JPH1149906A - プロピレン系樹脂組成物及びその評価方法 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物及びその評価方法

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JPH1149906A
JPH1149906A JP9213682A JP21368297A JPH1149906A JP H1149906 A JPH1149906 A JP H1149906A JP 9213682 A JP9213682 A JP 9213682A JP 21368297 A JP21368297 A JP 21368297A JP H1149906 A JPH1149906 A JP H1149906A
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propylene
resin composition
based resin
ethylene
component
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JP9213682A
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English (en)
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Yoshihiro Sobashima
島 好 洋 傍
Etsushi Akashige
繁 悦 史 赤
Hironari Fujii
井 裕 也 藤
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Original Assignee
NIPPON PORIKEMU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた衝撃強度と適度な柔軟性(剛性)を有
するプロピレン系樹脂組成物及びその評価方法を提供す
る。 【解決手段】 組成物の物性が、X線光電子分光分析法
で測定した2本の価電子バンドの強度比にて1.6〜
2.0を示し、アイゾット衝撃強度(23℃、ノッチ
付)が5KJ/m2 以上であり、かつ、曲げ弾性率が5
00MPa以上であることを特徴とするプロピレン系樹
脂組成物。並びに、プロピレン・エチレンブロック共重
合体樹脂及び/又はエチレン・α−オレフィン共重合体
ゴムを含有するプロピレン系樹脂組成物を、X線光電子
分光分析法により測定し、その少なくとも2本の価電子
バンドの強度比によって、該組成物の表面に露出するゴ
ム成分の存在状態を評価することを特徴とするプロピレ
ン系樹脂組成物の評価方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた耐衝撃性と
剛性を有し、各種成形品素材として好適なプロピレン系
樹脂組成物及びその評価方法である。
【0002】
【従来の技術】従来、プロピレン系樹脂組成物は、優れ
た成形性、機械的強度、経済性等を備えていることか
ら、その特徴を活かして、各種成形品、例えば自動車部
品、家電機器部品用等の素材として、大量に実用に供さ
れている。しかし、近年では、上記各種用途の高機能化
や製品の大型化に伴って、成形品の薄肉化や複雑なデザ
インへの対応が可能とされる成形性付与等の技術的進歩
が成されてきているが、更に、成形品の耐衝撃性や剛性
についてより一段と向上した新たな素材が求められてい
る。すなわち、耐衝撃性を向上させるためには、一般
に、各種ゴム成分を添加したり、共重合化したりしてい
るが、その際、ゴム成分は柔軟性であるために、得られ
る組成物が過度に柔軟化してしまって、成形品としての
実用的機能が著しく低下するといった問題を有してい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、優
れた耐衝撃性を有すると共に適度な柔軟性(剛性)を有
するプロピレン系樹脂組成物及びその評価方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、種々の研究を重ねた結果、プロピレ
ン系樹脂組成物の物性を、X線光電子分光分析法で測定
した2本の価電子バンドの強度比を1.6〜2.0に制
御すれば、成形品の表面に露出するゴム成分の存在状態
が適正となって、優れた衝撃強度を発現すると共に、適
度な柔軟性(剛性)を有するものになるとの知見に基づ
