JPH11511335A - 液体組成物からのウィルスの吸着方法 - Google Patents

液体組成物からのウィルスの吸着方法

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Abstract

(57)【要約】 生存力及び感染力を維持するウィルスの生物学的サンプルからなる溶液からの吸着方法。該方法は、溶液のpHをpH6.0〜8.0に調節し;有効量の水に不溶性の架橋ポリカルボン酸ポリマー(WCPP)を該溶液に100:1〜1:10,000の溶液に対するWCPPの容積:容積の割合で添加して、WCPP−溶液混合物を形成し;WCPP上にウィルスを固定化するのに十分な時間、該WCPP−溶液混合物をインキュベートして、WCPP−ウィルスマトリックスを形成し;および該マトリックスを該溶液から分離することからなる。上記新規な方法は、生存ウィルスおよびウィルスタンパク質や核酸等のウィルス成分を除去、精製、回収および分析するのに適切である。

Description

【発明の詳細な説明】 液体組成物からのウィルスの吸着方法 発明の分野 タンパク質を含む水性培地からの生存力及び感染力を維持するウィルスの吸着 方法。 発明の背景 公知のウィルスやウィルス核酸の精製方法は、重要な欠点や短所を有する。宿 主細胞や増殖培地から細菌や哺乳動物ウィルスを純化する公知のプロトコルは、 一般的に3つの段階からなる。まず、ウィルスは、宿主細胞から遊離されなけれ ばならない。ウィルスを増殖させるのに使用される感染細胞を溶解するウィルス は、いうまでもなく、直接に増殖培地中に放出される。しかしながら、レオウィ ルス(reovirus)やアデノウィルス(adenovirus)等の、他のエンベロープを有さな い(non-enveloped)ウィルスによっては、細胞の膜成分と結合するため、初めに この材料から抽出しなければならない。細胞成分からエンベロープを有さない(n on-enveloped)ウィルスを抽出する一般的な方法は、シャトキン,エージェー(Sh atkin,A.J.)、プロック ナショル アカデ サイ ユーエスエー(Proc.Natl .Acad.Sci.USA)、54、1721(1965年)に記載されたようにフレオ ン113の存在下で細胞懸濁液をホモジネートすることによるものである。有効 ではあるが、ウィルスを含むエアロゾルを生じかつ環境中にフレオンを放出する ため、この方法を行うにあたっては注意を要する。 第二に、ウィルスは、実際に純化する前に濃縮されなければならない。二つの 方法がウィルスを濃縮し、部分的に純化するために用いられる。 ウィルスを、マーイ ビーダブリュージェー(Mahy B.W.J.)著、ビロロジー,ア プラティカル アプローチ(Virology,a practical approach)、ワシントンデ ィーシー(Washington D.C.)(1985年)で論じられるのと同様にして、硫酸 アンモニウムまたはポリエチレングリコールを添加することによって沈澱させる 。しかしながら、この方法は一般的に組織培養培地中に存在する多くのタンパク 質をも一緒に沈澱させるため、ある程度ウィルスサンプルの純度が減少する。ま たは、サンプル中のウィルスを超遠心によりペレット化して、上清の多くの可溶 性タンパク質を除去し、さらに少量のバッファーにウィルスを再度溶かすことに よって、ウィルスの濃縮を達成してもよい。 第三に、濃縮されたウィルスは外因性の材料から純化されなればならない。こ の純化工程の最終段階は、通常、密度勾配超遠心を用いる分画形態によって行わ れる。例えば、ピコルナウィルスは、従来、ルーカート アールアール(Ruecker t,R.R.)及びエム パランスク(M.Pallansch)(1981年)、メソッズ イン エンザイモロジー(Methods in Enzumology)、78、315〜326に記載さ れる、2種の分染法のうちの一つによって純化されていたが、レオウィルスの純 化は、スミス アールイー(Smith,R.E.)ら、ビロロジー(Virology)、39、79 1(1969年)に記載されたように、ショ糖密度勾配による沈降バンディング (sedimentation banding)、および塩化セリウムによる密度平衡バンディング(de nsity equilibrium banding)を伴う。 生物学学的液体、生物学学的液体からなる水性懸濁液または水溶液からウィル スを単離する上記公知な方法は、非常に長い時間または遠心のための高価な設備 を必要とし;さらに高価な設備および/または有毒な化学物質の使用を必要とす る。 ウィルス単離技術を改良する一つの方法としては、選択的に固体材料 上のウィルスを吸着することがある。理想の吸着剤は、液体懸濁液の外因性材料 からある条件下でウィルスを選択的に吸着し、異なる条件下で生存ウィルスを脱 離することによって、ウィルス粒子の物理的分離が可能である。 種々の合成ポリマー材料がこの取り組みに使われてきた。米国特許第3,22 4,941号及び第3,684,777号の架橋性水溶性ポリマーは、吸水しか つウィルスを吸着または不活化すると報告される。米国特許第4,271,02 8号水溶性ポリマー材料は、pH5〜10の範囲でウィルスを吸着することが報 告される。 水不溶性である合成ポリマー材料もまた、ウィルスを吸着する試みに使用され た。しかしながら、これらの殆どはpHに非感受性であり、そのためpHの変化 でウィルスの脱離が起こらない。ジョンソン(Johnson)ら、ネーチャー(Nature) 、665−667(1967年)の材料は高希釈水性液体からウィルスを吸着す るのに有用であると報告され、また米国特許第4,421,653号の材料は、 ウィルスなどのタンパク質を吸着することが報告された。 研究者は、酸性のpHでウィルスを吸着し、かつ高いpHでウィルスを脱離す る合成水不溶性ポリマー材料を使用した。しかしながら、これらの材料は、一般 的に、極めて多量の飲用水を処理するために使用される。ウォリス(Wallis)ら、 アプライド ミクロバイオロジー(Applied Microbiology)、1007〜1014 (1969年);ウォリス(Wallis)及びメルニック(Melnick)、703〜709 (1971年);およびウォリス(Wallis)ら、アプライド ミクロバイオロジー (Applied Microbiology)、740〜744(1972年)。米国特許第3、39 8、092号に開示されたポリマー材料等の、より少ない容積の水性材料からウ ィルスを除去するために使用される材料は、水中に存在するウィルスを 除去するまたは不活性化することが報告される。 プロメガ コーポレイション(Promega Corporation)(メジソン,ダブリュー アイ(Madison,Wi))製のラムダソルブ(商標)(LambdaSorbR)は、水性懸濁液 からウィルス粒子(特に、バクテリオファージλ粒子)を除去するのに有用であ るといわれる別の固体材料である。この材料は、固定化スタフィロコッカス ア ウレウス(Staphylococcus aureus)細胞及びバクテリオファージλ粒子に対する ウサギのポリクロナール抗体との複合体(conjugate)である。この吸着剤を、細 菌細胞溶解産物と振盪し、次いで1時間未満の時間、12,000×gで遠心す ると、吸着体及び結合した細菌ウィルスが除去される。この吸着剤の水性懸濁液 は、溶解産物に対する吸着剤の容積比が1:100で用いられる。明らかに、バ クテリオファージはラムダソルブ(LambdaSorb)から脱離せず、結合したバクテリ オファージ粒子の破壊のみが開示される。 水性懸濁液からタンパク質を除去するためのに有用であることが報告される合 成ポリマー材料は、クルペイ(Krupey)の米国特許第5,294,681号、第5 ,453,493号および第5,534,597号に記載されている。これらの 材料は、水不溶性ポリカルボン組成物である。これらを約15分間タンパク質含 有懸濁液に添加、混和することにより、ポリマータンパク質マトリックスが形成 できる。組成物の置換基によって、懸濁液のpHはpH3から7.5である。マ トリクスを懸濁液から取り除いた後、結合したタンパク質は、必要であればマト リクスペレット1容積に対して0.5〜2%(w/w)の界面活性剤の存在下で 、pH8.6〜9.5のバッファー溶液中でマトリクスを洗浄することによって 放出されることが記載される。 ウィルス核酸の精製技術は、通常、先に列挙された公知のウィルス純化段階、 さらには界面活性剤またはグアニジンチオシアネート(guanidi ne thiocyanate)等の化合物によるウィルス粒子の破壊、遠心による核酸材料の 一部を精製、および電気泳動からなる。公知のウィルス純化方法の欠点、時間が かかりまた高価な設備を使用し、さらに有害な化合物を使用すること、は、ウィ ルス核酸を精製する方法にもあてはまる。 これらの公知の方法を使用した哺乳動物ウィルスから精製された核酸は、細胞 外培養液中に放出されたウィルスが宿主細胞やこれらの成分から大きく分離され るため、極めて純粋である。しかしながら、これらの方法を用いて細菌ウィルス から単離された核酸は、それほど純粋でないことが多い。従来精製されたバクテ リオファージ核酸の電気泳動ゲルは、純化を示す単一のシャープなバンドが現れ ず、むしろ、既知のウィルス核酸分子の長さより長い分子を含む、多くの異なる 長さの核酸の存在を示す、様々なバンドによる長いスミアが生じる。 バクテリオファージλの核酸を単離する一般的な方法は、モレキュラー クロ ーニング、ア ラボラトリー マニュアル(Molecular Cloning, A Laboratory M anual)、第2版、サムブルック(Sambrook)ら、頁2.73〜2.81、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス(Cold Spring Harbor Laborato ry Press)(1989年)に開示されている。この方法において、遠心分離技術 を用いて単離されたバクテリオファージ粒子は、熱にさらされること、界面活性 剤(タンパク質変性剤)、EDTAなどのキレート剤で破壊される。このような 破壊によって放出された核酸は、フェノール/クロロホルム抽出により他のウィ ルス成分から単離、精製される。この方法ではタンパク質変性剤の存在にもかか わらず、精製されたバクテリオファージ核酸は、通常、ウィルス核酸を多くの小 分子に分解する、バクテリオファージエクソヌクレアーゼを低レベル含む。バク テリオファージ核酸の公知の単離技術に関する現在の問題としては、熱や化学変 性剤を使用するにもかかわらず、ウ ィルスのエキソヌクレアーゼ及び核酸結合タンパク質は生理活性を維持し、それ ぞれ放出される核酸に切断または結合するため核酸の有用性が非常に抑制される ことがある。したがって、タンパク質及びウィルス核酸由来の他の外因性のウィ ルス材料を除去するための抽出段階が、しばしば必要となる。 さらに、核酸を固体材料に吸着された細菌ウィルスから単離しようとすると、 熱と界面活性剤を使用することにより大量のタンパク質が変性するため、非常に 多量のウィルスタンパク質が破壊により固体材料から脱離し、これにより実質的 な量のウィルスタンパク質を含む核酸が得られる。 前述したラムダソルブ(商標)(LambdaSorbR)もまた、バクテリオファージか ら核酸を単離するのに有用であることが報告される。固体に結合したバクテリオ ファージを破壊するために、EDTA存在下での熱を加える;次に、破壊された バクテリオファージによって放出された核酸をフェノール/クロロホルム抽出で 単離する。 