JPH1143477A - N−フルオロアルキルペルフルオロ環状アミン類及びその製造方法 - Google Patents

N−フルオロアルキルペルフルオロ環状アミン類及びその製造方法

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JPH1143477A
JPH1143477A JP21799597A JP21799597A JPH1143477A JP H1143477 A JPH1143477 A JP H1143477A JP 21799597 A JP21799597 A JP 21799597A JP 21799597 A JP21799597 A JP 21799597A JP H1143477 A JPH1143477 A JP H1143477A
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雅一 西田
Takashi Abe
隆 阿部
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CHIKYU KANKYO SANGYO GIJUTSU
CHIKYU KANKYO SANGYO GIJUTSU KENKYU KIKO
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CHIKYU KANKYO SANGYO GIJUTSU
CHIKYU KANKYO SANGYO GIJUTSU KENKYU KIKO
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 含フッ素環状アミンを効率よく合成する製造
方法及び新規化合物N−フルオロアルキルペルフルオロ
環状アミン類を提供する。 【解決手段】 一般式(1)(式中のXはCF2 ,CF
(CF3 )または酸素原子を、Yはフッ素原子またはC
3 を、nは0,1または2を示す。)で表されるペル
フルオロ環状イミン類を非プロトン性極性溶媒中または
無溶媒で、アルカリ金属フッ化物またはアルカリ土類金
属フッ化と反応させた後、一般式(2):R1 −OSO
2 −R2 (R1 は炭素数2個以上の含フッ素アルキル基
を、R2 は置換基を有することもあるアリール基または
フッ素置換されていることもあるアルキル基を示す。)
で表されるスルホン酸エステル類との反応を続けて行う
ことによって、一般式(3)で表されるN−フルオロア
ルキルペルフルオロ環状アミン類を高収率ならびに高選
択的に製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規のクロロフル
オロカーボン(CFC)代替物質及びその製造方法に関
するものであり、さらに詳しくは、分子中に塩素原子を
含まないことによりオゾン層のオゾンを破壊せず、かつ
水素原子を有することにより温室効果が少ないと考えら
れる、新規のポリフルオロ環状アミン類及びその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】クロロフルオロカーボン(CFC)類は
熱的・化学的に安定で、毒性が少なく、不燃性であるな
どの優れた性質から、冷媒、発泡剤、及び溶剤・洗浄剤
として電子産業を始めとする産業界で用いられてきた。
【0003】しかしながら、CFC類は優れた性質を持
つ反面、その分子中に含まれる塩素原子が成層圏でラジ
カルを発生し、オゾンとの連鎖反応によりオゾン層を破
壊すると考えられており、現在、国際的な機関によって
規制物質とされている。
【0004】このような地球環境問題を解決するため
に、冷媒、発泡剤、及び溶剤・洗浄剤として利用が可能
であるというようなCFC類の優れた性質を保持し、か
つ大気中に放出された場合でも、オゾン層を破壊する恐
れが少ない、あるいはオゾン層に全く影響のない、新規
のCFC代替物質の開発が早急に要求されている。
【0005】現在、CFC代替品としてはハイドロクロ
ロフルオロカーボン(HCFC)類や含フッ素エーテル
類などが知られているが、窒素原子を有するもの、とり
わけポリフルオロ環状アミン類についてはほとんど検討
がなされていないのが現状である。
【0006】ポリフルオロ環状アミン類の製造方法とし
ては、ペルフルオロ−N−フルオロピペリジンの光照射
反応によるペルフルオロ−N−プロピルピペリジン及び
ペルフルオロ−N−(1,3−ジメチルブチル)イソプ
ロピルピペリジンの生成〔「ジャーナル・オブ・ケミカ
ル・ソサエテイ (J. Chem. Soc., Perkin I)」第109
8ページ(1972年)〕、ピペリジノ酢酸メチルの電
解フッ素化によるペルフルオロ−N−メチルピペリジン
の生成〔「ジャーナル・オブ・フロリン・ケミストリイ
(J. Fluorine Chem.)」第50巻,第173ページ(1
990年)〕、ノナフルオロ−2,3,4,5−テトラ
ヒドロピリジンをアセトニトリル中、フッ化セシウム存
在下、ヨードメタンと反応させることによるN−メチル
オクタフルオロピロリジンの生成〔「ジャーナル・オブ
・フロリン・ケミストリイ (J. Fluorine Chem.)」第1
5巻,第289ページ(1980年)〕、などがこれま
でに報告されている。しかしながら、これらの方法では
置換基として水素原子をすべてフッ素原子に置換したペ