き、本発明を完成するに至ったものである。
【0005】すなわち、本発明のプロピレン系樹脂組成
物は、プロピレン系樹脂組成物からなり、該組成物の物
性が、X線光電子分光分析法で測定した2本の価電子バ
ンドの強度比にて1.6〜2.0を示し、アイゾット衝
撃強度(23℃、ノッチ付)が5KJ/m2 以上であ
り、かつ、曲げ弾性率が500MPa以上であることを
特徴とするものである。また、本発明のもう一つの発明
であるプロピレン系樹脂組成物の評価方法は、プロピレ
ン・エチレンブロック共重合体樹脂及び/又はエチレン
・α−オレフィン共重合体ゴムを含有するプロピレン系
樹脂組成物を、X線光電子分光分析法により測定し、そ
の少なくとも2本の価電子バンドの強度比によって、該
組成物の表面に露出するゴム成分の存在状態を評価する
ことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
[I] プロピレン系樹脂組成物 (1) 構成成分 本発明のプロピレン系樹脂組成物は、下記成分(A)単
独で、又は、成分(A)と成分(B)及び/又は成分
(C)、更に、場合により成分(D)を配合してなるも
のである。
【0007】(i) 結晶性プロピレン系重合体[成分
(A)] (a) 構 造 本発明のプロピレン系樹脂組成物において用いられる上
記成分(A)の結晶性プロピレン系重合体としては、プ
ロピレンの単独重合体(ポリプロピレン)、過半重量の
プロピレンと他のα−オレフィン(例えば、エチレン、
1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル
−1−ペンテン、1−オクテン等)、ビニルエステル
(例えば、酢酸ビニル)、芳香族ビニル単量体(例え
ば、スチレン)、ビニルシラン(例えば、ビニルトリメ
トキシシラン、ビニルトリメチルシラン)等との二元以
上のブロック、ランダム、乃至、グラフト共重合体(こ
れらの混合物であってもよい。)である。これらの中で
も、結晶性ポリプロピレン部(a単位部)とエチレン・
プロピレンランダム共重合部(b単位部)とを含有する
プロピレン・エチレンブロック共重合体が好ましい。上
記a単位部はプロピレンの単独重合によって得られるも
のであり、また上記b単位部はプロピレンとエチレンと
のランダム共重合によって得られるものである。ここ
で、上記a単位部は、特に剛性の点から該プロピレン・
エチレンブロック共重合体中に、好ましくは60〜95
重量%、特に好ましくは62〜94重量%の割合を占め
ていることが望ましい。また、上記b単位部は、該プロ
ピレン・エチレンブロック共重合体中に衝撃強度の点で
好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは6〜38重
量%の割合を占めていることが望ましい。該結晶性プロ
ピレン系重合体全体のメルトフローレート(MFR)は
1〜300g/10分、特に3〜200g/10分のも
のが好ましい。
【0008】(b) 製 造 この成分(A)の結晶性プロピレン系重合体は、高立体
規則性触媒を用いてスラリー重合、気相重合、或いは、
液相塊状重合により製造されるもので、重合形式として
は、バッチ重合、連続重合のどちらの重合方式も採用す
ることができる。該結晶性プロピレン系重合体のうち、
プロピレン・エチレンブロック共重合体を製造するに際
しては、最初にプロピレンの単独重合によって結晶性ポ
リプロピレン部(a単位部)を形成し、次に、プロピレ
ンとエチレンとのランダム共重合によってプロピレン・
エチレンランダム共重合部(b単位部)を形成したもの
が、ブロック共重合体の品質上から好ましい。
【0009】具体的な方法としては、塩化マグネシウム
に四塩化チタン、有機酸ハライド、及び、有機珪素化合
物を接触させて形成した固体成分に、有機アルミニウム
化合物成分を組み合わせることにより得られた触媒を用
いてプロピレンの単独重合を行ない、次いで、プロピレ
ンとエチレンとのランダム共重合を行なうことによって
製造することができる。また、この結晶性プロピレン系
重合体のMFRは、重合のみで調整しても良く、重合後
に過酸化物にて任意に調整しても良い。この際に用いる
ことができる過酸化物にとしては、例えば、メチルイソ
ブチルケトンパーオキサイド等のパーオキサイド類、
1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)
ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド類、更には、ハ
イドロパーオキサイド、パーカーボネート、パーオキシ
エステル等を挙げることができる。
【0010】(c) 測定法 上記結晶性プロピレン系重合体中のb単位部の含有量の
測定は、2gの試料を沸騰キシレン300g中に20分
間浸漬して溶解させた後、室温まで冷却して、それによ
って析出した固相をガラスフィルターで瀘過乾燥して求
めた固相重量から逆算した値である。エチレン含量は、
赤外スペクトル分析法等により測定された値である。ま
た、MFRはJIS−K7210(230℃、2.16
kg)に準拠して測定されたものである。
【0011】(ii) エチレン・α−オレフィン共重合ゴ
ム[成分(B)] (a) 構 造 本発明のプロピレン系樹脂組成物において必要に応じて
用いられる上記成分(B)のエチレン・α−オレフィン
共重合ゴムは、α−オレフィンを、好ましくは20〜5
0重量%、更に好ましくは20〜45重量%、特に好ま
しくは20〜40重量%含有するものである。含有する
具体的なα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブ
テン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−
ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、
1−デセン、1−エイコセン等を挙げることができる。
これらの中でも、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンが好ま
しく、特に、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、
1−オクテンが好ましい。ここで該共重合ゴムは非共役
ジエン類との三元共重合ゴムであっても良い。α−オレ
フィンの含有量が少な過ぎると、2本の価電子バンドの
強度比が過大となって本発明樹脂組成物の衝撃強度が劣
り、一方、多過ぎると2本の価電子バンド強度比が過小
となって剛性が低下する。
【0012】また、これらは、バナジウム系化合物系や
WO−91/04257号公報等に示されるようなメタ
ロセン系触媒を用いて製造されたものが好ましい。ここ
で、α−オレフィンの含有量は、赤外スペクトル分析法
13C−NMR法等の常法(一般に、赤外スペクトル分
析法で得られる値は、13C−NMR法に比べ低密度ほど
小さく(約10〜50%)なる傾向がある。)によって
測定される値である。また、MFRはJIS−K721
0(230℃、2.16kg)に準拠して測定されたも
のである。
【0013】(iii) タルク[成分(C)] 本発明のプロピレン系樹脂組成物において、必要に応じ
て用いられる上記成分(C)のタルクとしては、好まし
くは平均粒径が15μm以下、特に好ましくは1.5〜
10μmのものである。更に、平均アスペクト比が4以
上、特に5以上のものがより好ましい。該タルクは、例
えば、タルク原石を衝撃式粉砕機やミクロンミル型粉砕
機で粉砕して製造したり、更に、ミクロンミル、ジェッ
トミル等で微粉砕した後、サイクロンやミクロンセパレ
ーター等で分級調製すること等の方法で製造する。ここ
でタルク原石は、中国産が金属不純物成分が少ないので
好ましい。また、該タルクは、各種金属塩等で表面処理
したものでも良く、更に、見掛け比容を2.50ml/
g以下にした、いわゆる圧縮タルクを用いても良い。
【0014】(a) 測定法 上記タルクの平均粒径は、レーザー光散乱方式粒度分布
計を用いて測定された値であり、該測定装置としては、
例えば、堀場製作所製LA−500型を挙げることがで
きる。また、上記タルクの直径や長さ及びアスペクト比
の測定は、顕微鏡等により測定された値より求められ
る。
【0015】(iv) その他の配合成分(任意成分)[成
分(D]] 本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、本発明効
果を著しく損なわない範囲で、或いは、更に性能の向上
を計るために、上記成分(A)、成分(B)及び成分
(C)以外に、以下に示す任意の添加剤や配合材成分を
配合することができる。具体的には、着色するための顔
料、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、光安定剤、有機
アルミニウム・タルク等の各種核剤、滑剤、上記成分
(A)、成分(B)及び成分(C)以外の、ポリエチレ