発明の要約 本出願人は、クルペイ(Krupey)による米国特許第5,294,681号、第5 ,453,493号および第5,534,597号(全て参考のために引用され る)の架橋水不溶性ポリカルボン酸ポリマーが、生物学的な液体からなる組成物 から選択的にウィルス及びウィルス成分を吸着するのに使用し得ることを見出し た。これらのポリマー材料は、サンプルから99%までのウィルスを除去するこ とができる。吸着されたウィルスは、より高いpHで脱離されると、生存してお りかつ正常な感染レベルを保持している。このように、ポリマー材料への吸着は 、吸着されたウィルスの生存力を減少したりまたは破壊したりしない。 本新規な方法と関連する利点は数多くある。公知技術に必須である高 価な設備や有毒な化学薬品は本新規な方法では必要がない。タンパク質を含まな い溶液からウィルスを吸着できた初期のポリマー材料とは異なり、本発明は、タ ンパク質を含む液体からウィルスおよびウィルス成分を結合、単離および抽出す ることができる。この新規な方法使用されるポリマー材料の吸着性はpHの機能 であるため、ウィルスの簡単な簡便な吸着および脱離が可能である。結合したウ ィルスの脱離は、生存力及び感染力を損なわない。または、結合したウィルスの 核酸(例えば、HIVの核酸など)が精製および/または複製できるように、結 合したウィルスを破壊してもよい。結合したウィルスの破壊は、ウィルス核酸を 放出するのみならず、ウィルスタンパク質を一般的に含まずに全非切断核酸を分 解が得られる。さらに、この新規な方法は、全ウィルスまたは破壊されたウィル ス成分、即ち、ウィルスタンパク質または核酸の吸着及び単離の速度、簡便性お よび効率を劇的に向上する。この新規な方法は、一連の単純な機械的段階を用い てウィルスを純化するため、自動化が可能である。 a)溶液のpHをpH6.0〜8.0に調節し;b)水に不溶性の架橋ポリカ ルボン酸ポリマー(WCPP)を溶液に100:1〜1:10,000の溶液に 対するWCPPの容積:容積の割合で添加して、WCPP−溶液混合物を形成し ;およびc)存在する少なくともあるウィルスをWCPP上に固定するのに十分 な時間、WCPP−溶液混合物をインキュベートして、WCPP−ウィルスマト リックスを形成し;およびd)マトリックスを溶液から分離する;ことからなる 、ウィルスを含む生物学的サンプルからなる溶液からのウィルスの吸着方法を提 供する。 上記WCPPは以下からなる群より選ばれるものである: i) A)下記式 のアルファ,オメガジアミノヒドロキシアルカンで下記式 のポリ(アルキレン無水マレイン酸)ポリマーを架橋し、 さらに B)未反応の無水物基を加水分解する ことによって得られ、この際の初めに仕込まれる式(I)のポリ(アルキレン無 水マレイン酸)に対する初めに仕込まれる式(II)のジアミノヒドロキシアル カンのモル比が約1:1〜200:1である、 水に不溶性の架橋ポリヒドロキシポリカルボン酸; ii)式 H2N.(CH)z.NH2のアルファ,オメガジアミノアルカンで 式(I)のポリ(アルキレン無水マレイン酸)ポリマーを架橋することによって 得られ、この際の初めに仕込まれる式(I)のポリ(アルキレン無水マレイン酸 )に対する初めに仕込まれるジアミノアルカンのモル比が約1:1〜200:1 である、水に不溶性の架橋ポリカルボン酸; iii)少なくとも2鎖を有し、各鎖は下記式 の鎖骨格を有し、各鎖内の少なくとも一のマレオイル部分の一方のカルボニル基 は、-HN.[(H)p(CH)z.(OH)m].NH-部分 (IV) に共有結合して、 少なくとも一の架橋単位の少なくとも2鎖間に存在させ、該架橋単位は以下から なる群より選ばれるものであり: および 式(III)のポリ(アルキレンカルボン酸)鎖の架橋単位の割合が約1:1〜 約200:1である、水に不溶性の架橋ポリヒドロキシポリカルボン酸;および iv)少なくとも2鎖を有し、各鎖は下記式 の鎖骨格を有し、各鎖内の少なくとも一のマレオイル部分の一方のカルボニル基 は、式 H2N.(CH)z.NH2のアルファ,オメガジアミノアルカンに共有 結合し、この際の初めに仕込まれる式(III)のポリ(アルキレン無水マレイ ン酸)に対する初めに仕込まれるジアミノアルカンのモル比が約1:1〜200 :1である、水に不溶性の架橋ポリカルボン酸。 上記WCPPの基において、Rはフェニルであり;qは7〜10,000の整 数であり;zは1〜4の整数であり;pは0またはz−1までの整数であり;m は1またはzまでの整数であり;およびyはmまでの整数である。さらに、この ような群のWCPPにおいて、式(I)のポリマー及び式(III)の鎖骨格に おける無水マレイン酸モノマーに対するスチレンモノマーのモル比は1:1であ る。 本明細書に開示されるすべての試薬、高分子、酵素、細菌、ウィルス及び形質 転換生物は、市販される、または公知の方法を使用することによって当該分野に おける通常の知識を有するものによって容易に生産できる。 WCPPは、好ましくは、上記水に不溶性の架橋ポリカルボン酸ポリマー、即 ち、ポリマーii)またはiv)からなる群より選ばれる。溶液に対するWCP Pの容積:容積の割合は1:1〜1:10であってもよい。 上記方法において、PH−感受性WCPPは、pH6.0〜8.0の培地中に 存在する際に、ウィルスを吸着することができる。したがって、 生物学的サンプルからなる溶液のpHは、WCPPを上記溶液に添加する前また は後に、pH6.0〜8.0に調節されてもよい。 上記方法のウィルスは、細菌、植物及び動物ウィルスからなる群より選ばれる 。適当な動物ウィルスとしては、哺乳動物のエンベロープを有する(enveloped) 及びエンベロープを有さない(non-enveloped)ウィルスが挙げられる。本新規な 方法における好ましいウィルスは、細菌ウィルス及びエンベロープを有さない(n on-enveloped)哺乳動物のウィルスである。 本新規な方法に関して本明細書中で使用される「溶液」ということば(「生物 学的サンプルからなる溶液」及び「WCPP−溶液混合物」ということばにおけ るなど)は、WCPPのウィルス吸着能を干渉しない水及び必要であれば一以上 の水混和性溶剤からなる、水溶液、または基本的に水性な溶液(aqueous-based s olution)または懸濁液を意味するものと解する。「溶液」(「10%ホルムアル デヒド溶液」または「溶出用溶液」など)はそのことばの標準的な化学的な意味 を有することは内容から明らかである。 「生物学的サンプル」ということばは、「溶液」中に溶解、分散または懸濁で きる生体源(biological source)由来の気体、液体または固体材料を意味するも のと解する。生物学的サンプルは、好ましくは、加工(processing)せずに「溶液 」中に、生体源から直接、仕込まれる。または、生物学的サンプルは、好ましく は、溶液に添加される前に予め加工されてもよい。例えば、血液を遠心して、溶 解性や分散性を向上させることにつながる白血球または固体生体材料を除去して もよい。 細菌ウィルスが源である適当な生物学的サンプルとしては、以下に、制限され るものではないが、細菌細胞溶解産物または清澄液、および細菌増殖培地の上清 が挙げられる。植物ウィルスが源である適当な生物学 的サンプルとしては、以下に、制限されるものではないが、基本植物組織、植物 細胞溶解産物及び植物細胞培養液の上清が挙げられる。動物ウィルスが源である 適当な生物学的サンプルとしては、以下に、制限されるものではないが、呼気; 唾液、痰、吐物、リンパ、涙、血液、血清、血漿及び他の血液誘導体、脊髄液、 滑液、精液、月経液、尿、組織培養上清、組織培養溶解産物、器官培養上清及び 器官培養溶解産物;および組織、皮膚、ケラチン、及び糞由来物質が挙げられる 。気体及び固体の生物学的サンプルは、当業者に既知の手段によって「溶液」中 に溶解してもあるいは懸濁してもよい。好ましい哺乳動物の生物学的サンプルと しては、血漿、全血及びその画分、及び細胞培養増殖培地上清が挙げられる。 本方法は、WCPPを溶液に添加する前または後に、サンプル1容積当たり0 .01容積または重量%〜10容積または重量%までの、0.05容積または重 量%〜1容積または重量%までの及び0.01容積または重量%〜0.4容積ま たは重量%までの量の界面活性剤を溶液に添加する段階からさらになってもよい 。好ましくは、界面活性剤の量は、サンプル1容積当たり0.1〜1.0容積ま たは重量%である。 上記した段階によって、生物学的サンプルからなる溶液からウィルスを吸着し ;および上記段階によって形成されたWCPP−ウィルスマトリックスを溶液か ら分離して、実質的にウィルスを含まない上清を得る段階からなる生物学的サン プルからなる溶液からのウィルスの除去方法がさらに提供される。上記ウィルス の除去方法において、溶液に対するWCPPの容積:容積の割合は1:1〜1: 10であり、かつ生物学的サンプルは血清、血漿、全血及びその画分、ならびに 組織培養上清からなる群より選ばれる。 得られた実質的にウィルスを含まない上清は、特に、初期溶液または 生物学的サンプルが病原性ウィルスを含むことが疑われる血液またはその画分で ある際に、有用な製品である。このようなウィルスの除去によって、このような 血液またはその画分は取り扱ったり捨てたりする保健所の職員(health care wor ker)にとってより安全なものになる。さらに、このようにして病原性ウィルスを 除去することによって、ウィルス疾患にかかっている患者に治療を目的とする処 置を施すことができる。したがって、例えば、このような患者の血清に上記ウィ ルス除去方法を施して、WCPP−ウィルスマトリックスを除去した後、患者の 血流に戻してもよい。 生物学的サンプルからなる溶液からのウィルスの濃縮方法がさらにまた提供さ れる。上記方法は、上記した生物学的サンプルからなる溶液からのウィルスの吸 着方法の段階からなり、さらにpH8.0〜11.0の溶出バッファー中にWC PP−ウィルスマトリックスを再懸濁することによってマトリックスから固定化 ウィルスを脱離し;および濃縮形態の溶出バッファーから脱離したウィルスを集 める段階からさらになる。溶出バッファーの容積が初期サンプル容積に比べて大 きい際には、脱離段階の後に遠心してウィルスペレットを形成してもよい。した がって、ペレットを集めることによって、より少量の、即ち、濃縮形態の、ウィ ルスが提供される。 さらに、ウィルスからのウィルス核酸の単離方法もまた提供される。この方法 の段階は上記した方法の段階と似ているが、この方法のウィルスは生物学的サン プルから得る必要がない。この方法は、ウィルス源にかかわらずウィルスの核酸 を単離するのに使用される。この方法は、以下の段階からなるものである: a)ウィルスを水溶液中に懸濁し; b)この溶液のpHを6.0〜8.0に調節し; c)WCPPを溶液に100:1〜1:10,000の溶液に対するWCPP の容積:容積の割合で添加して、WCPP−溶液混合物を形成し; d)存在する少なくともあるウィルスをWCPP上に固定するのに十分な時間 、WCPP−溶液混合物をインキュベートして、WCPP−ウィルスマトリック スを形成し; e)溶液からマトリックスを分離し; f)分離したマトリックス上に固定化されたウィルスを破壊して、その核酸を 放出させ;および g)当業者に既知の手段によって破壊されたウィルスから放出されたウィルス 核酸を単離する。 この方法の一実施態様によると、ウィルスは生物学的サンプルからなる溶液中 に存在するウィルスであり、さらに得られたウィルス核酸は実質的に宿主細胞核 酸を含まない。 この方法で単離された核酸は、2本鎖または1本鎖のデオキシリボ核酸または リボ核酸であってもよい。この方法は、ウィルス核酸を単離する速度、簡易性お よび効率、さらにはそれらから得られる純度および収量を劇的に向上する。