JPH1148470A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents

インクジェット記録ヘッド

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JPH1148470A
JPH1148470A JP22582197A JP22582197A JPH1148470A JP H1148470 A JPH1148470 A JP H1148470A JP 22582197 A JP22582197 A JP 22582197A JP 22582197 A JP22582197 A JP 22582197A JP H1148470 A JPH1148470 A JP H1148470A
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恭史 諏訪部
Yasushi Oki
靖 大木
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノズルの目詰まりや乾燥による吐出不良が起
こらないこと、エネルギー効率が良いこと、吐出履歴や
隣接するノズルの影響を受けずインクドロップ吐出安定
性に優れること、記録媒体上でのドット径のばらつきが
小さくかつドットの位置精度が良いこと、等の特性を有
するインクジェット記録ヘッドを提供すること。 【解決手段】 画素信号に対応して振動する振動発生機
構3,4,5と、振動発生機構3,4,5の励振に応じ
て曲げ振動する片持ち梁構造を有し、当該片持ち梁構造
を、曲げ変形の中立軸に対して垂直な面によって切断し
た断面形状が、曲げ変形の中立面に対して非対称になる
弾性部材7とインク8の表面8aにキャピラリ波を発生
させ、インク9を飛翔させて記録媒体に付着させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録媒体上にイン
クドロップなどの液滴を吐出して印字を行うインクジェ
ット記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】記録媒体上に液滴、特にインクドロップ
を吐出して印字を行う記録方式の代表的なものとしてノ
ズルを用いる方式がある。ここで、ノズル式の記録方式
には、オンデマンド型と連続流型とがある。
【0003】オンデマンド型は、記録情報に対応してノ
ズルから間欠的にインクを吐出させて印字を行う方式
で、代表的なものとして、ピエゾ振動子型とサーマル型
とがある。ピエゾ振動子型は、インク室に付設した圧電
素子にパルス電圧を印加して圧電素子を変形させること
により、インク室内のインク液圧を変化させ、ノズルか
らインクドロップを吐出させて、記録媒体上にドットを
記録するものである。サーマル型は、インク室内に設け
た加熱素子によりインクを加熱し、これにより発生した
バブルによりノズルからインクドロップを吐出させて、
記録媒体上にドットを記録するものである。
【0004】一方、連続流型は、インクに圧力を加えて
ノズルから連続的にインクを吐出させると同時に、ピエ
ゾ振動子などにより振動を加えて吐出インク柱を液滴化
し、さらに液滴に対して選択的に帯電、偏向を行うこと
によって、記録を行うものである。
【0005】ところが、近年600〜720ドット/イ
ンチ程度の高解像度の印字が要求されてきており、その
ような要求を満たすためには、記録媒体上のドット径を
小さくする必要が生じ、従来のノズル式の記録方式で
は、ノズル径を小さくして吐出されるインクドロップ径
を小さくさせる必要がある。
【0006】しかしながら、ノズル径を小さくすると、
ゴミ・チリ、ノズル内のインク表面の乾燥によるノズル
詰まりやこれらを原因とするインク吐出方向の変化を生
じやすく、記録媒体上の画質に欠陥を生じる。そのた
め、ノズル径を小さくすることによって、要求される解
像度に対応したドット径を達成することは困難である。
【0007】そこで、このようなノズルに起因する問題
を解決する方法として、ノズルを用いずに、振動または
音響波を用いて、被印字面にインクドロップを吐出して
印字を行う記録方式がいくつか提案されている。
【0008】ノズルを用いない第1の記録方式として
は、米国特許第4308547号明細書で開示されてい
