JPH1120162A - インクジェット記録装置 - Google Patents
インクジェット記録装置Info
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- JPH1120162A JPH1120162A JP19195197A JP19195197A JPH1120162A JP H1120162 A JPH1120162 A JP H1120162A JP 19195197 A JP19195197 A JP 19195197A JP 19195197 A JP19195197 A JP 19195197A JP H1120162 A JPH1120162 A JP H1120162A
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- Japan
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- ink
- elastic member
- vibration
- jet recording
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- Ink Jet (AREA)
- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 ノズルの詰まりが無く、インクの吐出点が安
定していて、印字ドットの高解像度化が可能な簡易なイ
ンクジェット記録装置を提供すること。 【解決手段】 画素信号に対応して振動する複数の振動
発生手段と、振動発生手段の振動に応じて振動し、且
つ、その表面の一部領域が他の表面の領域よりも高い親
水性を有する弾性部材とを備え、弾性部材の振動により
インクの表面にキャピラリ波を発生させ、インクを飛翔
させて記録媒体に付着させることを特徴とするインクジ
ェット記録装置による。高い親水性を有する弾性部材の
一部領域がインク供給領域であることが好ましく、弾性
部材の一部領域以外の他の表面の領域に撥水処理を施す
ことによることもできる。
定していて、印字ドットの高解像度化が可能な簡易なイ
ンクジェット記録装置を提供すること。 【解決手段】 画素信号に対応して振動する複数の振動
発生手段と、振動発生手段の振動に応じて振動し、且
つ、その表面の一部領域が他の表面の領域よりも高い親
水性を有する弾性部材とを備え、弾性部材の振動により
インクの表面にキャピラリ波を発生させ、インクを飛翔
させて記録媒体に付着させることを特徴とするインクジ
ェット記録装置による。高い親水性を有する弾性部材の
一部領域がインク供給領域であることが好ましく、弾性
部材の一部領域以外の他の表面の領域に撥水処理を施す
ことによることもできる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体インクを飛翔
させる記録装置に用いられるインクジェット記録装置に
関する。
させる記録装置に用いられるインクジェット記録装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】ノズルからインク滴を吐出させて印字を
行う、いわゆるオンデマンド型のインクジェット記録方
式の代表的なものとして、ピエゾ振動子型とサーマル型
がある。ピエゾ振動子型はインク室に付設された圧電素
子にパルス電圧を印加し、圧電素子を変形させることに
よりインク室内のインク液圧を変化させ、ノズルからイ
ンク滴を吐出させて記録用紙にドットを記録する。サー
マル型はインク室内に設けた加熱機構によりインクを加
熱し、発生したバブルによりノズルからインク滴を吐出
させて記録用紙にドットを記録する。
行う、いわゆるオンデマンド型のインクジェット記録方
式の代表的なものとして、ピエゾ振動子型とサーマル型
がある。ピエゾ振動子型はインク室に付設された圧電素
子にパルス電圧を印加し、圧電素子を変形させることに
よりインク室内のインク液圧を変化させ、ノズルからイ
ンク滴を吐出させて記録用紙にドットを記録する。サー
マル型はインク室内に設けた加熱機構によりインクを加
熱し、発生したバブルによりノズルからインク滴を吐出
させて記録用紙にドットを記録する。
【0003】これらインクジェット記録方式における従
来の解像度は300ドット/インチ程度であったが、昨
今、600から720ドット/インチの高解像度が要求
されるようになった。それに伴い、高解像度化による効
果を有効に発揮するためには、解像度に応じて印字する
ドット径を小さくする必要がある。かかる従来の方式に
おいて小さなドット径を得るために、ノズル径を小さく
することが考えられる。しかしながらノズル径を小さく
すると、ゴミやノズル内のインク表面の乾燥によるノズ
ル詰まりや、ノズル円周部に残滓が付着することによる
インク吐出方向の変化が発生しやすくなり、記録紙上の
画質に欠陥が発生する。このため、本来の解像度に対応
したドット径を印字するために必要なノズル径を採用で
きないという問題があった。
来の解像度は300ドット/インチ程度であったが、昨
今、600から720ドット/インチの高解像度が要求
されるようになった。それに伴い、高解像度化による効
果を有効に発揮するためには、解像度に応じて印字する
ドット径を小さくする必要がある。かかる従来の方式に
おいて小さなドット径を得るために、ノズル径を小さく
することが考えられる。しかしながらノズル径を小さく
すると、ゴミやノズル内のインク表面の乾燥によるノズ
ル詰まりや、ノズル円周部に残滓が付着することによる
インク吐出方向の変化が発生しやすくなり、記録紙上の
画質に欠陥が発生する。このため、本来の解像度に対応
したドット径を印字するために必要なノズル径を採用で
きないという問題があった。
【0004】これに対し、近年音響波を用いたインクジ
ェット記録方式が提案されている。この方式はインクの
自由表面からインク滴を吐出させるために、音波の放射
圧をインクの自由表面に集束することによって作動する
ものである。以下、この方式を音響波集中方式という。
例えば特開平3−200199号公報では、安価でシャ
ープに焦点を合わせられるレンズとして、図7に示すよ
うに、凹状レンズのかわりに薄膜平板状の位相フレネル
レンズ88を基板87上に設けた構成が開示されてい
る。位相フレネルレンズ88は、入射した平面波をある
間隔で円環状に配置された複数の薄膜平板状部89で一
旦回折し、発生した複数の回折波をインク自由表面85