この 新規な方法は、非生物学的なものを起源とする固相を利用して細菌ウィルスを結 合させるものであるが、サンプルの操作や取り扱いを単純化し、そのため公知の 方法に比べて低コストである。この方法は、広範に使用されるポリエチレングリ コール/フェノール−クロロフォルム法のような公知の方法よりも、より少ない 量の宿主DNA及びRNAでより高い核酸の収率が得られる。核酸の放出のため にウィルスの精製や破壊に使用される有毒な溶媒は、この新規な方法では使用さ れない。ウィルスを吸着する方法に関していえば、ウィルス核酸を単離する本方 法は、一連の簡単な機械的な段階を採用しているため、 自動化が可能である。 前記のように、これらの方法におけるウィルスは、細菌ウィルス、好ましくは バクテリオファージλ、T2、T4、T7、P1またはM13であってもよい。 ウィルスが細菌ウィルスの場合には、生物学的サンプルからなる溶液からの細菌 ウィルスの吸着方法が提供される。上記方法は、次の段階からなる: a)細菌ウィルスを有することが知られる細菌の培養物を培養し; b)この培養物の細菌を溶菌して、清澄液を形成し; c)清澄液のpHをpH6.0〜8.0に調節し; d)有効量のWCPPを清澄液に100:1〜1:10,000の清澄液に対 するWCPPの容積:容積の割合で添加して、WCPP−ウィルスマトリックス を形成し;および e)WCPP−ウィルスマトリックスを溶液から分離する。 細菌を溶菌する段階は公知の手段(細菌細胞を超音波処理または破壊を化学的 に誘導するなど)によって積極的に誘導してよく;またはウィルスの溶菌成長サ イクル終了させてもよいと解される。 さらに、ウィルスが細菌ウィルスの場合には、ウィルス核酸がいかなる細菌宿 主細胞の核酸に対しても実質的に純粋なように、生物学的サンプルからなる溶液 中に存在する細菌ウィルスから核酸を単離する方法が提供される。この方法は、 上記生物学的サンプルからなる溶液から細菌ウィルスを吸着し;固定化細菌ウィ ルスを破壊し;および破壊された細菌ウィルスから放出された核酸を単離する段 階からなる。破壊は、当業者に既知の手段、例えば、分離したWCPP−ウィル スマトリックスをキレート剤溶液、好ましくは1mM〜100mM EDTAで 洗浄することによって行うことが好ましい。分離されたWCPP−ウィルスマト リックスの洗浄は25〜80℃で行うことが好ましい。核酸は、当業者 に既知の手段で単離されることが好ましい。 これらの方法におけるウィルスが哺乳動物ウィルスである場合には、アデノウ ィルス;HIV−1;レオウィルス;ライノウィルス;およびそれらの遺伝操作 による変異体からなる群より選ばれるものが好ましい。好ましくは、これらの方 法におけるウィルスは、アデノウィルス;HIV−1;レオウィルス;ライノウ ィルス及びそれらの遺伝操作による変異体からなる群より選ばれる哺乳動物のウ ィルスである。ウィルスが哺乳動物ウィルスの場合には、生物学的サンプルから なる溶液から哺乳動物ウィルスを吸着する方法が提供される。通常、ライノウィ ルスと関連する酸感受性にかかわらず、これらのウィルスは、新規な本方法のポ リマーに吸着し、その後、脱着する際に、通常のレベルの感染力を保持すること が見出される。 この方法において、生物学的サンプルは哺乳動物の体液、および細胞培養液の 上清からなる群より選ばれる。WCPPと接触させる前に、サンプルは前処理し てpH6.0〜8.0に調節される。必要により、界面活性剤を加えてもよい。 この方法における溶液に対するWCPPの容積比は、1:1〜1:10が好まし い。 より具体的には、生物学的サンプルは、血液、血清、血液誘導体、精液、尿、 月経液、脊髄液、滑液、組織培養上清、組織培養溶解産物、器官培養上清及び器 官培養溶解産物からなる群より選ばれる。好ましい生物学的サンプルとしては、 血漿、全血及びその画分、及び細胞培養増殖培地上清が挙げられる。 さらに、哺乳動物ウィルスはアデノウィルス、HIV−1、レオウィルス、ラ イノウィルスおよびそれらの遺伝操作による変異体からなる群より選ばれる、生 物学的サンプルからなる溶液からの哺乳動物ウィルスの濃縮方法が提供される。 この方法は、上記の方法に従って、6.0〜 8.0のpHの溶液から哺乳動物ウィルスを吸着し;この溶液からWCPP−ウ ィルス複合体を分離し;およびポリマーを8.0〜11.0のpHを有するバッ ファー溶液で洗浄することによって、マトリックスから固定化ウィルスを脱離す る段階からなる。 オリジナルな生物学的サンプル(細胞培養上清、血液またはその画分など)が 病原性ウィルスを含む場合には、この方法の上清生成物はその取り扱い及び廃棄 が安全となる。 さらに、単離される核酸が実質的に哺乳動物宿主細胞核酸に対して純粋である ように、哺乳動物ウィルスの核酸を単離する方法が提供される。この方法には、 上記した方法に従って生物学的サンプルからなる溶液から哺乳動物ウィルスを吸 着し;生物学的サンプルからなる溶液からウィルスが固定化されたWCPPを分 離し;WCPP−ウィルスマトリックス上に固定化されたウィルスを破壊し;さ らに当業者に既知の手段によって破壊されたウィルスから放出されたウィルス核 酸を単離する段階からなる。この方法において、細菌ウィルスの核酸に関しては 、破壊する段階は、化学変性剤(界面活性剤、カオトロピニズム塩およびタンパ ク質分解酵素);EDTAなどのキレート剤;または熱などの物理的条件などの 、公知の技術によって行われることが好ましい。 また、本発明は、WCPPおよび製薬上許容される賦形剤からなる組成物を提 供するものである。これらの組成物は、周囲領域からウィルスを吸着、分離する ために局所的に適用される。したがって、本組成物は、以下に制限されないが、 皮膚クレンザー、防腐配合物および避妊ゲルなどの、薬剤、治療または予防製品 においてウィルス抑制効果(virustatic effect)を目的として使用される。 また、上記した生物学的サンプルからなる溶液からウィルスを吸着じ;固定化 ウィルスを破壊し;WCPP−溶液混合物をインキュベート して破壊されたウィルスタンパク質を再吸収させて、WCPP−タンパク質マト リックスを形成し;およびこのWCPP−タンパク質マトリックスを溶液から除 去する段階からなる、生物学的サンプルからなる溶液からウィルスタンパク質を 精製する方法が提供される。 さらに、この方法の変形、すなわち、溶液から除去されたWCPP−タンパク 質マトリックスをpH8.0〜11.0のアルカリバッファー中に再縣濁し;さ らにマトリックスから放出されたウィルスタンパク質をバッファーに集める段階 からさらになる、実質的にウィルス核酸を含まないウィルスタンパク質を単離す る方法もまた提供される。このようなpHで、上記ウィルスタンパク質は脱離し 、これにより実質的に核酸を含まないウィルスタンパク質を集めることができる 。 図面の説明 図1は、DNAを電気泳動させたアガロースゲルの3レーンの写真である。既 知の分子量を有する標準的な化合物を、レーン「M」に電気泳動した。PEG/ フェノール−クロロフォルム抽出によって単離されたバクテリオファージλのD NAはレーン1に電気泳動された。新規な本方法を用いて単離されたバクテリオ ファージλのDNAはレーン2に電気泳動された。 図2は、新規な本方法に従って精製されたDNAを制限酵素EcoRI(レー ン1)またはSalI(レーン2)のいずれかで消化した別のアガロースゲルの 写真である。既知の分子量を有する標準的な化合物を、レーン「M」に電気泳動 した。 実施熊様の詳細な説明 定義 本明細書中に用いられる略語は次のように定義される: EDTA エチレンジアミン四酢酸 FBS ウシ胎児血清 HEPES N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2− エタンスルホン酸 HRV ヒトライノウイルス MES 2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸 pfu プラク形成単位 SMバッファー 50%mMトリス(Tris)、pH8.0、 10mM MgSO4、0.1%ゼラチン TCID50 50%の組織培養物を感染させるために必要な組織 培養物感染投与量(またはウィルス希釈液) 水不溶性ポリカルボン酸ポリマー 式(I)の括弧内に示される原子の記号は、ポリマーの繰り返し単位を表し、 qは、ジアミノヒドロキシアルカンでポリマーを架橋する前の、ポリマーの上記 単位の数を示す。qで表される単位は、7〜10、000の範囲で変化する。 Rがフェニルであり、qが7〜約250である上記ポリマーは、サイエンテフ ィック ポリマー プロダクツ インコーポレイテッド(Scientific Polymer Pr oducts,Inc.)、オンタリオ、ニューヨーク、米国(0ntario,New York,U.S.A.) より、スチレン−無水マレイン酸共重合体の名称で入手できる。また、qが7か ら10であるポリマーもまた、サイエンテフィック ポリマー プロダクツ イ ンコーポレイテッド(Scientific Polymer Products,Inc.)およびアトケム イ ンコーポレイテッド(Atochem Inc.)、グレート バレイ パークウェイ、マルバ ーン、ピーエー、米国(Great Valley Parkway,Malvern,PA,U.S.A.)から入手 できる。 式(II)において、zは1〜4の整数であり、pは0またはz−1までの整 数であり、mは1またはzまでの整数である。式(II)の各(CH)基は、1 個の水酸基が結合する、または水酸基を持たないかのいずれかであると解される 。全架橋部分は、少なくとも一の水酸基を有し、架橋鎖において1個の(CH) 基当たり1個までの水酸基、すなわち2個のアミド基間にz個までの水酸基を有 してもよい。 式(II)のアルファ,オメガジアミノヒドロキシアルカン等のアルファ,オ メガジアミノヒドロキシアルカンは、例えば、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキ シ−プロパン(アルドリッヒ ケミカル シーオー(Aldrich Chemical Co.)、ミ ルウォーキー、ダブリューアイ(Milwaukee,Wl))など、市販している。 水不溶性架橋ポリヒドロキシポリカルボン酸中に残っている無水物基は加水分 解される。 WCPPにおける初めに仕込まれるポリ(アルキレン無水マレイン酸)に対す る初めに仕込まれるジアミノヒドロキシアルカンの割合は、1に対して約1〜約 200(モル/モル)である。 WCPP i)は、式(I)のポリマーを式(II)のアルファ,オメガジア ミノヒドロキシアルカンで架橋し、さらに未反応無水物基を加水分解することに よって作製される。式(I)の一容のポリ(アルキレン無水マレイン酸)を反応 容器に加える。式(II)のアルファ,オメガジアミノヒドロキシアルカンもま たこの反応容器に加える。初めに仕込まれるポリ(アルキレン無水マレイン酸) に対する初めに仕込まれるジアミノヒドロキシアルカンの割合は、1に対して約 1〜約200(モル/モル)である。 架橋したポリヒドロキシポリカルボン酸組成物は、式(I)のポリマーを式( II)のアルファ,オメガジアミノヒドロキシアルカンで架橋 し、未反応無水物基を酸により加水分解して式(V)と(VI)の化合物の混合 物を得ることによって作製される。 このポリマレイン酸エステル(VI)は、室温で数時間、好ましくは少なくと も一晩、強塩基、好ましくは希釈アルカリ水溶液を用いて穏和に処理することに よって、加水分解して親のポリオール(V)に容易に戻すことが可能である。混 合物をアルカリ加水分解すると、実質的に純粋な式(V)の化合物が得られる。 