ルフルオロアルキル基や、フッ素原子を含まないアルキ
ル基についての適応は可能であるが、水素原子とフッ素
原子の双方を持つトリフルオロエチル基のようなポリフ
ルオロアルキル基についての適応は不可能もしくは非常
に困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、含フ
ッ素環状アミン類を効率よく合成する製造方法及びCF
C代替物質として有用な新規化合物N−フルオロアルキ
ルペルフルオロ環状アミン類を提供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記目的を達
成すべく鋭意研究を重ねた結果、一般式(1):
【0009】
【化4】
【0010】(式中のXはCF2 ,CF(CF3 )また
は酸素原子を、Yはフッ素原子またはCF3 を、nは
0,1または2を示す。)で表されるペルフルオロ環状
イミン類を非プロトン性極性溶媒中または無溶媒で、ア
ルカリ金属フッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物と
反応させた後、一般式(2): R1 −OSO2 −R2 ・・・(2) (R1 は炭素数2個以上の含フッ素アルキル基を、R2
は置換基を有することもあるアリール基またはフッ素置
換されていることもあるアルキル基を示す。)で表され
るスルホン酸エステル類との反応を続けて行うことによ
る、一般式(3):
【0011】
【化5】
【0012】(式中のXはCF2 ,CF(CF3 )また
は酸素原子を、Yはフッ素原子またはCF3 を、R1
炭素数2個以上の含フッ素アルキル基を、またnは0,
1または2を示す。)で表される新規のポリフルオロ環
状アミン類及びその製造方法を見いだし、本発明を完成
するに至った。
【0013】本発明において、アルカリ金属フッ化物ま
たはアルカリ土類金属フッ化物と、一般式(2)で表さ
れるスルホン酸エステル類の仕込みは同時に行うことが
できるが、収率及び副生成物の発生という観点から、ア
ルカリ金属フッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物を
加え、数時間以上それらとの反応を行った後、スルホン
酸エステル類を加えるという二段階の仕込みをすること
が望ましい。
【0014】本発明において、一般式(1)で表される
ペルフルオロ環状イミン類と、アルカリ金属フッ化物ま
たはアルカリ土類金属フッ化物との反応、及び一般式
(2)で表されるスルホン酸エステル類との反応は、い
ずれも非プロトン性極性溶媒中または無溶媒で行われ
る。非プロトン性極性溶媒としては、例えばモノグライ
ム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジエ
チルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン等のエー
テル類;アセトニトリル、アジポニトリル等のニトリル
類、ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスル
ホキシド等のスルホキシド類等が挙げられるが、これら
に限定されるものではない。また、本発明の反応におい
て用いる溶媒については、できる限り水分を除去するこ
とが必須条件となる。
【0015】本発明においては反応活性種となる中間体
を効率よく製造するために、アルカリ金属フッ化物また
はアルカリ土類金属フッ化物が用いられる。アルカリ金
属としては、例えばフッ化カリウム、フッ化ナトリウム
またはフッ化セシウム等が用いられ、アルカリ土類金属
フッ化物としては、例えばフッ化カルシウム等が用いら
れるが、これらに限定されるものではない。生成物であ
るポリフルオロ環状アミンの収率の観点からアルカリ金
属フッ化物が望ましい。
【0016】本発明において用いられるアルカリ金属フ
ッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物の使用量は特に
制限されるものではなく、一般式(1)で表されるペル
フルオロ環状イミン類に対して、0.1〜5.0倍モ
ル、好ましくは1.0〜1.5倍モルの範囲から選択す
ることが好ましい。
【0017】本発明において用いられるアルカリ金属フ
ッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物は、反応活性種
となる中間体の生成をすみやかに進行させ、収率の向上
を図るために、いずれも水分を完全に取り除き、無水の
状態にする必要がある。特に、フッ化カリウムを用いる
場合には、スプレードライ乾燥品を用い、さらに減圧状
態で加熱乾燥する必要がある。
【0018】本発明の反応における一般式(1)で表さ
れるペルフルオロ環状イミンと一般式(2)で表される
スルホン酸エステル類との仕込み割合は、特に制限され
るものではなく、任意の割合で反応を行うことができる
が、多くの場合、一般式(3)で表されるポリフルオロ
環状アミン類と一般式(2)で表されるスルホン酸エス
テル類の沸点がごく近く、それぞれを分離することが困
難なため、スルホン酸エステル類を完全に反応させ消費
させる必要がある。したがって、ペルフルオロ環状イミ
ンに対するスルホン酸エステル類の仕込み割合は、0.
