JPH1151939A - 免疫学的検査法および免疫学的検査用キット - Google Patents

免疫学的検査法および免疫学的検査用キット

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JPH1151939A
JPH1151939A JP9213177A JP21317797A JPH1151939A JP H1151939 A JPH1151939 A JP H1151939A JP 9213177 A JP9213177 A JP 9213177A JP 21317797 A JP21317797 A JP 21317797A JP H1151939 A JPH1151939 A JP H1151939A
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圭策 岡田
Shuji Senda
修治 千田
Kenjiro Mori
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    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
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    • G01N33/54366Apparatus specially adapted for solid-phase testing
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    • G01N33/54387Immunochromatographic test strips
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単、迅速に且つ高感度で複数の被検物質の
検出を同一基材上で同時に行うことができる免疫学的検
査法の提供。 【解決手段】 吸水性基材1上の異なる位置に、被検試
料中に含まれるべロトキシン産生性大腸菌、べロトキシ
ンおよびヒトヘモグロビンから選ばれる少なくとも二種
とそれぞれ結合しうる複数の第1免疫体群を固定化した
固定相2に、被検試料および着色粒子に前記被検物質と
結合しうる第2免疫体を結合した標識免疫体液とを接触
させ、被検物質と標識免疫体との複合体を該固定相にて
第1免疫体に結合させる免疫学的検査法。 【効果】 O157のようなべロトキシン産生性大腸
菌、べロトキシンおよびヒトヘモグロビンから選ばれる
二種以上の被検物質を同時検出することができる。すな
わち、被検物質が固定相に吸着し、且つ着色判定するこ
とが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は簡単、迅速に且つ高
精度に被検試料中に含まれるべロトキシン産生性大腸
菌、べロトキシンおよびヒトヘモグロビンから選ばれる
少なくとも二種の検出を同一基材上で同時に行うことが
できる免疫学的検査法および免疫学的検査用キットに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年問題となっているべロトキシン産生
性大腸菌としてのO157は、主に感染源となる食品か
ら体内に入り、4〜9日間程度の潜伏期間を経たのちに
発症する。また、血便は感染初期から呈することもあ
り、そののち、場合によってはO157が産生するべロ
トキシンの作用によって溶血性貧血や腎不全や血小板減
少などの症状を引き起こし、溶血性尿毒症症候群(HU
S)に至ることもある。
【0003】このようなべロトキシン産生性大腸菌を食
品中や患者から検出する操作は非常に煩雑であり、結果
が出るまでには多くの日数を要するものであるが、最近
は免疫測定法を用いることによって比較的簡便に検出す
ることができるようになっている。
【0004】具体的な検出方法としては、食品をmTS
B(Tripticase Soy Broth Modified) 培地などを用いて
培養したのち、ELISA法(enzyme-linked immunosor
bentassay法) を用いてO157抗原を検出する方法
(商品名:EHEC−TECELISA TEST S
YSTEM,オルガノンテクニカ社製)がある。また、
食品から分離した大腸菌のべロトキシン産生検査として
は、CA−YE培地で培養したのち、その上澄みを検体