これは、具体的には、式(I)のポリマーをアルファ,オメガジアミノヒドロ キシアルカンと、水中またはアセトンのような有機溶媒中で、1〜5時間混合し 、次にこの反応混合物を、0〜24時間、室温で放置することによって実施され る。反応は、室温若しくは昇温して大気圧下で行うことができる。ジアミノヒド ロキシアルカンは、架橋反応によって、式(I)のポリマーの無水物基をカルボ キシルおよびアミド基に転化する。同時に、利用した反応条件による量で、連結 するヒドロキシジアミド鎖中の水酸基によっては、無水物とさらに反応すること によりエステル化され、相当する「ポリマレイン酸エステル(VI)」を形成す る。この反応中あるいは反応後の時間において、未反応無水物基は水性媒体にお ける加水分解によって(酸溶液を添加してpHを下げることによってなど)カル ボキシル基に転化する。エステル化部分(VI)を含む混合物はタンパク質の除 去に作用するが、これらのエステル部分を、アルカリ水溶液中、好ましくは希釈 アルカリ、例えば0.05〜0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液中で、好ましく は室温で約12時間から約36時間消化することによって加水分解し、純粋なポ リヒドロキシ化合物(V)を得ることが好ましい。 反応が完了した後、水相を混合物に加え、有機相を公知の方法により、好まし くは真空下における蒸発または水相を繰り返し洗浄する遠心によ って除去し、さらに残留物を室温で乾燥することによって、WCPPを得る。最 後に、ペレットまたは固相を水または所定のバッファーに分散させる。 生物学的な液体及び吸着するウィルス 水性媒体は、除去されるウィルスを含む希釈若しくは非希釈の形態の生物学的 な液体からなる。その液体は、細菌細胞溶菌産物、植物抽出物及びヒトの全血な どの、広範な材料から選択される。 単離されるウィルスが細菌ウィルスの場合には、本発明の方法に従って処理さ れるべき生物学的な液体は、細菌ウィルス宿主のサンプル由来である。液体は、 宿主細菌の液体培養液、またはその上清;固相中で成長した細菌の縣濁液;宿主 細菌の細胞溶菌産物;または大部分の細菌が細菌ウィルスによって溶菌される( 清澄液)宿主細菌の液体縣濁液であってもよい。 WCPPを用いたウィルスの吸着および脱離 WCPPは、生物学的サンプルからなる水溶液からウィルスを吸着する方法で 使用される。この方法は、有効量のWCPPを加えてWCPP−ウィルスマトリ クスを形成することからなる。WCPP−溶液混合物中のpHを約6.0〜約8 .0とするWCPP含有培養液のpHは約6.0から約8.0を超えないpHで あることが望ましい。 一点のpHが全てのウィルスを吸着させるために最良でないことに注意すべき である。これは、タンパク質及び他の材料から構成される表面を有する、ウィル スの構造に関する現在の知見に基づくものである。したがって、特定のウィルス を吸着するための最適なpHは、例えば、種々のpH値で吸着したウィルスの割 合(%)を評価することによって、過度の実験をすることなく当業者に既知の方 法によって、決定される。 (同様にして、WCPP−ウィルスマトリックスから結合ウィルスを 脱離するのに最良であるpHは一つではないのである。あるウィルスを脱離する のに最良であるpHは、第2の、特にウィルス構造の異なるウィルスでは最良で ないことが多い。したがって、繰り返すが、特定のウィルスを脱離する最適のp Hは、例えば、種々のpH値で脱離したウィルスの割合(%)を評価することに よって、過度の実験をすることなく当業者に既知の方法によって、決定される。 ) WCPPは、水性縣濁液または乾燥粉末の形態でウィルスを含有する水溶液に 加えてもよい。WCPPを、ウィルス含有水性媒体に加えられる前に、水性媒体 中で縣濁する場合に、WCPP含有媒体のpHは、pHが約7.5を超えない成 分の混合後の媒体を得るために、約5.5〜約7.5である。または、必要であ れば、本明細書に記載される方法は、生物学的サンプルからなる溶液をWCPP 粒子のベッドまたはそのフィルターを通すことによって行ってもよい。 サンプルに対するWCPPの重量比は、ウィルスの目的とする除去度合いによ って変化する。しかしながら、最適な比率は、ウィルスの濃度、処理される溶液 中の生物学的サンプルの性質や濃度、pH値及びイオン濃を考慮して、それぞれ の場合において決定することが好ましい。 代表的には、WCPPは、生物学的サンプルからなる溶液と、一定時間、好ま しくは1〜60分間、例えば、撹拌または反転後放置によって、よく接触させて 、インキュベートする。WCPPにウィルスを吸着させた結果、WCPP−ウィ ルスマトリックスが形成される。マトリックスは、相分離に一般的な公知の方法 (例えば、遠心、濾過または沈降)によって溶液から除去される。したがって、 水不溶性相を除去することにより、ウィルス粒子が除去された上清が得られる。 ウィルスのポリマーへの吸着が生じて、WCPP−ウィルスマトリックスが形 成された後、反応混合物を遠心して、ペレットとしてマトック スを回収することが望ましい。水不溶性相の除去を遠心によって行う場合には、 遠心は約5〜100,000×g、好ましくは5,000〜20,000×gで 0.2〜10時間、または単位重力下で沈降させることによって実施されるべき である。 1,3−ジアミノヒドロキシプロパンでスチレン無水マレイン酸(分子量 5 0,000)を架橋することによって調製されたWCPPは、エンベロープを有 さない(non-enveloped)ウィルスの結合に極めて効果的である。ライノウィルス の遺伝操作による変異体(例えば、下記実施例4におけるHRV14:HIV A:2−1およびHRV14:HIV B:17−1、双方とも表面にHIV− 1のV3ループ部分をディスプレイする(display))、レオウィルス及びアデノ ウィルスに対する結合効率は、細胞培養物、上清および溶菌産物の99%までで あり、脱離後は感染粒子の約80%までが回収される。 ウィルスは、特殊なバッファー溶液または界面活性剤などのその他の抽出剤を 用いて、WCPP−ウィルスマトリックスから脱離される。ウィルスの除去は、 調製または分析の目的であってもよい。バッファー溶液は、pH約8.0〜約1 1.0のバッファーと共に、好ましくは1〜60分間、マトリックスを撹拌(sti rring)、粉砕およびかきまぜること(agitate)によって、マトリックスからウィ ルスを分離するために使用される。マトリックスのペレットの1容当たり、pH 約8.0〜約11.0のバッファーが、約0.1〜約10容使用される。バッフ ァーは、0.01%〜10容積/容積%または重量/容積%の範囲の濃度の界面 活性剤を含んでもよいトリスバッファーが好ましい。 マトリックスを、ウィルスによって、pH約8.0〜pH約11.0のバッフ ァーで処理することによって、ウィルスを変性することなくマトリックスからウ ィルスを脱着する。好ましくは、マトリックスのペレ ットの1容当たり、pH約8.0〜約11.0のバッファーが、約0.1〜約1 0容使用される。本発明はこれに限定されるものでないが、バッファーがトリス バッファーの場合に優れた結果が得られた。レオウィルスおよびHRV14:H IV A:2−1およびHRV14:HIV B:17−1などのライノウィル スの遺伝操作による変異体は、特にWCPP−ウィルスマトリックスから回収可 能であることに注目すべきである。 WCPP−ウィルスマトリックスからウィルスを脱離させる(およびウィルス を吸着させる)段階は、界面活性剤の存在下で行われてもよい。好適な界面活性 剤としては、以下に限定されるものではないが、ツィーン−20(Tween-20)、ト リトンX−100(Triton X-100)、β−オクチルグルコシド、エンピゲン ビー ビー(Empigen BB)およびシーエッチエーピーエス(CHAPS)、ラウリル硫酸ナトリ ウムまたはN−ラウロイルサルコシン(N-lauroyl sarcosine)が挙げられる。溶 液中の界面活性剤の好適な濃度は、WCPP−ウィルスマトリックス1容に対し て約0.01容積または重量%〜約10容積または重量%、または0.05〜1 容積または重量%、または0.1〜0.4容積または重量%である。ウィルスを WCPPから脱離するまたはWCPP上で破壊した後、次に使いやすいように、 回収したWCPPを適当なバッファー中で洗浄することがさらに望ましい。 タンパク質分解酵素、界面活性剤及び熱は結合するウィルス粒子を破壊するこ とができるが、これらはまたタンパク質を変性する。したがって、ウィルスを破 壊するのに上記を使用すると、ウィルス外被タンパクが変性し、これにより容易 にWCPP−ウィルスマトリックスからウィルスが脱離しまたはウィルス粒子を 破壊する。これにより、核酸の収率が低下し、高レベルのウィルスタンパク質が ウィルス核酸中に放出する。 タンパク質分解酵素、界面活性剤または熱をほとんどのタンパク質を変性させる レベルで使用しても、タンパク質の中には、強い結合により、ウィルス核酸に強 く結合したままのものがある。これらの核酸分子は、結合タンパク質が核酸と酵 素との相互作用を遮断できるため、利用可能性を限定した。 したがって、新規な本方法では、結合したウィルスを破壊する化学変性剤を実 質的に含まないキレート剤が好ましく使用される;得られる核酸は、ウィルスタ ンパク質性材料を実質的に含まない。キレート剤を単独で用いると、WCPPの この破壊により放出されたウィルスタンパク質の吸着能力を干渉せずに、ウィル ス粒子を破壊できる。その上、DNAと結合するタンパク質は、そのようにする ためにはMg2+を必要とする。キレート剤は、ウィルスを分裂するばかりではな く、マグネシウムイオンをタンパク質から奪うことによって、それらを放出し、 再結合を防止する。このように、キレート剤を新規な本方法で使用することによ って、実質的にウィルスのタンパク質性物質を含まない核酸を得ることができる 。 ウィルス核酸の単離は、バクテリアファージλを用いて実施すると、特に好ま しい。界面活性剤または熱でファージを破壊すると、バクテリオファージに含ま れるエキソヌクレアーゼが放出する。たとえ、熱、タンパク質分解酵素または界 面活性剤が存在していても、十分なレベルのバクテリオファージエキソヌクレア ーゼの活性が一般的に残っており、ファージ核酸を有用性が抑えられた小片に切 断される。これに対して、EDTAなどのキレート剤を新規な本方法で使用して 結合バクテリオファージを破壊する場合には、得られる核酸は、エキソヌクレア ーゼによって分裂されず、結合タンパク質を持たない。したがって、細菌ウィル スの核酸を単離する際には、実質的に化学変質剤または変性条件を含ま ないキレート剤を用いて破壊段階を行うことが好ましい。 本発明の概念を何等制限するものではないが、本出願人はWCPPが水性媒体 からウィルスを吸着する機構を理解するために説明したい。沈殿能力は、水性媒 体における溶解性の機能である。溶解性は、ウィルス粒子の疎水性の程度の少な くとも部分的な機能である。全てのウィルス粒子は、水性媒体と接触する表面に 少なくとも疎水性部分を有する。本出願人は、WCPPがウィルス表面上の種々 の分子の疎水性部分を相互に近づかせ、水性媒体が6.0〜8.0のpHを有し つつウィルスが最後に沈降する程度にまで凝集すると考える。 このことが起こる前に、WCPPは、電荷吸引などの非共有相互作用によって 一以上のウィルスと結合する。(WCPPは、全てのタンパク質分子の様々な点 、例えばアルギニン残基で、存在する部分的に陽性の電荷と相互作用できる多く の陰電荷を有する。)表面疎水性基によって課せられる水の局所的配列は熱力学 的に好ましくない。結合水は、これらの無極性である疎水性基がお互いに相互作 用し、凝集するときに、放出される。