7〜0.9倍モルの範囲から選択するのが好ましい。
【0019】本発明の反応における反応温度、すなわち
アルカリ金属フッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物
との反応、及び一般式(2)で表されるスルホン酸エス
テル類との反応における反応温度は、反応時間、試薬の
使用モル比等により異なるが、通常0〜200℃で行
う。好ましくはアルカリ金属フッ化物またはアルカリ土
類金属フッ化物との反応が20〜50℃の範囲から、ス
ルホン酸エステル類との反応が40〜80℃の範囲から
選ばれる。
【0020】本発明の反応における反応時間、すなわち
アルカリ金属フッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物
との反応、及び一般式(2)で表されるスルホン酸エス
テル類との反応における反応時間は、反応温度、試薬の
使用モル比等により異なるが、いずれも数時間〜数十時
間あれば、反応はほとんど完結する。しかしながら、収
率及び副生成物の発生を考えると、アルカリ金属フッ化
物またはアルカリ土類金属フッ化物との反応は3〜20
時間、スルホン酸エステル類との反応は10〜30時間
の範囲が好ましい。
【0021】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定さ
れるものではない。
【0022】ここで挙げる、一般式(1):
【0023】
【化6】
【0024】(式中のXはCF2 ,CF(CF3 )また
は酸素原子を、Yはフッ素原子またはCF3 を、nは
0,1または2を示す。)で表されるペルフルオロ環状
イミンは、対応する環状のペルフルオロアミノ基を有す
るトリフルオロ酢酸塩類の熱分解反応を行うことによっ
て得られる(日本国特許第2600118号明細書)。 一般式(2): R1 −OSO2 −R2 ・・・(2) (R1 は炭素数2個以上の含フッ素アルキル基を、R2
は置換基を有することもあるアリール基またはフッ素置
換されていることもあるアルキル基を示す。)で表され
るスルホン酸エステル類は、相当する市販の含フッ素ア
ルコールとトリフルオロメタンスルホン酸無水物との反
応〔「テトラヘドロン(Tetrahedron) 」第5375ペー
ジ(1988年)〕、またはトリフルオロメタンスルホ
ン酸フッ化物との反応〔「ジャーナル・オブ・オルガニ
ック・ケミストリイ(J. Org. Chem.) 」第4322ペー
ジ(1965年)〕で容易に製造できる。
【0025】実施例1 真空ラインを用いて、ペルフルオロ(5,6−ジヒドロ
−2H−1,4−オキサジン)1.11g(5.26
mmol)をテフロンコック付きの30mlのシュレン
クチューブに採取、秤量した。次に、この1.2倍当量
になるように、グローブボックス中でフッ化カリウム
(スプレードライ品)0.37g(6.37mmol)
をテフロンコック付きの50mlの丸底フラスコに採取
して、丸底フラスコを真空ラインに接続し、ホットブラ
スターで加熱することにより、フッ化カリウムを乾燥し
た。この乾燥したフッ化カリウムに、モリキュラーシー
ブス4Bで乾燥したテトラエチレングリコールジメチル
エーテル(テトラグライム)5mlを溶媒としてアルゴ
ン雰囲気下で加え、懸濁させることによってフッ化カリ
ウムを溶媒によくなじませた後、ヘプタフルオロ(5,
6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン)を真空ライ
ンを用いて導入した。室温で5時間、撹拌を行うことに
より、沈殿が次第に溶解し、少量の未反応のフッ化カリ
ウムを含む透明な溶液になった。
【0026】続いて、このオクタフルオロモルホリンの
カリウム塩のテトラグライム溶液に、トリフルオロメタ
ンスルホン酸(2,2,2−トリフルオロエチル)エス
テル1.02g(4.39mmol)を、真空ラインを
用いて導入した。丸底フラスコを50℃に加熱して、2
0時間撹拌を継続すると、反応混合物はうす黄色の溶液
と白色の固体の混合物になっていた。50℃に加熱した
まま、真空ポンプで減圧にすることにより、液体窒素で
冷却したトラップに生成物を留出させた。
【0027】こうして得られた粗生成物をそれぞれ−3
5℃、−55℃、−78℃、−173℃に冷却したトラ
ップを通じ、1mmHgの減圧度で分別蒸留すると、−
