JPH1147996A - サーボプレスの下限位置制御装置及びその制御方法 - Google Patents

サーボプレスの下限位置制御装置及びその制御方法

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JPH1147996A
JPH1147996A JP22314397A JP22314397A JPH1147996A JP H1147996 A JPH1147996 A JP H1147996A JP 22314397 A JP22314397 A JP 22314397A JP 22314397 A JP22314397 A JP 22314397A JP H1147996 A JPH1147996 A JP H1147996A
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隆 広津
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 打抜き加工時の騒音や振動の抑制、金型やプ
レス機械の破損防止や寿命向上、を図るサーボプレスの
下限位置制御装置及びその制御方法。 【解決手段】 スライドを電動サーボモータ19により
上限位置と下限位置との間で上下方向に直線駆動し、ス
ライドが設定されたモーションカーブに沿って制御され
ワークの打抜き加工を行なうサーボプレスにおいて、ワ
ークに固有の打抜き時における加圧力の時間的変化を基
準圧力減少率として記憶しておく。初回の加工時に、加
圧力の時間的変化を実圧力減少率として演算し、この実
圧力減少率が基準圧力減少率以上のとき打抜きと判断す
る。この打抜き時のスライドの打抜き位置及び打抜き速
度に基づいて、この打抜き速度より低速の打抜き位置近
傍の位置決め速度、及び打抜き位置より所定距離手前に
この位置決め速度に切替える位置を新たな加工条件とし
て設定し、次回以降の加工を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、スライドが電動
サーボモータにより直動駆動されるサーボプレスの加工
中の振動や騒音を抑制可能とするサーボプレスの下限位
置制御装置及びその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プレス加工は塑性変形や剪断によりワー
クを所定の寸法や形状に形成する手段であり、スライド
に取付けられた工具がワークを打撃する時や打抜く時に
は騒音や振動が発生する。この騒音や振動は劣悪な作業
環境をもたらし、作業者に精神的あるいは肉体的な危害
を加えるのみならず労働災害の要因となっている。ま
た、騒音に関しては労働安全衛生法によって規制がなさ
れている。こうしたことから、プレス加工時に発生する
騒音や振動を減少させる方法が色々と提案されている。
例えば、特開平3−33439号公報では、サーボモー
タによりスライドを直線駆動して被加工物(本発明では
ワークと表す)を加工するサーボプレスにおいて、図7
に示すようなモーションカーブによって騒音を減少させ
る技術が開示されている。この技術によると、予め設定
されたスライド速度や速度切替え位置等の加工条件に基
づいて、スライドに取付けられた工具が上限位置Uから
被加工物に接近する接近工程において高速の所定の接近
速度で移動し、加工工程に移行する加工開始位置Sから
は前記接近速度よりも低速の所定の加工速度に切替えら
れて被加工物を加工するように、スライドモーションを
制御している。このような制御により、工具が被加工物
を高速の接近速度で打撃する前にスライドを低速の加工
速度に切替えることによって、打撃時に発生する打撃音
(騒音)を抑制するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、打抜き
加工においては打抜きの瞬間にワークが破断されると共
に、スライドの加圧力が急に開放されてスライドが下方
に突っ込む、いわゆるブレークスルーが生じる。このと
き、このワークの破断によって、上述したような打撃音
よりも大きな騒音が発生することが多い。また、ブレー
クスルー時にはスライドを支持しているフレ−ムの撓み
の瞬間的な開放によりプレス機械全体に大きな振動が発
生したり、スライドが金型を打撃したりする場合があ
る。この結果、騒音や振動により作業環境が悪化した
り、騒音の法規制により作業時間帯が制限されたり、あ
るいはスライドの大きな突っ込み量により金型やプレス
機械が破損したり、寿命低下を来すという問題がある。
【0004】この発明は上記の問題点に鑑みてなされ、
打抜き加工時に発生する騒音や振動を抑制したり、ある
いは金型やプレス機械の破損防止や寿命向上を図るサー
ボプレスの下限位置制御装置及びその制御方法を提供す
ることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】上記の目
的を達成するために、請求項1に記載の発明は、電動サ
ーボモータ19により上下方向に直線駆動されてワーク
を打抜き加工するスライド13と、このスライド13の
位置を検出するスライド位置検出手段16と、予め設定
されたスライド13の速度及びこの速度への速度切替え
位置等の加工条件を記憶する加工条件記憶手段26と、
この加工条件記憶手段26に記憶された前記加工条件、
及びスライド位置検出手段16により検出された位置に
基づいて、電動サーボモータ19の速度指令値を演算す
るサーボモータ指令演算手段27とを備え、この速度指
令値に基づいて電動サーボモータ19を制御し、前記設
定された加工条件に基づいてスライド13を上限位置と
下限位置との間を上下駆動する下限位置制御装置におい
て、前記スライド13の加圧力を検出し、加圧力信号を
出力する加圧力検出手段19aと、この加圧力信号に基
づいてスライド13の加圧力を演算する加圧力演算手段
21と、この加圧力演算手段21によって演算された加
圧力の時間的変化を加圧力が減少する方向を正とする実
圧力減少率Pcとして演算する圧力減少率演算手段22
と、予め、ワークに固有の打抜き時の加圧力の時間的変
化を加圧力が減少する方向を正とする基準圧力減少率P