として用いてラテックス凝集法によってべロトキシン1
型およびべロトキシン2型を検出する方法(商品名:べ
ロトックス−F「生研」,デンカ生研社製)がある。
【0005】また、O157を患者の検体中から検出す
る方法としては、ラテックス凝集法(商品名:大腸菌O
157検出キット「UNI」、ユニパス社製)を用いる
方法がある。
【0006】しかしながら、上記各検出方法は何れもO
157やべロトキシンをそれぞれ単一項目として検出す
る方法であって、同時検出できるものではなく、また、
測定するまでに増菌培養が必要になるなど時間や手間が
かかるものである。
【0007】一方、近年になり迅速かつ簡便に免疫学的
検査が行える方法として、免疫クロマトグラフ法が注目
されている。この方法では、例えば以下のようなステッ
プを経る。吸水性基材上に被検液と結合しうる免疫体を
固定化した固定相と、該被検物質と結合しうる標識免疫
体を水との接触によって前記基材から脱離しうるように
含有させた標識相とを、特定の間隔をおいて設けてなる
試薬の前記標識相側の一端から被検試料を吸収させる。
そして、標識相の標識免疫体を脱離させ、被検物質と結
合させて標識免疫体−被検物質複合体を形成させ、次い
で、この複合体が前記固定相にて固定化免疫体と結合す
る。固定相にて結合した標識免疫体を測定することによ
り、被検液中の被検物質を測定することができる。
【0008】標識免疫体に用いる標識材としては、コロ
イド状金属粒子、酵素、蛍光物質、燐光物質、色素、ま
たは酵素、蛍光物質、燐光物質、色素などを結合もしく
は含有させた水分散型高分子重合体粒子などが用いられ
る。特に、蛍燐光物質、色素(染料や顔料など)で着色
した水分散型高分子重合体粒子に免疫体を物理吸着によ
り結合した標識免疫体や金コロイド粒子に免疫体を結合
した標識免疫体は、測定感度が高く、簡便なことから広
く用いられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、近年問題
視されているO157に代表されるべロトキシン産生性
大腸菌やべロトキシン、さらには腸管出血に伴うヒトヘ
モグロビンの検出に免疫クロマトグラフ法を適用し、さ
らにこれらを簡便、迅速かつ高精度で同時検出すること
が可能な免疫学的検査法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来から
の免疫クロマトグラフ法において、被検試料中のべロト
キシン産生性大腸菌、べロトキシン及びヒトヘモグロビ
ンから選ばれる少なくとも二種の被検物質を結合するこ
とができる複数の第1免疫体群を吸水性基材上に固定し
てなる固定相と、被検試料中の上記被検物質と結合する
ことができる第2免疫体を着色粒子に結合してなる標識
免疫体を含有する液を用い、そして、固定相を吸水性基
材上の異なる位置に固定化することによって、被検試料
中の複数の被検物質を同時に検出するという上記目的が
達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
【0011】(1)被検試料中に含まれるべロトキシン
産生性大腸菌、べロトキシンおよびヒトヘモグロビンか
ら選ばれる少なくとも二種の被検物質とそれぞれ結合し
うる複数の第1免疫体群を、それぞれ吸水性基材上の異
なる位置に固定化した固定相に、被検試料および着色粒
子に前記被検物質と結合しうる第2免疫体を結合した標
識免疫体を含有する液とを接触させ、被検物質と標識免
疫体との複合体を該固定相にて第1免疫体に結合させる
免疫学的検査法。 (2)固定相を設けた吸水性基材の一端から被検試料お
よび前記標識免疫体を含有する液の混合物を吸収させ、
被検試料中の被検物質と標識免疫体との複合体を該固定
相にて第1免疫体に結合させる上記(1)記載の免疫学
的検査法。 (3)固定相を設けた吸水性基材の一端から被検試料を
吸収させ、被検試料中の被検物質を前記固定相に存在す
る第一免疫体に結合させた後、第2免疫体を結合した標
識免疫体を含有する液を該吸水性基材に吸収させること
により、固定相に結合している被検物質と標識免疫体と
を結合させる上記(1)記載の免疫学的検査法。 (4)固定相を設けた吸水性基材の一端から標識免疫体
を含有する液を吸収させ、前記固定相までの途上で吸収
させた被検試料中の被検物質と標識免疫体との複合体を
形成させたのち、前記固定相に存在する第1免疫体に結