55℃に1.04g(GC純度94%)、−78℃のト
ラップに0.084 g(GC純度99%以上)の目的と
するN−(2,2,2−トリフルオロエチル)オクタフ
ルオロモルホリンが、トリフルオロメタンスルホン酸
(2,2,2−トリフルオロエチル)エステル基準で8
1.5%の単離収率で得られた。
【0028】N−(2,2,2−トリフルオロエチル)
オクタフルオロモルホリンの物性値は以下の通りであ
る。 bp.: 92.5 - 93.5℃, 1H-NMR (CDCl3) δ:3.84 (m),
19F-NMR (CDCl3)δ:72.09 (m, 3F, CH2CF3), 87.39 (b
r s, 4F, 2,6-F), 96.80 (br s, 4F, 3,5-F), GC-MS (m
/z): 294 ([M-F]+ , 14.1), 244 ([M-CF3]+ , 72.5),
216 (C4H2F8N+, 5.1), 194 (C4H2F6NO+ , 6.1), 19
2 (C4F6NO+ , 6.3), 178 (C4H2F6N+ , 5.3), 164 (C3F6
N+ , 14.5), 128 (C3F4O + , 27.1), 119 (C2F5 + , 4
0.2), 100(C2F4 + , 100), 78 (C2F2O+ , 52.7), 69 (C
F3 + , 32.2), IR (cm-1): 1450,1405, 1361, 1295, 12
14, 1175, 1135, 1101, 1013, 963, 870.
【0029】実施例2 前述のN−(2,2,2−トリフルオロエチル)オクタ
フルオロモルホリンと同様の方法で、ヘプタフルオロ
(5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン)0.
96g(4.55mmol)、フッ化カリウム(スプレ
ードライ品)0.32g(5.51mmol)及び溶媒
のテトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラ
グライム)5mlをテフロンコック付きの50mlの丸
底フラスコに取り、室温で5時間反応させることによっ
て、中間体であるペルフルオロモルホリンのカリウム塩
のテトラグライム溶液を調製した。
【0030】続いて、このペルフルオロモルホリンのカ
リウム塩のテトラグライム溶液に、トリフルオロメタン
スルホン酸(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロ
ピル)エステル1.08g(3.83mmol)を、真
空ラインを用いて導入した。丸底フラスコを50℃に加
熱して、20時間撹拌を継続すると、反応混合物はうす
黄色の溶液と白色の固体の混合物になっていた。50℃
に加熱したまま、真空ポンプで減圧にすることにより、
液体窒素で冷却したトラップに生成物を留出させた。
【0031】得られた粗生成物をそれぞれ−10℃、−
40℃、−78℃、−173℃に冷却したトラップを通
じ、1mmHgの減圧度で分別蒸留すると、−40℃の
トラップに0.79g(GC純度97%)、−78℃の
トラップに0.37g(GC純度97%)の目的とする
N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)
オクタフルオロモルホリンが、トリフルオロメタンスル
ホン酸(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピ
ル)エステル基準で83.3%の単離収率で得られた。
【0032】N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオ
ロプロピル)オクタフルオロモルホリンの物性値は以下
の通りである。 bp.: 108.0 - 109.0℃, 1H-NMR (CDCl3) δ:3.88 (br
t, JH-F = 13.8 Hz),19F-NMR (CDCl3) δ:84.88 (br s,
3F, CH2CF2CF3), 121.34 (m, 2F, CH2CF2CF3), 87.37
(br s, 4F, 2,6-F), 96.81(br s, 4F, 3,5-F), GC-MS
(m/z): 344 ([M-F]+ , 14.4), 294 ([M-CF3]+ , 21.