ン等の各種樹脂、スチレン・エチレン・ブチレン・スチ
レン共重合ゴム等の各種ゴム、炭酸カルシウム・マイカ
等の各種フィラー等の配合材を挙げることができる。
【0016】(2) 配合割合 本発明のプロピレン系樹脂組成物において、必要に応じ
て配合される成分(B)、成分(C)の各成分は、成分
(A)100重量部を基準として配合される。
【0017】(i) 成分(B):エチレン・α−オレフィ
ン共重合ゴム 本発明のプロピレン系樹脂組成物中に必要に応じて配合
される成分(B)のエチレン・α−オレフィン共重合ゴ
ムの配合割合は、成分(A)100重量部に対して、1
〜60重量部が好ましく、特に3〜40重量部が好まし
い。成分(B)の配合割合が多過ぎると、剛性が低下
し、実用性が低下する。一方、少な過ぎると衝撃強度が
低下し、実用性が低下する。
【0018】(ii) 成分(C):タルク 本発明のプロピレン系樹脂組成物において、必要に応じ
て配合される成分(C)のタルクの配合割合は、成分
(A)100重量部に対して、0〜60重量部が好まし
く、特に0〜30重量部が好ましい。成分(C)の配合
割合が多過ぎると、耐衝撃性が低下し、密度も大となっ
て実用性が低下する。
【0019】[II] プロピレン系樹脂組成物の製造 (1) 混練・造粒 本発明のプロピレン系樹脂組成物が、上記成分(A)単
体のみで構成する場合は、前述の重合方法により製造す
るのであるが、場合により成分(A)と成分(B)及び
/又は成分(C)とで構成する場合には、これら各成分
を上記配合割合で配合して一軸押出機、二軸押出機、バ
ンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラ
ストグラフ、ニーダー等の通常の混練機を用いて170
〜280℃の条件下で混練・造粒することによって本発
明のプロピレン系樹脂組成物を得ることができる。この
場合、各成分の分散を良好にすることができる混練・造
粒方法を選択することが好ましく、通常は二軸押出機を
用いて混練・造粒が行なわれる。この混練・造粒の際に
は、上記成分(A)、成分(B)、場合により成分
(C)の配合物を同時に混練しても良く、また、性能の
向上を計るべく、各成分を分割、例えば、先ず成分
(A)と成分(C)の一部又は全部を混練し、その後に
残りの成分を混練・造粒することもできる。
【0020】(2) プロピレン系樹脂組成物の成形 この様にして得られたプロピレン系樹脂組成物は、射出
成形(ガス射出成形も含む)又は射出圧縮成形(プレス
インジェクション)にて成形することによって各種成形
品を得ることができる。
【0021】[III] プロピレン系樹脂組成物の評価方法 (1) 物 性 上記方法によって製造された本発明のプロピレン系樹脂
組成物は、該組成物の物性が、X線光電子分光分析法
(Electron Spectroscopyfor
Chemical Analysis=ESCA)で
測定した結合エネルギー(Binding Energ
y)=16.5eVのピークの強度と結合エネルギー
(Binding Energy)=13.5eVのピ
ークの強度との2本の価電子バンドの強度比(I 1
6.5/I 13.5)を1.6〜2.0、好ましくは
1.7〜2.0、特に好ましくは1.8〜2.0に制御
して、成形品の表面に露出しているゴム成分の存在状態
を適正な状態とすることにより、アイゾット衝撃強度
(23℃、ノッチ付)が5KJ/m2 以上、好ましくは
8KJ/m2 以上、特に好ましくは13KJ/m2 以上
であり、かつ、曲げ弾性率が500MPa以上、好まし
くは700MPa以上、特に好ましくは800MPa以
上の性能を示すことができる。且つ、必要により、密度
が好ましくは1.10g/cm3 以下、特に好ましくは
1.05g/cm3 以下の性能を示すものとすることも
できる。
【0022】(2) 評価方法 (a) X線光電子分光分析法 上記X線光電子分光分析法(Electron Spe
ctroscopyfor Chemical Ana
lysis=ESCA)は、一般に100オングストロ
ーム以内の極く浅い表面の元素や原子結合状態を定量的
に知ることができるもので、中でも、結合エネルギーが
ほぼ40eV以下のESCAスペクトル、いわゆる価電
子スペクトルは分子構造に敏感であり、ポリプロピレン
とエチレン・α−オレフィン共重合ゴムとで異なってい
る。すなわち、結合エネルギーが13.5eVのピーク
は、エチレン・α−オレフィン共重合ゴムでは大きく、
