JPH1034916A - 記録素子および記録装置 - Google Patents

記録素子および記録装置

Info

Publication number
JPH1034916A
JPH1034916A JP8215036A JP21503696A JPH1034916A JP H1034916 A JPH1034916 A JP H1034916A JP 8215036 A JP8215036 A JP 8215036A JP 21503696 A JP21503696 A JP 21503696A JP H1034916 A JPH1034916 A JP H1034916A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
elastic member
recording element
substrate
vibrator
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8215036A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2965513B2 (ja
Inventor
Ichiro Asai
市郎 浅井
Koichi Haga
浩一 羽賀
Shinobu Koseki
忍 小関
Yoshiyuki Shiratsuki
好之 白附
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP8215036A priority Critical patent/JP2965513B2/ja
Priority to US08/897,597 priority patent/US6336707B1/en
Publication of JPH1034916A publication Critical patent/JPH1034916A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2965513B2 publication Critical patent/JP2965513B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14008Structure of acoustic ink jet print heads
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2002/14322Print head without nozzle

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノズルを用いずに、しかも低周波低電圧駆動
によって、微小な液滴を安定的に吐出させることができ
るようにする。 【解決手段】 基板1上に振動子2を設ける。振動子2
上に弾性体部材7を設ける。弾性体部材7は、先端7a
を含む先端部を、先鋭状、板状または針状とする。液体
8の自由表面8aを弾性体部材7の先端7aより弾性体
部材7の底面側に位置させ、外部駆動手段12により振
動子2を駆動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、被印字面にイン
クドロップなどの液滴を吐出して印字を行う記録素子、
およびこれを用いた記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】被印字面に液滴、特にインクドロップを
吐出して印字を行う記録方式の代表的なものとして、ノ
ズルを用いる方式があり、そのノズル式の記録方式に
は、従来、オンデマンド型と連続流型とがある。
【0003】オンデマンド型は、記録情報に対応してノ
ズルから間欠的にインクを吐出させて印字を行う方式
で、代表的なものとして、ピエゾ振動子型とサーマル型
とがある。ピエゾ振動子型は、インク室に付設した圧電
素子にパルス電圧を印加して圧電素子を変形させること
により、インク室内のインク液圧を変化させ、ノズルか
らインクドロップを吐出させて、記録紙上にドットを記
録するものである。サーマル型は、インク室内に設けた
加熱素子によりインクを加熱し、これにより発生したバ
ブルによりノズルからインクドロップを吐出させて、記
録紙上にドットを記録するものである。
【0004】一方、連続流型は、インクに圧力を加えて
ノズルから連続的にインクを吐出させると同時に、ピエ
ゾ振動子などにより振動を加えて突出インク柱を液滴化
し、さらに液滴に対して選択的に帯電、偏向を行うこと
によって、記録を行うものである。
【0005】図21は、ピエゾ振動子型の記録素子の概
略を示し、インク室71の片側にノズル72が設けられ
るとともに、反対側の外側に圧電素子73が設けられ、
インク室71内にインク74が充填される。圧電素子7
3に電圧を印加すると、圧電素子73はインク室71の
容積を小さくするように変形し、これによってインク室
71内の圧力が高まってノズル72からインクが吐出す
る。この場合、吐出するインクのドロップ径は、主とし
てノズル72の径によって決まる。
【0006】図22は、サーマル型の記録素子の概略を
示し、インク室81の一端にノズル82が設けられると
ともに、インク室81内に発熱素子83が設けられ、イ
ンク室81内にインク84が充填される。発熱素子83
に電圧を印加して発熱素子83を発熱させると、発熱素
子83付近のインクが加熱されてバブルが発生し、これ
によってインク室81内の圧力が高まってノズル82か
らインクが吐出する。これも、ピエゾ振動子型の記録素
子と同様に、吐出するインクのドロップ径は、主として
ノズル82の径によって決まる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】各種の記録方式によっ
て印字記録する画像の解像度としては、従来は300ド
ット/インチ程度が要求されていたが、最近は600〜
720ドット/インチというような高解像度が要求され
てきている。そのような要求を満たすためには、記録紙
上のドット径を小さくする必要があり、上記のノズル式
の記録方式では、ノズル径を小さくして吐出されるイン
クドロップ径を小さくする必要がある。
【0008】しかしながら、ノズル径を小さくすると、
ゴミやチリによるノズル詰まりや、ノズル内のインク表
面の乾燥によるノズル詰まりや、ノズル円周部へのイン
ク残滓の付着によるインク吐出方向の変化を生じやすく
なり、記録紙上の画質に欠陥を生じる。そのため、要求
される解像度に対応したドット径にするのに必要な程度
にノズル径を小さくすることができない。
【0009】そこで、このようなノズルに起因する問題
を解決する方法として、ノズルを用いないで、振動また
は音響波を用いて、被印字面にインクドロップを吐出し
て印字を行う記録方式が、いくつか提案されている。
【0010】従来の、ノズルを用いない記録方式の第1
としては、米国特許第4308547号明細書に示され
ているように、凹状にカーブした球面形状の圧電体シェ
ルをインク中に配置し、この圧電体シェルに電極を介し
て電圧を印加するものがある。この方式では、圧電体シ
ェルからインク中に放射された縦波がインク自由表面の
一点に集められ、インク自由表面からドロップが吐出さ
れる。
【0011】さらに、この種の方式で、生産性や構造の
精密さを向上できるものとして、特公平6−45233
号に示されているように、ガラスなどの基板上に球面状
の凹部を設けて、これを音響レンズとし、基板の裏面に
圧電体、およびこれに電圧を印加するための電極からな
る振動子を形成して、この振動子をインク中に配置する
ものがある。この方式では、上記米国特許の方式と同じ
く、振動子から生じた振動がインク中に縦波として放射
され、凹状の音響レンズによりインク自由表面の一点に
集められて、インク自由表面からドロップが吐出され
る。
【0012】また、特開平3−200199号には、よ
り安価で、よりシャープに焦点を合わせられるレンズと
して、凹状レンズの代わりに薄膜平板状の位相フレネル
レンズを基板上に設けることが示されている。位相フレ
ネルレンズは、入射した平面波が、ある間隔で円環状に
配置された複数の薄膜平板状部で一旦回折され、その発
生した複数の回折波がインク自由表面の一点で合成され
て最大振幅となるように機能するレンズである。
【0013】以上のように、ノズルを用いない記録方式
の第1のものは、振動子で発生した振動を音響レンズで
インク自由表面の一点に集束させてインクドロップを吐
出させる。そして、音響レンズとしては、圧電体自体を
レンズ状にし、もしくは位相を多重に重ねる位相フレネ
ルレンズを用い、または凹状の形状のものを用いる。音
響レンズは、形状と波動の集束・発散との関係が光学レ
ンズとは逆になり、凸状レンズでは波動が発散してしま
うため、凹状レンズとする。
【0014】ここで、吐出ドロップ径は、インク中を伝
搬してきた縦波がインク自由表面に集束されるときの集
束径にほぼ等しく、その集束径dは、振動子の駆動周波
数をf、レンズのF値をFとすると、d〜F/fとな
る。なお、インク中を伝搬する縦波の波長をλ、その伝
搬速度をvとすると、これらと振動子の駆動周波数fと
の間には、v=f・λの関係がある。
【0015】したがって、例えば、ドロップ径(集束
径)dが15μm程度の非常に小さなインクドロップを
吐出させようとする場合には、レンズのF値を1とする
と、従来の低粘度・水性インク中の縦波の伝搬速度v
は、ほぼ1500m/秒であるので、振動子の駆動周波
数fを約100MHzというような非常に高い周波数に
しなければならない。レンズのF値は、種々の問題から
著しく小さくすることは実際上困難であるため、ドロッ
プ径dをより小さくしようとすると、一般にはより高い
周波数で振動子を駆動することになる。
【0016】このように、ノズルを用いない記録方式の
第1のものは、100MHz前後の高い周波数で複数の
振動子を駆動しなければならないため、一般に駆動手段
が高価になるというコスト上の問題を生じるとともに、
発熱によりインク粘度が変化してドロップ径が変動した
り、記録素子内でインク自体の乾燥や固化を生じてイン
クを吐出できなくなることがあるという重大な問題を生
じる。
【0017】この発熱は、インク中を伝搬する縦波は、
高周波で駆動する場合ほど、インク中で減衰しやすくな
るという性質による。すなわち、高い周波数を用いるほ
ど、減衰によりインク中に吸収されるエネルギー量が増
大し、発熱量も増加する。
【0018】そのため、従来のノズルを用いない記録素
子では、この問題を解決しようとする場合、記録素子に
冷却機構を設けるなどの方法を採るしかなく、記録装置
の大型化や高コスト化をきたす。したがって、ノズルを
用いずに、しかも低周波駆動によって、小径のインクド
ロップを吐出できるとともに、発熱を生じにくく、エネ
ルギー効率もよい記録素子が望まれていた。
【0019】ノズルを用いない記録方式の第2として