3), 244 ([M-C2F5]+ , 100), 216 (C4H2F8N+ , 3.0),
194 (C4H2F6NO+ , 10.1), 192 (C4F6NO+ ,11.8), 178
(C4H2F6N+, 5.3), 164 (C3F6N+ , 24.7), 128 (C3F4O
+ ,23.6), 119 (C2F5 + , 61.4), 100 (C2F4 + , 82.8),
78 (C2F2O+ , 69.9), 69 (CF3 + , 52.2), IR (cm-1):
1454, 1448, 1410, 1366, 1359, 1328, 1298, 1265, 1
211, 1175, 1136, 1104, 1079, 1048,1011, 958, 866.
【0033】実施例3 前述のN−(2,2,2−トリフルオロエチル)オクタ
フルオロモルホリンと同様の方法で、ヘプタフルオロ
(5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン)0.
94g(4.45mmol)、フッ化カリウム(スプレ
ードライ品)0.31g(5.34mmol)及び溶媒
のテトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラ
グライム)5mlをテフロンコック付きの50mlの丸
底フラスコに取り、室温で5時間反応させることによっ
て、中間体であるオクタフルオロモルホリンのカリウム
塩のテトラグライム溶液を調製した。
【0034】続いて、このオクタフルオロモルホリンの
カリウム塩のテトラグライム溶液に、トリフルオロメタ
ンスルホン酸(2,2−ジフルオロエチル)エステル
0.80g(3.74mmol)を、真空ラインを用い
て導入した。丸底フラスコを50℃に加熱して、20時
間撹拌を継続すると、反応混合物はうす黄色の溶液と白
色の固体の混合物になっていた。50℃に加熱したま
ま、真空ポンプで減圧にすることにより、液体窒素で冷
却したトラップに生成物を留出させた。
【0035】得られた粗生成物をそれぞれ−20℃、−
50℃、−70℃、−173℃に冷却したトラップを通
じ、1mmHgの減圧度で分別蒸留すると、−50℃の
トラップに1.03g(GC純度97%)の目的とする
N−(2,2−ジフルオロエチル)オクタフルオロモル
ホリンが、トリフルオロメタンスルホン酸(2,2−ジ
フルオロエチル)エステル基準で93.6%の単離収率
で得られた。
【0036】N−(2,2−ジフルオロエチル)オクタ
フルオロモルホリンの物性値は以下の通りである。 bp.:102.5 - 103.0 ℃, 1H-NMR (CDCl3) δ:3.65 (br
t, 2H, CH2CHF2, JH-F = 11.1 Hz), 5.87 (br t, 1H,
CH2CHF2, JH-F = 55.2 Hz), 19F-NMR (CDCl3)δ:122.57
(m, 1F, CH2CHF2), 87.22 (br s, 4F, 2,6-F), 96.89
(br s, 4F, 3,5-F), GC-MS (m/z): 294([M-H]+ , 1.3),
276 ([M-F]+ , 12.1), 244 ([M-CHF2]+ , 100), 216
(C4H2F8N+ , 3.3), 194 (C4H2F6NO+ , 9.9), 192 (C4
F6NO+, 11.7), 164 (C3F6N+ , 25.0), 128 (C3F4O+ ,
29.4), 119 (C2F5 + , 51.7),100 (C2F4 + , 63.5), 78
(C2F2O+ , 92.9), 65 (CH2CHF2 + , 69.5), IR (cm-1):
3000, 1453,1419, 1379, 1348, 1295, 1253, 1211, 11
34, 1102, 1069, 1021, 1000, 915, 862, 728, 681.
