JPH1135634A - 不飽和性共重合体およびその製造方法ならびに変性共重合体および不飽和性共重合体組成物 - Google Patents

不飽和性共重合体およびその製造方法ならびに変性共重合体および不飽和性共重合体組成物

Info

Publication number
JPH1135634A
JPH1135634A JP19466697A JP19466697A JPH1135634A JP H1135634 A JPH1135634 A JP H1135634A JP 19466697 A JP19466697 A JP 19466697A JP 19466697 A JP19466697 A JP 19466697A JP H1135634 A JPH1135634 A JP H1135634A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copolymer
olefin
unsaturated
weight
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP19466697A
Other languages
English (en)
Inventor
Ryoji Mori
亮 二 森
Satoru Moriya
屋 悟 守
Seiji Ota
田 誠 治 太
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP19466697A priority Critical patent/JPH1135634A/ja
Publication of JPH1135634A publication Critical patent/JPH1135634A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、耐寒性、反応性に優れ、過酸化物架
橋性に優れたα−オレフィン・環状オレフィン・共役ジ
エン共重合体を提供すること。 【解決手段】 炭素原子数2〜12の直鎖状または分岐
鎖状α−オレフィンと、環状オレフィンと、共役ジエン
単量体とを共重合させて得られ、ガラス転移温度(T
g)が25℃以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、不飽和性共重合体および
その製造方法ならびに変性共重合体および共重合体系組
成物に関し、さらに詳しくは、耐熱性、耐寒性、架橋効
率などに優れ、かつ過酸化物架橋性に優れたた不飽和性
共重合体およびその製造方法ならびに該不飽和性共重合
体を変性してなる変性共重合体および該不飽和性共重合
体を含有する組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】α−オレフィン・環状オレフィン
共重合体は、耐スクラッチ性、キンク性などに優れてい
ることから、単味使用においても、また改質剤としても
注目を集めている。
【0003】しかし、環状オレフィンは、ポリオレフィ
ンであるため、他樹脂とブレンドする際、特に極性基含
有樹脂などとブレンドする際には、単にブレンドしただ
けでは相溶性が充分ではないため、変性して用いること
が多い。従来のα−オレフィン・環状オレフィン共重合
体は、過酸化物を用いた変性の際にゲル化を起こすこと
があり、また変性すると流動性が落ちるため加工性また
は物性などに向上の余地があった。
【0004】環状オレフィン系共重合体としては、エチ
レン・環状オレフィン・非共役ジエン共重合体が知られ
ているが、この共重合体も上記のような問題点があり、
改良の余地があった。
【0005】一方、エチレン・環状オレフィン共重合体
は、エラストマーとして用いることができる。しかしな
がら、この場合には、架橋、特に過酸化物架橋により、
共重合体が劣化したり、ゲルを生成したり、物性が低く
なるなどの問題があった。
【0006】このため、耐熱性、耐寒性などに優れると
共に、反応性、過酸化物架橋の効率に優れたエチレン・
環状オレフィン系共重合体が求められている。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、他の極性基含
有樹脂との相溶性に優れ、しかも耐熱性、耐寒性などに
優れ、しかも架橋効率および変性効率に優れたα−オレ
フィン・環状オレフィン・共役ジエン共重合体を提供す
ることを目的としている。
【0008】また本発明は、上記のような優れた諸特性
を有する不飽和性共重合体を、効率よく工業的に製造し
得るような方法を提供することを目的としている。さら
に本発明は上記不飽和性共重合体の変性物および上記不
飽和性共重合体を含む組成物を提供することを目的とし
ている。
【0009】
【発明の概要】本発明に係る不飽和性共重合体は、炭素
原子数2〜12の直鎖状または分岐鎖状α−オレフィン
と、環状オレフィンと、共役ジエン単量体とを共重合さ
せて得られるランダム共重合体であって、示差走査型熱
量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)が2
5℃以下であることを特徴としている。
【0010】本発明に係る不飽和性共重合体の好ましい
態様においては、上記不飽和性共重合体は、炭素原子数
2〜12の直鎖状または分岐鎖状α−オレフィンと、下
記一般式(i)または(ii)で表される環状オレフィン
と、
【0011】
【化5】
【0012】(式中、nは0または1であり、mは0ま
たは正の整数であり、qは0または1であり、R1 〜R
18ならびにRa およびRb は、互いに同一でも異なって
いてもよく、水素原子、ハロゲン原子またはハロゲンで
置換されていてもよい炭化水素基を示し、R15〜R18
互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
かつ該単環または多環は二重結合を有していてもよく、
またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデ
ン基を形成していてもよい。)
【0013】
【化6】
【0014】(式中、pおよびqは0または正の整数で
あり、mおよびnは0、1または2であり、R1 〜R19
は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハ
ロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい炭化水素
基またはアルコキシ基を示し、R9 またはR10が結合し
ている炭素原子と、R13が結合している炭素原子または
11が結合している炭素原子とは直接または炭素原子数
1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、ま
たn=m=0のときR15とR12またはR15とR19とは互
いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していて
もよい。) 下記一般式(I)で表される共役ジエン単量体とを共重
合させて得られるランダム共重合体であって、
【0015】
【化7】
【0016】(式中、R1 およびR2 は、互いに同一で
も異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜8の
アルキル基またはアリール基を示し、R1 およびR2
少なくとも一方は水素原子である。) (a)該共重合体中において上記一般式(I)で表され
る共役ジエン単量体から導かれた1,2付加体(3,4
付加体を含む)は共重合体中の側鎖に二重結合を形成し
ており、また1,4付加体は、共重合体中の主鎖に二重
結合を形成しており、上記1,2付加体に由来する側鎖
の二重結合と1,4付加体に由来する主鎖の二重結合と
の比(1,2付加体に由来する側鎖二重結合/1,4付
加体に由来する主鎖二重結合)が5/95〜99/1で
あり、(b)共重合体の主鎖中に5員環を有し、(c)
上記各付加体の二重結合と5員環との比(各付加体の合
計二重結合/5員環)が20/80〜90/10である
こと(d)環状オレフィンに由来する構成単位が0.1
〜60モル%の量で含まれており、(e)示差走査型熱
量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)が2
5℃以下であることが望ましい。
【0017】本発明の好ましい態様においては、上記不
飽和性共重合体中には、共役ジエン単量体由来の構成単
位すなわち1,2付加体、3,4付加体、1,4付加
体、5員環構造(シクロペンタン構造)、およびシクロ
プロパン環構造が合計0.01〜30モル%の量で含ま
れていることが好ましい。なお上記以外の構成単位は、
エチレンなどのα−オレフィン、環状オレフィンから導
かれたものである。
【0018】また、上記不飽和性共重合体中には、α−
オレフィン由来の構成単位は、10〜99.89モル%
の量で含まれ、環状オレフィン由来の構成単位は0.1
〜60モル%の量で含まれていることが望ましい。
【0019】本発明では、上記共役ジエン単量体が、1,
3-ブタジエンまたはイソプレンであることが好ましい。
本発明においては、上記α−オレフィンが、エチレン
単独であるか、またはエチレンと炭素原子数3〜12
のα−オレフィンとの組み合わせであり、の場合はエ
チレン/炭素原子数3〜12のα−オレフィン(モル
比)が、99/1〜40/60であることが好ましい。
【0020】本発明では、上記環状オレフィンが、ノル
ボルネンまたはテトラシクロドデセンであることが好ま
しい。本発明では、上記不飽和性共重合体の主鎖中に、
さらにシクロプロパン環を有することが好ましい。
【0021】本発明の好ましい態様においては、上記不
飽和性共重合体のヨウ素価が、1〜50g/100gで
あり、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]
が、0.01〜10dl/gの範囲にあることが望まし
い。また、上記不飽和性共重合体の示差走査型熱量計
(DSC)で測定した融点(Tm)のピークが110℃
以下であることが好ましい。
【0022】本発明に係る変性共重合体は、上記の不飽
和性共重合体が、不飽和カルボン酸またはその誘導体に
てグラフト変性されており、これら不飽和カルボン酸ま
たはその誘導体のグラフト量が0.01〜30重量%の
範囲にあることを特徴としている。
【0023】また本発明の他の態様に係る変性共重合体
は、上記の不飽和性共重合体が、芳香族ビニル化合物に
てグラフト変性されており、芳香族ビニル化合物のグラ
フト量が0.01〜30重量%の範囲にあることを特徴
としている。
【0024】本発明に係る不飽和性共重合体系エラスト
マー組成物(エラストマー組成物)は、(イ)上記の不
飽和性共重合体と、(ロ)架橋剤および/または充填材
とを含有することを特徴としている。
【0025】本発明においては、上記の不飽和性共重合
体を、炭素原子数2〜12の直鎖状または分岐鎖状α−
オレフィンと、上記一般式(i)または(ii)で表され
る環状オレフィンと、上記一般式(I)で表される少な
くとも1種の共役ジエン単量体とを触媒の存在下に共重
合させて製造するに際して、上記触媒として、(a)下
記一般式(II)または(III)で表される遷移金属錯体
と、(b)成分(a)中の遷移金属Mと反応しイオン性
の錯体を形成する化合物、(c)有機アルミニウム化合