るように、振動子で発生した振動を音響レンズでインク
自由表面の一点に集束させてインクドロップを吐出させ
る方式がある。音響レンズとしては、圧電体自体をレン
ズ状にしたもの、特開平3−200199号公報に開示
されているように、位相を多重に重ねる位相フレネルレ
ンズを用いたものを用いる。音響レンズは、形状と波動
の集束・発散との関係が光学レンズとは逆になり、凸状
レンズでは波動が発散してしまうため凹状レンズを用い
ることが望ましい。
【0009】インクドロップ径は、インク中を伝搬して
きた縦波がインク自由表面に集束されるときの集束径に
ほぼ等しく、その集束径dは、振動子の駆動周波数を
f、レンズのF値をFとすると、d〜F/fとなる。な
お、インク中を伝搬する縦波の波長をλ、その伝搬速度
をvとすると、これらと振動子の駆動周波数fとの間に
は、v=f・λの関係がある。
【0010】したがって、例えば、ドロップ径(集束
径)d=15μm程度の非常に小さなインクドロップを
吐出させようとする場合には、レンズのF値を1とする
と、従来の低粘度・水性インク中の縦波の伝搬速度vは
ほぼ1500m/秒となる。これに対応するために、振
動子の駆動周波数fを約100MHzというような非常
に高い周波数にしなければならない。レンズのF値は、
種々の問題から著しく小さくすることは実際上困難であ
るため、ドロップ径dをより小さくしようとすると、一
般には極めて高い周波数で振動子を駆動することにな
る。
【0011】このように、第1の記録方式では、100
MHz前後の高い周波数で複数の振動子を駆動しなけれ
ばならないため、一般に駆動手段が高価になるというコ
スト上の問題を生じる。また、発熱によりインク粘度が
変化してドロップ径が変動したり、記録装置内でインク
自体の乾燥や固化を生じてインクを吐出できなくなるこ
とがあるという品質上の問題も生じる。
【0012】ノズルを用いない第2の記録方式として
は、振動発生機構で発生した振動を音響ホーンでインク
自由表面の一点に集束させてインクドロップを吐出させ
る方式がある。例えば、上記の米国特許第430854
7号明細書には、凹状レンズの代わりに振動発生機構上
に形成した音響ホーンにより振動を集束させ、音響ホー
ン先端に接触させたベルト上を搬送されてくるインク薄
膜に、この振動を作用させてインクドロップを吐出させ
ることが示されている。ここでは、音響ホーン先端に吐
出力が生成されることになる。
【0013】また、同様の技術として、特開平4−16
8050号公報には、図11に示すように、集音体95
を圧電体91上に設けることが示されている。集音体9
5は、圧電体91およびこれに電圧を印加するための電
極92,93からなる振動発生機構94上に形成され、
インク96を保持したインクリザーバ99中に配され
る。集音体95は、図11に示すように、先細りの形状
をとる。この場合、集音体95の底部から入射した歪み
が集音体95内を伝搬するのに伴って、その振幅が増幅
され、集音体95で集められた大振幅の波がインク96
を叩いて、そこで生じた縦波がインク自由表面97を押
し上げ、インクドロップ98が吐出されるようになって
いる。
【0014】ただし、米国特許第4308547号明細
書や、特開平4−168050号公報では、集音体また
は音響ホーンを用いるとするものの、その大きさや駆動
条件、あるいは振動モード、さらには小径ドロップを形
成できるか否かについては、述べられていない。
【0015】音響ホーンに関しては、一般に音響学の分
野においては、共振により集音体(または音響ホーン)
の先端を大振幅に振動させて吐出力を得ようとする場
合、集音体の垂直断面方向の長さ(高さ)は振動波の波
長の1/2の整数倍でなければならないことが知られて
いる。このことから、図11に示した方式において、高
密度の記録素子を作製するために集音体15を小さくし
ようとすると、振動波の波長も短くしなければならず、
振動発生機構2の駆動周波数を高くしなければならな
い。
【0016】したがって、現実的な密度の記録素子を作
製するためには、第1の記録方式と同様に、数10MH
zから100MHz前後という高い周波数で振動発生機
構を駆動する必要がある。このため、インク中のエネル
ギー減衰が大きいとともに、駆動回路が高価なものとな
