JPH11501055A - 真珠層を含む組成物の新規な使用 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 真珠層の医薬品および／または化粧品組成物における新規な利用。真珠層（必要に応じてアラゴナイトを添加できる）の微粉末を適当な稀釈剤と混合した新規なサイトケラチン合成を向上させるための医薬品および／または化粧品組成物の製造での使用と、細胞培地で新規なサイトケラチン合成を向上させるための使用。

Description

【発明の詳細な説明】 真珠層を含む組成物の新規な使用 本発明は真珠母(真珠層、nacre)の医薬品および／または化粧品での新規な使 用に関するものである。 ケミカルアブストラクト(Chemical Abstracts Vol.124，No.11（1996）p1084) にはケラチンに結合した真珠層の製造方法が開示されている。この方法では粉末 状の真珠層を乳酸で処理して真珠層のミネラル成分を破壊する。 米国特許第 4.393.045号(E.G.Henderson達)の対象は治癒効果を有する真珠層 成分にあり、真珠光沢部分を含む軟体動物の殻をクエン酸を含む果物と接触させ て得られた調製物を塗布するものである。 欧州特許第EP-A-0.393.267号（M.Kato達）には真珠層を非常に高い温度で数時 間加熱して得られる生物活性物質が開示されている。この加熱操作が植物および 動物の生長因子を活性化すると言われている。 国際特許第WO95/30426号(Camprasse達)は動物細胞を酵素と熱によって処理し た凍結乾燥物と磨砕した殻とから得られる皮膚の再生・治癒効果を有する物質に 関するものである。 ドイツ国特許第DE-A-3437184号(E.I Wan達)はムール貝とエスカルゴの殻を予 め水で洗浄した後に乾燥させた磨砕混合物をベースとした火傷治療剤を開示して いる。 フランス国特許第FR-A-2.715.568号(J．Virassamy)は骨の再生用に粉末真珠層 を用いる方法を請求している。 真珠層が骨再生能を有することは昔から知られている。 本出願人は真珠層はその結晶構造中に動物細胞を活性化する物質を含み、特に 貝殻を有する生物の貝殻が損傷した時にそれを修復する物質を含むことを確認し た。 バイオミネラルである真珠層中に含まれるいくつかの物質は蛋白質の性質を有 し、ヒトおよびラットのタイプＩおよびIIIコラーゲンに対する抗体に応答する 。従って、皮膚と貝殻を有する生物の貝殻との間には類似性がある。 本出願人はこの観察結果に基づいて研究を行った結果、真珠層は皮膚の再構築 および刺激作用等のプロセスに介在し得る特殊な物質を含んでいるということを 確認した。 皮膚にはりのある外観や若返ったような外観を与えようとする場合、これまで は表面の角質層を除去してその下にある細胞層を出現させことによって肌が若返 ったように見せる方法が取られていたが、その結果下記の３つのことがおこる： (a) 表皮の厚さは加齢によっても薄くなるにもかかわらず、表皮が痩せることに よって肌が薄くなる。 (b) 表皮細胞の数が減少し、細胞再生源が減少する。 (c) 死んだ細胞が表皮表面から除去され、角質層の保護層、特に剥離層が無くな り、外部からの刺激に対して皮膚が敏感になる。 その他のケア方法としては例えば外側組織層を保護して組織から水分が逃げる のを防ぐ親油層またはシリコン層等の視覚的な手段に訴えるものがあり、さらに 、日焼け防止剤（有機または無機遮蔽物質）や自然または人工的に日焼けを促進 する製品（ジヒドロキシアセトンやＤＨＡ）を利用して、肌の色を変えて生気溢 れる外観（日焼け）または若い外観（ホワイトニング）を与えるものがあるが、 これらのケアは単なる化粧に過ぎず、 肌本来の質を向上させるものではない。 本発明は細胞を除去せずに肌に若くて元気な外観を与える新生成構造(structu re neoformee)を肌表面に作るという、これまで未解決であった技術的課題を解 決するものである。 本出願人は他の種類の細胞、例えば繊維芽細胞、リンパ球細胞、ケラチン合成 細胞および内皮細胞等の上で真珠層を用いた結果を研究した。これらの細胞の挙 動を観察した結果、これまで知られていなかった新しい性質が有るということが 分かり、それによって真珠層を新規な用途で利用することが可能になった。 すなわち、本発明者は、真珠層の粉末化をサイトケラチン培地に添加するとサ イトケラチンの合成が誘導されるということを、偶然見い出した。 皮膚の表面に存在する構造は、ケラチン合成細胞のように、上皮細胞によって 自然に生じ、表皮を物理的に厚くするのに役立つものでなければならない。 本発明の解決法は、皮膚を除去せずにケラチン合成細胞に新生成物質すなわち 通常はケラチン合成細胞が若くて活発な時に生産するサイトケラチン(vytokerat ine)を作らせて肌表面に新しい細胞構造を作るものである。 