JPH113820A - インダクタンス素子及び無線端末装置 - Google Patents

インダクタンス素子及び無線端末装置

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JPH113820A
JPH113820A JP9156334A JP15633497A JPH113820A JP H113820 A JPH113820 A JP H113820A JP 9156334 A JP9156334 A JP 9156334A JP 15633497 A JP15633497 A JP 15633497A JP H113820 A JPH113820 A JP H113820A
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film
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inductance element
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宏実 崎田
Kenzo Isozaki
賢蔵 磯崎
Kuniaki Kiyosue
邦昭 清末
Mitsuo Kamimera
光男 上米良
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、生産性を向上させ、小型化及び実
装性を向上させることができるインダクタンス素子及び
無線端末装置を提供することを目的としている。 【解決手段】 基台11の上に導電膜12を形成し、導
電膜12に溝13を形成し、溝12の上に保護材14を
形成し、この保護材14を電着膜で構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動体通信などの
電子機器に用いられ、特に高周波回路等に好適に用いら
れるインダクタンス素子及び無線端末装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】図17は従来のインダクタンス素子を示
す側面図である。図17において、1は四角柱状の基
台、2は基台1の上に形成された導電膜、3は導電膜2
に設けられた溝、4は導電膜3の上に積層された保護材
である。
【0003】この様な電子部品は、溝3の間隔などを調
整することによって、所定の特性に調整する。
【0004】先行例としては、特開平7−307201
号公報,特開平7−297033号公報,特開平5−1
29133号公報,特開平1−238003号公報,実
開昭57−117636号公報,特開平5−29925
0号公報,特開平7−297033号公報等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の構
成では、保護材4をレジストなどを塗布することによっ
て構成していたので、インダクタンス素子自体を小型化
していくと、保護材4が端子部よりも大きく突出するこ
とがあり、実装性が悪く、しかも一つ一つレジストなど
を塗布しなければならないので、生産性も向上しなかっ
た。
【0006】本発明は、小型化及び実装性を向上させた
り、生産性を向上させることができるインダクタンス素
子及び無線端末装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、基台と、前記
基台の上に形成された導電膜と、前記導電膜に設けられ
た溝と、前記溝を覆うように設けられた保護材とを備え
たインダクタンス素子であって、保護材を電着膜で構成
した。
【0008】
【発明の実施の形態】請求項1記載の発明は、基台と、
前記基台の上に形成された導電膜と、前記導電膜に設け
られた溝と、前記溝を覆うように設けられた保護材とを
備えたインダクタンス素子であって、保護材を電着膜で
構成したことによって、保護材を薄く均一に形成でき、
素子の小型化を行うことができ、配線との隙間を小さく
することができる。また、一度にたくさんの素子の保護
材を形成できるので、生産性を向上させることができ
る。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1におい
て、溝内において、保護材が導電膜と基台の少なくとも
一部を覆う様に設けたことによって、導電膜の角部が露
出する確率が極めて低くなり、導電膜の保護を確実に行
うことができる。
【0010】請求項3記載の発明は、請求項1,2にお
いて、導電膜の角部の保護材の厚みを他の部分よりも厚
くしたことによって、放電しやすい導電膜の角部を覆う
ことができ、しかもメッキ膜が角部に付着することはな
い。
【0011】請求項4記載の発明は、請求項1〜3にお
いて、粗面化された導電膜の表面に電着膜を設けたこと
によって、導電膜と保護材の密着強度を向上させること
ができる。
【0012】請求項5記載の発明は、請求項1〜3にお
いて、導電膜の上に更に他の金属膜を設け、前記金属膜
の上に保護材を設けたことによって更に均一な膜厚の保
護材を形成できるので、より素子の小型化には適する。
【0013】請求項6記載の発明は、請求項1〜5にお
いて、保護材に熱処理を施したことによって、保護材の
表面をなめらかにすることができ、しかも導電膜をより
確実に覆う様になり、耐食性などを向上させることがで
きる。
【0014】請求項7に記載の発明は、請求項1〜5に
おいて、保護材に絶縁性の粒子を保持させたことによっ
て、例え製造中や実装中に熱が加わったとしても、導電
膜の角部における保護材の膜厚低下を防止できる。
【0015】請求項8記載の発明は、音声を音声信号に
変換する音声信号変換手段と、電話番号等を入力する操
作手段と、着信表示や電話番号等を表示する表示手段
と、音声信号を復調して送信信号に変換する送信手段
と、受信信号を音声信号に変換する受信手段と、前記送
信信号及び前記受信信号を送受信するアンテナと、各部
を制御する制御手段を備えた無線端末装置であって、受
信手段及び送信手段を構成するフィルタ回路やマッチン
グ回路を構成するインダクタンス素子として、請求項1
〜8いずれか1記載のインダクタンス素子を用いたこと
によって、回路基板などを小さくすることができ、装置
の小型化を行うことができると共に、インダクタンス素