の一点で合成し、得られた合成波の振幅を最大とするよ
うな機能を有するレンズである。基板87の裏面には圧
電体81、およびこれに電圧を印加するための電極8
3、84からなる振動子が形成されている。
ェット記録方式が提案されている。この方式はインクの
自由表面からインク滴を吐出させるために、音波の放射
圧をインクの自由表面に集束することによって作動する
ものである。以下、この方式を音響波集中方式という。
例えば特開平3−200199号公報では、安価でシャ
ープに焦点を合わせられるレンズとして、図7に示すよ
うに、凹状レンズのかわりに薄膜平板状の位相フレネル
レンズ88を基板87上に設けた構成が開示されてい
る。位相フレネルレンズ88は、入射した平面波をある
間隔で円環状に配置された複数の薄膜平板状部89で一
旦回折し、発生した複数の回折波をインク自由表面85
の一点で合成し、得られた合成波の振幅を最大とするよ
うな機能を有するレンズである。基板87の裏面には圧
電体81、およびこれに電圧を印加するための電極8
3、84からなる振動子が形成されている。
【0005】音響波集中方式においては、吐出される液
滴の大きさはノズルに規制されるのではなく、音波が集
中する領域のエネルギー密度に依存する。したがって、
上述のピエゾ振動子型やサーマル型のように、ノズル径
を小さくすることによりノズルが詰まったり、インク吐
出方向が変化するという問題は生じない。しかし、10
0MHz前後の高い周波数で複数の振動子を駆動しなけ
ればならないため、一般に駆動手段が高価になるという
コスト上の問題を生じるとともに、発熱によりインク粘
度が変化してドロップ径が変動したり、記録装置内でイ
ンク自体の乾燥や固化を生じてインクが吐出できなくな
ることがあるという重大な問題を生じる。
滴の大きさはノズルに規制されるのではなく、音波が集
中する領域のエネルギー密度に依存する。したがって、
上述のピエゾ振動子型やサーマル型のように、ノズル径
を小さくすることによりノズルが詰まったり、インク吐
出方向が変化するという問題は生じない。しかし、10
0MHz前後の高い周波数で複数の振動子を駆動しなけ
ればならないため、一般に駆動手段が高価になるという
コスト上の問題を生じるとともに、発熱によりインク粘
度が変化してドロップ径が変動したり、記録装置内でイ
ンク自体の乾燥や固化を生じてインクが吐出できなくな
ることがあるという重大な問題を生じる。
【0006】そこで、近年、以下に詳細に説明するよう
な原理を用いたインク飛翔方式が本出願人により実証さ
れ、新たなインクジェット記録方式として提案されてい
る。図8はこの新たなインクジェット記録方式における
インクジェット記録装置の断面図である。この例では振
動発生部として基板1上に振動子10を形成し、振動子
10上に弾性部材5を形成して、インク6を弾性部材5
の先端と底面との間に位置するように装填し、少なくと
も弾性部材5の先端近傍をインク6と接触させる。そし
て、振動子10を図示しない外部駆動機構によって駆動
し、弾性部材5に曲げ振動を起こさせる。ここで、弾性
部材5はその一端が振動子10側に固定され、他端が自
由端となる片持ち梁構造をとる。また弾性部材5の断面
形状は固定端部(基端部)より自由端部(先端部)の方
の曲げこわさを小さくすることが望ましい。これによ
り、弾性部材5の先端近傍でより効率よく曲げ振動の振
幅を得ることができる。曲げこわさは、弾性部材の(断
面2次モーメント)×(ヤング率)で表される。従っ
て、基端部より先端部の方の曲げこわさを小さくするた
めに、弾性部材5の基端部の断面に係わる曲げ振動が生
じる振幅方向の幅よりも先端部の断面に係わる曲げ振動
が生じる振幅方向の幅を小さくする、または、基端部の
断面に係わる曲げ振動が生じる振幅方向と垂直な方向の
幅よりも先端部の断面に係わる曲げ振動が生じる振幅方
向と垂直な方向の幅を小さくすることが望ましい。同様
に、弾性部材5の基端部に使用する材質よりも柔らかい
材質を先端部に使用することによってもこれを実現でき
る。
な原理を用いたインク飛翔方式が本出願人により実証さ
れ、新たなインクジェット記録方式として提案されてい
る。図8はこの新たなインクジェット記録方式における
インクジェット記録装置の断面図である。この例では振
動発生部として基板1上に振動子10を形成し、振動子
10上に弾性部材5を形成して、インク6を弾性部材5
の先端と底面との間に位置するように装填し、少なくと
も弾性部材5の先端近傍をインク6と接触させる。そし
て、振動子10を図示しない外部駆動機構によって駆動
し、弾性部材5に曲げ振動を起こさせる。ここで、弾性
部材5はその一端が振動子10側に固定され、他端が自
由端となる片持ち梁構造をとる。また弾性部材5の断面
形状は固定端部(基端部)より自由端部(先端部)の方
の曲げこわさを小さくすることが望ましい。これによ
り、弾性部材5の先端近傍でより効率よく曲げ振動の振
幅を得ることができる。曲げこわさは、弾性部材の(断
面2次モーメント)×(ヤング率)で表される。従っ
て、基端部より先端部の方の曲げこわさを小さくするた
めに、弾性部材5の基端部の断面に係わる曲げ振動が生
じる振幅方向の幅よりも先端部の断面に係わる曲げ振動
が生じる振幅方向の幅を小さくする、または、基端部の
断面に係わる曲げ振動が生じる振幅方向と垂直な方向の
幅よりも先端部の断面に係わる曲げ振動が生じる振幅方
向と垂直な方向の幅を小さくすることが望ましい。同様
に、弾性部材5の基端部に使用する材質よりも柔らかい
材質を先端部に使用することによってもこれを実現でき
る。
【0007】振動発生部としては、振動子10を担持可
能な構成とすれば、基板1を用いなくてもよい。また、
振動子10および基板1は振動の振幅を増幅させるため
に支点12を設けて担持するとよい。曲げ振動の振動方
向のインク厚は、弾性部材の先端近傍において、インク
と弾性部材のヌレと重力の効果により、数μm〜数百μ
mの値をとる。これによって、インクは振動の作用を強
く受け、その表面にキャピラリ波が生じるが、このキャ
ピラリ波の作用により微小滴の生成が可能となる。そし
て、振動発生部の駆動条件を所定の値に設定することに
よって、1インク滴の飛翔が可能となる。振動発生部の
励振は1画素信号に応じて1インク滴の飛翔を実現する
ために、1インク滴の飛翔に必要な所定の励振数だけ励
振を行い、その所定の励振数の励振が終了すると停止す
るという、間欠的な態様をとる。
能な構成とすれば、基板1を用いなくてもよい。また、