物および(d)アルモキサンから選択される1種以上の
化合物と、からなる少なくとも1つの触媒系を用いるこ
とを特徴としている。
【0026】
【化8】
【0027】(式(II)および(III)中、MはTi、
Zr、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuを示し、Cp
1 およびCp2 はMとπ結合しているシクロペンタジエ
ニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの
誘導体基を示し、X1 およびX 2 は、アニオン性配位子
または中性ルイス塩基配位子を示し、YはN、O、Pま
たはSを含有する配位子であり、ZはC、O、B、S、
Ge、SiもしくはSn原子またはこれらの原子を含有
する基である。) 本発明に係る不飽和性共重合体は、耐熱性、耐寒性など
に優れ、しかも架橋効率および変性効率に優れ、効率よ
く工業的に製造できる。また、本発明に係る不飽和性共
重合体は、耐スクラッチ性およびキンク性に優れてい
る。
【0028】本発明に係る上記不飽和性共重合体の製造
方法によれば、上記のような優れた諸特性を有する共重
合体を、効率よく工業的に製造できる。
【0029】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る不飽和性共重
合体およびその製造方法ならびに変性共重合体および不
飽和性共重合体組成物について具体的に説明する。
【0030】不飽和性共重合体 本発明に係る不飽和性共重合体は、炭素原子数2〜12
の直鎖状または分岐鎖状α−オレフィン(以下単に「α
−オレフィン」ともいう。)と、環状オレフィンと、共
役ジエン単量体とを共重合させて得られるランダム共重
合体である。
【0031】このような不飽和性共重合体を調製する際
に用いられる直鎖状または分岐鎖状α−オレフィンとし
て具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテ
ン、2-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、
1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ド
デセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-
メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘセン、4,4-ジメチル
-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-
ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン等が挙げられる。これ
らのα−オレフィンは、1種または2種以上組み合わせ
て用いることができる。
【0032】特に上記α−オレフィンを1種単独で用い
る場合には、炭素原子数2〜5のものが好ましく、とく
にエチレンが好ましい。また上記α−オレフィンを2種
以上組み合わせて用いる場合は、エチレンと、他のα−
オレフィンとの組み合わせが好ましく、そのモル比(エ
チレン/炭素原子数3以上のα−オレフィン)は、99
/1〜40/60(合計100)であることが好まし
く、得られる不飽和性共重合体のガラス転移温度(T
g)を下げることができる点を考慮すると、さらには、
そのモル比が90/10〜60/40(合計100)で
あることが好ましく、また活性とTgの関係を考慮する
と、さらに該モル比が85/15〜70/30(合計1
00モル)がエラストマーと用いる場合にはより好まし
い。
【0033】環状オレフィンとして具体的には、下記一
般式(i)または(ii)で表される環状オレフィンが挙
げられる。
【0034】
【化9】
【0035】上記一般式(i)中、nは0または1であ
り、mは0または正の整数であり、qは0または1であ
る。なおqが1の場合には、Ra およびRb は、互いに
同一でも異なっていてもよく、下記の原子または炭化水
素基を示し、qが0の場合には、それぞれの結合手が結
合して5員環を形成する。
【0036】R1 〜R18ならびにRa およびRb は、互
いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン
原子または炭化水素基である。ここでハロゲン原子は、
フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であ
る。
【0037】また炭化水素基としては、互いに同一でも
異なっていてもよく、通常炭素原子数1〜20のアルキ
ル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基、芳香族
炭化水素基が挙げられる。より具体的には、アルキル基
としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロ
ピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基およびオクタデシル基が挙げられ、シク
ロアルキル基としては、シクロヘキシル基が挙げられ、
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基な
どが挙げられる。
【0038】これらの炭化水素基は、ハロゲン原子で置
換されていてもよい。さらに上記一般式(i)におい
て、R15〜R18がそれぞれ結合して(互いに共同して)
単環または多環を形成していてもよく、しかもこのよう
にして形成された単環または多環は二重結合を有してい
てもよい。ここで形成される単環または多環の具体例を
下記に示す。
【0039】
【化10】
【0040】なお上記例示において、1または2の番号
が付された炭素原子は、上記一般式(i)においてそれ
ぞれR15(R16)またはR17(R18)が結合している炭
素原子を示している。
【0041】またR15とR16とで、またはR17とR18
でアルキリデン基を形成していてもよい。このようなア
ルキリデン基は、通常は炭素原子数2〜20のアルキリ
デン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例
としては、エチリデン基、プロピリデン基およびイソプ
ロピリデン基を挙げることができる。
【0042】
【化11】
【0043】上記一般式(ii)中、pおよびqは0また
は正の整数であり、mおよびnは0、1または2であ
る。またR1 〜R19は、互いに同一でも異なっていても
よく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアル
コキシ基である。
【0044】ハロゲン原子は、上記一般式(i)におけ
るハロゲン原子と同じ意味である。また炭化水素基とし
ては、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数
1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン
化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基
または芳香族炭化水素基が挙げられる。より具体的に
は、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチ
ル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基などが挙
げられ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基
などが挙げられ、芳香族炭化水素基としては、アリール
基およびアラルキル基、具体的には、フェニル基、トリ
ル基、ナフチル基、ベンジル基、フェニルエチル基など
が挙げられる。
【0045】アルコキシ基としては、メトキシ基、エト
キシ基、プロポキシ基などが挙げられる。これらの炭化
水素基およびアルコキシ基は、フッ素原子、塩素原子、
臭素原子またはヨウ素原子で置換されていてもよい。
【0046】ここで、R9 およびR10が結合している炭
素原子と、R13が結合している炭素原子またはR11が結
合している炭素原子とは、直接または炭素原子数1〜3
のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわち
上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合してい
る場合には、R9 およびR13で示される基が、またはR
10およびR11で示される基が互いに共同して、メチレン
基(-CH2-) 、エチレン基(-CH2CH2-)またはプロピレン基
(-CH2CH2CH2-) のうちのいずれかのアルキレン基を形成
している。
【0047】さらに、n=m=0のとき、R15とR12
たはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳
香族環を形成していてもよい。この場合の単環または多
環の芳香族環として、たとえば下記のようなn=m=0
のときR15とR12がさらに芳香族環を形成している基が
挙げられる。
【0048】
【化12】
【0049】ここでqは上記一般式(ii)におけるqと
同じ意味である。上記のような一般式(i)または(i
i)で示される環状オレフィンを、より具体的に下記に
例示する。
【0050】次式で示されるビシクロ[2.2.1]-2-ヘプ
テン(=ノルボルネン)
【0051】
【化13】
【0052】(上記式中、1〜7の数字は炭素の位置番
号を示す。)およびこのビシクロ[2.2.1 ]-2-ヘプテ
ンに炭化水素基が置換した誘導体。この炭化水素基とし
ては、たとえば5-メチル、5,6-ジメチル、1-メチル、5-
エチル、5-n-ブチル、5-イソブチル、7-メチル、5-フェ
ニル、5-メチル-5-フェニル、5-ベンジル、5-トリル、5
-(エチルフェニル) 、5-(イソプロピルフェニル) 、5
-(ビフェニリル)、5-(β-ナフチル)、5-(α-ナフ
チル) 、5-(アントリル) 、5,6-ジフェニルなどが挙げ
られる。
【0053】さらに他の誘導体として、シクロペンタジ
エン-アセナフチレン付加物、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テ
トラヒドロフルオレン、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-
ヘキサヒドロアントラセンなどのビシクロ[2.2.1]-2-
ヘプテン誘導体;トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセ
ン、2-メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン、5-
メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセンなどのトリ
シクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体;トリシクロ
[4.4.0.12,5]-3-ウンデセン、10-メチルトリシクロ
[4.4.0.12,5]-3-ウンデセンなどのトリシクロ[4.4.
