JPH1143350A - 無アルカリガラス及びその製造方法 - Google Patents

無アルカリガラス及びその製造方法

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JPH1143350A
JPH1143350A JP9215793A JP21579397A JPH1143350A JP H1143350 A JPH1143350 A JP H1143350A JP 9215793 A JP9215793 A JP 9215793A JP 21579397 A JP21579397 A JP 21579397A JP H1143350 A JPH1143350 A JP H1143350A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 清澄剤としてAs23 を使用せず、しかも
表示欠陥となる泡が存在しない無アルカリガラスを提供
する。 【解決手段】 重量百分率でSiO2 40〜70%、
Al23 6〜25%、B23 5〜20%、Mg
O 0〜10%、CaO 0〜15%、BaO0〜30
%、SrO 0〜10%、ZnO 0〜10%、SnO
2 0.05〜2%、Sb23 0.05〜3%、C
2 0.005〜1%の組成を有し、本質的にアルカ
リ金属酸化物を含有しないことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無アルカリガラス、特
にディスプレイ等の透明ガラス基板として使用される無
アルカリガラスとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶ディスプレイ等の透明ガラス
基板として、無アルカリガラスが使用されている。ディ
スプレイ用途に用いられる無アルカリガラスには、耐熱
性、耐薬品性等の特性の他に、表示欠陥となる泡がない
ことが要求される。
【0003】このような無アルカリガラスとして、従来
より種々のガラスが提案されており、本出願人も特開昭
63−74935号においてSiO2 −Al23 −B
23 −CaO−BaO系の無アルカリガラスを提案し
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】泡のないガラスを得る
ためには、ガラス化反応が始まる比較的低い温度域と、
ガラス融液の脱泡、均質化が起こる比較的高い温度域の
両方で清澄ガスを発生する清澄剤を選択することが重要
である。これは、原料がガラス化反応を起こすときに発
生するガスを追い出すとともに、脱泡、均質化過程でガ
ラス融液中に残った微小な泡を大きくすることにより浮
上させて除去するためである。
【0005】ところで液晶ディスプレイ用ガラス基板に
使用されるような無アルカリガラスは、ガラス融液の粘
度が高く、アルカリ成分を含有するガラスに比べてより
高温で溶融が行われる。この種の無アルカリガラスで
は、通常1200〜1300℃でガラス化反応が起こ
り、1400℃以上の高温で脱泡、均質化が行われる。
このため清澄剤には幅広い温度域(1200〜1600
℃程度)で清澄ガスを発生させることができるものが必
要とされ、現在ではAs23 が広く使用されている。
【0006】しかしながらAs23 は毒性が非常に強
く、ガラスの製造工程や廃ガラスの処理時等に環境を汚
染する可能性があり、その使用が制限されつつある。
【0007】本発明の目的は、清澄剤としてAs23
を使用せず、しかも表示欠陥となる泡が存在しない無ア
ルカリガラスとその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々の実
験を行った結果、清澄剤としてAs23 の代わりにS
nO2 とSb23 と塩化物を併用することによって上
記目的が達成できることを見いだし、本発明として提案
するものである。
【0009】即ち、本発明の無アルカリガラスは、重量
百分率でSiO2 40〜70%、Al23 6〜2
5%、B23 5〜20%、MgO 0〜10%、C
aO0〜15%、BaO 0〜30%、SrO 0〜1