bcとして記憶しておき、初回目の加工時に、この記憶
された基準圧力減少率Pbcと加工中に圧力減少率演算
手段22によって演算された実圧力減少率Pcとを比較
し、実圧力減少率Pcが基準圧力減少率Pbc以上のと
き打抜きと判断して、スライド位置検出手段16により
検出された位置を打抜き位置として読込み、前記サーボ
モータ指令演算手段27により演算された速度指令値を
打抜き速度として読込む打抜き判定手段23と、この打
抜き判定手段23により読込まれた打抜き位置及び打抜
き速度をフィードバックする位置・速度フィードバック
手段24と、このフィードバックされた打抜き位置及び
打抜き速度に基づいて、打抜き速度より低速の打抜き位
置近傍の位置決め速度、及び打抜き位置より所定距離手
前でこの低速に切替えられる位置決め速度切替え位置を
次回以降の加工条件として新たに設定し、この新たに設
定した加工条件を前記加工条件記憶手段26に出力して
記憶させるスライド位置・速度設定手段25とを備えた
構成としている。
【0006】請求項1に記載の発明によると、ワークの
初回目の打抜き加工において、スライド13は、所定の
打抜き速度でワークに当接した後、ワークを加圧しなが
ら低速で下降する。この低速下降時に、スライド13の
加圧力によってワークの打抜きが行なわれる。ワーク加
工中には、加圧力検出手段19aから検出された加圧力
信号に基づいて、加圧力演算手段21により加圧力が演
算され、この加圧力の時間的変化が、加圧力の減少する
方向を正とする実圧力減少率Pcとして圧力減少率演算
手段22により演算されている。また、圧力減少率演算
手段22には、予めワークに固有の打抜き時の加圧力の
時間的変化が加圧力の減少する方向を正とする基準圧力
減少率Pbcとして記憶されており、加工中の実圧力減
少率Pcがこの基準圧力減少率Pbc以上になった時
に、打抜き判定手段23によりワークの打抜き発生と判
断される。打抜き判定手段23は、打抜き発生と判断し
た時のスライド13の打抜き位置と打抜き速度とを読込
み、位置・速度フィードバック手段24を介してスライ
ド位置・速度設定手段25に伝達する。このスライド位
置・速度設定手段25は、この伝達された打抜き位置と
打抜き速度に基づいて、打抜き速度より低速の打抜き位
置近傍の位置決め速度と、打抜き位置より所定距離手前
でこの低速に切替える位置決め速度切替え位置とを新た
な加工条件として設定する。そして、新たに設定された
加工条件は加工条件記憶手段26に記憶され、次回以降
の加工は、この新たに設定された条件と、初回目の加工
時に予め設定された初期条件とからなる新たな加工条件
に基づいて行なわれる。したがって、スライド13は、
打抜き位置よりも手前の位置で、打抜き速度よりもさら
に低速に切替えられて打抜きを行なうので、ワークに蓄
えられる加圧エネルギーは少なくなり破断時の騒音レベ
ルは低くなると共に、同様な理由によりプレスの撓み量
が小さくなるのでブレークスルー時のスライド13の突
っ込み量もこの撓み量に比例して小さくなる。この結
果、打抜き時の騒音や振動が抑制されるので、作業環境
が改善され作業性の向上を図ることができる。また、騒
音規制をクリアすることによって稼働時間の拡大が可能
となるので生産能力の向上が図れる。さらに、ブレーク
スルーによる金型やプレス機械の破損を防止したり、寿
命を向上することができる。
【0007】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
記載のサーボプレスの下限位置制御装置において、前記
スライド位置・速度設定手段25は、毎回の加工の都
度、前記打抜き判定手段23により読込まれた打抜き位
置に基づいて、次回の加工時の前記位置決め速度切替え
位置を新たに設定する構成としている。
【0008】請求項2に記載の発明によると、ワーク打
抜きの都度検出される打抜き位置に基づいて、位置決め
速度切替え位置が新たに設定される。そして、次回の打
抜き加工時には、スライド13は、この新たに設定され
た位置決め速度切替え位置で低速に切替えられた後に打
抜きを行なう。したがって、ワークの厚さのばらつきが
比較的大きい場合にも、この厚さの変化に追従して打抜
き位置を検出できるので、請求項1に記載の発明の効果
に加え、位置決め速度切替え位置をこのばらつきを考慮
することなく打抜き位置近くに設定でき、低速の位置決
め速度でのスライド13の下降距離が短くなるので加工
サイクルタイムを短縮できる。よって、生産性の向上を
図ることができる。また、位置決め速度切替え位置から
打抜き位置までの距離が精度良く維持されるので、騒音
や振動のばらつきを小さくできると共に、所定のレベル
内に抑制することができる。
【0009】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
記載のサーボプレスの下限位置制御装置において、前記
スライド位置・速度設定手段25は、所定の加工回数毎
に、前記打抜き判定手段23により読込まれた打抜き位
置に基づいて、次回から所定回数までの加工時の前記位
置決め速度切替え位置を新たに設定する構成としてい
る。
【0010】請求項3に記載の発明によると、ワーク打
抜きの所定回数毎に検出された打抜き位置に基づいて、
位置決め速度切替え位置が新たに設定される。そして、
次回から所定回数までの打抜き加工時には、スライド1
3は、この新たに設定された位置決め速度切替え位置で
低速に切替えられた後に打抜きを行なう。したがって、
ワークの厚さのばらつきが比較的小さい場合には少ない
頻度でこの厚さの変化に追従して打抜き位置を検出で
き、位置決め速度切替え位置をこのばらつきを殆ど考慮
することなく打抜き位置近くに設定できるので、低速の
位置決め速度でのスライド13の下降距離が短くなり加
工サイクルタイムを短縮できる。よって、生産性の向上
を図ることができる。また、位置決め速度切替え位置か
ら打抜き位置までの距離が精度良く維持されるので、騒
音や振動のばらつきを小さくできると共に、所定のレベ
ル内に抑制することができる。
【0011】また、請求項4に記載の発明は、前記設定
された加工条件や加工中の加工条件を表示する設定表示
手段28を付設したことを特徴とする請求項1〜3のい