る。また、米国特許第4308547号明細書に開示さ
れているように音響ホーン先端に接触させたベルトでイ
ンク薄膜を安定に搬送することは実際上困難であり、吐
出ドロップ径もばらつきやすい。
【0017】ノズルを用いない第3の記録方式として、
吐出力として静電力を用いる、いわゆる静電吸引方式が
あり、さらにそのインクメニスカス(インク隆起)を形
成するために振動を用いるものが知られている。
【0018】例えば、特開昭62−222853号公報
には、記録針をインク表面から突出させて、これに軸方
向に伝搬する超音波エネルギーを与えることが示されて
いる。これによると、超音波流動(acoustic
streaming)現象により、記録針に接するイン
クは記録針の先端方向に移動して、記録針の先端に凸状
のインクメニスカスが形成される。その状態で、記録針
と背面電極との間に静電界を印加してインクを引きちぎ
り、記録針と背面電極との間に配置された記録媒体上に
インクドロップを着弾させる。この方式によれば、記録
針の先端にインクメニスカスを形成するため、従来の静
電吸引方式に比べて、より小さいインクドロップを形成
できる。
【0019】また、特開昭56−28867号公報に
も、針電極と背面電極との間に静電界を印加した状態で
針電極に画像信号を印加すると同時に、針電極を振動さ
せる静電吸引方式が示されている。このようにすると、
インクを安定に粒子化できる。
【0020】しかしながら、静電吸引方式では、湿度な
どによる記録媒体の誘電体の厚みの変動や、記録媒体の
表面の粗さのばらつきなどによって、形成されるドロッ
プ径が変動するという問題を生じる。さらに、ドロップ
径の変動により、記録媒体上でのドット位置ばらつきも
生じる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】これらの問題点を解決
する新しい記録装置として、図12に示すようなインク
ジェット記録装置が本出願人によって提案されている。
図12(a)は、提案されたインクジェット記録装置の
概略の側面図であり、図12(b)は、同正面図であ
る。このインクジェット記録装置は、先鋭状の弾性部材
を図12(a)に示すa−a’方向に振動させることに
より、その先端部7aに接する自由表面8aに振動エネ
ルギ−を伝えて液滴9を吐出させるようにしている。こ
のインクジェット記録ヘッドを用いれば、ノズルに依存
せずにインク液滴のサイズを制御可能であるうえ、エネ
ルギ−効率にも優れ、使用できるインク物性も広いとい
う特徴を有している。
【0022】しかしながら、この提案されたインクジェ
ット記録ヘッドは、図12(a)に示すように弾性部材
7の側断面形状が、曲げ変形の中立面に対して左右非対
称になっているため、画像信号が入力された際の振動開
始方向が一定せず、インク滴の吐出タイミング、および
位置にばらつきを生じるという安定性上の問題点を有し
ている。この問題点は、被記録体上にドットを記録した
場合に、ドット位置ずれとして現れてしまい、記録画像
に対して、エッジの先鋭性や色ずれなどの劣化を生じさ
せる原因となってしまう。
【0023】本発明の目的は、ノズルの目詰まりや乾燥
による吐出不良が起こらないこと、エネルギー効率が良
いこと、吐出履歴や隣接するノズルの影響を受けずイン
クドロップ吐出安定性に優れること、記録媒体上でのド
ット径のばらつきが小さくかつドットの位置精度が良い
こと、等の特性を有するインクジェット記録ヘッドを提
供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記目的は、画素信号に
対応して振動する振動発生手段と、振動発生手段の励振
に応じて曲げ振動する片持ち梁構造を有し、当該片持ち
梁構造を、曲げ変形の中立軸に対して垂直な面によって
切断した断面形状が、曲げ変形の中立面に対して非対称
になる弾性部材とインクの表面にキャピラリ波を発生さ
せ、インクを飛翔させて記録媒体に付着させることを特
徴とするインクジェット記録ヘッドによって達成され
る。ここで、中立軸と中立面について図13乃至図15
を用いて説明する。図13乃至図15は、片持ち梁が曲
げ変形している様子を模式的に示したものであり、図1
3は曲げ変形している片持ち梁の側面図、図14は図A
のN−N線で切った横断面図、図15は曲げ変形してい
