【発明の詳細な説明】
分散した界面活性剤錯体を含む局所用組成物
発明の分野
この発明は、分散した界面活性剤錯体と皮膚活性剤を共に含む局所用組成物に
関する。この分散した界面活性剤錯体は、この組成物が処方される前または処方
中に形成され、そしてアニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤を含有して
いる。これらの局所用組成物は、皮膚活性剤の沈着性を改善し、よりマイルドに
皮膚の汚れを落とし、さらに皮膚の感触を改善する効果があり、一方では、皮膚
の浄化と気孔サイズの縮小に役立つ。
発明の背景
乾燥皮膚、乾せん、魚りんせん、ふけ、べんち、光損傷皮膚、老化皮膚および
日焼けなどの皮膚の症状は、皮膚表面の表皮細胞のはがれが、若く、健康な正常
皮膚に比べて変わる角質化疾患として説明できる。このような変化の結果として
、細胞の大クラスターがはがれたり、目視できるほど皮膚の上皮がはげ落ちたり
、表面または小胞またはダクト内で角質物質が蓄積したり、さらに、皮膚表面の
組織が粗くなったりする。このような状態は、最外層の角質物質を除去する、剥
離により改善することができる。
上で述べたような種々の皮膚疾患に悩む人々の治療を行うための局所用組成物
が多数存在する。これらの組成物を皮膚表面に局所的に塗布し、活性薬物を侵さ
れた部位に浸透させて、剥離を促進する。しかし、これらの組成物はほとんどが
、とくに洗浄組成物中の界面活性剤と併用した時に、皮膚に対し過酷な刺激があ
る。皮膚活性成分を含有する汚れを落としたり、すすぎをするための組成物につ
いては、汚れを落としたり、すすぎをするために塗布している間に皮膚活性成分
を皮膚に効果的に沈着させることが従来から困難であった。
皮膚活性物質と分散界面活性錯体とを共に含むスキンケア組成物が、皮膚活性
物質を効果的に局所投与できることがすでに判明している。なお、この分散錯体
は、この組成物が処方される前または処方中に形成され、そしてアニオン性界面
活性剤とカチオン性界面活性剤を含有している。この分散界面活性剤錯体は、こ
の明細書で規定された局所用組成物に組み込まれた場合に、フリーの界面活性剤
のみを含有する類似の界面活性剤系に比べて、特に皮膚にやさしく、刺激性がな
いことも判明している。この明細書で説明した界面活性剤錯体系は、汚れを落と
したり、すすぎをするために塗布している間に、皮膚表面への皮膚活性物質の浸
透または沈着を促進させる。この分散錯体の界面活性剤成分は、皮膚の汚れを落
とし、かつ、剥離の促進に依然有効であるが、個々の界面活性剤の電荷が錯体を
形成しているために、これらの界面活性剤は、フリーの界面活性剤のみを含む類
似の系に対し皮膚に対する過酷な刺激が少なくなっている。
上で述べたことにかんがみて、この発明の目的は、皮膚活性物質の皮膚への浸
透を促進するための局所用組成物を提供し、皮膚浄化剤を皮膚へ局所的に投与し
、皮膚の洗浄をよりマイルドに、刺激を与えずに行える液滴系でそのような局所
的投与を行い、さらに、肌をソフトで、すべすべした感じにするような局所的投
与系を提供することである。
発明の要旨
この発明は、約0.1〜約20重量%のカチオン性界面活性剤、約0.1〜約2
0重量%のアニオン性界面活性剤、約0.001〜約20重量%の皮膚活性物質
、約40〜約99重量%の水、およびこの組成物が処方される前または処方中に
形成された分散界面活性剤錯体を含む局所用スキンケア組成物に関する。なお、
この錯体は、この組成物の約25〜100%のカチオン性界面活性剤とこの組成
物の約25〜100%のアニオン性界面活性剤を含んでいる。これらのスキンケ
ア組成物は、皮膚表面に皮膚活性物質の沈着を促進させ、皮膚の汚れをマイルド
に落とし、さらに、皮膚の感触を改善する効果がある。
この発明は、皮膚活性物質を用いて皮膚を治療し、皮膚の汚れを落とし、さら
に、皮膚を浄化し、気孔サイズを小さくする、この発明の局所用組成物を用いる
方法にも関する。
この発明は、(a)カチオン性界面活性剤の水溶液とアニオン性界面活性剤の水
溶液を混合してカチオン性とアニオン性の両界面活性剤の水性分散体を形成する
工程と、(b)この水性分散体を皮膚活性物質とを混合する工程とを含む、これら
の組成物を調製する方法にも関する。
発明の詳細な説明
この発明の局所用組成物は、皮膚表面に多種多様な活性成分を浸透させのに役
立つ。この発明の局所用組成物は、皮膚の浄化や気孔サイズを小さくするのにも
役立つ。これらの組成物は、直接皮膚に塗布して、所望の活性成分を浸透させた
り、または、皮膚の汚れを落とす際に使用して、その間に、活性成分を局所的に
浸透させる。
局所用組成物のカチオン性界面活性剤成分は、アニオン性界面活性剤成分と反
応して、個々の界面活性剤成分と比べて、非常に安定な、分散界面活性剤錯体を
形成すると考えられている。目視できるほどの液滴相の形をしているか、または
、していないこの分散界面活性剤錯体は、皮膚に皮膚活性物質が浸透し、沈着す
るのを促進し、それにより皮膚活性物質の効能に寄与する上でとくに役立つ。洗
浄組成物の場合、界面活性剤錯体が存在すると、皮膚から汚れを落としている間
に皮膚の表面に皮膚活性物質が沈着するのを促進する。分散錯体にはカチオン性
とアニオン性の両界面活性剤が含まれているので、皮膚から汚れを落とし、また
、皮膚の剥離を促進する効果もある。個々の界面活性剤の電荷が反応して分散錯
体を形成するので、これらの界面活性剤はフリーの界面活性剤に比べて、皮膚に
対する過酷な刺激も低い。
この発明の組成物は、必須成分の他に随意成分や後で詳細に述べる限定物を含
むか、本質的に含むことができる。
この明細書で使われている、%、部および比はすべて、別に明記していなけれ
ば、全組成物の重量に基づいている。重量%はすべて、別に明記していなければ
、活性物質をベースにしている。
この発明の組成物は、クリーム、ローション、ムース、スプレイ、「すすぎ」
クレンザ、「水なし」クレンザ、棒状製品、ゲル状製品、などを含むが、これら
に限定されない多種多様な製品に処方することができる。この明細書で使われて
いる「すすぎ」という用語は、これらの組成物が洗浄で使用できる形態をしてお
り、最終的には水で皮膚からすすいだり、洗浄して、洗浄を完了することを意味
する。この明細書で使われている「水なし」という用語は、この組成物が洗浄の
際に水を使わずに使用できる形態をしており、その際、この組成物は木綿ボール
、木綿パッド、ティシュペーパ、タオル、などの道具で拭き取ることを意味する
。
