JPH115232A - プリプランジャー式射出成形装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 射出量の安定化と樹脂の劣化を防止し、成形
サイクルの短縮が可能な小型のプリプランジャー式射出
成形装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 ホットランナー５の内部に設置したシリ
ンダー８と、その先端のプランジャー空間６、それに連
接した上下移動自在なシャットオフピン４を挿通し先端
の射出先端２０を金型２２に連結したノズル部９と、下
端部からシリンダーブッシュ１０を介してシリンダー８
の側面に溶融樹脂７ａを送出する加熱筒１９と、シリン
ダー８内を摺動移動自在でなるプランジャー空間６の溶
融樹脂７ｂを圧縮し、その後ノズル部９へ送出するプラ
ンジャーヘッド２を先端に設け、逆流防止リング３を装
着したリング装着部２１ｂ、中間部２１でなるプランジ
ャー１で構成したプリプランジャー式射出成形装置であ
り、小型化、成形サイクル短縮が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、各種の樹脂成形な
どに使用されるプリプランジャー式射出成形装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のプリプランジャー式射出成形装置
について、図面を用いて説明する。

【０００３】図５は従来のプリプランジャー式射出成形
装置の要部断面図である。図５において３１はシリンダ
ー３５内部のプランジャー空間３６を上下摺動移動自在
なプランジャー、３８はシリンダー３５の側端面に先端
を傾斜して結合した加熱筒であり、内部に回転移動する
スクリュー３４が挿入されている。

【０００４】３２は金属材でなるプラテン３３の下面に
装着した金型であり、成形樹脂である溶融樹脂３７が圧
入される注入孔３９を中心部に設け、プラテン３３を挿
通したシリンダー３５の先端が注入孔３９の一端と結合
している。なおプランジャー空間３６はプラテン３３よ
り外部に形成された構造となっている。

【０００５】そして、加熱筒３８で加熱され可塑化した
成形用の溶融樹脂３７は、スクリュー３４の回転移動に
よりプランジャー空間３６に送出され、プランジャー３
１の降下により、溶融樹脂３７は金型３２の注入孔３９
へ射出されて所定の成形が行われるのである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の構成では、プランジャー空間３６内の粘性流体であ
る十分に均一ではない溶融樹脂３７を射出するため、射
出量のバラツキによりショートやバリなどの成形不具合
が発生しやすく、またプランジャー空間３６がプラテン
３３の外部に形成された構造であるため射出装置が大型
化してしまう。

【０００７】さらに、プランジャー空間３６を金型３２
と遮断することができず、金型３２へ射出した溶融樹脂
３７がプランジャー空間３６へ逆流することを防止する
ために、プランジャー空間３６内における溶融樹脂３７
の圧力をより高くしておかなければならない。

【０００８】そしてまた、成形のために必要な溶融樹脂
３７を計量する時には、スクリュー３４により加熱筒３
８からプランジャー空間３６側へ溶融樹脂３７を送出す
る流れが矢印のように２通りとなり、常にプランジャー
３１の先端には溶融樹脂３７が滞留し、その結果、劣化
した溶融樹脂３７が溜まるなどの課題があった。

【０００９】本発明は、このような従来の課題を解決し
ようとするものであり、射出量の安定性が向上し、樹脂
の劣化の発生を防止し、成形サイクルの大幅な短縮が図
れ、射出装置の小型化が可能なプリプランジャー式射出
成形装置を提供することを目的とするものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明のプリプランジャー式射出成形装置は、ホット
ランナーの内部に設置した先端部をプランジャー空間と
し近傍にヒータを配設したシリンダー、それに連接して
射出先端を金型に連結し近傍にヒータを配設して上下移
動自在なシャットオフピンを挿通したノズル部と、下端
部の近傍にヒータを配設したシリンダーブッシュを介し
てシリンダーの側面に溶融樹脂を送出する加熱筒と、プ
ランジャー空間の成形用の溶融樹脂を圧縮し、かつノズ
ル部へ送出するシリンダーの内径よりやや小さい外径の
先端のプランジャーヘッド、逆流防止リングを装着した
リング装着部、中間部からなりシリンダー内を摺動移動
自在としたプランジャーにより構成したものであり、プ
ランジャー空間に溶融樹脂を送出し、溶融樹脂の圧縮を
行った後、所定の金型などに射出することにより、溶融
樹脂の射出量の安定化が可能となる。