る片持ち梁の斜視図である。梁が図13のように曲げ変
形する場合、図14に示すように梁の横断面にはその垂
直方向に曲げ応力が作用している。図13におけるN−
N断面の場合、曲がった梁の凸表面(図中、梁の右側)
には引っ張りひずみが生じ、凹表面(図中、梁の左側)
には圧縮ひずみが生じており、この中間に伸縮のない面
が存在する。これを中立面という。そして、図15に示
すように、中立面と横断面が交差する軸を中立軸とい
う。
【0025】本発明のインクジェット記録ヘッドは、弾
性部材が振動発生機構(以下、振動子という)に接続さ
れ、弾性部材はその接続部を基端部とする片持ち梁構造
をしている。弾性部材の少なくとも先端近傍がインク表
面と接触している。振動子は、弾性部材を曲げ振動モー
ドで共振させる周波数によって励振し、この共振によっ
て弾性部材の先端近傍は大きな振幅を有することにな
る。曲げ振動の振動方向のインク厚は、弾性部材の先端
近傍において、インクと弾性部材の濡れと重力の効果に
より、数μm〜数百μmに形成される。これによって、
インクは振動の作用を強く受け、弾性部材の先端の極め
て近傍のインク表面にキャピラリ波を生じる。このキャ
ピラリ波の作用により、微小滴の生成が可能となる。
【0026】キャピラリ波によるインク液面の振動を利
用して、単一のインク滴を飛翔させるためには、振動子
の駆動条件を所定の値に設定する必要がある。振動子に
対しては、二つから数十個の連続した波を与えるごとに
励振を終了するような態様の波(バースト波)が、画像
信号に応じた断続的な駆動信号として与えられる。単一
のインク滴の飛翔を実現するのに必要な波数は、インク
の粘度や表面張力、与える振動の振幅、周波数などによ
って適宜選ぶことができる。以上のような原理により、
ノズルなしで微小滴が生成され、インク目詰まりのない
高画質なインクジェット記録ヘッドの実現が可能とな
る。
【0027】特に、本発明では片持ち梁構造を、曲げ変
形の中立軸に対して垂直な面によって切断した断面形状
が、曲げ変形の中立面に対して左右非対称にしているの
で、片持ち梁の曲げこわさが曲げの方向によって異な
る。したがって、曲げ振動を開始する場合、複数の弾性
部材が最初に曲がりを開始する向きがすべて同一の向き
に定まる。このため、液滴の吐出のタイミングが複数の
素子間で同一となり、記録体上に形成されるドットの位
置の安定性が向上する。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態による
インクジェット記録ヘッドを図1および図2を用いて説
明する。図1に示すように、振動を発生させるための機
構として基板1上に複数の振動子2を1列に並べて形成
し、それぞれの振動子2上に弾性部材7を形成した。な
お、振動子を担持可能な構成とすれば、基板1を用いな
くてもよい。
【0029】また、弾性部材7の材料としては、シアノ
アクリレート系樹脂やエポキシ系樹脂、またはフッ素系
樹脂などの各種樹脂を用いることができる。また、Si
2,SiONまたはSiNや、AlNや、Al23
どといった各種無機材料で弾性部材7を形成してもよ
い。また、Al、Fe、Ti、Cr、Au、Mo、Ti
Wなど、またはそれらの各種合金で弾性部材7を形成し
てもよい。ただし、各種樹脂や金属と異なり、インク8
と接する間に腐食しないように、SiO2などの無機膜
で、それらの表面を保護することが望ましい。もちろ
ん、樹脂、無機材料および金属のうち、2つ以上の材料
を用いてもよい。また、振動エネルギーが効率的に伝搬
できるなら、弾性部材7の先端部と底部を別な材料で構
成してもよい。
【0030】図2は、図1におけるX−X’切断線によ
る側断面図である。図2に示すように、弾性部材7を振
動させる振動子2で最も重要な圧電体3は、圧電基板で
構成しても、圧電薄膜で構成してもよい。また、圧電体
は単層で構成されても、多層で構成されてもよい。圧電
体3としては、水晶、PZT、チタン酸バリウムBaT
iO3、ニオブ酸鉛PbNb26、ビスマスゲルマネー
トBi12GeO20、ニオブ酸リチウムLiNbO3、タ
ンタル酸リチウムLiTaO3、などの多結晶体や単結
晶体、またはZnOやAlNなどの圧電薄膜、またはポ
