JPH11221930A - 記録ヘッド - Google Patents

記録ヘッド

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JPH11221930A
JPH11221930A JP2492398A JP2492398A JPH11221930A JP H11221930 A JPH11221930 A JP H11221930A JP 2492398 A JP2492398 A JP 2492398A JP 2492398 A JP2492398 A JP 2492398A JP H11221930 A JPH11221930 A JP H11221930A
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JP
Japan
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ink
elastic member
recording head
maximum amplitude
vibration
Prior art date
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Pending
Application number
JP2492398A
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English (en)
Inventor
Susumu Hiragata
進 平潟
Yuji Suemitsu
裕治 末光
Hiroaki Sato
博昭 佐藤
Yasushi Suwabe
恭史 諏訪部
Yasushi Oki
靖 大木
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 微小なインク滴を吐出可能にして、高解像度
の画像を記録できる記録ヘッドを提供することを目的と
する。 【解決手段】 記録ヘッド10は、弾性部材12が基端
部14において振動発生手段16に支持され、他端部1
8において弾性部材支持体20に支持された両持ち梁構
造である。振動発生手段16を所定の振動数で振動させ
ることにより、弾性部材12が共振し、その最大振幅部
24近傍の振動面28からインク滴がA方向に吐出して
記録用紙にドットを記録する。この際、なんらかの原因
により吐出タイミングがずれたとしても、最大振幅部2
4の振動方向が一定(A方向)であるため、インク滴が
所定の方向に飛翔する。したがって、微小なインク滴に
よって高解像度の画像を記録することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴を飛翔さ
せ記録媒体の所定の位置に着弾させることによって画像
を記録する記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】被印字面に液滴、特にインク滴を吐出し
て印字を行うインクジェット記録方式の代表的なものと
して、ノズルを用いる方式があり、そのノズル式の記録
方式として、従来、オンデマンド型と連続流型とが知ら
れている。
【0003】オンデマンド型は、記録情報に対応してノ
ズルから間欠的にインクを吐出させて印字を行う方式で
あり、代表的なものとしてピエゾ振動子型とサーマル型
とがある。ピエゾ振動子型は、インク室に付設した圧電
素子にパルス電圧を印加して圧電素子を変形させること
によりインク室内のインク液圧を変化させ、ノズルから
インク滴を吐出させて記録紙上にドットを記録するもの
である。サーマル型は、インク室内に設けた加熱素子に
よりインクを加熱し、これにより発生したバブルにより
ノズルからインク滴を吐出させて、記録紙上にドットを
記録するものである。
【0004】一方、連続流型は、インクに圧力を加えて
ノズルから連続的にインクを吐出させると同時に、ピエ
ゾ振動子などにより振動を加えて突出インク柱を液滴化
し、さらに液滴に対して選択的に帯電、偏向を行うこと
によって記録を行うものである。
【0005】これらの各方式はいずれも、インク滴の径
が主としてノズルの径によって決まる。そして、ノズル
径を小さくすると、ゴミやチリによるノズル詰まりや、
ノズル部のインク表面の乾燥によるノズル詰まり、ノズ
ル円周部へのインク残滓の付着によるインク吐出方向の
変化を生じるといった問題が発生する。
【0006】これに対して、ノズルを用いないで、被印
字面にインク滴を吐出して印字を行う記録方式がいくつ
か提案されている。例えば、米国特許第4308547
号明細書に示されているように、凹状にカーブした球面
形状の圧電体シェルをインク中に配置し、この圧電体シ
ェルに電極を介して電圧を印加する記録方式がある。こ
の方式では、圧電体シェルからインク中に放射された縦
波がインク自由表面の一点に集められ、インク自由表面
からインク滴が吐出される。
【0007】また、特公平6−45233号公報に示さ
れているように、ガラスなどの基板上に球面状の凹部を
設けてこれを音響レンズとし、基板の裏面に圧電体、お
よびこれに電圧を印加するための電極からなる振動子を
形成して、この振動子をインク中に配置する記録方式も
ある。
【0008】さらに、特開平3−200199号公報に
は、より安価で、よりシャープに焦点を合わせられるレ
ンズとして、凹状レンズの代わりに薄膜平板状の位相フ
レネルレンズを基板上に設けた記録方式が示されてい
る。
【0009】上述における、縦波をインク自由表面に集
束させてインク自由表面からインク滴を吐出させる方式