0.12,5]-3-ウンデセン誘導体などが挙げられる。
【0054】また、次式で示されるテトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]-3-ドデセン
【0055】
【化14】
【0056】(式中、1〜12の数字は炭素の位置番号
を示す。)およびこれに炭化水素基が置換した誘導体。
この炭化水素基としては、たとえば8-メチル、8-エチ
ル、8-プロピル、8-ブチル、8-イソブチル、8-ヘキシ
ル、8-シクロヘキシル、8-ステアリル、5,10-ジメチ
ル、2,10-ジメチル、8,9-ジメチル、8-エチル-9-メチ
ル、11,12-ジメチル、2,7,9-トリメチル、2,7-ジメチル
-9-エチル、9-イソブチル-2,7-ジメチル、9,11,12-トリ
メチル、9-エチル-11,12-ジメチル、9-イソブチル-11,1
2-ジメチル、5,8,9,10-テトラメチル、8-エチリデン、8
-エチリデン-9-メチル、8-エチリデン-9-エチル、8-エ
チリデン-9-イソプロピル、8-エチリデン-9-ブチル、8-
n-プロピリデン、8-n-プロピリデン-9-メチル、8-n-プ
ロピリデン-9-エチル、8-n-プロピリデン-9-イソプロピ
ル、8-n-プロピリデン-9-ブチル、8-イソプロピリデ
ン、8-イソプロピリデン-9-メチル、8-イソプロピリデ
ン-9-エチル、8-イソプロピリデン-9-イソプロピル、8-
イソプロピリデン-9-ブチル、8-クロロ、8-ブロモ、8-
フルオロ、8,9-ジクロロ、8-フェニル、8-メチル-8-フ
ェニル、8-ベンジル、8-トリル、8-(エチルフェニ
ル)、8-(イソプロピルフェニル)、8,9-ジフェニル、
8-(ビフェニリル)、8-(β-ナフチル)、8-(α-ナフ
チル) 、8-(アントリル)、5,6-ジフェニルなどが挙げ
られる。
【0057】さらに他の誘導体として、(シクロペンタ
ジエン-アセナフチレン付加物)とシクロペンタジエン
との付加物;ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-
4-ペンタデセンおよびその誘導体;ペンタシクロ[7.4.
0.12,5.19,12.08,13]-3-ペンタデセンおよびその誘導
体;ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4,10-ペ
ンタデカジエンなどのペンタシクロペンタデカジエン化
合物;ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ヘ
キサデセンおよびその誘導体;ペンタシクロ[6.6.1.1
3,6.02,7.09,14 ]-4-ヘキサデセンおよびその誘導体;
ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]-4-ヘ
プタデセンおよびその誘導体;ヘプタシクロ[8.7.0.1
2,9.14,7.111,17.03,8.012,16]-5-エイコセンおよびそ
の誘導体;ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.0
3,8.012,17]-5-ヘンエイコセンおよびその誘導体;オ
クタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.0
12,17 ]-5-ドコセンおよびその誘導体;ノナシクロ[1
0.9.1.14,7.113,20.115,18.02,10.03,8.012,21.
014,19]-5-ペンタコセンおよびその誘導体;ノナシク
ロ[10.10.1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.0
15,20]-6-ヘキサコセンおよびその誘導体などが挙げら
れる。
【0058】なお一般式(i)または(ii)で示される
環状オレフィンの具体例を上記に示したが、これら化合
物のより具体的な構造例としては、特願平5−1964
75号当初明細書の段落番号[0032]ないし[00
54]に示された環状オレフィンの構造例を挙げること
ができる。
【0059】本発明の不飽和性共重合体は、上記環状オ
レフィンから導かれる単位を2種以上含有していてもよ
い。上記一般式(i)または(ii)で示される環状オレ
フィンは、シクロペンタジエンと対応する構造を有する
オレフィン類とを、ディールス・アルダー反応させるこ
とによって製造することができる。
【0060】本発明の不飽和性共重合体において、上記
一般式(i)で示される環状オレフィンの少なくとも一
部は、下記一般式(iii)で示される繰り返し単位を構
成していると考えられ、上記一般式(ii)で示される環
状オレフィンの少なくとも一部は、下記一般式(iv)で
示される繰り返し単位を構成していると考えられる。
【0061】
【化15】
【0062】上記一般式(iii)において、n、m、
q、R1 〜R18ならびにRa 、Rb は上記一般式(i)
と同じ意味である。
【0063】
【化16】
【0064】前記一般式(iv)において、n、m、p、
qおよびR1 〜R19は上記一般式(ii)と同じ意味であ
る。共役ジエン単量体としては、下記一般式(I)で表
されるものが挙げられる。
【0065】
【化17】
【0066】(式中、R1 およびR2 は、互いに同一で
も異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜8の
アルキル基またはアリール基を示し、R1 およびR2
少なくも一方は水素原子である。) このような共役ジエン単量体(I)としては、具体的に
は、例えば、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-
ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、
1-フェニル-1,3-ブタジエン、1-フェニル-2,4-ペンタジ
エン、イソプレン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2-プロ
ピル-1,3-ブタジエン、2-ブチル-1,3-ブタジエン、2-ペ
ンチル-1,3-ブタジエン、2-ヘキシル-1,3-ブタジエン、
2-ヘプチル-1,3-ブタジエン、2-オクタン-1,3-ブタジエ
ン、2-フェニル-1,3-ブタジエン等が挙げられる。これ
らのうちでは、1,3-ブタジエンおよびイソプレンが共重
合性に優れる点で特に好ましい。共役ジエン単量体は、
単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができ
る。
【0067】本発明に係る不飽和性共重合体(α−オレ
フィン・環状オレフィン・共役ジエン共重合体)は、原
料のα−オレフィン由来の構成単位;環状オレフィン由
来の構成単位;共役ジエン由来の1,2付加体(3,4
付加体を含む)、1,4付加体の各構成単位;主鎖中に
形成された5員環(シクロペンタン環)の各構成単位と
を有している。
【0068】このような不飽和性共重合体は、上記の構
成に加えて、シクロプロパン構成単位を有していてもよ
い。なお、本明細書中では、1,2付加体と3,4付加
体を併せて、単に1,2付加体とも言う。 (a)本発明の不飽和性共重合体中においては、上記共
役ジエン単量体(I)から導かれた1,2付加体(3,
4付加体を含む)は、不飽和性共重合体中の側鎖に二重
結合を形成しており、1,4付加体は、不飽和性共重合
体中の主鎖にシスまたはトランスの二重結合を形成して
いる。
【0069】本発明の不飽和性共重合体においては、上
記1,2付加体(3,4付加体を含む)由来の側鎖の二
重結合と1,4付加体由来の主鎖の二重結合とは、その
比(1,2付加体(3,4付加体を含む)由来の側鎖の
二重結合/1,4付加体由来の主鎖の二重結合)が、5
/95〜99/1(モル比)、好ましくは10/90〜
99/1の範囲にあること好ましく。特に、R1 が水素
原子であり、R2 が水素原子またはアルキル基である場
合(例えば、ブタジエン)には、上記比が12/88〜
90/10の範囲にあることが好ましく、R1 がアルキ
ル基であり、R 2 が水素原子である場合(例えば、イソ
プレン)には、上記比が20/80〜90/10の範囲
にあることが好まし。このような量比で不飽和性共重合
体中に上記二重結合が存在していると、不飽和性共重合
体の耐熱性、架橋効率、耐寒性、変性効率が向上するた
め望ましい。 (b)本発明に係る該不飽和性共重合体の主鎖中には、
該不飽和性共重合体主鎖中の隣接する少なくとも2個の
炭素原子を介して形成された5員環(シクロペンタン
環)が存在している。 (c)該不飽和性共重合体においては、上記各付加体の
二重結合と5員環とは、その比(付加体の合計二重結合
/5員環)が、20/80〜90/10(モル比)、さ
らには、得られる不飽和性共重合体のガラス転移温度
(Tg)とヨウ素価のバランスを考慮すると30/70
〜80/20(モル比)となるような量で存在している
ことが望ましい。
【0070】本発明に係る該不飽和性共重合体中に存在
する5員環には、シスとトランスの二種がある。なお、
この5員環生成のメカニズムは明らかではないが、α−
オレフィンのエチレンと、共役ジエン単量体の1,3-ブタ
ジエンと、環状オレフィンのノルボルネンとの共重合体
を例に挙げて説明すると、これらが反応して形成される
オリゴマー鎖またはプレポリマー鎖(p)に、例えば共
役ジエンの1,3-ブタジエンが1,2付加または3,4付
加した後、エチレンなどが付加しさらに分子内環化によ
りこの5員環が生成するのであろうと考えられる。
【0071】シクロプロパン環(3員環)は、例えば、
ブタジエンに代表される共役ジエンがオリゴマー鎖また
はプレポリマー鎖に1,2付加した後分子内環化により
生成すると推定される。前記5員環や、このシクロプロ
パン環は、不飽和性共重合体の相溶性向上に寄与する。
【0072】このシクロプロパン環と5員環との生成モ
ル比(シクロプロパン環/5員環)は、0.1/99.
