JPH1148390A - 被覆構造、これに用いるシート担持表面被覆材及び被覆構造の形成方法 - Google Patents

被覆構造、これに用いるシート担持表面被覆材及び被覆構造の形成方法

Info

Publication number
JPH1148390A
JPH1148390A JP22441197A JP22441197A JPH1148390A JP H1148390 A JPH1148390 A JP H1148390A JP 22441197 A JP22441197 A JP 22441197A JP 22441197 A JP22441197 A JP 22441197A JP H1148390 A JPH1148390 A JP H1148390A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
sheet
layer
covering material
laminated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22441197A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaharu Shinoda
正治 篠田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
EREGANTO KK
Original Assignee
EREGANTO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by EREGANTO KK filed Critical EREGANTO KK
Priority to JP22441197A priority Critical patent/JPH1148390A/ja
Publication of JPH1148390A publication Critical patent/JPH1148390A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリマーセメント系被覆材のような乾燥硬化
に時間の係る被覆材料を使用した場合にも、被覆作業を
行う場所の環境等に左右されることなく、精度の高い被
覆構造を容易に形成することのできる被覆構造を提供す
る。 【解決手段】 被覆対象物1に塗着形成される接着下地
層2と、上記接着下地層2にシート状被覆材3aを貼着
積層して形成される表面被覆層3と、表面に被覆材料を
積層することにより上記シート状被覆材を形成するとと
もに、上記シート状被覆材を剥離可能に担持し、上記シ
ート状被覆材と一体的に上記接着下地層に貼着積層さ
れ、その後剥離除去される担持シート4とを備えて構成
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、被覆構造、これ
に用いるシート担持表面被覆材及び被覆構造の形成方法
に関する。詳しくは、セメント系被覆材料等の乾燥硬化
しにくい被覆材料から形成される表面被覆層を短時間に
かつ容易に形成することのできる被覆構造等に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の塗料は、被覆対象物に塗着した後
に、数時間〜数日間空気中に放置して塗膜を自然乾燥さ
せ、あるいは熱を作用させて強制乾燥させるものが多か
った。
【0003】塗着した直後の塗膜は、埃等が付着しやす
く、また、手指が接触すると手指に塗料が付着したり、
塗膜の表面に指紋等の形が残りやすい。このため、塗装
を行いあるいは乾燥を行う場所では、手指や異物が塗膜
に接触しないように細心の注意を払わなければならな
い。また、埃等が浮遊しないように、周りの雰囲気を清
浄に保持しなければならない。
【0004】上記問題を解決するため、短時間で乾燥す
る溶剤等を利用し、あるいは硬化反応の早いヒビクル等
を用いて乾燥硬化時間を短縮することにより上記のよう
な問題を緩和している。
【0005】また、塗膜表面に光沢が要求される場合、
できるだけ凹凸の少ない表面を形成しなければならな
い。このような場合、形成した塗膜の表面を目の細かい
サンドペーパ等で研削して表面を平滑化し、透明塗料等
によって最終的な仕上げ塗装を行うといった手法が採用
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】通常、被覆対象物に塗
着形成される被覆構造は、複数回の塗装工程を繰り返し
て形成される複数の塗膜層から構成されるものが多い。
これは、被覆対象物の表面に、均一な厚さの塗膜を、一
度の塗装工程で形成するのは困難だからである。このた
め、複数回の塗装−乾燥工程が行われて所望の厚さの塗
膜が形成される。さらに、表面に光沢が要求される場合
には、塗膜の最外層に透明な塗料等を用いてクリア層を
形成することも多い。
【0007】また、乾燥時間が長いほど塗膜の性能が向
上する塗料が多く、充分な乾燥時間を確保する必要があ
る塗料も多い。このため、短時間のうちに重ね塗り等を
行うと、積層被覆構造の内部に剥離等の欠陥等が生じる
場合も多くなる。
【0008】一方、乾燥に必要な時間が増加すると、ゴ
ミ等の付着や、異物の接触による外的な欠陥が発生しや
すい。
【0009】また、従来の塗料は、刷毛あるいはエアガ
ン等を用いて塗装されることが多い。しかし、均一な皮
膜を形成するのは困難であり熟練を要する。特に、垂直
面等に塗装を施す場合には、塗料が垂れることも多く、
均一で美麗な塗装面を形成するのは困難である。
【0010】さらに、工場内において塗装を行う場合に
おいても、乾燥に要する時間が長いと、次の工程に移る
ことができないといった問題が生じる。また、製品を乾
燥させるために風通しのよい環境を確保する必要が生
じ、大きな乾燥スペースを確保する必要が生じる。この
ため、生産効率が低下するとともに、多大な設備投資を
必要とする事態も生じる。
【0011】近年、耐候性、耐熱性等に優れるポリマー
セメント系の被覆材料が、種々の場面で使用されてい
る。このポリマーセメント系被覆材料は、ポリマー系の
接合剤とセメント系の接合剤との長所を合わせ持つ一
方、溶媒として水を使用するため、従来の有機溶剤を使
用した塗装材に比べて乾燥硬化時間が長く、乾燥工程に
おける上述した問題が発生しやすかった。
【0012】また、骨材を含むため、そのままでは光沢
のある表面精度の高い被覆構造を構成するのが困難であ
った。
【0013】しかも、強制的に加熱乾燥することも困難