この明細書で使われている「薬事的に使用できる」という用語は、これらの組
成物やその成分が、十分高純度であり、毒性、刺激、配合禁忌、不安定性、アレ
ルキー反応、などなしにヒトの皮膚や組織と接触して使用するのに適しているこ
とを意味する。
分散界面活性剤錯体
この発明の局所用組成物には、組成物全体に分散した安定な界面活性剤錯体が
含まれており、さらに、アニオン性界面活性剤成分とカチオン性界面活性剤成分
が含まれている。これらの各成分については、後で詳細に説明する。
具体的には、この界面活性剤錯体には、この局所用組成物の約25〜約100
%のカチオン性界面活性剤とこの局所用組成物の約25〜約100%のアニオン
性界面活性剤が含まれている。
この局所用組成物の分散界面活性剤錯体は、この局所用組成物が処方される前
または処方中に形成され、そしてこの錯体には、この明細書で説明したアニオン
性成分とカチオン性成分が含まれている。処方される前または処方中に錯体が形
成されることは、この明細書で説明した効能を提供するためには必須である。こ
のような処方される前または処方中に必要な錯体が形成されることは、粘度およ
び/または導電率測定などの錯体形成を確認するための当該技術で知られた方法
により決めることができる。
この明細書の局所用組成物における界面活性剤錯体は、顕微鏡分析により見る
ことができる分散液滴も形成できる。このような液滴系の形成と維持は、成分の
分子量、濃度、イオン強度、カチオン性とアニオン性の両界面活性剤の電荷密度
、pHおよび温度を含む種々の条件に左右される。液滴系については、Cosmeti
cs & Toiletries,Vol.106,1991/4月,pp 49-54,において、J.Caelle
s, らが「混合系におけるアニオン性とカチオン性の両化合物」と題する論文で
;J.Dispersion Science and Technology,vol.9(5,6) 1988-89,pp 561-
573,において、C.J.van Oss が「液滴、錯体−液滴および凝集」と題する
論文で;そしてJ.of Colloid and Interace Science,vol.140,No.1,
1990/11月,pp 227-238,において、D.J.Burgess が「錯体液滴系の実用
分析」で一般的に述べられている。なお、これらの文献はこの明細書の参考文献
の一部である。
この明細書で説明した分散界面活性剤錯体は、液滴の形であろうとなかろうと
、皮膚への皮膚活性物質(後で説明する)の沈着を改善するのに役立つか、そう
でなければ、沈着した後の皮膚活性物質の機能や効能を改善するのに役立つと、
考えられている。この分散界面活性剤錯体は、この明細書で規定した界面活性剤
錯体が予め形成されていない類似の界面活性剤系と比べて、マイルド性の改善さ
れた局所的に洗浄機能を与える、とも考えられている。これらの界面活性剤錯体
系は、この明細書の局所用組成物に添加した場合、肌の感触を改善する効果もあ
る。
アニオン性/カチオン性両界面活性剤の錯体または液滴を分析、検出する方法
は、関連技術において知られている。たとえば、局所用組成物顕微鏡分析は、液
滴相が形成されたかどうかを確認するために使用することができる。このような
液滴相は、局所用組成物において新たな乳化相として識別できる。染料を用いる
と、この組成物に分散した他の不溶相と液滴相を区別するのに役立つ。界面活性
剤錯体や液滴の成分は、関連技術分野で知られた方法により、直接または間接的
に、識別し、定量することもできる。
カチオン性界面活性剤
この発明の局所用組成物には、カチオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤
(後で説明する)とが共に含まれている。既知のカチオン性界面活性剤が、この
組成物の必須成分と相溶性があり、また、皮膚へ局所的に塗布する場合に薬事的
に使用できるならば、この種の界面活性剤はこの局所用組成物で使用することが
できる。カチオン性界面活性剤の濃度は、組成物の重量で、約0.1〜約20%
、より好適には約0.2〜約15%、最も好適には約0.5〜約10%の範囲にあ
る。前に述べたように、この明細書の局所用組成物が処方される前または処方中
に、少なくとも一部のカチオン性界面活性剤がアニオン性界面活性剤成分と分散
界面活性剤錯体を形成しなければならない。
この発明の組成物で使用に適したカチオン性界面活性剤には、allured Publi
shing Corp.から発行された、マックカッチェン(McCutchen )の「乳化剤 と洗剤」
,北米版(1986);マックカッチェンの「機能性材料」,北米版(1992
)に記載されているものがあり、これらの文献はこの発明の参考文献の一部であ
る。この種のカチオン性界面活性剤は、この明細書の組成物に対し抗微生物作用
を与えることもできると考えられている。したかって、抗微生物特性を有するカ
チオン性界面活性剤はこの明細書で非常に有用である。この組成物において使用
に適したカチオン性界面活性剤には、次式で表されるようなカチオン性アンモニ
ウム塩がある:
式中、R1は約12〜約22個の炭素原子を有するアルキル、芳香族、アリル(a
ryl)またはアルカリル(alkaryl)の各基であり、R2、R3、およびR4は水素
、約1〜約22個の炭素原子を有するアルキル基、約12〜約22個の炭素原子
を有する芳香族、アリル(aryl)またはアルカリルの各基から独立に選択し、さ
らにXはクロライド、ブロマイド、アイオダイド、アセテート、ホスフェート、
ナイトレート、サルフェート、メチルサルフェート、エチルサルフェート、トシ
レ
ート、ラクテート、サイトレートおよびグリコレートから選択したアニオンであ
る。さらに、このアルキル基はエーテル結合や置換基としてヒドロキシ基やアミ
ノ基を含むことができる(たとえば、これらのアルキル基はポリエチレン-グリ
コール部分やポリプロピレン-グリコール部分を含むことができる)。
より好適には、R1は約12〜約22個の炭素原子を有するアルキル基であり
、R2は水素または約1〜約22個の炭素原子を有するアルキル基から選択し、
R3とR4は水素または約1〜約3個の炭素原子を有するアルキル基から独立に選
択し、そしてXはすぐ上のパラグラフに記載の通りである。最も好適には、R1
は約12〜約22個の炭素原子を有するアルキル基であり、R2、R3、およびR4
は水素または約1〜約3個の炭素原子を有するアルキル基から選択し、そして
Xは前に記載の通りである。