したがって、二以上のウィルスが、糸上の ビーズのように、柔軟なWCPPと相互作用をするので、WCPP糸は、ウィル スが凝集するように種々のウィルス「ビーズ」の無極性部分を包むことができる 。凝集したウィルスの数または大きさが十分に大きいときには、WCPP−ウィ ルスマトリックスは単位重力下で沈降するであろう。さらに、本出願人は、pH が8〜11に変化すると、これらの相互作用が逆転し、それに付随してウィルス を放出すると理解する。pHが6.0〜8.0でWCPPに吸着するウィルスは 、pH8.0〜11.0で脱離する。 さらに、新規な本方法においてWCPPに結合したウィルスを破壊すると、従 来のポリマー材料に結合した破壊ウィルスに比べてかなり少ないタンパク質が放 出されると考える。WCPPは、6.0〜8.0の周 囲pHでは遊離タンパク質性材料も吸着する傾向があるため、このように考えら れる。したがって、ウィルスの破壊後に水性媒体中にWCPPが存在すると、ほ とんどの放出されたウィルスタンパク質が再吸着されやすい。 WCPPに対して、ラムダソルブ(LambdaSorb)の各抗体は、個々のウィルス抗 原に対して高い特異性を有する。ポリクローナル抗体は多くの異なる抗体を含ん でいる。したがって、各ウィルスは、WCPPとよりも極めて少ない結合によっ て固形材料と結合してると考えられる。その結果、結合ウィルスがラムダソルブ (LambdaSorb)プロトコル中で破壊されると、かなりより高レベルの破壊された遊 離ウィルスタンパク質が媒体中に放出される。媒体中にラムダソルブ(LambdaSor b)が存在し続けることにより、ウィルスタンパク質の再吸収が制限される;しか しながら、各ほとんどの破壊されたウィルスタンパク質は、各タンパク質がそれ に特異的な抗体に出会う可能性が低いとすると、遊離し続けると考えられる。し たがって、ラムダソルブ(LambdaSorb)に結合したバクテリオファージの破壊によ り、新規な本方法に比べてかなりより多くのウィルスタンパク質を含む核酸が得 られると考えられる。 下記実施例は、本発明を詳細に説明するものであり、本発明を何等制限するも のではない。 実施例1 サイエンティフィック ポリマープロダクツ インコーポレイテッド(Scienti fic Polymer Products,Inc.)、オンタリオ(Ontario)、ニューヨークから得られ た、分子量50,000、酸価405の、スチレン/無水マレイン酸共重合体3 0g(0.0006モル)を600mlのアセトン中に溶解する。この溶液に、 24時間、定常的に撹拌しながら、5.0ml/分の速度で、1.8リットルの アセトン中に6.6g(0. 073モル)の1,3−ダイク}イノ−2ヒドロキシプロパン(1,3-dyq}ino-2 h ydroxy propane)(アルドリッヒ ケミカル カンパニー(Aldrich Chemical Com pany)、ミルウォーキー、ウィスコンシン(Milwaukee,Wisconsin))を含む第二 溶液を添加する。 反応終了後、3リットルの水を撹拌しながら加えて、さらにポリマーを単位重 力下で沈降させる。水性の有機相をデカンテーションによって除去する。架橋ポ リマーを1リットルの水に懸濁して、ギフォードウッドホモゲナイザー(Gifford Wood homogenizer)(中間のセッティング)を用いて30秒間、粉砕する。懸濁 液のpHを塩酸を添加することにより1.5に調節する。1時間後、懸濁液を遠 心し、水相を捨てる。次に、ペレットを1リットルの水に分散させ、懸濁液のp Hを水酸化ナトリウムを添加することにより10に調節し、混合液を24時間撹 拌する。さらに、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を最終濃度が1.0%(w /v)になるように添加する。続いて、この懸濁液を2時間撹拌し、遠心し、水 相を捨てる。さらに、ペレットを1リットルの水に再懸濁し、遠心し、水相を捨 てる。この再懸濁及び遠心のプロセスを、残存するSDSを除去するために、少 なくとも2回繰り返す。 さらに、ポリマーを含むペレットを蒸留水に分散させ、約1.5のpHまで塩 酸を加えることによって酸(H+)形態に変換する。次に、懸濁液を遠心し、上 清を捨てる。続いて、ペレットを、洗浄上清のpHが5に達するまで、繰り返し 蒸留水で洗浄、遠心する。さらに、ポリマーを0.01M ピペラジン−N,N ’−ビス−2−エタンスルホン酸(piperazine-N,N'-bis-2-ethane sulphonic ac id)(PIPES)バッファー、pH6.2、で洗浄し、最後に、上記緩衝液中 に懸濁して、3.0%(w/v)の懸濁液を得る。 実施例2 バクテリオファージλは、cDNAクローニング、ゲノムDNAクローニング 及び配列決定用のDNAの単離さらにはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に有用 な可変性のクローニングビヒクルである。新規な本方法によって単離されるバク テリオファージλ DNAの純度を、公知のPEG/フェノール−クロロホルム 抽出によって得られる純度と比較する。 大腸菌(Escherichia coli)K12の2枚のプレート(150mm)に、ファー ジのコンフルエントなプレートを作製する密度の組換バクテリオファージλ g t11(ストラタジーン クローニング システムズ(Stratagene Cloning Syst ems)、ラ ジョラ、シーエー(La Jolla,CA)により市販)を播種し、37℃で6 時間、インキュベートする。プレート表面を50mlの遠心管中の10mlのS M(pHを6.9に調節)中に削り落とす。このプレート洗浄液を、4500r pm(1000×g)で10分間、50mlのコニカルチューブ中で回転させる 。上清を新たな50mlの遠心管に除去する(約10ml)。 1容(上清の容積の半分)の実施例1のWCPPを遠心管に添加し、室温で5 分間インキュベートして、WCPP−ウィルスマトリックスを形成した後、25 00rpm(500×g)で5分間回転させる。ペレットを、50mlのSM( pH6.9)で2回洗浄する。 ペレットを5.0mlの10mM トリス、1mM EDTA(TE、pHを 6.9に調節)に再懸濁し、65℃で10分間インキュベートして、バクテリオ ファージ粒子を破壊し、核酸を放出させる。核酸をエタノール沈殿させ、50μ lのTEに再懸濁する。このトリスバッファーについて、10μlのバッファー を1%アガロースゲル上で泳動することによって、DNAの存在を調べる。 1μgの再懸濁された核酸を制限酵素EcoRI及びSalIで処理 する。次に、酵素処理されたバクテリオファージλ DNAを1%アガロースゲ ル上で泳動して、写真に撮った。 PEG/フェノール法を用いてDNAを抽出するプロトコルは、プロメガ イ ンコーポレイテッド(Promega,Inc.)(1994年)によって公表された、プロ メガ(Promega)「プロトコルズ アンド アプリケーションズ ガイド(Protocol s and Applications Guide)」から採用し、参考のために引用する。バクテリオ ファージλを含む上清を上述のとおり得る。等容のバクテリオファージの上清及 び沈殿バッファー(20%(w/v)PEG 8000、2M NaCl)を混 合し、60分間氷上でインキュベートする。この混合物を4℃で4500rpm (1000×g)で20分間回転させた後、1.0mlのファージバッファー( 20mM トリス(pH7.4)、100mM NaCl 10mM MgSO4 )中に懸濁する。 再懸濁されたペレットを1容のTE−飽和フェノール/クロロホルムで2回抽 出して、さらに1容のCHCl3:イソアミルアルコール(24:1)で1回抽 出する。抽出物を−70℃で20分間、等容のイソプロパノールで沈殿させる。 抽出物を10分間ミクロフュージ(microfuge)(14,000×g)で最大速度 で回転させて、TE中に再懸濁する。 公知の及び新規な方法によって精製されたバクテリオファージλ DNAのバ ンドを、それぞれ、図1のレーン1及び2に示す。レーンMは異なる既知の分子 量を有する化合物のバンドを示す。レーン1の長いしまは、多くの異なる長さの 核酸分子が存在することを示す。広い明るいバンドの上にあるものはバクテリオ ファージλのものより大きなポリヌクレオチドである;すなわち、長いしまは宿 主細胞細菌DNAの混入物であることが示される。これに対して、レーン2から 、新規な本方法を 用いて単離されたDNAはアガロースゲルで単一のシャープなバンドを形成する ことが示される。単一のバンドの存在は、公知の方法でバクテリオファージから 抽出されるDNA中にしばしば存在しかつこのDNAに非常に有害である、バク テリオファージλのエキソヌクレアーゼのエキソヌクレアーゼ活性が新規な本方 法を用いて得られたDNAでは存在しないので、非常に意義がある。さらに、新 規な本方法では、公知の方法を行うのに必要な時間のおおよそ半分の時間で上記 DNAが得られる。したがって、新規な本方法は、バクテリオファージλ DN Aをより迅速に生産し、公知の方法による宿主細菌の核酸不純物を実質的に含ま ない。 実施例3 精製バクテリオファージλ DNAは、バクテリオファージタンパク質がDN Aと接触し続ける際には使用が制限される。既知の方法では、タンパク質が抽出 中を通してファージDNAに結合し続ける。これらのタンパク質は、DNAに結 合すると、他の酵素がファージDNAを切断するまたは複製するのを遮断するた め、ファージDNAの利用可能性を極端に抑制する。したがって、実施例2にお いて新規な本方法を用いて単離されたバクテリオファージλ DNAを試験し、 タンパク質が結合し続けるかどうかを決定した。 上記測定は、DNAを制限酵素EcoRI及びSalIで切断することにより なされる。バクテリオファージλ DNAの中心付近には、一対のEcoRI切 断部位およびこのEcoRI部位と隣接する一対のSalI切断部位がある。バ クテリオファージDNAがタンパク質に結合するか否かを決定するために、精製 バクテリオファージλ DNAの第一サンプルをEcoRIで処理し、第二サン プルをSalIで処理する。タンパク質がDNAに結合していると、サンプルの 一方または双方は、 未切断の全バクテリオファージDNAに相当するアガロース電気泳動ゲル上に1 本の明るいバンドが形成する。しかしながら、タンパク質がDNAに結合し続け ない際には、双方の切断部位は利用でき、EcoRIまたはSalIのいずれか で処理すると、特徴のある切断産物群が得られる:λ gt11の場合では、2 つのEcoRI及びSalI部位は相互に接近している;したがって、いずれか の制限酵素で切断すると、それぞれ、約20kb長の、2種のポリヌクレオチド が得られる。 実施例2においてバクテリオファージλ gt11から新規な本方法によって 単離された核酸サンプルを、制限酵素EcoRIまたはSalIで60分間、処 理する。次に、上記酵素処理されたDNA分子を、それぞれ、1%アガロースゲ ル上で電気泳動して、写真に撮った。 図2に示されるように、新規な本方法で精製され、EcoRIまたはSalI のいずれかで処理されたバクテリオファージλ DNAサンプルは、単一の強い 明るいバンドを生じる。この明るいバンドは、約20kb長の2種のポリヌクレ オチドに相当する。したがって、図2から、実施例2において新規な本方法によ って精製されたバクテリオファージλ DNAはバクテリオファージタンパク質 が結合しておらず、即ち、バクテリオファージタンパク質を実質的に含まないこ とが示される。 実施例4 下記試験は、4種の哺乳動物ウィルスの実施例1のWCPPへの結合能及び上 記WCPPからの抽出能を示すものである。