であるため、工場内で大量生産される製品に適用するこ
とも困難であった。
【0014】本願発明は、上述の事情のもとで考え出さ
れたものであって、上記乾燥工程における種々の問題を
解決して、被覆作業を行う場所の環境等に左右されるこ
となく、精度の高い被覆構造を容易に形成することので
きる被覆構造、これに用いるシート担持表面被覆材及び
被覆構造の形成方法を提供することをその課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願発明では次の技術的手段を講じている。
【0016】本願の請求項1に記載した発明は、被覆対
象物の表面に積層形成される被覆構造であって、上記被
覆対象物に塗着形成される接着下地層と、上記接着下地
層にシート状被覆材を貼着積層して形成される表面被覆
層と、表面に被覆材料を積層することにより上記シート
状被覆材を形成するとともに、上記シート状被覆材を剥
離可能に担持し、上記シート状被覆材と一体的に上記接
着下地層に貼着積層され、その後剥離除去される担持シ
ートとを備える被覆構造である。
【0017】本願発明に係る被覆構造は、表面側、すな
わち最外側に形成される表面被覆層を担持シートにあら
かじめ形成したシート状被覆材を貼着積層することによ
って形成する。このシート状被覆材は、被覆対象物表面
に形成された接着下地層を介して被覆対象物に貼着積層
され、上記接着下地層と一体的に接合して表面被覆層を
構成する。
【0018】上記表面被覆層は、上記担持シート上で乾
燥硬化させられているため、従来の塗装工程のような表
面被覆の乾燥工程を必要としない。
【0019】このため、被覆層の表面にゴミ等が付着す
る恐れはほとんどない。また、積層貼着した表面被覆層
の表面に異物が接触しても、塗料が付着することはな
い。このため、埃の多い場所においても、表面精度の高
い被覆構造を容易に形成することができる。
【0020】特に、乾燥硬化に時間を要する被覆材料を
採用して表面被覆層を形成する場合にも、表面被覆層を
あらかじめ形成するため、乾燥硬化時間を充分に確保す
ることができる。また、塵等が付着する恐れのない環境
で表面被覆層を形成することができる。このため、表面
被覆層を構成する被覆材料の性能を充分に発揮させるこ
とができる。
【0021】また、工場内において被覆構造を形成する
場合においても、乾燥工程に要する時間を短縮すること
ができ、しかも、製品に形成された被覆層を乾燥硬化さ
せるためのスペースを縮小することができ、生産効率が
大幅に向上する。
【0022】本願発明に係る被覆対象物は特に限定され
ることはなく、金属、コンクリート、樹脂材料、木材等
種々の材料に適用することができる。また、その表面形
状も限定されることはなく、担持シート及びこれに形成
されるシート状被覆材を柔軟性のある被覆材料を用いて
形成することにより、平坦面のみならず、曲面や凹凸の
ある表面に対しても適用することができる。
【0023】本願発明に係る接着下地層は、基本的に被
覆対象物の表面に塗着形成される。塗着方法として、種
々の手法を採用することができる。たとえば、刷毛によ
る塗着、エアガン等を用いた吹き付け法を採用できる。
上記接着下地層の厚さも、表面被覆材料を接合できれ
ば、必要に応じて種々の厚さに設定できる。
【0024】本願発明においては、シート状被覆材が貼
着積層され、あるいはこのシート状被覆材と担持シート
が貼着積層された状態で、接着下地層が乾燥硬化させら
れる。すなわち、表面被覆層及び担持シートによって保
護された状態で接着下地層の乾燥硬化が進行する。この
ため、接着下地層の乾燥硬化にも充分な時間をかけるこ
とができるとともに、乾燥硬化に長い時間を要する被覆
材料を採用することも可能となる。また、接着下地層と
表面被覆層との接合も充分に行われ、これらが一体的な
被覆層を構成する。
【0025】なお、上記接着下地層の乾燥硬化とは、乾
燥と硬化が同時に進行する場合を含むほか、反応によっ
て硬化のみが生じる場合も含む。
【0026】本願発明に係る被覆構造においては、接着
下地層の表面が、あらかじめ乾燥硬化させられた上記シ
ート状被覆材で覆われるため、接着下地層に多少のむら
があっても、精度の高い表面を備える被覆構造を形成す
ることができる。
【0027】上記接着下地層及び表面被覆層を構成する
被覆材料として、種々のものを採用することができる
が、できるだけ配合成分の共通する被覆材料、あるいは
一体的に接合できる被覆材料を採用するのが望ましい。
積層貼着されて被覆層を一体化させる必要があるからで
ある。この点、粘着剤を用いて積層される壁紙等と大き
く異なる。
【0028】配合成分が共通する被覆剤を採用する場合
であっても、上記接着下地層と上記表面被覆層の要求す
る機能を考慮して被覆剤を選定するのが望ましい。すな
わち、被覆対象物の表面に対する接着性能や、シート状
被覆材に対する接着性能を重視して、接着下地層を構成
する被覆材料を選定することが望ましい。また、防水
性、耐候性、耐熱性、耐衝撃性等の要求に対応する必要
が生じる場合もある。
【0029】一方、表面被覆層を構成する被覆材料は、
上記のような物理的な性質のみならず、発色性や意匠性
等を考慮して選択する必要がある。
【0030】本願の請求項2に記載した発明は、上記表
面被覆層及び/又は接着下地層を、複数の層から構成し
たものである。
【0031】上記表面被覆層は、被覆対象物の最外側に
形成されるものであるため、硬度等の物理的強度、耐薬
品性等の化学的特性を要求されるばかりでなく、意匠性
を要求される場合もある。一方、上記接着下地層は、被
覆対象物に対する接着性能を要求されるとともに、表面
被覆材に対する接着性能を要求される。
【0032】本願発明は、複数の層から表面被覆層を形
成することにより、上記の目的を達成するものである。
なお、複数の層は、要求される機能に応じて同種の被覆
材料を用いて構成することもできるし、異なる被覆材料
を用いて構成することもできる。
【0033】たとえば、請求項5に記載した発明は、上
記表面被覆層を、担持シートの全面に積層形成されるク
リア層と、このクリア層の一部又は全部に、着色被覆材
料を用いて積層形成される着色模様層とを備えて構成し
たものである。
【0034】通常、被覆層の最外層には、表面の光沢等
を向上させるとともに、皮膜を保護するためのクリア層
が設けられることが多い。一方、上記クリア層の内側に
は、絵柄等を構成する着色模様層が設けられる。
【0035】本願発明においては、上記クリア層と着色
模様層とを上記担持シートにあらかじめ形成しておき、
このクリア層及び着色模様層から構成されるシート状被