振動子10および基板1は振動の振幅を増幅させるため
に支点12を設けて担持するとよい。曲げ振動の振動方
向のインク厚は、弾性部材の先端近傍において、インク
と弾性部材のヌレと重力の効果により、数μm〜数百μ
mの値をとる。これによって、インクは振動の作用を強
く受け、その表面にキャピラリ波が生じるが、このキャ
ピラリ波の作用により微小滴の生成が可能となる。そし
て、振動発生部の駆動条件を所定の値に設定することに
よって、1インク滴の飛翔が可能となる。振動発生部の
励振は1画素信号に応じて1インク滴の飛翔を実現する
ために、1インク滴の飛翔に必要な所定の励振数だけ励
振を行い、その所定の励振数の励振が終了すると停止す
るという、間欠的な態様をとる。
【0008】実際に作製したものは、黄銅の基板1上
に、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)からなる圧電セラ
ミック薄膜2、および、これに電圧を印加するための電
極3、4を形成している。圧電セラミック薄膜2および
電極3、4からなる振動子10上には、SiO2からな
る保護膜9を介して、ステンレス合金からなる弾性部材
5を形成した。インク6は弾性部材5の先端がインク表
面7から出るように装填した。ここで、保護膜9は振動
子10とインク6との絶縁をはかるためのものである。
に、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)からなる圧電セラ
ミック薄膜2、および、これに電圧を印加するための電
極3、4を形成している。圧電セラミック薄膜2および
電極3、4からなる振動子10上には、SiO2からな
る保護膜9を介して、ステンレス合金からなる弾性部材
5を形成した。インク6は弾性部材5の先端がインク表
面7から出るように装填した。ここで、保護膜9は振動
子10とインク6との絶縁をはかるためのものである。
【0009】圧電セラミック薄膜2と電極3、4からな
る振動子10は、基板1の剛性や、圧電セラミック薄膜
2の厚さあるいは圧電特性、接続される弾性部材5の大
きさあるいは剛性などから決まる固有の共振周波数を有
する。図示しない外部駆動機構から振動子10に交流電
圧を印加して振動子10を励振するが、駆動周波数は共
振周波数またはその整数倍の周波数にすることにより、
効率よく振動させることができる。
る振動子10は、基板1の剛性や、圧電セラミック薄膜
2の厚さあるいは圧電特性、接続される弾性部材5の大
きさあるいは剛性などから決まる固有の共振周波数を有
する。図示しない外部駆動機構から振動子10に交流電
圧を印加して振動子10を励振するが、駆動周波数は共
振周波数またはその整数倍の周波数にすることにより、
効率よく振動させることができる。
【0010】実際には、195kHzのサイン波状の交
流電圧を、100μ秒間、バースト波として振動子10
に印加して、基板1を図8の上下方向に振動させ、弾性
部材5に振動を与えた。すると、弾性部材5は曲げ振動
を始め、その曲げ振動により弾性部材5の先端近傍のイ
ンク表面にキャピラリ波が生成され、その波頭から直径
約10μmのインク滴が飛翔した。
流電圧を、100μ秒間、バースト波として振動子10
に印加して、基板1を図8の上下方向に振動させ、弾性
部材5に振動を与えた。すると、弾性部材5は曲げ振動
を始め、その曲げ振動により弾性部材5の先端近傍のイ
ンク表面にキャピラリ波が生成され、その波頭から直径
約10μmのインク滴が飛翔した。
【0011】交流電圧を連続的に印加した場合には、比
較的大きな連続したインク柱が吐出され続けるが、バー
スト波として印加した場合には、微小なインク滴8が吐
出される。そこで、振動子10はバースト波の交流電圧
で駆動する。図9に画素信号と振動発生部を駆動するた
めに印加する交流電圧との関係を示す。ここで、バース
ト波とは図9(b)に示すように1個から複数個の波か
らなる交流電圧波形101を断続的に印加する形態のも
のをいう。断続的に生じる複数個の波からなる交流電圧
波形101の周波数は一定で、弾性部材5の共振周波数
またはその整数倍の周波数に相当する。このようなバー
スト波で共振周波数またはその整数倍の周波数を維持し
て、振動子に短時間だけ交流電圧を印加することが望ま
しい。バースト波は方形波に限らず、サイン波や三角波
でもよい。
較的大きな連続したインク柱が吐出され続けるが、バー
スト波として印加した場合には、微小なインク滴8が吐
出される。そこで、振動子10はバースト波の交流電圧
で駆動する。図9に画素信号と振動発生部を駆動するた
めに印加する交流電圧との関係を示す。ここで、バース
ト波とは図9(b)に示すように1個から複数個の波か
らなる交流電圧波形101を断続的に印加する形態のも
のをいう。断続的に生じる複数個の波からなる交流電圧
波形101の周波数は一定で、弾性部材5の共振周波数
またはその整数倍の周波数に相当する。このようなバー
スト波で共振周波数またはその整数倍の周波数を維持し
て、振動子に短時間だけ交流電圧を印加することが望ま
しい。バースト波は方形波に限らず、サイン波や三角波
でもよい。
【0012】この方式も特開平3−200199号公報
に示された方式と同様に小径ドットを記録するのに吐出
インク滴径を規定するためのノズルを必要とせず、ゴミ
やノズル内のインク表面の乾燥によるノズル詰まりや、
ノズル円周部への残滓の付着によるインク吐出方向の変
化という問題を生じない。
に示された方式と同様に小径ドットを記録するのに吐出
インク滴径を規定するためのノズルを必要とせず、ゴミ
やノズル内のインク表面の乾燥によるノズル詰まりや、
ノズル円周部への残滓の付着によるインク吐出方向の変
化という問題を生じない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、弾性部
材の曲げ振動によりインク滴を飛翔させるインクジェッ
ト記録方式で高画質記録を行うためには、ドット径を小
さくするとともに、インクの吐出点を高精度に安定させ
る必要がある。このため、弾性部材の先端を先鋭状にす
るなどして、インク吐出点の安定化をはかる方法を講じ
ているが、製作が困難であり、コストも高くなるという
問題を有する。
材の曲げ振動によりインク滴を飛翔させるインクジェッ
ト記録方式で高画質記録を行うためには、ドット径を小
さくするとともに、インクの吐出点を高精度に安定させ
る必要がある。このため、弾性部材の先端を先鋭状にす