0%、ZnO 0〜10%、SnO2 0.05〜2
%、Sb23 0.05〜3%、Cl2 0.005
〜1%の組成を有し、本質的にアルカリ金属酸化物を含
有しないことを特徴とする。
【0010】また本発明の無アルカリガラスの製造方法
は、重量百分率でSiO2 40〜70%、Al23
6〜25%、B23 5〜20%、MgO 0〜1
0%、CaO 0〜15%、BaO 0〜30%、Sr
O 0〜10%、ZnO 0〜10%の組成を有し、本
質的にアルカリ金属酸化物を含有しないガラスとなるよ
うに調合したガラス原料調合物を溶融した後、成形する
無アルカリガラスの製造方法において、ガラス原料調合
物に清澄剤としてSnO2 を0.05〜2重量%、Sb
23 を0.05〜3重量%及び塩化物をCl2 換算で
0.01〜2%添加することを特徴とする。
【0011】
【作用】本発明において使用するSnO2 とSb23
は、SnイオンとSbイオンの価数変化による化学反応
により多量の清澄ガス(酸素ガス)を発生する。即ち、
Sb23(3価)は、数100℃の低温域で一旦Sb2
5(5価)に変化した後、1200〜1300℃付近
で再びSb23 (3価)に戻る際に多量の清澄ガスを
放出し、SnO2 (4価)は1400℃以上でSnOに
(2価)変化する際に多量の清澄ガスを放出する。また
塩化物は、1200℃以上の温度域で分解、揮発して清
澄ガス(塩素ガス等)を発生するが、特に1400℃以
上の高温域で分解、揮発が激しくなり、多量の清澄ガス
を発生する。
【0012】従って清澄剤としてSnO2 とSb23
と塩化物を併用することにより、比較的低温で起こるガ
ラス化反応時から高温の均質化溶融時にかけての広い温
度域で高い清澄効果が得られるため、表示欠陥となる泡
が存在しない無アルカリガラスを得ることができる。
【0013】次に、本発明の無アルカリガラスの製造方
法を述べる。
【0014】まず、所望の組成を有するガラスとなるよ
うにガラス原料調合物を用意する。ガラスの組成範囲及
びその限定理由を以下に述べる。
【0015】SiO2 はガラスのネットワークとなる成
分であり、その含有量は40〜70%、好ましくは45
〜65%である。SiO2 が40%より少ないと耐薬品
性が悪化するとともに、歪点が低くなって耐熱性が悪く
なり、70%より多いと高温粘度が大きくなって溶融性
が悪くなるとともに、クリストバライトの失透物が析出
し易くなる。
【0016】Al23 はガラスの耐熱性、耐失透性を
高める成分であり、その含有量は6〜25%、好ましく
は10〜20%である。Al23 が6%より少ないと
失透温度が著しく上昇してガラス中に失透が生じ易くな
り、25%より多いと耐酸性、特に耐バッファードフッ
酸性が低下してガラス基板表面に白濁が生じ易くなる。
【0017】B23 は融剤として働き、粘性を下げて
溶融を容易にする成分であり、その含有量は5〜20
%、好ましくは6〜15%である。B23 が5%より
少ないと融剤としての効果が不十分となり、20%より
多いと耐塩酸性が低下するとともに、歪点が低下して耐
熱性が悪化する。
【0018】MgOは歪点を下げずに高温粘度を下げて
ガラスの溶融を容易にする成分であり、その含有量は0
〜10%、好ましくは0〜7%である。MgOが10%
より多いとガラスの耐バッファードフッ酸性が著しく低
下する。CaOもMgOと同様の働きをし、その含有量
は0〜15%、好ましくは0〜10%である。CaOが
15%より多いとガラスの耐バッファードフッ酸性が著
しく低下する。BaOはガラスの耐薬品性を向上させる
とともに失透性を改善する成分であり、その含有量は0
〜30%、好ましくは0〜20%である。BaOが30
%より多いと歪点が低下して耐熱性が悪くなる。SrO
はBaOと同様の効果があり、その含有量は0〜10
%、好ましくは0〜7%である。SrOが10%より多
いと失透性が増すため好ましくない。ZnOは耐バッフ
ァードフッ酸性を改善するとともに失透性を改善する成
分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜7
%である。ZnOが10%より多いと逆にガラスが失透