9〜50/50であることが好ましく、さらには0.1
/99.9〜30/70であることがより好ましい。
【0073】より具体的には、エチレン・ノルボルネン
・1,3-ブタジエン共重合体の場合には、ヘキサクロロブ
タジエン溶剤、110℃、100MHzの条件下で日本
電子社製NMRで測定することによって、1,4付加
体、5員環構造は、Makromol.Chem. 192, 2591-2601(19
91)に記載されたケミカルシフトより同定した。
【0074】また1,2付加体(3,4付加体を含む)
の同定および定量は、 1H−NMR、13C−NMRおよ
1Hと13Cの2次元NMRにより行うことができる。
【0075】
【化18】
【0076】各、ケミカルシフトを下記表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】さらに下記のシクロプロパン環も、上記と
同様に13C−NMR、1H−NMRさらにシクロプロパ
ン環に特有のC−Hのカップリング定数により、同定お
よび定量した。
【0079】
【化19】
【0080】各、ケミカルシフトを下記表2に示す。
【0081】
【表2】
【0082】また環状オレフィンの構造は13C−NMR
13Cと13Cの2次元NMRにより同定することができ
る。
【0083】
【化20】
【0084】各、ケミカルシフトを下記表3に示す。
【0085】
【表3】
【0086】なお、各成分の比率および共役ジエンの構
造の量比は13C−NMRおよび/または 1H−NMRの
各ピークの面積比より求めた。本発明においては、上記
不飽和性共重合体中には、共役ジエン単量体由来の構成
単位すなわち1,2付加体(3,4付加体を含む)、
1,4付加体、5員環(シクロペンタン構造)、および
シクロプロパン環(3員環)が合計0.01〜30モル
%、好ましくは0.1〜15モル%の量で含まれている
ことが好ましい。構成単位の残部は、エチレンなどのα
−オレフィン、およびノルボルネンなどの環状オレフィ
ンから導かれるものである。
【0087】本発明の不飽和性共重合体のヨウ素価は、
通常1〜50、好ましくは3〜50、より好ましくは5
〜40の範囲にあることが望ましい。不飽和性共重合体
のヨウ素価が前記範囲にあると、該不飽和性共重合体を
架橋してゴムなどに利用する場合に、該不飽和性共重合
体の架橋速度が速く、得られる架橋物は低温特性に優れ
る。
【0088】本発明の不飽和性共重合体は、135℃デ
カリン中で測定した極限粘度[η]が、通常0.01〜
10.0dl/gであり、ワックス、ワックス添加剤、
離型剤、潤滑剤、オイル改質剤等に使用する場合には、
その極限粘度[η]が0.01〜1.0dl/gである
ことが好ましく、これら用途以外では1.0〜7.0d
l/g、より好ましくは1.0〜5.0dl/gの範囲
にあることが望ましい。該不飽和性共重合体の極限粘度
[η]が、前記範囲内にあると、耐候性、耐オゾン性、
耐熱老化性、低温特性、耐動的疲労性などの特性に優れ
た不飽和性共重合体となる。
【0089】本発明の不飽和性共重合体は、単一のガラ
ス転移温度を有し、かつ示差走査熱量計(DSC)によ
って測定したガラス転移温度(Tg)が、通常25℃以
下、好ましくは10℃以下、さらに好ましくは0℃以下
の範囲にあることが望ましい。該不飽和性共重合体のガ
ラス転移温度(Tg)が前記範囲内にあると、耐寒性、
低温特性に優れる。
【0090】さらに付言すると、不飽和性共重合体中の
環構造量が増えるとガラス転移温度は上昇する傾向があ
り、シス1,4付加体、1,2付加体(または3,4付
加体)、α−オレフィン単位等の各単位の量が増えると
ガラス転移温度は降下する傾向がある。従って、ガラス
転移温度の範囲を限定することで実質上不飽和性共重合
体中の各構成成分比を限定したことになる。
【0091】また、本発明の不飽和性共重合体は、示差
走査型熱量計(DSC)で測定した融点(Tm)のピー
クが110℃以下、好ましくは80℃以下、より好まし
くは40℃(融点がない場合を含む)以下であることが
望ましい。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)により測定したMw/Mnは3以下であるこ
とが好ましい。
【0092】本発明では、2種以上のα−オレフィンを
用いる場合にはそれらのα−オレフィンの量比(構成
比)、不飽和性共重合体のヨウ素価、極限粘度[η]、
およびガラス転移温度(Tg)のうち、少なくとも1つ
が前記範囲内にあることが好ましく、2つ以上が前記範
囲内にあることがより好ましく、特にα−オレフィンの
構成比、ヨウ素価、極限粘度、およびガラス転移温度の
すべてが前記範囲内にあることが好ましい。
【0093】本発明の不飽和性共重合体では、環状オレ
フィンから導かれる構成単位は、0.1〜60モル%、
好ましくは0.1〜40モル%、さらに好ましくは0.