覆材を接着下地層に対して貼着積層する。なお、上記担
持シートに対してクリア層が形成された後に、着色模様
層が形成されることになるため、通常の被覆構造の形成
過程とは逆になる。
【0036】本願発明に係るシート状被覆材は、上記ク
リア層の表面側が担持シートの表面に対接した状態で形
成される。また、上記クリア層は、工場塔の管理された
場所で形成できるため、クリア層の表面にゴミ等が付着
することがない。このため、鏡面に近い表面を形成する
ことも可能となり、精度の高い被覆層を形成することが
できる。
【0037】しかも、クリア層を先に形成してこのクリ
ア層に対して着色模様層を積層するため、着色模様層を
形成する被覆材料に骨材等を配合しても、平滑な表面を
有するシート状被覆材を形成できる。
【0038】一方、上記クリア層は、透明な被覆材料か
ら形成できるとともに、柔軟性のある皮膜を形成でき
る。このため、上記着色模様層を構成する被覆材料に接
着性能の低いものを採用しても、上記クリア層を介して
上記着色模様層を担持シートに担持させることができ
る。
【0039】また、クリア層を介して着色模様層を担持
シートに保持させることができるため、着色模様層を上
記クリア層の一部又は全部に積層形成することができ
る。クリア層の一部に着色模様層を形成することによっ
て、着色模様層を形成していない部分は、接着下地層の
色彩が表面に表れることになる。。したがって、着色模
様層に形成した色柄の背景として、接着下地層を利用す
ることが可能となる。
【0040】さらに、上記着色模様層を設けることによ
ってシート状被覆材の裏面側に、すなわち、接合面側に
凹凸が生じても、接着下地層に吸収させることが可能と
なる。このため、被覆構造の表面は平坦面でありなが
ら、図柄等が浮き上がるように被覆層表面を形成するこ
とが可能となり、意匠性の高い、これまでにない被覆構
造を形成することができる。
【0041】特に、大理石模様のように、複数の色彩を
散りばめたような模様を、表面の平滑性を保持したまま
容易に表現することが可能となる。
【0042】しかも、表面被覆層は、担持シートに形成
された後に、接着下地層に貼着積層されるため、複数の
被覆層を形成しても施工現場における工程を増加させる
ことはない。
【0043】上記表面被覆層及び/又は接着下地層を構
成する被覆材料として、請求項3に記載した発明のよう
に、セメント系無機質接合剤と、樹脂又は/及びゴムの
水性高分子物質からなる有機質接合剤とを含む水性被覆
材料を採用することができる。
【0044】セメント系無機質結合剤を含む水性被覆剤
は、水分を多量に含んで構成されるため、乾燥硬化時間
が有機系溶剤を使用した塗料等に比べて長い。また、通
常の塗料に比べて厚塗りしなければならないため、現場
施工で精度の高い平坦面を形成するのは困難であった。
このため、セメント系無機質結合剤を含む水性被覆剤
は、被覆剤としての性能が高いにも係わらず、建築用途
以外に使用されることは少なかった。
【0045】また、セメント系無機質接合剤を含む被覆
剤は、水硬性であり溶媒の蒸発等による収縮が少ない。
また、重ね塗りした場合に被覆構造を一体化させやすい
ため、本願発明に係る被覆構造を構成する被覆材料に適
する。
【0046】上記セメント系無機質接合材に、樹脂又は
/及びゴムの水性高分子物質からなる有機質接合剤を配
合することにより、被覆構造の柔軟性を高めることがで
きる。また、セメント系無機質接合剤と有機質接合剤
は、相互にその性質を補いあって、有機溶媒等を用いた
従来の被覆材料にない特性を発揮する。さらに、樹脂に
対する接着性が高まるため、担持シートに対してシート
状被覆材を確実に担持させることが可能になる。
【0047】すなわち、セメント系無機質接合剤は水と
反応してセメント水和物を形成するとともに、水性高分
子成分が脱水、乾燥されて自着性と接着性を有するポリ
マーフィルムを形成する。このため、被覆対象物に対す
る接着性が高まり、請求項4に記載した発明のように骨
材を配合した場合には、このポリマーフィルムがセメン
ト水和物と骨材とを強固に接合し、被覆構造の強度等を
大幅に向上させる。
【0048】また、混練状態で流動性が増大してワーカ
ビリティが向上し、保水性が向上し、ブリージングや材
料分離に対する抵抗性が向上する。また、硬化すると、
曲げ強度、引張強度が大幅に増加し、防水性に優れ、乾
燥収縮性が低減する。しかも、ポリマー成分の働きによ
って、コンクリート、タイル、石材、鋼、ガラス、木
材、合成樹脂材料等に対する接着力が大幅に増加すると
ともに、耐衝撃性及び耐磨耗性が数倍に増加し、さら
に、耐薬品性、耐候性、耐熱性等も大幅に改善される。
【0049】上記セメント系無機質接合剤として、水硬
性セメント、気硬性セメント、特殊セメント等種々のも
のがある。本願発明では、特定のセメントに限定される
ことはないが、取り扱い易さ、耐熱性、耐水性、耐候性
がよく、また安価に入手できる水硬性セメントを採用す
るのが好ましい。水硬性セメントとして、普通ポルトラ
ンドセメント、白色ポルトランドセメント等を採用する
ことができる。
【0050】一方、上記有機質接合剤として、アクリル
酸アルキルエステル−アクリロニトリル−メタクリル酸
共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ブ
タジエン−メタクリル酸共重合体、イソプレン−アクリ
ル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体
或いはアクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸共
重合体などのアクリル酸エステル−アクリル酸共重合
体、アクリル酸ブチル−メタクリル酸共重合体或いはア
クリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸共重合体な
どのアクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、カル
ボキシルポリイソブチレン、エチレン−アクリル酸共重
合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ブタジエン−
スチレンカルボキシルエラストマー、ブタジエンアクリ
ロニトリルカルボキシルエラストマー、ブタジエン−メ
タクリロニトリルカルボキシルエラストマー、ブタジエ
ン−塩化ビニリデンカルボキシルエラストマー、ポリク
ロロプレンカルボキシルエラストマー、ポリエチレンカ