合させる上記(1)記載の免疫学的検査法。 (5)少なくとも、吸水性基材上に被検物質と結合しう
る第1免疫体を固定化した固定相と、着色粒子に前記被
検物質と結合しうる第2免疫体を結合した標識免疫体を
含有する液とを構成要素とし、該固定相が被検試料中に
含まれるべロトキシン産生性大腸菌、べロトキシンおよ
びヒトヘモグロビンから選ばれる少なくとも二種の被検
物質とそれぞれ結合しうる複数の第1免疫体群を吸水性
基材上の異なる位置に固定化してなる事を特徴とする免
疫学的検査用キット。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において、第1免疫体およ
び第2免疫体は被検物質としてのべロトキシン産生性大
腸菌(以下、VTECという)、べロトキシン(以下、
VTという)またはヒトヘモグロビン(以下、Hbとい
う)と特異的に結合しうる抗体であって、第1免疫体お
よび第2免疫体が特異的に結合する被検物質は共通のも
のである。各被検物質の同時測定が可能な本発明におい
ては上記被検物質の内、少なくとも二種の被検物質とそ
れぞれ特異的に結合しうる複数の第1免疫体および第2
免疫体が用いられる。免疫体は測定すべき被検物質に応
じて、サンドイッチ法などで用いられる公知のものを適
宜選択すればよい。また、固定相に固定化する第1免疫
体と標識免疫体として用いる第2免疫体は、用いる抗体
の種類、測定対象によっても異なるが、同一の抗体を用
いることも可能であり、又、異なる抗原決定基を認識す
る二種の抗体を用いることもできる。免疫体としてモノ
クローナル抗体やポリクローナル抗体を使用することが
できる。一方の免疫体がモノクローナル抗体である場合
には、もう一方の免疫体は当該モノクローナル抗体とは
異なる抗原決定基を認識するものが好ましい。
【0013】また、本発明において検出するVTECと
しては、多くの血清型のものを検出することができ、具
体的にはO157、O26、O111、O18、O11
4、O115、O128、O145などの血清型のVT
ECを検出する。さらに、鞭毛の蛋白部分のH抗原まで
具体的に示すと、O157:H7、O157:H−、O
26:H11、O26:H−、O111:H−、O1
8:H−、O114:H−、O115:H19、O12
8:H2、O145:H−などが挙げられる。これらの
うち、本発明にて効果的に用いることができるVTEC
の血清型としては、O157、O26、O111が挙げ
られ、具体的にはO157:H7、O157:H−、O
26:H11、O26:H−、O111:H−などが挙
げられる。
【0014】また、VTもヒトの場合には主に物理化学
的性状および免疫学的性状を異にするVT−1とVT−
2の2種類があり、本発明ではこれらの2種類のベロト
キシンを同時に検出することができる。
【0015】本発明において用いる吸水性基材は、被検
物質を含有する被検試料、例えば、食品から抽出した溶
液や培養液の上澄み、便懸濁(溶解)溶液などを吸収で
きるもの、あるいはこれらを緩衝液によって希釈してな
る希釈液を吸収するもの、標識免疫体を含有する液を吸
収するものであれば特に限定されない。本発明において
は、被検試料中の被検物質が標識免疫体や固定相の第1
免疫体と充分な反応を行うための時間を確保できるよう
な吸水性基材が用いられる。吸水性基材が吸水性に劣る
場合には、後述するように被検試料が固定相に到達する
のに長時間を要し、その結果、迅速な測定を行うことが
できない。
【0016】一方、吸水性基材の吸水性があまりに高す
ぎる場合には、被検試料中の被検物質が標識免疫体や固
定相の第1免疫体と充分な反応を行うために必要な時間
が不足するので、正確な測定を行うことが困難となる。
好ましい具体例としては、例えば不織布、濾紙、ガラス
繊維布、ガラスフィルター、ニトロセルロースフィルタ
ー、多孔質材料などが挙げられる。これらの基材は適度
な吸水速度を有すると共に、着色粒子が結合して発色し
た際の目視確認性に優れるものである。
【0017】以上の点を考慮すると、本発明における吸
水性基材の吸水性の程度は、5mm幅の短冊状に裁断し
た吸水性基材の片端部を水に浸潰し、1分間経過後の吸
水距離が0.5〜5cm程度のものが好ましい。
【0018】また、これらの基材の吸水性を調整するた
めに、基材の表面に親水性重合体や界面活性剤を被覆
し、あるいは含浸させることもできる。さらに、本発明
においては吸水性基材として同一材料からなる基材を用