5〜30モル%の量で含まれている。環状オレフィンか
ら導かれる構成単位が上記範囲にあると、表面硬度、耐
摩耗性、防振特性に優れ、他の樹脂、充填剤などとの相
溶性に優れる。またエチレンに代表されるα−オレフィ
ンから導かれる構成単位は10〜99.89モル%、好
ましくは45〜99.8モル%、さらに好ましくは50
〜99.6モル%の量で含まれている。
【0094】不飽和性共重合体の製造 本発明に係る不飽和性共重合体は、上記炭素原子数2〜
12の直鎖状または分岐鎖状α−オレフィンと、上記一
般式(i)または(ii)で表される環状オレフィンと、
上記一般式(I)で表される共役ジエン単量体とを下記
に示すメタロセン系触媒の存在下に共重合させて得られ
る。
【0095】このようなメタロセン系触媒としては、
(a)下記一般式(II)または一般式(III)で表され
る遷移金属錯体(以下「メタロセン化合物」ともい
う。)と、
【0096】
【化21】
【0097】(式(II)および(III)中、MはTi、
Zr、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuを示し、Cp
1 およびCp2 はMとπ結合しているシクロペンタジエ
ニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの
誘導体基を示し、X1 およびX 2 は、アニオン性配位子
または中性ルイス塩基配位子を示し、YはN、O、Pま
たはSを含有する配位子を示し、ZはC、O、B、S、
Ge、SiもしくはSn原子またはこれらの原子を含有
する基を示す。)(b)成分(a)中の遷移金属Mと反
応し、イオン性の錯体を形成する化合物、(c)有機ア
ルミニウム化合物および(d)アルモキサンから選択さ
れる1種以上の化合物と、からなる少なくとも1つの触
媒系が用いられる。
【0098】(a)遷移金属錯体 まず本発明で用いられる下記一般式(II)で表される遷
移金属錯体について説明する。
【0099】
【化22】
【0100】一般式(II)中、Mは周期率表第4族また
はランタニド系列の遷移金属を示し、具体的には、T
i、Zr、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuであり、
好ましくはTi、ZrまたはHfである。
【0101】Cp1 はMとπ結合しているシクロペンタ
ジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれ
らの誘導体基を示す。X1 およびX2 は、アニオン性配
位子または中性ルイス塩基配位子を示す。
【0102】Yは窒素原子、酸素原子、リン原子または
硫黄原子を含有する配位子を示す。Zは炭素、酸素、イ
オウ、ホウ素または周期率表第14族の元素(たとえば
ケイ素、ゲルマニウムまたはスズ)を示し、好ましくは
炭素、酸素またはケイ素である。また、Zは置換基を有
していてもよく、ZとYとで縮合環を形成してもよい。
【0103】さらに詳説すると、Cp1 は遷移金属に配
位する配位子を示し、具体的にはシクロペンタジエニル
基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの誘導
体基などのシクロペンタジエニル骨格を有する配位子で
あり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子
は、アルキル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリ
ル基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0104】Zは、C、O、B、S、Ge、Siおよび
Sn原子から選ばれる原子であり、Zはアルキル基、ア
ルコキシ基などの置換基があってもよく、Zの置換基は
互いに結合して環を形成していてもよい。
【0105】X1 およびX2 は、互いに同一でも異なっ
ていてもよく、アニオン性配位子または中性ルイス塩基
配位子を示し、具体的には水素原子もしくはハロゲン原
子であるか、または20個以下の炭素原子、ケイ素原子
もしくはゲルマニウム原子を含有する炭化水素基、シリ
ル基もしくはゲルミル基である。
【0106】このような一般式(II)で示される化合物
としては、具体的に、(ジメチル(t-ブチルアミド)
(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シリレ
ン)チタンジクロリド、((t-ブチルアミド)(テトラ
メチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイ
ル)チタンジクロリド、(ジメチル(フェニルアミド)
(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シリレ
ン)チタンジクロリド、(ジメチル(t-ブチルアミド)
(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シリレ
ン)チタンジメチル、(ジメチル(4-メチルフェニルア
ミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シ
リレン)チタンジクロリド、(ジメチル(t-ブチルアミ
ド)(η5-シクロペンタジエニル)シリレン)チタンジ
クロリド、(テトラメチル(t-ブチルアミド)(テトラ
メチル-η5-シクロペンタジエニル)ジシリレン)チタ
ンジクロリドなどが挙げられる。
【0107】本発明では、下記式(III)で示される遷
移金属化合物を用いることもできる。
【0108】
【化23】
【0109】(式中、MはTi、Zr、Hf、Rn、N
d、SmまたはRuを示し、Cp1 およびCp2 はMと
π結合しているシクロペンタジエニル基、インデニル
基、フルオレニル基またはそれらの誘導体基を示し、X
1 およびX2 は、アニオン性配位子または中性ルイス塩
基配位子を示し、ZはC、O、B、S、Ge、Siもし
くはSn原子またはこれらの原子を含有する基を示
す。) 一般式(III)中、結合基Zは、C、O、B、S、G
e、SiおよびSnから選ばれる1個の原子であること
が好ましく、この原子はアルキル基、アルコキシ基など
の置換基を有していてもよく、Zの置換基は、互いに結
合して環を形成していてもよい。
【0110】Cp1 、Cp2 は、互いに同一でも異なっ
ていてもよく、遷移金属に配位する配位子であって、シ
クロペンタジエニル基、インデニル基、4,5,6,7-テトラ
ヒドロインデニル基、フルオレニル基などのシクロペン
タジエニル骨格を有する配位子であり、このシクロペン
タジエニル骨格を有する配位子は、アルキル基、シクロ
アルキル基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子など
の置換基を有していてもよい。
【0111】X1 およびX2 は、互いに同一でも異なっ
ていてもよく、アニオン性配位子または中性ルイス塩基
配位子であり、具体的には、炭素原子数が1〜12の炭
化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸
含有基(−SO3a 、但し、Ra はアルキル基、ハロ
ゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基、ハロゲ
ン原子で置換されたアリール基またはアルキル基で置換
されたアリール基である。)、ハロゲン原子、水素原子
などが挙げられる。
【0112】以下に、一般式(III)で表される化合物
のうちMがジルコニウムである遷移金属化合物を例示す
る。シクロヘキシリデン-ビス(インデニル)ジメチル
ジルコニウム、シクロヘキシリデン-ビス(インデニ
ル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シク
ロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロ
リド、イソプロピリデン-ビス(インデニル)ジルコニ
ウムジクロリド、ジフェニルシリレン-ビス(インデニ
ル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレン
-ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジ
メチルシリレン-ビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコ
ニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(4,7-ジ
メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-
ジメチルシリレン-ビス(2,4,7-トリメチル-1-インデニ
ル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス(2,4,6-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジ
クロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(4-フェニル-1-
インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシ
リレン-ビス(2-メチル-4-フェニル-1-インデニル)ジ
ルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2
-メチル-4-(α-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウ
ムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-
4-(β-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロ
リド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(1-ア
ントリル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドな
ど。
【0113】また、上記のような化合物においてジルコ
ニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き
換えたメタロセン化合物を例示することもできる。上記
のようなメタロセン化合物は、単独でまたは2種以上組
合わせて用いることができる。
【0114】また上記のようなメタロセン化合物は、粒
子状担体に担持させて用いることもできる。このような
粒子状担体としては、SiO2、Al23、B23、M
gO、ZrO2、CaO、TiO2、ZnO、SnO2
BaO、ThOなどの無機担体、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、
スチレン-ジビニルベンゼン共重合体などの有機担体を
用いることができる。これらの粒子状担体は、単独でま
たは2種以上組合わせて用いることができる。
【0115】次に、メタロセン系触媒を形成する(b)
成分(a)中の遷移金属Mと反応し、イオン性の錯体を