るなどして、インク吐出点の安定化をはかる方法を講じ
ているが、製作が困難であり、コストも高くなるという
問題を有する。
【0014】そこで、本発明の目的はノズルの詰まりが
無く、インクの吐出点が安定していて、なおかつ、印字
ドットの高解像度化が可能な簡易なインクジェット記録
装置を提供することである。
無く、インクの吐出点が安定していて、なおかつ、印字
ドットの高解像度化が可能な簡易なインクジェット記録
装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、画
素信号に対応して振動する複数の振動発生手段と、振動
発生手段の振動に応じて振動し、且つ、その表面の一部
領域が他の表面の領域よりも高い親水性を有する弾性部
材とを備え、弾性部材の振動によりインクの表面にキャ
ピラリ波を発生させ、インクを飛翔させて記録媒体に付
着させることを特徴とするインクジェット記録装置によ
って達成される。このインクジェット記録装置によれ
ば、弾性部材の先端部を先鋭状にすることなく安定した
インク吐出を実現することが可能となる。
素信号に対応して振動する複数の振動発生手段と、振動
発生手段の振動に応じて振動し、且つ、その表面の一部
領域が他の表面の領域よりも高い親水性を有する弾性部
材とを備え、弾性部材の振動によりインクの表面にキャ
ピラリ波を発生させ、インクを飛翔させて記録媒体に付
着させることを特徴とするインクジェット記録装置によ
って達成される。このインクジェット記録装置によれ
ば、弾性部材の先端部を先鋭状にすることなく安定した
インク吐出を実現することが可能となる。
【0016】また、高い親水性を有する弾性部材の一部
領域がインク供給領域であることが好ましい。また、弾
性部材の一部領域以外の他の表面の領域に撥水処理を施
すことによっても本発明の目的を達成できる。これらに
よって、インク供給領域におけるインク供給がより円滑
になり、インク吐出を一層安定にすることが可能とな
る。
領域がインク供給領域であることが好ましい。また、弾
性部材の一部領域以外の他の表面の領域に撥水処理を施
すことによっても本発明の目的を達成できる。これらに
よって、インク供給領域におけるインク供給がより円滑
になり、インク吐出を一層安定にすることが可能とな
る。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態による
インクジェット記録装置について図1乃至図3を用いて
詳細に説明する。本実施の形態によるインクジェット記
録装置は、所定の間隔で配置された複数の振動発生部
と、振動発生部に対応する複数の片持ち梁構造の弾性部
材と、インクとを具備し、振動発生部は画素信号に応じ
て間欠的に励振し、その励振により弾性部材は曲げ振動
するものであって、この曲げ振動により、弾性部材の先
端近傍のインク表面にキャピラリ波を生成し、インクを
飛翔させ記録媒体に付着することによって記録する記録
装置において、弾性部材の表面に親インク領域と非親イ
ンク領域を設け、インク供給領域を親インク性にするこ
とにより、インクの供給領域を規定してインクの吐出点
を制御するものである。このようにすることで弾性部材
の先端を先鋭状にすることなく簡易な記録装置で安定し
た高解像度記録を達成することができる。
インクジェット記録装置について図1乃至図3を用いて
詳細に説明する。本実施の形態によるインクジェット記
録装置は、所定の間隔で配置された複数の振動発生部
と、振動発生部に対応する複数の片持ち梁構造の弾性部
材と、インクとを具備し、振動発生部は画素信号に応じ
て間欠的に励振し、その励振により弾性部材は曲げ振動
するものであって、この曲げ振動により、弾性部材の先
端近傍のインク表面にキャピラリ波を生成し、インクを
飛翔させ記録媒体に付着することによって記録する記録
装置において、弾性部材の表面に親インク領域と非親イ
ンク領域を設け、インク供給領域を親インク性にするこ
とにより、インクの供給領域を規定してインクの吐出点
を制御するものである。このようにすることで弾性部材
の先端を先鋭状にすることなく簡易な記録装置で安定し
た高解像度記録を達成することができる。
【0018】図1は本実施の形態のインクジェット記録
装置の断面図である。基板1は振動を増幅するために支
点12により支持板11上に固定され、その上に電極
3、4で挟まれた圧電素子2が設置されている。圧電素
子2はある周波数に対して大きな振動をする固有の共振
点を有する。固有の共振点のピークは鋭い方が望まし
い。圧電素子2は圧電基板または圧電薄膜のいずれで構
成してもよい。また圧電素子2は単層または多層のいず
れで構成してもよい。圧電素子2の材質としては、水
晶、PZT、チタン酸バリウムBaTiO3、ニオブ酸
鉛PbNb2O6、ビスマスゲルマネートBi12Ge
O20、ニオブ酸リチウムLiNbO3、タンタル酸リチ
ウムLiTaO3などの多結晶体や単結晶体、またはZ
nOやAlNなどの圧電薄膜、またはポリ尿素、PVD
F(ポリフッ化ビニリデン)やPVDFの共重合体など
の圧電性高分子、またはPZTなどの無機圧電物質と圧
電性高分子との複合体などを用いることができる。圧電
素子2に用いる材料の選択は、記録装置を設計する際に
設定する駆動周波数に応じる。印加する交流の周波数が
数10kHzから1MHzの間であれば、PZTのよう
なセラミックでもよいが、より高い周波数で駆動する場
合にはZnOなどのように高周波に対応する圧電薄膜な
どを選択することが好ましい。いずれにしろ、安定し、
かつ十分な振動を振動子10にもたせられる振動特性を
持つものである必要がある。
装置の断面図である。基板1は振動を増幅するために支
点12により支持板11上に固定され、その上に電極
3、4で挟まれた圧電素子2が設置されている。圧電素
子2はある周波数に対して大きな振動をする固有の共振
点を有する。固有の共振点のピークは鋭い方が望まし
い。圧電素子2は圧電基板または圧電薄膜のいずれで構
成してもよい。また圧電素子2は単層または多層のいず
れで構成してもよい。圧電素子2の材質としては、水
晶、PZT、チタン酸バリウムBaTiO3、ニオブ酸
鉛PbNb2O6、ビスマスゲルマネートBi12Ge
O20、ニオブ酸リチウムLiNbO3、タンタル酸リチ
ウムLiTaO3などの多結晶体や単結晶体、またはZ
nOやAlNなどの圧電薄膜、またはポリ尿素、PVD
F(ポリフッ化ビニリデン)やPVDFの共重合体など
の圧電性高分子、またはPZTなどの無機圧電物質と圧