では、インク滴の径は縦波の集束径にほぼ等しく、その
集束径dは、振動子の駆動周波数をf、レンズのF値を
Fとすると、d〜F/fとなる。なお、インク中を伝搬
する縦波の波長をλ、その伝搬速度をvとすると、これ
らと振動子の駆動周波数fとの間には、v=f・λの関
係がある。
【0010】したがって、例えば、インク滴の径(集束
径)dが15μm程度の非常に小さなインク滴を吐出さ
せようとする場合には、レンズのF値を1とすると、従
来の低粘度・水性インク中の縦波の伝搬速度vは、ほぼ
1500m/秒であるので、振動子の駆動周波数fを約
100MHzというような非常に高い周波数にしなけれ
ばならない。レンズのF値は、種々の問題から著しく小
さくすることは実際上困難であるため、インク滴の径d
をより小さくしようとすると、一般にはより高い周波数
で振動子を駆動させなければならないことになる。
【0011】このように、縦波をインク自由表面に集束
させてインク自由表面からインク滴を吐出させる方式で
は、100MHz前後の高い周波数で複数の振動子を駆
動しなければならないため、一般に駆動手段が高価にな
るというコスト上の問題を生じるとともに、吸収による
発熱によりインク粘度が変化してインク滴の径が変動し
たり、記録素子内でインク自体の乾燥や固化を生じてイ
ンクを吐出できなくなることがあるという重大な問題を
生じる。
【0012】上記以外の従来技術として、特開平6−3
40070号公報において、新規なオンデマンド型の記
録方式が開示されている。これは、片持ち梁構造の梁を
曲げ振動で共振させて、梁の先端に十分な振幅を発生さ
せ、インクを飛翔させるものであり、比較的低い励振周
波数および低い電圧でインクを吐出できる可能性を有す
る記録方式である。しかしながらこの記録方式は、梁先
端に設けられたノズルを介してインク滴を形成する機構
を用いており、前述したノズル式の各種記録方式と同
様、インク滴の径はノズル径で決定され、ノズル径を小
さくすると、ノズル詰まりやノズル円周部へのインク残
滓の付着によるインク吐出方向の変化を生じるといった
課題を有している。この特開平6−340070号公報
に開示された技術は、従来方式に比べノズル詰まりの問
題が生じる可能性を少なくすることを解決すべき技術的
課題の一つとしているが、インク滴の径がノズル径で決
まる以上、根本的な解決とはなり得ない。
【0013】さらに別の従来技術として、インクジェッ
ト記録方式ではないものの、振動エネルギーを作用させ
て液体を微粒子化する方法が、特開平3−154665
号公報に記載されている。この方法は霧化装置に適用す
べくなされたものであって、圧電磁器を含む振動子と、
振動子に固着され片持ち梁の形で曲げ振動する振動部か
らなり、振動部の一部を液体に漬けて、超音波の放射に
より霧状の液滴を発生させるものである。しかしながら
この霧化装置に用いられている技術では、ノズルを用い
ずに微小径のインク滴を生成することができるものの、
時間的、空間的に制御されていない多数のインク滴が生
成されてしまうので、記録媒体の所定位置に正確にイン
ク滴を着弾させる必要があるインクジェット記録装置に
は応用し得ない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】このように、近年益々
記録媒体に対する高解像度の画像記録が求められている
が、従来のいずれの記録方式、あるいは霧化装置等の他
の分野における技術を用いても、これらの要望に応える
ことが難しい。
【0015】本発明は、上記の課題を解決するために、
ノズルを用いずに微小なインク滴を吐出可能とし、高解
像度の画像を記録できる記録ヘッドを提供することを課
題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
画像信号に対応して振動する振動発生手段と、前記振動
発生手段の励振により曲げ振動する、両端が支持された
両持ち梁構造である弾性部材と、を備え、振動する前記
弾性部材の最大振幅部近傍に形成されたインク薄膜から
インク滴を飛翔させて記録媒体に付着させることを特徴
とする。
【0017】請求項1記載の発明の作用を説明する。画
像信号に応じて振動する振動発生手段の励振により、弾
性部材が共振させられる。曲げ振動する弾性部材の最大
振幅部近傍に形成されたインク薄膜からインク滴が飛翔
して記録媒体にドットを記録する。この際、インク物性
の変化や最大振幅部のインク量のばらつき等によってイ
ンク滴の吐出のタイミングがずれるおそれがある。タイ
ミングが多少ずれても、両持ち梁構造の弾性部材におけ
る最大振幅部近傍の振動方向は、梁(弾性部材)の両端
支持部を結んだ方向に常に垂直であるため、インク滴の
吐出方向が一定に保たれる。したがって、ノズルを用い
ずに微小なインク滴を吐出できるとともに、インク滴の
吐出タイミングが多少ずれても吐出方向が一定に保たれ
るため、高解像度の画像を正確に記録することができ
る。
【0018】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記弾性部材は、前記両持ち梁構造の最大
振幅部近傍における前記曲げ振動の振動方向に対して垂
直な面の幅が、ほぼ2λの長さを有していることを特徴
とする。但し、λは以下の式で与えられる。
【0019】 λ={8πσ/(ρfe2 )}1/3 ×104 (μm) ここで、σは、インク表面張力(mN/m) ρは、インク密度(g/cm3 ) feは、励振周波数(Hz) である。
【0020】請求項2記載の発明の作用を説明する。弾
性部材における最大振幅部近傍の曲げ振動方向に対して