有用なカチオン性界面活性剤には、他に、上の構造式でR1が
R5CO-(CH2)n-
であるアミノアミド類がある。式中、R5は約12〜約22個の炭素原子を有す
るアルキル基であり、nは約2〜約5、より好適には約2〜約4、そして最も好
適には約2〜約3の整数である。これらカチオン性乳化剤の例には、ステアラミ
ドプロピル PG-ジモニウム-クロライド-ホスフェート、ステアラミドプロピル
-エチルジモニウム-エトサルフェート、ステアラミドプロピル-ジメチル(ミリ
スチル-アセテート)アンモニウム-クロライド、ステアラミドプロピル-ジメチ
ル-セテアリル(aryl)-アンモニウム-トシレート、ステアラミドプロピル-ジメ
チル-アンモニウム-クロライド、ステアラミドプロピル-ジメチル-アンモニウム
-ラクテート、およびそれらの混合物がある。
4級アンモニウム塩のカチオン性界面活性剤の例には、セチル-アンモニウム-
クロライド、セチル-アンモニウム-ブロマイド、ラウリル-アンモニウム-クロラ
イド、ラウリル-アンモニウム-ブロマイド、ステアリル-アンモニウム-クロライ
ド、ステアリル-アンモニウム-ブロマイド、セチル-ジメチル-アンモニウム-ク
ロライド、セチル-ジメチル-アンモニウム-ブロマイド、ラウリル-ジメチル-ア
ンモニウム-クロライド、ラウリル-ジメチル-アンモニウム-ブロマイド、ステア
リル-ジメチル-アンモニウム-クロライド、ステアリル-ジメチル-アンモニウム-
ブロマイド、セチル-トリメチル-アンモニウム-クロライド、セチル-トリメチル
-アンモニウム-ブロマイド、ラウリル-トリメチル-アンモニウム-クロライド、
ラウリル-トリメチル-アンモニウム-ブロマイド、ステアリル-トリメチル-アン
モニウム-クロライド、ステアリル-トリメチル-アンモニウム-ブロマイド、ラウ
リル-ジメチル-アンモニウム-クロライド、ステアリル-ジメチル-セチル-ジタロ
ウ-ジメチル-アンモニウム-クロライド、ジセチル-アンモニウム-クロライド、
ジセチル-アンモニウム-ブロマイド、ジラウリル-アンモニウム-クロライド、ジ
ラウリル-アンモニウム-ブロマイド、ジステアリル-アンモニウム-クロライド、
ジステアリル-アンモニウム-ブロマイド、ジセチル-メチル-アンモニウム-クロ
ライド、ジセチル-メチル-アンモニウム-ブロマイド、ジラウリル-メチル-アン
モニウム-クロライド、ジラウリル-メチル-アンモニウム-ブロマイド、ジステア
リル-メチル-アンモニウム-クロライド、ジステアリル-ジメチル-アンモニウム-
クロライド、ジステアリル-メチル-アンモニウム-ブロマイド、およびそれらの
混合物がある。4級アンモニウム塩としては、他に、C12〜C22アルキル炭素鎖
がタロウ脂肪酸またはココナッツ脂肪酸から導かれるものがある。「タロウ」と
いう用語は、一般的には、C16〜C18の範囲にあるアルキル鎖の混合物である、
タロウ脂肪酸(通常、水素化タロウ脂肪酸)から導かれたアルキル基のことであ
る。「ココナッツ」という用語は、一般的には、C12〜C14の範囲にあるアルキ
ル鎖の混合物である、ココナッツ脂肪酸から導かれたアルキル基のことである。
これらのタロウやココナッツ資源から導かれた4級アンモニウム塩の例には、ジ
タロウ-ジメチル-アンモニウム-クロライド、ジタロウ-ジメチル-アンモニウム-
メチル-サルフェート、ジ(水素化タロウ)-ジメチル-アンモニウム-クロライド
、ジ(水素化タロウ)-ジメチル-アンモニウム-アセテート、ジタロウ-ジプロピ
ル-アンモニウム-ホスフェート、ジタロウ-ジメチル-アンモニウム-ナイトレー
ト、ジ(ココナッツアルキル)ジメチル-アンモニウム-クロライド、ジ(ココナ
ッツアルキル)ジメチル-アンモニウム-ブロマイド、タロウ-アンモニウム-クロ
ライド、ココナッツ-アンモニウム-クロライド、ステアラミドプロピル PG-ジ
モ
ニウム-クロライド-ホスフェート、ステアラミドプロピル-エチルジモニウム-エ
トサルフェート、ステアラミドプロピル-ジメチル(ミリスチル-アセテート)ア
ンモニウム-クロライド、ステアラミドプロピル-ジメチル-セテアリル(aryl)-
アンモニウム-トシレート、ステアラミドプロピル-ジメチル-アンモニウム-クロ
ライド、ステアラミドプロピル-ジメチル-アンモニウム-ラクテート、およびそ
れらの混合物がある。
この明細書で有用な好適なカチオン性界面活性剤には、ジラウリル-ジメチル-
アンモニウム-クロライド、ジステアリル-ジメチル-アンモニウム-クロライド、
ジミリスチル-ジメチル-アンモニウム-クロライド、ジパルミチル-ジメチル-ア
ンモニウム-クロライド、ジステアリル-ジメチル-アンモニウム-クロライド、お
よびそれらの混合物がある。
アニオン性界面活性剤
この発明の局所用組成物には、アニオン性界面活性剤と前に説明したカチオン
性界面活性剤とが共に含まれている。既知のアニオン性界面活性剤がこの組成物
の必須成分と相溶性があり、また、皮膚へ局所的に塗布する場合に薬事的に使用
できるならば、この種の界面活性剤はこの局所用組成物で使用することができる
。アニオン性界面活性剤の濃度は、この組成物の重量で、約0.1〜約20%、
より好適には約0.2〜約10%、そして最も好適には約0.5〜約5%の範囲に
ある。前に述べたように、この明細書の局所用組成物が処方される前または処方
中に、少なくとも一部のアニオン性界面活性剤がカチオン性界面活性剤成分と分
散界面活性剤錯体を形成しなければならない。
この発明の組成物において使用に適したアニオン性界面活性剤には、allured
Publishing Corp.から発行された、マックカッチェンの「乳化剤と洗剤」,
北米版(1986);マックカッチェンの「機能性材料」,北米版(1992);および
1975年12月30日に発行されたLaughlin らの米国特許第 3,929,678 号に記載さ
れているものがある。なお、これらの文献と特許はこの発明の参考文献の一部で
ある。
この組成物で使用するのに適したアニオン性界面活性剤には、アルコイル-イ
セチオネート類、アルキル-サルフェート類およびアルキル-エーテル-サルフェ
ート類がある。アルコイル-イセチオネート類の化学式は下記の通りで:
RCOOCH2CH2SO3M
式中、Rは炭素原子数約10〜約30個のアルキルまたはアルケニルであり、そ
してMはアンモニウム、ナトリウム、カリウムまたはトリエタノールアミンなど
の水溶性カチオンである。適切なイセチオネート類の具体的な例には、ココイル
-イセチオン酸アンモニウム、ココイル-イセチオン酸ナトリウム、ラウロイル-