は、振動子で発生した振動を音響ホーンでインク自由表
面の一点に集束させてインクドロップを吐出させるもの
がある。
【0020】例えば、上記の米国特許第4308547
号明細書には、凹状レンズの代わりに振動子上に形成し
た音響ホーンにより振動を集束させ、音響ホーン先端に
接触させたベルト上を搬送されてくるインク薄膜に、こ
の振動を作用させてインクドロップを吐出させることが
示されている。ここでは、音響ホーン先端に吐出力が生
成されることになる。
【0021】また、同様の技術として、特開平4−16
8050号には、図23に示すように、集音体95を圧
電体91上に設けることが示されている。集音体95
は、圧電体91およびこれに電圧を印加するための電極
92,93からなる振動子94上に形成され、インク9
6を保持したインクリザーバ99中に配される。集音体
95は、図のように幾分、先細りの形状である。この場
合、集音体95の底部から入射した歪みが集音体95内
を伝搬するのに伴って、その振幅が増幅され、集音体9
5で集められた大振幅の波がインク96を叩いて、そこ
で生じた縦波がインク自由表面97を押し上げ、インク
ドロップ98が吐出されるとしている。
【0022】ただし、米国特許第4308547号明細
書や、特開平4−168050号では、集音体または音
響ホーンを用いるとするものの、その大きさや駆動条
件、振動モードなどは、さらには小径ドロップを形成で
きるか否かについては、述べられていない。
【0023】音響ホーンに関しては、一般に音響学の分
野においては、共振により集音体(または音響ホーン)
の先端を大振幅に振動させて吐出力を得ようとする場
合、集音体の垂直断面方向の長さ(高さ)は振動波の波
長の1/2の整数倍でなければならないことが知られて
いる。
【0024】したがって、図23に示したような従来の
方式において、高密度の記録素子を作製するために集音
体95を小さくしようとすると、振動波の波長も短くし
なければならず、振動子24の駆動周波数を高くしなけ
ればならない。
【0025】したがって、現実的な密度の記録素子を作
製するためには、上述したノズルを用いない記録方式の
第1のものと同様に、数10MHzから100MHz前
後という高い周波数で振動子を駆動する必要がある。こ
のため、インク中のエネルギー減衰が大きいとともに、
駆動回路が高価なものとなる。また、米国特許第430
8547号明細書に示されているように音響ホーン先端
に接触させたベルトでインク薄膜を安定に搬送すること
は、実際上困難であり、吐出ドロップ径もばらつきやす
い。
【0026】さらに、ノズルを用いない記録方式の第3
として、吐出力として静電力を用いる、いわゆる静電吸
引方式があり、さらにそのインクメニスカス(インク隆
起)を形成するために振動を用いるものが知られてい
る。
【0027】例えば、特開昭62−222853号に
は、記録針をインク表面から突出させて、これに軸方向
に伝搬する超音波エネルギーを与えることが示されてい
る。これによると、超音波流動(acoustic s
treaming)現象により、記録針に接するインク
は記録針の先端方向に移動して、記録針の先端に凸状の
インクメニスカスが形成される。その状態で、記録針と
背面電極との間に静電界を印加してインクを引きちぎ
り、記録針と背面電極との間に配置された記録媒体上に
インクドロップを着弾させる。この方式によれば、記録
針の先端にインクメニスカスを形成するため、従来の静
電吸引方式に比べて、より小さいインクドロップを形成
できるとしている。
【0028】また、特開昭56−28867号にも、針
電極と背面電極との間に静電界を印加した状態で、針電
極に画像信号を印加すると同時に、針電極を振動させる
静電吸引方式が示されている。このようにすると、イン
クを安定に粒子化できるとしている。
【0029】しかしながら、静電吸引方式では、湿度な
どによる記録媒体の誘電体の厚みの変動や、記録媒体の
表面の荒さのばらつきなどによって、形成されるドロッ
プ径が変動しやすく、さらに静電界だけでなく、超音波
も生成する必要があるため、装置の大型化および高コス
ト化をきたす欠点がある。また、高電圧発生源も必要と
なる。
【0030】そこで、この発明は、ノズルを用いずに、
しかも低周波低電圧駆動によって、微小な液滴を吐出で
きるとともに、発熱などを生じにくく、エネルギー効率
もよい記録素子および記録装置を提供するものである。
【0031】
【課題を解決するための手段】この発明では、記録素子
としては、一部が液体表面と接した弾性体部材を備え、
前記弾性体部材を振動させて、前記弾性体部材の前記液
体表面から突出した部分から液滴を吐出させるものとす
る。
【0032】記録装置としては、記録素子から被印字面
に液滴を吐出させて印字を行う記録装置において、前記
記録素子を、一部が液体表面と接した弾性体部材を備
え、前記弾性体部材を振動させて、前記弾性体部材の前
記液体表面から突出した部分から液滴を吐出させるもの
とする。
【0033】
【作用】上記のように構成した、この発明の記録素子に
おいては、弾性体部材が振動させられることによって、
その弾性体部材の液体表面から突出した部分では、その
突出部分を大きく変位させる大きな振動エネルギーを生
じるとともに、その突出部分に液体が供給される。そし
て、その突出部分に供給された液体が、その突出部分で
の、これを大きく変位させる大きな振動エネルギーによ
って、その突出部分から液滴として吐出される。
【0034】
【発明の実施の形態】この発明は、発明者が実験考察の
結果、見い出したドロップ吐出現象を、被印字面に液滴
を吐出して印字を行う記録素子に応用したものである。
そこで、各種の具体的な実施例を示す前に、この発明の
記録素子の基本的構成および動作原理を示す。
【0035】図1は、この発明の記録素子の基本的構成
の一例を示し、(A)は断面図、(B)は平面図であ
る。ただし、(B)では、インクおよびインクドロップ
を省略している。
【0036】この例の記録素子は、振動発生手段として
基板1上に振動子2を形成し、振動子2上に弾性体部材
7を形成して、インク8を、その自由表面8aが弾性体
部材7の先端7aと底面との間に位置するように装填
し、振動子2を外部駆動手段12によって駆動するもの
である。ただし、弾性体部材7は、この例では先鋭状の
ものである。なお、振動発生手段としては、振動子を担
持可能な構成とすれば、基板を用いなくてもよい。
【0037】実際に作製したものは、黄銅の基板1上
に、PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)からなる圧電セラ
ミック薄膜3、およびこれに電圧を印加するための電極
4,5を形成し、その圧電セラミック薄膜3および電極
4,5からなる振動子2上に、SiOからなる保護膜
6を介して、シアノアクリレート系樹脂からなる弾性体
部材7を形成し、弾性体部材7の先端7aがインク自由
表面8aから100μm上に出るように、インク8を装
填した。保護層6は、振動子2とインク8との絶縁をは
かるものである。
【0038】弾性体部材7は、この例では、基板1の面
に垂直な断面の形状が底面から先端7aに向かって狭く
なるもので、ほぼ角錐状のものである。底面は、一辺が
400μm、もう一辺が800μmの長方形であり、高
さは、400μmである。先端7aは、後述するように
断面積を十分小さくしたものである。
【0039】ここで、インク自由表面とは、その表面形
状が平面となっているインク最表面である。他の存在に
よって影響されていないで、単に重力にのみ従って形成
されているインク表面を指す。弾性体部材7に接してい
るインク表面は、後述するように曲面であるので、イン
ク自由表面ではない。インク8は、この例では、2mP
a・sの粘度の黒色水性インクである。
【0040】圧電セラミック薄膜3および電極4,5か
らなる振動子2は、基板1の剛性や、圧電セラミック薄
膜3の厚さおよび圧電特性、および接続される弾性体部
材7の大きさや剛性などから決まる固有の共振周波数f
oを有する。そのため、外部駆動手段12から、この振
動子2にfoと同じ、またはその整数倍の周波数fの電
圧を印加して、振動子2を励振する。ここでは、242
kHzで励振した。なお、駆動周波数はいかなる値でも
よいが、共振周波数fo、またはその整数倍の周波数f
で駆動すると効率よく振動させられる。
【0041】実際に、242kHzのサイン波状の交流
電圧を、100μ秒の間だけ、バースト波として振動子
2に印加して、振動子2を図1(A)の上下方向、すな
わち図1(B)の紙面に垂直な方向に振動させ、弾性体
部材7に振動を与えた。30Vp−pの駆動電圧におい
て、図1(A)に示すように、弾性体部材7の先端7a
からインクドロップ9が、インク自由表面8aに対して
ほぼ垂直な方向に吐出された。そのインクドロップ9の
直径は、15μmであった。
【0042】交流電圧を連続して印加した場合には、比
較的大きな連続したインク柱が吐出され続け、バースト
波であると、微小なインクドロップ9が吐出される。こ
こで、バースト波とは、周波数は一定のまま、1個から
複数個の波からなる交流電圧が断続的に生じるものであ
る。バースト波であれば、共振周波数foと同じ、また
はその整数倍の周波数fを維持して、振動子2に短時間
だけ交流電圧を印加することができる。そのため、振動
子2はバースト波で駆動する。ただし、バースト波は、
サイン波に限らず、方形波や三角波でもよい。
【0043】上記の現象を理解するために、高速カメラ
による観察を行った。振動子2の静止状態においては、
図2(A)に示すように、弾性体部材7の先端7aがイ
ンク自由表面8aから上に出ている。振動子2にバース
ト波の電圧を短時間だけ加えると、同図(B)に示すよ
うに、弾性体部材7の側壁7cに沿ってインクが流動す
ることが認められた。そして、流動により弾性体部材7
の先端7aにインクが供給されると、同図(C)に示す
ように、弾性体部材7の先端7aから直ちに、インクド
ロップ9が吐出された。インクの流動は、音響流か表面
張力によるものと考えられる。
【0044】なお、音響流(Acoustic Str
eaming)現象とは、流体にある強度以上の超音波
(振動)が放射されると、振動を伝搬させる媒体として
の流体自体も移動し、流体の流れが生じる現象である。
【0045】この発明の場合には、図3(A)に示すよ
うに、振動子2で生じた振動は、弾性体部材7の内部を
伝搬するが、同時に弾性体部材7の側壁7cに沿った振
動成分も発生するため、この成分によってインク8のう
ちの弾性体部材7の側壁7cに接するインク部分8eが
流動している可能性がある。
【0046】なお、図3(B)に示す実験を行った。注
射針の先端にインク玉8gを保持し、これを弾性体部材
7の先端に近づける。弾性体部材7に振動エネルギーが
供給されていると、インク玉8gは、弾性体部材7の先
