JPH1137291A - 自動変速機のパーキング機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 部品点数，加工工数，組付工数，コストの削
減を図りながら、サポートアクチュエータの軸ズレの原
因となる回り止め溝の片摩耗を防止する自動変速機のパ
ーキング機構を提供すること。 【解決手段】 トランスミッションケース１ならびにリ
ヤエクステンション２に、サポートアクチュエータ７の
軸方向移動を規制するケース側端面１ｂならびにリヤエ
クステンション側端面２ａを形成し、トランスミッショ
ンケース１とサポートアクチュエータ７との間に、サポ
ートアクチュエータ７の回動を規制する回り止め溝１ｃ
と回り止め突起７ｂを設け、サポートアクチュエータ７
に、パーキングレンジより解除された時にパーキングギ
ヤ４との噛合から外れて解放力を生じるパーキングポー
ル５を受けるストッパ面７ｃ，７ｄを、回動軸Ｌを挟ん
で２ケ所に設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機のパー
キング機構の技術分野に属する。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動変速機のパーキング機構とし
ては、例えば、実開平６１−７８１３２号公報に記載の
ものが知られている。

【０００３】この従来機構は、図４に示すように、自動
変速機のマニュアルレバーに連動して軸方向に作動する
ロッドと、このロッドの先端部に装着されたカムと、こ
のカムが乗り上げる斜面を有するサポートアクチュエー
タと、ロッドの作動に伴うカムの軸方向移動により、こ
のカムの軸方向と交差する方向に移動して爪を出力軸に
設けられたパーキングギヤに噛合させるパーキングポー
ルとを備えた自動変速機のパーキング機構において、サ
ポートアクチュエータの軸方向移動をケース部材側端面
ならびにカバー部材側端面により規制すると共に、サポ
ートアクチュエータの回動を規制する手段として、ケー
ス部材側に回り止め溝を設け、サポートアクチュエータ
側に回り止め突起を設けたものが記載されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来の自動変速機のパーキング機構にあっては、パーキ
ングレンジより解除された時にパーキングギヤとの噛合
から外れて解放力を生じるパーキングポールを受けるス
トッパ面が、サポートアクチュエータに１ケ所のみ設け
られてるため、パーキングレンジ解除状態ではサポート
アクチュエータに対して矢印Ｃ方向にだけ回転証とする
力（リターンスプリングによる付勢力）が常に働き、回
り止め溝のＣ’面が片摩耗を起こし易くなる。

【０００５】すなわち、回り止め溝と回り止め突起には
組み付け性を確保する上で必ずガタが設定されるため、
サポートアクチュエータに対し一方向にのみ回転しよう
とする力が作用すると、回り止め溝のＣ’面にのみ回り
止め突起が接触することになり、走行中に誤ってＰレン
ジにセレクトした場合、パーキングポールが激しく往復
運動し、サポートのストッパ面に衝突する。それに連動
してサポートアクチュエータが回転方向に回転すると、
この接触部が次第に摩耗してくる。

【０００６】そして、この片摩耗が生じるとサポートア
クチュエータの軸がズレてしまい、パーキングポールと
パーキングギヤとの噛み合いが変わってしまう。

【０００７】本発明は、上述の従来の問題点に着目して
なされたもので、その課題とするところは、部品点数，
加工工数，組付工数，コストの削減を図りながら、サポ
ートアクチュエータの軸ズレの原因となる回り止め溝の
片摩耗を防止する自動変速機のパーキング機構を提供す
ることにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

（解決手段１）上記課題を解決するため、請求項１記載
の発明では、自動変速機の変速機構を収容するケース部
材ならびにカバー部材と、前記自動変速機のマニュアル
レバーに連動して軸方向に作動するロッドと、このロッ
ドの先端部に装着されたカムと、このカムが乗り上げる
斜面を有するサポートアクチュエータと、前記ロッドの
作動に伴うカムの軸方向移動により、このカムの軸方向
と交差する方向に移動して爪を出力軸に設けられたパー
キングギヤに噛合させるパーキングポールとを備えた自
動変速機のパーキング機構において、前記ケース部材な
らびにカバー部材に、サポートアクチュエータの軸方向
移動を規制するケース部材側端面ならびにカバー部材側
端面を形成し、前記ケース部材ならびにカバー部材の少
なくとも一方と、サポートアクチュエータとに、サポー
トアクチュエータの回動を規制する回り止め溝と回り止
め突起を設け、前記サポートアクチュエータに、パーキ
ングレンジより解除された時にパーキングギヤとの噛合
から外れて解放力を生じるパーキングポールを受けるス
トッパ面をサポートアクチュエータの回動軸を挟んで２
ケ所に設けたことを特徴とする。