垂直な面の幅をほぼ2λにするときに、前記λとインク
の物性(表面張力、密度)、励振周波数の関係を上記式
を満たすように設定する。このように設定することによ
って、振動する弾性部材の最大振幅部に形成されたイン
クの薄膜に2山の波が発生し、その2山の間から1山の
隆起部が生じてインク滴が吐出する。すなわち、最大振
幅部近傍からインク滴を一滴ずつ確実に飛翔させること
ができる。
【0021】
【発明の実施の形態】[第1実施形態]本発明の第1実
施形態に係る記録ヘッドについて図1〜図8を用いて説
明する。
【0022】まず、図1および図2を参照して記録ヘッ
ドの概略構成を説明する。図1は記録ヘッドの正面図で
あり、図2は記録ヘッドの側面図である。
【0023】図1および図2に示すように、記録ヘッド
10において、弾性部材12の基端部14と振動発生手
段16が接続され、他端部18と弾性部材支持体20が
接続された両持ち梁構造となっている。また、図示しな
いインク供給手段から供給されたインク22が表面張力
によって弾性部材12の表面に薄膜を形成している。振
動発生手段16は画像情報に基づいて弾性部材12が曲
げ振動で共振する周波数で励振する。この励振により弾
性部材12が共振し、最大振幅部24に形成されたイン
ク薄膜からインク滴が吐出され、記録媒体である記録用
紙にドットを記録する。
【0024】次に、記録ヘッド10を構成する各部材を
詳細に説明する。弾性部材12は、正面から見ると基端
部14と他端部18を対辺にもつ長方形形状であり、側
面から見ると板厚が均一である板体である。弾性部材1
2は、両端部(基端部14、他端部18)が振動発生手
段16、弾性部材支持体20に支持された両持ち梁構造
となっているため、振動発生手段16の励振によって基
端部14と他端部18の間に最も大きな振幅を有する最
大振幅部24を有することになる。
【0025】弾性部材12は、振動発生手段16の振動
を曲げ振動に変換可能であり、最大振幅部24近傍にイ
ンク滴吐出に十分な振幅を発生可能な部材であればよ
く、材質、形状等は特に限定されないが、加工性やコス
ト等の面から、SUS、Ni等の金属材料、ポリイミド
樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、エポキ
シ樹脂、シアノアクリレート樹脂等の高分子材料が好適
である。
【0026】また、弾性部材12を変質、腐食、異物付
着等から保護する目的で、金、白金、パラジウム、ロジ
ウム等の金属及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレ
ン)等の薄膜で表面を被覆することは効果的である。
【0027】振動発生手段16は、図示しない駆動回路
から入力される電気信号に応じて振動を発生するもので
あればよく、圧電材料、磁歪材料、機械式アクチュエー
タ、静電気力を応用したアクチュエータ等を適用可能で
ある。中でも圧電材料は、インクジェットプリンタの機
能材料としても広く使われており、高度な製造技術が確
立しているので最適である。
【0028】圧電材料としては、水晶、PZT(ジルコ
ン酸チタン酸鉛)、チタン酸バリウムBaTiO3、ニオブ酸
鉛PbNb2O6、ビスマスゲルマネイトBi12GeO20 、ニオブ
酸リチウムLiNbO3、タンタル酸リチウムLiTaO3等の多結
晶体や単結晶体、またはZnOやAlN 等の圧電薄膜、また
はポリ尿素、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)やPV
DFの共重合体等の圧電性高分子、またはPZT等の無
機圧電物質と圧電性高分子との複合体等を用いることが
できる。もちろん、記録ヘッドを設計する際に、駆動周
波数に応じて最適な圧電材料を選択しなければならな
い。例えば、印加する交流周波数が数十kHz〜1MH
zの間であれば、PZTのようなセラミックが良く、よ
り高い周波数で駆動する場合にはZnO 等のように高周波
に対応する圧電薄膜が選択される。いずれにしろ、安定
し、かつ十分な振動を発揮する振動特性を持つものであ
る必要がある。なお、振動発生手段16を構成する圧電
材料自体で弾性部材12を形成するようにしてもよい。
【0029】弾性部材支持体20は、弾性部材12と接
続され支持できるものであれば、材料を特に限定するも
のではないが、弾性部材12および振動発生手段16の
振動を吸収減衰させないほうが好ましく、そのために剛
性が高く、さらには加工性やコスト等の面を鑑みて、S
US、Ni等の各種金属材料や熱硬化樹脂などの高分子
材料が好適である。
【0030】本実施形態に係る記録ヘッド10の作用に
ついて説明する。先ず、図示しない駆動回路からの入力
信号に基づいて振動発生手段16が励振される。振動発
生手段16の励振は駆動回路から1画素ずつ入力される
画像信号(図3(a)参照)に応じて1インク滴の飛翔
を実現するように、1インク滴の飛翔に必要な励振数を
終了するごとに間欠的に励振を区切るものである。
【0031】すなわち、図3(b)に示すように、振動
発生手段16の励振には、励振周期を1周期とする波形
が少なくとも1つ以上連なった駆動信号を用い、これら
を画像信号に応じて断続的に印加するバースト波を用い
る。ただし、バースト波は、図示した矩形波に限らず、
サイン波や三角波等でもよい。
【0032】インク22を吐出させるためのエネルギー
は、振動発生手段16の励振周期を1周期とする波形の
数(バースト数という)と印加電圧で決まる。バースト
数を増やせば比較的低電圧でインク滴の吐出が可能であ
り、バースト数を減らせば電圧は若干高くなるものの、