ルボキシルエラストマー或いはポリイソブチレンカルボ
キシルエラストマーなどのエマルジョン、水溶液又はデ
ィスパージョンが挙げられる。
【0051】エマルジョン、水溶液、ディスパーション
等の形態の高分子物質は、セメント系無機質接合剤との
親和性がよく、容易に混練することができる。
【0052】また、樹脂又は/ゴムの水性高分子物質と
して、上述したエマルジョン等の液体状のものを採用で
きるのみならず、たとえば、パウダー状の水性高分子物
質を採用することができる。
【0053】たとえば、水を加えることによって、容易
にエマルジョン化する酢酸ビニル・ベオバ共重合樹脂等
を採用することによって、施行現場で被覆層を形成する
際の作業性が格段に向上する。
【0054】本願の請求項4に記載した発明は、請求項
3に記載した発明に係る配合にさらに、骨材を配合した
ものである。
【0055】上記セメント系無機質接合剤と水性高分子
物質からなる有機質接合剤とを合わせて用いるとともに
骨材を配合することにより、接着強度及び機械的強度等
を大幅に向上させることができる。
【0056】本願発明に係る被覆材は、セメント系無機
質接合剤及び骨材を含むため、耐熱性が樹脂のみで形成
された被覆層に比べて格段に高い。したがって、被覆対
象物に耐熱性及び耐火性を持たせることもできる。
【0057】また、骨材を含むため、被覆層自体が紫外
線等によって劣化することもなく、また紫外線が被覆対
象物の表面に到達することもない。したがって、耐候性
も大幅に向上する。
【0058】また、骨材を含有するため表面強度が大き
い。このため、従来の被覆構造のように容易に傷つくと
いったこともない。
【0059】しかも、本願発明に係る被覆構造は、担持
シート上に被覆材料を積層してシート状被覆材を形成す
る。このため、骨材を配合しても、担持シートの表面の
性状に応じた表面を備える表面被覆層を形成できる。
【0060】すなわち、比較的大きな骨材を含有する被
覆材料を採用した場合であっても、上記担持シートによ
って平滑な表面を備える表面被覆層を容易に形成でき
る。しかも、乾燥硬化したシート状被覆材を被覆対象物
に貼着積層するだけであるため、壁紙を貼るようにして
表面被覆層を形成することができる。したがって、表面
被覆層の表面精度を高く保持できる。
【0061】しかも、シート状被覆材を構成する場合、
上記クリア層あるいは補強層を介して大きな骨材を担持
させることも可能となり、従来では、構成できなかった
被覆構造を形成することも可能となる。
【0062】また、上記構成による被覆構造は、接着材
あるいは粘着材を用いて表面被覆層を貼着積層するので
はなく、接着下地層と表面被覆層との一体性がきわめて
高い。このため、耐候性、耐熱性等の高い被覆構造を構
成でき、外壁被覆等の屋外被覆構造にも適用できる。
【0063】なお、本願発明に係る被覆材料は、他の塗
料はもちろん、他のセメントモルタル、粉状石材、石膏
等を容易に積層することができる。もちろん、高分子物
質からなる有機質接合剤をも含有するため、樹脂系材料
に対する接着性もよい。このため、この被覆材料によっ
て接着下地層を形成することにより、種々の表面被覆層
を一体的に接合形成することができる。
【0064】しかも、樹脂の配合量を増加させることに
より、担持シートに形成するシート状被覆材に柔軟性を
付与することができるため、シート状被覆材を担持シー
トに担持させた状態で巻回して持ち運び、保存すること
も可能となる。このため、取り扱い性も非常によい。
【0065】上記骨材として種々のものを採用すること
ができる。たとえば、二酸化ケイ素を主成分とするケイ
砂、炭酸カルシウムを主成分とする石粉、鉱滓、軽量骨
材等から選ばれた少なくとも1種を配合してなるものを
採用することができる。
【0066】骨材の粒度も特に限定されることはなく、
表面被覆層、下地被覆層に要求されく機能等に応じて選
択することができる。
【0067】上記担持シートは、シート状被覆材を表面
被覆層を塗着等によって積層形成できるとともに、この
表面被覆層を剥離可能に保持できればよく、ポリエチレ
ン樹脂、ポリエステル樹脂等から形成されるシートある
いはフィルムを採用できる。また、その厚さも限定され
ることはなく、保持する表面被覆層の厚さや特性等に応
じて選択すればよい。たとえば、数μm〜数十μmの柔
軟性のあるフィルム状の樹脂シートを採用することがで
きる。また、数百μm以上の保形性のあるものを採用す
ることにより、表面被覆層に転写される大きな凹凸形状
を形成することもできる。
【0068】表面被覆層は、上記担持シートとともに搬
送され、担持シートと一体的に貼着積層作業が行われ
る。したがって、下地被覆層に貼着積層されるまでの表
面被覆層を保護する保護シートとして機能する。このた
め、表面被覆層自体の強度が低い場合にも、取り扱い等
が容易になる。
【0069】上記担持シートは、表面被覆層を担持した
状態で表面被覆層と一体的に接着下地層に対して貼着積
層される。このため、上記接着下地層が乾燥硬化するま
で上記担持シートを積層しておき、被覆作業中の被覆保
護材として機能させることもできる。
【0070】さらに、上記表面被覆層を上記担持シート
ととも巻回して保存すると、上記担持シートの間に表面
被覆層を挟むようにして保存することが可能となる。こ
のため、表面被覆層の形成工程における作業性が向上す
るばかりでなく、保存性も極めてよい。
【0071】本願の請求項7に記載した発明は、上記担
持シートの表面に凹凸形状を形成するとともに、表面被
覆層の表面に上記凹凸形状が転写されるように構成した
ものである。
【0072】上記シート状被覆材は担持シートの表面に
被覆材料を積層して形成されるため、担持シートの表面
が凹凸のない平坦面であると、表面被覆層の表面も凹凸
のない平坦面となる。一方、担持シートの表面に凹凸を
形成しておくと、この凹凸を表面被覆層の表面に転写す
ることができる。これを利用して、梨地状の表面や、エ
ンボス加工を施したような表面を容易に形成することが
できる。
【0073】本願の請求項8に記載した発明は、上記表
面被覆層とともに積層貼着された上記担持シートの一部
を所定の形状で切り欠き除去することにより表面被覆露
出部を形成し、この表面被覆露出部に装飾被覆材料を塗
着して装飾被覆部を形成した被覆構造に関する。
【0074】本願発明に係る被覆構造は、シート状被覆
材を積層貼着することによって表面被覆層が形成される
ため、複数のシート状被覆材を連続して貼着積層する場
合にそのつなぎ目に凹部や段差が生じる場合が考えられ
る。また、図柄が大きな面積に渡って連続すると、デザ