リ尿素、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)やPVDF
の共重合体などの圧電性高分子、またはPZTなどの無
機圧電物質と圧電性高分子との複合体などを用いること
ができる。もちろん、インクジェット記録ヘッドを設計
する際に設定する駆動周波数に応じて、最適な圧電材料
を選択しなければならない。印加する交流の周波数が数
10kHzから1MHzの間であれば、PZTのような
セラミックでもよいが、より高い周波数で駆動する場合
にはZnOなどのように高周波に対応する圧電薄膜など
を選択しなければならない。いずれにしろ、安定し、か
つ十分な振動を振動子2に発生できる特性を持つもので
ある必要がある。なお、振動子2を構成する圧電材料自
体で弾性部材7を形成してもよい。
【0031】圧電セラミック薄膜3および電極4、5か
らなる振動子2は、基板1の剛性や、圧電セラミック薄
膜3の厚さおよび圧電特性、および接続される弾性部材
7の大きさや剛性などから決まる固有の共振周波数fo
を有する。そのため、外部駆動手段12から、この振動
子2にfoと同じ、またはその整数倍の周波数fの電圧
を印加して、振動子2を励振する。ここでは、190k
Hzで励振した。なお、駆動周波数はいかなる値でもよ
いが、共振周波数fo、またはその整数倍の周波数fで
駆動すると効率よく弾性部材7を加振することができ
る。
【0032】本実施の形態では、交流電圧を連続して印
加した場合には、比較的大きな連続したインク滴が吐出
され続け、バースト波を印加した場合には微小なインク
滴が吐出される。ここで、バースト波とは図3(b)に
示すように、複数周期の波からなる電圧変化を一束の波
とし、これを断続的に生じさせるものである。バースト
波を用いることで、共振周波数foを振動子2に短時間
だけ印加することができる。ただし、バースト波は、図
3(b)のような方形波に限らず、サイン波や三角波で
もよい。
【0033】また、本実施の形態においては、各々の弾
性部材を隔壁で仕切って配置しても構わない。また、弾
性部材の片側にのみインクを供給する構造であっても構
わない。
【0034】本実施の形態では、図2に示すように、弾
性部材7の厚さを片持ち梁の先端方向に向かって薄く
し、かつ、板状の弾性部材7の片側の表面を振動子2の
表面に対して垂直になるように取り付けている。弾性部
材7の底面は一辺が400μm、厚さ50μmの長方形
であり、高さは、400μmである。先端7aでは、一
辺が400μm、厚さは20μmである。
【0035】振動子2は、黄銅の基板1上に、PZT
(ジルコン酸チタン酸鉛)からなる圧電セラミック薄膜
3、およびこれに電圧を印加するための電極4,5を形
成し、その圧電セラミック薄膜3および電極4,5から
なる振動子2上に、SiO2からなる保護膜6を介し
て、シアノアクリレート系樹脂からなる弾性部材7を形
成した。さらに図2のように、弾性部材7の先端7aの
近傍で、インク表面8aと接するように、インク8を装
填した。保護層6は、振動子2とインク8との絶縁をは
かるものである。インク8は、2mPa・sの粘度の黒
色水性インクである。ただし、インクはこの特性のもの
に限らず、一般のプリンタなどに用いられるものであれ
ば、粘度、密度、表面張力などは任意の特性のものを選
ぶことができる。また、油性、二液性のインクを利用し
てもよい。
【0036】本実施の形態では、弾性部材7は振動子2
に対して垂直になるように取り付けているが、弾性部材
7と振動子2の関係はこの形態に限るものではなく、基
板1の面に対して傾けても、基板1の面と平行に設置し
てもよい。また、弾性部材7そのものを振動子で構成し
ても構わない。
【0037】以上の構成の装置に、190kHzのサイ
ン波状の交流電圧を、6周期分だけバースト波として振
動子2に印加して、振動子2を図2のb−b’方向に振
動させ、弾性部材7にa−a’方向に振動を与えた。こ
の様子を高速カメラを使って観察したところ、弾性部材
7は片持ち梁の曲げ振動が支配的なモードで振動してお
り、弾性部材7の先端の近傍に接するインク表面8aに
は、キャピラリ波(表面張力波)が生じているのが確認
された。そして、振幅30Vp−p(最高最低振幅)の
駆動電圧において、図2に示すように、弾性部材7の先
端の片側に接するインク表面から、インクドロップ9が