より飛翔速度の早いインク滴の吐出が可能となる。
【0033】図3(b)に示す波形の駆動信号を印加す
ることによって、弾性部材12は基端部14および他端
部18の両端部を支点とした、両持ち梁の振動が起こ
る。この振動の定常状態は、駆動信号の励振周波数fe
を高くしていくと、それぞれ共振する周波数において、
図4(a)〜(c)に示すように、1次、2次、3次と
振動の腹および節の数を増やしていく。
【0034】本発明の実施形態に用いる次数はインク滴
が飛翔できるならばどの次数を用いても構わないが、最
大振幅量が最も大きいのは弾性部材12の中央部をただ
一つの腹として持つ1次の場合である。したがって、効
率の点から1次振動を用いるのが好ましい。
【0035】このように振動発生手段16が励振される
ことにより弾性部材12が共振し、基端部14と他端部
18の両端部に支持されて矢印A方向(図2参照、以下
A方向という)に曲げ振動を行う。この結果、インク2
2が弾性部材12の最大振幅部24近傍に所定厚さの薄
膜を形成する。この薄膜部分にキャピラリ波26が発生
する。
【0036】キャピラリ波26が発生する状態を図6お
よび図7を参照して説明する。図6および図7は、図5
のX−X線断面図である。
【0037】キャピラリ波26は、弾性部材12の曲げ
振動方向に対して垂直な方向(矢印B方向、以下、B方
向という)に発生している。ある時間tにおいて、図6
に示すように、弾性部材12のB方向の幅Wに対して波
長λがW=2λとなるようなキャピラリ波26が2山発
生している。微小時間Δt経過後の時間t+Δtにおい
て、図7に示すように、2山のキャピラリ波26の間か
ら1山のインク隆起部が形成され、これが分離して1イ
ンク滴が飛翔する。
【0038】振動発生手段16が繰り返し励振すること
で、弾性部材12から連続して一滴ずつインク滴が飛翔
する。
【0039】このように、一滴ずつインク滴を安定的に
飛翔させるためには、弾性部材12の最大振幅部24近
傍において、弾性部材12の曲げ振動方向に対して垂直
な面(振動面28)における幅をWとし、次式で算出さ
れる値をλとしたときに、最大振幅部24近傍の少なく
とも一部の幅Wがほぼ2λとなるようにすることが望ま
しい。
【0040】 λ=[8πσ/(ρfe 2)]1/3×104(μm) ・・・式(1) ここで、σは、インク表面張力(mN/m) ρは、インク密度(g/cm3) feは、励振周波数(Hz) 上記式(1)は、一般の参考書、例えば、千葉近著『超
音波噴霧』(山海堂)第7章第2節に、キャピラリ波の
波長を与える式として記載されているものである。
【0041】幅Wは2λの値に出きるかぎり近い方が良
く、1.2λ〜2.4λの範囲にするのが好ましい。こ
のようにして生成された微小なインク滴は、振動発生手
段16に入力された適切な波形の入力信号により弾性部
材12の最大振幅部24近傍のインク飛翔点Pから振動
面28に垂直な方向に安定して飛翔する。
【0042】1インク滴が分離するタイミング(以下、
吐出タイミングという)は、インク22の物性、インク
22と弾性部材12の親和性、振動条件や環境条件によ
って決定される。すなわち、このインク物性や環境条件
の僅かな変化によっても吐出タイミングがずれていく場
合がある。
【0043】例えば、図8(a)〜図8(c)に示すよ
うに周期Tでインク滴30を吐出する弾性部材12にお
いて、インク22の物性や弾性部材12の最大振幅部2
4に存在するインク量(インク薄膜の厚さ等)の変化に
よって、最大振幅部24からインク滴30が吐出するタ
イミングがずれていく。
【0044】図8(a)のように、t=T+αの時に最
大振幅部24が最も記録用紙32に接近したところでイ
ンク滴30が吐出される。これに対して、(m−1)周
期後のt=mT+αの時には、図8(b)のように、吐
出のタイミングが早まり最大振幅部24が最も記録用紙
32に接近する前にインク滴30が吐出されている。
(m+n−1)周期後のt=(m+n)T+αの時に
は、図8(c)のように、インク滴30の吐出タイミン
グがさらに早まる。
【0045】このように吐出タイミングが早まっても、
記録ヘッド10では最大振幅部24の振動方向が基端部
14と他端部18を結ぶ方向(以下、C方向という)に
対して常に垂直(A方向)であるため、インク滴30の
飛翔方向は常に一定である。すなわち、吐出タイミング
のずれがあっても記録用紙32の所定位置にドットを正
確に記録できる。
【0046】ここで、最大振幅部24近傍における振動
面28の幅Wが1λ程度以下であると、インク22の薄
膜にキャピラリ波26が発生しにくくなり、振動発生手
段16の励振電圧を大きくするか、バースト数を増やす
かしないとインク滴が飛翔しない。また、飛翔させた場
合も、安定したインク滴の飛翔とはならない。
【0047】一方、振動面28の幅Wが3λ程度以上の
場合も、キャピラリ波26は発生しにくい。上述と同様
に、振動発生手段16の励振電圧を大きくするか、ある
いはバースト数を増やすことによってキャピラリ波を発
生させることができるが、その場合は、キャピラリ波が
3山以上生成されて複数のインク滴が飛翔するようにな
り、安定した1インク滴の飛翔が困難となる。
【0048】このように、本実施形態の記録ヘッド10
は、弾性部材12の最大振幅部24近傍の振動面28に
おいて幅Wが約2λである領域を備えているため、ノズ
ルなしで微小なインク滴が生成され、常に一定した最大
振幅部24の振動方向(A方向)へ微小なインク滴を一
滴ずつ飛翔させることができる。この結果、インク目詰
まりがなく高解像度の画像記録を行うことができるよう