ずれか一つに記載のサーボプレスの下限位置制御装置の
構成としている。
【0012】請求項4に記載の発明によると、設定表示
手段28の表示により、新たに設定された加工条件が常
に把握できると共に、加工中の加工条件の刻々の変化を
監視することができる。したがって、請求項1〜3のい
ずれか一つに記載の発明の効果に加え、加工するワーク
を変更する時の段取作業において、前記設定されている
加工条件をこの設定表示手段28に表示し確認して再利
用したり、あるいは、新たに設定された加工条件を表示
して適正な条件か否かを判断することができるので、段
取作業を容易に行なうことができる。また、加工中の加
工条件の監視が常に可能となるので、異常の発生に対し
て早期に処置することができる。
【0013】また、請求項5に記載の発明は、前記加圧
力検出手段19aが、電動サーボモータ19の駆動電流
値を検出する電流検出センサである請求項1〜4のいず
れか一つに記載のサーボプレスの下限位置制御装置の構
成としている。
【0014】請求項5に記載の発明によると、スライド
13を駆動している電動サーボモータ19の駆動電流値
を電流検出センサにより検出しており、この駆動電流値
より算出されるモータ出力トルクから加減速トルクや定
速トルクを差し引いて実作業トルクとしてスライド13
の加圧力を求めることができる。よって、加圧力を簡単
な構成の電流検出センサにより精度よく求めることがで
きると共に、電動サーボモータ19を簡単なシステム構
成により容易に制御することができる。したがって、請
求項1〜4のいずれか一つに記載の発明の効果に加え、
この加圧力に基づいて打抜き位置を高精度に検出でき、
よって、位置決め速度切替え位置がこの高精度の打抜き
位置に基づいて設定マージン(余裕距離)を大きくせず
に設定できるので、低速の位置決め速度でのスライド1
3の下降距離が短くなり作業時間の短縮を図ることがで
きる。また、単純構成の制御装置を安価に製作すること
ができる。
【0015】また、請求項6に記載の発明は、スライド
13を電動サーボモータ19により上限位置と下限位置
との間を上下方向に直線駆動し、スライド13の速度及
びこの速度の切替え位置等の加工条件に基づいてワーク
の打抜き加工を行なうサーボプレスの下限位置制御方法
において、予めワークに固有の打抜き時におけるスライ
ド13の加圧力の時間的変化を加圧力が減少する方向を
正とする基準圧力減少率Pbcとして記憶しておき、初
回の加工時に、打抜き加工中に加圧力の時間的変化を加
圧力が減少する方向を正とする実圧力減少率Pcとして
演算し、この実圧力減少率Pcと前記記憶した基準圧力
減少率Pbcとを比較することによって、実圧力減少率
Pcが基準圧力減少率Pbc以上のとき打抜きと判断し
て、打抜き時のスライド13の打抜き位置及び打抜き速
度に基づいて、この打抜き速度より低速の打抜き位置近
傍の位置決め速度、及び打抜き位置より所定距離手前に
この低速に切替える位置決め速度切替え位置を新たな加
工条件として設定し、次回以降の加工時には、この加工
条件でスライド13を制御して打抜きを行なう方法とし
ている。
【0016】請求項6に記載の発明によると、予めワー
クに固有の打抜き時の基準圧力減少率Pbcを記憶して
おき、初回の加工時に、打抜き加工中に演算されている
実圧力減少率Pcが前記記憶された基準圧力減少率Pb
c以上になった時にワークの打抜きを判断すると共に、
この打抜き判断時のスライド13の打抜き位置及び打抜
き速度を読込む。なお、この基準圧力減少率Pbcと実
圧力減少率Pcとは、それぞれ加圧力が減少する方向を
正としている。この打抜き位置と打抜き速度とに基づい
て、打抜き速度より低速の位置決め速度と、打抜き位置
より所定距離手前でこの低速に切替える位置決め速度切
替え位置とを新たな条件として設定する。そして、次回
以降の加工時には、この新たに設定された条件に基づい
て打抜きが行なわれる。したがって、スライド13は、
打抜き位置よりも手前の位置で、打抜き速度よりもさら
に低速に切替えられて打抜きを行なうので、ワークに蓄
えられる加圧エネルギーは少なくなり破断時の騒音レベ
ルは低くなると共に、同様な理由によりプレスの撓み量
が小さくなるのでブレークスルー時のスライド13の突
っ込み量もこの撓み量に比例して小さくなる。この結
果、打抜き時の騒音や振動が抑制されるので、作業環境
が改善され作業性の向上を図ることができる。また、騒
音規制をクリアすることによって稼働時間の拡大が可能
となるので生産能力の向上が図れる。さらに、ブレーク
スルーによる金型やプレス機械の破損を防止したり、寿
命を向上することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図面を参照
して詳述する。図1は、本発明に係わるサーボプレスの
要部側面図を示している。サーボプレス1には側面視し
て略C字形状のフレーム10が設けられており、フレー
ム10の下部にはベッド11が取付けられている。この
ベッド11の上部にはボルスタ12が略水平に配設され
ており、ボルスタ12の上面には下型(図示せず)が取
着されている。前記フレーム10の前記C字形状の開口
部近傍には、この開口部と類似な形状をした補助フレー
ム14が装着されている。この補助フレーム14は、上
下方向に変位自在となるように、その下側がピン15に
よりフレーム10の側面に取付けられている。
【0018】また、フレーム10の上部には、このサー
ボプレス1の動力源である電動サーボモータ19、及び
動力変換装置17が装着されている。この動力変換装置
17は、ボールスクリューなどにより電動サーボモータ
19の回転力を往復運動に変換している。電動サーボモ
ータ19には、例えばパルスジェネレータなどのよう
な、回転速度を検出する速度検出手段19bが設けられ
ている。この電動サーボモータ19と前記動力変換装置
17とは、例えばベルトのような回転伝達部材18によ
って回転自在に連結されている。なお、この回転伝達部
材18はチェーンや歯車でもよいし、また回転伝達部材
18を使用せずに電動サーボモータ19と動力変換装置
17とのそれぞれの軸を直接結合してもよい。また、電
