JP2006200310A - 建築外装材の塗装補修パッチとその製造方法および塗装補修方法 - Google Patents

建築外装材の塗装補修パッチとその製造方法および塗装補修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来の塗装補修技術の問題点を解消し、補修時は勿論のこと経時的にも補修個所が目立ち難く、周囲の塗装部分と遜色のない性能を長期間にわたって良好に発揮できる塗装補修技術を提供する。
【解決手段】 建築外装材20に有する塗膜層30の補修個所に貼り付ける塗装補修パッチ50であって、非接合性の基材表面に塗膜層30と同じ条件でパッチ形状に塗装されたあと基材表面から取り剥がされた塗膜の小片からなり、パッチ形状の外周端縁54に切断面を有しない。塗装補修パッチ50の製造は、非接合性の基材表面に配置したマスク材の上から塗膜層と同じ塗料を同じ方法で塗装したあと、塗料が固化する前にマスク材を取り外し、マスク材の貫通部の形状に対応するパッチ形状で基材表面に残って固化した塗膜小片を取り剥がして、塗装補修パッチ50を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、建築外装材の塗装補修パッチとその製造方法および塗装補修方法に関し、詳しくは、セメント硬化板などの表面に塗装仕上げが施された建築外装材において、表面の塗膜層の一部が欠落している個所を補修するのに使用される塗装補修パッチと、このような塗装補修パッチを製造する方法と、このような塗装補修パッチを用いて塗装の補修を行う方法とを対象にしている。
住宅等の建築物の外壁を、タイル状あるいはパネル状のセメント系外装板を貼り付けて施工することが、広く行われている。セメント系外装板は、予め、工場で大量生産すれば、品質性能が安定したものが得られるので、建築物の外装仕上げ工程を効率化できるとともに品質性能にも優れた外装仕上げが得られる。
セメント系外装板の表面には、塗装仕上げが施されていて、建築物の外観意匠性を高めている。塗装仕上げとして、光触媒含有塗料を使用すれば、表面の汚れ防止に優れた効果がある。このような塗装仕上げは、セメント系外装材の生産工場で行われることが多い。塗装仕上げが施されたセメント系外装材を、建築現場に搬入して施工すれば、現場における塗装作業が不要になり、作業性が良いだけでなく、現場塗装よりも塗装品質を向上させたり安定させたりし易い。
塗装済みのセメント系外装板を施工する場合、セメント系外装材の一部に、塗膜が存在しない個所が生じることがある。例えば、セメント系外装板を、ネジ釘などで建築物の外壁に固定する場合、セメント系外装板にねじ孔およびザグリ孔を加工するので、その部分の塗膜はなくなる。ネジ釘を取り付けたあと、ザグリ孔にパテを充填して埋め、セメント系外装板の表面と同一面に均すが、パテの表面は周囲の塗膜とは違った色になり目立つことになる。セメント系外装板を、輸送保管している間や、取付作業を行っている間に、塗膜の一部が欠けたり削り取られたりすることもある。
このような塗膜の部分的な欠損個所を補修する技術が、種々提案されている。
例えば、特許文献1には、ALC板などに形成された多彩模様塗膜の破損部に、パッチ用フィルムを接着剤で貼り付ける技術が示されている。パッチ用フィルムは、塗膜と同一組成の多彩模様塗料を、可剥性のあるポリエチレンフィルムなどの上に塗装して、シート状のパッチ用フィルムを形成しておく。破損部の形状に合わせてシート状のパッチ用フィルムを切り取り、接着剤で貼り付ける。パッチ用フィルムは、周囲の多彩模様塗膜と同じ多彩模様を有するので、違和感が無く、補修した跡が残らないとされている。
特許文献2には、無機塗装仕上げが施されたALC板で、パテなどを埋めた塗装の欠除部に、透明無機下地層を介して、塗装仕上げと同一色彩意匠の有機エナメルフィルムを貼り付けたあと、有機エナメルフィルムよりも広い範囲に、透明無機仕上げ層を塗工形成する技術が示されている。透明無機仕上げ層で、有機エナメルフィルムを覆って保護することができるとされている。
特開平10−220033号公報 特開2004−204480号公報
前記した特許文献1の技術では、破損部に貼り付けたパッチ用フィルムが、外周の端縁から浮き上がったり損傷したりし易いという問題がある。
シート状のパッチ用フィルムを切り取って得られたパッチ用フィルムの外周端縁には切断面が露出する。切断面は、鋭い角があったり、切断時に生じたミクロ状の亀裂や割れが存在していたりする。切断加工で生じる内部応力が残留することもある。破損部に貼り付けたパッチ用フィルムと周囲の塗装面との間には、鋭い角のある段差が生じる。
建築外装材は、屋外で、風雨や日射、寒暖の差などによる過酷な環境に晒される。パッチ用フィルムの外周端縁が捲り上げられ易い。パッチ用フィルムに外力が加わると、角のある外周端縁から剥がれ易い。外周端面の切断面に存在するミクロ状の亀裂が徐々に拡大して目立つようになる。切断面から塗膜の内部へと変質や劣化が進み易い。特に、パッチ用フィルムは、本来は塗装を目的とする塗料で、フィルムを形成しているので、比較的に脆かったり切断加工性がそれほど良くなかったりする。そのため、切断面には、前記したミクロ状の亀裂などが発生し易い。