吐出されるのが観察された。このときのインクドロップ
9の直径は、20μmであった。
【0038】また、図1のインクジェット記録ヘッドを
用いて、弾性部材の先端から1mmの間隔をあけて配置
した記録紙にインク8を飛翔させて記録したところ、同
一の弾性部材7から連続印字した50ドットのドット径
の平均は40μm、標準偏差は1μm、並びの中心線に
対する、ドット重心の位置ずれの二乗平均は3μmであ
り、ノズル並び方向のドット位置の相対位置ずれの二乗
平均は3μmであった。
【0039】これに対し、図12に示した従来例による
インクジェット記録ヘッドによって、記録紙に印字した
ドットを調べた。その結果、同一の記録素子から連続印
字した50ドットのドット径の平均は40μm、標準偏
差は1μmであったが、並びの中心線に対する、ドット
重心の位置ずれの二乗平均は10μmであり、ノズル並
び方向のドット位置の相対位置ずれの二乗平均も10μ
mであった。このように、実際の印字によっても本実施
の形態の効果が確認された。
【0040】以上に述べてきた現象は、本発明者らの観
察と実験によって初めて見いだされたものであるが、こ
れは図1及び図2に示すように弾性部材7を曲げ変形の
中立軸に対して垂直な面によって切断した断面形状が、
曲げ変形の中立面に対して左右非対称(以下、「弾性部
材が非対称」という)になっていることが主要因であ
る。図1のように、基板1上に複数の振動子2と弾性部
材7の組を並べて配置し、それぞれに接続された外部駆
動手段12によって同時に振動を励起した場合、各々の
弾性部材7は同時に同じ側から振動を始める。これは、
弾性部材が非対称であることから、曲げ易い方向が全て
の弾性部材で一致しており、すべての弾性部材で同一の
向きに曲げ振動が開始することに起因している。弾性部
材7の振動開始にずれがないため、複数のインク滴は同
時に同方向へ飛翔し、ほぼ同時に被記録媒体に到達す
る。このため、ヘッドと被記録媒体が相対的に速度をも
って移動している時には、この相対移動方向でドットの
位置にずれが生じないこととなり、結果として高画質化
が実現できる。つまり、この効果は、弾性部材7に振動
が加えられた場合、複数の弾性部材において曲がり始め
の方向が同一だから得られるものである。
【0041】次に、本発明の第2の実施の形態によるイ
ンクジェット記録ヘッドの弾性部材の側断面を図4に示
す。本実施の形態では、振動子2上に接続された弾性部
材7は、その片持ち梁構造の途中からa−a’方向に折
り曲げられてL型断面形状になっている。つまり、弾性
部材7を曲げ変形の中立軸に対して垂直な面によって切
断した断面形状が、曲げ変形の中立面に対して左右非対
称になっている。第2の実施の形態の場合、振動子2に
励振電圧が入力されれば弾性部材7は倒れやすい方向か
ら必ず振動を開始する。振動子2が弾性部材7を押し上
げる方向(図中B方向)に振動を開始した場合、図4中
のa方向から曲げ振動を開始することになる。
【0042】本発明の第3の実施の形態によるインクジ
ェット記録ヘッドの弾性部材の断面図を図5に示す。図
5(a)は、本実施の形態によるインクジェット記録装
置の側断面図であり、図5(b)は、同正面側の断面図
である。本実施の形態では、弾性部材7の先端に特異点
となる端部を設けた点に特徴を有している。板状の弾性
部材7の片側の面は振動子2の表面に対して垂直になる
ように取り付けられている。その他の構成は第1の実施
の形態と同様であるので説明を省略する。
【0043】弾性部材7の厚さは底面から先端7aに向
かって薄くなっている。本実施の形態においては、底面
は一辺が400μm、厚さ50μmの長方形であり、高
さは、400μmである。先端7aでは、厚さは20μ
mであるが、辺の中心で90度の角度の先鋭状の先端部
を形成している。この弾性部材7の材料は、シアノアク
リレート系樹脂で、振動子2の表面にフッ素樹脂製の型
を使って成型した後、幅が400μmになるように加工
したものである。
【0044】本実施の形態では、第1の実施の形態にお
ける弾性部材の先端を先鋭状に構成したことで、弾性部
材の振動を局所的にインク液面に作用させることができ
るため、インクの吐出領域をさらに狭い範囲に限定でき
るという利点を有している。
【0045】次に、本発明の第4の実施の形態によるイ