子の実装性が向上するので、装置の不良率が低下する。
【0016】請求項9に係る発明は、基台上に導電膜を
形成し、前記導電膜の一部を取り除き、その後に前記導
電膜上に電着膜を形成することによって、一度にたくさ
んの素子に保護材を形成できるので、生産性が向上す
る。
【0017】請求項10に係る発明は、請求項9におい
て導電膜を取り除く際に基台も露出させ、前記導電膜及
び基台の少なくとも一部に電着膜を形成したことによっ
て、確実に導電膜を保護することができ、導電膜の腐食
などを防止できる。
【0018】請求項11に係る発明は、請求項10にお
いて、導電膜を取り除く際にレーザを用いて、基台の一
部も取り除いたことによって、簡単に溝を設けることが
でき、しかも確実に導電膜を切除することができる。
【0019】請求項12に係る発明は、基台と、前記基
台上に形成され、導電性材料か抵抗材料の少なくとも一
方で構成された形成膜と、前記形成膜の少なくとも一部
を覆う保護材とを備え、前記保護材を電着膜で構成した
ことによって、保護材を薄く均一に形成でき、素子の小
型化を行うことができ、配線との隙間を小さくすること
ができる。また、一度にたくさんの素子の保護材を形成
できるので、生産性を向上させることができる。
【0020】請求項13に係る発明は、請求項12にお
いて、形成膜に基台の少なくとも一部が露出する部分を
設け、この露出する部分を覆うように保護材を設けたこ
とによって、確実に形成膜の保護を行うことができるの
で、耐食性等が向上する。
【0021】請求項14に係る発明は、請求項12,1
3において、基台の中央部を両端部より段落ちさせ、そ
の段落ちさせた部分に保護材を設けたことによって、簡
単にしかも精度良く保護材を設けることができる。
【0022】請求項15に係る発明は、請求項12〜1
4において、形成膜に設けられた角部の保護材の厚みを
他の部分よりも厚くしたことによって、放電しやすい形
成膜の角部を覆うことができ、しかもメッキ膜等が角部
に付着することはない。
【0023】請求項16に係る発明は、請求項12〜1
5において、粗面化された形成膜の表面に保護材を設け
たことによって、形成膜と保護材の密着強度を向上させ
ることができる。
【0024】請求項17に係る発明は、請求項12〜1
6において、保護材に熱処理を施したことによって、保
護材の表面をなめらかにすることができ、しかも形成膜
をより確実に覆う様になり、耐食性などを向上させるこ
とができる。
【0025】以下、電子部品として、インダクタンス素
子を例示して本実施の形態を説明する。
【0026】図1,図2はそれぞれ本発明の一実施の形
態におけるインダクタンス素子を示す斜視図及び側面図
である。
【0027】図1において、11は絶縁材料などをプレ
ス加工,押し出し法等を施して構成されている基台、1
2は基台11の上に設けられている導電膜で、導電膜1
2は、メッキ法やスパッタリング法等の蒸着法等によっ
て基台11上に形成される。13は基台11及び導電膜
12に設けられた溝で、溝13は、レーザ光線等を導電
膜12に照射することによって形成したり、導電膜12
に砥石等を当てて機械的に形成されている。14は基台
11及び導電膜12の溝13を設けた部分に設けられ、
電着膜で構成された保護材、15,16はそれぞれ端子
電極が形成された端子部で、端子部15と端子部16の
間には、溝13及び保護材14が設けられている。な
お、図2は、保護材14の一部を取り除いた図である。
【0028】また、本実施の形態のインダクタンス素子
は、実用周波数帯域が1〜6GHzと高周波数域に対応
するとともに、330nH以下の微小インダクタンスを
有し、しかもインダクタンス素子の長さL1,幅L2,
高さL3は以下の通りとなっていることが好ましい。
【0029】L1=0.5〜2.5mm(好ましくは
0.6〜1.7mm) L2=0.2〜2.0mm(好ましくは0.3〜0.9
mm) L3=0.2〜2.0mm(好ましくは0.3〜0.9
mm) L1が0.5mm以下であると、自己共振周波数f0が
下がってしまうとともにQ値が低下してしまい、良好な
特性を得ることができない。また、L1が2.5mmを
超えてしまうと、素子自体が大きくなってしまい、電子
回路等が形成された基板など(以下回路基板等と略す)
回路基板等の小型化ができず、ひいてはその回路基板等
を搭載した電子機器等の小型化を行うことができない。
また、L2,L3それぞれが0.2mm以下であると、
素子自体の機械的強度が弱くなりすぎてしまい、実装装
置などで、回路基板等に実装する場合に、素子折れ等が
発生することがある。また、L2,L3が2.0mm以
上となると、素子が大きくなりすぎて、回路基板等の小
型化、ひいては装置の小型化を行うことができない。な
お、L4(段落ちの深さ)は5μm〜50μm程度が好
ましく、5μm以下であれば、保護材14の厚さ等を薄
くしなければならず、良好な保護特性等を得ることがで
きない。また、L4が50μmを超えると基台の機械的
強度が弱くなり、やはり素子折れ等が発生することがあ
る。
【0030】以上の様に構成されたインダクタンス素子
について、以下各部の詳細な説明をする。図3は導電膜
を形成した基台の断面図、図4(a)(b)はそれぞれ
基台の側面図及び底面図である。
【0031】まず、基台11の形状について説明する。
基台11は、図3及び図4に示す様に、回路基板等に実
装しやすいように断面が四角形状の中央部11aと中央
部11aの両端に一体に設けられ、しかも断面が四角形
状の端部11b,11cによって構成されている。な
お、端部11b,11c及び中央部11aは断面四角形
状としたが、五角形状や六角形状などの多角形状でも良
い。中央部11aは端部11b,11cから段落ちした
構成となっている。本実施の形態では、端部11b,1
1cの断面形状を略正四角状とすることによって、回路
基板等へのインダクタンス素子を装着性を良好にした。
また、本実施の形態では中央部11aに横向きに溝13
を形成することによって、どのように回路基板等に実装
しても方向性が無いために、取り扱いが容易になる。ま
た、中央部11aには素子部(溝13や保護材14)が
形成されることとなり、端部11b,11cには端子部
15,16が形成される。
【0032】なお、本実施の形態では、中央部11a及