電性高分子との複合体などを用いることができる。圧電
素子2に用いる材料の選択は、記録装置を設計する際に
設定する駆動周波数に応じる。印加する交流の周波数が
数10kHzから1MHzの間であれば、PZTのよう
なセラミックでもよいが、より高い周波数で駆動する場
合にはZnOなどのように高周波に対応する圧電薄膜な
どを選択することが好ましい。いずれにしろ、安定し、
かつ十分な振動を振動子10にもたせられる振動特性を
持つものである必要がある。
【0019】弾性部材5は振動子10を構成する圧電材
料自体で形成してもよい。振動子10上には、SiO2
からなる保護膜9を介して、例えばステンレス合金から
なる弾性部材5を形成する。図示しない外部の振動機構
により弾性部材5は片持ち梁における曲げ振動を起こ
し、この振動は弾性部材5の先端部表面の薄いインク液
膜層上にキャピラリ波を生じさせる。そして、その波頭
が十分大きな振動振幅で断裂されることによりインク滴
8の飛翔が生じる。弾性部材5としてはステンレス合金
の他に、シアノアクリレート系樹脂やエポキシ系樹脂、
またはフッ素系樹脂などの各種樹脂を用いることができ
る。また、SiO2、SiONまたはSiNや、AlN
や、Al2O3などといった各種無機材料で弾性部材5を
形成してもよい。また、Al、Fe、Ti、Cr、A
u、Mo、Wなど、または、それらの各種合金(例え
ば、TiWなど)で弾性部材5を形成してもよい。ただ
し、各種樹脂や金属と異なり、インク6と接する間に腐
食しないように、SiO2などの無機膜9で、それらの
表面を保護することが望ましい。もちろん、樹脂、無機
材料および金属のうち、2つ以上の材料を用いてもよ
い。また、振動エネルギーが効率的に伝搬できるなら、
弾性部材5の先端部13とその底部を別な材料で構成し
てもよい。
料自体で形成してもよい。振動子10上には、SiO2
からなる保護膜9を介して、例えばステンレス合金から
なる弾性部材5を形成する。図示しない外部の振動機構
により弾性部材5は片持ち梁における曲げ振動を起こ
し、この振動は弾性部材5の先端部表面の薄いインク液
膜層上にキャピラリ波を生じさせる。そして、その波頭
が十分大きな振動振幅で断裂されることによりインク滴
8の飛翔が生じる。弾性部材5としてはステンレス合金
の他に、シアノアクリレート系樹脂やエポキシ系樹脂、
またはフッ素系樹脂などの各種樹脂を用いることができ
る。また、SiO2、SiONまたはSiNや、AlN
や、Al2O3などといった各種無機材料で弾性部材5を
形成してもよい。また、Al、Fe、Ti、Cr、A
u、Mo、Wなど、または、それらの各種合金(例え
ば、TiWなど)で弾性部材5を形成してもよい。ただ
し、各種樹脂や金属と異なり、インク6と接する間に腐
食しないように、SiO2などの無機膜9で、それらの
表面を保護することが望ましい。もちろん、樹脂、無機
材料および金属のうち、2つ以上の材料を用いてもよ
い。また、振動エネルギーが効率的に伝搬できるなら、
弾性部材5の先端部13とその底部を別な材料で構成し
てもよい。
【0020】図2は本実施の形態による弾性部材5の拡
大図であって、図2(a)は正面図、図2(b)は側面
図である。弾性部材5はステンレス合金からなる厚さ7
μm、幅100μm、高さ60μmの短冊形状をとる。
弾性部材5の一方の幅方向の表面中央部には幅30μm
にわたってYAGレーザで熱処理を行い、酸化被膜を形
成するとともに面粗度を荒らして、親インク性のインク
供給領域14を形成する。
大図であって、図2(a)は正面図、図2(b)は側面
図である。弾性部材5はステンレス合金からなる厚さ7
μm、幅100μm、高さ60μmの短冊形状をとる。
弾性部材5の一方の幅方向の表面中央部には幅30μm
にわたってYAGレーザで熱処理を行い、酸化被膜を形
成するとともに面粗度を荒らして、親インク性のインク
供給領域14を形成する。
【0021】次に、この弾性部材5を用いてインク滴を
飛翔させる方法について説明する。まず、記録装置に水
性のインク6を装填し、画素信号に応じて図示しない電
圧駆動装置により195kHzのサイン波状の交流電圧
80Vを振動子10に印加して弾性部材5を間欠的に励
振させる。すると、その先端部13の表面にある薄いイ
ンク表面7aにキャピラリ波が生じる。そして、その波
頭が振動振幅によって断裂されることによりインク滴8
が吐出される。間欠的に吐出するインク滴8の吐出点に
CCDカメラの焦点を合わせて、このときの吐出状態を
観察したところ、本実施の形態に係わる弾性部材5を記
録装置に組み込んだ場合は、先端部を先鋭状にした弾性
部材を記録装置に組み込んだ場合と概ね同等のインク滴
の吐出点の安定性、吐出点の単一性が得られた。また、
このときのインク滴径は概ね25μmであった。一方、
インクジェット記録装置に本実施の形態で用いたものと
同一の材質・形状の親インク処理を施していない弾性部
材を組み込んで、同一の駆動条件で電圧を印加した場合
は、弾性部材の先端に形成されるインク滴の吐出点が不
特定であり、複数の吐出点ができるなど、インクの飛翔
の状態が不安定であった。このことにより、弾性部材の
先端部を先鋭状にすることなく微小なインク滴を安定に
飛翔できることが実証された。これは、本実施の形態の
弾性部材5に形成したインク供給領域14のヌレ性が他
の領域よりも高くなっているために、水性のインク6が
インク供給領域14に馴染みやすく、インクの供給がよ
り円滑に行われるからであると考えられる。なお、図示
しないが、親インク性のインク供給領域14をさらに弾
性部材5の反対側の面にも設ければ、より親インク性を
奏し、インクの供給が良好になるため好ましい。
飛翔させる方法について説明する。まず、記録装置に水
性のインク6を装填し、画素信号に応じて図示しない電
圧駆動装置により195kHzのサイン波状の交流電圧
80Vを振動子10に印加して弾性部材5を間欠的に励
振させる。すると、その先端部13の表面にある薄いイ
ンク表面7aにキャピラリ波が生じる。そして、その波
頭が振動振幅によって断裂されることによりインク滴8
が吐出される。間欠的に吐出するインク滴8の吐出点に
CCDカメラの焦点を合わせて、このときの吐出状態を
観察したところ、本実施の形態に係わる弾性部材5を記
録装置に組み込んだ場合は、先端部を先鋭状にした弾性
部材を記録装置に組み込んだ場合と概ね同等のインク滴
の吐出点の安定性、吐出点の単一性が得られた。また、
このときのインク滴径は概ね25μmであった。一方、