動サーボモータ19は交流モータ、直流モータのいずれ
でもよい。動力変換装置17についても、ウォームギヤ
とウォームホイール、あるいはピニオンギヤとラックと
により回転運動を往復運動に変換してもよく、ここでは
その手段について限定するものではない。
【0019】前記動力変換装置17の下端には、ボルス
タ12に対向する位置で上下動自在なスライド13が装
着されており、スライド13には上型(図示せず)が取
付けられている。前記スライド13の後部側と前記補助
フレーム14の上端側の間には、リニアセンサなどから
構成されるスライド位置検出手段16が設けられてい
る。このスライド位置検出手段16は、軸方向がスライ
ド13の上下動方向と平行になるようにスライド13の
後部に取付けられたセンサロッド16aと、このセンサ
ロッド16aが挿入され、かつ、補助フレーム14に取
付けられた検出ヘッド16bとから構成されている。ス
ライド13の上下動に伴って、このセンサロッド16a
が、固定されている検出ヘッド16bに対して上下動す
ることによって、検出ヘッド16bの内部に組込まれた
センサにより、スライド13の位置がボルスタ12の上
面からの高さとして検出される。
【0020】打抜き加工は前記スライド13を所定の加
工条件に従って作動するように制御して行なわれ、この
加工条件は製品品質、作業能率及び振動や騒音などの周
辺の環境条件等に大きな影響を及ぼす。このため加工条
件の設定は、打抜き加工において非常に重要な作業とな
っている。
【0021】図2は、本発明に係わるサーボプレスの下
限位置制御装置のハード構成及び制御の概要を示すブロ
ック図である。打抜き加工に当たって、作業者は、予め
打抜き条件としてスライド13の打抜き速度、この速度
の切替え位置、上限位置、下限位置及び加圧能力などの
初期値を設定・指示手段9により設定し、後述のサーボ
制御装置20に入力する。また、設定・指示手段9は、
例えばキーボードやタッチパネルあるいは設定スイッチ
等からなり、この設定・指示手段9により前述のように
設定データを入力したり、また自動運転、手動運転、あ
るいは打抜き条件設定などの作動モードの選択や、運転
開始や停止などの作動を指示したりする。
【0022】前記設定・指示手段9から入力された設定
データはサーボ制御装置20に入力されて記憶され、予
め組込まれた処理手順に従ってスライド13の作動の制
御、すなわちモーション制御を行なう。このサーボ制御
装置20は、汎用的なコンピュータなどから構成されて
おり、打抜き条件データの入力、記憶、演算処理、出力
及び表示などの機能を有している。このサーボ制御装置
20は、打抜き加工時にワークの打抜きを判断し、この
打抜き時のスライド13の位置(以後、打抜き位置と呼
ぶ)と打抜き速度とに基づいて、この打抜き速度よりも
低速のスライド下限位置の位置決め速度を設定すると共
に、この位置決め速度へ切替える位置(以後、位置決め
速度切替え位置と呼ぶ)を打抜き位置の所定距離手前に
新たに設定する。そして、サーボ制御装置20は、この
設定された新たな打抜き条件とスライド位置検出手段1
6からの位置とに基づいて、電動サーボモータ19を制
御する速度指令値をサーボモータ指令出力手段29に出
力する。サーボモータ指令出力手段29は、この速度指
令値に基づいて電動サーボモータ19の駆動電流値を制
御し、スライド13が所定のモーションカーブに沿って
駆動されるように制御している。また、サーボモータ指
令出力手段29には、例えばシャント抵抗等により電動
サーボモータ19の駆動電流値を検出する電流検出セン
サからなる加圧力検出手段19aが付設されており、こ
の検出された駆動電流値はサーボ制御装置20に入力さ
れている。
【0023】図3は、本発明に係わる打抜き加工におけ
るモーションカーブ及び加圧力カーブの一例を示してお
り、打抜きの判定方法に関して同図に基づいて説明す
る。図3(A)は、モーションカーブを表し、縦軸にス
ライド位置Zを、横軸にスライド13の下降開始からの
経過時間tを表す座標からなっている。また、図3
(B)は、スライド13の加圧力カーブを示しており、
縦軸にスライド13の加圧力Pを、横軸にはモーション
カーブと同様にスライド13の下降開始からの経過時間
tを表している。そして、前記スライド位置Zと加圧力
Pとは、同一の経過時間tにおいてそれぞれ対応関係に
ある。スライド13は、上限位置Zaより高速下降し、
ワークより所定距離手前の速度切替え位置Zcに達する
と、低速の打抜き速度に切替えられて更に下降する。こ
のとき、加圧力Pが経過時間tと共に上昇し最大加圧力
Pmに達すると、ワークは塑性変形を開始する。そし
て、スライド13が更にワークを加圧すると、ワークは
塑性変形に追従できずに破断され加圧力Pは急減する。
この結果、ワークの打抜きが行なわれる。
【0024】ここで、この打抜きが行なわれた点を打抜
き点Bp、この打抜き点Bpにおける加圧力を打抜き加
圧力Pb、また、このときの加圧力Pの時間的変化を加
圧力Pが減少する方向を正の値とする基準圧力減少率P
bcと定義する。この基準圧力減少率Pbcは、ワーク
固有の値として経験値などにより求められる。すなわ
ち、打抜き加圧力Pbは複数の試し加工等により求めら
れ、基準圧力減少率Pbcは、この求められた打抜き加
圧力Pbのばらつきを考慮して、打抜き発生の判断が可
能となる所定の大きさの基準値に設定される。一方、加
工中に求められる加圧力Pの時間的変化を加圧力Pが減
少する方向を正の値とする実圧力減少率Pcと定義する
と、この実圧力減少率Pcは、数式「Pc=ΔP/Δ
t」により演算される。そして、この加工中の実圧力減
少率Pcが予め設定されている前記基準圧力減少率Pb
c以上になった時に、すなわち、基準圧力減少率Pbc
以上で加圧力Pが減少した時に、このワークの打抜きが
行なわれたと判断する。
【0025】図4は、本発明に係わるサーボプレスの下
限位置制御装置及びその制御方法の機能ブロック図を示
している。加圧力演算手段21は、加圧力検出手段19
aである電流検出センサにより検出された駆動電流値に
基づいて、電動サーボモータ19の出力トルクを演算す
る。そして、この加圧力演算手段21は、演算された出