び端部11b,11cをともに略正四角形状としたが、
正五角形状等の正多角形状にしてもよい。さらに、本実
施の形態では、中央部11aと端部11c,11bそれ
ぞれの断面形状を正四角形というように同一にしたが、
異なっても良い。すなわち、端部11b、11cの断面
形状を正多角形状とし、中央部11aの断面形状を他の
多角形状としたり、円形状としても良い。中央部11a
の断面形状を円形とすることによって、良好に溝13を
形成することができる。
【0033】さらに、本実施の形態では、中央部11a
を端部11b,11cより段落ちさせることによって、
保護材14を塗布した際に、その保護材14と回路基板
等が接触することなどを防止していたが、特に保護材1
4の厚みや実装される回路基板等の状況(回路基板等の
実装される部分に溝が形成されていたり、回路基板等の
電極部が盛り上がっている等)によって、中央部11a
を段落ちさせなくてもよい。中央部11aを端部11
b,11cから段落ちさせないと、基台11の構造が簡
単になり、生産性が向上し、さらに中央部11aの機械
的強度も向上する。この様に段落ちさせない場合でも、
断面四角形状の四角柱形状としてもよいし、さらに断面
を多角形状とする角柱とすることもできる。
【0034】また、図4(a)に示す様に基台11の端
部の高さZ1及びZ2は下記の条件を満たすことが好ま
しい。
【0035】|Z1−Z2|≦80μm(好ましくは5
0μm) Z1とZ2の高さの違いが80μm(好ましくは50μ
m以下)を超えると、素子を基板に実装し、半田等で回
路基板等に取り付ける場合、半田等の表面張力によって
素子が一方の端部に引っ張られて、素子が立ってしまう
というマンハッタン現象の発生する確率が非常に高くな
る。このマンハッタン現象を図5に示す。図5に示すよ
うに、基板200の上にインダクタンス素子を配置し、
端子部15,16それぞれと基板200の間に半田20
1,202が設けられているが、リフローなどによって
半田201,202を溶かすと、半田201,202の
それぞれの塗布量の違いや、材質が異なることによる融
点の違いによって、溶融した半田201,202の表面
張力が端子部15と端子部16で異なり、その結果、図
5に示すように一方の端子部(図5の場合は端子部1
5)を中心に回転し、インダクタンス素子が立ち上がっ
てしまう。Z1とZ2の高さの違いが80μm(好まし
くは50μm以下)を超えると、素子が傾いた状態で基
板200に配置されることとなり、素子立ちを促進す
る。また、マンハッタン現象は特に小型軽量のチップ型
の電子部品(チップ型インダクタンス素子を含む)にお
いて顕著に発生し、しかもこのマンハッタン現象の発生
要因の一つとして、端子部15,16の高さの違いによ
って素子が傾いて基板200に配置されることを着目し
た。この結果、Z1とZ2の高さの差を80μm以下
(好ましくは50μm以下)となるように、基台11を
成形などで加工することによって、このマンハッタン現
象の発生を大幅に抑えることができた。Z1とZ2の高
さの差を50μm以下とすることによって、ほぼ、マン
ハッタン現象の発生を抑えることができる。
【0036】次に基台11の面取りについて説明する。
図6は本発明の一実施の形態におけるインダクタンス素
子に用いられる基台の斜視図である。図6に示されるよ
うに、基台11の端部11b,11cそれぞれの角部1
1e,11dには面取りが施されており、その面取りし
た角部11e,11dのそれぞれの曲率半径R1及び中
央部11aの角部11fの曲率半径R2は以下の通りに
形成されることが好ましい。
【0037】0.03<R1<0.15(mm) 0.01<R2(mm) R1が0.03mm以下であると、角部11e,11d
が尖った形状となっているので、ちょっとした衝撃など
によって角部11e,11dに欠けなどが生じることが
あり、その欠けによって、特性の劣化等が発生したりす
る。また、R1が0.15mm以上であると、角部11
e,11dが丸くなりすぎて、前述のマンハッタン現象
を起こしやすくなり、不具合が生じる。更にR2が0.
01mm以下であると、角部11fにバリなどが発生し
やすく、中央部11a上に形成され、しかも素子の特性
を大きく左右する導電膜12の厚みが角部11fと平坦
な部分で大きく異なることがあり、素子特性のばらつき
が大きくなる。
【0038】次に基台11の構成材料について説明す
る。基台11の構成材料として下記の特性を満足してお
くことが好ましい。
【0039】体積固有抵抗:1013Ωcm以上(好まし
くは1014Ωcm以上) 熱膨張係数:5×10-4Ωcm以下(好ましくは2×1
-5Ωcm以下)[20℃〜500℃における熱膨張係
数] 誘電率:1MHzにおいて12以下(好ましくは10以
下) 曲げ強度:1300kg/cm2以上(好ましくは20
00kg/cm2以上) 密度:2〜5g/cm3(好ましくは3〜4g/cm3) 基台11の構成材料が体積固有抵抗が1013Ωcm以下
であると、導電膜12とともに基台11にも所定に電流
が流れ始めるので、並列回路が形成された状態となり、
自己共振周波数f0及びQ値が低くなってしまい、高周
波用の素子としては不向きである。
【0040】また熱膨張係数が5×10-4Ωcm以上で
あると、基台11にヒートショック等でクラックなどが
入ることがある。すなわち熱膨張係数が5×10-4Ωc
m以上であると、上述の様に溝13を形成する際にレー
ザ光線や砥石等を用いるので、基台11が局部的に高温
になり、基台11にクラックなどが生じることあるが、
上述の様な熱膨張係数を有することによって、大幅にク
ラック等の発生を抑止できる。
【0041】また、誘電率が1MHzにおいて12以上
であると、自己共振周波数f0及びQ値が低くなってし
まい、高周波用の素子としては不向きである。
【0042】曲げ強度が1300kg/cm2以下であ
ると、実装装置で回路基板等に実装する際に素子折れ等
が発生することがある。
【0043】密度が2g/cm3以下であると、基台1
1の吸水率が高くなり、基台11の特性が著しく劣化
し、素子としての特性が悪くなる。また密度が5g/c
3以上になると、基台の重量が重くなり、実装性など
に問題が発生する。特に密度を上記範囲内に設定する