【０００９】（解決手段２）上記課題を解決するため、
請求項２記載の発明では、請求項１記載の自動変速機の
パーキング機構において、前記サポートアクチュエータ
を中空半円筒状とし、その周方向の両端面を２ケ所のス
トッパ面とし、前記パーキングポールの爪とは反対側の
背面に、パーキングレンジ解除状態で２ケ所のストッパ
面に同時に面圧接するポール側ストッパ面を形成したこ
とを特徴とする。

【００１０】

【発明の実施の形態】発明の実施の形態を図面に基づい
て説明する。

【００１１】（実施の形態１）実施の形態１は、請求項
１，２記載の発明に対応する。

【００１２】図１は実施の形態１の自動変速機のパーキ
ング機構の要部を示す図、図２は実施の形態１のパーキ
ング機構が適用された自動変速機をリヤエクステンショ
ンを外して後方から視た図、図３は実施の形態１のパー
キング機構を示す図２のＡ−Ａ線断面図である。

【００１３】図２，３において、１はトランスミッショ
ンケース（ケース部材）、２はリヤエクステンション
（カバー部材）、３は出力軸、４はパーキングギヤ、５
はパーキングポール、６はロッド、７はサポートアクチ
ュエータである。

【００１４】前記トランスミッションケース１とリヤエ
クステンション２は、ボルトにより結合され、内部に遊
星歯車や締結要素からなる変速機構が収容され、変速機
構の出力軸３にはパーキングギヤ４が設けられている。
そして、このパーキングギヤ４に対応する位置にパーキ
ングポール５が配置される。すなわち、トランスミッシ
ョンケース１とリヤエクステンション２との連結部であ
って、トランスミッションケース１側にパーキング機構
がレイアウトされている。

【００１５】前記パーキングポール５は、一端部がピン
８によりトランスミッションケース１に回動可能に取り
付けられ、図２において右回動すると爪５ａが前記パー
キングギヤ４と噛み合い出力軸３の回転を規制する。な
お、このパーキングポール５は、スプリング９により噛
み合い解放方向に付勢されている。

【００１６】前記ロッド６は、自動変速機の図外のマニ
ュアルレバー（またはセレクトレバー）及び図３に示す
マニュアルプレート１０に連動して軸方向に作動し、こ
のロッド６の先端部に斜面１１ａを有するカム１１が装
着され、パーキングポール５とサポートアクチュエータ
７には、このカム１１が乗り上げる斜面５ｂ，７ａを有
する。すなわち、マニアルレバーにより他のレンジから
パーキングレンジへのセレクト操作により、ロッド６が
図３のＢ方向に軸方向移動すると、斜面接触後にカム１
１がサポートアクチュエータ７に乗り上げ、パーキング
ポール５を軸方向と交差する方向に移動させ、爪５ａを
出力軸３に設けられたパーキングギヤ４に噛み合わせる
（図２）。

【００１７】前記サポートアクチュエータ７は、トラン
スミッションケース１に形成されたアクチュエータ装着
溝１ａに設定され、図３に示すように、ケース側端面１
ｂ（ケース部材側端面）とエクステンション側端面２ａ
（カバー部材側端面）により軸方向移動が規制されてい
る。また、図２に示すように、トランスミッションケー
ス１に形成された回り止め溝１ｃとサポートアクチュエ
ータ７に形成された回り止め突起７ｂとを嵌合させるこ
とで、サポートアクチュエータ７の回動が規制されてい
る。

【００１８】さらに、前記サポートアクチュエータ７に
は、図１に示すように、パーキングレンジより解除され
た時にパーキングギヤ４との噛合から外れて解放力（ス
プリング９による付勢力等により力）を生じるパーキン
グポール５を受けるストッパ面７ｃ，７ｄが、回動軸Ｌ
を挟んで２ケ所に設けられている。

【００１９】このストッパ面７ｃ，７ｄは、サポートア
クチュエータ７を中空半円筒状とし、その周方向の両端
面を２ケ所のストッパ面としている。また、前記パーキ
ングポール５の爪５ａとは反対側の背面に、パーキング
レンジ解除状態で２ケ所のストッパ面７ｃ，７ｄに同時
に面圧接するポール側ストッパ面５ｃ，５ｄが形成され
ている。

【００２０】次に、作用を説明する。

【００２１】［サポートアクチュエータの取り付け］サ
ポートアクチュエータ７の取り付け手順について説明す
ると、まず、サポートアクチュエータ７の回り止め突起
７ｂを回り止め溝１ｃに嵌合しながら、サポートアクチ
ュエータ７をトランスミッションケース１に形成された
アクチュエータ装着溝１ａに装着する。