力トルクを変換してスライド13の加圧力を求める。こ
のように、電動サーボモータ19の駆動電流値に基づい
て加圧力を求めるには、例えば、以下のような方法で行
なう。予め、加速又は減速トルクを算出するための負荷
イナーシャ定数、定速維持するトルクを算出するための
速度抵抗トルク比例定数、摩擦トルク定数、及び駆動電
流と出力トルクとの関係を表すトルク定数等の各定数デ
ータを記憶しておく。そして、加速時又は減速時には、
必要な加速度値又は減速度値と上記各定数データに基づ
いて必要な駆動電流値を求め、電流検出センサで検出し
た駆動電流値から前記求めた必要な駆動電流値を差引い
て、加減速時の実作業トルクを算出する。
【0026】定速時も同様にして、このとき維持すべき
速度値と上記各定数データに基づいて必要な駆動電流値
を求め、検出した駆動電流値から前記求めた必要な駆動
電流値を差引いて、定速時の実作業トルクを算出する。
そして、このようにして求められた電動サーボモータ1
9の実作業トルクと、スライド13の加圧力との関係を
予め求めて加圧力演算手段21に記憶しておく。この加
圧力演算手段21は、打抜き時に検出された駆動電流値
に基づいて実作業トルクを求め、この実作業トルクに基
づいてスライド13の加圧力を演算する。このように加
圧力検出手段19aとして電流検出センサを使用するこ
とにより、スライド13の加圧力を簡単な構成の電流検
出手段により精度よく求めることができ、かつ電動サー
ボモータ19の制御を単純なシステム構成により容易に
できる。したがって、この加圧力に基づいて、打抜き位
置を高精度に検出でき、よって、位置決め速度切替え位
置がこの高精度の打抜き位置に基づいて設定マージン
(余裕距離)を大きくせずに設定できるので、低速の位
置決め速度でのスライド13の下降距離が短くなり作業
時間の短縮を図ることができる。また、単純構成の制御
装置を安価に製作することができる。なお、加圧力検出
手段19aは電流検出センサに限定するものではなく、
例えば動力変換装置17の近傍に取付けられた歪ゲージ
などによりフレーム10の歪を検出し、この歪に基づい
てスライド13の加圧力を算出してもよい。
【0027】圧力減少率演算手段22は、前記加圧力演
算手段21により演算された加圧力の時間的変化を実圧
力減少率Pcとして演算し打抜き判定手段23に出力す
る。この打抜き判定手段23は、この実圧力減少率Pc
に基づいて、打抜き加工時のワークの打抜きを判断す
る。すなわち、この打抜き判定手段23は、ワーク毎に
固有の打抜き時の基準圧力減少率Pbcを予め求めて記
憶しておき、加工中に前記実圧力減少率Pcが基準圧力
減少率Pbc以上になると打抜きが行なわれたと判断す
る。また、打抜き判定手段23は、この打抜き発生時に
検出された打抜き位置、及び後述するサーボモータ指令
演算手段27から出力された打抜き速度を読込んで、位
置・速度フィードバック手段24に出力する。同時に、
打抜き判定手段23は、前記打抜きと判断した時に打抜
き発生の情報をサーボモータ指令演算手段27に伝達す
る。
【0028】位置・速度フィードバック手段24は、前
記打抜き位置及び打抜き速度を入力してスライド位置・
速度設定手段25にフィードバックする。このスライド
位置・速度設定手段25は、前記打抜き位置と打抜き速
度とに基づいて、この打抜き速度よりも低速の位置決め
速度を新たに設定すると共に、この位置決め速度に切替
える位置として打抜き位置より上方で、かつ所定距離手
前に位置決め速度切替え位置を新たに設定する。この位
置決め速度と位置決め速度切替え位置は、スライド位置
・速度設定手段25に組込まれたアルゴリズムにより演
算される。加工条件記憶手段26は、予め設定・指示手
段9により初期設定された加工条件データを記憶してお
く。さらに、前記スライド位置・速度設定手段25によ
って新たに設定された位置決め速度及び位置決め速度切
替え位置を新たな加工条件として、初期設定されている
上記加工条件に追加して記憶する。
【0029】サーボモータ指令演算手段27は、前記加
工条件記憶手段26に記憶されている加工条件、スライ
ド位置検出手段16により検出された打抜き位置、及び
前記打抜き判定手段23から伝達された打抜き発生の情
報に基づいて、スライド13が所定のモーションカーブ
に沿って駆動されるように電動サーボモータ19の速度
指令値をサーボモータ指令出力手段29に出力する。こ
のモーションカーブは、打抜き判定手段23からの打抜
き発生の情報が入力されると、スライド13が直ちに上
昇して上限位置まで復帰するように設定されている。こ
のサーボモータ指令出力手段29は、例えばサーボアン
プなど汎用的に用いられている装置により構成されてい
る。そして、サーボモータ指令出力手段29は、入力さ
れた速度指令値に基づいて、スライド13が所定の位置
において所定の速度になるように、この速度指令値と速
度検出手段19bからの速度フィードバック信号との偏
差が小さくなるように電動サーボモータ19を制御す
る。
【0030】設定表示手段28は、例えば液晶表示画面
やCRT、又は数値を表示するLED等により構成され
ている。そして、この設定表示手段28は、前記スライ
ド位置・速度設定手段25により新たに設定された加工
条件やサーボモータ指令演算手段27により出力された
加工中の加工条件を表示したり、前記打抜き条件記憶手
段26に既に設定され記憶されている加工条件を作業者
の指示に基づいて表示したりする。この結果、加工する
ワークを変更する時の段取作業において、作業者は、既
に設定され記憶されている加工条件をこの設定表示手段
28に表示し確認して再利用したり、あるいは、新たに
設定された加工条件を表示して適正な条件か否かを判断
することができるので、段取作業を容易に行なうことが
できる。また、加工中の加工条件の監視が常に可能とな
るので、異常が発生した場合でも作業者は直ちにこの異
常を把握して早期に処置することができる。
【0031】図5は、本発明に係わるサーボプレスのモ
ーションカーブを、スライド13の速度−位置線図で示
している。本図において、実線で示した線図は、新たな
加工条件に基づいて下限位置制御を行なう2回目以降の