形成する化合物(イオン化イオン性化合物)、(c)有
機アルミニウム化合物、および(d)アルモキサン(有
機アルミニウムオキシ化合物)について説明する。
【0116】(b)イオン化イオン性化合物 イオン化イオン性化合物は、遷移金属錯体成分(a)中
の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成する化合
物であり、このようなイオン化イオン性化合物として
は、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカ
ルボラン化合物を例示することができる。
【0117】ルイス酸としては、BR3 (式中、Rはフ
ッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換
基を有していてもよいフェニル基またはフッ素原子を示
す。)で表される化合物が挙げられ、たとえばトリフル
オロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロ
フェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)
ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-
トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス
(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0118】イオン性化合物としては、トリアルキル置
換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジ
アルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム
塩などを挙げることができる。具体的に、トリアルキル
置換アンモニウム塩としては、たとえばトリエチルアン
モニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアン
モニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)
アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられ
る。ジアルキルアンモニウム塩としては、たとえばジ
(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフ
ェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ
(フェニル)ホウ素などが挙げられる。さらにイオン性
化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス
(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルア
ニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ
ート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレートなどを挙げることもできる。
【0119】ボラン化合物としては、デカボラン(1
4)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレ
ート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレ
ート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ド
デカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)
などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0120】カルボラン化合物としては、4-カルバノナ
ボラン(14)、1,3-ジカルバノナボラン(13)、ビ
ス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハ
イドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩
(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げら
れる。
【0121】上記のようなイオン化イオン性化合物は、
単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。(c)有機アルミニウム化合物 有機アルミニウム化合物としては、分子内に少なくとも
1個のAl−炭素結合を有する化合物が利用できる。こ
のような化合物としては、たとえば下記一般式で表され
る有機アルミニウム化合物が挙げられる。
【0122】(R1 )m Al(O(R2 ))n p q (式中、R1 およびR2 は、互いに同一でも異なってい
てもよく、炭素原子数が通常1〜15、好ましくは1〜
4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは
0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0
≦q<3を満たす数であって、しかも、m+n+p+q
=3である。)(d)有機アルミニウムオキシ化合物(アルモキサン) (d)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のア
ルミノキサンであってもよく、また特開平2−7868
7号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機
アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0123】従来公知のアルミノキサン(アルモキサ
ン)は、具体的には、下記一般式で表される。
【0124】
【化24】
【0125】式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基などの炭化水素基を示し、好ましくはメチ
ル基、エチル基、特に好ましくはメチル基である。mは
2以上の整数であり、好ましくは5〜40の整数であ
る。
【0126】ここで、アルミノキサンは式(OAl(R
1 ))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位およ
び式(OAl(R2 ))で表されるアルキルオキシアル
ミニウム単位(ここで、R1 およびR2 はRと同様の炭
化水素基であり、R1 およびR2 は相異なる基を示
す。)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位か
ら形成されていてもよい。
【0127】なお有機アルミニウムオキシ化合物は、少
量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有し
ていてもよい。上記のような有機アルミニウムオキシ化
合物は、単独でまたは2種以上組合わせて用いることが
できる。
【0128】上記(b)イオン化イオン性化合物および
/または(d)有機アルミニウムオキシ化合物は、上述
した粒子状担体に担持させて用いることもできる。本発
明では、上記のようなメタロセン触媒の存在下に(i)
α−オレフィン、(ii)環状オレフィン、(iii)共役
ジエンを通常液相で共重合させる。この際、一般に炭化
水素溶媒が用いられるが、α−オレフィンを溶媒として
用いてもよい。共重合はバッチ法または連続法のいずれ
の方法でも行うことができる。
【0129】メタロセン系触媒を用い、共重合をバッチ
法で実施する場合には、重合系内のメタロセン化合物の
濃度は、重合容積1リットル当り、通常0.00005
〜1ミリモル、好ましくは0.0001〜0.5ミリモ
ルの量で用いられる。
【0130】有機アルミニウムオキシ化合物は、メタロ
セン化合物中の遷移金属原子(M)に対するアルミニウ
ム原子(Al)のモル比(Al/M)で、1〜1000
0、好ましくは10〜5000となるような量で用いら
れる。
【0131】イオン化イオン性化合物は、メタロセン化
合物に対するイオン化イオン性化合物のモル比(イオン
化イオン性化合物/メタロセン化合物)で、0.5〜2
0、好ましくは1〜10となるような量で用いられる。
【0132】また有機アルミニウム化合物が用いられる
場合には、重合容積1リットル当り、通常約0〜5ミリ
モル、好ましくは約0〜2ミリモルとなるような量で用
いられる。
【0133】共重合反応は、通常、温度が−20〜15
0℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜
100℃の範囲で、圧力が0を超えて〜80kg/cm
2、好ましくは0を超えて〜50kg/cm2 の範囲の
条件下に行なわれる。
【0134】また反応時間(共重合が連続法で実施され
る場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度など
の条件によっても異なるが、通常5分間〜3時間、好ま
しくは10分間〜1.5時間である。
【0135】(i)α−オレフィン、(ii)環状オレフ
ィン、(iii)共役ジエンは、上述のような特定組成の
α−オレフィン・環状オレフィン・共役ジエン系共重合
体が得られるような量で重合系に供給される。さらに共
重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いること
もできる。
【0136】上記のようにして(i)α−オレフィン、
(ii)環状オレフィン、(iii)共役ジエンを共重合さ
せると、α−オレフィン・環状オレフィン・共役ジエン
系共重合体は通常これを含む重合液として得られる。こ
の重合液は、常法により処理されα−オレフィン・環状
オレフィン・共役ジエン系共重合体が得られる。
【0137】変性共重合体 本発明に係る不飽和性共重合体は、主鎖と側鎖に二重結
合を有しているので各種変性が可能である。過酸化物変
性により、二重結合をエポキシ化し、共重合体中に反応
性に富むエポキシ基を導入することができる。これによ
り熱硬化型樹脂としての利用、または反応性樹脂として
利用も可能となる。さらには、ディールスアルダー反
応、マイケル付加反応等にも二重結合は利用可能であ
る。その他、主鎖の二重結合を選択的に水素添加し飽和
にすることで、耐熱性、耐オゾン性もさらに向上する。
【0138】本発明では不飽和性共重合体の一部または
全部を不飽和カルボン酸、その誘導体、または芳香族ビ
ニル化合物で変性することができる。この場合その変性
量は0.01〜30重量%の範囲であることが好まし
い。
【0139】特に不飽和性共重合体中には、側鎖に二重
結合が存在するため、変性に際して使用されるラジカル
開始剤の低減がはかれる。これに対して側鎖二重結合の
存在しない樹脂では、水素を引き抜き反応により生成す
るラジカルを開始点としている。開始剤すべてが水素引
き抜き反応を誘起しないため、多量の開始剤が必要とな
り、また分解反応も併発するため一般に分子量が低下す