端に接した瞬間に、弾性体部材7の先端から上方に向か
って弾き飛ばされた。弾性体部材7がない振動子2の部
分にインク玉8gを接触させても、インクドロップは吐
出されなかった。
【0047】すなわち、インクドロップを吐出させるに
は、弾性体部材7の側壁7cにインクが存在しなくて
も、さらに側壁7cにインクの流動が生じていなくても
よいことがわかった。要するに、インクドロップを吐出
させる主要な力は、弾性体部材7を伝搬して、弾性体部
材7の先端7aで、先端7aを大きく変位させる波動エ
ネルギーである。
【0048】したがって、単にインクドロップを吐出さ
せるだけであれば、特開平4−168050号に示さ
れ、図23に示したように、集音体95を圧電体91上
に設け、これをインク96中に配置するだけでよい。し
かし、このような構成では、実際上、単一の微小インク
ドロップを吐出させることは困難であることがわかっ
た。以下に、これを示す。
【0049】図4は、弾性体部材7をインク8中に埋没
させた場合である。同図に示すように、インク自由表面
を、液位8a1,8a2,8a3の順に上げていくと、
吐出するインクドロップ9の直径Dも大きくなっていっ
た。これは、振動子2から入力された振動エネルギー
が、弾性体部材7を伝搬して、弾性体部材7の先端7a
に大きな変位をもたらせても、インク自由表面が先端7
aから遠いと、その振動が再びインク8中で広がってし
まって、インク自由表面の作用領域の大きさdも、d
1,d2,d3の順に大きくなるためである。もちろ
ん、インク8に作用する波動のエネルギー密度も低下す
るため、インク自由表面を液位8a1,8a2,8a3
の順に上げていくにつれて、インクドロップ9を吐出さ
せるための投入電力も上げなければならない。
【0050】したがって、微小インクドロップを吐出さ
せるためには、インク自由表面を弾性体部材7の先端7
aに近づければよい。しかし実際には、その場合でも、
いくつかの問題を生じる。
【0051】まず、第1に、インクドロップ9が吐出さ
れると、弾性体部材7の周辺のインク自由表面も吐出の
反作用により乱れることである。この場合、静止状態に
おいて弾性体部材7の先端7aがインク8中に埋没され
ていると、この反作用によりインク自由表面の比較的広
い領域が乱れる。したがって、インクドロップ9の吐出
から次の吐出までの時間を十分におく必要を生じ、結果
的に吐出の繰り返し速度が遅くなるため、印字速度が遅
くなる。
【0052】第2に、インク自由表面が弾性体部材7の
先端7aと同じ位置か、またはそれより若干上にある場
合、あらかじめ弾性体部材7の先端7aの周辺にインク
8が多量に存在しており、インクドロップ9が吐出され
る際、インクドロップ9となる部分は、周囲のインクに
引っ張られて、吐出ドロップ径や吐出方向が変動しやす
い。
【0053】したがって、特開平4−168050号に
示され、図23に示したように、集音体95全体がイン
ク96中に埋没した構成では、単一の微小インクドロッ
プを安定に吐出させることは困難である。すなわち、吐
出の瞬間には、弾性体部材7の先端7aの周辺にインク
ができるだけない方がよい。ただし、インク自由表面は
弾性体部材7の先端7aより下方にあるが、少量のイン
クが、表面張力などによって弾性体部材7の先端7aの
近傍に、あらかじめ薄く張られているときなどは、後述
するように、上記のような問題をほとんど生じない。
【0054】インク8を流動させて弾性体部材7の先端
7aに供給する、この発明の構成では、単一の微小イン
クドロップを、再現性よく安定に形成することができ
る。すなわち、この発明では、図3に示したように、吐
出のたびごとに少量のインク薄膜8eが弾性体部材7の
先端7aに供給されるので、微小インクドロップが吐出
されるとともに、吐出に伴うインク自由表面8aの乱れ
や周辺のインクからの影響も非常に小さくなる。
【0055】すなわち、この発明では、弾性体部材7の
先端7aをインク自由表面8a上に出しておくことによ
って、インク8を流動させることができ、この流動によ
り先端7aに供給されたインクがインクドロップの形成
に供されることによって、弾性体部材7の先端7aから
安定した微小インクドロップが吐出されるものである。
【0056】また、この発明は、インクドロップ径がイ
ンク自由表面8aの位置にあまり左右されないという特
長を有する。すなわち、従来のノズルを用いない記録方
式のうちの、波動エネルギーまたは静電気エネルギーを
用いるものは、波動エネルギーまたは静電気エネルギー
をインク表面の一点に集中させて微小インクドロップを
吐出させるため、インク表面の位置(深さ)が変動する
と、容易にインクドロップ径も変動してしまう。
【0057】しかし、この発明では、弾性体部材7の先
端7aがインク自由表面8aから突出していれば、微小
インクドロップを吐出させることができるとともに、イ
ンク自由表面8aの位置(深さ)が変動しても、インク
ドロップ径は変動しにくい。これは、吐出のたびごとに
少量のインク薄膜8eが流動によって弾性体部材7の先
端7aに供給され、供給された瞬間に、先端7aでの、
これを大きく変位させる波動エネルギーによって、先端
7aに接したインク薄膜8eの一部が飛ばされるためで
ある。したがって、インクドロップ径は、流動によって
供給されるインク量やインク流動速度に鈍感である。
【0058】ただし、インク自由表面8aが弾性体部材
7の先端7aより上に出ていたり、逆にインク自由表面
8aが弾性体部材7の先端7aより著しく下方に離れて
いる場合には、この限りではない。前者の場合について
は、図4によって上述したが、後者の場合には、弾性体
部材7の先端7aへのインク供給量が足りずに、インク
ドロップが吐出されないという現象が発生しやすくな
る。
【0059】以上のように、駆動周波数という観点から
は、レンズを用い、かつ数100MHzという高い駆動
周波数を必要とした従来の方式に比べて、この発明によ
れば、レンズを用いることなく、かつ数100kHz前
後という大幅に低い駆動周波数で、微小インクドロップ
を吐出させることができる。
【0060】すなわち、この発明は、発明者が実験考察
の結果、見い出だしたドロップ吐出現象を、被印字面に
インクドロップを吐出して印字を行う記録素子に応用す
ることによって、(1) 直径が15μmというような微小
インクドロップを吐出させることができる、(2) 数10
0kHz前後というような低い駆動周波数にできるの
で、高周波駆動のための高価な駆動系が不要になる、
(3) 吐出ドロップ径の変動がほとんどなく、微小インク
ドロップを安定に吐出させることができる、(4) インク
中で発生する発熱量も低減する、(5) ヘッド内のインク
の固化による信頼性の低下もない、という効果が得られ
るものである。
【0061】なお、機械加工に用いられる音響ホーンで
は、音響ホーンに振動を与え、その先端で大振幅の変位
を生じさせて、その変位を加工に用いている。そして、
一般に音響学の分野では、音響ホーンの大きさ(波の進
行方向の長さ)が振動波の波長の1/2以上でなけれ
ば、振動を有効に伝搬させて大振幅の波を得ることがで
きないとされている(例えば、千葉近:超音波噴霧、参
会堂、p73、1990年)。
【0062】しかし、この発明では、弾性体部材7の内
部を伝搬する振動波の1波長(または1/2波長)よ
り、弾性体部材7の大きさ(波の進行方向の長さ)の方
が小さい。例えば、上述した例のようにf=242kH
zで励振する場合、樹脂製の弾性体部材7の内部を伝搬
する縦波の音速vは、およそ3000m/秒であるか
ら、v=f・λの関係から、弾性体部材7の内部を伝搬
する縦波の波長λは、12.4mm相当である(インク
8中の波の音速vは、およそ1500m/sであるか
ら、インク8中の波の波長λは、6.2mm相当)。そ
して、この発明で用いる弾性体部材7の垂直方向の長さ
(高さ)は、上述したように400μm程度であるか
ら、縦波としての振動波の1波長(または1/2波長)
に対して非常に小さい。
【0063】しかし、この発明では、このように弾性体
部材7が小さくても、上述したように微小インクドロッ
プを吐出させることができるもので、これは、上述した
ように、縦波成分だけでなく、横波成分も、インクドロ
ップの吐出に関与している可能性があると考えられる。
【0064】この発明では、微小インクドロップを吐出
させることができるので、この発明によれば、また、記
録素子において、それぞれ図1に示したような振動子2
および弾性体部材7を備える各吐出点を、比較的高密度
に配置することができる。すなわち、この発明によれ
ば、ノズルを用いない記録素子の課題である低周波駆動
および高密度配置を一挙に解決することができるもので
ある。
【0065】この発明では、単一の微小インクドロップ
を安定的に吐出させる上で、弾性体部材7の形状と、弾
性体部材7の先端7aとインク自由表面8aとの相対的
な位置関係が重要である。以下に、これらを詳細に示
す。
【0066】まず、弾性体部材7の形状については、そ
の先端7aを含む先端部が、先鋭状であるか、板状であ
るか、または針状が望ましい。先端部が、このような形
状でないと、先端部の変位が小さくなってしまい、上記
の波動エネルギーによって先端部を大きく変位させるた
めには非常に大きな駆動電圧を必要とするからである。
【0067】図5(A)(B)および(C)は、弾性体
部材7として適するものの断面形状の例で、いずれも、
断面形状が弾性体部材7の底面から先端7aに向かって
先鋭状となるものである。これに対して、同図(D)ま
たは(E)に示すように、先端部が太いものは、弾性体
部材7として適さない。これらのものでは、先端部の変
位が小さくなってしまい、部材を振動させるのに非常に
大きな駆動電圧を必要とする。
【0068】さらに、図6(A)(B)(C)または
(D)に示すように、先端7aを含む先端部7Aが、板
状または針状であるものは、より低い駆動電圧で駆動で
きるので、弾性体部材7として好適である。
【0069】したがって、奥行き形状を含めた弾性体部
材7の全体的形状としては、図7(A)に示すように、
全体として角錐状のもの、同図(B)に示すように、円
錐状の底部に対して、針状の先端部7Aを有するもの、
同図(C)または(D)に示すように、先端部7Aとし
て板状部を有するもの、などが、弾性体部材7として適
する。
【0070】ただし、図7(C)に示すように、先端部
7Aが板状のものについては、その板の長さ、すなわち
先端7aの長さが大きいと、先端7aの長さ方向の複数
の点からインクドロップが吐出されやすい。そこで、先
端部7Aを板状とし、かつその板の長さを比較的大きく
する場合には、図7(D)に示すように、先端7aの長
さ方向の定めた位置に、特異点を形成する突起7sを形
成する。
【0071】突起7sを形成すると、その突起7sのみ
から単一の微小インクドロップが安定的に吐出された。
ただし、駆動電圧を高くすると、先端7aの突起7s以