イセチオン酸ナトリウム、ステアロイル-イセチオン酸ナトリウム、およびそれ
らの混合物がある。
これらの組成物において使用に適したアルキル-サルフェート類の化学式は、
ROSO3M
アルキル-エーテル-サルフェート類の化学式は、
RO(C2H4O)xSO3M
であり、それぞれの式で、Rは炭素原子数約10〜約30個のアルキルまたはア
ルケニルであり、xは1〜10の整数であり、そしてMはアンモニウム、ナトリ
ウム、カリウムまたはトリエタノールアミンなどの水溶性カチオンである。もう
一つの種類の適切なアニオン性界面活性剤は、下記化学式
R1--SO3--M
で表せる有機硫酸反応生成物の水溶液塩である。式中、R1は炭素原子を約8〜
約24個、好適には約10〜約16個有する直鎖または分岐鎖、飽和炭化水素基
からなる群から選択し、そしてMはカチオンである。さらに他のアニオン性合成
界面活性剤には、サクシナメート類、約12〜約24個の炭素原子を有するオレ
フィンスルホネート類、およびb-アルキルオキシ-アルカン-スルホネート類が
あり、その例にはラウリル硫酸ナトリウムとラウリル硫酸アンモニウムがある。
適切なアニオン性界面活性剤には、他に、炭素原子を約8〜約24個、好適に
は約10〜約20個有する脂肪酸の石鹸(すなわち、ナトリウム塩やカリウム塩
などのアルカリ金属塩)がある。石鹸の製造に用いる脂肪酸は、たとえば、植物
または動物に由来するグリセリド類(たとえば、やし油、ココナッツ油、大豆油
、ひまし油、タロウ、ラード、等)などの天然資源から得られる。脂肪酸は合成
でつくることもできる。
適切なアニオン性界面活性剤には、他に、モノアルキル、ジアルキル、および
トリアルキルの各ホスフェート塩類などのホスフェート類、下記化学式に対応す
るアルカノイル-サルコシネート類がある:
RCON(CH3)CH2CH2CO2M
式中、Rは炭素原子数約10〜約20個のアルキルまたはアルケニルであり、そ
してMはアンモニウム、ナトリウム、カリウムまたはトリアルカノールアミン(
たとえば、トリエタノールアミン)などの水溶性カチオンである。アルカノイル
-サルコシネート類の好適な例には、ラウロイル-サルコシン酸ナトリウム、ココ
イル-サルコシン酸ナトリウム、ラウロイル-サルコシン酸アンモニウム、および
それらの混合物がある。
この明細書の組成物において使用するのに好適なアニオン性界面活性剤には、
ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、セチル硫酸アンモニウム
、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ココイル-イセチオン酸
アンモニウム、ラウロイル-イセチオン酸ナトリウム、ラウロイル-サルコシン酸
ナトリウム、およびそれらの混合物がある。ラウリル硫酸ナトリウムが最も好適
である。
皮膚活性物質
この発明の局所用組成物には、安全で、有効な量の1種以上の皮膚活性物質ま
たは薬事的に使用できる塩またはそれらの誘導体が含まれている。この種の皮膚
活性物質の濃度は、一般に、局所用組成物の重量で、約0.001〜約20%、
好適には約0.01〜約15%、より好適には約0.025〜約10%の範囲にあ
る。
この明細書で使われているように、「皮膚活性物質」は、ヒトの皮膚に塗布す
るために、薬事的に使用できる物質であり、そしてこれらの物質は、ヒトの皮膚
に局所的に塗布した際に、抗アクネ作用、しわの発生を抑制する作用、局所麻酔
作用、局所抗微生物作用、局所抗炎症作用、またはそれらを組合せた作用がある
。
この明細書で使われている「安全で、有効な量」という語句は、治療を受ける
状態を変えたり、皮膚に所望の効果を発現させるのに十分高いが、妥当な医療判
断の範囲で妥当な「効果対リスク」比において重大な副作用を回避するのに十分
低い、活性成分濃度のことである。この文脈で使われている安全で、有効な量は
、個々の皮膚活性物質によって変わる。
ヒトの皮膚に抗アクネ作用、しわの発生を抑制する作用がある、適切な皮膚活
性物質には、角質溶解薬(サリチル酸、サリチル酸の誘導体、アルファ-ヒドロ
キシ酸〔グリコール酸、フィチン酸、乳酸、フィチン酸、リポ酸、リゾホスファ
チド酸〕、レチノイド類〔レチノール、レチン酸、レチナルおよびレチニル-ア
セテート、レチニル-ブチレート、レチニル-プロピオネート、レチニル-オクタ
ノエート、レチニル-ラウレート、レチニル-パルミテート、レチニル-オレエー
トおよびレチニル-リノレートなどのレチニル-エステル類〕、バイオフラバノイ
ド類、ナイアシンアミド、N-アセチルシステイン〔N-アセチル-L-システイン
、N-アセチル-D-システインを含めて〕、薬事的に使用できる誘導体またはそ
れらの塩類、およびそれらの組合せ)がある。
局所的抗微生物作用(抗菌作用や抗かび作用を含めて)または局所的抗微生物
作用と抗アクネ作用がある、適切な皮膚活性物質には、過酸化ベンゾイル、オク
トピロックス、テトラサイクリン、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシ-ジフェニ
ル-エーテル、3,4,4'-トリクロロバニリド、アゼライン酸およびその誘導体、フ
ェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、酢酸エチル、クリンダマイシン
、エリスロマイシン、メトロナイダゾール、ケトコナゾール、およびメクロサイ
クリンがある。
局所的抗炎症作用がある適切な皮膚活性物質には、局所用抗炎症ステロイドと
局所用非ステロイド系抗炎症剤がある。このような適切な薬物の例には、アセチ
ルサリチル酸、イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルール
バイプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インド
プロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフ
ェン、ミロプロフェン、タイオキサプロフェン、スルプロフェン、アルミノプロ
フェン、タイアプロフェン酸、フルプロフェンおよびブクロキシン酸がある。適
切な抗炎症剤には、他に、たとえば、米国特許第 4,985,459 号に記載されてい
るものがある。この特許は、この明細書の参考文献の一つである。適切なステロ
イド系抗炎症剤には、薬事技術において局所用組成物に使用することが知られて
いるものがある。