4種のウィルスは、1)表面にHI V−1のV3ループの一部をディスプレイする(display)ヒトのライノウィルス の第一の遺伝子操作による変異体(HRV14:HIV A:2−1);2)表 面にHIV−1のV3ループの一部をディスプレイする(display)ヒトのライノ ウィルスの第二の遺伝子操作による変異体(HRV14:HIV B:17−1 );3)レオウィ ルス タイプ3;および4)アデノウィルス(株 Ad5d1309)。レオウ ィルス タイプ3は一般的に使用される株である。アデノウィルス株Ad5d1 309を得る方法は、ジョーンズ エヌ(Jones,N.)及びティー シェンク(T.S henk)、プロック ナショル アカデ サイユーエスエー(Proc.Natl.Acad.Sci. USA)、76、3665〜3669(1979年)に記載される。HRV14:H IV A:2−1及びHRV14:HIV B:17−1を得る方法は、スミス (Smith)ら、ジェー ビロロジー(J.Virology)、68、575〜579(199 4年)に記載される。 上記試験において、下記条件が使用される。キメラヒトライノウィルス、アデ ノウィルス Ad5d1309及びレオウィルス3のウィルスストックを、それ ぞれ、H1−HeLa(アールアール ルーカート(R.R.Rueckert)、インステ ィテュート フォー モレキュラー ビロロジー アンド ユニバシティー オ ブ ウィスコンシン(Institute for Molecular Virology and University of Wi sconsin)、およびパーデュー ユニバシティー(Purdue University)のミカエル ジー ロスマン(Michael G.Rossmann)から得た)、293及びマウスL細胞 中で増殖させることにより調製する。使用する前に、ウィルス(具体的には、1 .0×106〜5.0×108pfu/ml)を含む各細胞培養物の上清を、必要 であれば、1重量%のN−ラウロイルサルコシン(N-lauroyl sarcosine)を含む 、50mM HEPES、pH6.5中で作製する。 次に、各上清を、室温で1時間、3部の上清に対して1部のWCPPの重量比 で実施例1のWCPPと共にインキュベートして、ウィルスとWCPPとのマト リックスを形成する。 このマトリックスを、16,000×gで1分間、遠心することによりペレッ ト化する。上清中に残る感染ウィルスの量を、標準的なプラー ク形成検定を用いることによって定量した。 プラーク検定は、ウシ胎児血清(5〜10%)、及び抗生物質を補足した、レ スニック(Resnick)ら、ジェー ビロロジー(J.Virology)、69、2406〜1 1(1995年)に記載されるのと同様にして調製される、MEM培養液を用い て行う。HeLa細胞はヒトライノウィルス及びアデノウィルスの定量に使用さ れ、マウスL細胞はレオウィルスの定量に使用される。本プラーク検定において 、HeLaまたはマウスL細胞の細胞単層に、2〜10%FBSを含む培養液に よるサンプルの一連の希釈液を接種し、34.5℃で1時間、インキュベートし ;0.5%〜1.0%寒天ノーベル(agar nobel)加培養液を重層し;34.5℃ で3〜7日間、インキュベートする。次に、細胞単層を10%ホルムアルデヒド 溶液で固定し、クリスタルバイオレットで染色する。 さらに、ペレット化マトリックスを、0.154M NaClを含むまたは含 まない、HEPESバッファー、pH6.5で洗浄して、遊離ウィルスおよびマ トリックスに結合しない他の材料を除去する。続いて、マトリックスを、以下に 定義される条件のうちどれを選択するかによって、NaCl(0.15M〜0. 2M)及び1%N−ラウロイルサルコシン(N-lauroyl sarcosine)を添加するあ るいは添加しない100〜200mM トリス、pH9.0〜9.5中に再懸濁 する。 上記プロトコルに従って精製される、A:2−1と称されるライノウィルスの 遺伝子操作による変異体を超遠心によって濃縮する。次に、濃縮ウィルスのサン プルを変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析する。 結果:4種のエンベロープを有さない(non-enveloped)ウィルスはすべて実施 例1のWCPPに結合する(表1のデータに示されるとおり)。さらに、感染ウ ィルスがポリマーから溶出される条件を同定する。ヒト ライノウィルスキメラA:2−1調製物の純度を超遠心による濃縮後に評価した ことろ、N−ラウロイルサルコシンを結合段階に含ませると、ほとんど純粋であ ると判断される。 他の界面活性剤についても、ヒトライノウィルスキメラA:2−1調製物の純 度に関する効果を調べる(結果は示さず)。ツィーン−20、トリトンX−10 0、β−オクチルグルコシド、エンピゲン ビービー(Empigen BB)、及びシーエ ッチエーピーエス(CHAPS)はすべて、N−ラウロイルサルコシンほど有効ではな い。この結果は、上記界面活性剤のいずれかまたはすべてが他のウィルスの精製 に有効でないことを意味するものではない。 表2及び3における実験1以外は、下記表の各値は少なくとも2試験操作の平 均値である;アスタリスク(*)が記された値は、後に様々な溶出用溶液を受け る様々なグループに分けられる同じ実験操作内で複製されるサンプルの平均値で ある。下記表のブランク領域は、試験を行わなかったことを示す。条件1から5 は表3に従って定義される。 %B:結合率(%) %E:溶出率(%)(WCPPに結合したウィルスの量に対する) 条件3について示された結果は、4つの別の実験で得られる。 %B:結合率(%) %E:溶出率(%)(WCPPに結合 したウィルスの量に対する) %B:結合率(%) %E:溶出率(%)(WCPPに結合 したウィルスの量に対する)条件1 −界面活性剤不存在下で行われる結合;使用される溶出バッファーは、1 50mMトリス、pH9.0(HRV14:HIV A:2−1)または200 mMトリス、pH9.5(Ad5d1309及びレオウィルス)である。条件2 −界面活性剤不存在下で行われる結合;使用される溶出バッファーは、1 54mM NaClを含む200mMトリス、pH9.5(Ad5d1309) または150〜200mM NaClを含む200mMトリス、pH9.5(レ オウィルス)である。条件3 −1%N−ラウロイルサルコシンの存在下で行われる結合;使用される溶 出バッファーは、154mM NaClを含む(レオウィルス、実験3及び4、 およびアデノウィルスAd5d1309、実験3)または含まない(HRV14 :HIV A:2−1、HRV14:HIVB:17−1;レオウィルス、実験 1;アデノウィルスAd5d1309、実験1)200mMトリス、pH9.5 である。条件4 −界面活性剤不存在下で行われる結合;使用される溶出バッファーは、1 39mM NaCl及び1%N−ラウロイルサルコシンを含む180mMトリス 、pH9.5である。条件5 −1%N−ラウロイルサルコシンの存在下で行われる結合;使用される溶 出バッファーは、1%N−ラウロイルサルコシンを含む135mMトリス、pH 9.0(HRV14:HIV A:2−1)である。 (表2及び3におけるいくつかの「0」という試験結果はウィルスが存在しな いという実際の測定結果を反映するものであるが、他のデータでは、ウィルスに よっては、検定の感受性の限界であるような低いレベルではあるが、存在するこ とを示すと理解すべきである。このような信頼性が低いと思われるデータから存 在するウィルスの数を算出するのではなく、上記データは0に等しいと考える。 ) 実施例5 WCPPのHIV−1への結合能をまた、HIV−1 IIIB株(参考のた めに引用される、ガロ(Gallo)ら、サイエンス(Science)、224、500〜50 3(1984年)に記載され、および参考のため に引用される、ホワイト−シャーフ(White-Scharf)ら、ビロロジー(Virology)、21 :197〜200(1993年)の方法に従ってH9細胞中に調製されて、 スーザン ゾラ−パズナー(Susan Zolla-Pazner)から受け取る)のストックを用 いて評価する。HIV−1 IIIBストックを、10%FBS、4mMまでの グルタミン、及び100単位/mlのペニシリンとストレプトマイシン、または ヒト血清、35mM MES、pH6.0(未希釈、または25mM MES、 pH6.5、0.15M NaClで1:2に希釈)が補足される、組織培養液 (RPMI 1640、(ギブコ カンパニー(Gibco Company)、グランド ア イランド、ニューヨーク(Grand Island,NY)、カタログ番号 21870−07 )中に希釈する。次に、希釈ストックを1:1または1:2の重量比でWCPP と混合する。室温で1時間後、WCPPを遠心によってペレット化し、上清に残 るウィルスの量を、1)逆転写酵素アッセイ;および2)WCPPによる処理後 に残る感染ウィルスの量(TCID50)の測定によって定量化し、バッファー のみを添加されるコントロールと比較する。TCID50値は、参考のために引 用される、リード(Reed)及びミュエンチ(Muench)、アメル ジェー ハイジーン (Amer. J.Hygiene)、27、493〜497(1938年)の方法を用いて算出 する。逆転写酵素活性は、参考のために引用される、ウィリー(Willey)、ジェー ビロロジー(J.Virology)、62、139〜147(1988年)の方法を用 いて測定し、生成物中に導入される放射性標識の量をモレキュラー ダイナミッ クス(Molecular Dynamics)(サニーベイル、シーエー(Sunnyvale,CA))製のホ スホ−イメージャー(phospho-imager)(400Eモデル)を用いて定量化した。 WCPPのエンベロープを有する(enveloped)レトロウィルスであるHIV− 1との結合能を調べるために、1容の実施例1のWCPPを、 上記RPMI 1640細胞培養液またはHIV−1を含むヒト血清に添加する 。存在するHIV−1のレベルを、以下の2サンプル中に存在する逆転写酵素( RT)活性の減少を測定することによって測定する;第一はHIV溶液に対する WCPPの容積比が1:1であり、第二はこの比が1:2である。また、HIV −1レベルを、2個の同様のサンプルにおける感染力価(TCID50)の減少 を測定することによっても測定する。 a:ウィルス溶液に対するWCPPの容積比 b:測定せず(Not Determined) 条件1−RPIM 1640/10%FBS/50mM HEPES、 pH6.5からの結合 条件2−ヒト血清/35mM MES、pH6.0からの結合 条件3−25mM MES、pH6.5、0.15M NaClで 1:2に希釈されるヒト血清/35mM MES、pH 6.0からの結合 実施例6 下記試験を行い、WCPPに結合するHIVの核酸が強力なタンパク質変性溶 液による処理によって遊離するかどうかを決定する。 実施例5のHIV−1を実施例1のWCPPに吸着させた後、WCPP−ウィ ルスマトリックスを遠心によってペレット化する。次に、上清を捨て、ペレット をFBSを含まないRPMI 1640 500μlで3回洗浄する。500μ lの4Mグアニジンチオシアネート(guanidine thiocyanate)、0.5%N−ラ ウロイルサルコシン、20mMクエン酸ナトリウム、pH7.0及び100mM 2−メルカプトエタノール溶液を用いて、洗浄されたWCPP−ウィルスマト リックスペレットを再懸濁する。室温で5分間インキュベートした後、マトリッ クスを再度遠心によってペレット化する。 