イン的に問題が生じる場合がある。
【0075】本願発明は、上記のような場合に対応する
ために考え出されたものであって、表面被覆層を貼着積
層した後に、上記担持シートの一部を切り欠いて所定形
状の表面被覆層を露出させ、この表面被覆露出部に被覆
材料を塗着して装飾被覆部を形成するものである。
【0076】上記担持シートは、ポリエチレン等のフィ
ルム状シートであるため、ナイフ等を用いて所望の形状
に容易に切り欠くことができる。しかも、担持シートに
保持されたシート状被覆材は乾燥硬化しているため、担
持シートのみを容易に切り欠くことができる。また、切
り欠き部分に被覆材料を積層するため、切り欠き部分に
多少の傷、あるいは凹部が生じても、上記被覆材料によ
って覆われてしまう。このため、被覆構造に欠陥が生じ
ることもほとんどない。
【0077】一方、上記担持シートを養生テープのよう
にして装飾被覆部を形成することができるため、格子状
模様等の精度の高い装飾被覆部を容易に形成することが
できる。残りの担持シートは、上記装飾被覆部を形成し
た後に剥離除去すればよい。
【0078】本願の請求項9から請求項12に記載した
発明は、上述した表面被覆層を構成するためのシート担
持表面被覆材に関するものである。
【0079】本願の請求項9に記載した発明は、担持シ
ートと、この担持シートに積層形成されるとともに剥離
可能に保持されるシート状被覆材とを備え、上記シート
状被覆材を上記担持シートに保持させた状態で被覆対象
物に貼着積層するように構成した、シート担持表面被覆
材に関するものである。
【0080】本願の請求項10に記載した発明は、上記
シート担持表面被覆材が、担持シートの全面に透明被覆
材料を用いて積層形成されるクリア層と、このクリア層
の一部又は全部に着色被覆材料を用いて積層形成される
着色模様層とを備えるものである。
【0081】本願の請求項11に記載した発明は、上記
シート担持表面被覆材が、担持シート表面の一部又は全
面に着色被覆材料を用いて積層形成された着色模様層
と、この着色模様層を覆うように被覆材料を積層した補
強層とを備えるものである。
【0082】本願の請求項12に記載した発明は、シー
ト担持表面被覆材を構成する上記シート状被覆材の全
体、あるいは上記着色模様層が、セメント系無機質接合
剤と、樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質からなる有
機質接合剤と、骨材と、着色剤とを含んで構成されてい
るものである。
【0083】本願の請求項13に記載した発明は、被覆
構造の形成方法であって、被覆対象物に接着下地層を塗
着形成する接着下地層形成工程と、担持シートに剥離可
能に担持させたシート状被覆材を上記担持シートととも
に上記接着下地層に貼着積層する表面被覆層積層工程
と、上記担持シートをシート状被覆材から剥離させる担
持シート除去工程とを含むものである。
【0084】本願の請求項14に記載した発明は、上記
被覆構造の形成方法において、上記表面被覆層積層工程
の後、上記担持シート除去工程の前に、所定時間担持シ
ートを積層した状態で保持する被覆養生工程を含むもの
である。
【0085】本願の請求項15に記載した発明は、上記
被覆構造の形成方法において、上記表面被覆層積層工程
の後上記担持シート除去工程の前に、上記シート状被覆
材から上記担持シートの一部を所定形状で除去する表面
被覆露出工程と、担持シート除去部分に装飾被覆を積層
形成する装飾被覆部形成工程を行うことを特徴とするも
のである。
【発明の実施の形態】以下、本願発明に係る実施の形態
を図に基づいて具体的に説明する。
【0086】図1及び図2に本願発明に係る被覆構造の
第一の実施の形態を示す。
【0087】これらの図に示すように、本実施の形態に
係る被覆構造は、被覆対象物1に塗着形成された接着下
地層2と、この接着下地層2に貼着積層される表面被覆
層3と、この表面被覆層3をを構成するシート状被覆材
3aを剥離可能に担持するとともに上記表面被覆層3と
一体的に上記接着下地層2に貼着積層される担持シート
4とを備えて構成される。なお、本実施の形態において
は、被覆対象物として繊維強化樹脂板を採用している。
【0088】上記担持シート4は、図1に示すように、
上記表面被覆層3と上記接着下地層とが貼着積層されて
一体化された後、図2に示すように剥離除去される。
【0089】上記接着下地層2を構成する被覆材料の配
合成分を表1に、上記表面被覆層を構成する被覆材料の
配合成分を表2に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】表1に示すように、本実施の形態に係る接
着下地層2は、セメント系無機質接合剤である白色ポル
トランドセメントと、樹脂及び/又はゴムの水性高分子
物質である酢酸ビニル系エマルジョンからなる有機質接
合剤と、細骨材である石粉とを含んで大略構成されてい
る。
【0093】上記接着下地層2は、上記配合成分に、水
を加えて混練し、エアガンによる吹き付け法によって、
約1mmの厚さに塗着形成される。水は、エアガンによ
って吹き付けできる粘度になるように調整される。
【0094】上記構成の被覆材料は、一般に樹脂セメン
トモルタルと称されているものであり、建築分野におい
て壁面等の被覆材料として知られている。この樹脂セメ
ントモルタルは、通常のセメントモルタルに比べて接着
性能、防水性能が高い。
【0095】ところが、水性の被覆剤であるため、乾燥
硬化に時間がかかる。また、表面被覆材料として使用す
ると、表面から水分が蒸発しやすいため、被覆層の表面
近傍の特性が内部の特性と異なってしまうことが多く、
表面被覆としての特性を充分に発揮できない場合が多
い。特に、水分の配合割合の多い吹き付け法によって塗
膜を形成した場合、上記のような問題が発生しやすい。
【0096】一方、本実施の形態においては、表2に示
すように、表面被覆層に採用する被覆材料としても、上
記接着被覆層と基本成分が同じものを採用している。た
だし、樹脂の配合量を上記接着下地層に採用した材料に
比べて増加させ、柔軟性を付与している。
【0097】樹脂の配合量を10パーセント以上に増加
させることにより、従来のセメントモルタルにはない柔
軟性を付与することができる。しかも、耐候性等が低下
することもほとんどない。
【0098】本実施の形態に係る担持シート4は、厚さ
約20μmのポリエチレンフィルムを採用している。ポ
リエチレンフィルムは、柔軟性があるとともに難接着性
があり、離型フィルムとしても多用されている。