外の点からもインクドロップが吐出されることが認めら
れた。したがって、駆動電圧を調整すれば、先端部7A
の板の長さが大きくても、突起7sのみから単一の微小
インクドロップを安定的に吐出させることができる。
【0072】なお、先端7aの大きさについては、弾性
体部材7を数100kHzの振動で駆動し、かつ直径1
5μmのインクドロップを吐出させようとする場合、先
端7aの辺幅ないし径を15μm以下とすると、先端7
aの変位を大きくでき、所期のインクドロップを吐出さ
せやすかった。先端7aの辺幅ないし径が大きいときに
は、駆動電圧を大きくしなければならないため、先端7
aの辺幅ないし径は、できるだけ小さくすることが望ま
しい。
【0073】弾性体部材7とインク自由表面8aとの相
対的な位置関係については、この発明によって単一の微
小インクドロップを吐出させる上で、図8(A)のよう
に弾性体部材7の先端7aがインク自由表面8a上に位
置している必要がある。同図(B)(C)のように弾性
体部材7の先端7aがインク自由表面8aの下側または
インク自由表面8aと同一高さにあるのは、上述した理
由で望ましくない。
【0074】ただし、同図(D)のように先端7aから
インク自由表面8aがかなり下がっていれば、インクが
表面張力によって、先端7aを含む先端部の側壁7c
に、インク薄膜8cとして少量、保持されていてもよ
い。ただし、あらかじめ先端部にインクが保持されてい
た分、多少、吐出するインクドロップが、同図(A)に
比べて大きくなりやすい。また、インクドロップを吐出
する際には周辺のインクの影響をより受けやすくなる。
したがって、この場合、なるべく先端部を覆うインク量
が少なくなるようにしておかなければならない。
【0075】なお、弾性体部材7の表面が、インクとヌ
レ性を有することも、安定してインクドロップを吐出さ
せる上で重要である。弾性体部材7の表面がインクとヌ
レにくいと、その先端7aへのインク供給が困難になり
やすいからである。インクとのヌレ性に関しては、弾性
体部材7の表面状態をインクに対応するように制御して
もよいし、弾性体部材7の表面に合わせてインク物性を
制御してもよい。
【0076】以上のように、弾性体部材7の形状や材質
は、振動子2の振動周波数fや、振幅、駆動電圧、弾性
体部材7の先端7aのインク自由表面8aからの距離
や、インク8の粘度や表面張力などを勘案して決める必
要がある。
【0077】なお、この発明では、ドロップ径を規定す
るためにノズルを用いる必要はないが、インク液面を安
定化させたり、インクの乾燥を抑制するために、吐出ド
ロップ径より大きな開口を持つものであれば、なんらか
の部材がインク自由表面8aの一部に配置されていても
よい。
【0078】また、弾性体部材7の材料としては、シア
ノアクリレート系樹脂やエポキシ系樹脂、またはフッ素
系樹脂などの各種樹脂を用いることができる。また、S
iO,SiONまたはSiNや、AlNや、Al
などといった各種無機材料で弾性体部材7を形成して
もよい。また、Al、Fe、Ti、Cr、Au、Mo、
TiWなど、またはそれらの各種合金で弾性体部材7を
形成してもよい。ただし、各種樹脂や金属と異なり、イ
ンク8と接する間に腐食しないように、SiOなどの
無機膜で、それらの表面を保護することが望ましい。も
ちろん、樹脂、無機材料および金属のうち、2つ以上の
材料を用いてもよい。また、振動エネルギーが効率的に
伝搬できるなら、弾性体部材7の先端部と底部を別な材
料で構成してもよい。
【0079】なお、弾性体部材7を振動させる振動子2
で最も重要な圧電体3は、圧電基板で構成しても、圧電
薄膜で構成してもよい。また、圧電体は単層で構成され
ても、多層で構成されてもよい。圧電体3としては、水
晶、PZT、チタン酸バリウムBaTiO、ニオブ酸
鉛PbNb、Bi12GeO20、ニオブ酸リチ
ウムLiNbO、タンタル酸リチウムLiTaO
どの多結晶体や単結晶体、またはZnOやAlNなどの
圧電薄膜、またはポリ尿素、PVDF(ポリフッ化ビニ
リデン)やPVDFの共重合体などの圧電性高分子、ま
たはPZTなどの無機圧電物質と圧電性高分子との複合
体などを用いることができる。もちろん、記録装置を設
計する際に設定する駆動周波数に応じて、最適な圧電材
料を選択しなければならない。印加する交流の周波数が
数10kHzから1MHzの間であれば、PZTのよう
なセラミックでもよいが、より高い周波数で駆動する場
合にはZnOなどのように高周波に対応する圧電薄膜な
どを選択しなければならない。いずれにしろ、安定し、
かつ十分な振動を振動子2にもたせられる振動特性を持
つものである必要がある。なお、振動子2を構成する圧
電材料自体で弾性体部材7を形成してもよい。
【0080】以上のより詳細な例を、実施例として示
す。
【0081】〔実施例1…図9〕図9は、この発明の記
録素子の第1の例の主要部を示す。
【0082】この例では、500μmの厚さの黄銅から
なる基板1上に、1μmの厚さのAg電極4を堆積後、
パターンニングし、続いて、100μmの厚さのPZT
(ジルコン酸・チタン酸鉛)からなる圧電セラミック薄
膜3を堆積後、パターンニングし、さらに、0.05μ
mの厚さのCrと1μmの厚さのAuの2層からなる電
極5を堆積後、パターンニングして、振動子2を形成す
る。
【0083】PZTからなる圧電セラミック薄膜3は、
分極処理して、電極4,5間に電圧が印加されたとき、
その膜面に垂直な方向に振動するようにする。電極4
は、各振動子2に共通するコモン電極であり、電極5
は、特定の振動子のみを振動させるためのアドレス電極
である。
【0084】さらに、圧電セラミック薄膜3および電極
4,5からなる振動子2を、1μmの厚さのSiO
どからなる保護膜6で被覆し、続いて、各振動子2上
に、底辺の一辺が150μmで、高さが200μmの、
ほぼ三角形の断面形状の角錐状のシアノアクリレート系
樹脂からなる弾性体部材7を形成する。
【0085】弾性体部材7は、シアノアクリレート系樹
脂とはヌレ性が悪く、接着しにくいフッ素樹脂に凹状部
を形成し、これを型にして形成する。ただし、以下の実
施例でも同様であるが、弾性体部材7の形成方法は、こ
れに限らず、半導体プロセスで利用されているリソグラ
フィー技術を利用した加工技術、厚膜印刷技術、または
マイクロマシーンの作製プロセスに利用されている各種
形成技術(放電加工やメッキ技術など)を、樹脂に限ら
ず、無機材や金属材からなる弾性体部材7の形成の際に
用いることができる。
【0086】以下の実施例でも同様であるが、振動子2
と弾性体部材7との組が、インクドロップ吐出のための
イジェクタ11を構成する。弾性体部材7の先端7aと
インク8の自由表面8aとの距離は50μmとし、弾性
体部材7の先端7aをインク自由表面8a上に出す。そ
して、図示していない交流電源を用いて、外部から振動
子2に、基板1の剛性などとともに決まる固有の共振周
波数foと同じ、またはその整数倍の周波数fの電圧を
印加して、振動子2を励振する。
【0087】以下の実施例でも同様であるが、複数のイ
ジェクタのうちの一つまたは複数のイジェクタに選択的
に電圧を印加する。この例では、242kHzで40V
p−pの電圧を100μ秒の間、バースト的に印加し
た。その結果、アドレス電極5で選択した振動子の上方
のみから15μm径(直径)のインクドロップ9が吐出
した。
【0088】この例では、ノズルをインク表面に配置し
ていないため、ノズル内およびその周辺へのインクの固
着はもちろんなく、微小ドロップを安定して吐出させる
ことができた。また、駆動周波数も低いので、発熱もな
く、インク8の粘度変化や固化といった問題も生じなか
った。
【0089】なお、以下の実施例でも同様であるが、弾
性体部材7が先鋭状ではなく、板状または針状の先端部
を有するものについても、同様の結果が得られた。
【0090】〔実施例2…図10〕図10は、この発明
の記録素子の第2の例の主要部を示す。この例は、図9
に示した実施例1の記録素子において、各振動子2の周
辺部において、基板1の下面側を支持体21に結合した
ものである。
【0091】この例では、500μmの厚さの黄銅から
なる基板1上に、1μmの厚さのAg電極4を堆積後、
パターンニングし、続いて、100μmの厚さのPZT
(ジルコン酸チタン酸鉛)からなる圧電セラミック薄膜
3を堆積後、パターンニングし、さらに、0.05μm
の厚さのCrと1μmの厚さのAuの2層からなる電極
5を堆積後、パターンニングして、振動子2を形成す
る。
【0092】PZTからなる圧電セラミック薄膜3は、
分極処理して、電極4,5間に電圧が印加されたとき、
その膜面に垂直な方向に振動するようにする。電極4
は、各振動子2に共通するコモン電極であり、電極5
は、特定の振動子のみを振動させるためのアドレス電極
である。
【0093】さらに、圧電セラミック薄膜3および電極
4,5からなる振動子2を、1μmの厚さのSiO
どからなる保護膜6で被覆し、続いて、各振動子2上
に、底辺の一辺が150μmで、高さが200μmの、
ほぼ三角形の断面形状の角錐状のシアノアクリレート系
樹脂からなる弾性体部材7を形成する。
【0094】弾性体部材7は、シアノアクリレート系樹
脂とはヌレ性が悪く、接着しにくいフッ素樹脂に凹状部
を形成し、これを型にして形成する。ただし、実施例1
と同様に、他の方法によって形成することもできる。
【0095】この例では、次に、セラミックなどからな
る部材21を加工して、基板1上の各振動子2に対応す
る凹部22と、これの間に位置する支持部23を形成
し、支持部23を接点ないし固定点として、基板1の下
面側において、基板1と部材21を接着する。凹部22
は、それぞれ閉じた空間ではなく、その一部が大気と連
通するようにする。もちろん、大気と連通すると問題を
生じる場合には、大気と連通させなくてもよい。他の実
施例についても、同様である。部材21は、基板1を支
持する支持体となる。
【0096】弾性体部材7の先端7aとインク8の自由
表面8aとの距離は50μmとし、弾性体部材7の先端
7aをインク自由表面8a上に出す。そして、図示して
いない交流電源を用いて、外部から振動子2に、基板1
の剛性などとともに決まる固有の共振周波数foと同
じ、またはその整数倍の周波数fの電圧を印加して、振
動子2を励振する。
【0097】この例では、242kHzで40Vp−p
の電圧を100μ秒の間、バースト的に印加した。その
結果、アドレス電極5で選択した振動子の上方のみから
15μm径のインクドロップ9が吐出した。
【0098】この例でも、ノズルをインク表面に配置し
ていないため、ノズル内およびその周辺へのインクの固
着はもちろんなく、微小ドロップを安定して吐出させる
ことができた。また、駆動周波数も低いので、発熱もな
く、インク8の粘度変化や固化といった問題も生じなか
った。
【0099】さらに、この例では、各振動子2の下側に
は凹部22が存在するとともに、各振動子2が、それぞ