になる。 [第2実施形態]次に、本発明の第2の実施の形態によ
る記録ヘッドを図9〜図11を用いて説明する。第1の
実施の形態の記録ヘッドと同様の機能を有する構成要素
には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略す
る。
【0049】図9は本実施の形態による記録ヘッド40
の正面図であり、図10は記録ヘッド40の側面図であ
る。図11は弾性部材12の平面図である。
【0050】本実施形態の記録ヘッド40は、第1実施
形態の記録ヘッド10と弾性部材12の形状のみが異な
っているので、弾性部材12についてのみ説明する。
【0051】弾性部材12は、正面から見ると、中央部
の最大振幅部24から両端部の基端部14、他端部18
に向かって幅が徐々に広くなる裾広がり形状であり、側
面から見ると、板厚が均一な板体である。
【0052】このように形成される本実施形態の記録ヘ
ッド40の作用について説明する。この記録ヘッド40
も第1実施形態の記録ヘッド10と同様に、インク目詰
まりなしで高解像度の画像を記録用紙32に記録するこ
とができる。
【0053】特に、インク22の物性や最大振幅部24
におけるインク量の変化により、吐出タイミングがずれ
てもインク滴30の飛翔方向が変化しない点について、
片持ち梁構造の弾性部材を用いた記録ヘッド42と、図
12〜図14を参照して比較する。
【0054】図12は比較例に係る記録ヘッド42の正
面図であり、図13は記録ヘッド42の側面図である。
【0055】記録ヘッド42の弾性部材12は、正面か
ら見ると基端部14を底辺として他端部18を頂点にも
つ二等辺三角形形状であり、側面から見ると板厚が均一
である板体である。弾性部材12の基端部14が振動発
生手段16に接続され、他端部18が自由端となる片持
ち梁構造となっている。
【0056】したがって、振動発生手段16を適当な振
動数で励振することにより、最大振幅部24となる他端
部18近傍の幅W=2λである振動面28からインク滴
が一滴ずつ飛翔する。
【0057】このように、記録ヘッド42は両持ち梁構
造の記録ヘッド40と同じ励振振動数feで弾性部材1
2が曲げ振動の共振状態になるように設計され、同じ周
期Tでインク滴30を吐出するように調整されたもので
ある。
【0058】このように形成された記録ヘッド42にお
けるインク滴の吐出状態を図14(a)〜(c)を参照
して説明する。
【0059】記録ヘッド42は、t=mT+αの時、図
14(b)に示すように、インク滴30がC方向に垂直
な方向(A方向)に飛翔して記録用紙32の所定の位置
にドットを記録する。
【0060】しかしながら、記録ヘッド42は、(m−
1)周期前のt=T+αの時、図14(a)に示すよう
に、インク22の物性や他端部18近傍のインク量の変
化によって吐出タイミングが遅れ、所望の位置よりも下
側にインク滴30が飛翔し、ドットを記録する位置が所
定の位置から若干ずれてしまう。
【0061】また、記録ヘッド42は、n−1周期後の
t=(m+n)T+αの時、図14(c)に示すよう
に、インク22の物性や他端部18近傍のインク量の変
化によって吐出タイミングが早まり、所望の位置よりも
上側にインク滴30が飛翔し、ドットを記録する位置が
所定の位置から若干ずれてしまう。
【0062】この吐出タイミングのずれによるドットの
記録位置の誤差は、高解像度の画像を記録する場合に画
質劣化をもたらすおそれがある。特に、記録用紙32と
弾性部材12の距離が離れるとより顕著になるおそれが
ある。
【0063】これに対して本実施形態の記録ヘッド40
では、弾性部材12から記録用紙32に向かって飛翔す
るインク滴30が吐出タイミングがずれても常に同じ位
置に到着する(図8(a)〜(c)参照)ので、ドット
の位置ずれによる画質劣化を起こすことはない。
【0064】このようにインク滴30の飛翔方向の安定
させるためには、弾性部材12を両持ち梁構造になるよ
うに設計して、最大振幅部24の振動方向を一定にする
ことが重要である。
【0065】本実施形態の記録ヘッド40は、弾性部材
12を両持ち梁構造にし、最大振幅部24近傍の振動面
28において、幅Wがほぼ2λである領域を有するよう
に構成したため、ノズルなしで微小なインク滴30を生
成できるとともに、インク滴30を所定方向に常に安定
して飛翔させるられる。したがって、インク目詰まりの
ない高解像度の画像を記録することができる。 [第1実施例]本発明の実施例について説明する。な
お、記録ヘッドの構成は、第2実施形態と同様である。
【0066】本実施例における弾性部材12は、図11
に示すように、基端部14および他端部18の幅Lが6
00μm、最大振幅部24の幅Wが50μmであり、厚
さ7μmである。本実施例では、弾性部材12の材料と
してSUSを用いている。
【0067】インク22には、以下の物性(密度ρおよ
び表面張力σ)を備えたインクを用いる。
【0068】ρ=1.05g/cm3 σ=30mN/m この構成において、振動発生手段16の励振周波数fe
をfe=193kHzとして励振すると、弾性部材12
の最大振幅部24は図10に矢印で示すように曲げ振動
し、最大振幅部24の中心付近(インク飛翔点P)から
インク22がインク滴として安定して一滴ずつ飛翔す
る。
【0069】一方、本実施例におけるインク22の密度
ρおよび表面張力σと励振周波数feの値を前記(式
1)に代入して得られる値は、λ=27μmとなる。し
たがって、インク滴30が安定して飛翔した弾性部材1
2の最大振幅部24の幅W(=50μm)は、W=1.