加工時のモーションカーブを表しており、この新たな加
工条件を設定する前の初回目の加工時の線図は、この2
回目以降の線図と二点鎖線で示した部分のみ異なってい
る。まず、実線で示したモーションカーブについて説明
する。この速度−位置線図は、縦軸にスライド13の速
度Vを、横軸にスライド位置Zを表しており、この縦軸
の目盛り0の線の上側には下降工程の速度制御パターン
を、下側には上昇工程の速度制御パターンを示してい
る。加工が開始されると、スライド13は上限位置Z0
0から加速しながら下降し、位置Z02で所定の高速下
降速度V00に達する。スライド13は高速下降速度V
00を維持しながら位置Z04まで下降し、この位置Z
04からは減速しながらワーク上面の上方で、かつ設定
下限位置Z30より所定距離手前の打抜き開始位置Z1
0に到達する。
【0032】この打抜き開始位置Z10において、スラ
イド13は、低速の打抜き速度V10まで減速されて打
抜きを開始する。スライド13が、打抜き速度V10を
維持しながら位置Z12まで下降し、この位置Z12か
ら減速しながら位置決め速度切替え位置Z20に到達す
ると、スライド13の速度は位置決め速度V20まで更
に低速となる。そして、スライド13が位置決め速度V
20で下降する位置決め下降中に打抜き位置Z25にお
いてワークの打抜きが行なわれる。この打抜きが行なわ
れると、スライド13は直ちに上昇を開始する。そし
て、打抜き位置Z25から打抜き開始位置Z10の近傍
まで低速上昇速度V30で上昇し、さらに高速上昇速度
V40で上限位置Z00に復帰して加工サイクルを終了
する。
【0033】このような2回目以降のモーションカーブ
は、初回目の加工において以下のようにして設定され
る。初回目のモーションカーブは、スライド13が打抜
き開始位置Z10から打抜き速度V10で設定下限位置
Z30に向かって下降するように設定されており、この
設定下限位置Z30は予測される打抜き位置より下方位
置に設定されている。よって、初回目の加工では、スラ
イド13が設定下限位置Z30に到達する前に打抜きが
行なわれる。この打抜きが行なわれると、前記打抜き速
度V10よりも低速の位置決め速度V20と、打抜き発
生時のスライド位置から求められた打抜き位置Z25よ
りも所定距離手前でこの低速に切替えられる位置決め速
度切替え位置Z20とが新たに設定され、2回目以降の
モーションカーブが得られる。
【0034】図6は、本発明に係わるサーボプレスの下
限位置制御方法をフローチャートにより示す。打抜き加
工を開始する前に、まずステップS1で、加工の初期条
件を設定する。この初期条件は、スライド13の速度条
件として高速下降速度V00、打抜き速度V10、低速
上昇速度V30及び高速上昇速度V40が、また、スラ
イド4の位置条件として上限位置Z00、打抜き開始位
置Z10及び設定下限位置Z30が設定される。これら
の加工条件は過去の類似ワークの経験データ等により設
定されるが、設定下限位置Z30は、スライド13がこ
の設定下限位置Z30に到達する前にワークの打抜きが
必ず行なわれるように設定されている。これらの初期条
件の設定データは設定・指示手段9より入力されて制御
装置20の加工条件記憶手段26に記憶され、また、基
準圧力減少率Pbcは打抜き判定手段23に記憶され
る。
【0035】次のステップS2で、初回目の加工を開始
し、スライド13は上限位置Z00から高速下降速度V
00で下降し、打抜き開始位置Z10に到達する。ステ
ップS3では、スライド13は、打抜き開始位置Z10
から打抜き速度V10で、ワークを加圧しながら低速下
降する。そして、ステップS4で、この打抜き速度V1
0で下降中に打抜き判定手段23が打抜きを判断した場
合には、次のステップS5が実行され、打抜きを判断し
なかった場合にはステップS8が実行される。この打抜
きは、加工中に演算されている実圧力減少率Pcが、予
め記憶されている基準圧力減少率Pbc以上になった時
に、打抜き判定手段23により判断される。スライド1
3の下限位置は前記初期条件のような設定下限位置Z3
0に設定されているので、加工の初回目にはステップS
4において必ず打抜きが検出される。
【0036】ステップS5において、打抜き判定手段2
3は、打抜き発生時のスライド13の打抜き位置Z25
と打抜き速度V10とを読込んで、位置・速度フィード
バック手段24を介してスライド位置・速度設定手段2
5に伝達する。スライド位置・速度設定手段25は、こ
の伝達された打抜き位置Z25と打抜き速度V10とに
基づいて、打抜き速度V10より低速の位置決め速度V
20と、打抜き位置Z25より所定距離手前でこの低速
に切替える位置決め速度切替え位置Z20とを新たな加
工条件として設定する。この新たに設定された加工条件
は、初期条件に追加されて加工条件記憶手段26に記憶
されると共に、初期条件と併せて設定表示手段28に表
示される。そして、次回の打抜き加工は、記憶されてい
る初期設定条件と、この新たに追加された条件とに基づ
いて行なわれるようになっている。
【0037】この位置決め速度V20は、例えば打抜き
速度V10の所定割合の低速に設定する演算式や打抜き
速度V10及びワークの厚さを変数として速度を設定す
るような関数式などのアルゴリズムにより設定される。
また、位置決め速度切替え位置Z20についても、位置
決め速度V20の設定と同じ様なアルゴリズムによって
設定されるようになっている。この位置決め速度切替え
位置Z20は、例えば、スライド13が加工時に当接す
るワークの上面位置と打抜き位置Z25との距離を加圧
距離として算出し、打抜き位置Z25よりこの加圧距離
の所定割合だけ手前に設定されたり、あるいは打抜き位
置Z25よりワークの厚さの所定割合だけ手前に設定さ
れる。
【0038】つぎのステップS6は、ステップS5と同
時に実行が開始される。打抜きが判断されると、この判
断に基づいてスライド13は直ちに上昇し上限位置Z0
0に復帰する。そして、ステップS7で、加工が繰返さ
れるならばステップS2からの処理が再び実行され、繰
返されなければ処理は終了となる。ステップS8におい
ては、初回目の加工時に、打抜き速度V10より低速の