【0037】実施例4 前述のN−(2,2,2−トリフルオロエチル)オクタ
フルオロモルホリンと同様の方法で、ヘプタフルオロ−
3,4−ジヒドロ−2H−ピロール0.123g(0.
631mmol)、フッ化カリウム(スプレードライ
品)0.05g(0.861mmol)及び溶媒のテト
ラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライ
ム)3mlをテフロンコック付きの30mlのシュレン
クチューブに取り、室温で5時間反応させることによっ
て、中間体であるオクタフルオロピロリジンのカリウム
塩のテトラグライム溶液を調製した。
【0038】続いて、このオクタフルオロピロリジンの
カリウム塩のテトラグライム溶液に、トリフルオロメタ
ンスルホン酸(2,2,2−トリフルオロエチル)エス
テル0.122g(0.526mmol)を、真空ライ
ンを用いて導入した。シュレンクチューブを50℃に加
熱して、20時間撹拌を継続すると、反応混合物はうす
黄色の溶液と白色の固体の混合物になっていた。50℃
に加熱したまま、真空ポンプで減圧にすることにより、
液体窒素で冷却したトラップに生成物を留出させた。得
られた生成物について 1H−NMR、19F−NMR、G
C−MSで分析を行った結果、目的とするN−(2,
2,2−トリフルオロエチル)オクタフルオロピロリジ
ンが、トリフルオロメタンスルホン酸(2,2,2−ト
リフルオロエチル)エステル基準で55.3%の合成収
率で得られたことがわかった。
【0039】N−(2,2,2−トリフルオロエチル)
オクタフルオロピロリジンの物性値は以下の通りであ
る。1 H-NMR (CDCl3) δ:3.84 (br q, JH-F = 8.1 Hz), 19F-
NMR (CDCl3) δ:71.49 (m, 3F, CH2CF3), 93.50 (br
s, 4F, 2,5-F), 131.98 (br s, 4F, 3,4-F), GC-MS (m/
z): 278 ([M-F]+ , 32.4), 228 ([M-CF3]+ , 100), 17
8 (C4H2F6N+ ,24.7), 131 (C3F5 + , 7.1), 114 (C2F4N
+ , 5.5), 100 (C2F4 + , 25.9), 83 (CF3N+ , 15.5),
78 (C2H2F2N+ , 14.3), 69 (CF3 + , 23.8).
【0040】実施例5 前述のN−(2,2,2−トリフルオロエチル)オクタ
フルオロモルホリンと同様の方法で、ノナフルオロ−
2,3,4,5−テトラヒドロピリジン0.258g
(1.05mmol)、フッ化カリウム(スプレードラ
イ品)0.08g(1.38mmol)及び溶媒のテト
ラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライ
ム)3mlをテフロンコック付きの30mlのシュレン
クチューブに取り、室温で5時間反応させることによっ
て、中間体であるデカフルオロピペリジンのカリウム塩
のテトラグライム溶液を調製した。
【0041】続いて、このデカフルオロピペリジンのカ
リウム塩のテトラグライム溶液に、トリフルオロメタン
スルホン酸(2,2,2−トリフルオロエチル)エステ
ル0.209g(0.90mmol)を、真空ラインを
用いて導入した。シュレンクチューブを50℃に加熱し
て、20時間撹拌を継続すると、反応混合物はうす黄色
の溶液と白色の固体の混合物になっていた。50℃に加
熱したまま、真空ポンプで減圧にすることにより、液体
窒素で冷却したトラップに生成物を留出させた。得られ
た生成物について 1H−NMR、19F−NMR、GC−
MSで分析を行った結果、目的とするN−(2,2,2
−トリフルオロエチル)デカフルオロピペリジンが、ト
リフルオロメタンスルホン酸(2,2,2−トリフルオ
ロエチル)エステル基準で24.0%の合成収率で得ら
れたことがわかった。
【0042】N−(2,2,2−トリフルオロエチル)
デカフルオロピペリジンの物性値は以下の通りである。1 H-NMR (CDCl3) δ:4.33 (br q, JH-F = 7.8 Hz),19F-N
MR (CDCl3) δ:70.05(m, 3F, CH2CF3), 95.53 (br s, 4
F, 2,6-F), 132.52 (br s, 4F, 3,5-F), 132.85 (br s,
2F, 4-F), GC-MS (m/z): 328 ([M-F]+ , 32.7), 27
8 ([M-CF3]+, 100), 228 (C5H2F10N+ ,16.9), 131 (C
3F5 + , 24.3), 100 (C2F4 + , 43.9),83 (CF3N+ , 15.