特許文献2の技術では、透明無機仕上げ層で、有機エナメルフィルムを覆って保護しているので、有機エナメルフィルムの外周端縁における前記問題は軽減される。但し、透明無機仕上げ層を形成する作業工程が増えることになる。また、補修個所の周囲の塗膜が、最表面に透明無機仕上げ層を有する構造の場合は、補修個所が目立ち難いが、周囲の塗膜が透明無機仕上げ層を有しない場合には、表面の光沢や艶が、補修個所だけ周囲と違って目立ってしまうことがある。
建築外装材の塗装仕上げとして、光触媒が配合されたエナメル塗料を使用することが提案されている。光触媒含有エナメル層は、表面に汚れが付き難いという利点がある。光触媒含有エナメル層の表面に、透明無機仕上げ層を形成してしまうと、光触媒の機能が損なわれる。光触媒含有エナメル層を有する塗装面には、特許文献2の技術は適用し難い。
本発明の課題は、前記した従来における塗装補修技術の問題点を解消し、補修時は勿論のこと経時的にも補修個所が目立ち難く、周囲の塗装部分と遜色のない性能を長期間にわたって良好に発揮できる塗装補修技術を提供することである。
本発明にかかる建築外装材の塗装補修パッチは、非接合性の基材表面に前記塗膜層と同じ条件でパッチ形状に塗装されたあと基材表面から取り剥がされた塗膜の小片からなり、パッチ形状の外周に切断面を有しない。
〔建築外装材〕
住宅その他の建築物において、外装仕上げに利用されている通常の建築外装材に適用される。
具体的には、ALCやセメント硬化材が使用できる。木質繊維や無機繊維、ガラス繊維などを配合した繊維含有セメント硬化材も使用できる。合成樹脂を配合した樹脂含有セメント系硬化材もある。成形後に高温で焼成した焼成タイルも使用できる。これら窯業系外装材のほか、木質系、金属系、無機系の各種外装材にも適用できる。
建築外装材は、一般的には、矩形状などの平坦な板状をなしている。平坦な板状表面に凹凸模様を有するもの、曲面板状や屈曲板状をなすもの、柱状や棒状をなすものなども含まれる。
〔建築外装材の塗膜層〕
建築外装材のうち、施工後に外部に露出する表面に、仕上げ施工として塗膜層が形成される。
基本的に、通常の建築外装材における仕上げ用の塗膜層と同様の材料、構造、製造技術が適用できる。
塗膜層を形成する塗料には、有機系塗料および無機系塗料がある。一般的に、無機系塗料のほうが耐候性に優れているとされている。有機系成分と無機系成分とを組み合わせた有機無機複合塗料も知られている。塗膜層は、単一の塗料による塗膜層で構成されていてもよいし、複数種類の塗料による塗膜層を重ね塗りした積層構造も採用できる。顔料などの着色材料が配合された着色塗料のほか、透明塗料も使用される。建築外装材の表面に存在する細孔や凹凸を埋めるフィラー含有塗料や、塗膜の密着性を向上させるプライマー剤、耐水塗料、防水塗料、防触塗料、弾性塗料、光触媒塗料など、各種の機能を備えた塗料も組み合わせられる。
建築外装材に適した塗膜層の構成として、建築外装材の表面側から順にフィラー層、シーラー層および光触媒エナメル層を組み合わせて配置する構成が採用できる。フィラー層は、窯業系外装材などの表面に多い細孔や微細な凹凸を埋めて、その上に塗装される着色塗料などの塗装性や発色性を向上させる。シーラー層は、フィラー層に対する光触媒エナメル層の接合性を高めたり、耐水性や防水性を高めたりする機能を果たす。光触媒エナメル層は、着色機能を有するエナメル塗料に酸化チタンなどの光触媒を配合したものからなる。光触媒は、塗膜層の表面に汚れを付き難くするとともに、水洗いなどの洗浄によって汚れが容易に除去できる。光触媒エナメル層の代わりに、通常の着色塗料からなる有色エナメル層の上に光触媒が配合された透明光触媒層を積層することもできる。
塗膜層の着色は、全体が単一色であってもよいし、複数色を使って模様状に塗り分けられていてもよい。塗り分け模様には、ストライプや格子、ドット状など規則的な模様のほか、スポット状の模様がランダムに配置されたもの、流れ模様、マーブル模様などもある。
建築外装材の塗膜層は、建築外装材を建築物に施工したあと、現場で外壁全体の建築外装材に塗装を行って形成する場合と、建築外装材を工場生産する段階で塗膜層を形成しておく場合がある。何れの場合も、塗膜層の一部が欠落して補修の必要が生じれば、塗装補修パッチによる塗装補修が有効である。特に、工場生産で塗膜層付きの建築外装材を製造する場合、工場における塗装と同じ品質で、現場塗装による補修を行うことは難しいので、塗装補修パッチが有用になる。
塗膜層の補修個所には、建築外装材の輸送保管時や、建築外装材の施工、建築外装材施工後の別の施工作業中、建築物が完成したあとなどに、工具などの物体がぶつかる事故や自然災害などで生じる塗装の欠落個所や汚損個所がある。また、建築外装材を建築物に施工するために必要とされる、ねじ取付孔、部材取付用の切り欠き、溝などの加工個所がある。建築時に取り付けられた建築部材や機器類を取り外した跡も補修が必要な場合がある。