局所的麻酔作用がある適切な皮膚活性物質には、ベンゾカイン、リドカイン、
ブピバカイン、クロルプロカイン、ジブカイン、エチドカイン、メピバカイン、
テトラカイン、ダイクロニン、ヘキシルカイン、プロカイン、コカイン、ケタミ
ン、プラモキシン、フェノール、および薬事的に使用できるこれらの塩類がある
。
水
この発明の組成物は、重量で、約40〜約99%、より好適には約60〜約9
5%、そして最も好適には約70〜約90%の水を含有している。具体的な水分
量は、選択した製品の形態と所望水分により決まる。
随意成分
この発明の局所用組成物は、この局所用組成物の必須成分と相溶性があり、ま
た、皮膚へ局所的に塗布する場合に薬事的に使用できるならば、さらに、一つ以
上の随意成分を含むことができる。
適切な随意成分の例は、この明細書の参考文献の一つである、CTFA Cosm etic Ingredient Handbook
,第2版(1992),に記載されている。適切な随意
成分の例には、吸収剤、研磨剤、固化防止剤、発泡防止剤、抗酸化剤、結合剤、
生物学的添加剤、緩衝剤、充填剤、キレート化剤、化学添加物、着色剤、化粧用
アストリンジェント、化粧用殺生物剤、変性剤、薬用アストリンジェント、乳化
剤、精油、skin sensates、皮膚鎮静剤、皮膚治癒剤、膜形成剤、香料成分、湿
潤剤、乳白剤、顔料、pH調整剤、可塑剤、防腐剤、噴射剤、還元剤、皮膚漂白
剤、皮膚コンディショニング剤(皮膚軟化剤、湿潤剤、種々雑多なもの、および
閉鎖性物質)、皮膚保護剤、溶媒、ハイドロトロープ、泡ブースタ、可溶化剤、
浮遊化剤(非界面活性剤)、日焼け止め剤、紫外線吸収剤、ビタミン類およびそ
の誘導体、増粘剤(水性および非水性)、乳化剤、金属イオン封鎖剤、skin sen
sates、およびそれらの組合せがある。
以下、他の随意成分について詳細に説明する。
a)随意界面活性剤
この発明の局所用組成物は、必要なアニオン性およびカチオン性の両界面活性
剤成分の他に、この明細書の組成物の必須成分と相溶性があり、また、皮膚へ局
所的に塗布する場合に薬事的に使用できるならば、さらに、追加の界面活性剤を
含むことができる。
随意の非イオン性界面活性剤が好適であり、その濃度は、組成物の重量で、約
0.1〜約15%、より好適には約0.2〜約10%、そして最も好適には約0.
5〜約5%の範囲にすることができる。適切な非イオン性界面活性剤の例は、al
lured Publishing Corp.から発行された、マックカッチェンの「乳化剤と洗 剤」
,北米版(1986);およびマックカッチェンの「機能性材料」,北米版(199
2)に記載されており、また、これらの文献はこの発明の参考文献の一部である
。
随意の両性界面活性剤も、この明細書の組成物で使用することができ、その濃
度は、組成物の重量で、約0.1〜約15%、より好適には約0.2〜約10%、
最も好適には約0.5〜約5%の範囲にすることができる。この明細書で使用す
るのに適した随意両性界面活性剤には、両性界面活性剤の1種として当業者によ
く知られている双性イオン性界面活性剤がある。適切な両性界面活性剤の例は、
allured Publishing Corp.から発行された、マックカッチェンの「乳化剤と 洗剤」
,北米版(1986);およびマックカッチェンの「機能性材料」,北米版(1
992)に記載されており、また、これらの文献はこの発明の参考文献の一部であ
る。
b)湿潤剤とモイスチャーライザ
この発明の局所用組成物は、さらに、1種以上の湿潤剤またはモイスチャーラ
イザを含むことができる。既知の湿潤剤またはモイスチャーライザは、この明細
書の組成物の必須成分と相溶性があり、また、皮膚へ局所的に塗布する場合に薬
事的に使用できるならば、何でも使用できる。この種の物質の濃度は、組成物の
重量で、約0.1〜約20%、より好適には約0.2〜約10%、最も好適には約
1〜約5%の範囲にすることができる。
この明細書で使用するのに適した湿潤剤には、米国特許第 4,976,953 号(こ
の明細書の参考文献の一つである)に記載されているグアニディン、グリコール
酸とグリコレート塩類(たとえば、アンモニウムおよび4級アルキルアンモニウ
ム)、乳酸とラクテート塩類(たとえば、アンモニウムおよび4級アルキルアン
モニウム)、種々の形態のアロエベラ(たとえば、アロエベラのゲル)、ソルビ
トール、グリセロール、ヘキサントリオール、プロピレン-グリコール、ブチレ
ン-グリコール、ヘキシレン-グリコール、などのポリヒドロキシ-アルコール類
、ポリエチレン-グリコール類、砂糖類と澱粉類、砂糖と澱粉の誘導体(たとえ
ば、アルコキシ-グルコース)、ヒアルロン酸、ラクタミド-モノエタノールアミ
ン、アセタミド-モノエタノールアミン、プロポキシ-グリセロール類、およびそ
れらの組合せがあるがこれらに限定するわけではない。好適な湿潤剤はグリセロ
ールである。
c)乳化剤
この発明の局所用組成物は、さらに、これらの組成物の種々のキャリア成分を
乳化するために1種以上の乳化剤を含むことができる。乳化剤の濃度は、組成物
の重量で、約0.1〜約10%、より好適には約1〜約7%、最も好適には約1
〜約5%の範囲にすることができる。
既知の乳化剤は、この明細書の組成物の必須成分と相溶性があり、また、皮膚
へ局所的に塗布する場合に薬事的に使用できるならば、何でも使用できる。適切
な乳化剤の例には、allured Publishing Corp.から発行された、マックカッ
チェンの「乳化剤と洗剤」,北米版(1986);米国特許第 5,011,681号、米国特
許第 4,421,769 号、および米国特許第 3,755,560 号に記載されている非イオン
性、カチオン性、アニオン性、および双性イオン性乳化剤がある。なお、こ
れらの文献や特許はこの明細書の参考文献の一つである。
適切な乳化剤には、グリセリンのエステル類、プロピレン-グリコールのエス
テル類、ポリエチレン-グリコールの脂肪酸エステル類、ポリプロピレン-グリコ
ールの脂肪酸エステル類、ソルビトールのエステル類、ソルビタン無水物のエス
テル類、カルボン酸コポリマー類、グルコースのエステル類とエーテル類、エト
キシ-エーテル類、エトキシ-アルコール類、アルキル-ホスフェート類、ポリオ
キシエチレン-脂肪族エーテル-ホスフェート類、脂肪酸アミド類、アシル-ラク
チレート類、石鹸およびそれらの混合物がある。
d)日焼け止め剤と日焼け剤
この発明の組成物は、さらに、これらの組成物の必須成分と相溶性があれば、