0), 78 (C2H2F2N+ , 13.6), 69 (CF3 + , 32.2).
【0043】実施例6 前述のN−(2,2,2−トリフルオロエチル)オクタ
フルオロモルホリンと同様の方法でペルフルオロ(2,
6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキ
サジン)1.00g(3.21mmol)、フッ化カリ
ウム(スプレードライ品)0.23g(3.96mmo
l)及び溶媒のテトラエチレングリコールジメチルエー
テル(テトラグライム)5mlをテフロンコック付きの
50mlの丸底フラスコに取り、室温で5時間反応させ
ることによって、中間体であるペルフルオロ(2,6−
ジメチルモルホリン)のカリウム塩のテトラグライム溶
液を調製した。
【0044】続いて、このペルフルオロ(2,6−ジメ
チルモルホリン)のカリウム塩のテトラグライム溶液
に、トリフルオロメタンスルホン酸(2,2,2−トリ
フルオロエチル)エステル0.626g(2.70mm
ol)を、真空ラインを用いて導入した。シュレンクチ
ューブを50℃に加熱して、20時間撹拌を継続する
と、反応混合物はうす黄色の溶液と白色の固体の混合物
になっていた。50℃に加熱したまま、真空ポンプで減
圧にすることにより、液体窒素で冷却したトラップに生
成物を留出させた。
【0045】得られた粗生成物をそれぞれ−20℃、−
40℃、−60℃、−173℃に冷却したトラップを通
じ、1mmHgの減圧度で分別蒸留すると、−40℃の
トラップに0.203g(GC純度99%)、−78℃
のトラップに0.757g(GC純度98%)の目的と
する4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2,6
−ビス(トリフルオロメチル)オクタフルオロモルホリ
ンが、トリフルオロメタンスルホン酸(2,2,2−ト
リフルオロエチル)エステル基準で85.9%の単離収
率で得られた。
【0046】原料として、トリフルオロメチル基に対し
てtrans:cis =1:2.8であるペルフルオロ
(2,6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4
−オキサジン)を用いたが、合成された4−(2,2,
2−トリフルオロエチル)−2,6−ビス(トリフルオ
ロメチル)オクタフルオロモルホリンについても同様
に、二つのトリフルオロメチルに対してシス・トランス
の構造異性体が存在し、その比はtrans:cis=
1:3であった。
【0047】cis−4−(2,2,2−トリフルオロ
エチル)−2,6−ビス(トリフルオロメチル)オクタ
フルオロモルホリンの物性値は以下の通りである。1 H-NMR (CDCl3) δ:3.88 (br q, JH-F = 7.8 Hz), 19F-
NMR (CDCl3)δ:72.04(m, 3F, CH2CF3), 81.04 (m, 6F,
2,6-CF3), 128.87 (m, 2F, 2,6-F), 97.22 (AB, 2F, 3,
5-F, JF-F = 204.9 Hz), 86.96 (AB, 2F, 3,5-F, JF-F
= 204.9 Hz),GC-MS (m/z): 394 ([M-F]+ , 24.9), 344
([M-CF3]+ , 88.7), 294 (C6H2F10NO+ , 21.1), 292
(C6F10NO+ , 10.5), 169 (C3F7 + , 18.5), 150 (C
3F6 + , 100), 128 (C3F4O+ , 16.8), 119 (C2F5 + , 14.