この蛋白質物質はケラチン合成細胞および角質合成細胞の細胞形質を向上させ ることによって表皮の厚化に貢献し、その結果、外部からの攻撃に対する消極的 抵抗(passive resistance)に貢献する。さらに、上皮組織層の再構築によって表 皮の量が増加し、メッセンジャーリザーブ(reserve de messager)が構成され、 外部からの攻撃に対する積極的抵抗が強化される。 皮膚の最も外側の部分は核を持たない細胞で構成され、その 一番外側の層が角質層を形成する。この外側角質層は双殻類の貝殻に類似してい る。従って、この構造（貝殻と同じく核および遺伝材料を持たない物質で構成さ れている）の回復過程が同じ回復信号に応答する可能性があるとする十分な理由 がある。しかし、双殻類の貝殻は水中に浸された状態にあり且つ損傷を受けた時 に貝殻から出される物質は極めて正確な作用特異性に応答しなければならないの で、この問題は依然として解決の難しい問題である。事実、この活性を発現させ 、解明するために本出願人が行った試験は多くの困難に直面した。 真珠層を通常の方法で磨砕した後に蛋白質を分析すると、１グラムにつき1.6 mgの蛋白質を含有することが分った。この物質を稀釈したものは骨芽細胞培養物 に対して同じ活性（アルカリホスファターゼ）を示さないことが分った。さらに 、アラゴナイト（真珠層のミネラル成分）を主成分とする別の粉末で真珠層粉末 を稀釈すると真珠層の生物結晶の存在に対する細胞の応答が増大するということ が偶然に分かった。従って、以下で説明する試験はアラゴナイトと真珠層とから なる調製物を用いて行った。希望する効果に応じて混合物中の真珠層の割合を種 々変えた稀釈物を使用することができる。 本発明は、医薬品および／または化粧品組成物として用いられる新規なサイト ケラチンの合成法を改良するための微粉末状をした真珠層の利用に関するもので あり、この真珠層はおり、た必要に応じてアラゴナイトを含み、適当な稀釈剤と 混合されている。 本発明はさらに、細胞培地に添加して新規なサイトケラチンの合成法を改良す るための微粉末状をした真珠層の利用に関するものである。この真珠層は必要に 応じてアラゴナイトを含み、 適当な稀釈剤と混合されている。 新規サイトケラチンが大量に合成されれば肌の品質および外観が確実に向上で き、表面上に新たに生成する構造によって、肌構造の回復プロセスが確保でき、 肌に保護効果を与えることができ、さらに外部からの攻撃（太陽光線、寒さ、水 との長時間の接触等）に対する積極的抵抗性を与えることができ、肌の機械的特 性を向上させて肌を若く元気に見せることが可能になる。 真珠層とアラゴナイトとから得られる粉末は、混合物中に含まれる真珠層の割 合が全体の0.1 〜98％、好ましくは全体の５〜20％になるように構成される。下 記の試験は10％の真珠層と90％のアラゴナイトとを含む組成物を用いて行った。 本発明はさらに他の対象は、真珠層（必要に応じてアラゴナイトを混合するこ とができる）に不活性で無毒な担体または稀釈剤を混合または配合した、肌の質 および外観を向上させる医薬品および／または化粧品組成物にある。 真珠層が皮膚保護効果を発揮するのは最大の変化が見られる角質層構成成分の 合成に於てである。角質層はサイトケラチンの縮合によって構成されるので、本 出願人はこの材料の分析を行った。調べた結果は主として攻撃ストレスに対する 細胞の応答の品質（インターロイキン１：IL-1の合成）である。また、皮膚は強 い光照射活性(activite photolumineuse)に曝されると、光保護物質であるメラ ニンを合成してそれに応答するので、メラニン合成の低下またはケラチン合成細 胞内でのメラニン分布状態がよくなることを観察した。 サイトケラチン合成における真珠層の役割 サイトケラチンはその分子量によって区別され、それらの多くについて抗体が 存在する。 現象全体を研究するために、サイトケラチン全体に対する抗体（従って、抗パ ンサイトケラチン抗体という）を使用した。 皮膚を外科的に摘出したサンプルからケラチン合成細胞の培養物を作製した。 皮膚を酵素処理し、特定培地（Mac Koy 変性培地またはＫＢＭ(Keratinocytes B asal Medium)型培でインキュベートした。この培地は血清を含まない。 子牛血清または類似の蛋白質血清を含まない状態で培地１mlあたり50mgの真珠 層の存在下に10⁵個の細胞を24時間培養した。細胞をリンスし、上清を除去し、 細胞を真珠層から分離し、リンスした後に、細胞画分を『ウェスタンブロッティ ング』で分析した。『ウェスタンブロッティング』は電気泳動によって蛋白質を 分子量によって分離し、免疫反応を利用して検出する分析法である。酵素と結合 した第２番目の層の抗体を色素物質と接触させることによってもとの抗体を検出 する。