ンクジェット記録ヘッドの弾性部材の断面図を図6に示
す。図6(a)は、本実施の形態によるインクジェット
記録装置の側断面図であり、図6(b)は、同正面側の
断面図である。本実施の形態のインクジェット記録ヘッ
ドは、弾性部材7の片側の面は振動子2の表面に対して
垂直になるように取り付けられ、他方の面は曲面である
ように構成した点に特徴を有している。この場合にも、
弾性部材7を曲げ変形の中立軸に対して垂直な面によっ
て切断した断面形状が、曲げ変形の中立面に対して左右
非対称になる。
【0046】本発明の第5の実施の形態によるインクジ
ェット記録ヘッドの弾性部材の断面図を図7に示す。図
7(a)は、本実施の形態によるインクジェット記録装
置の側断面図であり、図7(b)は、同正面側の断面図
である。本実施の形態のインクジェット記録ヘッドは、
弾性部材7の片側の面は振動子2の表面に対して垂直に
なるように取り付けられ、他方の面は振動子2の表面に
接する部分で傾斜をもたせるように構成した点に特徴を
有している。この場合にも、弾性部材7を曲げ変形の中
立軸に対して垂直な面によって切断した断面形状が、曲
げ変形の中立面に対して左右非対称になる。
【0047】次に、本発明の第6の実施の形態によるイ
ンクジェット記録ヘッドの弾性部材の断面図を図8に示
す。図8(a)は、本実施の形態によるインクジェット
記録装置の側断面図であり、図8(b)は、同正面側の
断面図である。本実施の形態のインクジェット記録ヘッ
ドは、弾性部材7の片側の面は振動子2の表面に対して
垂直になるように取り付けられ、他方の面は弾性部材7
の厚さが振動子2の取付け部分に向かって曲線的に厚く
なるように変化させるように構成したことが特徴であ
る。この場合にも、弾性部材7を曲げ変形の中立軸に対
して垂直な面によって切断した断面形状が、曲げ変形の
中立面に対して左右非対称になる。
【0048】本発明の第7の実施の形態によるインクジ
ェット記録ヘッドの弾性部材の断面図を図9に示す。図
9(a)は、本実施の形態によるインクジェット記録装
置の側断面図であり、図9(b)は、同正面側の断面図
である。本実施の形態のインクジェット記録ヘッドは、
弾性部材7の片側の面は振動子2の表面に対して垂直に
なるように取り付けられ、他方の面は弾性部材7の厚さ
が振動子2の取付け部分に向かって不連続に厚くなるよ
うに変化させるように構成した点に特徴を有している。
この場合にも、弾性部材7を曲げ変形の中立軸に対して
垂直な面によって切断した断面形状が、曲げ変形の中立
面に対して左右非対称になる。
【0049】さらに、本発明の第8の実施の形態による
インクジェット記録ヘッドの弾性部材の断面図を図10
に示す。図10(a)は、本実施の形態によるインクジ
ェット記録装置の側断面図であり、図10(b)は、同
正面側の断面図である。本実施の形態のインクジェット
記録ヘッドは、弾性部材7の両側の面が振動子2の表面
に対して垂直になるように取り付けられているが、一方
の面に凹凸を複数形成した点に特徴を有している。この
凹凸は、たがいに接触する程度に近接していても、ラン
ダムに配置されていても、また列状であっても、溝や峰
状であってもよく、弾性部材7の曲げのバランスを偏ら
せるように配置されており、弾性部材7の振動の開始時
の曲がり始めの方向が特定される構造になっていれば適
宜選択してよい。この例のように、弾性部材7の、曲げ
変形の中立軸に対して垂直な面によって切断した断面形
状は、少なくとも一部が左右非対称になっていれば、そ
の効果にかわりはない。
【0050】以上説明したように、本発明の根幹は、片
持ち梁構造の弾性部材の曲げ振動により、弾性部材の先
端近傍のインク表面にキャピラリ波を生成して、インク
を飛翔させるインクジェット記録ヘッドにおいて、弾性
部材の、曲げ変形の中立軸に対して垂直な面によって切
断した断面形状を左右非対称にすることによって、イン
クの飛翔現象を安定化させる効果を見いだしたことであ
る。すなわち、断面形状が非対称な弾性部材を用いれ
ば、本発明が目的とした作用/効果が得られ、弾性部材
の断面形状は以上の実施の形態のように多数見いだされ
る。
【0051】本発明は、上記実施の形態に限らず種々の
変形が可能である。例えば、弾性部材7の片持ち梁構造
の自由端の先端部近傍における曲げ振動の振動方向に対