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明の請求項１に記載の発明
は、ホットランナーの内部に設置した先端部をプランジ
ャー空間とし近傍にヒータを配設したシリンダー、それ
に連接して射出先端を金型に連結し近傍にヒータを配設
したノズル部と、下端部の近傍にヒータを配設したシリ
ンダーブッシュを介してシリンダーの側面に成形用の溶
融樹脂を送出する加熱筒と、プランジャー空間の溶融樹
脂を圧縮し、かつノズル部へ送出するシリンダーの内径
よりやや小さい外径の先端のプランジャーヘッド、リン
グ装着部、および中間部でなるシリンダー内を摺動移動
自在としたプランジャーにより構成したプリプランジャ
ー式射出成形装置としたものであり、射出量の安定化
と、射出速度の立上がりを高速化できるという作用を有
する。

【００１２】請求項２に記載の発明は、プラテン内に前
記ホットランナーを設置し構成してなる請求項１に記載
のプリプランジャー式射出成形装置としたものであり、
射出装置を小型化できるという作用を有する。

【００１３】請求項３に記載の発明は、プランジャー空
間を水平に配設し、その先端を直角曲げおよび傾斜させ
て垂直に配設したノズル部に連結してなる請求項１に記
載のプリプランジャー式射出成形装置としたものであ
り、装置の高さが低くでき、かつ縦方向開閉の金型に射
出できるという作用を有する。

【００１４】請求項４に記載の発明は、上下移動自在に
配設したシャットオフピンにより、溶融樹脂の射出を遮
断可能としたノズル部でなる請求項１に記載のプリプラ
ンジャー式射出成形装置としたものであり、溶融樹脂の
圧力の保持と計量を同時に行えるという作用を有する。

【００１５】請求項５に記載の発明は、溶融樹脂がシリ
ンダーブッシュや加熱筒に逆流するのを防ぐ逆流防止リ
ングをプランジャーに装着し、プランジャーと共に移動
自在とした請求項１に記載のプリプランジャー式射出成
形装置としたものであり、滞留による樹脂の劣化を防止
するという作用を有する。

【００１６】以下、本発明の実施の形態について図面を
用いて説明する。図１は本発明の実施の形態におけるプ
リプランジャー式射出成形装置の要部断面図、図２は同
射出工程を説明する要部断面図、図３は同逆流防止リン
グの動作を説明する要部断面図、図４は同シャットオフ
ピンの動作を説明する要部断面図である。

【００１７】図１〜図４において、耐熱性の金属やセラ
ミック材などでなる射出成形装置２３の盤面本体１４
と、同じくスペーサ１２、スペーサ１３と、そして同じ
く盤面上本体１６を組合わせて周辺すなわちプラテンを
形成し、セラミック材などの耐熱かつ熱絶縁体でなる複
数のライザーパット１７により、Ｌを横にした形状のス
テンレスなどの金属材でなるホットランナー５が放熱を
遮断し保持して設置されている。

【００１８】ホットランナー５の水平部の中央には、金
属の鋼材やステンレスなどの耐熱材でなるシリンダー８
が、一端をスペーサ１２に固定されて設置されている。

【００１９】シリンダー８の内部には同じ素材でなるプ
ランジャー１がシリンダー８の内部と密着摺動し左右水
平移動自在に挿入されており、プランジャー１の一方は
シリンダー８の内径よりやや小さい外径の中間部２１
と、後述する逆流防止リング３の内径よりやや小さい外
径のリング装着部２１ｂを経て、中間部２１とほぼ同じ
外径で先端が円錐状のプランジャーヘッド２になってい
る。

【００２０】３はダブルリング状の逆流防止リングであ
り、耐溶剤性、耐熱性かつ気密性の材料でなり、一方の
外径がシリンダー８の内径とほぼ同じで密着摺動し、そ
れと複数、例えば４本の水平の連結バー（図示せず）に
より連結したプランジャーヘッド２側の他方のリングの
外径とシリンダー８の内径との間には隙間があり、また
内径は共にリング装着部２１ｂの外径との間に隙間があ
り、プランジャーヘッド２の後部と中間部２１の前部の
間をプランジャー１の軸方向の移動と共に移動自在に装
着されている。

【００２１】７ａはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポ
リエステル樹脂、塩化ビニール樹脂、ポリイミド樹脂な
どの成形用の樹脂が加熱により可塑化され液状となって
いる溶融樹脂であり、同じく７ｂはプランジャー１の移
動動作によるプランジャーヘッド２により圧縮されて、
金型２２の注入孔２４へ射出される溶融樹脂である。