〔塗装補修パッチ〕
建築外装材に有する塗膜層の補修個所に貼り付ける。補修個所と周囲の塗膜層との外観意匠の違いを目立たなくするとともに、補修個所の強度や耐久性、耐候性などを改善する機能も有する。
基本的には、通常の塗装補修パッチと同様の材料や構造、製造技術が適用される。特に、建築外装材に有する塗膜層と同じ条件で塗装された塗膜の小片を用いる。
ここで、同じ条件とは、本発明の目的に照らして、同じとみなせる条件である。具体的には、少なくとも外観意匠、表面質感、特に彩色模様の上で、建築外装材の塗膜層との違いがないと判定できる外観を有する塗膜小片が形成できるようにする。物理的あるいは化学的特性の全てまでが完全に一致していることは要求しない。彩色模様などに大きな影響を与えない製造条件については、変更したり簡略化したりすることもできる。
塗装の補修に同様の塗膜を利用する技術自体は、前記特許文献1、2などで知られており、これらの技術の一部を採用することもできる。
但し、塗装補修パッチは、塗膜あるいは塗膜が積層されたフィルムやシートを、補修個所の形状や寸法に合わせて切り取ったり打ち抜いたりしたものではなく、塗装補修パッチとして完成した最終のパッチ形状に塗装された塗膜小片である。塗装補修パッチの外周形状は、塗装時に形成されたパッチ形状のままであって、切断面などの加工跡は存在しない。
塗膜小片を形成する塗料は、前記建築外装材の塗膜層と同じ塗料が使用できる。塗料の配合、特に、着色剤の組み合わせや配合条件を合わせておくことが望ましい。彩色模様などに大きな影響のない配合成分については省略することができる。
塗膜小片を形成する際の塗装条件を、建築外装材の塗膜層と同じに設定することができる。具体的には、塗料の濃度、使用する塗装ガンとその作動条件、塗工量、乾燥硬化の環境や時間などが含まれる。塗膜の外観意匠や彩色模様に影響のある塗装条件はできるだけ合わせる必要があるが、塗膜の彩色模様などにあまり影響しない塗装条件であれば、完全に一致させなくても構わない。塗膜の厚みを、建築外装材の塗膜層よりも分厚くしておくことで、保形性や機械的強度、隠蔽性などを向上させることができる。
建築外装材の塗膜層が、複数の塗料層を積層して構成されている場合は、そのうちの一部の塗料層と同じ条件で塗膜小片を形成することができる。この場合、少なくとも塗膜層の彩色模様などに関与する塗料層を、塗膜小片の塗装に使用する必要がある。建築外装材の表面凹凸を埋めるフィラー層や防水層などは、塗膜層の外表面における彩色模様などに大きな影響を与えない限り、使用しなくてもよい場合がある。
塗装補修パッチとなる塗膜小片を、建築外装材の塗膜層のうち、有色エナメル層の塗料で構成することができる。建築外装材の塗膜層のうちで最表面に配置されることが多い光触媒エナメル層の塗料で、塗膜小片を構成することができる。
塗膜小片を製造する際に、彩色模様などに関与する塗料層のほかに、塗膜小片の取り扱い性や機械的強度、柔軟性などを補う補強層や支持層を、彩色模様などに悪影響を与えない裏側の層として設けておくことができる。建築外装材への貼着性を増す易貼着性層を形成しておくこともできる。これらの層も、塗工によって形成できる。
塗装補修パッチの外周形状すなわちパッチ形状は、建築外装板のうち、予め設計された加工個所など、その形状が決まっている個所に使用する場合は、補修個所の形状寸法に正確に合わせて作製しておくことができる。補修個所と相似形状で一回り大きな寸法に形成しておくことができる。前記した事故的な欠落個所や汚損個所の場合は、その形状は決まっていないが、予想される補修個所よりも少し大きめになる程度の一定形状で塗装補修パッチのパッチ形状を決めておけばよい。
具体的な形状としては、円形、長円形、楕円形、多角形状、短冊状、その他の図形状が採用できる。建築外装材の塗膜層を構成する模様の一区画分と同じ外形を採用することもできる。
塗装補修パッチの大きさは、補修個所の大きさに合わせるとともに貼り付け作業などの取り扱いが容易な程度に設定しておく。通常、最大の差渡し長さで規定する外径を1〜2cmの範囲に設定できる。
塗装補修パッチの厚みは、塗膜小片を形成する際の塗料層の厚みや層数によっても異なるが、通常、30〜80μmの範囲に設定できる。乾燥塗膜重量を55〜120g/mに設定できる。
〔塗装補修パッチの製造〕
塗装補修パッチの製造は、基本的には、通常のパッチ状塗装補修材と共通する技術が適用できる。但し、前記した塗装補修パッチの外周の形状構造が得られる方法が採用される。
以下に示す工程を備えた製造方法が適用できる。
工程(a):
塗膜小片を形成する塗料に対して非接合性である基材表面に、パッチ形状に対応する貫通部を有するマスク材を配置する。