RNAを、チョムチンスキー(Chomczynski)及びサッチー(Sacchi)(アン バ イオケム(Ann.Biochem.)、162:156(1987年)、参考のために引用 される)の方法を用いて上清から抽出する。このようにして遊離したウィルスの RNAを、dNTP(0.1mM)、DTT(10mM)、20μlの反応液当 たり1μlのインヒビット−エース(5’−3’)(Inhibit-Ace(5'-3'))お よび(+)鎖ウィルスRNAと相補性を有する以下の21塩基のオリゴヌクレオ チドプライマーが補足された製造社により供給されるバッファーによるギブコ(G ibco)(カタログ番号28025−D13)M−MLV逆転写酵素を用いて、ウ ィルスのcDNAに逆転写する:HIV−1ゲノムの7381番目の塩基から開 始する(ATTACAGTAGAAAAATTCCCC−配列番号1)。(HI Vゲノムについて本明細書で使用される番号付けのスキームは、参考のために引 用される、ラトナー(Ratner)ら、ネーチャー(N ature)、313、277〜284(1985年)のものである。) 次に、表面グリコプロテインgp120のV3ループに相当するウィルスcD NAの領域を、下記の2プライマーを用いたPCRによって増幅する:6957 番目の塩基から開始する(+)鎖の20塩基のオリゴヌクレオチドプライマー( TACAATGTACACATGGAATT、配列番号2)および7331番目 で終わる(−)鎖の18塩基のオリゴヌクレオチドプライマー(CTGGGTC CCCTCCTGAGG、配列番号3)。(配列番号1及び配列番号3は(−) 鎖である、即ち、(+)鎖のウィルスRNAの塩基、故にウィルスRNAまたは 後に生じる(+)cDNA鎖のいずれかに対する塩基対と相補性を有し;配列番 号2はRNA及びDNAプライマー配列番号1から生じる(−)cDNA鎖と相 補性を有する(+)鎖であると解される。) 各PCR反応物は、0.2mMまでのdNTP及び0.5μgの各プライマー が補足された製造社によって供給される10×ストックから調製されるバッファ ーにおける2単位のベントポリメラーゼ(Vent polymerase)(ニュー イングラ ンド バイラブス(New England Biolabs))を含む。反応は、下記のサイクルプ ログラムを行う前に、94℃で2分間、インキュベートすることによって加熱に より開始される;94℃で1分間の変性、さらに55℃で1分間のアニーリング 段階、および72℃で1分間の伸張段階。35サイクル後、サンプルを72℃で 8分間維持した後、4℃に冷却する。 各反応からのサンプルを374塩基対の予想されるPCR産物について2%ア ガロースゲル上で分析する。100塩基対のラダー(ladder)を比較のための標準 物質として泳動する。ウィルスRNAの逆転写及びPCRから得られる産物の電 気泳動分析により、374塩基対の予想される分子量のバンドが得られる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1997年11月19日 【補正内容】 請求の範囲 1.以下からなる、タンパク質及びウィルスを含む生物学的サンプルからなる 溶液からのウィルスの吸着方法: a)該溶液のpHをpH6.0〜8.0に調節し; b)水に不溶性の架橋ポリカルボン酸ポリマー(WCPP)を該溶液に100 :1〜1:10,000の溶液に対するWCPPの容積:容積の割合で添加して 、WCPP−溶液混合物を形成し; c)該WCPP−溶液混合物をインキュベートし、存在する少なくともあるウ ィルスをWCPP上に固定して、WCPP−ウィルスマトリックスを形成する; この際、該WCPPは以下からなる群より選ばれるものであり: i) A)下記式 のアルファ,オメガジアミノヒドロキシアルカンで下記式 のポリ(アルキレン無水マレイン酸)ポリマーを架橋し、さらに B)未反応の無水物基を加水分解する ことによって得られ、この際の初めに仕込まれる式(I)のポリ(アルキレン無 水マレイン酸)に対する初めに仕込まれる式(II)のジアミノヒドロキシアル カンのモル比が約1:1〜200:1である、水に不溶性の架橋ポリヒドロキシ ポリカルボン酸; ii) A)式 H2N.(CH2z.NH2のアルファ,オメガジアミノアルカン で式(I)のポリ(アルキレン無水マレイン酸)ポリマーを架橋し、さらに B)未反応の無水物基を加水分解する ことによって得られ、この際の初めに仕込まれる式(I)のポリ(アルキレン無 水マレイン酸)に対する初めに仕込まれるジアミノアルカンのモル比が約1:1 〜200:1である、水に不溶性の架橋ポリカルボン酸; iii)少なくとも2鎖を有し、各鎖は下記式 の鎖骨格を有し、各鎖内の少なくとも一のマレオイル部分の一方のカルボニル基 は、-HN.[H)p(CH)z.(OH)m].NH-部分 (IV) に共有結合して、少なく とも一の架橋単位の少なくとも2鎖間に存在させ、該架橋単位は以下からなる群 より選ばれるものであり: および 式(III)のポリ(アルキレンカルボン酸)鎖に対する架橋単位の割合が約1 :1〜約200:1である、水に不溶性の架橋ポリヒドロキシポリカルボン酸; および iv)少なくとも2鎖を有し、各鎖は下記式 の鎖骨格を有し、各鎖内の少なくとも一のマレオイル部分の一方のカルボニル基 は、式 H2N.(CH2z.NH2のアルファ,オメガジアミノアルカンに共有 結合して、下記式: の少なくとも一の架橋単位の少なくとも2鎖間に存在させ、この際の初めに仕込 まれる式(III)のポリ(アルキレンカルボン酸)鎖に対する架橋単位の割合 が約1:1〜約200:1である、水に不溶性の架橋ボリカルボン酸; 該WCPPの基において、 Rはフェニルであり; qは7〜10,000の整数であり; zは1〜4の整数であり; pは0またはz−1までの整数であり; mは1またはzまでの整数であり; yはmまでの整数である。 2.該WCPPが水に不溶性の架橋ポリカルボン酸ポリマーii)及びiv) からなる群から選ばれかつ該溶液に対する該WCPPの容積:容積の割合が1: 1〜1:10である、請求の範囲第1項に記載の方法。 3.該ウィルスが哺乳動物ウィルス及び細菌ウィルスからなる群から選ばれる 、請求の範囲第1項に記載の方法。 4.該WCPPを該溶液に添加する前に、界面活性剤を該溶液に該サ ンプル1容積当たり0.1〜1.0容積倍または重量倍添加することからさらに なる、請求の範囲第3項に記載の方法。 5.該溶液に対するWCPPの容積:容積の割合が1:1〜1:10でありか つ該生物学的サンプルが血清、血漿、全血及びその画分からなる群より選ばれ; さらに d)該溶液からWCPP−ウィルスマトリックスを分離して、実質的にウィル スを含まない上清を得ることからなる、ウィルス及びタンパク質を含む生物学的 サンプルの溶液からウィルスを除去する請求の範囲第1項に記載の方法。 6.請求の範囲第5項にしたがって製造される上清。 7.請求の範囲第1項に記載の方法および d)該溶液からWCPP−ウィルスマトリックスを分離し;および e)pH8.0〜11.0のアルカリバッファー中に該マトリックスを再懸濁 することによってWCPP−ウィルスマトリックスから固定化ウィルスを脱離し ;および脱離したウィルスを集める段階からさらになる、ウィルス及びタンパク 質を含む生物学的サンプルの溶液からのウィルスの濃縮方法。 8.以下からなる、ウィルスからのウィルス核酸の単離方法: i)ウィルスを水溶液中に懸濁し; ii)該溶液のpHを6.0〜8.0に調節し; iii)請求の範囲第1項に記載のWCPPを該溶液に100:1〜1:10 ,000の溶液に対するWCPPの容積:容積の割合で添加して、WCPP−溶 液混合物を形成し; iv)該WCPP−溶液混合物をインキュベートし、存在する少なくともある ウィルスをWCPP上に固定して、WCPP−ウィルスマトリックスを形成し; v)該溶液から該マトリックスを分離し; vi)分離したマトリックス上に固定化されたウィルスを破壊して、その核酸 を放出させ;および vii)破壊されたウィルスから放出されたウィルス核酸を単離する。 9.溶液に対するWCPPの容積:容積の割合が1:1〜1:10である請求 の範囲第1項に記載の方法からなり;かつ d)該溶液からWCPP−ウィルスマトリックスを分離し; e)分離したWCPP−ウィルスマトリックス上に固定化されたウィルスを破 壊して、その核酸を放出させ;および f)該破壊されたウィルスから放出されたウィルス核酸を単離する段階からさ らになる、ウィルス核酸の単離方法: 10.該ウィルスが細菌ウィルスであり、細菌ウィルスを有することが知られる 細菌の培養物を培養し、および該培養物の細菌を溶菌して、清澄液を形成する初 期段階からなり;さらに a)該清澄液のpHをpH6.0〜8.0に調節し; b)有効量のWCPPを該清澄液に100:1〜1:10,000の清澄液に 対するWCPPの容積:容積の割合で添加して、WCPP−ウィルスマトリック スを形成し;および c)該WCPP−ウィルスマトリックスを該溶液から分離することからなる、 請求の範囲第3項に記載の方法。 11.請求の範囲第10項に記載の方法からなり、さらに d)該WCPP−ウィルスマトリックス上の固定化細菌ウィルスを破壊し;お よび e)該破壊された細菌ウィルスから放出された核酸を単離することからなる、 細菌ウィルスからの核酸の単離方法。 12.該固定化ウィルスを破壊する段階が分離されたマトリックスを1 mM〜100mM EDTAは含むが化学変性剤を実質的に含まないさらなる水 溶液中に懸濁することによって行われる、請求の範囲第11項に記載の方法。 13.該細菌ウィルスがバクテリオファージλである、請求の範囲第12項に記 載の方法。 14.該ウィルスが哺乳動物ウィルスであり、該生物学的サンプルが哺乳動物の 体液および哺乳動物細胞培養物からなる群から選ばれる、請求の範囲第3項に記 載の方法。 15.該溶液に対するWCPPの容積:容積の割合が1:1〜1:10である、 請求の範囲第14項に記載の方法。 16.該生物学的サンプルが血漿、全血及びその画分、ならびに細胞培養物の上 清からなる群より選ばれる、請求の範囲第14項に記載の方法。 17.該哺乳動物ウィルスがアデノウィルス;HIV−1;レオウィルス;及び ライノウィルスならびにこれらの遺伝子操作による変異体からなる群より選ばれ る、請求の範囲第14項に記載の方法。 18.該哺乳動物ウィルスがアデノウィルス;HIV−1;レオウィルス;及び ライノウィルスならびにこれらの遺伝子操作による変異体からなる群より選ばれ 、請求の範囲第14項に記載の方法からなり、および d)該溶液からWCPP−ウィルスマトリックスを分離し;および e)濃縮形態のWCPP−ウィルスマトリックスから固定化ウィルスを脱離さ せる段階からさらになる、タンパク質及び該ウィルスを含む生物学的サンプルの 溶液からの哺乳動物ウィルスの濃縮方法。 19.該哺乳動物ウィルスがアデノウィルス;HIV−1;レオウィルス;及び ライノウィルスならびにこれらの遺伝子操作による変異体からなる群より選ばれ 、請求の範囲第14項に記載の方法からなり、および d)該溶液からWCPP−ウィルスマトリックスを分離する段階から さらになる、タンパク質及び該ウィルスを含む生物学的サンプルの溶液からの哺 乳動物ウィルスの除去方法。 20.初期の溶液が血液またはその画分である、請求の範囲第19項に記載の方 法を行うことによって製造される上清。 21.請求の範囲第14項に記載の方法からなり、および d)該溶液からWCPP−ウィルスマトリックスを分離し;および e)WCPP−ウィルスマトリックス上に固定化されたウィルスを破壊し;お よび f)該破壊されたウィルスから放出されたウィルス核酸を単離する段階からさ らになる、哺乳動物ウィルスからの核酸の単離方法。 22.