1種以上の当該技術で知られた薬事的に使用できる日焼け止め剤を含むことがで
きる。日焼け止め剤は、たとえば、米国特許第 5,087,445 号、米国特許第 5,07
3,372 号、米国特許第 5,073,371号、およびセガーリンらのCosmetics Scienc e and Technology
の第8章の189頁以後に記載されている。なお、これらの
特許や文献はこの明細書の参考文献の一部である。
これらの日焼け止め剤の濃度は、組成物の重量で、約0.5〜約20%の範囲
にすることができる。正確な量は、選択した日焼け止め剤やその組成物に所望さ
れている光保護因子(SPF)に左右される。
この発明の組成物は、さらに、1種以上の合成日焼け剤または日焼け促進剤を
含むことができ、その例には、ジヒドロキシアセトン、チロシン、エチル-チロ
シンなどのチロシン-エステル類、およびホスフォ-DOPAがある。
e)不溶性粒子
この発明の局所用組成物は、さらに、組成物の重量で、約0.1〜約20%、
好適には約0.25〜約15%、最も好適には約0.5〜約10%の不溶性粒子を
含むことができる。これらの不溶性粒子は、これらの局所用組成物が洗浄組成物
の形態をしている場合は、洗浄作用を強化するのに役立つ。
この文脈で使われている「不溶性」という用語は、これらの粒子がこの発明の
組成物に本質的に不溶性であることを意味している。とくに、これらの粒子の溶
解度は25℃で、組成物100グラムあたり、約1グラム末満、好適には0.5
グラム未満、そしてより好適には約0.1グラム未満である必要がある。
これらの不溶性粒子は、微粉状か通常サイズのものである。微粉状の粒子は、
大部分、触感のあるしきい値以下のサイズであり、また、本質的には皮膚に対す
る摩耗性がない。通常サイズの粒子は、触感で認知でき、かつ、こする作用や摩
耗する作用がある。
微粉状粒子の平均粒子直径と粒子サイズ分布は、大抵の使用者が触感で認知で
きるしきい値以下のものであるが、油、あか、有機質の堆積物およびメーキャッ
プを除去できないほど小さなものではない。平均粒子直径が約75ミクロンより
大きい粒子は、洗浄する際に触感で分かるが、使用者に粒子が感じられないこと
が望ましい場合は、このような比較的大きな粒子の量を減らすことが重要である
ことが判明している。逆に、平均粒子直径が約1〜約5ミクロンより小さい粒子
は、汚れを落とす効果が比較的小さいことが分かっている。理論的根拠はないが
、微粉状の洗浄粒子のサイズは、除去すべき、あか、油、または有機質堆積物の
層の厚さのオーダーにする必要があると考えられている。この層の厚さは大抵の
場合、数ミクロンのオーダーであると考えられている。広範囲の形状、表面特性
、および硬さを有する粒子がこの明細書で使用できる。
この発明の微粉状粒子は、無機、有機、天然および合成の各資源から導かれた
ものを含む多種多様な物質から導くことができる。これらの物質の無数にある例
には、アーモンド-ミール、アルミナ、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム
、アンズの種の粉末、アタパルジャイト、オオムギ粉末、ビスマス-オキシクロ
ライド、窒化硼素、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム
、硫酸カルシウム、セルローズ、チョーク、キチン、粘土、トウモロコシ穂軸ミ
ール、トウモロコシ穂軸粉末、トウモロコシ粉末、トウモロコシ-ミール、トウ
モロコシ澱粉、珪藻土、リン酸ジカルシウム、リン酸ジカルシウム-2水和物、
フーラー土、水和シリカ、ヒドロキシアパタイト、酸化鉄、ホホバの種の粉末、
カオリン、ルーファ、マグネシウム-トリシリケート、マイカ、微結晶セルロー
ズ、モンモリロナイト、オートムギぬか、オートムギ粉末、オートミール、モモ
の種
の粉末、ペカン殻粉末、ポリブチレン、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポチ
メチルスチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ナイロン、テ
フロン(ポリテトラフロロエチレン)、ポリハロゲン化オレフィン類、軽石、米
ぬか、ライムギ粉末、セリサイト、シリカ、絹、重炭酸ソーダ、珪素アルミン酸
ナトリウム、大豆粉末、合成ヘクトライト、タルク、酸化錫、二酸化チタン、リ
ン酸トリカルシウム、クルミ殻粉末、小麦ぬか、小麦粉末、小麦澱粉、珪酸ジル
コニウム、およびそれらの混合物からなる群から選択されたものがある。ポリエ
チレン/ポリプロピレン-コポリマー、ポリエチレン/プロピレン/イソブチレン-
コポリマー、ポリエチレン/スチレン-コポリマー、などの混合ポリマー(たとえ
ば、コポリマー、ターポリマー、など)からつくった微粉粒子も有用である。通
常、ポリマーおよび混合ポリマー粒子は、不純物などを分解するために酸化処理
をする。ポリマーおよび混合ポリマー粒子は、種々の架橋剤を用いて随意に架橋
することもできる。架橋剤の無数にある例には、ブタジエン、ジビニル-ベンゼ
ン、メチレンビスアクリルアミド、スクロースのアリル(allyl)エーテル類、
ペンタエリスリトールのアリル(allyl)類、およびそれらの混合物がある。有
用な微粉粒子の例には、他に、パラフィン類、カルヌバ-ワックス、オゼケライ
ト-ワックス、キャンデリア-ワックス、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、などのよ
うなワックス類や樹脂類がある。このようなワックス類や樹脂類をこの明細書で
使う時は、これらの物質が周辺温度と皮膚温度で固体であることが重要である。
この明細書で有用な、好適な水不溶性、微粉状微粒子物質の中には、ポリブチ
レン、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリチメチルスチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン、ポリウレタン、ナイロン、テフロン、およびそれらの混合物
からなる群から選択した合成ポリマー粒子がある。最も好適なのは、ポリエチレ
ンとポリプロピレンの微粉末で、中でもこれらのポリマーを酸化処理したものが
とくに好適である。この明細書で有用な商業的に利用できる粒子の例には、All
ied Signal(ニュージャージ州モリスタウン)から入手できる微粉状ポリエチ
レン-ワックスであるACumistTMがある。これは平均粒子サイズが5〜60ミク