いてもよいし、あるいは異種の材料からなるものを任意
の接着手段によって接合して得た連続した基材を用いる
こともできる。
【0019】本発明において、吸水性基材の形状は、被
検試料を展開できる形状であれば特に限定されるもので
はなく、例えば、矩形のシ一ト状(片状)やロッド状な
どが好ましい。
【0020】本発明において、固定相とは被検物質と結
合しうる第1免疫体が吸水性基材上に固定化された領域
を意味する。第1免疫体を吸水性基材上に固定化する方
法(固定相の作製方法)も、特に限定されるものではな
いが、従来から知られている物理吸着法や共有結合法に
よるのが好適であり、特に、免疫体が基材から脱離しに
くい共有結合法によるのが好ましい。吸水性基材が上記
共有結合法のための官能基を有しないときは、例えば適
宜の官能基を有する重合体を用い基材を作製し、吸水性
基材の吸水性を阻害しない程度に付着させる。また、第
1免疫体および親水性重合体を含む溶液を吸水性基材に
塗布したのち、上記親水性重合体を凝固させる凝固溶剤
に浸債することで固定相を作製することもできる。上記
親水性重合体としては、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセル
ロースなどが用いられる。上記凝固溶剤としてはアセト
ン、エタノール、メタノール、エーテルなどを用いるこ
とができる。
【0021】固定化する第1免疫体の量は用いる免疫体
の種類や特性によっても異なるが、通常、VTECに対
する抗体であれば0.001〜0.5mg/cm2 、V
Tに対する抗体であれば0.01〜1mg/cm2 、H
bに対する抗体であれば0.01〜1mg/cm2 の量
で塗布される。
【0022】本発明における固定相は上記のようにして
吸水性基材上に複数の第1免疫体を固定化したものであ
るが、後述の様に、被検試料の吸液によって移動してき
た第2免疫体固定化着色粒子を固定相で捕捉して各被検
物質毎に発色させるためには、各第1免疫体は少なくと
も1mm以上、各発色が混じり合わないようにするため
には、好ましくは5mm以上の間隔を設けて吸水性基材
上に固定化することが望ましい。
【0023】また、本発明においては上記固定相と、被
検試料および/または標識免疫体を含有する液の吸液が
開始される部位(以下、吸液部という)との間の距離
は、1〜6cm、好ましくは3〜4cm程度とする。距
離があまりに遠すぎると、固定相まで被検試料が到達し
なかったり、発色感度が強すぎたり、測定に時間がかか
ったりするという問題点を生じる恐れがあり好ましくな
い。一方、距離が近すぎると固定相での発色が均一でな
く、まばらになったり、発色感度が低すぎるという問題
が生じる恐れがある。
【0024】吸液部としては、被検試料や標識免疫体を
含有する液の吸水性基材への移動を妨げるものでなけれ
ば、特に限定されず、基材と兼用したものであっても、
あらたに不織布や織布等を該吸収性基材に接着させたも
のであってもよい。本発明において、第1免疫体が固定
化された固定相及び吸液部を有する吸水性基材を本発明
の免疫学的検査片ともいう。
【0025】本発明における標識免疫体としては、着色
粒子に被検物質と結合することができる第2免疫体を結
合したものを用いる。ここで用いる着色粒子としては、
肉眼で着色が検出可能なものであれば制限はなく、例え
ば金、銀、銅などの金属からなるコロイド粒子、スダン
ブルーやスダンレッドIV、スダンIII、オイルオレ
ンジ、キニザリングリーンなどに代表される顔料や染料
などでラテックスを着色した着色ラテックスなどを用い
ることができる。目視確認性の点からは、金コロイドや
青色や赤色、緑色、オレンジ色に着色した着色ラテック
スを用いることが好ましく、さらに好ましくは青色や赤
色などで着色した水分散型高分子重合体粒子からなる着
色ラテックスを用いることが分散安定性や被検物質の検
出感度の調整し易さなどの点から望ましい。
【0026】上記着色粒子の粒径としては保存安定性や
調製しやすさの点から、0.01〜3μm、好ましくは
0.05〜0.5μmの範囲とする。粒径があまりに小
さすぎると、1粒子当りの着色の程度が少ないので、固
定相に結合しても発色の程度が悪く、目視確認性に劣る
ようになる。また、粒径が大きすぎると、着色粒子が僅
かに凝集しただけで吸水性基材に目詰まりを起こして吸
水性を低下させたり、非特異発色を起こしたりすること
がある。