非接合性の基材は、少なくとも表面について、使用する塗料に対して接合性のない材料が使用される。但し、後述するように、表面に形成された塗膜小片は完全に乾燥硬化する前に取り剥がすことができるので、このような取り剥がし作業が可能な程度に非接合性であればよい。塗料や塗料に含まれる溶剤を吸収したり化学的に反応を起こして接合されたりしない材料が使用できる。具体的には、塗装する塗料の種類によっても異なるが、フッ素樹脂シートや、ラベルシール用下地材、ビニールパッチ用下地材などに利用されている離型性を有する材料が使用できる。基材の本体は、塗料が接合し易い材料であっても、その表面に非接合性のフィルムを積層したり、非接合層を形成したりしておくこともできる。基材の本体には、金属や合成樹脂、セラミックなどからなる板材のほか、紙や合成樹脂シート、繊維シートなどの柔軟性や屈曲性がある材料も使用できる。非接合性の基材は、塗膜小片の製造工程で使用するだけでなく、製造後の塗膜小片を輸送保管するための支持構造にも利用することができる。
マスク材は、通常のマスク塗装技術で使用されるマスク材と同様の材料や構造を有するものが使用できる。貫通孔以外の個所で、塗料が基材表面に付着するのを防止できればよい。塗料が浸透して裏まで通過したり、塗料との接触で変形して貫通孔の形状が変わったりしなければよい。通常、紙や合成樹脂シート、不織布、金属箔などが使用できる。塗装後の乾燥工程における加熱に耐える耐熱性を有するものが好ましい。通常、200℃程度の耐熱性があれば、十分である。
マスク材は、基材表面に載せておくだけでもよいし、基材表面に固定しておくこともできる。塗装作業中にマスク材がずれないように、マスク材の端部などを基材に金具や接着テープなどで固定しておくことができる。マスク材の裏面に剥離可能な粘着層を形成しておき、基材表面に一時的に粘着固定しておくことができる。貫通孔の周囲でマスク材を基材表面に密着させておければ、塗料が貫通孔の内周縁からマスク材と基材の隙間に浸入することが良好に防止できる。
工程(b):
マスク材の上から、前記建築外装材に有する塗膜層と同じ塗料を同じ塗装条件で塗装する。
マスク材のうち、少なくとも貫通孔の位置には十分に塗料が供給されるようにする。貫通孔の周辺のマスク材に塗料が付着しても構わない。貫通孔から離れたマスク材の上には塗料が付着しなくても構わない。通常は、マスク材の全面に均等に塗料の層が形成されるように塗装すればよい。
前記したように、同じ塗料、同じ方法とは、全ての条件が完全に一致していなくとも、目的とする彩色模様や外観意匠性、表面質感などが、建築物を常識的な観察眼で見た時に、同じであると認められる程度に実現できればよい。勿論、出来るだけ同じ材料および配合の塗料を使用したり、出来るだけ同じ塗装条件などを採用したりしたほうが、彩色模様などの点でも近似した結果が得られ易い。
塗料については、建築外装材の塗膜層を形成する際に調合された塗料の一部を流用することで、確実に同じ塗料を使用することができる。塗装方法も、建築外装材の塗膜層の塗装工程と同じ設備で同じ条件で塗装作業を行えばよい。建築外装材の塗膜層を塗装する際に、建築外装材に隣接して基材およびマスク材を設置しておけば、全く同じ塗装条件で塗装することができる。
補修塗装パッチとなる塗膜小片の取り扱い性や強度を適切に設定するために、塗膜の厚さを建築外装材の塗膜層と違えるなど、補修塗装パッチに特有の要求性能に合わせて、製造条件の一部を変更することができる。
工程(c):
塗料が固化する前に、基材表面からマスク材を取り外す。
マスク材の表面に付着した塗料も、マスク材とともに取り除かれる。貫通孔の内部で基材表面に付着した塗料は、基材表面に残る。塗装状態では、貫通孔の内部もマスク材の上も、一様な塗料層が存在するので、マスク材を取り外す際には、一様な塗料層が、貫通孔の外形位置で切り離されて、マスク材の上と基材表面とに分離されることになる。
この段階における塗料層は、マスク材を取り外しただけで前記分離が起こる程度に、流動性あるいは切り離し性を有する状態である。塗料の固化がそれほど進行していない状態である。塗料の固化特性によっても異なるが、通常、塗装直後から少しの間は、固化が進んでおらず、前記のような切り離しが可能である。
塗料が、加熱や放射線照射によって固化および硬化されるものであれば、これらの固化処理あるいは硬化処理を行うまでは、マスク材の取り外しが可能になる。
取り外されたマスク材は、そのまま廃棄してもよいし、再使用することも可能である。再使用する場合、マスク材に塗料層が付着したままで再使用することもできるし、マスク材に付着した塗料層を溶剤などで洗浄除去してから再使用することもできる。紙などの比較的安価な材料からなるマスク材であれば、廃棄処分したほうが再使用するための作業が不要であり、総合的に経済的である。
工程(d):
マスク材の貫通部の形状に対応するパッチ形状で基材表面に残って固化した塗膜小片を、基材表面から取り剥がして、塗装補修パッチを得る。
基材表面に残った塗料層は、経時的に乾燥して固化および硬化が進行する場合もあるし、加熱や放射線照射のような硬化処理を行って固化および硬化させることもできる。マスク材を取り除いたあと、直ちに強制的な硬化処理を加えれば迅速に硬化するが、マスク材の上の塗料層と切り離された基材表面の塗料層が、表面張力や流動性によって、滑らかな外形あるいは平滑な表面に戻るまで、少し時間を置いたほうがよい場合もある。