0), 100 (C2F4 + , 36.4), 83 (CF3N+ , 31.8), 78 (C2F
2O+ , 35.2), 69 (CF3 + , 92.8).
【0048】trans−4−(2,2,2−トリフル
オロエチル)−2,6−ビス(トリフルオロメチル)オ
クタフルオロモルホリンの物性値は以下の通りである。1 H-NMR (CDCl3) δ:3.97 (m), 19F-NMR (CDCl3) δ:7
1.83 (m, 3F, CH2CF3), 80.72 (m, 6F, 2,6-CF3), 124.
28 (m, 2F, 2,6-F), 93.25 (AB, 2F, 3,5-F, JF-F = 20
1.5 Hz), 78.18 (AB, 2F, 3,5-F, JF-F = 201.5 Hz), G
C-MS (m/z): 394 ([M-F]+ , 21.1), 344 ([M-CF3]+ ,
87.8), 294 (C6H2F10NO+ , 23.7), 292 (C6F10NO+ ,
12.8), 169 (C3F7 + , 16.6), 150 (C3F6 + , 75.8), 128
(C3F4O+, 17.4), 119 (C2F5 + , 14.0), 100 (C2F4 + ,
32.1), 83 (CF3N+ , 33.8), 78(C2F2O+ , 34.5), 69
(CF3 + , 100).
【0049】
【発明の効果】本発明方法によると、N−フルオロアル
キルペルフルオロ環状アミン類が、簡便な方法で高収率
でかつ高選択的に製造することができるので、該方法は
ポリフルオロアルキル環状アミン類の工業的方法として
極めて有用である。したがって、本発明の化合物は、従
来のCFCと同様、発泡剤や溶剤・洗浄剤等の用途が期
待され、CFCの代替化合物として有望であり、産業界
に大きな寄与を及ぼすと考えられる。このポリフルオロ
アルキル環状アミン類は水素原子を含み塩素原子を含ま
ないことから、対流圏で分解されやすく温室効果の少な
い化合物であると同時に、オゾン層のオゾンをも破壊し
ない地球環境に及ぼす影響の少ない化合物である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 隆 愛知県春日井市押沢台7丁目6番地4 (72)発明者 奥原 邦夫 東京都文京区本郷2丁目40番地17号 本郷 若井ビル6F 財団法人地球環境産業技術 研究機構 新規冷媒等プロジェクト室内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(3): 【化1】 (式中のXはCF2 ,CF(CF3 )または酸素原子
    を、Yはフッ素原子またはCF3 を、R1 は炭素数2個
    以上の含フッ素アルキル基を、nは0,1または2を示
    す。)で表されるN−フルオロアルキルペルフルオロ環
    状アミン類。
  2. 【請求項2】 一般式(1): 【化2】 (式中のXはCF2 ,CF(CF3 )または酸素原子
    を、Yはフッ素原子またはCF3 を、nは0,1または
    2を示す。)で表されるペルフルオロ環状イミン類を非
    プロトン性極性溶媒中または無溶媒で、アルカリ金属フ
    ッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物と反応させた
    後、一般式(2): R1 −OSO2 −R2 ...(2) (R1 は炭素数2個以上の含フッ素アルキル基を、R2
    は置換基を有することもあるアリール基またはフッ素置
    換されていることもあるアルキル基を示す。)で表され
    るスルホン酸エステル類との反応を続けて行うことを特
    徴とする、一般式(3): 【化3】 (式中のXはCF2 ,CF(CF3 )または酸素原子
    を、Yはフッ素原子またはCF3 を、R1 は炭素数2個
    以上の含フッ素アルキル基を、nは0,1または2を示
    す。)で表される新規のN−フルオロアルキルペルフル
    オロ環状アミン類の製造方法。
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