【0027】このような着色粒子に第2免疫体を結合す
る方法としては、従来からよく知られている方法、例え
ば共有結合法や物理吸着法、イオン結合法などを用いる
ことができるが、結合後の免疫体の脱離がなく安定であ
る点から共有結合法を採用することが好ましい。本発明
においては被検試料中の複数の被検物質を検出するため
に、対応する複数の免疫体をそれぞれ別の着色粒子に結
合させるが、この際に用いる着色粒子は同一色であって
も異なった色であってもよい。
【0028】標識免疫体を分散させる緩衝液は、抗原抗
体反応を阻害しないpH及び塩濃度の緩衝液を適宜使用
する。検出時の標識免疫体濃度は0.005〜5%、好
ましくは0.01〜0.5%の範囲とする。濃度があま
りにも低すぎると、固定相に結合する粒子数が少なく、
発色が悪くなる。また、濃度が高すぎると、不経済なば
かりでなく、過剰の着色粒子が固定相以外に残留し、固
定相の発色を不明瞭にする等の問題が発生する。(以
下、標識免疫体を含有する液を標識免疫体液ともい
う。)
【0029】本発明の免疫学的検査法を用いて免疫学的
検査を行うには、以下の方法が挙げられる。第1の方法
では、まず検査すべき被検試料と標識免疫体液とを混合
させる。この時被検試料中に含まれる複数の被検物質
(VTEC、VT、Hb)は各標識免疫体と結合し、標
識免疫体と被検物質の複合体〔標識免疫体(着色粒子−
第2免疫体)−被検物質〕をそれぞれ形成する。次い
で、固定相を設けた吸水性基材の一端から前記被検試料
と標識免疫体液の混合物を吸収させる。混合物中で形成
された複合体は液の移動と伴に吸水性基材中を移動し、
固定相に到達する。固定相では移動してきた複合体が固
定相に固定された第1免疫体と更に結合し、新たに〔標
識免疫体(着色粒子−第2免疫体)−被検物質−第1免
疫体〕からなる標識免疫複合体を形成して、固定相上に
固定化結合される。
【0030】第2の方法では、被検試料のみを固定相を
設けた吸水性基材の一端から吸収させ、被検試料中の各
被検物質を固定相上の第1免疫体に結合させる(被検物
質−第1免疫体)。この方法では、被検試料は液状のも
のであるか、固体状のものであれば適当な緩衝液等で溶
解、懸濁等の処理を行い、吸水性基材に吸収されるよう
にしておく。次いで、標識免疫体液を吸収させる事によ
り、各標識免疫体は、固定相に結合している被検物質と
複合体を形成して、新たに〔標識免疫体(着色粒子−第
2免疫体)−被検物質−第1免疫体〕からなる標識免疫
複合体を形成して、固定相上に固定化結合される。
【0031】さらに、第3の方法では、固定相を設けた
吸水性基材の一端から標識免疫体液を吸収させる。固定
相までの途上に吸収させもしくは塗布した、液状もしく
は固体状の被検物中の、複数の各被検物質と各標識免疫
体との複合体が形成する。形成した複合体は液の移動と
伴に吸水性基材中を移動し、固定相に到達する。固定相
では移動してきた複合体が固定相に固定された第1免疫
体と更に結合し、新たに〔標識免疫体(着色粒子−第2
免疫体)−被検物質−第1免疫体〕からなる標識免疫複
合体を形成して、固定相上に固定化結合される。このよ
うに固定相に固定化されることによって、標識免疫体を
構成する着色粒子は一箇所に集合、結合し、明らかな発
色となり被検物質の存在を目視確認できるのである。本
発明では固定相には複数の被検物質に対応する第1免疫
体をそれぞれ異なった位置に固定しているので、一度に
被検物質としてのVTEC、VT、Hbのうちの少なく
とも二種以上の存在を確認することができるのである。
【0032】従って、本発明は、食品中に存在するVT
ECおよびVTの検出や、糞便中に存在するVTECお
よび/またはVT、と共に存在するHbを同時に検出す
ることができるものである。
【0033】本発明の免疫学的検査法は、本発明の免疫
学的検査用キットによって好適に遂行され得る。当該キ
ットを構成する吸水性基材上に被検物質と結合しうる第
1免疫体を固定化した固定相および着色粒子に前記被検
物質と結合しうる第2免疫体を結合した標識免疫体を含
有する液は前述と同じものが用いられる。例えば、本発
明の検査用キットを用いて検査する場合、用いる吸水性
基材の種類や大きさ、用いる免疫体の特性によっても異
なるが、通常、液量にして1〜500μl、被検物質の
量にしてVTECであれば102 〜109 cfu、VT
であれば0.01〜10万ng、Hbであれば0.5〜