塗膜小片は、硬化に伴って基材表面に対して強力に接合されてしまうと、基材表面からの取り剥がしが困難になる。そこで、塗膜小片として取り扱いが可能で形崩れしたり表面にシワが出来たりしない程度に固化した段階で、基材表面から取り剥がし、別の支持台や支持シートの上に載せて、最終的な硬化まで進行させることができる。基材表面から一旦、取り剥がしたあと、再び基材表面に載せるようにしても、基材表面への固着は起き難くなる。
塗膜小片は薄いので、基材表面から取り剥がすには、先端が尖ったヘラなどの工具を使用することができる。
基材表面から取り剥がし、単独で取り扱えるまで硬化が進行した塗膜小片は、塗装補修パッチとして使用することができる。
塗装補修パッチは、直ちに塗装補修に使用する場合もあるし、一時的に保管したり、使用現場まで輸送したりする場合もある。塗装補修パッチを保管したり輸送したりする場合は、塗装補修パッチが損傷しないように、支持シートに載せておいたり、支持シートの間に挟んでおいたり、包装袋に収容しておいたりすることができる。剥離可能な粘着シートに粘着支持させておくこともできる。
〔塗装補修方法〕
塗装補修パッチを用いて塗装補修を行うには、基本的には、通常のパッチ式の塗装補修技術が適用できる。
塗装補修個所は、傷や凹み、カエリ片、補修材の盛り上がりやうねりなどの凹凸を、埋めたり削ったり均したりして、平坦あるいは平滑に調整しておくことが望ましい。塗装補修パッチで覆えば隠される程度の微細な凹凸であれば残っていても構わない。
塗装補修パッチは、接着によって塗装補修個所に貼り付け固定することができる。塗装補修パッチの接着には、各種の建築用接着剤が使用できる。但し、塗装補修パッチの外周から接着剤がはみ出て周囲の塗膜層を汚さないようにすることが望ましい。予め、塗装補修パッチの裏面に接着剤層を形成しておくこともできる。
塗装補修パッチを補修個所に接合する接合剤として、一般的な塗装材料であるプライマー剤を利用することができる。プライマー剤は、被塗装材と塗膜層との接合性を向上させる機能を有している。プライマー剤の通常における使用方法は、被塗装材の表面にプライマー剤を塗工したあと、塗膜層となる塗料を塗装するものである。
塗装補修パッチの接合剤にプライマー剤を使用する場合は、塗装補修個所で、塗装補修パッチの外形に対応する領域に、プライマー剤を塗工する。刷毛塗りなどの手作業で塗工することができる。塗工されたプライマー剤が経時的に固化してしまうまでの間に、プライマー剤の塗工層の上に、塗装補修パッチを載せる。必要であれば、塗装補修パッチを押し付けて密着させる。塗装補修パッチを貼り付けた状態で所定の時間を維持して、プライマー層が硬化すれば、塗装補修パッチが補修個所に強力に接合される。
プライマー剤は、塗料の一部を溶かしたり化学的に反応結合させたりすることで強力な接合力を発揮するので、塗装補修パッチも強力に補修個所に接合しておくことができる。また、屋外塗装に利用されるプライマー剤は、屋外環境にも耐える十分な耐候性を有している。塗装補修パッチの接合力が経時的に低下することも少ない。プライマー剤は、通常、透明であるため、塗装補修パッチの外形から少しぐらいはみ出ても、建築外装材の外観意匠を大きく損なうことはない。
塗装補修パッチを補修個所に貼り付ければ、塗装補修は完了するが、必要に応じて、塗装補修パッチの上に、透明な保護塗料やコーティング剤を塗工して保護層を形成することもできる。保護層には、透明性に優れ、塗装補修パッチの彩色模様などを損なわない材料を使用する必要がある。
本発明の場合、保護層がなくても、塗装補修パッチの外周端縁などから浮き上がりや剥がれが生じることは少ない。切断加工による切断面がなく、微細な亀裂や割れなどが存在しないので、塗装補修パッチの外周端縁から劣化や損傷、変質などが発生したり内部まで進行したりすることも少ない。
本発明にかかる塗装補修パッチは、補修する建築外装材の塗膜層と同じ条件で塗装されて形成されているので、補修個所に貼り付けたときに、周囲の塗膜層と外観意匠的に違いがなく、補修個所が全く目立たない。
しかも、外周端面が切断加工されておらず切断面を有しないので、外周縁が浮き上がったり剥がれたりし難く、損傷や劣化、変質が外周縁から内側へと進行することも防止できる。
塗装補修パッチの上に保護層を塗工する手間が省け、保護層が周囲との違いを目立たせる問題も起こらない。光触媒含有塗膜層のように、保護層を形成できない形態にも適用することができる。
塗装補修パッチの製造方法として、貫通部を有するマスク材の上から塗料を塗装し、塗料が固化する前にマスク材を取り外して、貫通部の形状に対応する外形の塗装補修パッチが得られる。塗装補修パッチの外周端縁は、塗料の表面張力などの作用によって、自然に滑らかな表面状態を構成する。切断面のような鋭い角やミクロ状の亀裂、割れなどは形成されない。
〔建築外装板の塗装補修構造〕
図1、2は、塗装補修パッチを用いて塗装補修を行った建築外装板を示す。