9λとなり、ほぼ2λに等しい。なお、このときの振動
発生手段16に印加した印加電圧は37Vである。
【0070】ここで比較のために、最大振幅部24の幅
WがW=80μm、W=30μmの2種類の弾性部材1
2を用意してインク滴の飛翔の様子を比較した。それぞ
れの弾性部材12は、fe=193kHzで曲げ振動の
共振状態になるよう設計され、最大振幅部24が十分な
振幅をもって振動するよう調整されたものである。
【0071】W=80μmの弾性部材12は、複数のイ
ンク滴を飛翔させてしまい、W=30μmの弾性部材1
2は、インク滴の飛翔状態が非常に不安定であった。こ
れらの弾性部材12の最大振幅部24の幅Wを(式1)
によるλで表すと、W(=80μm)=2.96λ、お
よびW(=30μm)=1.11λとなり、記録ヘッド
としては不適当であることがわかる。 [第2実施例]第2実施例について説明する。本実施例
の記録ヘッドの構成も、第2実施形態と同様である。
【0072】本実施例は、第1実施例と同様な物性を示
すインク22を用い、最大振幅部24の幅Wが30、4
0、80μmの3種類の弾性部材12を用いて、振動発
生手段16の励振周波数feをfe=115kHzとし
たときのインク滴の飛翔の様子を比較した。
【0073】3種類の弾性部材12は、それぞれ、fe
=115kHzで共振するように設計されている。この
中で、安定して一滴ずつインク滴が飛翔するのは最大振
幅部24の幅Wが80μmの弾性部材12のみである。
この場合も、図6に示すように、弾性部材12の最大振
幅部24近傍の振動面28において、1インク滴が飛翔
する直前に2山のキャピラリ波26が生じていた。
【0074】ここで、上記インク22の物性値と励振周
波数を(式1)に代入して得られる値は、λ=38μm
となる。したがって、インク滴が安定して飛翔した弾性
部材12の最大振幅部24の幅Wは、W(=80μm)
=2.1λとなり、ほぼ2λ近傍の値となる。このとき
の振動発生手段16に印加した印加電圧は27Vであ
る。
【0075】一方、(式1)から最大振幅部24の幅W
が30μm、40μmの場合は、それぞれW=0.79
λ、W=1.05λとなるため、インク滴の飛翔が不安
定になってしまうので、記録ヘッドとして不適格である
ことがわかる。[第3実施例]第3実施例について説明
する。本実施例の記録ヘッドの構成も、第2実施形態と
同様である。
【0076】本実施例は、第1、第2実施例とインク2
2の物性(密度ρおよび表面張力σ)を変更して、以下
に示す物性を有するインク22を用いた。 ρ=1.05g/cm3 σ=44mN/m また、最大振幅部24の幅Wが30、50、80μmで
あり、113KHzで共振する3種類の弾性部材12を
用い、振動発生手段16に励振周波数fe=113kH
zを発生させてインク滴の飛翔の様子を比較したとこ
ろ、安定して一滴ずつインク滴が飛翔したのは、最大振
幅部24の幅Wが80μmの弾性部材12のみであっ
た。この場合も、図6に示すように、弾性部材12の最
大振幅部24近傍の振動面28において、1インク滴が
飛翔する直前に2山のキャピラリ波26が生じていた。
【0077】一方、この場合におけるインク22の物性
値(密度ρ、表面張力σ)および励振周波数feを(式
1)に代入してλを求めると、λ=44μmとなる。し
たがって、安定して飛翔した弾性部材12の最大振幅部
の幅W(=80μm)は、W=1.8λとなり、やはり
ほぼ2λ近傍の値となる。このときの振動発生手段16
に印加した印加電圧は25Vである。
【0078】これに対して、最大振幅部24の幅Wの値
が0.68λ(=30μm)や、1.14λ(=50μ
m)の弾性部材12はインク滴の飛翔が不安定となり、
記録ヘッドとして不適格であることが分かる。 [第3実施形態]次に、本発明の第3の実施形態に係る
記録ヘッドについて図15〜図18を用いて説明する。
第1の実施形態の記録ヘッドと同様の機能を有する構成
要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省
略する。
【0079】図15および図16は、それぞれ本実施形
態に係る記録ヘッド50の正面図および側面図である。
図17は弾性部材12の斜視図である。
【0080】本実施形態における弾性部材12は、図1
7に示すように、基端部14から他端部18まで断面形
状が台形となる板体であり、幅が狭い方の面が振動面2
8となっている。
【0081】このように構成される記録ヘッド50の作
用について説明する。この記録ヘッド50の作用も第1
実施形態の記録ヘッド10の作用と同様であり、振動発
生手段16の励振により弾性部材12が共振し、振動面
28の最大振幅部24近傍からインク滴が一滴ずつ所定
の方向に飛翔してドットを記録する。この際、吐出タイ
ミングがずれてもインク滴の飛翔方向は一定であるた
め、インクの物性や最大振幅部24のインク量の変化に
影響されず、高解像度の画像記録を行うことができる。
【0082】本実施形態の弾性部材12(断面形状、台
形)のように、記録用紙に対向する振動面28におい
て、最大振幅部24近傍に幅Wが2λの関係を満たすよ
うな領域があれば、弾性部材12の断面形状は特に限定
されるものではない。
【0083】なお、振動発生手段16は、両持ち梁構造
をした弾性部材12のどちら側に配置してもよい。 [第4実施例]第4実施例について説明する。本実施例
の記録ヘッドの構成は第3実施形態と同様である。