50万ngの被検試料を好適に測定することが可能であ
る。
【0034】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げ、さらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定され
るものではない。 実施例1:被検物質の検出(1)1)標識免疫体液の作製 青色着色カルボキシル化ポリスチレンラテックス粒子分
散液(固形分濃度5重量%、平均粒子径0.1μm、
0.01M−ほう酸緩衝液pH8)3mlに、水溶性カ
ルボジイミド(1mg/ml、0.01M−ほう酸緩衝
液pH8)1ml、および抗E.coliO157:H
7抗体(ヤギIgG(Kirkegaard & PerryLaboratories
Inc.社製)、1mg/ml、0.01M−ほう酸緩衝
液pH8)1mlを加えて10℃で3時間反応させたの
ち、洗浄液としてほう酸緩衝液(pH8)を用いて遠心
分離洗浄を行い、青色着色ラテックス粒子標識抗E.c
oliO157:H7抗体を作製した(固形分濃度2重
量%)。
【0035】同様にして、抗べロトキシン1抗体(マウ
スIgG、1mg/ml)および抗べロトキシン2抗体
(マウスIgG、1mg/ml)を、別々の緑色着色カ
ルボキシル化ポリスチレンラテックス粒子分散液(平均
粒子径0.1μm)に結合した。
【0036】さらに、同様にして、抗ヒトヘモグロビン
抗体(ウサギIgG(株式会社日本バイオテスト製)、
5mg/ml)を、赤色着色カルボキシル化ポリスチレ
ンラテックス粒子分散液(平均粒子径0.1μm)に結
合した。
【0037】次いで、各ラテックス粒子標識抗体を0.
01M−ほう酸緩衝液(pH8.0)に、固形分濃度2
重量%となるように懸濁した。
【0038】2)固定相の作製 ニトロセルロースメンブレン(孔径8μm、6mm×6
0mm)(図中1に相当する)の一端から30mmの箇
所(図中2−4)に抗E.coliO157:H7抗体
(ヤギIgG、1mg/ml、0.1Mリン酸緩衝液p
H7.4)、25mmの箇所(図中2−3)に抗べロト
キシン1抗体(ウサギIgG、2mg/ml)、20m
mの箇所(図中2−2)に抗べロトキシン2抗体(ウサ
ギIgG、2mg/ml)、15mmの箇所(図中2−
1)に抗ヒトヘモグロビン抗体(ウサギIgG、1mg
/ml)をそれぞれ1.5μlずつ、ディスペンサーを
用いてライン状に塗布した。このメンブレンをウシ血清
アルブミン(1重量%)およびポリオキシエチレン(1
0)オクチルフェニルエーテル(和光純薬工業社製、
0.1重量%)からなる水溶液中に10分間浸潰させた
のち、40℃で2時間乾燥させた。次いで、このメンブ
レンの裏側(抗体塗布面の反対側)にポリエステルフィ
ルム(90μm厚)(図中4に相当する)をスプレー糊
を用いて貼り合わせた。抗体塗布箇所の反対端から0〜
8mmの箇所にポリエステル不織布(6mm×8mm、
厚さ2.5mm)(図中3に相当する)を貼り合わせ
て、本発明の免疫学的検査片を作製した。
【0039】3)測定 0.1Mリン酸緩衝液(0.9重量%NaCl含有、p
H7.4)に、E.coliO157:H7、ベロトキ
シン1型、べロトキシン2型、ヒトヘモグロビンを表1
〜表2に示した濃度で分散させた検体(被検試料)を調
製した。
【0040】この被検試料に上記1)で作製した標識免
疫体液を固形分濃度0.02重量%となるように混合、
攪拌した後、混合液60μlを上記2)で作製した検査
片のポリエステル不織布部に滴下し、20分後の固相部
(固定相)の発色の有無を目視観察した。表1〜2に各
被検物質を混合または単独で被検試料に用いた場合の測
定結果を示す。ここで、E.coliO157:H7
は、被検物質の混合時の測定結果に影響が出ないよう
に、ベロトキシン非産生のものを用いた。なお、各表に
おける判定基準は以下の通りである。
【0041】 +:固定相にライン状の発色が見られる。 −:固定相にライン状の発色が見られない。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】実施例2:被検物質の検出(2) 実施例1と同様に、表3〜4に示した濃度で調製した被
検試料60μlを、実施例1の2)で作製した検査片の
ポリエステル不織布部に滴下し、固定相まで展開させ
た。次いで、0.1Mリン酸緩衝液(0.9重量%Na
Cl含有、pH7.4)に、固形分濃度を0.02重量