<建築外装板>
図1に示すように、建築外装板20は外壁下地材10の表面に、皿頭付きのねじ釘Bで取り付け固定される。建築外装板20は矩形板状をなすセメント硬化板からなり、成形硬化したセメント硬化板の表面全体に仕上げ塗膜層30が形成されている。
仕上げ塗膜層30は、建築外装板20の表面から順に、フィラー層32、シーラー層34および光触媒エナメル層36が塗工形成されている。フィラー層32は、建築外装板20の凹凸や細孔を埋めて表面を平らにする機能がある。シーラー層34は、防水性や耐水性を附与したり、フィラー層32と光触媒エナメル層36との接合性を向上させたりする機能がある。フィラー層32およびシーラー層34は、透明あるいは無彩の単色などを呈する。光触媒エナメル層36は、仕上げ塗膜層30の外観意匠性および表面特性を決める。顔料などの着色剤が配合されているとともに、酸化チタンなどの光触媒が配合されている。
図2に示すように、仕上げ塗膜層30の外観意匠すなわち光触媒エナメル層36の塗装形態は、地色の上に複数色のスポット状をなす色彩模様がランダムに配置された多彩色スパッタ模様を呈している。スポット状色彩模様の配置や大きさは、塗料の性状とともに、塗装ガンの調整や塗装条件の設定によって決まる。
図1に示すように、建築外装板20のうち、ねじ釘Bの取付個所では、仕上げ塗膜層30を含む建築外装板20を貫通して、取付孔22を切削加工している。取付孔22の上部には、円錐形状のザグリ孔24が切削加工されている。仕上げ塗膜層30は、ザグリ孔24に相当する円形状に欠除されている。
建築外装板20の取付施工は、外壁下地板10の表面に建築外装板20を配置し、ねじ釘Bを、ザグリ孔24から取付孔22を経て外壁下地板10にねじ込む。建築外装板20が外壁下地板10に固定される。
ねじ釘Bの頭は、ザグリ孔24の底近くに配置されている。ねじ釘Bの頭より上方のザグリ孔24には、補修パテ40が充填硬化される。補修パテ40は、仕上げ塗膜層30の表面まで充填され、表面を平滑に均し、硬化状態で仕上げ塗膜層30と同一面になるように施工される。図2に示すように、前記した多彩色スパッタ模様を呈する仕上げ塗膜層30の中で、灰白色などを呈する補修パテ40の部分は、非常に目立ち、外壁の外観意匠性を損なうことになる。また、補修パテ40は、機械的強度や耐候性がそれほど高くないので、補修パテ40が露出したままでは、経時的に劣化したり損傷したりし易い。
そこで、補修パテ40の上を、塗装補修パッチ50で補修する。
<塗装補修パッチ>
図2に示すように、塗装補修パッチ50は、平面円形の薄い小片状をなす。平面外径が、補修パテ40すなわちザグリ孔24の外径よりも一回り大きい。
塗装補修パッチ50は、仕上げ塗膜層40の光触媒エナメル層36と同じ塗料で同じ塗装条件で塗装された塗膜からなる。塗装補修パッチ50の表面には、光触媒エナメル層36と全く同じ多彩色スパッタ模様を有している。
図1に示すように、塗装補修パッチ50は、プライマー層52を介して、補修パテ40とその周囲の仕上げ塗膜層30の表面に貼り付けられる。プライマー層52は、通常の塗装用の透明なプライマー剤を塗布して形成される。プライマー層52が固化する前に、塗装補修パッチ50を貼り付けることで、プライマー層52の硬化とともに、塗装補修パッチ50を強力に接合することができる。
図2に示すように、塗装補修パッチ50と周囲の仕上げ塗膜層40とは、一体的に連続した一様な模様を呈し、互いの境界が目立たなくなる。特に、多彩色スパッタ模様においてランダムに配置される個々のスパッタ模様が、塗装補修パッチ50と仕上げ塗膜層40とに同じように存在することで、両者の境界線は全く見分けることができなくなる。
しかも、塗装補修パッチ50の外周端縁は、切断面のような鋭い角がなく、塗料の表面張力などの作用によって形成された丸みのある形状になっている。このような丸みのある形状が、塗装補修パッチ50と仕上げ塗膜層40との違いをより目立たなくする。明確な段差や鋭い角辺があると、光の反射特性が断続的に変化することで、外観的に目立ち易い。しかし、丸みのある端縁であれば、光の反射も滑らかに変化するので、目立ち難くなる。建築外装板20の表面を触ったり他物で擦られたりしたときも、鋭い角のない滑らかな形状であれば、引っ掛かることが少なく、端縁を引き剥がされ難い。
〔塗装補修パッチの製造〕
図3は、塗装補修パッチ50の製造工程を示している。
図3(a)に示すように、表面が平坦な非接合性の基板60と、マスク材70を用意する。非接合性の基板60は、塗装補修パッチ50を形成する塗料に対して接合性が無い材料で形成されている。
マスク材70は、通常の塗装用マスク材料で形成されている。図4に示すように、円形の貫通孔72が、間隔をあけて多数配置されている。