れの周辺部において支持部23に支持されるので、各振
動子2が個々に振動しやすくなるとともに、隣接する振
動子が振動しても、それによる基板1の歪みを受けるこ
となく、インクドロップを安定に吐出することができ
る。
【0100】凹部22の形状は、振動子2の形状などを
勘案して決めればよい。ただし、均一で安定な振動を生
じるようにするためには、多角形、さらには円形が、よ
り好ましい。
【0101】〔実施例3…図11〕図11は、この発明
の記録素子の第3の例の主要部を示す。この例は、図1
0に示した実施例2の記録素子において、基板1を各振
動子2ごとに分離したものである。製造方法は、基本的
に実施例2と同じである。
【0102】この例では、振動子2を保持した基板1が
各振動子2ごとに分離されて支持部23に支持されるの
で、実施例2の場合よりも一層、各振動子2が効率よく
精密に振動できるとともに、隣接する振動子からの影響
が少なくなる。
【0103】〔実施例4…図12〕図12は、この発明
の記録素子の第4の例の主要部を示す。この例は、図1
0に示した実施例2の記録素子に対して、各振動子2の
支持機構を異ならせ、各弾性体部材7の間でのインクの
相互干渉を低減するとともに、インク液面を安定化させ
たものである。
【0104】この例では、60μmの厚さのニッケルか
らなる基板1上に、1μmの厚さのAg電極4を堆積
後、パターンニングし、続いて、100μmの厚さのP
ZTからなる圧電セラミック薄膜3を堆積後、パターン
ニングし、さらに、0.05μmの厚さのCrと1μm
の厚さのAuの2層からなる電極5を堆積後、パターン
ニングして、振動子2を形成する。
【0105】PZTからなる圧電セラミック薄膜3は、
分極処理して、電極4,5間に電圧が印加されたとき、
その膜面に垂直な方向に振動するようにする。電極4
は、各振動子2に共通するコモン電極であり、電極5
は、特定の振動子のみを振動させるためのアドレス電極
である。
【0106】さらに、圧電セラミック薄膜3および電極
4,5からなる振動子2を、1μmの厚さのSiO
どからなる保護膜6で被覆し、続いて、各振動子2上
に、底辺の一辺が300μmで、高さが400μmの、
ほぼ三角形の断面形状の角錐状で、先端7aの幅が5μ
mのシアノアクリレート系樹脂からなる弾性体部材7を
形成する。
【0107】弾性体部材7は、シアノアクリレート系樹
脂とはヌレ性が悪く、接着しにくいフッ素樹脂に凹状部
を形成し、これを型にして形成する。
【0108】次に、Siウエハからなる部材25を異方
性エッチングして、基板1上の各振動子2に対応する凹
部26と、これの間に位置する支持部27を形成し、支
持部27を接点ないし固定点として、基板1の下面側に
おいて、基板1と部材25を接着する。凹部26は、そ
れぞれ閉じた空間ではなく、その一部が大気と連通する
ようにする。部材25は、基板1を支持する支持体とな
る。
【0109】弾性体部材7の先端7aとインク8の自由
表面8aとの距離は100μmとし、弾性体部材7の先
端7aをインク自由表面8a上に出す。
【0110】さらに、フッ素樹脂などからなる隔壁29
を配置する。隔壁29は、インク8の深さおよび表面を
安定にするための部位29Aと、各振動子2に接するイ
ンクを隔離するようにインク自由表面8aに対して垂直
な部位29Bとから構成する。
【0111】このような隔壁29を設けることによっ
て、各振動子2は、隣接する振動子により発生した振動
やインク表面の変位・変動の影響を受けにくくなる。た
だし、部位29Bは振動子2を保持する基板1との間に
隙間を持つようにする。そのため、インク8自体は隣接
する振動子間を比較的自由に移動できる。このような隔
壁構造とすることによって、隔壁29を設けても、イン
ク吐出後のインクのリフィル速度を阻害することはな
い。
【0112】さらに、隔壁29を配置することによっ
て、インク表面の深さ自体が安定に固定化されるととも
に、インク表面積の減少によりインク成分の蒸発を抑
え、インク物性を安定にできる。ただし、各弾性体部材
7の周辺に開口しているインク自由表面8aの面積が吐
出ドロップ径より大きくなるように、隔壁のうちの部位
29Aの開口形状を形成することは、この発明の趣旨か
ら当然である。
【0113】また、部位29Aの開口形状は、インク吐
出後のインク自由表面8aに生じる振動がなるべく急速
に収まるような形状になっていることが、またなるべく
インク成分の蒸発を抑えるような形状になっていること
が、好ましく、これらの点から円形および円形に近い多
角形が望ましい。
【0114】支持体を構成する部材25に用いるSi基
板は、(100)の面方位のもので、基板表面に堆積し
たSiN膜の一部を除去し、パイロカテコール、エチレ
ン・ジアミンおよび水からなるエッチャントでSiN除
去部をエッチングする。このようなエッチングを施す
と、IEEE Transactions of El
ectron Devices,Vol.ED−25,
No.10(1978),p1178 に記載されてい
るように、基板の面方位に依存した、ある一定角で基板
をエッチングすることができる。
【0115】このような異方性エッチングを用いると、
極めて先の尖った支持部27を精密に作製することがで
きる。各振動子2の振動を十分なものとする上で、振動
子2を保持する基板1の厚さはなるべく薄い方が、また
支持部27の基板1との接触面積はなるべく小さい方
が、有効である。これらのことは、他の実施例にも共通
する点であり、特に、支持部27の基板1との接触面積
を小さくする上で、この実施例の支持部形成方法は有効
なものである。なお、異方性エッチングを用いた場合に
形成される凹部26の形は特有なものになる。
【0116】すなわち、図13に、Si基板を部材25
とした場合の、支持部27および凹部26からなる部材
25を示し、(A)が平面図、(B)が断面図である。
このようにエッチング用のSiNマスク28の穴28a
の形は、一般には直線を辺とする四角形または多角形と
する。したがって、円形の凹部形状に近づけたい場合に
は、辺の数の多い多角形マスクを用いなければならな
い。また、凹部26を隔てるマスク28の間隔mを狭め
れば、形成される支持部27の先端を、図12のように
鋭いものにすることができる。
【0117】なお、支持部となる突起を有する部材は、
異方性エッチングにより支持部となる突起を形成できる
のであれば、GaP,SiC、GaAsなどの、エッチ
ング速度において面方位依存性を持つ他の結晶性の無機
材でもよい。
【0118】図示していない交流電源を用いて、外部か
ら振動子2に、基板1の剛性などとともに決まる固有の
共振周波数foと同じ、またはその整数倍の周波数fの
電圧を印加して、振動子2を励振する。この例では、5
32kHZで32Vp−pの電圧を60μ秒の間、バー
スト的に印加した。その結果、アドレス電極5で選択し
た振動子の上方のみから10μm直径のインクドロップ
9が吐出した。
【0119】この例では、ノズルをインク表面に配置し
ていないため、ノズル内およびその周辺へのインクの固
着はもちろんなく、微少ドロップを安定して吐出させる
ことができた。また、駆動周波数も低いので、発熱もな
く、インク8の粘度変化や固化といった問題も生じなか
った。
【0120】また、図10および図11に示した実施例
2および3と同様に、各振動子2の下側には凹部26が
存在するとともに、各振動子2が、それぞれの周辺部に
おいて支持部27に支持されるので、各振動子2が個々
に振動しやすくなるとともに、隣接する振動子が振動し
ても、それによる基板1の歪みを受けることなく、イン
クドロップを安定に吐出することができる。
【0121】凹部26の形状は、振動子2の形状などを
勘案して決めればよい。ただし、均一で安定な振動を生
じるようにするためには、多角形、さらには円形が、よ
り好ましい。
【0122】また、支持部27の基板1との接触面積が
小さいため、振動子2を有効に励振することができ、駆
動電圧も、より低電圧化することができる。また、隔壁
29を設けることによって、インク吐出後のインクのリ
フィル速度を阻害することなく、インク表面の深さを安
定にできるとともに、隣接する振動子からの影響も低減
することができ、インクドロップを安定して吐出するこ
とができる。また、隔壁によって、インク成分の蒸発を
抑えられるので、インク物性を安定にでき、したがって
吐出ドロップ径を安定にできる。
【0123】〔実施例5…図14〕図14は、この発明
の記録素子の第5の例の主要部を示す。この例は、振動
子の圧電材料を薄膜ではなく、基板に兼ねさせるととも
に、図10に示したような支持機構を設けた場合であ
る。
【0124】この例では、500μmの厚さのPZTか
らなる基板31の裏面に、1μmの厚さのAg電極4を
堆積後、パターンニングし、続いて、0.05μmの厚
さのCrと1μmの厚さのAuの2層からなる電極5
を、基板31の表面に堆積後、パターンニングして、振
動子2を形成する。PZTからなる基板31は、分極処
理して、電極4,5間に電圧が印加されたとき、基板面
に対して垂直な方向に振動するようにする。電極4は、
各振動子2に共通するコモン電極であり、電極5は、特
定の振動子のみを振動させるためのアドレス電極であ
る。
【0125】さらに、基板31の表面側の基板面および
電極5を、1μmの厚さのSiOなどからなる保護膜
6で被覆し、続いて、各振動子2上に、底辺の一辺が1
50μmで、高さが200μmの、ほぼ三角形の断面形
状の角錐状のシアノアクリレート系樹脂からなる弾性体
部材7を形成する。
【0126】弾性体部材7は、シアノアクリレート系樹
脂とはヌレ性が悪く、接着しにくいフッ素樹脂に凹状部
を形成し、これを型にして形成する。
【0127】次に、セラミックなどからなる部材21を
加工して、基板1上の各振動子2に対応する凹部22
と、これの間に位置する支持部23を形成し、支持部2
3を接点ないし固定点として、基板1の下面側におい
て、基板1と部材21を接着する。凹部22は、それぞ
れ閉じた空間ではなく、その一部が大気と連通するよう
にする。部材21は、基板1を支持する支持体となる。
【0128】弾性体部材7の先端7aとインク8の自由
表面8aとの距離は50μmとし、弾性体部材7の先端
7aをインク自由表面8a上に出す。そして、図示して
いない交流電源を用いて、外部から振動子2に、基板1
の剛性などとともに決まる固有の共振周波数foと同
じ、またはその整数倍の周波数fの電圧を印加して、振
動子2を励振する。
【0129】この例では、242kHzで40Vp−p
の電圧を100μ秒の間、バースト的に印加した。その
結果、アドレス電極5で選択した振動子の上方のみから
15μm直径のインクドロップ9が吐出した。
【0130】この例でも、ノズルをインク表面に配置し
ていないため、ノズル内およびその周辺へのインクの固
着はもちろんなく、微小ドロップを安定して吐出させる