と、吸水率も小さく基台11への水の進入もほとんどな
く、しかも重量も軽くなり、チップマウンタなどで基板
に実装する際にも問題は発生しない。
【0044】この様に基台11の体積固有抵抗,熱膨張
係数,誘電率,曲げ強度,密度を規定することによっ
て、自己共振周波数f0及びQ値が低下しないので、高
周波用の素子として用いることができ、ヒートショック
等で基台11にクラック等が発生することを抑制できる
ので、不良率を低減することができ、更には、機械的強
度を向上させることができるので、実装装置などを用い
て回路基板等に実装できるので、生産性が向上する等の
優れた効果を得ることができる。
【0045】上記の諸特性を得る材料としては、アルミ
ナを主成分とするセラミック材料が挙げられる。しかし
ながら、単にアルミナを主成分とするセラミック材料を
用いても上記諸特性を得ることはできない。すなわち、
上記諸特性は、基台11を作製する際のプレス圧力や焼
成温度及び添加物によって異なるので、作製条件などを
適宜調整しなければならない。具体的な作製条件とし
て、基台11の加工時のプレス圧力を2〜5t,焼成温
度を1500〜1600℃,焼成時間1〜3時間等の条
件が挙げられる。また、アルミナ材料の具体的な材料と
しては、Al23が92重量%以上,SiO2が6重量
%以下,MgOが1.5重量%以下,Fe23が0.1
%以下,Na2Oが0.3重量%以下等が挙げられる。
【0046】次に基台11の表面粗さについて説明す
る。なお、以下の説明で出てくる表面粗さとは、全て中
心線平均粗さを意味するものであり、導電膜12の説明
等に出てくる粗さも中心線平均粗さである。
【0047】基台11の表面粗さは0.15〜0.5μ
m程度、好ましくは0.2〜0.3μm程度がよい。図
7は基台11の表面粗さと剥がれ発生率を示したグラフ
である。図7は下記に示すような実験の結果である。基
台11及び導電膜12はそれぞれアルミナ,銅で構成
し、基台11の表面粗さをいろいろ変えたサンプルを作
製し、その各サンプルの上に同じ条件で導電膜12を形
成した。それぞれのサンプルに超音波洗浄を行い、その
後に導電膜12の表面を観察して、導電膜12の剥がれ
の有無を測定した。基台11の表面粗さは、表面粗さ測
定器(東京精密サーフコム社製 574A)を用いて、
先端Rが5μmのものを用いた。この結果から判るよう
に平均表面粗さが0.15μm以下であると、基台11
の上に形成された導電膜12の剥がれの発生率が5%程
度であり、良好な基台11と導電膜12の接合強度を得
ることができる。更に、表面粗さが0.2μm以上であ
れば導電膜12の剥がれがほとんど発生していないの
で、できれば、基台11の表面粗さは0.2μm以上が
好ましい。導電膜12の剥がれは、素子の特性劣化の大
きな要因となるので、歩留まり等の面から発生率は5%
以下が好ましい。
【0048】図8は基台の表面粗さに対する周波数とQ
値の関係を示すグラフである。図8は以下のような実験
の結果である。まず、表面粗さが0.1μm以下の基台
11と、表面粗さが0.2〜0.3μmの基台11と、
表面粗さが0.5μm以上の基台11のそれぞれのサン
プルを作製し、それぞれのサンプルに同じ材料(銅)で
同じ厚さの導電膜を形成した。そして、各サンプルにお
いて、所定の周波数FにおけるQ値を測定した。図8か
ら判るように基台11の表面粗さが0.5μm以上であ
ると、導電膜12の膜構造が悪くなることが原因と考え
られるQ値の低下が見られる。特に高周波領域で顕著に
Q値の劣化が見られる。また、自己共振周波数f0(各
線の極大値)も基台11の表面粗さが0.5μmのもの
は、低周波側にシフトしている。従ってQ値の面及び自
己共振周波数f0の面から見れば基台11の表面粗さは
0.5μm以下とすることが好ましい。
【0049】以上の様に、導電膜12と基台11との密
着強度,導電膜のQ値及び自己共振周波数f0の双方の
結果から判断すると、基台11の表面粗さは、0.15
μm〜0.5μmが好ましく、さらに好ましくは0.2
〜0.3μmが良い。
【0050】また、表面粗さは、端部11b,11cと
中央部11aでは、平均表面粗さを異ならせた方が好ま
しい。すなわち、平均表面粗さ0.15〜0.5μmの
範囲内で端部11b,11cの平均表面粗さを中央部1
1aの平均表面粗さよりも小さくすることが好ましい。
端部11b,11cは導電膜12を積層することによっ
て上述の様に端子部15,16が構成されるので、端部
11b,11cの表面粗さを中央部11aより小さくす
ることによって、端部11b,11c上に形成される導
電膜12の表面粗さを小さくできるので、回路基板等の
電極との密着性を向上させることができ、確実な回路基
板等とインダクタンス素子の接合をおこなうことができ
る。また、中央部11aには導電膜12を積層し溝13
を形成するので、溝13をレーザ等で形成する際に導電
膜12が基台11からはがれ落ちないように導電膜12
と基台11の密着強度を向上させなければないので、端
部11b,11cよりも中央部11aの表面粗さを大き
くした方が好ましい。特にレーザで溝13を形成する場
合、レーザが照射された部分は他の部分よりも急激に温
度が上昇し、ヒートショック等で導電膜12が剥がれる
ことがある。従って、レーザで溝13を形成する場合に
は導電膜12と基台11の接合密度を他の部分よりも向
上させることが必要である。
【0051】この様に中央部11aと端部11b,11
cとの表面粗さを異ならせることによって、回路基板等
との密着性及び溝13の加工の際の導電膜12のはがれ
を防止することができる。
【0052】なお、本実施の形態では、導電膜12と基
台11の接合強度を基台11の表面粗さを調整すること
によって、向上させたが、例えば、基台11と導電膜1
2の間にCr単体またはCrと他の金属の合金の少なく
とも一方で構成された中間層を設けることによって、表
面粗さを調整せずとも導電膜12と基台11の密着強度
を向上させることができる。もちろん基台11の表面粗
さを調整し、その上その基台11の上に中間層及び導電
膜12を積層する場合では、より強力な導電膜12と基
台11の密着強度を得ることができる。
【0053】次に導電膜12について説明する。導電膜
12としては、330nH以下の微少インダクタンスを