インクジェット記録装置に本実施の形態で用いたものと
同一の材質・形状の親インク処理を施していない弾性部
材を組み込んで、同一の駆動条件で電圧を印加した場合
は、弾性部材の先端に形成されるインク滴の吐出点が不
特定であり、複数の吐出点ができるなど、インクの飛翔
の状態が不安定であった。このことにより、弾性部材の
先端部を先鋭状にすることなく微小なインク滴を安定に
飛翔できることが実証された。これは、本実施の形態の
弾性部材5に形成したインク供給領域14のヌレ性が他
の領域よりも高くなっているために、水性のインク6が
インク供給領域14に馴染みやすく、インクの供給がよ
り円滑に行われるからであると考えられる。なお、図示
しないが、親インク性のインク供給領域14をさらに弾
性部材5の反対側の面にも設ければ、より親インク性を
奏し、インクの供給が良好になるため好ましい。
【0022】本実施の形態の特徴は、従来技術のように
弾性部材の形状によってインク滴の吐出点を制御するも
のではなく、簡易な形状の弾性部材に親インク処理を施
したインク供給領域を形成することによって、インク滴
の吐出点に対するインクの供給を促進し、インク滴の吐
出を制御することにある。従って、本実施の形態による
インク供給領域の形状および寸法は、あくまで代表例で
あって、図2(a)に示した形態に限定されるものでは
ない。例えば、インク供給領域14を図3(a)〜
(e)に示すような形状にしても、同様の結果を得るこ
とができる。
弾性部材の形状によってインク滴の吐出点を制御するも
のではなく、簡易な形状の弾性部材に親インク処理を施
したインク供給領域を形成することによって、インク滴
の吐出点に対するインクの供給を促進し、インク滴の吐
出を制御することにある。従って、本実施の形態による
インク供給領域の形状および寸法は、あくまで代表例で
あって、図2(a)に示した形態に限定されるものでは
ない。例えば、インク供給領域14を図3(a)〜
(e)に示すような形状にしても、同様の結果を得るこ
とができる。
【0023】次に、本発明の第2の実施の形態によるイ
ンクジェット記録装置を図4及び図5を用いて説明す
る。本実施の形態に用いるインクジェット記録装置のそ
れぞれの構成部分は弾性部材5以外は、第1の実施の形
態で用いたものと同一である。そこで、第2の実施の形
態に係わるインクジェット記録装置の弾性部材5につい
て詳細に説明し、他の構成部分については説明を省略す
る。
ンクジェット記録装置を図4及び図5を用いて説明す
る。本実施の形態に用いるインクジェット記録装置のそ
れぞれの構成部分は弾性部材5以外は、第1の実施の形
態で用いたものと同一である。そこで、第2の実施の形
態に係わるインクジェット記録装置の弾性部材5につい
て詳細に説明し、他の構成部分については説明を省略す
る。
【0024】図4は第2の実施の形態におけるインクジ
ェット記録装置の弾性部材5の拡大図であって、(a)
は正面図、(b)は側面図である。ここで用いた弾性部
材5は第1の実施の形態に係わる弾性部材5と同一の材
質・形状からなるが、インク供給領域14として選択さ
れた領域以外の領域に撥水性物質をコートして非親イン
ク領域15にした点で異なる。
ェット記録装置の弾性部材5の拡大図であって、(a)
は正面図、(b)は側面図である。ここで用いた弾性部
材5は第1の実施の形態に係わる弾性部材5と同一の材
質・形状からなるが、インク供給領域14として選択さ
れた領域以外の領域に撥水性物質をコートして非親イン
ク領域15にした点で異なる。
【0025】非親インク領域15は、撥水性物質である
フッ素樹脂の固形分が1%乃至3%程度になるように溶
媒に溶解した原液を調整し、これをアセトン溶剤で適当
に希釈したものを弾性部材5の所定の表面領域に塗布し
て、溶剤を自然に揮発させた後、180°Cの雰囲気下
に1時間放置することによって形成する。この結果、非
親インク領域15は概ね1μm厚さのフッ素被膜とな
る。このようにして形成した非親インク領域15をその
表面に有する弾性部材5を組み込んだインクジェット記
録装置を用いて、図示しない電圧駆動装置により195
kHzのサイン波状の交流電圧80Vを画素信号に応じ
て振動子10に印加して弾性部材5を間欠的に励振さ
せ、弾性部材5の先端部13からインク滴8を吐出させ
た。間欠的に吐出するインク滴8の吐出点にCCDカメ
ラの焦点を合わせて、インク吐出状態を観察したとこ
ろ、弾性部材の先端部を先鋭状にしたものと概ね同等レ
ベルの吐出点の安定性と単一の吐出点が得られた。ま
た、このときのインク滴8は概ね27μm径であった。
なお、記録装置に本実施の形態で用いた弾性部材5と同
一の材質、形状の非親インク処理を施さない弾性部材を
組み込んで、同一の駆動条件で電圧を印加した場合は、
弾性部材の先端に形成されるインク滴の吐出点が不特定
であり、複数の吐出点ができるなど、インクの飛翔の状
態が不安定であった。
フッ素樹脂の固形分が1%乃至3%程度になるように溶
媒に溶解した原液を調整し、これをアセトン溶剤で適当
に希釈したものを弾性部材5の所定の表面領域に塗布し
て、溶剤を自然に揮発させた後、180°Cの雰囲気下
に1時間放置することによって形成する。この結果、非
親インク領域15は概ね1μm厚さのフッ素被膜とな
る。このようにして形成した非親インク領域15をその
表面に有する弾性部材5を組み込んだインクジェット記
録装置を用いて、図示しない電圧駆動装置により195
kHzのサイン波状の交流電圧80Vを画素信号に応じ
て振動子10に印加して弾性部材5を間欠的に励振さ
せ、弾性部材5の先端部13からインク滴8を吐出させ
た。間欠的に吐出するインク滴8の吐出点にCCDカメ
ラの焦点を合わせて、インク吐出状態を観察したとこ
ろ、弾性部材の先端部を先鋭状にしたものと概ね同等レ
ベルの吐出点の安定性と単一の吐出点が得られた。ま
た、このときのインク滴8は概ね27μm径であった。
なお、記録装置に本実施の形態で用いた弾性部材5と同
一の材質、形状の非親インク処理を施さない弾性部材を
組み込んで、同一の駆動条件で電圧を印加した場合は、
弾性部材の先端に形成されるインク滴の吐出点が不特定
であり、複数の吐出点ができるなど、インクの飛翔の状
態が不安定であった。
【0026】このことにより、弾性部材の先端部を先鋭
状にすることなく微小なインク滴を安定に飛翔できるこ
とが実証された。これは、本実施の形態による弾性部材
5の表面の疎水性のフッ素被膜が形成された領域が水性