図3(b)に示すように、基板60の上にマスク材70を配置し、前記した光触媒エナメル層36と同じ塗料を、同じ塗装条件で塗装して、塗料層56を形成する。前記したように、複数色のスポット状をなす色彩模様がランダムに配置された多彩色スパッタ模様を形成する。塗料の組み合わせや塗装ガンの調整など、光触媒エナメル層36の塗装条件をそのまま適用する。建築外装板20の製造工場あるいは塗装工場で、建築外装板20に光触媒エナメル層36を塗装形成する作業と同じ工程で、基板60への塗料層56の形成工程を行うことができる。
図3(c)に示すように、マスク材70を基板60の上から取り外す。この段階では、塗料層56は固化しておらず、ある程度の流動性を有している。したがって、基板60からマスク材70を取り上げると、塗料の膜が途切れて、マスク材70の上に載った部分と、貫通孔72に対応する円形状で基板60の上に残る部分とに分離される。
基板60の上に残った塗料は、表面張力などの作用で、平坦な膜状を呈するとともに外周端縁54は、上端の角部が少し丸みを付いた滑らかな形状へと自然に形付けられる。この状態で、経時とともに塗料が固化する。乾燥硬化を促進させたり、十分な硬化を行わせたりするために、加熱したり紫外線照射を行ったりする硬化処理を行うことができる。
自由に流動できる状態の塗料が硬化するので、硬化して形成された塗装補修パッチ50は、内部応力の偏りや局部的な残留応力などのない状態である。外周端面や丸みのある外周端縁54を含め、全表面が平滑でミクロ状の亀裂や傷なども存在しない。
図3(d)に示すように、硬化した塗装補修パッチ50を、ヘラ工具62などを使って、基板60の上から取り剥がせば、塗装補修パッチ50が得られる。塗装補修パッチ50の塗料が十分な保形性を発現していれば、完全に硬化する前に、基板60から塗装補修パッチ50を取り上げてもよい。柔軟性が高い状態のほうが、基板60から塗装補修パッチ50を取り外し易い場合もある。
基板60から取り外した塗装補修パッチ50は、剥離性のあるフィルムやシートの表面に貼り付けた状態で、輸送保管などに供することができる。包装袋に収容したり、保護フィルムを被せておいたりすることもできる。
〔塗装補修パッチの機能〕
上記のような製造方法で得られた塗装補修パッチ50は、塗装補修を行った段階から、その後の長い期間にわたって、良好な補修状態を継続して維持することができる。
まず、前記したように、塗装補修パッチ50を貼り付けた状態で、塗装補修パッチ50の外周端縁54に切断面がなく、表面から端面まで滑らかな曲面状につながっているので、塗装補修パッチ50と周囲の塗膜層30との間の段差が目立ち難い。外光の照射方向によって、切断面の角部が鋭い反射光を生じるようなことが防止できる。塗装補修パッチ50の端部に風雨などが当たっても、滑らかな外周端縁であれば、浮き上がったり剥がされたりする方向の力が作用し難い。塗膜層30の表面が擦られても、塗装補修パッチ50の外周端縁で引っかかり難い。
さらに、経時的にも、塗装補修パッチ50は、剥がれたり損傷したりし難い。
外形が切断面からなる塗装補修パッチの場合、外周端縁には、切断の際に生じるミクロ状の亀裂や割れなどがどうしても生じている。切断面である端面と、平滑な表面とでは、かなり特性および性状に違いがある。切断加工の際に発生した応力が、塗装補修パッチの外周付近に残留していることもある。そのため、外周端縁のミクロ状亀裂や割れ、切断端面、残留応力の存在個所が、他の部分よりも脆弱になり易い。補修したあと長い期間が経過すると、塗装補修パッチ50の外周から亀裂や割れが進行し拡大して外観的に目立つようになり易い。亀裂や割れに応力集中が生じ、残留応力も作用すると、塗装補修パッチ50は損傷し易くなる。切断面が露出していると、風雨や日射の作用で、切断面から劣化や変質が生じて内部まで進行し易くなる。塗装補修パッチ50の損傷個所で、防水性や密閉性が低下すると、内側の補修パテ50にまで劣化や変質が進行し、ねじ釘Bから建築外装板20の裏面側までに悪影響を及ぼす心配もある。
これに対し、塗装補修パッチ50の外周に切断面がなく、中央から外周の表面、外周端縁および外周端面の全てが、同じように、滑らかで一様な膜面を構成していれば、前記のような問題は生じ難い。ミクロ状の欠陥が特定個所に固まって発生するようなことはない。風雨や日射の作用を特別に浮け易いところもない。
その結果、塗装補修パッチ50による塗装補修個所は、長期間にわたって、周囲の塗膜層30との違いが目立たず、良好な彩色模様および外観意匠とともに外壁としての機能も良好に維持することができる。
具体的に塗装補修パッチを製造し、その性能を評価した。
〔補修対象〕
住宅の外装仕上げ用ALC水性無機塗装板(パナホーム社製)を用いた。表面には、多彩模様塗装仕上げが施されている。このALC板を住宅の外装仕上げに施工したあと、固定用に用いたねじ釘の取付個所に弾性パテを埋めた。この弾性パテの表面が、周囲の塗装面から目立たないように補修する。弾性パテの表面は直径0.5〜1.0cmの円形である。
〔材料〕
基材:ラベルシール用の下地材となる離型紙を用いた。
マスク材:薄い鉄板に直径1〜2cmの孔を1〜2cm間隔で打ち抜いた。
塗料:オーデパワー410ベースエナメル色(日本ペイント社製)
オーデパワー410スパッタ色(日本ペイント社製)