%となるように希釈した標識免疫体液60μlを、前記
検査片のポリエステル不織布部に滴下し、20分後の固
定相の発色の有無を目視観察した。表3〜4に各被検物
質を混合または単独で被検試料に用いた場合の測定結果
を示す。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】実施例3:被検物質の検出(3) 実施例1と同様に、表5〜6に示した濃度で調製した被
検試料2μlを、実施例1の2)で作製した免疫学的検
査片の表面側に、抗体塗布箇所の反対端から12〜20
mmの部分に吸収させた。次いで、0.1Mリン酸緩衝
液(0.9重量%NaCl含有、pH7.4)に、固形
分濃度を0.02重量%となるように希釈した標識免疫
体液60μlを、前記検査片のポリエステル不織布部に
滴下し、20分後の固定相の発色の有無を目視観察し
た。表5〜6に各被検物質を混合または単独で被検試料
に用いた場合の測定結果を示す。
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
【発明の効果】本発明の免疫学的検査法および免疫学的
検査用キットは、上記実施例の結果からも明らかなよう
に、VTECであるO157やVT、Hbを含む被検試
料であっても、簡便に同時分析することができ、それぞ
れ別々に分析する場合と同程度の精度で検出することが
できるものである。また、判定は発色によって行うこと
ができるので、目視確認により定性的または半定性的な
分析ができると共に、光学機器を利用することによって
定量的分析も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1にて作製した、本発明の免疫学的検査
片の一実施態様を模式的に示す平面図である。
【図2】図1に示す免疫学的検査片のX−X’断面図で
ある。
【符号の説明】
1 吸水性基材 2 固定相 3 ポリエステル不織布 4 ポリエステルフィルム

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検試料中に含まれるべロトキシン産生
    性大腸菌、べロトキシンおよびヒトヘモグロビンから選
    ばれる少なくとも二種の被検物質とそれぞれ結合しうる
    複数の第1免疫体群を、それぞれ吸水性基材上の異なる
    位置に固定化した固定相に、被検試料および着色粒子に
    前記被検物質と結合しうる第2免疫体を結合した標識免
    疫体を含有する液とを接触させ、被検物質と標識免疫体
    との複合体を該固定相にて第1免疫体に結合させる免疫
    学的検査法。
  2. 【請求項2】 固定相を設けた吸水性基材の一端から被
    検試料および前記標識免疫体を含有する液の混合物を吸
    収させ、被検試料中の被検物質と標識免疫体との複合体
    を該固定相にて第1免疫体に結合させる請求項1記載の
    免疫学的検査法。
  3. 【請求項3】 固定相を設けた吸水性基材の一端から被
    検試料を吸収させ、被検試料中の被検物質を前記固定相
    に存在する第一免疫体に結合させた後、第2免疫体を結
    合した標識免疫体を含有する液を該吸収性基材に吸収さ
    せることにより、固定相に結合している被検物質と標識
    免疫体とを結合させる請求項1記載の免疫学的検査法。
  4. 【請求項4】 固定相を設けた吸水性基材の一端から標
    識免疫体を含有する液を吸収させ、前記固定相までの途
    上で吸収させた被検試料中の被検物質と標識免疫体との
    複合体を形成させたのち、前記固定相に存在する第1免
    疫体に結合させる請求項1記載の免疫学的検査法。
  5. 【請求項5】 少なくとも、吸水性基材上に被検物質と
    結合しうる第1免疫体を固定化した固定相と、着色粒子
    に前記被検物質と結合しうる第2免疫体を結合した標識
    免疫体を含有する液とを構成要素とし、該固定相が被検
    試料中に含まれるべロトキシン産生性大腸菌、べロトキ
    シンおよびヒトヘモグロビンから選ばれる少なくとも二
    種の被検物質とそれぞれ結合しうる複数の第1免疫体群
    を吸水性基材上の異なる位置に固定化してなる事を特徴
    とする免疫学的検査用キット。
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