して垂直な面の幅Wが、ほぼW=2λの長さとなる領域
を有するようにしてもよい。但し、λは以下の式で与え
られる。 λ={8πσ/(ρfe2)}1/3×104(μm) ここで、σは、インク表面張力(mN/m) ρは、インク密度(g/cm3) feは、励振周波数(Hz) である。こうすることにより、幅Wにおいて2山のキャ
ピラリ波を生成でき、その後1山のインク隆起部が形成
されて次の瞬間これが分離してより正確に1インク滴を
飛翔させることができるようになる。
【0052】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、ノズルを
用いずに、微小な液滴を吐出することができ、特に画像
の高解像度化の要求を満たすような小さい液滴を安定に
吐出することができる。特に、片持ち梁構造の弾性部材
の曲げ振動により、弾性部材の先端近傍のインク表面に
キャピラリ波を生成して、インクを飛翔させるインクジ
ェット記録ヘッドにおいて、弾性部材の、曲げ振動の方
向に垂直な断面の形状の少なくとも一部を左右非対称に
することによって、インクの飛翔現象を安定化させるこ
とができるようになる。しかも、低周波かつ低電力で駆
動することができるので、エネルギー効率がよく、使用
可能な液体の物性範囲も広くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるインクジェッ
ト記録ヘッドの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態によるインクジェッ
ト記録ヘッドの断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態によるインクジェッ
ト記録ヘッドの振動子に印加する信号を説明するための
図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態によるインクジェッ
ト記録ヘッドの弾性部材近傍の断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態によるインクジェッ
ト記録ヘッドの弾性部材近傍の断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態によるインクジェッ
ト記録ヘッドの弾性部材近傍の断面図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態によるインクジェッ
ト記録ヘッドの弾性部材近傍の断面図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態によるインクジェッ
ト記録ヘッドの弾性部材近傍の断面図である。
【図9】本発明の第7の実施の形態によるインクジェッ
ト記録ヘッドの弾性部材近傍の断面図である。
【図10】本発明の第8の実施の形態によるインクジェ
ット記録ヘッドの弾性部材近傍の断面図である。
【図11】従来技術に係わる印刷装置の説明図である。
【図12】従来技術に係わる印刷装置の説明図である。
【図13】中立軸、中立面を説明する図である。
【図14】中立軸、中立面を説明する図である。
【図15】中立軸、中立面を説明する図である。
【符号の説明】
1 基板 2 振動子 3 圧電体 4、5 電極 6 保護層 7 弾性部材 8 インク 9 インクドロップ 91 圧電体 92、93 電極 94 振動発生機構 95 集音体 96 インク 97 インク自由表面 98 インクドロップ 99 インクリザーバ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】画素信号に対応して振動する振動発生手段
    と、 前記振動発生手段の励振に応じて曲げ振動する片持ち梁
    構造を有し、当該片持ち梁構造を、曲げ変形の中立軸に
    対して垂直な面によって切断した断面形状が、曲げ変形
    の中立面に対して非対称になる弾性部材とを備え、イン
    クの表面にキャピラリ波を発生させ、前記インクを飛翔
    させて記録媒体に付着させることを特徴とするインクジ
    ェット記録ヘッド。
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