有し、しかも800MHz以上の高周波信号に対してQ
値が30以上のものが好ましい。この様な特性の導電膜
12を得るためには、材料及び製法等を選択しなければ
ならない。
【0054】以下具体的に導電膜12について説明す
る。導電膜12の構成材料としては、銅,銀,金,ニッ
ケルなどの導電材料が挙げられる。この銅,銀,金,ニ
ッケル等の材料には、耐候性等を向上させために所定の
元素を添加してもよい。また、導電材料と非金属材料等
の合金を用いてもよい。構成材料としてコスト面や耐食
性の面及び作り易さの面から銅及びその合金がよく用い
られる。導電膜12の材料として、銅等を用いる場合に
は、まず、基台11上に無電解メッキによって下地膜を
形成し、その下地膜の上に電解メッキにて所定の銅膜を
形成して導電膜12が形成される。更に、合金等で導電
膜12を形成する場合には、スパッタリング法や蒸着法
で構成することが好ましい。また、構成材料に銅及びそ
の合金を用いた場合導電膜12の形成厚みは15μm以
上が好ましい。厚みが15μmより薄いと、導電膜12
のQ値が小さくなり所定の特性を得ることができにく
い。図9は、導電膜12の膜厚とQ値の関係を示すグラ
フである。導電膜12の構成材料としては銅を用い、基
台11の材料及び表面粗さ等は、同じ条件にし、その基
台11の上に形成する導電膜12の厚さを変化させ、そ
れぞれの場合におけるQ値を測定した。図9から判るよ
うに導電膜12の厚さが15μm以上であると、Q値は
30を超えている。また、導電膜12の膜厚は15μm
以上の領域では、Q値はあまり向上せず、又、コスト面
や不良率の低減のために導電膜12の膜厚は35μm以
下とすることが好ましい。なお、導電膜12の膜厚は2
1μm以上が更に好ましい。
【0055】導電膜12は単層で構成してもよいが、多
層構造としてもよい。すなわち、構成材料の異なる導電
膜を複数積層して構成しても良い。例えば、基台11の
上に先ず銅膜を形成し、その上に耐候性の良い金属膜
(ニッケル等)を積層する事によって、やや耐候性に問
題がある銅の腐食を防止することができる。
【0056】導電膜12の形成方法としては、メッキ法
(電解メッキ法や無電解メッキ法など),スパッタリン
グ法,蒸着法等が挙げられる。この形成方法の中でも、
量産性がよく、しかも膜厚のばらつきが小さなメッキ法
がよく用いられる。
【0057】導電膜12の表面粗さは1μm以下が好ま
しく、更に好ましくは0.2μm以下が好ましい。導電
膜12の表面粗さが1μmを超えると、表皮効果によっ
て高周波でのQ値が低下する。図10は導電膜12の周
波数とQ値の関係を示すグラフである。図10は下記の
様な実験を通して導き出された。まず、同じ大きさ同じ
材料同じ表面粗さで構成された基台11の上に銅を構成
材料とする導電膜12の表面粗さを変えて形成し、それ
ぞれのサンプルにて各周波数におけるQ値を測定した。
図10から判るように、導電膜12の表面粗さが1μm
以上であれば高周波領域におけるQ値が低くなっている
ことが判る。更に導電膜12の表面粗さが0.2μm以
下であれば特に高周波領域におけるQ値が、非常に高く
なっていることがわかる。
【0058】以上の様に導電膜12の表面粗さは、1.
0μm以下が良く、更に好ましくは、0.2μm以下と
することによって、導電膜12の表皮効果を低減させる
ことができ、特に高周波におけるQ値を向上させる事が
できる。
【0059】更に導電膜12と基台11の密着強度は、
導電膜12を形成した基台11を400℃の温度下に数
秒間放置した後に基台11から導電膜12がはがれない
程度以上であることが好ましい。素子を基板等に実装し
た際に、素子には自己発熱や他の部材からの熱が加わる
ことによって、素子に200℃以上の温度が加わること
がある。従って、400℃で基台11からの導電膜12
のはがれが発生しない程度の密着強度であれば、たとえ
素子に熱が加わっても、素子の特性劣化等は発生しな
い。
【0060】次に保護材14について説明する。保護材
14は電着法で形成された絶縁膜で構成される。保護材
14を電着膜で構成することによって、非常に薄くて絶
縁性を確保でき、しかも耐熱性も向上させることができ
るので、図1等に示すようなL4の段落ちを形成しない
素子に特に有効である。すなわち、段落ちを用いない素
子の場合、従来の様にレジストなどを塗布する方法であ
ると、保護材の部分が大きく盛り上がり、回路基板等に
実装する場合、素子の端子部と回路基板の配線の間に隙
間が生じることがあり、十分な電気的接合を行うことが
できないことがあるが、電着膜で保護材14を形成する
ことによって、薄くしかも均一な保護材14を形成でき
るので、素子を回路基板などに実装したときに、端子部
と配線との間の隙間が非常に小さくなり、配線と基盤の
端子間の電気的接合は十分に行うことができる。
【0061】また、従来の様に、レジストなどを塗布す
る方法であると、一つ一つの素子にそれぞれテープなど
を用いて塗布しなければならないので、工程が多くなり
生産性が向上せず、製造コストも低減することはできな
いが、本実施の形態の様に、電着膜で保護材14を作成
することによって、一度にたくさんの素子に保護材14
を設けることができるので、生産性が向上しコストも低
減させることができる。
【0062】保護材14の具体的構成材料としては、ア
クリル系樹脂,エポキシ系樹脂,フッ素系樹脂,ウレタ
ン系樹脂,ポリイミド系樹脂などの樹脂材料の少なくと
も1つで構成された電着樹脂膜によって構成されてい
る。また、保護材14を電着膜で構成する場合、カチオ
ン系,アニオン系のどちらかを選択する場合には、導電
膜12の構成材料、電着膜の構成材料、インダクタンス
素子の使用用途などを考慮して決定することが好まし
い。保護材14は異なる材料で構成された電着膜を積層
して構成しても良いし、同一材料を積層しても良く、更
には、複数の電着膜を溝部13の上に並列して設けても
よい。
【0063】保護材14を電着膜で構成する場合、保護
材14の厚さが数十ミクロンで20V以上の耐圧を有す
ることが好ましく、しかもハンダの融点である183℃
で、燃焼したり、蒸発しない特性を有するものが好まし
い。なお、183℃で保護材14が軟化する程度のもの
は不具合は生じない。
【0064】また、図15(a)に示す様に電着膜で構