のインク6を疎外するので、フッ素皮膜が形成されてい
ない領域であるインク供給領域は、そのヌレ性を高めた
場合と結果的に等価となり、インク供給領域におけるイ
ンクの供給がより円滑に生じるからであると考えられ
る。
状にすることなく微小なインク滴を安定に飛翔できるこ
とが実証された。これは、本実施の形態による弾性部材
5の表面の疎水性のフッ素被膜が形成された領域が水性
のインク6を疎外するので、フッ素皮膜が形成されてい
ない領域であるインク供給領域は、そのヌレ性を高めた
場合と結果的に等価となり、インク供給領域におけるイ
ンクの供給がより円滑に生じるからであると考えられ
る。
【0027】本実施の形態では撥水性物質としてフッ素
樹脂を用いたが、本発明の範囲はこれに限定されるもの
ではない。シリコン樹脂、フッ素樹脂とシリコン樹脂の
混合物、フッ素・シリコーン合物などの撥水性物質をそ
れぞれに適した溶媒を選定し、適度な膜厚になるように
希釈調整することによって非親インク領域15に係わる
撥水膜を形成してもよい。なお、図示しないが、非親イ
ンク領域15をさらに弾性部材5の反対側の面に設けて
も良好な結果が得られる。また、以上の説明においては
インクジェット記録装置で親水性のインクを使用するこ
とを前提としたために、インク供給領域を親水性にし、
非親インク領域を撥水性にしたが、親油性のインクにし
た場合はそれに応じてインク供給領域を親油性にし、非
親インク領域を親水性等、親油性以外の性状にする必要
があることは当業者ならば自明である。
樹脂を用いたが、本発明の範囲はこれに限定されるもの
ではない。シリコン樹脂、フッ素樹脂とシリコン樹脂の
混合物、フッ素・シリコーン合物などの撥水性物質をそ
れぞれに適した溶媒を選定し、適度な膜厚になるように
希釈調整することによって非親インク領域15に係わる
撥水膜を形成してもよい。なお、図示しないが、非親イ
ンク領域15をさらに弾性部材5の反対側の面に設けて
も良好な結果が得られる。また、以上の説明においては
インクジェット記録装置で親水性のインクを使用するこ
とを前提としたために、インク供給領域を親水性にし、
非親インク領域を撥水性にしたが、親油性のインクにし
た場合はそれに応じてインク供給領域を親油性にし、非
親インク領域を親水性等、親油性以外の性状にする必要
があることは当業者ならば自明である。
【0028】本実施の形態の特徴は、従来技術のように
弾性部材の形状によってインク滴の吐出点を制御するも
のではなく、簡易な形状の弾性部材の一部に撥水処理を
施した非親インク領域を形成することによって、インク
供給領域におけるインクの供給を促進させ、インク滴の
吐出点を制御することにある。従って、本実施の形態に
よる非親インク領域15の形状および寸法は、あくまで
代表例であって、本実施の形態に限定されるものではな
い。例えば、非親インク領域15を図5(a)〜図5
(e)のような形状にしても、同様の結果を得ることが
できる。
弾性部材の形状によってインク滴の吐出点を制御するも
のではなく、簡易な形状の弾性部材の一部に撥水処理を
施した非親インク領域を形成することによって、インク
供給領域におけるインクの供給を促進させ、インク滴の
吐出点を制御することにある。従って、本実施の形態に
よる非親インク領域15の形状および寸法は、あくまで
代表例であって、本実施の形態に限定されるものではな
い。例えば、非親インク領域15を図5(a)〜図5
(e)のような形状にしても、同様の結果を得ることが
できる。
【0029】さらに、本発明の第3の実施の形態とし
て、本発明の第1の実施の形態で示した親インク性のイ
ンク供給領域の形成と、本発明の第2の実施の形態で示
した非親インク領域の形成とを重畳したインクジェット
記録装置に用いる弾性部材を図6を用いて説明する。本
実施の形態によれば、弾性部材のインク供給領域の親イ
ンク性を一層高めたインク供給領域が形成できる。
て、本発明の第1の実施の形態で示した親インク性のイ
ンク供給領域の形成と、本発明の第2の実施の形態で示
した非親インク領域の形成とを重畳したインクジェット
記録装置に用いる弾性部材を図6を用いて説明する。本
実施の形態によれば、弾性部材のインク供給領域の親イ
ンク性を一層高めたインク供給領域が形成できる。
【0030】図6に親水処理したインク供給領域14と
撥水処理した非親インク領域15を同時に具備する弾性
部材を示す。インク供給領域14とそれ以外の領域に形
成された非親インク領域15は図6(a)〜(f)に示
すような様々の形状で形成することができ、いずれも本
発明の目的を実現することができる。
撥水処理した非親インク領域15を同時に具備する弾性
部材を示す。インク供給領域14とそれ以外の領域に形
成された非親インク領域15は図6(a)〜(f)に示
すような様々の形状で形成することができ、いずれも本
発明の目的を実現することができる。
【0031】本発明は、上記実施の形態に限らず種々の
変形が可能である。例えば、弾性部材5の片持ち梁構造
の自由端の先端部近傍における曲げ振動の振動方向に対
して垂直な面の幅Wが、ほぼW=2λの長さとなる領域
を有するようにしてもよい。但し、λは以下の式で与え
られる。 λ={8πσ/(ρfe2)}1/3×104(μm) ここで、σは、インク表面張力(mN/m) ρは、インク密度(g/cm3) feは、励振周波数(Hz) である。こうすることにより、幅Wにおいて2山のキャ
ピラリ波を生成でき、その後1山のインク隆起部が形成
されて次の瞬間これが分離してより正確に1インク滴を
飛翔させることができるようになる。
変形が可能である。例えば、弾性部材5の片持ち梁構造
の自由端の先端部近傍における曲げ振動の振動方向に対
して垂直な面の幅Wが、ほぼW=2λの長さとなる領域
を有するようにしてもよい。但し、λは以下の式で与え
られる。 λ={8πσ/(ρfe2)}1/3×104(μm) ここで、σは、インク表面張力(mN/m) ρは、インク密度(g/cm3) feは、励振周波数(Hz) である。こうすることにより、幅Wにおいて2山のキャ
ピラリ波を生成でき、その後1山のインク隆起部が形成
されて次の瞬間これが分離してより正確に1インク滴を
飛翔させることができるようになる。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、弾性部材の曲げ振動に
より液滴を飛翔させるインクジェット記録装置におい
て、弾性部材の先端形状を先鋭状にしたり、特異点を設
けることなく簡易な形状の弾性部材でインク吐出点を高