【0099】本実施の形態においては、表2に示す配合
の被覆材料を上記担持シート4の表面ににあらかじめ塗
着して乾燥硬化させ、シート状被覆材3aを形成する。
そして、このシート状被覆材3aを、上記接着被覆層に
対して貼着積層して、接着下地層と一体化する。なお、
本実施の形態においては、積層する前のシート状被覆材
を符号3aで表す一方、このシート状被覆材を積層貼着
して構成される表面被覆層を符号3で表している。
【0100】上記シート状被覆材3aは、上記担持シー
ト4の表面に、約1mmの厚さで表2に示す被覆材料を
吹き付け塗装して乾燥硬化させることにより形成され
る。上記担持シート4は、上記シート状被覆材3aを剥
離可能に担持できるとともに、図1に示すように、上記
シート状被覆材3aを巻回した状態で保存搬送できる。
【0101】しかも、上記シート状被覆材3aを担持シ
ート4と一体的に巻回することによって、担持シート4
のシート状被覆材3aを形成した面と反対面が、シート
状被覆材の接着面側に当接させることができる。このた
め、搬送する際にシート状被覆材3aの接着面を保護す
る効果が期待できる。
【0102】本実施の形態においては、表1で示す配合
の被覆材料を被覆対象物1に吹き付け塗装することによ
り上記接着下地層2を形成する。そして、この接着下地
層2が乾燥硬化する前に、上記シート状被覆材3aを貼
着積層することにより、被覆構造を形成する。
【0103】図1に示すように、積層貼着作業は、担持
シート4とともに巻回したシート状被覆材3aを繰り出
しながら接着下地層に積層するとともに、ローラ5によ
って担持シート4の表面を押圧しながら上記接着下地層
2とシート状被覆材3aとを密着させることによって行
われる。上記積層貼着作業によって、シート状被覆材3
a及び担持シート4が被覆対象物上に積層される。
【0104】上記の作業終了後、そのままの状態で所定
時間放置した後、図2に示すように、上記担持シートを
表面被覆層3から剥離させる。本実施の形態において
は、5時間以上経過した後に、上記担持シート4を剥離
させるのが望ましい。接着下地層2を確実に硬化させ
て、表面被覆層3と接着下地層2とを一体的に接合する
ためである。
【0105】上記被覆構造及び被覆構造の形成方法によ
って、従来にはない以下の効果を発揮させることができ
る。
【0106】まず、表面被覆層3があらかじめ乾燥硬化
させられているとともに、担持シート4が積層された状
態で被覆構造が形成される。このため、従来の被覆のよ
うに施工直後に埃等が表面に付着して、被覆表面の美観
を損ねるといったことはない。また、貼着積層直後の被
覆構造表面に異物が接触しても、表面が凹んだり傷つく
といったこともない。
【0107】また、シート状被覆材3aを担持シート4
上にあらかじめ形成することができるため、現場で被覆
材料を塗着して表面被覆を形成する場合に比べて、精度
の高い平坦面を非常に簡単に形成できる。また、担持シ
ート4の表面形状等を選択することにより、梨地状の表
面や、エンボスを形成した表面等種々の表面形態を備え
る被覆構造を容易に形成できる。
【0108】しかも、シート状被覆材を容易に形成でき
るため、セメント系の無機質接合剤を含む被覆材料を採
用した場合にも、屋外の現場においても被覆構造を極め
て短時間に形成することが可能となる。
【0109】さらに、本実施の形態においては、接着下
地層2に硬化しにくい水性の被覆材料を採用している
が、上記表面被覆層3及び担持シート4が、接着下地層
2の養生保護層として機能する。このため、上記接着下
地層2と表面被覆層3とが確実に接合して一体化する。
【0110】しかも、接着下地層2の表面からの水分の
蒸発を、上記表面被覆層3及び担持シート4によって阻
止することができる。このため、接着下地層2の水分配
合割合を最適化することができる。この結果、接着下地
層を構成する被覆材料の性能を充分に引き出すことがで
きる。しかも、上記表面被覆層は、最適な条件及び環境
下で形成できる。このため、要求される機能を確実に備
える被覆構造を、被覆作業行う周囲の環境等に左右され
ることなく、極めて簡単に形成できる。
【0111】さらにまた、上記下地被覆層2が硬化途中
であっても、表面被覆層3の硬化が完了しているため、
表面被覆層3の表面に透明塗料等を用いて仕上げ塗装を
行うことも可能となる。
【0112】図3に、本願の第二の実施の形態を示す。
【0113】図3に示す実施の形態は、クリア層6と着
色模様層7とによって表面被覆層3を構成したものであ
る。上記クリア層6は、透明な被覆材料から形成されて
おり、上記着色模様層7に表面光沢を与える。また、着
色模様層7を柔軟な被覆材料から構成されるクリア層6
を介して担持シート4に担持させることができる。この
ため、着色模様層7を担持シート4に確実に保持させる
ことができ、湾曲等させても担持シートから脱落するこ
とがなくなる。
【0114】本実施の形態に係る上記クリア層6は、撥
水性のある透明アクリル樹脂から形成されており、担持
シート4の表面に樹脂エマルジョンを吹き付け積層する
ことにより、厚さ約10μmのフィルム状に形成されて
いる。上記クリア層6を構成する被覆材料が乾燥硬化し
た後、着色模様層7を構成する表2に示した配合成分の
被覆材料が吹き付け積層され、これらクリア層6と着色
模様層7とで構成されるシート状被覆材3aが、担持シ
ート4に保持される。
【0115】上記クリア層6及び着色模様層7は、工場
等において担持シート4の表面に対してあらかじめ形成
される。このため、均一な厚さで形成することができる
とともに、乾燥工程等において表面にほこり等が付着す
ることもない。したがって、被覆構造の表面に埃等が付
着することはなくなり、現場施工では実現できなかった
光沢等を付与することも可能となる。
【0116】図4に、本願の第三の実施の形態を示す。
【0117】この図に示す被覆構造は、シート状被覆材
3aを、担持シート4の一部に塗着形成した着色模様層
8と、この着色模様層8を埋め込むように積層形成され
た補強層9とを備えて構成したものである。なお、上記
着色模様層8と補強層9には、異なる着色がなされてい
る。
【0118】上記着色模様層8のみを担持シート4の一
部に形成した場合、異物との接触等によって上記着色模
様層8が担持シート4から脱落しやすい。本願発明は、
上記問題を補強層9を設けることにより解決したもので
ある。
【0119】上記補強層9は、着色模様層8より柔軟な
被覆材料で形成され、担持シート4に対する保持強度を
高める配合を採っている。このため、上記着色模様層8