る。
【0140】しかしながら、本発明に係る不飽和性共重
合体中には、側鎖に末端二重結合が存在するためラジカ
ル開始剤がの使用量を低減することができると同時に、
発生するラジカルは二重結合と反応するため、分解反応
が抑制され、ひいては分子量の低下も抑えられる。
【0141】変性に用いられるモノマー(以下、「グラ
フトモノマー」という。)としては、不飽和カルボン酸
もしくはその誘導体、または芳香族ビニル化合物が挙げ
られる。不飽和カルボン酸として具体的には、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸
などが挙げられる。また不飽和カルボン酸の誘導体とし
ては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩な
どが挙げられ、具体的には、無水マレイン酸、無水シト
ラコン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、メタク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル
酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モ
ノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマ
ル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、
イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジエチルエ
ステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン
酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸-N-モ
ノエチルアミド、マレイン酸-N,N-ジエチルアミド、マ
レイン酸-N-モノブチルアミド、マレイン酸-N,N-ジブチ
ルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フ
マル酸-N- モノエチルアミド、フマル酸-N,N-ジエチル
アミド、フマル酸-N-モノブチルアミド、フマル酸-N,N-
ジブチルアミド、マレイミド、N-ブチルマレイミド、N-
フェニルマレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリ
ル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カ
リウムなどが挙げられる。これらのグラフトモノマーの
中では無水マレイン酸を使用することが好ましい。
【0142】芳香族ビニル化合物として具体的には、ス
チレン;o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチ
ルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレ
ン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレンなどのモノも
しくはポリアルキルスチレン;メトキシスチレン、エト
キシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチ
ル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、
o-クロロスチレン、p-クロロスチレン、ジビニルベンゼ
ンなどの官能基含有スチレン誘導体;3-フェニルプロピ
レン、4-フェニルブテン、α−メチルスチレンなどが挙
げられる。これらのなかではスチレンまたは4-メトキシ
スチレンが好ましい。
【0143】グラフトモノマーを不飽和性共重合体にグ
ラフト共重合して変性共重合体を製造するには、公知の
種々の方法を採用することができる。例えば、不飽和性
共重合体およびグラフトモノマーを溶媒の存在下または
不存在下で、ラジカル開始剤を添加してまたは添加せず
に高温で加熱することによってグラフト共重合を行なう
方法がある。
【0144】グラフト率が0.01〜30重量%の一部
または全部が変性されたグラフト変性不飽和性共重合体
を製造するには、工業的製造上からは、グラフト率のよ
り高いグラフト変性不飽和性共重合体(以下「変性共重
合体」ともいう)を製造しておき、次に未変性不飽和性
共重合体にこのグラフト変性不飽和性共重合体を混合し
てグラフト率を調整する方法(この方法により得られた
ものを「一部が変性されたグラフト変性不飽和性共重合
体」という。)が、組成物中のグラフトモノマーの濃度
を適当に調整できるため好ましい方法であるが、最初か
ら不飽和性共重合体に所定量のグラフトモノマーを配合
してグラフトしても差し支えない(この方法により得ら
れたものを「全部が変性されたグラフト変性不飽和性共
重合体」という。)。
【0145】不飽和性共重合体へのグラフトモノマーに
よる変性量は、上記のような樹脂組成物全体におけるグ
ラフト率が0.01〜30重量%、特に0.05〜10
重量%の範囲にあることが好ましい。
【0146】ここで得られた変性共重合体は、エチレン
・α−オレフィン共重合体および/またはエチレン・酢
酸ビニル共重合体を配合して変性共重合体組成物として
利用することができる。
【0147】この変性共重合体にエチレン・α−オレフ
ィン共重合体またはエチレン/酢酸ビニル共重合体また
はこの両者を配合することにより、本発明の変性共重合
体の溶融粘度を下げ成形性を改良することができるとと
もに、レトルト処理後の接着性をさらに改良することが
できる。そしてまた、ポリオレフィンへの接着性を向上
させることができる。
【0148】上記のようなエチレン・α−オレフィン共
重合体は、エチレンとα−オレフィンとがランダムに共
重合しており、エチレン含有量が45〜95モル%、好
ましくは45〜90モル%のエチレン・α−オレフィン
共重合体である。
【0149】このエチレン・α−オレフィン共重合体
は、一般に、メルトフローレート(ASTM D 12
38、条件E)が0.1〜50g/10分、好ましくは
0.3〜30g/10分であり、密度が通常0.850〜
0.900g/cm3 、好ましくは0.850〜0.8
90g/cm3 であり、X線による結晶化度は一般に3
0%未満、好ましくは25%未満である。
【0150】このエチレン・α−オレフィン共重合体を
構成するα−オレフィンとしては、炭素原子数が3〜2
0のα−オレフィンが用いられ、具体的には、プロピレ
ン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-
オクテン、1-デセン、1-テトラデセン、1-オクタデセン
などが用いられ、これらのα−オレフィンは単独または
2種以上の混合物として用いられる。
【0151】このようなエチレン・α−オレフィン共重
合体は、その融点(ガラス転移点)(ASTM D34
18)が通常100℃以下である。また上記のようなエ
チレン・酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル含有量が5
〜40重量%、好ましくは10〜35重量%の範囲にあ
ることが好ましい。このエチレン・酢酸ビニル共重合体
は、一般に、メルトフローレート(ASTM D123
8、条件E)が0.1〜50g/10分、好ましくは0.
3〜30g/10分である。
【0152】さらに変性共重合体組成物は、上記のグラ
フト変性不飽和性共重合体、エチレン・α−オレフィン
共重合体およびエチレン・酢酸ビニル共重合体に加え
て、結晶性エチレン系重合体、結晶性プロピレン系重合
体およびこれらの変性物、ならびに粘着性付与剤などを
配合することができる。
【0153】このようなエチレン系重合体は、エチレン
の単独重合体またはエチレンと少量のα−オレフィンと
の共重合であり、エチレン含有量が90モル%を超えて
100モル%以下、好ましくは95〜100モル%の範
囲にある。
【0154】このエチレン系重合体は、一般に、メルト
フローレート(ASTM D 1238、条件E)が
0.1〜50g/10分、好ましくは0.3〜30g/10
分であり、密度が通常0.900〜0.980g/cm
3 、好ましくは0.920〜0.970g/cm3 であ
る。
【0155】このエチレン系重合体を製造する際に用い
られるα−オレフィンとしては、炭素原子数が3〜20
のα−オレフィンが挙げられ、具体的には、プロピレ
ン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン、1-
オクテン、1-デセン、1-テトラデセン、1-オクタデセン
などが用いられ、これらのα−オレフィンは単独でまた
は2種以上組合わせて用いることができる。
【0156】このようなエチレン系重合体は、不飽和カ
ルボン酸、その誘導体または芳香族ビニル化合物で変性
されていてもよく、不飽和カルボン酸またはその誘導体
としては、前記と同様のものが挙げられる。また変性エ
チレン系重合体を製造するには、公知の種々の方法を採
用することができる。
【0157】このような樹脂組成物は、接着力に優れて
いる。また結晶性プロピレン系重合体は、プロピレンの
単独重合体またはプロピレンとα−オレフィンとの共重
合体であり、プロピレン含有量が55モル%を超えて1
00モル%以下、好ましくは80〜100モル%の範囲
にある。
【0158】このプピレン系重合体は、一般に、メルト
フローレート(ASTM D 1238,条件E)が
0.1〜50g/10分、好ましくは0.3〜30g/10
分であり、融点(Tm)が110〜165℃、好ましく
は120〜165℃である。
【0159】このプロピレン系重合体を製造する際に用
いられるα−オレフィンとしては、エチレンおよび炭素
原子数が4〜20のα−オレフィンが用いられ、具体的
には、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1
-オクテン、1-デセン、1-テトラデセン、1-オクタデセ
ンなどが挙げられ、これらのα−オレフィンは単独でま
たは2種以上組合わせて用いることができる。
【0160】このようなプロピレン系重合体は、不飽和
カルボン酸、その誘導体または芳香族ビニル化合物で変
性されていてもよく、不飽和カルボン酸、その誘導体ま
たは芳香族ビニル化合物としては、前記と同様のものが
挙げられる。また変性プロピレン系重合体を製造するに
は、公知の種々の方法を採用することができる。
【0161】このような樹脂組成物は、接着力に優れて
いる。粘着性付与剤は、変性共重合体組成物の溶融時の
粘度を調整し、ホットタック性やヌレ性を向上させるた
めに配合されるものである。粘着性付与剤として具体的
には、脂環族水添タッキファイヤー、ロジン、変性ロジ
ンまたはこれらのエステル化物、脂肪族系石油樹脂、脂
環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族成分と芳香
族成分の共重合石油樹脂、低分子量スチレン系樹脂、イ
ソプレン系樹脂、アルキル、フェノール樹脂、テルペン
樹脂、クマロン・インデン樹脂などが好適な粘着性付与
剤として例示される。これらの粘着性付与剤は、単独で
