してなるポリカーボネート樹脂成形
    品。
  7. 【請求項7】 下記構造式(C)で表される構成単位:
    0.1〜100モル%と構造式(D)で表される構成単
    位:99.9〜0モル%からなる、請求項4に記載のシ
    リコーン変性ポリアリレート樹脂。 構造式(C): 【化6】 [式中、R3は炭素原子数1〜4のアルキル基もしくは
    アルコキシ基またはハロゲン原子であり、R4は炭素原
    子数が2以上のアルキレン基またはアルキレンオキシア
    ルキレン基であり、bは0〜4の整数である。Dは、
    式: 【化7】 (式中、Rは脂肪族不飽和結合を含まない同種または異
    種の一価炭化水素基であり、R1は炭素原子数2〜10
    のアルキレン基であり、nは1以上13以下の整数であ
    り、xは0以上n以下の整数であり、yは0〜40の整
    数である。)で表されるシロキサン単位であり、Gは炭
    素原子数1〜20の置換もしくは非置換の二価炭化水素
    基である(但し、このGの内、少なくとも50%は芳香
    族である。)。] 構造式(D): 【化8】 [式中、R5はハロゲン原子または炭素原子数1〜4の
    一価炭化水素基であり、Eは炭素原子数1〜20の二価
    炭化水素基,−O−,−S−,−CO−,−SO2−か
    らなる群から選択される基であり、Gは炭素原子数1〜
    20の置換もしくは非置換の二価炭化水素基であり(但
    し、このGの内、少なくとも50%は芳香族であ
    る。)、cは0〜4の整数である。]
  8. 【請求項8】 請求項7記載のシリコーン変性ポリアリ
    レート樹脂を成形してなるポリアリレート樹脂成形品。
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