【００２２】その後、トランスミッションケース１に対
してリヤエクステンション２をボルト穴位置を合わせな
がら被せ、リヤエクステンション２をボルト締結により
トランスミッションケース１に取り付ける。

【００２３】この取付により、サポートアクチュエータ
７は、ケース側端面１ｂとエクステンション側端面２ａ
により軸方向移動が規制され、回り止め溝１ｃと回り止
め突起７ｂとの嵌合により回動が規制される。

【００２４】したがって、実開昭６２−１２１１５８号
公報に記載のパーキング機構に比べて、部品点数ならび
に組付工数を削減してコストダウンを図ることができ、
さらに、ケースにボルトを締結するタップを形成する加
工や、プレートに位置決め用の穴を形成する加工が不要
となって、加工工数が削減でき、これによってもコスト
ダウンを図ることができる。

【００２５】［サポートアクチュエータによるストッパ
作用］マニュアルレバーをパーキングレンジ位置から他
のレンジ位置へとセレクト操作した場合、パーキングポ
ール５は、パーキングギヤ４との噛合から外れて解放力
を生じながら図１の仮想線位置から実線位置まで回動
し、サポートアクチュエータ７に当たる。

【００２６】このパーキングポール５がサポートアクチ
ュエータ７に当たる時、サポートアクチュエータ７には
パーキングポール５を受けるストッパ面７ｃ，７ｄが回
動軸Ｌを挟んで２ケ所に設けられているため、この２ケ
所のストッパ面７ｃ，７ｄにパーキングポール５が当た
ることになる。この時、回り止め溝１ｃと回り止め突起
７ｂとの嵌合部にはガタがあるため、２ケ所のストッパ
面７ｃ，７ｄが傾いた状態にあったとしても、最終的に
はストッパ面７ｃ，７ｄの両方に当たって安定する。

【００２７】パーキングポール５の解放力をサポートア
クチュエータ７の２ケ所のストッパ面７ｃ，７ｄで受け
ることになるが、この２つの力による回転モーメント
は、作用方向が互いに異なり大きさがほぼ等しいことか
ら互いに相殺され、サポートアクチュエータ７の円周方
向の回転が軽減され、回り止め突起７ｂが回り止め溝１
ｃの片側のみと接触して片摩耗が生じるのが防止され
る。

【００２８】次に、効果を説明する。

【００２９】（１）トランスミッションケース１ならび
にリヤエクステンション２に、サポートアクチュエータ
７の軸方向移動を規制するケース側端面１ｂならびにリ
ヤエクステンション側端面２ａを形成し、トランスミッ
ションケース１とサポートアクチュエータ７との間に、
サポートアクチュエータ７の回動を規制する回り止め溝
１ｃと回り止め突起７ｂを設け、サポートアクチュエー
タ７に、パーキングレンジより解除された時にパーキン
グギヤ４との噛合から外れて解放力を生じるパーキング
ポール５を受けるストッパ面７ｃ，７ｄを、回動軸Ｌを
挟んで２ケ所に設けたため、部品点数，加工工数，組付
工数，コストの削減を図りながら、サポートアクチュエ
ータ７の軸ズレの原因となる回り止め溝１ｃの片摩耗を
防止する自動変速機のパーキング機構を提供することが
できる。

【００３０】（２）サポートアクチュエータ７を中空半
円筒状とし、その周方向の両端面を２ケ所のストッパ面
７ｃ，７ｄとし、パーキングポール５の爪５ａとは反対
側の背面に、パーキングレンジ解除状態で２ケ所のスト
ッパ面７ｃ，７ｄに同時に面圧接するポール側ストッパ
面５ｃ，５ｄを形成したため、パーキングポール５の解
放力をサポートアクチュエータ７で受ける時、２つのモ
ーメントスパンがほぼ等しくなり、且つ、力の作用点も
一定に保たれることで、高い安定性によりサポートアク
チュエータ７の回転を抑えることができる。

【００３１】（他の実施の形態）実施の形態１では、サ
ポートアクチュエータをトランスミッションケース側に
装着する例を示したが、サポートアクチュエータをカバ
ー部材側に装着する連としても、また、ケース部材とカ
バー部材の両方に跨がって装着する例としてもよい。

【００３２】実施の形態１では、サポートアクチュエー
タ側に回り止め突起を形成し、トランスミッションケー
ス側に回り止め溝を形成する例を示したが、逆に、サポ
ートアクチュエータ側に回り止め溝を形成し、トランス
ミッションケース側に回り止め突起を形成する例として
もよい。