を担持シートに確実に保持させることができる。
【0120】また、上記の被覆構造において、着色模様
層8が補強層9に埋め込まれるとともに、上記着色模様
層8の表面と上記補強層9の表面とが面一に形成され
る。このため、従来にはない外観を備える被覆構造を形
成することができる。
【0121】図5に、本願の第三の実施の形態を示す。
【0122】この図に示す被覆構造は、上記担持シート
4に透明被覆材料でクリア層6を形成するとともに、こ
のクリア層の一部に着色模様層8を形成したものであ
る。
【0123】上記クリア層6を設けることにより、着色
模様層8を担持シート4に確実に保持させることができ
る。しかも、接着下地層2に着色を施しておくと、この
接着下地層2が図4に示す補強層9と同じ機能を発揮し
て、上記着色模様層8の背景を構成する。
【0124】また、上記着色模様層8は、クリア層6か
ら膨出した状態で保持されるとともに、接着下地層2に
対して積層貼着されるが、図5に示すように、接着下地
層2が上記着色模様層8の背部形状に応じて変形する。
このため、上記着色模様層8が接着下地層2に押し込ま
れながらシート状被覆材3aが積層貼着され、表面被覆
層3の表面は、平坦面が形成される。
【0125】この結果、図6に示すように、大理石状の
表面模様を備えるとともに平坦な表面性状を備える被覆
構造を、きわめて容易に形成することができる。
【0126】図7から図9に本願発明の第六の実施の形
態を示す。
【0127】これらの図に示す被覆構造は、シート状被
覆材3aとともに積層貼着された上記担持シート4の一
部4aを所定の形状で切り欠き除去することにより表面
被覆露出部10を形成し、この表面被覆露出部10に装
飾被覆材を塗着して装飾被覆部12を形成したものであ
る。
【0128】本実施の形態においては、格子状の装飾被
覆部12を形成している。上記表面被覆露出部10は格
子状に形成されており、表面被覆層3のつなぎ目に形成
される凹部11を含んで形成される。
【0129】図8に示すように、上記凹部11に装飾被
覆材料を充填塗着することにより、上記凹部11が目隠
しされる。このため、複数のシート状被覆材を配列して
貼着する場合にも、外観の見栄えが低下することはな
い。
【0130】本願発明の範囲は、上述の実施の形態に限
定されることはない。
【0131】実施の形態においては、接着下地層及び表
面被覆層を構成する被覆材料として樹脂セメントモルタ
ルを採用したが、他の被覆材料を採用することができ
る。
【0132】また、クリア層を担持シートにあらかじめ
形成したが、本願発明に係る被覆構造を形成した後に形
成することもできる。この場合、表面被覆層が形成され
た後直ぐにクリア層を形成することができるため、作業
性がきわめてよくなる。
【0133】なお、着色模様層は、一色の着色によって
構成することもできるし、複数の色彩を配合した模様を
形成してもよい。また、文字、図形、記号等を含んで構
成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の被覆構造の第一の実施の形態を示す
拡大断面図である。
【図2】図1の被覆構造から担持シートを剥離している
状態を示す断面図である。
【図3】本願発明の被覆構造の第二の実施の形態を示す
拡大断面図である。
【図4】本願発明の被覆構造の第三の実施の形態を示す
拡大断面図である。
【図5】本願発明の被覆構造の第四の実施の形態を示す
拡大断面図である。
【図6】図5に示す被覆構造の表面を示す図である。
【図7】本願発明の第五の実施の形態に係る被覆構造を
形成するための説明図であり、担持シートの一部を除去
した状態を示す断面図である。
【図8】図7に示す担持シート除去部分に被覆材料を塗
着した状態を示す断面図である。
【図9】本願発明の第五の実施の形態に係る被覆構造の
平面図である。
【符号の説明】
1 被覆対象物 2 接着下地層 3 表面被覆層 3a シート状被覆材 4 担持シート 6 クリア層 7 着色模様層 8 着色模様層 9 補強層 10 表面被覆露出部 12 装飾被覆部

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被覆対象物の表面に積層形成される被覆
    構造であって、 上記被覆対象物に塗着形成される接着下地層と、 上記接着下地層にシート状被覆材を貼着積層して形成さ
    れる表面被覆層と、 表面に被覆材料を積層することにより上記シート状被覆
    材を形成するとともに、上記シート状被覆材を剥離可能
    に担持し、上記シート状被覆材と一体的に上記接着下地
    層に貼着積層され、その後剥離除去される担持シートと
    を備える、被覆構造。
  2. 【請求項2】 上記表面被覆層及び/又は接着下地層
    が、複数の層から構成されている、請求項1に記載の被
    覆構造。
  3. 【請求項3】 上記表面被覆層及び/又は接着下地層を
    構成する一部又は全部の層が、セメント系無機質接合剤
    と、樹脂又は/及びゴムの水性高分子物質からなる有機
    質接合剤とを含む水性被覆材料から構成されている、請
    求項1又は請求項2のいずれかに記載の被覆構造。
  4. 【請求項4】 上記表面被覆層及び/又は接着下地層を
    構成する一部又は全部の層が、セメント系無機質接合剤
    と、樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質からなる有機
    質接合剤と、細骨材とを含む水性被覆材料から構成され
    ている、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の被覆
    構造。
  5. 【請求項5】 上記表面被覆層は、担持シートの全面に
    積層形成されるクリア層と、このクリア層の一部又は全
    部に、着色被覆材料を用いて積層形成される着色模様層
    とを備える、請求項1から請求項4のいずれかに記載の
    被覆構造。
  6. 【請求項6】 上記表面被覆層は、担持シート表面の一
    部又は全部に、着色被覆材料を用いて形成される着色模
    様層と、この着色模様層を覆うように被覆材料を積層し
    た補強層とを備える、請求項1から請求項4のいずれか
    に記載の被覆構造。
  7. 【請求項7】 上記担持シートの表面に凹凸形状を形成
    するとともに、表面被覆層の表面に上記凹凸形状が転写
    されるように構成した、請求項1から請求項6のいずれ
    かに記載の被覆構造。