ことができた。また、駆動周波数も低いので、発熱もな
く、インク8の粘度変化や固化といった問題も生じなか
った。
【0131】さらに、この例では、各振動子2の下側に
は凹部22が存在するとともに、各振動子2が、それぞ
れの周辺部において支持部23に支持されるので、各振
動子2が個々に振動しやすくなるとともに、隣接する振
動子が振動しても、それによる基板31の歪みを受ける
ことなく、インクドロップを安定に吐出することができ
る。
【0132】また、この例では、圧電材料自体を基板3
1として用いるため、より構成が簡単になり、低コスト
化が可能になるとともに、圧電材料の振動特性が基板3
1内で均一となるので、各振動子2に対応した各イジェ
クタ11から吐出するインクドロップの径や速度が記録
素子内で均一になる。
【0133】なお、圧電基板31の材料は、PZTなど
のセラミックだけでなく、ニオブ酸リチウムLiNbO
や水晶などの結晶体でもよい。また、基板31の支持
機構は図12に示したものに変えることができるととも
に、図12に示したような隔壁機構を設けることができ
る。
【0134】〔実施例6…図15〕図15は、この発明
の記録素子の第6の例の主要部を示す。この例は、振動
子と弾性体部材を、基板を挟むように基板の表裏に分け
て設けるとともに、図10および図14に示したような
支持機構を設けた場合である。
【0135】この例では、500μmの厚さの黄銅から
なる基板1の裏面に、1μmの厚さのAg電極4を堆積
後、パターンニングし、続いて、100μmの厚さのP
ZTからなる圧電セラミック薄膜3を堆積後、パターン
ニングし、さらに、0.05μmの厚さのCrと1μm
の厚さのAuの2層からなる電極5を堆積後、パターン
ニングして、振動子2を形成する。
【0136】PZTからなる圧電セラミック薄膜3は、
分極処理して、電極4,5間に電圧が印加されたとき、
その膜面に垂直な方向に振動するようにする。電極4
は、各振動子2に共通するコモン電極であり、電極5
は、特定の振動子のみを振動させるためのアドレス電極
である。
【0137】さらに、基板1を介して振動子2と対向す
る位置の、基板1の表面に、底辺の一辺が150μm
で、高さが200μmの、ほぼ三角形の断面形状の角錐
状のシアノアクリレート系樹脂からなる弾性体部材7を
形成する。弾性体部材7は、シアノアクリレート系樹脂
とはヌレ性が悪く、接着しにくいフッ素樹脂に凹状部を
形成し、これを型にして形成する。
【0138】次に、セラミックや金属などからなる部材
21を加工して、基板1上の各振動子2に対応する凹部
22と、これの間に位置する支持部23を形成し、支持
部23を接点ないし固定点として、基板1の下面側にお
いて、基板1と部材21を接着する。凹部22は、それ
ぞれ閉じた空間ではなく、その一部が大気と連通するよ
うにする。部材21は、基板1を支持する支持体とな
る。
【0139】弾性体部材7の先端7aとインク8の自由
表面8aとの距離は50μmとし、弾性体部材7の先端
7aをインク自由表面8a上に出す。そして、図示して
いない交流電源を用いて、外部から振動子2に、基板1
の剛性などとともに決まる固有の共振周波数foと同
じ、またはその整数倍の周波数fの電圧を印加して、振
動子2を励振する。
【0140】この例では、242kHzで40Vp−p
の電圧を100μ秒の間、バースト的に印加した。その
結果、アドレス電極5で選択した振動子の上方のみから
15μm直径のインクドロップ9が吐出した。
【0141】この例でも、ノズルをインク表面に配置し
ていないため、ノズル内およびその周辺へのインクの固
着はもちろんなく、微小ドロップを安定して吐出させる
ことができた。また、駆動周波数も低いので、発熱もな
く、インク8の粘度変化や固化といった問題も生じなか
った。
【0142】さらに、この例では、各振動子2の下側に
は凹部22が存在するとともに、各振動子2が、それぞ
れの周辺部において支持部23に支持されるので、各振
動子2が個々に振動しやすくなるとともに、隣接する振
動子が振動しても、それによる基板1の歪みを受けるこ
となく、インクドロップを安定に吐出することができ
る。
【0143】また、振動子2が基板1の裏面に、弾性体
部材7が基板1の表面に、互いに分離して配置されるの
で、振動子2がインク8にさらされることがない。した
がって、SiOなどの保護膜が不要になるとともに、
振動子2が腐食またはショートすることがなく、極めて
信頼性の高い記録素子が得られる。
【0144】〔実施例7…図16〕図16は、この発明
の記録素子の第7の例の主要部を示す。この例は、弾性
体部材を圧電基板と一体に形成した場合である。
【0145】この例では、2mmの厚さ(図16の矢印
b方向)のPZTからなる基板31の裏面に、0.05
μmの厚さのCrと1μmの厚さのAuの2層からなる
電極4を堆積後、パターンニングし、続いて、0.05
μmの厚さのCrと1μmの厚さのAuの2層からなる
電極5を、基板31の表面に堆積後、パターンニングし
て、振動子2を形成する。電極4は連結されたコモン電
極であり(図では連結した部分まで示していない)、電
極5は各振動子2を個別に選択駆動するためのアドレス
電極である。
【0146】PZTからなる基板31は、分極処理し
て、電極4,5間に電圧が印加されたとき、基板面に対
して平行な、図16(B)の矢印c方向に振動し、変位
するようにする。
【0147】次に、基板31の図16(A)(B)にお
いて上方側の端面を放電加工により加工して、その基板
端面の中央部に、底辺の一辺が150μmで、高さが2
00μmの、ほぼ三角形の断面形状の角錐状の弾性体部
材7を形成する。
【0148】弾性体部材7を形成した後、ダイサーによ
り基板31に切れ込みを入れて、各振動子2を分離す
る。このような分離方法を用いることにより、図14に
示した実施例5などのように、別の部材を用いて特別に
支持体を形成する必要がなく、記録素子を低コストで作
製することができる。
【0149】さらに、インク8と接する基板31、弾性
体部材7および電極4,5を保護するために、図では省
略しているが、基板31、弾性体部材7および電極4,
5を、1μmの厚さのSiOなどからなる保護膜で被
覆する。
【0150】弾性体部材7の先端7aとインク自由表面
8aとの距離は100μmとし、弾性体部材7の先端7
aをインク自由表面8a上に出す。
【0151】図示していない交流電源を用いて、外部か
ら振動子2に、固有の共振周波数foと同じ、またはそ
の整数倍の周波数fの電圧を印加して、振動子2を励振
する。この例では、500kHZで60Vp−pの電圧
を100秒の間、バースト的に印加した。その結果、ア
ドレス電極5で選択した振動子の上方のみから15μm
直径のインクドロップ9が吐出した。
【0152】この例では、ノズルをインク表面に配置し
ていないため、ノズル内およびその周辺へのインクの固
着はもちろんなく、微少ドロップを安定して吐出させる
ことができた。また、駆動周波数も低いので、発熱もな
く、インク8の粘度変化や固化といった問題も生じなか
った。
【0153】さらに、この例では、各振動子2が機械的
に分離されるので、隣接する振動子が振動しても、それ
による基板31の歪みを受けることなく、インクドロッ
プを安定に吐出することができる。
【0154】また、この例では、圧電材料自体を基板3
1として用い、その圧電基板31に切れ込みを入れるこ
とによって各振動子2に分離するので、ヘッドの構成と
作製工程が簡単となり、低コスト化が可能となる。ま
た、圧電材料の振動特性が基板31内では均一であるの
で、各振動子2から吐出するインクドロップの径や速度
が均一になる。
【0155】なお、圧電基板31の材料は、PZTなど
のセラミックだけでなく、ニオブ酸リチウムLiNbO
や水晶などの結晶体でもよい。また、圧電セラミック
で、振幅を大きくするために多層に積み重ねた積層セラ
ミックを、圧電基板31として用いることもできる。
【0156】また、圧電基板31の一部を加工して弾性
体部材7を形成するにあたっては、放電加工に限らず、
ウエット・エッチングやドライ・エッチング、またはレ
ーザー加工など方法を用いてもよい。
【0157】なお、ダイサーなどにより圧電基板31に
切れ込みを入れることによって振動分離する方法は、作
製工程が簡単になる利点があるので、電極4,5の形成
後には、圧電基板31の端部を加工しないで、別の部材
で弾性体部材7を形成した後、ダイサーなどにより圧電
基板31に切れ込みを入れて振動分離することも、もち
ろん有効である。
【0158】〔実施例8…図17、図18〕図17は、
この発明の記録装置の一例の主要部を示す。
【0159】この例の記録装置40は、実施例2で示し
た記録素子41がキャリッジ42に固定される。キャリ
ッジ42は、ガイド43に案内されて、印字紙44の紙
幅方向に往復移動し、印字紙44が送りローラ45の回
転によってガイド46,47に沿って送られることによ
って、印字紙44の全面にわたって画像が印字されるよ
うにされる。
【0160】記録素子41は、図18に示すように、振
動子と弾性体部材からなるイジェクタ11が、基板上に
チドリ状に配列されたもので、これによって、振動子お
よび弾性体部材が比較的大きくても、高密度印字ができ
るようになる。
【0161】また、図18に示す例は、いわゆるマトリ
ックス駆動の例で、リードA1〜A5は、一方の電極の
リードで、各イジェクタ11と縦方向に接続され、リー
ドB1〜B6は、他方の電極のリードで、各イジェクタ
11と横方向に接続される。そして、リードA1〜A5
のいずれかと、リードB1〜B6のいずれかとの間に電
圧が印加されることによって、一つのイジェクタが選択
され、励振される。
【0162】図17の記録装置40において、キャリッ
ジ42の送り速度と記録素子41内の各振動子の配置間
隔は、600dpi(ドット/インチ)に対応するよう
にされる。
【0163】記録素子41は、黒、イエロー、マゼン
タ、シアンの4色に対応した4つの記録素子部によって
構成され、インク供給部48と接続される。インク供給
部48は、内部に、黒、イエロー、マゼンタ、シアンの
4色のインクを保持したものである。
【0164】インク供給部48に保持された各色のイン
クは、記録素子の各色の記録素子部に供給される。そし
て、画像信号に対応した振動子に電圧が加わると、その
選択された振動子上のインク面からインクドロップが吐
出されて、画像が形成されていく。
【0165】なお、図示していないが、記録素子41へ
の電気的信号は、キャリッジ42を介して外部から送ら
れる。記録素子41の駆動条件は基本的には実施例2で
示したものと同じである。
【0166】印字後の印字紙44上に形成されたドット
は、吐出されたインクドロップ径のほぼ倍の、ほぼ30
μm径の円状に整った均一ドットであった。なお、印字
を続けても、ドット径が変動することもなく、またイン
クが吐出されなくなることもなかった。