【0084】弾性部材12の寸法は図17に示すよう
に、振動面28の幅Wが50μm、その対面側が幅Lが
200μmで、厚さが7μmである。本実施例では弾性
部材12の材料としてSUSを用いている。
【0085】インク22には以下の物性(密度ρおよび
表面張力σ)を備えたインクを用いる。
【0086】ρ=1.05g/cm3 σ=30mN/m この構成において、振動発生手段16の励振周波数fe
をfe=193kHzとして励振すると、弾性部材12
の最大振幅部24は図16に矢印で示すように曲げ振動
する。この場合、式(1)に各値を代入して求めると、
λ=27μmとなり、最大振幅部の幅W=1.9λとな
る。
【0087】したがって、図18に示す最大振幅部24
の中心付近(インク飛翔点P)から、インク滴が所定方
向に安定して一滴ずつ飛翔する。 [第4実施形態]次に、本発明の第4の実施形態に係る
記録ヘッドについて図19〜図21を用いて説明する。
第1の実施形態に係る記録ヘッドと同一の機能を有する
構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を
省略する。
【0088】図19は本実施形態に係る記録ヘッド60
の正面図であり、図20は記録ヘッド60の側面図であ
る。
【0089】弾性部材12は、基端部14で振動発生手
段16(以下、本実施形態において第1の振動発生手段
16という)に接続されるとともに、他端部18で第2
の振動発生手段62に接続されている。
【0090】第2の振動発生手段62は、第1の振動発
生手段16と同様に圧電材料が用いられており、画素信
号の入力によって振動発生手段16と同様に振動する。
【0091】この第2の振動発生手段62は、図示しな
い駆動回路から入力される電気信号に応じて振動するも
のであればよく、振動発生手段16について第1実施形
態で説明したように種々のものが適用可能であるが、圧
電材料が最適である。もちろん、記録ヘッドを設計する
際に設定する駆動周波数に応じて、最適な圧電材料を選
択しなければならない。
【0092】インク滴を飛翔させるために、第1の振動
発生手段16と第2の振動発生手段62が駆動される励
振周波数のうち少なくとも一方は、弾性部材12が共振
する周波数と同じであることが重要である。第1の振動
発生手段16と第2の振動発生手段62の駆動信号が同
じ励振周波数であり、その位相が両方の駆動信号によっ
て最大振幅部24の振幅が最大になるような位相であれ
ば、第1の振動発生手段16と第2の振動発生手段62
の圧電材料やサイズは必ずしも同じものでなくてもよ
い。
【0093】本実施形態に係る記録ヘッド60の作用に
ついて説明する。第1実施形態と同様な作用以外に、両
端に接続された振動発生手段16、62の励振により弾
性部材12が共振されることによって、弾性部材12が
一つの振動発生手段16によって励振される時と比較し
て振幅を大きくとることができる。したがって、少ない
印加電圧で効率のよい振動を実現することができる。 [第5実施例]第5実施例について説明する。本実施例
に係る記録ヘッドの構成は、第4実施形態と同様であ
る。
【0094】この弾性部材12の寸法は記録媒体側の幅
Wが50μm、厚さが7μmである。本実施形態では、
弾性部材12の材料としてSUSを用いている。
【0095】インク22には以下の物性(密度ρおよび
表面張力σ)を備えたインクを用いている。
【0096】ρ=1.05g/cm3 σ=30mN/m この構成において、振動発生手段16、62の励振周波
数feをfe=193kHzとして励振すると、弾性部
材12の最大振幅部24は図20に矢印で示すように曲
げ振動する。この場合、式(1)に各値を代入して求め
ると、λ=27μmとなり、最大振幅部の幅W=1.9
λとなる。
【0097】したがって、図19に示す正面図の最大振
幅部24の中心付近(インク飛翔点P)から、インク滴
が所定の方向に安定して一滴ずつ飛翔する。
【0098】ここで、図21を参照して、本実施例の固
有の作用について説明する。図21(a)は、第1の振
動発生手段16および第2の振動発生手段62に同じ励
振電圧が印加され、弾性部材12の振幅が最大になった
ときの様子を示したものである。
【0099】また、図21(b)は比較のために本実施
例と同じ弾性部材12を第1の振動発生手段16と弾性
部材支持体20で両端支持した場合において、弾性部材
12の振幅が最大になったときの様子を示したものであ
る。
【0100】両者を比較すると同じ電圧が印加されて
も、最大振幅量は第2の振動発生手段62を備えた本実
施例の記録ヘッド60の方が大きいことが分かる。
【0101】実際、インク滴を飛翔させて画像を記録さ
せたところ、本実施例では入力電圧が20Vで画像記録
できたのに対して、比較例では37V必要であった。
[他の変形例]本発明は、上記実施の形態に限らず、種
々の変形が可能である。
【0102】例えば、上記第1〜第4の実施形態では、
異なる正面形状の3種類の弾性部材12を例にとって説
明したが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0103】例えば、図22(a)〜(c)に示すよう
に、最大振幅部24近傍の少なくとも一部に、振動面2
8においてほぼ2λの幅の領域を有する弾性部材12を
用い、最大振幅部24近傍に十分な曲げ振動を伝達させ
ることにより、インク滴を安定して1滴ずつ飛翔させる
ことができる。