【００２２】プランジャーヘッド２の先にはプランジャ
ーヘッド２により溶融樹脂７ａを圧縮移動された溶融樹
脂７ｂの貯留部としてのプランジャー空間６が形成され
ている。

【００２３】ホットランナー５の垂直部の先端は、水平
に配設されたプランジャー空間６の先端からほぼ直角に
曲がり、さらに傾斜部を経てノズル部９となっており、
中心部を金属材などでなるシャットオフピン４が上下垂
直移動自在に挿入されている。また、ノズル部９の先端
は射出先端２０となっており、成形用の金型２２の上面
に密着し注入孔２４の上端に連結されている。

【００２４】１９はヒータ（図示せず）を内蔵した加熱
筒であり、投入された成形用の樹脂を加熱して可塑化し
た溶融樹脂７ａを下部に貯蔵しており、その下端部は外
周にヒータ１１を装着したシリンダーブッシュ１０を介
して、シリンダー８の上面の一端にほぼ直角に連結して
いる。

【００２５】１５はホットランナー５の垂直部先端に配
設したヒータであり、ノズル部９を所定の温度に保持
し、１８は同じく水平部に配設したヒータであり、シリ
ンダー８を所定の温度に保持して投入された溶融樹脂７
ａや圧縮された溶融樹脂７ｂを成形に適した所定の温度
と粘度状態などに維持する。

【００２６】２１ａはプランジャー１の中間部２１とリ
ング装着部２１ｂの境の中間部２１の端面部に設けたテ
ーパ部、２ａはプランジャーヘッド２の後面のツバ部で
あり、３ａは逆流防止リング３の一方の一端に設けた前
記テーパ部２１ａと対応し密着するテーパ部、そして３
ｂは同じく前記ツバ部２ａと対応し密着する他方の先端
のツバ部である。

【００２７】次に動作について説明する。加熱筒１９で
成形用の樹脂を加熱して可塑化された溶融樹脂７ａは、
シリンダーブッシュ１０の内部を通過してシリンダー８
の内部に送出され、プランジャー１の中間部２１の外周
とシリンダー８の内周との隙間を通過し、逆流防止リン
グ３の内周とリング装着部２１ｂの外径の隙間を通過
し、逆流防止リング３の他方の外周およびプランジャー
ヘッド２の外周とシリンダー８の内径の隙間を通過して
プランジャー空間６に送出される。

【００２８】そして、プランジャー空間６の溶融樹脂７
ｂはプランジャー１の水平移動動作によるプランジャー
ヘッド２などにより圧送されて、射出先端２０から注入
孔２４を経由して成形用の金型２２へ所定量が注入され
るのである。

【００２９】なお、溶融樹脂７ａ，７ｂは前記で説明し
たように、ヒータ１１，１８，１５により加熱されたシ
リンダーブッシュ１０とプランジャー空間６、ノズル部
９では成形に適した溶融状態を保持している。

【００３０】次に図２，図３により射出工程動作と滞留
による樹脂の劣化を防止する逆流防止リング３の動作に
ついて説明する。

【００３１】逆流防止リング３はプランジャー１の移動
方向と同じ方向に共に移動するのであり、図３（ａ）に
示すようにツバ部３ｂがツバ部２ａと当接し密着した位
置の逆流防止リング３のリング装着部２１ｂにおける前
進の限度位置で、かつプランジャー１すなわち中間部２
１が静止状態において、テーパ部２１ａが溶融樹脂７ａ
により受ける力（以下後圧力と称す）の方が、ツバ部２
ａが圧縮された溶融樹脂７ｂより受ける力（以下前圧力
と称す）がより大きい場合、または後圧力と前圧力が同
等でプランジャー１すなわち中間部２１がプランジャー
空間６より後退（左方向）した場合には、逆流防止リン
グ３のテーパ部３ａとテーパ部２１ａが離脱し開放状態
となり、溶融樹脂７ａはプランジャー空間６へ送出する
ことができるのであり、図２（ａ）に示す溶融樹脂７ｂ
のプランジャー空間６への計量（所定個所への樹脂の注
入、充填）の状態である。

【００３２】また前記と逆の力関係状態となり、図３
（ｂ）に示すようにテーパ部３ａがテーパ部２１ａに当
接し密着した位置の逆流防止リング３のリング装着部２
１ｂにおける後退の限度位置となった場合には、閉鎖状
態となり溶融樹脂７ａはプランジャー空間６へ送出され
ないのであり、図２（ｂ）に示す計量が終了し、溶融樹
脂７ｂを圧縮開始する状態である。