【0167】なお、印字していない休止もしくは停止状
態では、なるべく弾性体部材先端がインク中に埋没さ
れ、大気中に露出していないことが望ましい。インクの
成分が蒸発するため、弾性体部材先端が大気中に露出し
ている時間が比較的長いと、インク表面に接している弾
性体部材の側壁には、そこで固化した一部のインクが付
着していき、以後の吐出を不安定なものにするからであ
る。
【0168】この例の記録装置40は、この発明による
記録素子41を有するため、印字紙44上に高い解像度
に対応する微小ドットを安定に形成でき、高品位な印字
が可能となる。
【0169】なお、記録素子41としては、実施例2以
外の実施例の記録素子を用いることもできる。
【0170】〔実施例9…図19〕図19は、この発明
の記録装置の他の例を示す。この例の記録装置は、基本
的には図17に示した実施例8の記録装置40と、ほと
んど同じであり、キャリッジなどは省略し、記録素子4
1と印字紙44との関係を示している。
【0171】ただし、図17に示した記録装置40は、
記録素子41が垂直に立って印字紙44と向き合う構成
である。すなわち、記録素子41の基板面が重力方向に
一致している場合である。これに対して、この図19の
例は、記録素子41の基板面が重力方向に対して直交す
る場合である。また、この例の記録装置は、記録素子4
1として、図12に示した実施例4のように隔壁構造を
有するものが用いられる。
【0172】この例の記録装置の記録素子41は、基板
1上に、振動子2と弾性体部材7からなるイジェクタが
複数、設けられて、インクリザーバ50内に配される。
インクリザーバ50内には、支持板51が設けられ、基
板1上に設けられた記録素子41は、支持体24を介し
て支持板51上に支持される。
【0173】インクリザーバ50は、支持板51によっ
て2つのインク室52および53に分けられ、その2つ
のインク室52,53間には、フィルタ54が設けられ
る。インク室52には、図では省略したポンプによっ
て、チューブ55を介して、上述したインク供給部から
インク8が供給される。インク室52に供給されたイン
ク8は、フィルタ54を通って、弾性体部材7が配され
たインク室53に供給される。基板1上の振動子2に対
しては、フレキシブルケーブル56を通じて外部から画
像信号に対応した駆動電圧が供給される。
【0174】インクリザーバ50の印字紙44と対向す
る側には、図12に示した隔壁29と同様の隔壁を構成
する構造部57が形成される。
【0175】そして、この記録装置の使用時には、イン
ク室53内において、インク自由表面8aが、実線で示
すように弾性体部材7の先端7aより下側となるよう
に、上記のポンプによってインクリザーバ50へのイン
ク8の供給が制御される。
【0176】これに対して、記録装置の非使用時には、
利用者の操作によって、または記録装置に対する電源の
遮断などに基づいて自動的に、インク室53内におい
て、インク自由表面8aが、一点鎖線で示すように弾性
体部材7の先端7aより上側となるように、上記のポン
プによってインクリザーバ50へのインク8の供給が制
御される。
【0177】したがって、装置の使用時には、弾性体部
材7の先端7aがインク自由表面8aより上側にあるこ
とによって、上述したように微小インクドロップによる
印字が可能となるとともに、装置の非使用時には、弾性
体部材7をインク8中に埋没させることによって、弾性
体部材7の表面でのインクの乾燥・固化を防止すること
ができる。
【0178】なお、この場合、装置の非使用時におい
て、構造部57の開口からインク8中にゴミやチリなど
が入り込まないように、またインクの蒸発を抑えるため
に、構造部57の開口を、ゴムなどからなるキャップ5
8で塞ぐようにすることができる。
【0179】図17の例の記録装置のように、記録素子
41が垂直に立って印字紙44と向き合う場合には、イ
ンクの粘度や表面張力によっては、すべての弾性体部材
に均一にインク自由表面を位置させることが困難となる
場合がある。これに対して、この例の記録装置では、記
録素子41の基板面が重力方向と直交するので、すべて
の弾性体部材に均一にインク自由表面を位置させること
ができ、各イジェクタから均一のインクドロップを安定
的に吐出させることができる。
【0180】〔実施例10…図20〕図20は、この発
明の記録装置の他の例を示す。この例の記録装置は、基
本的には、図19の例の記録装置の天地を逆にした構成
である。
【0181】したがって、この例では、インク自由表面
8aは、重力に抗して張られる。インク自由表面8aの
開口面積やインク8の表面張力を最適化すれば、重力に
抗してインク自由表面8aを安定に張ることが可能であ
る。
【0182】この場合、インクリザーバ50のインク室
52中には、スポンジ59が沈められ、このスポンジ5
9に含まれたインクが、インク室52から53に供給さ
れることによって、弾性体部材7に対して一定のインク
供給圧力がかかるようになる。また、この例において
も、装置の使用時と非使用時とでインク自由表面8aの
位置を変えることができるような構成とされる。
【0183】図19の例では、装置の使用中に、印字紙
44と送りローラとのこすれなどによって、インク自由
表面8aにゴミやチリが落下して、印字が不安定になる
おそれがある。しかし、この例によれば、そのようなお
それがない。
【0184】[その他の実施形態]なお、上述した実施
形態は、この発明を、被印字面にインクドロップを吐出
して印字を行う記録方式に適用した場合であるが、この
発明は、被印字面に水滴などの他の液体を吐出して被印
字面で化学変化などを生じさせることによって印字を行
う記録方式にも適用することができる。
【0185】
【発明の効果】上述したように、この発明によれば、ノ
ズルを用いずに、微小な液滴を吐出することができ、特
に画像の高解像度化の要求を満たすような相当に小さい
液滴を安定に吐出することができる。しかも、低周波か
つ低電力で駆動することができるので、エネルギー効率
がよく、使用可能な液体の物性範囲も広くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の記録素子の基本的構成の一例を示す
断面図および平面図である。
【図2】図1の記録素子でインクドロップが吐出される
態様を示す図である。
【図3】この発明の動作原理を説明するための図であ
る。
【図4】弾性体部材の先端とインク自由表面との関係を
説明するための図である。
【図5】弾性体部材として適するものと適しないものの
一例を示す図である。
【図6】弾性体部材として好適な例を示す図である。
【図7】弾性体部材として好適な例を示す図である。
【図8】弾性体部材の先端とインク自由表面との関係を
説明するための図である。
【図9】この発明の記録素子の一例を示す図である。
【図10】この発明の記録素子の一例を示す図である。
【図11】この発明の記録素子の一例を示す図である。
【図12】この発明の記録素子の一例を示す図である。
【図13】図12の記録素子の製造方法の説明に供する
図である。
【図14】この発明の記録素子の一例を示す図である。
【図15】この発明の記録素子の一例を示す図である。
【図16】この発明の記録素子の一例を示す図である。
【図17】この発明の記録装置の一例を示す図である。
【図18】図17の記録装置の駆動方式を示す図であ
る。
【図19】この発明の記録装置の一例を示す図である。
【図20】この発明の記録装置の一例を示す図である。
【図21】従来のピエゾ振動子型の記録素子の一例を示
す図である。
【図22】従来のサーマル型の記録素子の一例を示す図
である。
【図23】従来のノズルを用いない記録素子の一例を示
す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 振動子 7 弾性体部材 7a 先端 8 インク 8a インク自由表面 9 インクドロップ 11 イジェクタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白附 好之 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなか い 富士ゼロックス株式会社内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一部が液体表面と接した弾性体部材を備
    え、前記弾性体部材を振動させて、前記弾性体部材の前
    記液体表面から突出した部分から液滴を吐出させること
    を特徴とする記録素子。
  2. 【請求項2】請求項1の記録素子において、 前記弾性体部材が振動発生手段に接続されていることを
    特徴とする記録素子。
  3. 【請求項3】請求項2の記録素子において、 前記弾性体部材と前記振動発生手段とが一体であること
    を特徴とする記録素子。
  4. 【請求項4】請求項1の記録素子において、 前記弾性体部材は、その前記液体表面から突出した部分
    が先鋭状であることを特徴とする記録素子。
  5. 【請求項5】請求項1の記録素子において、 前記弾性体部材は、その前記液体表面から突出した部分
    が板状であることを特徴とする記録素子。
  6. 【請求項6】請求項5の記録素子において、 前記板状の部分の任意の位置に、特異点が形成されてい
    ることを特徴とする記録素子。
  7. 【請求項7】請求項6の記録素子において、 前記特異点が突起状であることを特徴とする記録素子。
  8. 【請求項8】請求項1の記録素子において、 前記弾性体部材は、その前記液体表面から突出した部分
    が針状であることを特徴とする記録素子。
  9. 【請求項9】請求項2の記録素子において、 前記振動発生手段は、基板の一面側に配された圧電体
    と、この圧電体を挟持する対の電極とからなり、前記弾
    性体部材が、前記振動発生手段に接続されていることを
    特徴とする記録素子。
  10. 【請求項10】請求項9の記録素子において、 前記振動発生手段の周辺部において、前記基板の少なく
    とも一方の面側が支持体に接続されていることを特徴と
    する記録素子。
  11. 【請求項11】請求項2の記録素子において、 前記振動発生手段は、基板の一面側に配された圧電体
    と、この圧電体を挟持する対の電極からなり、前記弾性
    体部材が、前記基板の前記圧電体が配された面とは反対
    側の面に接続されていることを特徴とする記録素子。
  12. 【請求項12】請求項11の記録素子において、 前記振動発生手段の周辺部において、前記基板の少なく
    とも一方の面側が支持体に接続されていることを特徴と
    する記録素子。
  13. 【請求項13】請求項2の記録素子において、 前記振動発生手段は、圧電体と、この圧電体を挟持する
    対の電極とからなり、前記弾性体部材が、前記圧電体の