【0104】さらに、弾性部材12の側面形状すなわち
板厚に関しても、最大振幅部24近傍で十分な曲げ振動
を確保できれば良いので、本発明を適用可能な弾性部材
12は、上記第1〜第4の実施形態で用いた均一な板厚
の板状構造に限るものではない。
【0105】例えば、図23(a)〜(c)に示すよう
な最大振幅部24から基端部14および他端部18に向
かって裾広がりの側面形状を有する弾性部材12でも良
い。このように、裾広がり構造にすると弾性部材12の
最大振幅部24近傍では十分な曲げ振動の振幅を得なが
ら、基端部14近傍および他端部18では十分な機械的
強度が得ることができるので好適である。
【0106】さらに、弾性部材12は、単一材料、単一
部材から構成される必要はなく、複数の材料、部材から
なる複合構造であってもよい。また、物性(密度、ヤン
グ率等)が部材の位置によって徐々に変化している材料
を用いることも、複数の異なる性能を両立させる方法と
して有効である。
【0107】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、ノズルを
用いずに微小なインク滴を安定して一滴ずつ一方向に吐
出することが可能となり、高解像度の画像を記録できる
記録ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る記録ヘッドの正面
図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る記録ヘッドの側面
図である。
【図3】(a)は、振動発生手段に入力される画像信号
のパルス波形を示し、(b)は振動発生手段の駆動信号
のパルス波形を示す図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の第1実施形態に係
る弾性部材の1次〜3次にわたる定常波形を示す図であ
る。
【図5】本発明の第1実施形態に係る弾性部材の最大振
幅部の拡大図である。
【図6】最大振幅部近傍におけるインク滴の吐出動作を
説明する図5におけるX−X線断面図である。
【図7】最大振幅部近傍におけるインク滴の吐出動作を
説明する図5におけるX−X線断面図である。
【図8】(a)〜(c)は、本発明の第1実施形態に係
る弾性部材から異なったタイミングで吐出したインク滴
の軌跡を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る記録ヘッドの正面
図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る記録ヘッドの側
面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る弾性部材の平面
図である。
【図12】比較例に係る記録ヘッドの正面図である。
【図13】比較例に係る記録ヘッドの側面図である。
【図14】(a)〜(c)は、比較例の弾性部材から異
なったタイミングで吐出したインク滴の軌跡を示す図で
ある。
【図15】本発明の第3実施形態に係る記録ヘッドの正
面図である。
【図16】本発明の第3実施形態に係る記録ヘッドの側
面図である。
【図17】本発明の第3実施形態に係る弾性部材の斜視
図である。
【図18】本発明の第3実施形態に係る弾性部材の最大
振幅部の拡大図である。
【図19】本発明の第4実施形態に係る記録ヘッドの正
面図である。
【図20】本発明の第4実施形態に係る記録ヘッドの側
面図である。
【図21】(a)は、本発明の第5実施例に係る弾性部
材の最大振幅量の説明図であり、(b)は、比較例に係
る弾性部材の最大振幅量の説明図である。
【図22】(a)〜(c)は、本発明における弾性部材
の変形例を示す正面図である。
【図23】(a)〜(c)は、本発明における弾性部材
の変形例を示す側面図である。
【符号の説明】
10、40、50、60 記録ヘッド 12 弾性部材 16 振動発生手段 22 インク 24 最大振幅部 30 インク滴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 諏訪部 恭史 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 大木 靖 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像信号に対応して振動する振動発生手
    段と、 前記振動発生手段の励振により曲げ振動する、両端が支
    持された両持ち梁構造である弾性部材と、を備え、振動
    する前記弾性部材の最大振幅部近傍に形成されたインク
    薄膜からインク滴を飛翔させて記録媒体に付着させるこ
    とを特徴とする記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記弾性部材は、前記両持ち梁構造の最
    大振幅部近傍における前記曲げ振動の振動方向に対して
    垂直な面の幅が、ほぼ2λの長さを有していることを特
    徴とする請求項1記載の記録ヘッド。但し、λは以下の
    式で与えられる。 λ={8πσ/(ρfe2 )}1/3 ×104 (μm) ここで、σは、インク表面張力(mN/m) ρは、インク密度(g/cm3 ) feは、励振周波数(Hz) である。
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