し易くなり、また歪点が低下して耐熱性が得られなくな
る。なおMgO、CaO、BaO、SrO及びZnOの
合量が5%より少ないと高温粘性が高くなって溶融性が
悪化するとともに、ガラスが失透し易くなり、30%よ
り多いと耐熱性及び耐酸性が悪くなり好ましくない。
【0019】また上記成分の他に、ZrO2 、TiO
2 、Fe23 等を合量で5%まで添加することができ
る。
【0020】次にガラス原料調合物にSnO2 とSb2
3 と塩化物を添加する。塩化物としては、BaCl
2 、CaCl2 等が使用できる。なおSnO2 及びSb
23の添加量は、ガラス原料調合物100重量%に対
して0.05〜2重量%及び0.05〜3重量%であ
り、塩化物はCl2 換算で0.01〜2重量%である。
Sb23 が0.05%より少ないとガラス化反応時に
発生したガスを追い出し難くなり、SnO2 が0.05
%より少ない場合、及び塩化物が0.01%より少ない
場合は均質化溶融時にガラス融液中に残った泡を除去し
難くなる。一方、SnO2 が2%、Sb23 が3%よ
り多いとガラスが失透し易くなり、また塩化物が2%よ
り多いと揮発量が多くなりすぎてガラスが変質し易くな
る。
【0021】続いて調合したガラス原料を溶融する。ガ
ラス原料を加熱していくとまずガラス化反応が起こる
が、このときSb23 の価数変化による化学反応によ
って酸素ガスが発生し、ガラス化反応時に発生したガス
が融液中から追い出される。さらにより高温の均質化溶
融時には、SnO2 の価数変化による化学反応で酸素ガ
スが発生するとともに、塩化物の分解、揮発によって塩
素ガス等が発生してガラス融液中に残存する微小な泡が
除去される。
【0022】その後、溶融ガラスを所望の形状に成形す
る。ディスプレイ用途に使用する場合、フュージョン
法、ダウンドロー法、フロート法、ロールアウト法等の
方法を用いて薄板状に成形する。
【0023】このようにして、重量百分率でSiO2
40〜70%、Al23 6〜25%、B23
〜20%、MgO 0〜10%、CaO 0〜15%、
BaO 0〜30%、SrO 0〜10%、ZnO 0
〜10%、SnO2 0.05〜2%、Sb23
0.05〜3%、Cl2 0.005〜1%の組成を有
し、本質的にアルカリ金属酸化物を含有しない本発明の
無アルカリガラスを得ることができる。
【0024】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
【0025】(実施例1)表1は、SnO2 、Sb2
3 及び塩化物の効果を示したものであり、試料aはAs
23 を清澄剤として添加した従来の無アルカリガラ
ス、試料bは試料aからAs23 を除いて作製した無
アルカリガラス、試料cはSnO2 のみを添加した無ア
ルカリガラス、試料dはSb23 のみを添加した無ア
ルカリガラス、試料eは塩化物(BaCl2 )のみを添
加した無アルカリガラス、試料fはSnO2 、Sb2
3 及び塩化物を併用した本発明の無アルカリガラスを示
している。
【0026】
【表1】
【0027】各試料は次のようにして調製した。
【0028】表の組成を有するガラス原料調合物となる
ようにガラス原料を調合し、電気炉にて溶融した。この
とき、ガラス化反応時の清澄性を評価するために150
0℃で1時間溶融したものと、均質化溶融時の清澄性を
評価するために1550℃で1時間溶融したものの2種
類を用意した。次いで、溶融ガラスをカーボン台上に流
しだし、徐冷した後、ガラス中に残存している泡の個数
を計数し、ガラス100g中の泡が1000個を越える
ものを×、101〜1000個のものを△、11〜10
0個のものを○、10個以下のものを◎で評価した。結
果を表1に示す。なお表中のガラス原料調合物組成は、
各成分を酸化物換算した値であり、また塩化物はCl2
換算した値で示す。
【0029】表1から明らかなように、清澄剤を全く添
加しない試料bのガラスは清澄性が著しく悪かった。S
nO2 のみを添加した試料cのガラスは、均質化溶融時
に多量の清澄ガスを発生したものの、ガラス化反応時の
清澄性が不十分であったために、結果としてAs23