精度に制御することができる。このため、安定した印字
記録が可能なインクジェット記録装置を提供することが
できる。
より液滴を飛翔させるインクジェット記録装置におい
て、弾性部材の先端形状を先鋭状にしたり、特異点を設
けることなく簡易な形状の弾性部材でインク吐出点を高
精度に制御することができる。このため、安定した印字
記録が可能なインクジェット記録装置を提供することが
できる。
【図1】本発明の第1の実施の形態によるインクジェッ
ト記録装置の断面図である。
ト記録装置の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態によるインクジェッ
ト記録装置の弾性部材の拡大図である。
ト記録装置の弾性部材の拡大図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態によるインクジェッ
ト記録装置の弾性部材のインク供給領域の形状を示す図
である。
ト記録装置の弾性部材のインク供給領域の形状を示す図
である。
【図4】本発明の第2の実施の形態によるインクジェッ
ト記録装置の弾性部材の拡大図である。
ト記録装置の弾性部材の拡大図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態によるインクジェッ
ト記録装置の弾性部材の非親インク領域の形状を示す図
である。
ト記録装置の弾性部材の非親インク領域の形状を示す図
である。
【図6】本発明の第3の実施の形態によるインクジェッ
ト記録装置の弾性部材のインク供給領域と非親インク領
域の形状を示す図である。
ト記録装置の弾性部材のインク供給領域と非親インク領
域の形状を示す図である。
【図7】従来の音響波を用いたインクジェット記録方式
の原理を説明するための図である。
の原理を説明するための図である。
【図8】従来の音響波集中方式を用いたインクジェット
記録ヘッドの断面図である。
記録ヘッドの断面図である。
【図9】バースト波による駆動を画素信号との関係で説
明するためのタイミング図である。
明するためのタイミング図である。
1 基板 2 圧電素子 3、4 電極 5 弾性部材 6 インク 7 インク表面 7a 薄いインク表面 8 インク滴 9 保護膜 10 振動子 11 支持板 12 支点 13 先端部 14 インク供給領域 15 非親水領域 81 圧電体 82 インク 83、84 電極 85 インク自由表面 86 インク滴 87 基板 88 位相フレネルレンズ 89 位相フレネルレンズの一部
Claims (3)
- 【請求項1】画素信号に対応して振動する複数の振動発
生手段と、 前記振動発生手段の振動に応じて振動する表面の一領域
が他領域よりも高い親インク性を有する弾性部材とを備
え、 前記弾性部材の振動によりインクの表面にキャピラリ波
を発生させ、前記インクを飛翔させて記録媒体に付着さ
せることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 【請求項2】請求項1記載のインクジェット記録装置に
おいて、 前記弾性部材は、前記一領域がインク供給領域であるこ
と、 を特徴とするインクジェット記録装置。 - 【請求項3】請求項1または請求項2に記載のインクジ
ェット記録装置において、 前記弾性部材は、前記他領域に撥水処理が施されている
こと、 を特徴とするインクジェット記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19195197A JPH1120162A (ja) | 1997-07-01 | 1997-07-01 | インクジェット記録装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19195197A JPH1120162A (ja) | 1997-07-01 | 1997-07-01 | インクジェット記録装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1120162A true JPH1120162A (ja) | 1999-01-26 |
Family
ID=16283177
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19195197A Withdrawn JPH1120162A (ja) | 1997-07-01 | 1997-07-01 | インクジェット記録装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1120162A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1176403A2 (en) * | 2000-07-28 | 2002-01-30 | Seiko Epson Corporation | Detector of liquid consumption condition |
US6793305B2 (en) | 2000-05-18 | 2004-09-21 | Seiko Epson Corporation | Method and apparatus for detecting consumption of ink |
-
1997
- 1997-07-01 JP JP19195197A patent/JPH1120162A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6793305B2 (en) | 2000-05-18 | 2004-09-21 | Seiko Epson Corporation | Method and apparatus for detecting consumption of ink |
EP1176403A2 (en) * | 2000-07-28 | 2002-01-30 | Seiko Epson Corporation | Detector of liquid consumption condition |
EP1176403A3 (en) * | 2000-07-28 | 2003-03-19 | Seiko Epson Corporation | Detector of liquid consumption condition |
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