ポリプロピレンでは小さくでる。
【0023】一方、結合エネルギーが16.5eVのピ
ークはポリプロピレンでは大きく、エチレン・α−オレ
フィン共重合ゴムでは小さくでる。そこで、ポリプロピ
レン/エチレン・α−オレフィン共重合ゴム系複合材料
において、この2本の価電子バンドの強度比=I 1
6.5/I 13.5(以下バンド強度比)が大きいこ
とは、この材料の成形品表面に存在するエチレン・α−
オレフィン共重合ゴムが少ないことを意味する。
【0024】(b) 評 価 従って、上記方法によって製造された本発明のプロピレ
ン系樹脂組成物の評価は、該組成物の物性が、X線光電
子分光分析法より測定した結合エネルギーが16.5e
Vのピークの強度と結合エネルギーが13.5eVのピ
ークの強度との2本の価電子バンドの強度比(I 1
6.5/I 13.5)が1.6〜2.0、好ましくは
1.7〜2.0、特に好ましくは1.8〜2.0の範囲
内になっているかによりプロピレン系樹脂組成物が不良
であるかの評価を行なう。上記2本の価電子バンドの強
度比(I 16.5/I 13.5)が大きいとゴム成
分の表面への露出量が少ないことを意味し、小さいとゴ
ム成分の露出量が多いことを意味するものである。従っ
て、この2本の価電子バンドの強度比(I 16.5/
I 13.5)を上記範囲内とすることにより、成形品
の表面に露出しているゴム成分量の多少を制御して、ゴ
ム成分の露出量を適正な存在状態とするものである。上
記2本の価電子バンドの強度比が1.6未満のものは成
形品表面の前記ゴムの存在量が過多であり、その剛性が
著しく低くなる。一方、2.0を超過するものはゴム成
分の存在量が過少となって、その衝撃強度が低くなる。
従って、いずれも実用性に欠けるものとなる。
【0025】[IV] 用 途 本発明のプロピレン系樹脂組成物は、上記性能を一定な
品質で発現することができるため、各種の生活資材用製
品、或いは、自動車部品や家電機器部品等の各種工業部
品用等の成形材料としての実用性能を有している。
【0026】
【実施例】本発明のプロピレン系樹脂組成物を更に詳細
に説明するために、以下に示す実施例及び比較例を示し
て具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比
較例によって限定されるものではない。
【0027】[I] 原材料 ここでの原材料は次に示すものである。
【0028】(1) 成分(A):いずれも酸化防止剤配
合済ペレット状 A−1: a単位部を84重量%、エチレン含量40重
量%のb単位部を16重量%各々含有し、成分(A)全
体の調整MFRが30g/10分の、スラリー重合法で
製造したプロピレン・エチレンブロック共重合体 A−2: a単位部を75重量%、エチレン含量40重
量%のb単位部を25重量%各々含有し、成分(A)全
体の重合MFRが32g/10分の、気相重合法で製造
したプロピレン・エチレンブロック共重合体 A−3: a単位部を92重量%、エチレン含量55重
量%のb単位部を8重量%各々含有し、成分(A)全体
の重合MFRが30g/10分の、気相重合法で製造し
たプロピレン・エチレンブロック共重合体 A−4: 成分(A)全体の重合MFRが5g/10分
の、気相重合法で製造したプロピレン単独重合体 A−5: 成分(A)全体の重合MFRが30g/10
分の、気相重合法で製造したプロピレン単独重合体
【0029】(2) 成分(B):いずれもペレット状 B−1: 1−オクテンを24.2重量%含有(赤外
法)し、MFRが9.3g/10分、密度が0.872
g/cm3 のメタロセン系触媒を用いて溶液重合法で製
造されたエチレン・1−オクテン共重合ゴム B−2: プロピレンを25.5重量%含有(赤外法)
し、MFRが1.2g/10分、密度が0.861g/
cm3 のバナジウム化合物系触媒を用いて溶液重合法で
製造されたエチレン・プロピレン共重合ゴム B−3: プロピレンを28.1重量%含有(赤外法)
し、MFRが0.2g/10分、沃素価が15、密度が
0.862g/cm3 のバナジウム化合物系触媒を用い
て溶液重合法で製造されたエチレン・プロピレン・エチ
リデンノルボルネン共重合ゴム
【0030】(3) 成分(C) C−1: 平均粒径5.5μm、平均アスペクト比6の
タルク
【0031】[II] 評価方法 各種物性の測定方法及び評価は、次に示す通りの方法に
より行なった。
【0032】(1) バンド強度比 X線光電子分光分析法(Electron Spect
roscopy for Chemical Anal