を添加した試料aのガラスより清澄性が劣っていた。同
様に塩化物のみを添加した試料eのガラスも、均質化溶
融時に多量の清澄ガスを発生したものの、ガラス化反応
時に十分なガスが発生しなかったため、結果として清澄
性が悪かった。Sb23 のみを添加した試料dのガラ
スは、ガラス化反応時に多量の清澄ガスが発生したもの
の、均質化溶融時に十分な清澄ガスが発生せず、結果と
して清澄性が悪かった。一方、SnO2 、Sb23
び塩化物を添加した試料fのガラスは、As23 を添
加した試料aのガラスと同様、清澄性が良好であった。
【0030】(実施例2)表2及び表3は、本発明の方
法により得られる無アルカリガラスの実施例(試料N
o.1〜8)を示している。
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】各試料は次のようにして調製した。
【0034】表の組成を有するガラスとなるようにガラ
ス原料を調合し、実施例1と同様にして清澄性を評価し
た。またこれらのガラス原料調合物を電気炉にて155
0〜〜1600℃で16〜24時間溶融し、成型して試
料を得た。塩化物としてはBaCl2 を使用した。この
ようにして得られた各試料について、耐熱性及び耐薬品
性を評価した。結果を各表に示す。なお表中のガラス組
成は、各成分を酸化物換算した値であり、また塩化物は
ガラス中に残存する量をCl2 換算した値で示してあ
る。
【0035】表から明らかなように、各試料とも清澄性
に優れ、しかも耐熱性、耐薬品性の特性についても良好
であった。
【0036】なお耐熱性は、歪点をASTM C336
−71の方法に基づいて測定した。耐薬品性は、耐塩酸
性について各試料を80℃に保持された10重量%塩酸
水溶液に24時間浸漬した後、ガラス基板の表面状態を
観察することによって評価し、ガラス基板表面が変色し
たものを×、全く変色がないものを○で示した。また耐
バッファードフッ酸性は、各試料を20℃に保持された
38.7重量%フッ化アンモニウムと1.6重量%フッ
酸からなるバッファードフッ酸に30分間浸漬した後、
ガラス基板の表面状態を観察することによって評価し、
ガラス基板表面が白濁したものを×、全く変化しなかっ
たものを○で示した。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法によ
れば、清澄剤としてSnO2 とSb23 と塩化物を併
用するために清澄性に優れ、表示欠陥となる泡が存在し
ない無アルカリガラスを製造することが可能である。
【0038】また、本発明の無アルカリガラスは、表示
欠陥となる泡がなく、かつ優れた耐熱性、耐薬品性を有
しており、特にディスプレイ用透明ガラス基板として好
適である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量百分率でSiO2 40〜70%、
    Al23 6〜25%、B23 5〜20%、Mg
    O 0〜10%、CaO 0〜15%、BaO 0〜3
    0%、SrO 0〜10%、ZnO 0〜10%、Sn
    2 0.05〜2%、Sb23 0.05〜3%、
    Cl2 0.005〜1%の組成を有し、本質的にアル
    カリ金属酸化物を含有しないことを特徴とする無アルカ
    リガラス。
  2. 【請求項2】 重量百分率でSiO2 40〜70%、
    Al23 6〜25%、B23 5〜20%、Mg
    O 0〜10%、CaO 0〜15%、BaO 0〜3
    0%、SrO 0〜10%、ZnO 0〜10%の組成
    を有し、本質的にアルカリ金属酸化物を含有しないガラ
    スとなるように調合したガラス原料調合物を溶融した
    後、成形する無アルカリガラスの製造方法において、ガ
    ラス原料調合物に清澄剤としてSnO2 を0.05〜2
    重量%、Sb23 を0.05〜3重量%及び塩化物を
    Cl2 換算で0.01〜2%添加することを特徴とする
    無アルカリガラスの製造方法。
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