ロンの範囲にあるA,B,C,およびDシリーズとして利用できる。平均粒子サ
イズが、それそれ、25、30、および45ミクロンの酸化ポリエチレン粒子で
ある、ACumistTMA−25、A-30、およびA−45が好適である。商業的に
利用できるポリプロピレン粒子の例には、Micro Powders(Dartex)から利用
できるPropyltex シリーズがある。
通常サイズの不溶性粒子は、当該技術における処方化学者にはよく知られてい
る。通常、これらの粒子のサイズは、この明細書で説明した微粉粒子よりも大き
い。これらの粒子の平均粒子直径は約75ミクロン以上であり、これは上で述べ
た触感できるしきい値とほぼ等しい。これら通常サイズの粒子の平均粒子サイズ
は、約400ミクロン以上である。これらの粒子は、いま説明した微粉粒子と同
じ材料からつくることができる。この明細書で有用な、好適な通常サイズの微粒
子物質の中には、ポリブチレン、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリチメチ
ルスチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ナイロン、テフロ
ン、およびそれらの混合物からなる群から選択した合成ポリマー粒子がある。最
も好適なのは、ポリエチレンとポリプロピレンの微粉粒子で、中でもこれらのポ
リマーを酸化処理したものがとくに好適である。この明細書で有用な商業的に利
用できる粒子の例には、Allied Signal(ニュージャージ州モリスタウン)か
ら入手できる、平均粒子サイズが約125ミクロンであるAcuscrubTM51があ
る。
f)油類
この発明の局所用組成物は、さらに、1種以上の油類を含むことができる。既
知の油は、皮膚へ局所的に塗布する場合に薬事的に使用でき、また、この明細書
の組成物の必須成分と相溶性があるならば、どんな油でも使用できる。この種の
物質の濃度は、組成物の重量で、約0.25〜約40%、好適には約0.5〜約2
5%、そしてより好適には約0.75〜約15%の範囲にすることができる。
油類は一般に水に対する溶解度が低く、25℃では1重量%未満である。この
明細書で使用するのに適した油類の例には、鉱油、ペトロラタム、C7-C40分岐
鎖炭化水素類、C1-C30カルボン酸類のC1-C30アルコール-エステル類、C2-
C30ジカルボン酸類のC1-C30アルコール-エステル類、C1-C30カルボン酸類
のモノグリセリド類、C1-C30カルボン酸類のジグリセリド類、C1-C30カルボ
ン酸類のトリグリセリド類、C1-C30カルボン酸類のエチレングリコール-モノ
エステル類、C1-C30カルボン酸類のエチレングリコール-ジエステル類、C1-
C30カルボン酸類のプロピレングリコール-モノエステル類、C1-C30カルボン
酸類のプロピレングリコール-ジエステル類、砂糖類のC1-C30カルボン酸モノ
エステル類とポリエステル類、ポリジアルキルシロキサン類、ポリジアリル(ar
yl)シロキサン類、ポリアルカリルシロキサン類、珪素原子を3〜9個有するシ
クロメチコン類、植物油類、水素化植物油類、ポリプロピレン-グリコール類、
ポリプロピレン-グリコールC4-C20アルキルエーテル類、ジC8-C30アルキル
エーテル類、およびそれらの混合物がある。これらの油類のいくつかについては
、さらに、この明細書の参考文献の一つである、1990年4月24日に発行されたD
eckner らの米国特許第 4,919,934 号にも記載されている。
錯体を形成する方法
この明細書の局所用組成物の分散界面活性剤錯体は、この局所用組成物が処方
される前または処方中に形成されねばならない。好適には、この分散錯体は、ま
ず、アニオン性界面活性剤成分の一部またはすべてを、カチオン性界面活性剤成
分の一部またはすべてとを水溶液中で混合し、アニオン性/カチオン性錯体の水
性分散体を予め形成する。次いで、この水性分散体を、皮膚活性物質や残りの成
分と混合する。
皮膚を処置する方法
この発明は、この発明の有効量の局所用組成物を皮膚に塗布する方法にも関す
る。これらの局所用組成物は、皮膚活性物質を皮膚に浸透させるのに役立つ。広
範囲の量の局所用組成物を皮膚に塗布できるが、通常は、約0.1〜約25mg/
cm2の範囲にある。
好適な実施態様では、この発明の組成物は、人体の洗浄、とくに顔面や頚部の
洗浄にも使える。通常、適量の洗浄組成物を洗浄する部分に直接塗布するか、浴
用タオル、スポンジ、パッド、木綿ボールまたは他の間接塗布手段を用いて間接
的に塗布する。洗浄する部分を予め水で濡らしてもよい。
この発明の組成物は、皮膚を洗浄し、すすぐ間に水と混合できることも分かっ
ている。一方、この組成物は単独で使用し、パッド、木綿ボール、ティシュー、
などの道具を用いて拭き取ることもできる。洗浄には、通常、この組成物の塗布
と、水によるすすぎまたは水を使わない拭き取りの2つの処置がある。一般的に
は、組成物の有効量は、個人のニーズと使用習慣に左右される。
実施例
以下の実施例で説明した組成物は、この発明の局所用組成物の具体例を説明し
ているが、この発明を限定するものではない。この発明の精神と範囲を逸脱する
ことなく、当業者は他の変形態様を行うことができる。この発明の各実施態様は
、皮膚を洗浄する効能が優れており、また、皮膚活性物質の皮膚への沈着性も改
善されている。
例示された組成物はすべて、通常の処方と混合方法によりつくることができる
。成分の量は、重量%として表示しており、希釈剤、充填剤、などの少量成分は
除いている。したがって、表示した処方には、表示した成分とこのような成分に
付随する少量成分が含まれている。
実施例1
サリチル酸含有人体洗浄組成物を、通常の混合方法を用いて下記成分を混合し
て調製する。
成分 重量% フェーズA
水 全部で100
グリセリン 3.00
EDTA四ナトリウム 0.02フェーズB
PPG-15 ステアリル-エーテル 4.00
ステアリル-アルコール 0.75
サリチル酸 2.00
セチル-アルコール 0.75
Steareth-21 0.45
Steareth-2 0.05
ジメチコン 0.60
ポリクォータニウム-37(および)鉱油
(および)PPG-1Trideceth-6 1.50フェーズC
トリエタノールアミン 0.15フェーズD
香料 0.10フェーズE
PG-ジモニウム-クロライド-ホスフェート 2.00
ラウリル硫酸ナトリウム 1.00
適当な容器で、フェーズA成分を攪拌しなから約75℃に加熱する。別の容器