ysis=ESCA)による測定測定装置: 島津製作
所製ESCA「ESCA 1000」試験片 :射出成
形シート(100×120×2mmt) 測定条件: 励起X線=Mg Kα線(1253.6eV) X線出力=8KV、30mA Pass Energy=31.5eV 化学シフト補正=中性炭素(−CH2 −)のC1Sピーク
の結合エネルギーを285.0eVに合わせた。得られ
たESCAスペクトルの結合エネルギー=27eV付近
の極小値と結合エネルギー=11eV付近の極小値を直
線で結んでバックグラウンドとし、ピーク高さを測るこ
とによって結合エネルギー=16.5eVのピーク強度
I 16.5と結合エネルギー=13.5eVのピーク
強度I 13.5とを求めた。
【0033】(2) 衝撃強度:アイゾット衝撃強度 JIS−K7110に準拠して23℃の温度下、ノッチ
付きで測定した。
【0034】(3) 剛性: 曲げ弾性率 JIS−K7203に準拠して測定した。この測定値は
耐熱性の目安ともなる。
【0035】(4) 密 度 JIS−K7112に準拠して測定した。
【0036】[III] 実験例 実施例1〜7及び比較例1〜4 上記の成分(A)、又は、成分(A)と成分(B)及び
/又は成分(C)を表1に示す割合で配合し、タンブラ
ーミキサーにて、毎分25回転にて10分間の条件下で
十分混合した。その後、(株)神戸製鋼所製高速二軸押
出機(KCM)を用い混練造粒し、得られたペレット
(但し、実施例1と比較例1は重合ペレット)を射出成
形機へ供給し、評価用シート試験片を成形して、評価を
行なった。その評価結果を表1に示す。表1に示すよう
に実施例1〜7に示す組成を持った樹脂組成物は、いず
れも良好な衝撃強度と剛性のバランスを示すと共に、軽
量であった。一方、比較例1〜4に示したものは、これ
らの性能のバランスが不良なものであった。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】このような本発明のプロピレン系樹脂組
成物は、バンド強度比が適度に制御されて成形品の表面
に露出するゴム成分の存在状態が適正であり、優れた衝
撃強度と剛性のバランスを有し、軽量でもあるため、各
種の生活資材用製品、自動車部品や家電機器部品等の各
種工業部品等の成形材料として重要な素材である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プロピレン系樹脂組成物からなり、該組成
    物の物性が、X線光電子分光分析法で測定した2本の価
    電子バンドの強度比にて1.6〜2.0を示し、アイゾ
    ット衝撃強度(23℃、ノッチ付)が5KJ/m2 以上
    であり、かつ、曲げ弾性率が500MPa以上であるこ
    とを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】プロピレン系樹脂組成物が、プロピレン・
    エチレンブロック共重合体とエチレン・α−オレフィン
    共重合ゴムとからなるものである、請求項1に記載のプ
    ロピレン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】プロピレン系樹脂組成物が、プロピレン・
    エチレンブロック共重合体、エチレン・α−オレフィン
    共重合ゴム及びタルクからなるものである、請求項1に
    記載のプロピレン系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】プロピレン・エチレンブロック共重合体樹
    脂及び/又はエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムを
    含有するプロピレン系樹脂組成物を、X線光電子分光分
    析法により測定し、その少なくとも2本の価電子バンド
    の強度比によって、該組成物の表面に露出するゴム成分
    の存在状態を評価することを特徴とするプロピレン系樹
    脂組成物の評価方法。
  5. 【請求項5】X線光電子分光分析法による測定が、結合
    エネルギー16.5eVのピークの強度と結合エネルギ
    ー13.5eVのピークの強度の2本の価電子バンドを
    測定するものである、請求項4に記載のプロピレン系樹
    脂組成物の評価方法。
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