成された保護材14は、導電膜12と基台11の少なく
とも一部の双方を覆うように設けることが好ましい。こ
の様に保護材14を設けることによって、導電膜12を
ほぼ覆うことができ、しかも導電膜12と外気などとの
接触確率を極めて小さくすることができるので、導電膜
12の腐食や電流の漏洩等を防止することができる。図
15(b)に示す様に保護材14を導電膜12のみに設
ける場合では、導電膜12の角部12zがむき出しにな
る可能性が高く、導電膜12の腐食の原因となることが
ある。
【0065】従って、図15(a)に示す様に、導電膜
12の角部12zをオバーして基台11の少なくとも一
部も保護材14で覆うように構成することによって、確
実な導電膜12の保護を覆うことができる。
【0066】また、図15(a)に示す様に導電膜12
の外方の角部12p上に形成される保護材14の一部1
4zは他の部分よりも膜厚を厚くすることが好ましい。
一部14zを厚くすることによって、角部12pが他の
部分との間で放電することなどを防止でき、インダクタ
ンス素子としての特性の劣化を防止できる。
【0067】また、特殊用途などに用いられるインダク
タンス素子には、導電膜12と保護材の密着強度を持た
せることが重要になってくる場合がある。この場合に
は、導電膜12の表面を化学的エッチングすることによ
って粗面化し、その粗面化した表面に電着膜で構成した
保護材14を設けることが好ましい。前述したように、
導電膜12の表面の粗面化を行うとQ値の低下を招く危
険はあるが、特殊用途等の場合、Q値よりも保護材14
と導電膜12の密着強度を向上することが重要な場合が
あるので、このときは、用途などを考慮して導電膜12
の粗さを適宜決定する必要がある。
【0068】また、導電膜12を銅を含む材料で構成し
た場合、電着膜である保護材14は不均一な膜厚で形成
されることがあるので、この場合には、導電膜12の上
にNi等の金属膜を形成し、その金属膜の上に保護材1
4を形成しても良い。
【0069】次に、電着膜で構成された保護材14の形
成方法について説明する。図16に示す様に100は容
器で、容器100中には、水,電着樹脂,pH調整剤な
どの調整剤及び他の添加剤などを混合した溶液101が
収納されている。102は電極板、103はインダクタ
ンス素子、104,105はそれぞれ保持部材で、保持
部材104,105は、インダクタンス素子103の両
端がはまりこむ孔が設けられている。保持部材105に
は通電部6が設けられており、この通電部6はインダク
タンス素子103に接触している。
【0070】電極板102及び通電部106に所定の電
圧を加えると、インダクタンス素子103の両端部を除
く部分に電着膜が形成される。これは、インダクタンス
素子103の両端は、保持部材104,105に入り込
んでおり、溶液101とは余り接触していないからであ
る。
【0071】以上の様に、電着膜で構成された保護材を
有するインダクタンス素子を作製した後に、素子に熱処
理を加えることが好ましい。この熱処理によって、保護
材14の表面がなだらかになって、表面粗さが小さくな
り、確実に保護材14を覆うようになる。また、熱処理
を加えると、導電膜12の角部の保護材14の厚さが薄
くなることがあるが、この場合には、溶液101の中に
絶縁性の粒子(例えば金属酸化物など)を混入させて、
電着膜で構成された保護材14の中にこの絶縁性の粒子
を保持させることによって、導電膜12の角部の保護材
14の厚さを抑えることができる。
【0072】また、保護材14は、図11に示すように
溝13の角部13aと保護材14の表面までの長さZ1
が5μm以上となるように形成することが好ましい。Z
1が5μmより小さいと特性劣化や放電などが発生し易
くなり素子の特性が大幅に劣化することが考えられる。
また、溝13の角部13aは特に放電などが発生しやす
い部分であり、この角部13a上に厚さ5μm以上の保
護材14が形成されることが非常に好ましい。また、保
護材14を形成した後に再びメッキを施して電極膜等を
形成することがあるが、角部13a上に5μm以上の保
護材14が形成されていないと、電極膜等が付着すると
不具合が生じる保護材14上に電極膜等が形成されるこ
とになり、特性の劣化が生じる。
【0073】次に端子部15,16について説明する。
端子部15,16は、導電膜12のみでも十分に機能す
るが、様々な環境条件等に順応させるために、多層構造
とすることが好ましい。
【0074】図12は端子部15の断面図である。図1
2において、基台11の端部11bの上に導電膜12が
形成されており、しかも導電膜12の上には耐候性を有
するニッケル,チタン等の材料で構成される保護層30
0が形成されており、更に保護層300の上には半田等
で構成された接合層301が形成されている。保護層3
00は接合層と導電膜12の接合強度を向上させるとと
もに、導電膜の耐候性を向上させることができる。本実
施の形態では、保護層300の構成材料として、ニッケ
ルかニッケル合金の少なくとも一方とし、接合層301
の構成材料としては半田を用いた。保護層300(ニッ
ケル)の厚みは2〜7μmが好ましく、2μmを下回る
と耐候性が悪くなり、7μmを上回ると保護層300
(ニッケル)自体の電気抵抗が高くなり、素子特性が大
きく劣化する。また、接合層301(半田)の厚みは5
μm〜10μm程度が好ましく、5μmを下回ると半田
食われ現象が発生して素子と回路基板等との良好な接合
が期待できず、10μmを上回るとマンハッタン現象が
発生し易くなり、実装性が非常に悪くなる。
【0075】以上の様に構成されたインダクタンス素子
は、特性劣化が無く、しかも,実装性及び生産性が非常
によい。
【0076】以上の様に構成されたインダクタンス素子
について、以下その製造方法について説明する。
【0077】まず、アルミナ等の絶縁材料をプレス成形
や押し出し法によって、基台11を作製する。次にその
基台11全体にメッキ法やスパッタリング法などによっ
て導電膜12を形成する。次に導電膜12を形成した基
台11にスパイラル状の溝13を形成する。溝13はレ
ーザ加工や切削加工によって作製される。レーザ加工
は、非常に生産性が良いので、以下レーザ加工について
説明する。まず、基台11を回転装置に取り付け、基台
11を回転させ、そして基台11の中央部11aにレー