で、フェーズB成分を撹拌しながら約75℃に加熱する。次いで、フェーズBを
フェーズAに加え、混合し、次いでフェーズCを加え、混合する。次いで混合し
ながら、香料を加える。この混合物を35℃まで冷却する。別の容器で、フェー
ズE成分を混合し、攪拌しながら残りの混合物に添加する。
得られた局所用組成物は、皮膚に対する作用がマイルドではあるが、皮膚の浄
化、とくに、アクネの予防や治療に役立つ。一方、ラウリル硫酸ナトリウムをラ
ウロイル-イセチオン酸ナトリウムで置き換えた組成物をつくることもできる。
実施例2
サリチル酸含有人体洗浄組成物を、通常の混合方法を用いて下記成分を混合し
て調製する。
成分 重量% フェーズA
水 全部で100
グリセリン 3.00
EDTAジナトリウム 0.01フェーズB
PPG-15 ステアリル-エーテル 4.00
ステアリル-アルコール 2.88
サリチル酸 2.00
セチル-アルコール 0.80
Steareth-21 0.50
ブヘニル-アルコール 0.32
PPG-30 0.25
Steareth-2 0.25フェーズC
酸化ポリエチレン ビーズ*1 1.00
香料 0.27フェーズD
ジステアリル-ジメチル-アンモニウム-クロライド 2.00
ラウリル硫酸ナトリウム 1.00*1
Allied Signal 社からAcuscrubTM51として入手できる。
適当な容器で、フェーズA成分を攪拌しながら約75℃に加熱する。別の容器
で、フェーズB成分を攪拌しながら約75℃に加熱する。次いで、フェーズBを
フェーズAに加え、混合する。次に、酸化ポリエチレン ビーズを、塊状化しな
いように、混合しながらゆっくり添加する。次いで混合しながら、香料を加える
。この混合物を35℃まで冷却する。別の容器で、フェーズD成分を混合し、攪
拌しながら残りの混合物に添加する。
得られた洗浄組成物は、皮膚の洗浄に役立つ。
一方、ラウリル硫酸ナトリウムをラウロイル-イセチオン酸ナトリウムで置き
換えた組成物をつくることもできる。
一方、サリチル酸を2.5%過酸化ベンゾイルで置き換え、それに伴い水を調
整して、組成物を調製することもできる。
実施例3
サリチル酸とメントールを含有する人体洗浄組成物を、通常の混合方法を用い
て下記成分を混合して調製する。
成分 重量% フェーズA
水 全部で100
グリセリン 3.00
EDTAジナトリウム 0.01フェーズB
PPG-15 ステアリル-エーテル 4.00
ステアリル-アルコール 2.88
サリチル酸 2.00
セチル-アルコール 0.80
Steareth-21 0.50
ブヘニル-アルコール 0.32
PPG-30 0.25
Steareth-2 0.25フェーズC
酸化ポリエチレン ビーズ*1 1.00
香料 0.27
メントール 0.05フェーズD
ジステアリル-ジメチル-アンモニウム-クロライド 2.00
ラウリル硫酸ナトリウム 1.00*1
Allied Signal 社からAcuscrubTM51として入手できる。
適当な容器で、フェーズA成分を攪拌しながら約75℃に加熱する。別の容器
で、フェーズB成分を攪拌しながら約75℃に加熱する。次いで、フェーズBを
混合しながらフェーズAに加える。次に、酸化ポリエチレン ビーズを、塊状化
しないように、混合しながらゆっくり添加する。次いで混合しながら、香料とメ
ントールを加える。この混合物を35℃まで冷却する。別の容器で、フェーズD
成分を混合し、攪拌しながら残りの混合物に添加する。
得られた局所用洗浄組成物は、皮膚の洗浄に役立つ。一方、ラウリル硫酸ナト
リウムをラウロイル-イセチオン酸ナトリウムで置き換えた組成物をつくること
もできる。一方、サリチル酸を2.5%過酸化ベンゾイルで置き換え、それに伴
い水を調整して、組成物を調製することもできる。
実施例4
過酸化ベンゾイルを含有するローション組成物を、通常の混合方法を用いて下
記成分を混合して調製する。
成分 重量% フェーズA
水 全部で100
グリセリン 4.00
EDTAジナトリウム 0.10
カルボマー 0.60
アクリレート類/C10-30アルキルアクリレート類クロスポリマー 0.05フェーズB
ステアリル-アルコール 2.25
セチル-アルコール 2.25
Steareth-100 0.50
グリセリル-ヒドロキシステアレート 0.74
ジメチコン 0.60フェーズC
トリエタノールアミン 0.50フェーズD
過酸化ベンゾイル 2.50フェーズE
ジセチル-ジメチル-アンモニウム-クロライド 1.00
ラウリル硫酸ナトリウム 0.50
適当な容器で、フェーズA成分を撹拌しながら約75℃に加熱する。別の容器
で、フェーズB成分を攪拌しながら約75℃に加熱する。次いで、フェーズBを
混合しながらフェーズAに加える。次に、混合しながらフェーズCを添加する。
次に、この混合物を35℃まで冷却する。次に、混合しながら過酸化ベンゾイル
を加える。別の容器で、フェーズE成分を混合し、攪拌しながら残りの混合物に
添加する。
得られた局所用洗浄組成物は、皮膚に対する作用がマイルドではあるが、皮膚
の浄化、とくに、アクネの予防や治療に役立つ。
実施例5
グリコール酸を含有する人体洗浄ゲル組成物を、通常の混合方法を用いて下記
成分を混合して調製する。
成分 重量% フェーズA
水 全部で100
グリセリン 4.00
EDTAジナトリウム 0.10
ジメチコン 0.20
PVM/MAデカジエン-クロスポリマー 1.00
グリコール酸 2.00
苛性ソーダ 0.80フェーズB
塩化アンモニウム 1.00
ラウリル硫酸ナトリウム 0.50
適当な容器で、フェーズA成分を激しく混合する。別の容器で、フェーズB成
分を混合し、攪拌しながら残りの混合物に添加する。
得られた洗浄ゲル組成物は、皮膚に対する作用がマイルドで、かつ、効果的に
洗浄できるが、皮膚の浄化、とくに、出現する気孔サイズを小さくするのに役立
つ。一方、グリコール酸をサリチル酸で置き換えた組成物を調製すると、得られ
た組成物は、肌に対する作用がマイルドで、かつ、効果的に洗浄でき、一方では
、アクネやきずの予防や治療に役立つ。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 リストロ,ジョゼフ アントニー
アメリカ合衆国オハイオ州、ラブランド、
チューリップ、ツリー、コート 9758
(72)発明者 マカティ,デイヴィッド マイケル
アメリカ合衆国オハイオ州、フェアフィー
ルド、ベント、ツリー、ドライブ 100、
ナンバー 2ディ