位置決め速度V20と打抜き位置Z25より所定距離だ
け手前でこの低速に切替えられる位置決め速度切替え位
置Z20とが新たな条件として既に設定されているの
で、スライド13はこの条件に従って位置決め下降を行
なう。このようにして、2回目以降の加工時には、この
ステップS8以降のステップが実行される。この位置決
め下降が行なわれている時にステップS9が実行され、
前記ステップS4と同様にして、ワークの打抜きが判断
される。この打抜きが検出された場合は前記ステップS
6以降の処理が実行され、打抜きが検出されない場合に
は前記ステップS8の位置決め下降が実行され、この位
置決め下降は打抜きが検出されるまで継続される。
【0039】このようにして、初回目の打抜き加工時
に、打抜き速度V10より低速の位置決め速度V20
と、位置決め速度切替え位置Z20とが新たに設定され
る。そして、2回目以降の加工時には、この新たに設定
された加工条件と初期条件とに基づいて打抜きが行なわ
れる。したがって、スライド13は、打抜き位置よりも
手前の位置決め速度切替え位置で、打抜き速度よりもさ
らに低速の位置決め速度に切替えられて打抜きを行なう
ので、ワークに蓄えられる加圧エネルギーは少なくな
り、よって破断時に発生する騒音レベルは低くなる。ま
た、プレス機械のフレ−ムに蓄えられる加圧エネルギー
も同様に少なくなりプレスの撓み量が小さくなるので、
ブレークスルー時のスライド13の突っ込み量もこの撓
み量に比例して小さくなる。この結果、打抜き時の騒音
や振動を抑制することができるので、作業環境が改善さ
れ作業性の向上が図れる。また、騒音規制をクリアする
ことによって稼働時間の拡大が可能となるので生産能力
の向上を図れる。さらに、ブレークスルー時のスライド
13の突っ込みによる金型やプレス機械の破損を防止し
たり、寿命を向上することができる。
【0040】また、打抜き後には直ちにスライド13を
上昇させている。よって、打抜き検出後、電動サーボモ
ータ19に最大制動トルク(逆転トルク)をかけるの
で、スライド13の惰走距離が短くなり、下限位置を精
度良く打抜き位置に近づけることができる。よって、ブ
レークスルー時のスライド13の突っ込み量が小さくな
るので、金型やプレス機械の破損防止や寿命向上を図る
ことができる。また、打抜き後直ちにモータを逆転する
ことによって、プレス機械のバックラシュによる遊びが
短時間で解消され振動が早く減衰するので、作業環境が
改善され作業性が向上すると共に、プレス機械の寿命を
向上することができる。
【0041】なお、前述の実施形態においては、初回の
加工時に、位置決め速度及び位置決め速度切替え位置を
新たな加工条件として設定し、2回目以降の加工時に
は、この条件で加工するようにしているが、次のように
加工条件を設定してもよい。すなわち、毎回の加工の都
度打抜き位置を検出し、この検出した位置に基づいて、
打抜き位置より所定距離手前の位置に位置決め速度切替
え位置を新たに設定する。そして、次回の加工時には、
この新たな位置決め速度切替え位置に基づいて打抜きを
行なう。これにより、ワークの厚さのばらつきが比較的
大きい場合にも、この厚さの変化に追従して打抜き位置
を検出できるので、位置決め速度切替え位置をこのばら
つきを考慮することなく打抜き位置に近く設定でき、低
速の位置決め速度でのスライド13の下降距離が短くな
るので加工サイクルタイムを短縮できる。よって、生産
性の向上を図ることができる。また、位置決め速度切替
え位置から打抜き位置までの距離が精度良く維持される
ので、騒音や振動のばらつきを小さくできると共に、騒
音及び振動を所定のレベル内に抑制することができる。
【0042】また、打抜きの所定回数毎に打抜き位置を
検出し、この検出された打抜き位置より所定距離手前の
位置に位置決め速度切替え位置を新たに設定し、次回以
降の新たな条件が設定される時までの加工において、こ
の新たな位置決め速度切替え位置に基づいて打抜きを行
なうようにしてもよい。これにより、ワークの厚さのば
らつきが比較的小さい場合には少ない頻度でこの厚さの
変化に追従して打抜き位置を検出できる。したがって、
位置決め速度切替え位置をこのばらつきを殆ど考慮する
ことなく打抜き位置に近く設定できるので、低速の位置
決め速度でのスライド13の下降距離が短くなり加工サ
イクルタイムを短縮できる。よって、生産性の向上を図
ることができる。また、位置決め速度切替え位置から打
抜き位置までの距離が精度良く維持されるので、騒音や
振動のばらつきが小さくなると共に、騒音や振動を所定
のレベル内に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるサーボプレスの要部側面図であ
る。
【図2】同サーボプレスの下限位置制御装置のハード構
成及び制御の概要を示すブロック図である。
【図3】本発明に係わるスライドのモ−ションカーブと
加圧力カーブの一例である。
【図4】本発明に係わるスライドの下限位置制御装置の
機能ブロック図である。
【図5】本発明に係わるスライドの下限位置制御のモ−
ションカーブである。
【図6】本発明に係わるスライドの下限位置制御方法を
示すフローチャートである。
【図7】従来技術に係わるスライドのモ−ションカーブ
の例である。
【符号の説明】
1…サーボプレス、9…設定・指示手段、10…フレー
ム、11…ベッド、12…ボルスタ、13…スライド、
14…補助フレーム、15…ピン、16…スライド位置
検出手段、16a…センサロッド、16b…検出ヘッ
ド、17…動力変換装置、18…回転伝達部材、19…
電動サーボモータ、19a…加圧力検出手段、19b…
速度検出手段、20…サーボ制御装置、21…加圧力演
算手段、22…圧力減少率演算手段、23…打抜き判定
手段、24…位置・速度フィードバック手段、25…ス
ライド位置・速度設定手段、26…加工条件記憶手段、
27…サーボモータ指令演算手段、28…設定表示手
段、29…サーボモータ指令出力手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中野 昭彦 石川県小松市八日市町地方5 株式会社小 松製作所小松工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動サーボモータ(19)により上下方向に