    一面側に接続されていることを特徴とする記録素子。
  14. 【請求項14】請求項1の記録素子において、 前記弾性体部材の隣り合うものの間の、前記液体表面の
    近傍位置または前記液体内の位置に、隔壁が設けられた
    ことを特徴とする記録素子。
  15. 【請求項15】請求項14の記録素子において、 前記隔壁は、前記液体表面にほぼ水平な部位と、前記液
    体表面にほぼ垂直な部位とからなることを特徴とする記
    録素子。
  16. 【請求項16】請求項2の記録素子において、 前記振動発生手段が、バースト波で駆動されることを特
    徴とする記録素子。
  17. 【請求項17】請求項1の記録素子において、 前記弾性体部材が、一方向に配列された複数の電極配線
    と、これに対して斜めに交差する複数の電極配線との交
    差点に、配列されたことを特徴とする記録素子。
  18. 【請求項18】記録素子から被印字面に液滴を吐出させ
    て印字を行う記録装置において、 前記記録素子は、一部が液体表面と接した弾性体部材を
    備え、前記弾性体部材を振動させて、前記弾性体部材の
    前記液体表面から突出した部分から液滴を吐出させるも
    のであることを特徴とする記録装置。
  19. 【請求項19】請求項18の記録装置において、 前記記録素子を使用しないときに前記弾性体部材を前記
    液体中に埋没させる手段を設けたことを特徴とする記録
    装置。
JP8215036A 1996-07-26 1996-07-26 記録素子および記録装置 Expired - Lifetime JP2965513B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8215036A JP2965513B2 (ja) 1996-07-26 1996-07-26 記録素子および記録装置
US08/897,597 US6336707B1 (en) 1996-07-26 1997-07-21 Recording element and recording device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8215036A JP2965513B2 (ja) 1996-07-26 1996-07-26 記録素子および記録装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1034916A true JPH1034916A (ja) 1998-02-10
JP2965513B2 JP2965513B2 (ja) 1999-10-18

Family

ID=16665700

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8215036A Expired - Lifetime JP2965513B2 (ja) 1996-07-26 1996-07-26 記録素子および記録装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US6336707B1 (ja)
JP (1) JP2965513B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7954925B2 (en) 2006-10-16 2011-06-07 Seiko Epson Corporation Droplet discharging head and method for manufacturing the same, and droplet discharging device

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6416678B1 (en) * 1998-12-22 2002-07-09 Xerox Corporation Solid bi-layer structures for use with high viscosity inks in acoustic ink printing and methods of fabrication
US6702196B2 (en) * 1999-03-31 2004-03-09 Ngk Insulators, Ltd. Circuit for driving liquid drop spraying apparatus
US7717544B2 (en) 2004-10-01 2010-05-18 Labcyte Inc. Method for acoustically ejecting a droplet of fluid from a reservoir by an acoustic fluid ejection apparatus
US7454958B2 (en) * 2001-12-04 2008-11-25 Labcyte Inc. Acoustic determination of properties of reservoirs and of fluids contained therein
US20030101819A1 (en) * 2001-12-04 2003-06-05 Mutz Mitchell W. Acoustic assessment of fluids in a plurality of reservoirs
US7354141B2 (en) * 2001-12-04 2008-04-08 Labcyte Inc. Acoustic assessment of characteristics of a fluid relevant to acoustic ejection
JP2007050584A (ja) * 2005-08-17 2007-03-01 Fujifilm Holdings Corp ミスト吐出ヘッド及び画像形成装置
JP2007144843A (ja) * 2005-11-29 2007-06-14 Fujifilm Corp インクジェットヘッドおよびこれを備える画像記録装置
US7753636B2 (en) * 2008-03-25 2010-07-13 Hennig Emmett D Adjustable bale mover spikes

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US2512743A (en) * 1946-04-01 1950-06-27 Rca Corp Jet sprayer actuated by supersonic waves
JPS6090771A (ja) * 1983-10-26 1985-05-21 Tokyo Electric Co Ltd インクドツトプリンタ−
JPS6283151A (ja) * 1985-10-08 1987-04-16 Tokyo Electric Co Ltd 印刷装置
JPS6285948A (ja) 1985-10-11 1987-04-20 Nec Corp インクミスト記録方式ならびにこれを用いた画像記録装置
JPH02164546A (ja) 1988-12-20 1990-06-25 Fujitsu Ltd インクジェット記録装置
JPH02235644A (ja) 1989-03-08 1990-09-18 Fujitsu Ltd インクジェット記録装置
JPH02269058A (ja) * 1989-03-14 1990-11-02 Seiko Epson Corp レーリーモード弾性表面波による液滴ジェット装置
JPH035150A (ja) 1989-06-02 1991-01-10 Fuji Xerox Co Ltd インクジェット記録装置及び記録方法
JPH04168050A (ja) 1990-11-01 1992-06-16 Nec Eng Ltd 印刷ヘッド
US5268610A (en) * 1991-12-30 1993-12-07 Xerox Corporation Acoustic ink printer
US5589864A (en) 1994-09-30 1996-12-31 Xerox Corporation Integrated varactor switches for acoustic ink printing
JP2907085B2 (ja) * 1995-12-14 1999-06-21 日本電気株式会社 インクジェット式ヘッド装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7954925B2 (en) 2006-10-16 2011-06-07 Seiko Epson Corporation Droplet discharging head and method for manufacturing the same, and droplet discharging device

Also Published As

Publication number Publication date
US6336707B1 (en) 2002-01-08
JP2965513B2 (ja) 1999-10-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3189184B2 (ja) 音響インク滴下プリンタ
JPS63166547A (ja) 音響印刷用プリントヘッド
KR19980033257A (ko) 잉크제트 기록장치와 그 제조방법
JP2965513B2 (ja) 記録素子および記録装置
JPH09226106A (ja) インクジェット式記録装置
JPH1058672A (ja) インクジェットヘッド
JP3449187B2 (ja) インクジェット記録ヘッド
JP3422230B2 (ja) インクジェット記録ヘッド
JP3740791B2 (ja) 液滴形成装置および画像形成方法
JPH11235825A (ja) 記録ヘッド
JP3438544B2 (ja) インクジェット記録ヘッド
JP3185804B2 (ja) インクジェット式記録ヘッド
JPH09226111A (ja) 記録方法および記録装置
JPH11254666A (ja) 記録装置
JPH1120162A (ja) インクジェット記録装置
JPH1134330A (ja) インクジェット記録装置
JPH1134315A (ja) インクジェット記録装置
JPH1148472A (ja) インクジェット記録ヘッド
JPH1142776A (ja) インクジェット記録ヘッド
JPH11227184A (ja) 記録ヘッド
JPH1142778A (ja) インクジェット記録装置
JPH1110865A (ja) 記録ヘッド
JPH1120163A (ja) インクジェット記録ヘッド
JPH1134314A (ja) インクジェット記録ヘッド
JPH11235822A (ja) 記録ヘッド