  8. 【請求項8】 上記表面被覆層とともに積層貼着された
    上記担持シートの一部を所定の形状で切り欠き除去する
    ことにより表面被覆露出部を形成し、この表面被覆露出
    部に装飾被覆材料を塗着して装飾被覆部を形成した、請
    求項1から請求項7のいずれかに記載の被覆構造。
  9. 【請求項9】 担持シートと、この担持シートに積層形
    成されるとともに剥離可能に保持されるシート状被覆材
    とを備え、上記シート状被覆材を上記担持シートに保持
    させた状態で被覆対象物に貼着積層するように構成し
    た、シート担持表面被覆材。
  10. 【請求項10】 上記シート担持表面被覆材は、担持シ
    ートの全面に透明被覆材料を用いて積層形成されるクリ
    ア層と、このクリア層の一部又は全部に着色被覆材料を
    用いて積層形成される着色模様層とを備える、請求項9
    に記載のシート担持表面被覆材。
  11. 【請求項11】 上記シート担持表面被覆材は、担持シ
    ート表面の一部又は全面に着色被覆材料を用いて積層形
    成された着色模様層と、この着色模様層を覆うように被
    覆材料を積層した補強層とを備える、請求項9に記載の
    シート担持表面被覆材。
  12. 【請求項12】 上記シート状被覆材及び/又は上記着
    色模様層が、セメント系無機質接合剤と、樹脂及び/又
    はゴムの水性高分子物質からなる有機質接合剤と、骨材
    と、着色剤とを含んで構成されている、請求項9から請
    求項11のいずれかに記載のシート担持表面被覆材。
  13. 【請求項13】 被覆構造の形成方法であって、 被覆対象物に接着下地層を塗着形成する接着下地層形成
    工程と、 担持シートに剥離可能に担持させたシート状被覆材を、
    上記担持シートとともに上記接着下地層に貼着積層する
    表面被覆層積層工程と、 上記担持シートをシート状被覆材から剥離させる担持シ
    ート除去工程とを含む、被覆構造の形成方法。
  14. 【請求項14】 上記表面被覆層積層工程の後、上記担
    持シート除去工程の前に、所定時間担持シートを積層し
    た状態で保持する被覆養生工程を含む、請求項13に記
    載の被覆構造の形成方法。
  15. 【請求項15】 上記表面被覆層積層工程の後、上記担
    持シート除去工程の前に、上記シート状被覆材から上記
    担持シートの一部を所定形状で除去する表面被覆露出工
    程と、 担持シート除去部分に装飾被覆を積層形成する装飾被覆
    部形成工程を行う、請求項13又は請求項14のいずれ
    かに記載の被覆構造の形成方法。
JP22441197A 1997-08-05 1997-08-05 被覆構造、これに用いるシート担持表面被覆材及び被覆構造の形成方法 Pending JPH1148390A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22441197A JPH1148390A (ja) 1997-08-05 1997-08-05 被覆構造、これに用いるシート担持表面被覆材及び被覆構造の形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22441197A JPH1148390A (ja) 1997-08-05 1997-08-05 被覆構造、これに用いるシート担持表面被覆材及び被覆構造の形成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1148390A true JPH1148390A (ja) 1999-02-23

Family

ID=16813356

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22441197A Pending JPH1148390A (ja) 1997-08-05 1997-08-05 被覆構造、これに用いるシート担持表面被覆材及び被覆構造の形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1148390A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2021010456A1 (ja) 構造物保護シート、それを用いた施工方法及びプレキャスト部材、並びに、プレキャスト部材の製造方法
JP3015628B2 (ja) 転写型化粧シートとその製造方法
WO2021177286A1 (ja) 構造物保護シート、コンクリートブロック及び補強された構造物の製造方法
US6620464B2 (en) Coated construction substrates
JPH08135128A (ja) ポリマーコンクリート系建築用装飾板及びその製造方法
JPH1148390A (ja) 被覆構造、これに用いるシート担持表面被覆材及び被覆構造の形成方法
US7841146B2 (en) Product and method for concealing joints
JP2000186254A (ja) 接着シートおよび接着構造
JPS61242252A (ja) 建物外装仕上工法
JP2018177963A (ja) 物品の製造方法および重ね貼り装置
JP2006200310A (ja) 建築外装材の塗装補修パッチとその製造方法および塗装補修方法
JP2006291561A (ja) サイディングボード面へのコンクリート打ち放し仕上げ方法
JPH08120877A (ja) 目地模様を有する壁面仕上げ方法
JP7462262B2 (ja) コンクリート構造体の塗布材およびその塗布方法
JPH11290769A (ja) 意匠性塗膜の形成方法及び補修方法並びに模様転写シート
JP3313992B2 (ja) 建築用化粧パネル及びその製法及びその施工方法
JP3023186U (ja) 離型性シート付き建築物表面仕上用装飾材
JPH0431398Y2 (ja)
JPH03247854A (ja) 石材パネル
JP7062363B2 (ja) 施行方法
JPH1052884A (ja) 建築物用装飾パネルの製造方法
JPH03158564A (ja) 型枠材及び建築物の表面処理方法
JPH09317121A (ja) 建築物表面仕上げ用装飾シートの取り付け方法
JP4025189B2 (ja) 塗装alc板の補修方法
TW202304713A (zh) 構造物保護片及補強的構造物的製造方法