前記したALC板の塗装仕上げと同じ塗料である。
〔製造工程〕
<実施例1>
剛性のある台板上に、基材となる離型紙をテープ貼り付けして固定した。基材の上にマスク材を配置した。マスク材と基材との間に隙間が生じないように配置した。
前記したALC板の塗装と実質的に同じ塗装条件で塗装を行った。ALC板の塗装ラインに、基材およびマスク材を送り込んだ。エナメル色の下地にスパッタ色による多彩模様が形成された。塗装後、乾燥炉に送って塗膜を乾燥させた。マスク材は、エナメル色が塗装された段階で取り外しておいた。スパッタ色の塗装は、微小な点状に塗料が付着するだけなので、補修パッチの外側で基材表面にスパッタ色が塗装されても問題はない。
塗装が完了し、基材の表面に補修パッチが配置されたシートを、塗装ラインから取出し、基材に支持させたままで補修パッチを保管した。
補修パッチは、直径1〜2cm、厚み約50μm、乾燥塗膜重量約7.5g/mであった。
<比較例1>
実施例1において、マスク材を使用しない以外は同じ製造工程を経て、大判状の補修シートを製造した。製造された補修シートを、直径1〜2cmの大きさで切り取って、補修パッチを作製した。
〔補修作業〕
ALC板のうち、パテ部分の表面に、刷毛塗りで水性の無機透明プライマー剤(オーデパワー600:日本ペイント社製)を約30〜50g/m(wet)で塗工し、プライマー層を形成した。
プライマー層の塗工後、1分以内に、基材から剥がした補修パッチを貼り付けた。補修パッチの上から均一に押さえ付けて、シワや浮き上がりがなく、密着していることを確認した。16時間以上、自然放置した。この間、雨水や結露水が接触しないようにした。ドライヤーで熱風を吹き付けて乾燥を促進させれば、放置時間は短縮化できる。
〔性能評価〕
<実施例1>
外観を目視観察したところ、補修パッチの貼り付け個所は、周囲の塗装と一体化しており、ほとんど区別できない状態であった。経時後にも、補修パッチの劣化や損傷は認められなかった。
<比較例>
補修直後においても、良く観察すると、補修パッチと周囲との間に段差が認められた。経時後には、補修パッチの外周縁が余計に目立つようになっていた。補修パッチの外周縁から中央に向けて細かな亀裂も認められた。
本発明の塗装補修パッチは、例えば、住宅等の建築物において、建築外装板による外壁の仕上げ施工に利用できる。建築外装板に生じる塗装補修個所に塗装補修パッチを貼り付ければ、周囲の塗装との違いが全く目立つことなく、しかも、経時的に損傷したり劣化したりすることもなく、長期間にわたって良好な補修状態を維持することができる。
本発明の実施形態となる建築外装板の施工構造を示す断面図 前図の平面図 塗装補修パッチの製造工程を段階的に示す模式的断面図 マスク材の平面図
符号の説明
10 外壁下地材
20 建築外装材
22 取付孔
24 ザグリ孔
30 塗膜層
32 フィラー層
34 シーラー層
36 光触媒エナメル層
40 補修パテ
50 塗装補修パッチ
52 プライマー層
54 外周端縁
56 塗料層
60 非接合性基板
70 マスク材
72 貫通孔

Claims (4)

  1. 建築外装材に有する塗膜層の補修個所に貼り付ける塗装補修パッチであって、
    非接合性の基材表面に前記塗膜層と同じ条件でパッチ形状に塗装されたあと基材表面から取り剥がされた塗膜の小片からなり、パッチ形状の外周に切断面を有しない
    建築外装板の塗装補修パッチ。
  2. 前記建築外装材に有する塗膜層は、建築外装材の表面側から順に、フィラー層、シーラー層および光触媒エナメル層を備えてなり、
    前記塗膜小片は、前記光触媒エナメル層と同じ塗材を用いて同じ塗装条件で前記非接合性の基材表面に塗装されたものである
    請求項1に記載の建築外装板の塗装補修パッチ。
  3. 請求項1〜2の何れかに記載の塗装補修パッチを製造する方法であって、
    前記塗膜小片を形成する塗料に対して非接合性である基材表面に、前記パッチ形状に対応する貫通部を有するマスク材を配置する工程(a)と、
    前記マスク材の上から、前記建築外装材に有する塗膜層と同じ塗料を同じ塗装条件で塗装する工程(b)と、
    前記塗料が固化する前に、前記基材表面から前記マスク材を取り外す工程(c)と、
    前記マスク材の貫通部の形状に対応するパッチ形状で前記基材表面に残って固化した塗膜小片を、基材表面から取り剥がして、塗装補修パッチを得る工程(d)と
    を含む塗装補修パッチの製造方法。
  4. 建築外装材に有する塗膜層を部分的に補修する方法であって、
    前記部分的な補修個所に、プライマー剤を塗工してプライマー層を形成する工程(m)と、
    前記プライマー層が固化する前に、前記請求項1〜2の何れかに記載され前記補修個所よりも大きなパッチ形状を有する塗装補修パッチを、前記プライマー層の上に貼り付ける工程(n)と
    を含む塗装補修方法。
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