ザを照射して導電膜12及び基台11の双方を取り除
き、スパイラル状の溝を形成する。このときのレーザ
は、エキシマレーザ,炭酸ガスレーザなどを用いること
ができ、レーザ光をレンズなどで絞り込むことによっ
て、基台11の中央部11aに照射する。更に、溝13
の深さ等は、レーザのパワーを調整し、溝13の幅等
は、レーザ光を絞り込む際のレンズを交換することによ
って行える。また、導電膜12の構成材料等によって、
レーザの吸収率が異なるので、レーザの種類(レーザの
波長)は、導電膜12の構成材料によって、適宜選択す
ることが好ましい。
【0078】溝13を形成した後に、溝13を形成した
部分(中央部11)に保護材14を図16に示すような
装置を用いて電着法によって作製する。
【0079】この時点でも、製品は完成するが、特に端
子部15,16にニッケル層や半田層を積層して、耐候
性や接合性を向上させることもある。ニッケル層や半田
層は、メッキ法等によって保護材14を形成した半完成
品に形成する。
【0080】なお、本実施の形態は、インダクタンス素
子について説明したが、絶縁材料によって構成された基
台の上に導電膜を形成する電子部品でも同様な効果を得
ることができる。
【0081】図13及び図14はそれぞれ本発明の一実
施の形態における無線端末装置を示す斜視図及びブロッ
ク図である。図13及び図14において、29は音声を
音声信号に変換するマイク、30は音声信号を音声に変
換するスピーカー、31はダイヤルボタン等から構成さ
れる操作部、32は着信等を表示する表示部、33はア
ンテナ、34はマイク29からの音声信号を復調して送
信信号に変換する送信部で、送信部34で作製された送
信信号は、アンテナを通して外部に放出される。35は
アンテナで受信した受信信号を音声信号に変換する受信
部で、受信部35で作成された音声信号はスピーカ30
にて音声に変換される。36は送信部34,受信部3
5,操作部31,表示部32を制御する制御部である。
【0082】以下その動作の一例について説明する。先
ず、着信があった場合には、受信部35から制御部36
に着信信号を送出し、制御部36は、その着信信号に基
づいて、表示部32に所定のキャラクタ等を表示させ、
更に操作部31から着信を受ける旨のボタン等が押され
ると、信号が制御部36に送出されて、制御部36は、
着信モードに各部を設定する。即ちアンテナ33で受信
した信号は、受信部35で音声信号に変換され、音声信
号はスピーカー30から音声として出力されると共に、
マイク29から入力された音声は、音声信号に変換さ
れ、送信部34を介し、アンテナ33を通して外部に送
出される。
【0083】次に、発信する場合について説明する。ま
ず、発信する場合には、操作部31から発信する旨の信
号が、制御部36に入力される。続いて電話番号に相当
する信号が操作部31から制御部36に送られてくる
と、制御部36は送信部34を介して、電話番号に対応
する信号をアンテナ33から送出する。その送出信号に
よって、相手方との通信が確立されたら、その旨の信号
がアンテナ33を介し受信部35を通して制御部36に
送られると、制御部36は発信モードに各部を設定す
る。即ちアンテナ33で受信した信号は、受信部35で
音声信号に変換され、音声信号はスピーカー30から音
声として出力されると共に、マイク29から入力された
音声は、音声信号に変換され、送信部34を介し、アン
テナ33を通して外部に送出される。
【0084】上記で説明したインダクタンス素子(図1
〜図12、図15、図16に示すもの)は、送信部34
や受信部35の中のフィルタ回路やマッチング回路など
に用いられており、その数は、一つの無線端末装置に数
個〜40個程度用いられている。上述の様に、保護材1
4を電着膜で構成したことによって、インダクタンス素
子が非常に小型化することができるので、装置の小型化
を行うことができ、更には、インダクタンス素子の実装
性も向上し、装置の不良率も低減する。
【0085】以上の様に、インダクタンス素子、特にチ
ップ型のインダクタンス素子に電着膜から構成された保
護材を設けて、優れた特性を有することについては説明
したが、インダクタンス素子に限らず、コンデンサや抵
抗器等の電子部品にも応用でき、同様の効果を得ること
ができる。なお、特に電子部品の中でも、チップ部品で
はインダクタンス素子と同様に顕著な効果を得ることが
できる。
【0086】コンデンサの場合、誘電体材料で構成され
た基台の上に少なくとも一対の導電膜を離して設け、そ
の導電膜の少なくとも一部を電着膜で構成された保護材
で覆う構成とする。また、導電膜の少なくとも一部と、
導電膜間にむき出しになった基台を覆うように電着膜で
構成された保護材を設けても良い。
【0087】抵抗器の場合、絶縁材料で構成された基台
の上に炭素系等の抵抗膜を形成し、その抵抗膜上に電着
膜で構成された保護材を設ける構成とする。この抵抗器
の場合、図1に示すインダクタンス素子の導電膜の代わ
りに抵抗膜を設けた構成がよい。即ち、抵抗器おいて、
その抵抗値を調整するために、スパイラル状の溝を形成
し、その溝を覆うように保護材を設けることが好まし
い。
【0088】この様に電子部品(特にチップ部品)に関
しては、基台の上に抵抗膜か導電膜の少なくとも一方か
ら構成された形成膜を設け、その形成膜の上に電着膜で
構成された保護材を設けることによって、素子の小型化
に対応できる等の上述のインダクタンスと同じ様な効果
を得ることができる。
【0089】
【発明の効果】本発明は、基台と、前記基台の上に形成
された導電膜と、前記導電膜に設けられた溝と、前記溝
を覆うように設けられた保護材とを備えたインダクタン
ス素子であって、保護材を電着膜で構成することによっ
て、素子の小型化や、実装性の向上や生産性の向上を行
うことができる。
【0090】また、上記インダクタンス素子を搭載した
無線端末装置は、装置の小型化を行うことができ、装置
の不良率を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子を示す斜視図