解釈可能な結果を得るために数種類の稀釈物をテストし、単純な吸収分光 測光法またはサンプル板の画像回折によって定量すべき物質（この場合はパンサ イトケラチン）を定量した。この条件下で基本の仮説が確認され、真珠層がケラ チン合成細胞で合成されるサイトケラチンの量を倍増させることが確認された。 しかし、細胞の数が正確に一定でなく、活性も必ずしも一定ではないので、結果 は複数の稀釈物の全蛋白質合成量で検討した。 全蛋白質（μｇ） シグナルサイトケラチン シグナルサイトケラチン（×10）／全蛋白質 真珠層／対照比 この結果から真珠層がパンサイトケラチンの合成を約２倍だけ増幅させること がわかる。 図１はパンサイトケラチン合成の変化を試験量の関数で示したグラフである。 この図はシグナルサイトケラチン×10／対照および真珠層調製物の全蛋白質量（ μｇ）の比を示したものである。少なくとも20μｇを用いて電気泳動した場合に は分析がより正確且つ高感度になる点に注意されたい。 サイトケラチン合成によって皮膚の機械的特性が向上する場 合の真珠層の攻撃に対する応答は二通り考えられる。すなわちインターロイキン が関与する化学的または生物学的な応答の第１期と、メラニンの関与する応答で ある。 インタロイキン１(IL-1)合成における真珠層の役割 図２は真珠層存在下で細胞系HL60を培養して得られる結果を示している。真珠 層存在下で細胞を培養した場合、IL-1の分泌が大幅に減少することが見られる。 メラニンの関与する保護反応 メラニン合成細胞系(ECACC系)Ｇ361 のメラニン分泌は真珠層の存在下でもほ とんど変化しない。 しかし、皮膚外植片由来のメラニン合成細胞−ケラチン合成細胞の同時培養で はメラニン合成細胞の樹状突起数の増加が認められる。 このことからメラニンの分布状態が良くなることが分かる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，Ｓ Ｚ，ＵＧ)，ＢＲ，ＣＡ，ＣＮ，ＣＺ，ＨＵ，ＩＬ，Ｊ Ｐ，ＫＲ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＲＵ，ＳＧ，ＵＳ，ＶＮ (72)発明者 ミレ，クリスチャン フランス国 77140 サン−ピエール−レ −ヌムール リュ ドュ シュマン−ノワ ール １ (72)発明者 セラ，モスタファ フランス国 69100 ヴィルールバンヌ リュ ドュ プルミエ−マル−1943 １

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．真珠層粉末（必要に応じてアラゴナイトを含むことができる）の医薬品およ び／または化粧品組成物の製造でのサイトケラチン合成効率を良くするための使 用。 ２．真珠層粉末（必要に応じてアラゴナイトを含むことができる）の細胞培地で のサイトケラチン合成効率を良くするための使用。 ３．混合物中の真珠層の割合が全体の 0.1〜98％である、請求項１または２に記 載の真珠層粉末（必要に応じてアラゴナイトを含むことができる）の使用。 ４．混合物中の真珠層の割合が全体の５〜20％、好ましくは全体の10％である請 求項３に記載の真珠層粉末（必要に応じてアラゴナイトを含むことができる）の 使用。 ５．微粉末の真珠層に適当な稀釈剤を添加した、請求項２に記載のケラチン合成 細胞培養における真珠層粉末（必要に応じてアラゴナイトを含むことができる） の使用。 ６．微粉末の真珠層に適当な稀釈剤を添加した、請求項１に記載の皮膚の品質を 改良するための医薬品組成物の製造での真珠層粉末（必要に応じてアラゴナイト を含むことができる）の使用。 ７．皮膚構造の回復過程を助ける医薬品組成物の製造での請求項１または６に記 載の真珠層粉末（必要に応じてアラゴナイトを含むことができる）の使用。 ８．皮膚を保護する役割を有し且つ皮膚に外部からの攻撃対する積極的抵抗性を 与える医薬品組成物の製造での請求項１または６に記載の真珠層粉末（必要に応 じてアラゴナイトを含むことができる）の使用。 ９．微粉末の真珠層に適当な稀釈剤を添加した、請求項１に記載の皮膚外観を確 実に向上させる化粧品組成物の製造での真珠層粉末（必要に応じてアラゴナイト を含むことができる）の使用。 10．皮膚の機械的特性を改良するための化粧品組成物の製造での請求項１または ９に記載の真珠層粉末（必要に応じてアラゴナイトを含むことができる）０使用 。 11．皮膚表面に新たに生成した構造によって皮膚を若く元気に見せる組成物の製 造での請求項１、６および９のいずれか一項に記載の真珠層粉末（必要に応じて アラゴナイトを含むことができる）の使用。 12．真珠層と、必要に応じて添加されるアラゴナイトと、不活性で無毒な粉末担 体または稀釈剤との配合物または混合物からなることを特徴とする皮膚の品質お よび外観を向上させる医薬品および／または化粧品組成物。