該破壊段階が該WCPP−ウィルスマトリックスを変性剤を含むバッファ ー溶液で洗浄することによって行われる、請求の範囲第21項に記載の方法。 23.請求の範囲第1項に記載の段階、および d)該溶液から該WCPP−ウィルスマトリックスを分離し; e)WCPP−ウィルスマトリックス上に固定化されたウィルスを破壊して、 WCPP−溶液混合物を形成し; f)該WCPP−溶液混合物をインキュベートし、破壊されたウィルスタンパ ク質を該WCPPに再吸収させて、WCPP−タンパク質マトリックスを形成し ;および g)該WCPP−タンパク質マトリックスを溶液から除去するさらなる段階を 行うことからなる、初めにウィルスを含む生物学的サンプルの溶液からのウィル スタンパク質の精製方法。 24.請求の範囲第23項に記載の段階を行うことからなり、さらに h)pH8.0〜11.0のアルカリバッファー中に溶液から除去されたWC PP−タンパク質マトリックスを再懸濁し;および i)該バッファー中にマトリックスから放出されたウィルスタンパク質を集め る段階からさらになる、ウィルスタンパク質の単離方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07K 14/14 C07K 14/14 14/155 14/155 C12N 7/02 C12N 7/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK, MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR ,TT,UA,UG,US,UZ,VN (72)発明者 アーノルド,エドワード アメリカ合衆国,ニュージャージー州 08901−1658,ニューブルンスウィック, ボルヒーズ ロード 16 (72)発明者 ドネリー,ロバート アメリカ合衆国,ニュージャージー州 08904,ハイランドパーク,エス.セカン ド アベニュー 453エー

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.以下からなる、ウィルスを含む生物学的サンプルからなる溶液からのウィ ルスの吸着方法: a)該溶液のpHをpH6.0〜8.0に調節し; b)水に不溶性の架橋ポリカルボン酸ポリマー(WCPP)を該溶液に100 :1〜1:10,000の溶液に対するWCPPの容積:容積の割合で添加して 、WCPP−溶液混合物を形成し; c)存在する少なくともあるウィルスをWCPP上に固定するのに十分な時間 、該WCPP−溶液混合物をインキュベートして、WCPP−ウィルスマトリッ クスを形成し;および d)該マトリックスを該溶液から分離する; この際、該WCPPは以下からなる群より選ばれるものであり: i) A)下記式 のアルファ,オメガジアミノヒドロキシアルカンで下記式 のポリ(アルキレン無水マレイン酸)ポリマーを架橋し B)未反応の無水物基を加水分解する ことによって得られ、この際の初めに仕込まれる式(I)のポリ(アルキレン無 水マレイン酸)に対する初めに仕込まれる式(II)のジアミノヒドロキシアル カンのモル比が約1:1〜200:1である、 水に不溶性の架橋ポリヒドロキシポリカルボン酸; ii)式 H2N.(CH)z.NH2のアルファ,オメガジアミノアルカンで 式(I)のポリ(アルキレン無水マレイン酸)ポリマーを架橋することによって 得られ、この際の初めに仕込まれる式(I)のポリ(アルキレン無水マレイン酸 )に対する初めに仕込まれるジアミノアルカンのモル比が約1:1〜200:1 である、水に不溶性の架橋ポリカルボン酸; iii)少なくとも2鎖を有し、各鎖は下記式 の鎖骨格を有し、各鎖内の少なくとも一のマレオイル部分の一方のカルボニル基 は、-HN.[(H)p(CH)z.(OH)m].NH-部分 (IV) に共有結合して、少なく とも一の架橋単位の少なくとも2鎖間に存在させ、該架橋単位は以下からなる群 より選ばれるものであり: および 式(III)のポリ(アルキレンカルボン酸)鎖に対する架橋単位の割合が約1 :1〜約200:1である、水に不溶性の架橋ポリヒドロキシポリカルボン酸; および iv)少なくとも2鎖を有し、各鎖は下記式 の鎖骨格を有し、各鎖内の少なくとも一のマレオイル部分の一方のカルボニル基 は、式 H2N.(CH)z.NH2のアルファ,オメガジアミノアルカンに共有 結合し、この際の初めに仕込まれる式(III)のポリ(アルキレンカルボン酸 )に対する初めに仕込まれるジアミノアルカンのモル比が約1:1〜200:1 である、水に不溶性の架橋ポリカルボン酸; 該WCPPの基において、 Rはフェニルであり; qは7〜10,000の整数であり; zは1〜4の整数であり; pは0またはz−1までの整数であり; mは1またはzまでの整数であり; yはmまでの整数である。 2.該WCPPが水に不溶性の架橋ポリカルボン酸ポリマーii)及びiv) からなる群から選ばれかつ該溶液に対する該WCPPの容積:容積の割合が1: 1〜1:10である、請求の範囲第1項に記載の方法。 3.該ウィルスが哺乳動物ウィルス及び細菌ウィルスからなる群から選ばれる 、請求の範囲第1項に記載の方法。 4.該WCPPを該溶液に添加する前に、界面活性剤を該溶液に該サンプル1 容積当たり0.1〜1.0倍容積または重量添加することからさらになる、請求 の範囲第3項に記載の方法。 5.以下からなる、生物学的サンプルからなる溶液からのウィルスの除去方法 : a)該溶液に対する該WCPPの容積:容積の割合が1:1〜1:10であり かつ該生物学的サンプルが血清、血漿、全血及びその画分からなる群より選ばれ る、請求の範囲第1項に従って生物学的サンプルからなる溶液からウィルスを吸 着し;および b)該溶液からWCPP−ウィルスマトリックスを分離して、実質的にウィル スを含まない上清を得る。 6.請求の範囲第5項による実質的にウィルスを含まない上清。 7.請求の範囲第1項に従って生物学的サンプルからなる溶液からウィルスを 吸着し;pH8.0〜11.0のアルカリバッファー中に該マトリックスを再懸 濁することによってマトリックスから固定化ウィルスを脱離し;および脱離した ウィルスを集めることからなる、生物学的サンプルからなる溶液からのウィルス の濃縮方法。 8.以下からなる、ウィルスからのウィルス核酸の単離方法: a)ウィルスを水溶液中に懸濁し; b)該溶液のpHを6.0〜8.0に調節し; c)WCPPを該溶液に100:1〜1:10,000の溶液に対するWCP Pの容積:容積の割合で添加して、WCPP−溶液混合物を形成し; d)存在する少なくともあるウィルスをWCPP上に固定するのに十分な時間 、該WCPP−溶液混合物をインキュベートして、WCPP−ウィルスマトリッ クスを形成し; e)該溶液から該マトリックスを分離し; f)分離したマトリックス上に固定化されたウィルスを破壊して、その核酸を 放出させ;および g)破壊されたウィルスから放出されたウィルス核酸を単離する。 9.以下からなる、ウィルス核酸が宿主細胞核酸から実質的に純粋であるよう なウィルスからのウィルス核酸の単離方法: a)請求の範囲第1項に従ってウィルスを含む生物学的サンプルからなる溶液 からウィルスを吸着し、この際溶液に対するWCPPの容積:容積の割合が1: 1〜1:10であり; b)分離したマトリックス上に固定化されたウィルスを破壊して、その核酸を 放出させ;および c)該破壊されたウィルスから放出されたウィルス核酸を単離する。 10.以下からなる、請求の範囲第3項に記載の生物学的サンプルからなる溶液 からの細菌ウィルスの吸着方法: a)細菌ウィルスを有することが知られる細菌の培養物を培養し; b)該培養物の細菌を溶菌して、清澄液を形成し; c)該清澄液のpHをpH6.0〜8.0に調節し; d)請求の範囲第1項による有効量のWCPPを該清澄液に100: 1〜1:10,000の清澄液に対するWCPPの容積:容積の割合で添加して 、WCPP−ウィルスマトリックスを形成し;および e)該WCPP−ウィルスマトリックスを該溶液から分離する。 11.以下からなる、ウィルス核酸が細菌宿主細胞核酸から実質的に純粋である ような生物学的サンプルからなる溶液中に存在する細菌ウィルスからの核酸の単 離方法: a)請求の範囲第10項に従って細菌ウィルスを吸着し; b)該固定化細菌ウィルスを破壊し; c)該破壊された細菌ウィルスから放出された核酸を単離する。 12.該固定化ウィルスを破壊する段階が分離されたマトリックスを1mM〜1 00mM EDTAは含むが化学変性剤を実質的に含まないさらなる水溶液中に 懸濁することによって行われる、請求の範囲第11項に記載の方法。 13.該細菌ウィルスがバクテリオファージλである、請求の範囲第12項に記 載の方法。 14.該生物学的サンプルが哺乳動物の体液からなる群から選ばれる、生物学的 サンプルからなる溶液からの哺乳動物ウィルスの、請求の範囲第3項に記載の、 吸着方法。 15.該溶液に対する該WCPPの容積:容積の割合が1:1〜1:10である 、請求の範囲第14項に記載の方法。 16.該生物学的サンプルが血漿、全血及びその画分、ならびに細胞培養物の上 清からなる群より選ばれる、請求の範囲第14項に記載の方法。 17.該哺乳動物ウィルスがアデノウィルス;HIV−1;レオウィルス;及び ライノウィルスならびにこれらの遺伝子操作による変異体からなる群より選ばれ る、請求の範囲第14項に記載の方法。 18.以下からなる、哺乳動物ウィルスがアデノウィルス;HIV− 1;レオウィルス;及びライノウィルスならびにこれらの遺伝子操作による変異 体からなる群より選ばれる、生物学的サンプルからなる溶液からの哺乳動物ウィ ルスの濃縮方法: a)請求の範囲第14項に従って生物学的サンプルからなる溶液から哺乳動物 ウィルスを吸着し; b)該溶液からWCPP−ウィルス複合体を分離し;および c)濃縮形態のマトリックスから固定化ウィルスを脱離させる。 19.該溶液に請求の範囲第18項に記載の段階を行うことからなる、生物学的 サンプルからなる溶液からの哺乳動物ウィルスの除去方法。 20.該生物学的サンプルからなる溶液が血液またはその画分である、請求の範 囲第19項に記載の方法から得られる上清。 21.以下からなる、哺乳動物宿主細胞核酸から実質的に純粋である哺乳動物ウ ィルスの核酸の単離方法: a)請求の範囲第14項に従って生物学的サンプルからなる溶液から哺乳動物 ウィルスを吸着し; b)該生物学的サンプルからなる溶液からウィルスが固定化されるWCPPを 分離し; c)該固定化ウィルスを破壊し;および d)破壊されたウィルスから放出されたウィルス核酸を単離する。 22.該破壊段階が該WCPP−ウィルスマトリックスを変性剤を含むバッファ ー溶液で洗浄することからなる、請求の範囲第21項に記載の方法。 23.以下からなる、生物学的サンプルからなる溶液からのウィルスタンパク質 の精製方法: a)請求の範囲第1項に従ってウィルスを含む生物学的サンプルからなる溶液 からウィルスを吸着し; b)固定化ウィルスを破壊し; c)該WCPP−溶液混合物をインキュベートし、破壊されたウィルスタンパ ク質を再吸収させて、WCPP−タンパク質マトリックスを形成し;および d)該WCPP−タンパク質マトリックスを溶液から除去する。 24.以下からなる、ウィルス核酸を実質的に含まないウィルスタンパク質の単 離方法: a)請求の範囲第23項に従ってウィルスを含む生物学的サンプルからなる溶 液からウィルスを吸着し; b)pH8.0〜11.0のアルカリバッファー中に該溶液から除去されたW CPP−タンパク質マトリックスを再懸濁し; c)該バッファー中にマトリックスから放出されたウィルスタンパク質を集め る。
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