【図2】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子を示す側面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子に用いられる導電膜を形成した基台の断面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子に用いられる基台を示す図
【図5】マンハッタン現象を示す側面図
【図6】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子に用いられる基台の斜視図
【図7】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子に用いられる基台の表面粗さと剥がれ発生率を示し
たグラフ
【図8】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子に用いられる基台の表面粗さに対する周波数とQ値
の関係を示すグラフ
【図9】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子に用いられる導電膜の膜圧と、Q値の関係を示すグ
ラフ
【図10】本発明の一実施の形態におけるインダクタン
ス素子に用いられる導電膜の表面粗さに対する周波数と
Q値の関係を示すグラフ
【図11】本発明の一実施の形態におけるインダクタン
ス素子の保護材を設けた部分の側面図
【図12】本発明の一実施の形態におけるインダクタン
ス素子の端子部の断面図
【図13】本発明の一実施の形態における無線端末装置
を示す斜視図
【図14】本発明の一実施の形態における無線端末装置
を示すブロック図
【図15】本発明の一実施の形態におけるインダクタン
ス素子を示す部分断面図
【図16】本発明の一実施の形態におけるインダクタン
ス素子に保護材を形成する状態を示す図
【図17】従来のインダクタンス素子を示す側面図
【符号の説明】
11 基台 11a 中央部 11b,11c 端部 11d,11e,11f 角部 12 導電膜 12z 角部 13 溝 14 保護材 14z 一部 15,16 端子部 30 スピーカー 31 操作部 32 表示部 33 アンテナ 34 送信部 35 受信部 36 制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上米良 光男 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基台と、前記基台の上に形成された導電膜
    と、前記導電膜に設けられた溝と、前記溝を覆うように
    設けられた保護材とを備えたインダクタンス素子であっ
    て、保護材を電着膜で構成したことを特徴とするインダ
    クタンス素子。
  2. 【請求項2】溝内において、保護材が導電膜と基台の少
    なくとも一部を覆う様に設けたことを特徴とする請求項
    1記載のインダクタンス素子。
  3. 【請求項3】導電膜の角部の保護材の厚みを他の部分よ
    りも厚くしたことを特徴とする請求項1,2いずれか1
    記載のインダクタンス素子。
  4. 【請求項4】粗面化された導電膜の表面に保護材を設け
    たことを特徴とする請求項1〜3いずれか1記載のイン
    ダクタンス素子。
  5. 【請求項5】導電膜の上に更に他の金属膜を設け、前記
    金属膜の上に保護材を設けたことを特徴とする請求項1
    〜3いずれか1記載のインダクタンス素子。
  6. 【請求項6】保護材に熱処理を施したことを特徴とする
    請求項1〜5いずれか1記載のインダクタンス素子。
  7. 【請求項7】保護材に絶縁性の粒子を保持させたことを
    特徴とする請求項1〜5いずれか1記載のインダクタン
    ス素子。
  8. 【請求項8】音声を音声信号に変換する音声信号変換手
    段と、電話番号等を入力する操作手段と、着信表示や電
    話番号等を表示する表示手段と、音声信号を復調して送
    信信号に変換する送信手段と、受信信号を音声信号に変
    換する受信手段と、前記送信信号及び前記受信信号を送
    受信するアンテナと、各部を制御する制御手段を備えた
    無線端末装置であって、受信手段及び送信手段を構成す
    るフィルタ回路やマッチング回路を構成するインダクタ
    ンス素子として、請求項1〜8いずれか1記載のインダ
    クタンス素子を用いたことを特徴とする無線端末装置。
  9. 【請求項9】基台上に導電膜を形成し、前記導電膜の一
    部を取り除き、その後に前記導電膜上に電着膜を形成す
    ることを特徴とするインダクタンス素子の製造方法。
  10. 【請求項10】導電膜を取り除く際に基台も露出させ、
    前記導電膜及び基台の少なくとも一部に電着膜を形成し
    たことを特徴とする請求項10記載のインダクタンス素
    子の製造方法。
  11. 【請求項11】導電膜を取り除く際にレーザを用いて、
    基台の一部も取り除いたことを特徴とする請求項10記
    載のインダクタンス素子。
  12. 【請求項12】基台と、前記基台上に形成され、導電性
    材料か抵抗材料の少なくとも一方で構成された形成膜
    と、前記形成膜の少なくとも一部を覆う保護材とを備
    え、前記保護材を電着膜で構成したことを特徴とする電
    子部品。
  13. 【請求項13】形成膜に基台の少なくとも一部が露出す
    る部分を設け、この露出する部分を覆うように保護材を
    設けたことを特徴とする請求項12記載の電子部品。
  14. 【請求項14】基台の中央部を両端部より段落ちさせ、
    その段落ちさせた部分に保護材を設けたことを特徴とす
    る請求項12,13いずれか1記載の電子部品。
  15. 【請求項15】形成膜に設けられた角部の保護材の厚み
    を他の部分よりも厚くしたことを特徴とする請求項12
    〜14いずれか1記載の電子部品。
  16. 【請求項16】粗面化された形成膜の表面に保護材を設
    けたことを特徴とする請求項12〜15いずれか1記載
    の電子部品。
  17. 【請求項17】保護材に熱処理を施したことを特徴とす
    る請求項12〜16いずれか1記載の電子部品。
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