【００３３】

【発明の効果】請求項１記載の発明にあっては、自動変
速機の変速機構を収容するケース部材ならびにカバー部
材と、自動変速機のマニュアルレバーに連動して軸方向
に作動するロッドと、このロッドの先端部に装着された
カムと、このカムが乗り上げる斜面を有するサポートア
クチュエータと、ロッドの作動に伴うカムの軸方向移動
により、このカムの軸方向と交差する方向に移動して爪
を出力軸に設けられたパーキングギヤに噛合させるパー
キングポールとを備えた自動変速機のパーキング機構に
おいて、ケース部材ならびにカバー部材に、サポートア
クチュエータの軸方向移動を規制するケース部材側端面
ならびにカバー部材側端面を形成し、ケース部材ならび
にカバー部材の少なくとも一方と、サポートアクチュエ
ータとに、サポートアクチュエータの回動を規制する回
り止め溝と回り止め突起を設け、サポートアクチュエー
タに、パーキングレンジより解除された時にパーキング
ギヤとの噛合から外れて解放力を生じるパーキングポー
ルを受けるストッパ面をサポートアクチュエータの回動
軸を挟んで２ケ所に設けたため、部品点数，加工工数，
組付工数，コストの削減を図りながら、サポートアクチ
ュエータの軸ズレの原因となる回り止め溝の片摩耗を防
止する自動変速機のパーキング機構を提供することがで
きるという効果が得られる。

【００３４】請求項２記載の発明にあっては、請求項１
記載の自動変速機のパーキング機構において、サポート
アクチュエータを中空半円筒状とし、その周方向の両端
面を２ケ所のストッパ面とし、前記パーキングポールの
爪とは反対側の背面に、パーキングレンジ解除状態で２
ケ所のストッパ面に同時に面圧接するポール側ストッパ
面を形成したため、上記効果に加え、パーキングポール
の解放力をサポートアクチュエータで受ける時、２つの
モーメントスパンがほぼ等しくなり、且つ、力の作用点
も一定に保たれることで、高い安定性によりサポートア
クチュエータの回転を抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施の形態１の自動変速機のパーキング
機構の要部を示す図である。

【図２】実施の形態１のパーキング機構が適用された自
動変速機をリヤエクステンションを外して後方から視た
図である。

【図３】実施の形態１のパーキング機構を示す図２のＡ
−Ａ線断面図である。

【図４】従来の自動変速機のパーキング機構を示す図で
ある。

【符号の説明】

１ トランスミッションケース（ケース部材） １ｂ ケース側端面（ケース部材側端面） １ｃ 回り止め溝 ２ リヤエクステンション（カバー部材） ２ａ リヤエクステンション側端面（カバー部材側端
面） ３ 出力軸 ４ パーキングギヤ ５ パーキングポール ５ａ 爪 ５ｃ，５ｄ ポール側ストッパ面 ６ ロッド ７ サポートアクチュエータ ７ｂ 回り止め突起 ７ｃ，７ｄ ストッパ面 １１ カム

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動変速機の変速機構を収容するケース
   部材ならびにカバー部材と、 前記自動変速機のマニュアルレバーに連動して軸方向に
   作動するロッドと、 このロッドの先端部に装着されたカムと、 このカムが乗り上げる斜面を有するサポートアクチュエ
   ータと、 前記ロッドの作動に伴うカムの軸方向移動により、この
   カムの軸方向と交差する方向に移動して爪を出力軸に設
   けられたパーキングギヤに噛合させるパーキングポール
   とを備えた自動変速機のパーキング機構において、 前記ケース部材ならびにカバー部材に、サポートアクチ
   ュエータの軸方向移動を規制するケース部材側端面なら
   びにカバー部材側端面を形成し、 前記ケース部材ならびにカバー部材の少なくとも一方
   と、サポートアクチュエータとに、サポートアクチュエ
   ータの回動を規制する回り止め溝と回り止め突起を設
   け、 前記サポートアクチュエータに、パーキングレンジより
   解除された時にパーキングギヤとの噛合から外れて解放
   力を生じるパーキングポールを受けるストッパ面をサポ
   ートアクチュエータの回動軸を挟んで２ケ所に設けたこ
   とを特徴とする自動変速機のパーキング機構。
2. 【請求項２】 請求項１記載の自動変速機のパーキング
   機構において、 前記サポートアクチュエータを中空半円筒状とし、その
   周方向の両端面を２ケ所のストッパ面とし、前記パーキ
   ングポールの爪とは反対側の背面に、パーキングレンジ
   解除状態で２ケ所のストッパ面に同時に面圧接するポー
   ル側ストッパ面を形成したことを特徴とする自動変速機
   のパーキング機構。