    直線駆動されてワークを打抜き加工するスライド(13)
    と、このスライド(13)の位置を検出するスライド位置検
    出手段(16)と、予め設定されたスライド(13)の速度及び
    この速度への速度切替え位置等の加工条件を記憶する加
    工条件記憶手段(26)と、この加工条件記憶手段(26)に記
    憶された前記加工条件、及びスライド位置検出手段(16)
    により検出された位置に基づいて、電動サーボモータ(1
    9)の速度指令値を演算するサーボモータ指令演算手段(2
    7)とを備え、この速度指令値に基づいて電動サーボモー
    タ(19)を制御し、前記設定された加工条件に基づいてス
    ライド(13)を上限位置と下限位置との間を上下駆動する
    下限位置制御装置において、 前記スライド(13)の加圧力を検出し、加圧力信号を出力
    する加圧力検出手段(19a) と、 この加圧力信号に基づいてスライド(13)の加圧力を演算
    する加圧力演算手段(21)と、 この加圧力演算手段(21)によって演算された加圧力の時
    間的変化を加圧力が減少する方向を正とする実圧力減少
    率(Pc)として演算する圧力減少率演算手段(22)と、 予め、ワークに固有の打抜き時の加圧力の時間的変化を
    加圧力が減少する方向を正とする基準圧力減少率(Pbc)
    として記憶しておき、初回目の加工時に、この記憶され
    た基準圧力減少率(Pbc) と加工中に圧力減少率演算手段
    (22)によって演算された実圧力減少率(Pc)とを比較し、
    実圧力減少率(Pc)が基準圧力減少率(Pbc) 以上のとき打
    抜きと判断して、スライド位置検出手段(16)により検出
    された位置を打抜き位置として読込み、前記サーボモー
    タ指令演算手段(27)により演算された速度指令値を打抜
    き速度として読込む打抜き判定手段(23)と、 この打抜き判定手段(23)により読込まれた打抜き位置及
    び打抜き速度をフィードバックする位置・速度フィード
    バック手段(24)と、 このフィードバックされた打抜き位置及び打抜き速度に
    基づいて、打抜き速度より低速の打抜き位置近傍の位置
    決め速度、及び打抜き位置より所定距離手前でこの低速
    に切替えられる位置決め速度切替え位置を次回以降の加
    工条件として新たに設定し、この新たに設定した加工条
    件を前記加工条件記憶手段(26)に出力して記憶させるス
    ライド位置・速度設定手段(25)とを備えたことを特徴と
    するサーボプレスの下限位置制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のサーボプレスの下限位置
    制御装置において、 前記スライド位置・速度設定手段(25)は、毎回の加工の
    都度、前記打抜き判定手段(23)により読込まれた打抜き
    位置に基づいて、次回の加工時の前記位置決め速度切替
    え位置を新たに設定することを特徴とするサーボプレス
    の下限位置制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のサーボプレスの下限位置
    制御装置において、前記スライド位置・速度設定手段(2
    5)は、所定の加工回数毎に、前記打抜き判定手段(23)に
    より読込まれた打抜き位置に基づいて、次回から所定回
    数までの加工時の前記位置決め速度切替え位置を新たに
    設定することを特徴とするサーボプレスの下限位置制御
    装置。
  4. 【請求項4】 前記設定された加工条件や加工中の加工
    条件を表示する設定表示手段(28)を付設したことを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のサーボプレ
    スの下限位置制御装置。
  5. 【請求項5】 前記加圧力検出手段(19a) が、電動サー
    ボモータ(19)の駆動電流値を検出する電流検出センサで
    あることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記
    載のサーボプレスの下限位置制御装置。
  6. 【請求項6】 スライド(13)を電動サーボモータ(19)に
    より上限位置と下限位置との間を上下方向に直線駆動
    し、スライド(13)の速度及びこの速度の切替え位置等の
    加工条件に基づいてワークの打抜き加工を行なうサーボ
    プレスの下限位置制御方法において、 予めワークに固有の打抜き時におけるスライド(13)の加
    圧力の時間的変化を加圧力が減少する方向を正とする基
    準圧力減少率(Pbc) として記憶しておき、初回の加工時
    に、打抜き加工中に加圧力の時間的変化を加圧力が減少
    する方向を正とする実圧力減少率(Pc)として演算し、こ
    の実圧力減少率(Pc)と前記記憶した基準圧力減少率(Pb
    c) とを比較することによって、実圧力減少率(Pc)が基
    準圧力減少率(Pbc) 以上のとき打抜きと判断して、打抜
    き時のスライド(13)の打抜き位置及び打抜き速度に基づ
    いて、この打抜き速度より低速の打抜き位置近傍の位置
    決め速度、及び打抜き位置より所定距離手前にこの低速
    に切替える位置決め速度切替え位置を新たな加工条件と
    して設定し、次回以降の加工時には、この加工条件でス
    ライド(13)を制御して打抜きを行なうことを特徴とする
    サーボプレスの下限位置制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110576136A (zh) * 2019-09-07 2019-12-17 嘉兴大道锻造技术咨询有限公司 一种螺杆直驱肘节式压力机

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