【００３３】さらに、図４により成形用の金型２２内に
おける溶融樹脂の圧力の保持と、プランジャー空間６へ
の溶融樹脂の計量を同時に行う動作について説明する。

【００３４】まず、図４（ｂ）に示すようなシャットオ
フピン４を上昇させた状態で前記で説明した溶融樹脂７
ｂの注入孔２４を経由した金型２２内への射出動作を行
うのであり、図２（ｃ），（ｄ）に示すように圧縮完了
から射出完了する状態である。

【００３５】次にプランジャー空間６への溶融樹脂の計
量を必要とする場合には図４（ａ）に示すように、シャ
ットオフピン４を降下させてノズル部９の射出先端２０
を閉鎖し、溶融樹脂７ｂの通過射出を停止するととも
に、金型２２内へ注入された溶融樹脂７ｂに付加される
所定の圧力の保持を行う。

【００３６】そして、この時プランジャー空間６の先端
は密閉状態となっており、同時に成形に必要な溶融樹脂
７ｂのプランジャー空間６への計量を前記で説明したよ
うに行うのであり、図２（ｅ）に示すように計量開始の
状態であり、その後、図２（ａ）に戻って１サイクルが
終了する。

【００３７】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、成形に使
用する溶融樹脂の射出量の安定性が向上し、樹脂の劣化
の発生を防止でき、成形サイクルの大幅な短縮が図れ、
射出装置の高さを低くでき、小型化が可能になるという
有利な効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態におけるプリプランジャー
式射出成形装置の要部断面図

【図２】（ａ）〜（ｅ）は同射出工程を説明する要部断
面図

【図３】（ａ），（ｂ）は同逆流防止リングの動作を説
明する要部断面図

【図４】（ａ），（ｂ）は同シャットオフピンの動作を
説明する要部断面図

【図５】従来のプリプランジャー式射出成形装置の要部
断面図

【符号の説明】

１ プランジャー ２ プランジャーヘッド ２ａ ツバ部 ３ 逆流防止リング ３ａ テーパ部 ３ｂ ツバ部 ４ シャットオフピン ５ ホットランナー ６ プランジャー空間 ７ａ 溶融樹脂 ７ｂ 溶融樹脂 ８ シリンダー ９ ノズル部 １０ シリンダーブッシュ １１ ヒータ １２ スペーサ １３ スペーサ １４ 盤面本体 １５ ヒータ １６ 盤面上本体 １７ ライザーパット １８ ヒータ １９ 加熱筒 ２０ 射出先端 ２１ 中間部 ２１ａ テーパ部 ２１ｂ リング装着部 ２２ 金型 ２３ 射出成形装置 ２４ 注入孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東野 宏昭 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ホットランナーの内部に設置した先端部
   をプランジャー空間とし近傍にヒータを配設したシリン
   ダー、それに連接して射出先端を金型に連結し近傍にヒ
   ータを配設したノズル部と、下端部の近傍にヒータを配
   設したシリンダーブッシュを介してシリンダーの側面に
   成形用の溶融樹脂を送出する加熱筒と、プランジャー空
   間の溶融樹脂を圧縮し、かつノズル部へ送出するシリン
   ダーの内径よりやや小さい外径の先端のプランジャーヘ
   ッド、リング装着部、および中間部でなるシリンダー内
   を摺動移動自在としたプランジャーにより構成したプリ
   プランジャー式射出成形装置。
2. 【請求項２】 プラテン内に前記ホットランナーを設置
   し構成してなる請求項１に記載のプリプランジャー式射
   出成形装置。
3. 【請求項３】 プランジャー空間を水平に配設し、その
   先端を直角曲げおよび傾斜させて垂直に配設したノズル
   部に連結してなる請求項１に記載のプリプランジャー式
   射出成形装置。
4. 【請求項４】 上下移動自在に配設したシャットオフピ
   ンにより、溶融樹脂の射出を遮断可能としたノズル部で
   なる請求項１に記載のプリプランジャー式射出成形装
   置。
5. 【請求項５】 溶融樹脂がシリンダーブッシュや加熱筒
   に逆流するのを防ぐ逆流防止リングをプランジャーに装
   着し、プランジャーと共に移動自在とした請求項１に記
   載のプリプランジャー式射出成形装置。