または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0162】この変性共重合体組成物は、グラフト変性
された前記不飽和性共重合体(変性共重合体)1〜10
0重量部、好ましくは1〜80、より好ましくは10〜
80重量部と、軟質ポリマー99〜0重量部、好ましく
は99〜20重量部、より好ましくは90〜20重量部
とから形成されている(但し、変性共重合体と軟質ポリ
マーとの合計量は100重量部である。)。
【0163】なお軟質ポリマーとしては、前述したよう
なエチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸
ビニル共重合体およびこれらの混合物などが挙げられ
る。この変性共重合体組成物の好適な態様としては、変
性共重合体10〜80重量部と、エチレン・α−オレフ
ィン共重合体および/またはエチレン・酢酸ビニル共重
合体90〜20重量部(但し、合計量は100重量部)
とからなる組成物がある。
【0164】具体的には、変性共重合体10〜80重量
部、好ましくは30〜80重量部と、エチレン・α−オ
レフィン共重合体90〜20重量部、好ましくは70〜
20重量部(但し、合計量は100重量部)とからなる
組成物、変性共重合体10〜80重量部、好ましくは3
0〜80重量部と、エチレン・酢酸ビニル共重合体90
〜20重量部、好ましくは70〜20重量部(但し、合
計量は100重量部)とからなる組成物、変性共重合体
10〜80重量部、好ましくは30〜80重量部と、エ
チレン・α−オレフィン共重合体5〜60重量部、好ま
しくは10〜50重量部と、エチレン・酢酸ビニル共重
合体5〜40重量部、好ましくは10〜30重量部(但
し、合計量は100重量部)とからなる組成物などであ
る。
【0165】この変性共重合体組成物は、上記の変性共
重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体およびエチ
レン・酢酸ビニル共重合体に加えて、前述したようにさ
らにエチレン系重合体またはその変性物、プロピレン系
重合体またはその変性物、粘着性付与剤などが配合され
ていてもよい。
【0166】エチレン系重合体またはその変性物を添加
する場合には、変性共重合体、エチレン・α−オレフィ
ン共重合体およびエチレン・酢酸ビニル共重合体の合計
重量100重量部に対して、0.1〜50重量部、好ま
しくは1〜30重量部の量で用いられる。
【0167】プロピレン系重合体またはその変性物を添
加する場合には、変性共重合体、エチレン・α−オレフ
ィン共重合体およびエチレン・酢酸ビニル共重合体の合
計重量100重量部に対して、0.1〜50重量部、好
ましくは1〜30重量部の量で用いられる。
【0168】粘着性付与剤を添加する場合には、変性共
重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体およびエチ
レン・酢酸ビニル共重合体の合計重量100重量部に対
して、0.5〜25重量部、好ましくは5〜15重量部
の量で用いられる。
【0169】このように変性共重合体組成物は、グラフ
ト変性不飽和性共重合体(変性共重合体)を必須成分と
して含むが、この樹脂組成物全体でのグラフト率は一般
に0.01〜30重量%、好ましくは0.05〜10重
量%であり、MFRは0.1〜50g/10分、好ましく
は0.2〜40g/10分であり、かつ結晶化度は35%
未満である。
【0170】この変性共重合体組成物は、上記のような
各成分を、上記のような範囲で種々公知の方法、たとえ
ばヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレン
ダー、タンブラブレンダー等で混合する方法、または混
合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリー
ミキサー等で溶融混練後、造粒または粉砕する方法を採
用して製造することができる。
【0171】上記のような変性共重合体組成物には、前
記成分に加えて、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止
剤、顔料、染料、発錆防止剤等を、本発明の目的を損わ
ない範囲で配合することもできる。
【0172】この変性共重合体組成物は、ポリエステル
樹脂、ポリカーボネート樹脂、オレフィン・酢酸ビニル
共重合体鹸化物、ポリオレフィンなどとの接着性に優れ
ており、これらの樹脂間の接着剤として好適に用いられ
る。
【0173】このような変性共重合体組成物を用いて、
ポリカーボネート層またはポリエステル樹脂層と、エチ
レン・酢酸ビニル鹸化物層とを接着させて積層体とする
と、優れた耐ガス透過性を有するとともに高温充填また
はレトルト処理を受けている際に層間剥離を起こさない
ような積層体が得られる。本積層体は、酸素などのガス
透過性も小さいため、レトルト用包装材料、ホットフィ
ル用包装材料として極めて優れた性質を有している。
【0174】エラストマー組成物 上記のような不飽和性共重合体をエラストマーとして用
いる場合には、(A)α−オレフィン・環状オレフィン
・共役ジエン系共重合体(不飽和性共重合体)に必要に
応じて、(B)架橋剤および/または(C)充填材から
選ばれる少なくとも1種の配合剤を含有させて、α−オ
レフィン・環状オレフィン・共役ジエン共重合体含有エ
ラストマー組成物(以下、「エラストマー組成物」とも
いう。)として用いることが好ましく、このエラストマ
ー組成物には、さらにエチレン・α−オレフィン共重合
体などを配合してもよい。
【0175】架橋剤(B)としては、イオウ、イオウ化
合物および有機過酸化物などが挙げられる。イオウとし
て具体的には、粉末イオウ、沈降イオウ、コロイドイオ
ウ、表面処理イオウ、不溶性イオウなどが挙げられる。
【0176】イオウ化合物として具体的には、塩化イオ
ウ、二塩化イオウ、高分子多硫化物などが挙げられる。
また、架橋温度で活性イオウを放出して架橋するイオウ
化合物、たとえばモルフォリンジスルフィド、アルキル
フェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスル
フィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、
ジメチルジチオカルバミン酸セレンなども使用すること
ができる。なお、架橋剤としてイオウまたはイオウ化合
物を用いる場合には、架橋促進剤を併用することが好ま
しい。
【0177】有機過酸化物として具体的には、ジクミル
パーオキサイド(DCP)、ジ-t-ブチルパーオキサイ
ド、ジ-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘ
キサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-アミル
パーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパー
オキシン)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾ
イルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-
ブチルパーオキシ)-ヘキサン、α,α'-ビス(t-ブチ
ルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、t-ブチルヒ
ドロパーオキサイドなどのアルキルパーオキサイド類;
t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイ
ソブチレート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチ
ルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシネオデカ
ノエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブ
チルパーオキシフタレートなどのパーオキシエステル
類;ジシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパ
ーオキサイド類が挙げられる。これらの有機過酸化物
は、単独でまたは2種以上組合わせて用いることができ
る。
【0178】これらのうちでは、1分半減期温度が13
0℃〜200℃である有機過酸化物が好ましく、具体的
にジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイ
ド、ジ-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘ
キサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-アミル
パーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイドなどが
好ましい。なお、架橋剤として有機過酸化物を用いる場
合には、架橋助剤を併用することが好ましい。
【0179】上記のような各種架橋剤のうち、イオウま
たはイオウ系化合物、特にイオウを用いると優れた特性
の架橋物を得ることができるため好ましいが、有機過酸
化物が、特に架橋効率に優れているためより好ましい。
【0180】(B)架橋剤は、イオウまたはイオウ系化
合物であるときには、(A)不飽和性共重合体の量10
0重量部に対して、通常0.5〜10重量部、好ましく
は1〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部の割
合で用いられる。有機過酸化物であるときには、(A)
不飽和性共重合体の量100グラムに対して、0.00
03〜0.05モル好ましくは0.001〜0.03モ
ルの量で用いられる。
【0181】(C)充填剤には、補強性のある充填剤と
補強性のない充填剤とがある。補強性のある充填剤は、
加橋物の引張り強さ、引裂き強さ、耐摩耗性などの機械
的性質を高める効果がある。このような充填剤として具
体的には、SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、
ISAF、SAF、FT、MTなどのカーボンブラッ
ク、これらカーボンブラックをシランカップリング剤な
どで表面処理したもの、シリカ、活性化炭酸カルシウ
ム、微粉タルクなどが挙げられる。充填剤としてカーボ
ンブラックを用いる場合、通常ゴムに使用されるカーボ
ンブラックならばその種類は問わず全て用いることがで
きる。
【0182】また、補強性のない充填剤は、物性にあま
り影響を与えることなく、ゴム製品の硬さを高めたり、
コストを引き下げることを目的として使用される。この
ような充填剤としては、具体的には、タルク、クレー、
炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0183】(C)充填剤は、(A)不飽和性共重合体
の量100重量部に対して、通常300重量部以下、好
ましくは10〜300重量部、より好ましくは10〜2
00重量部の割合で用いられる。
【0184】不飽和性共重合体含有エラストマー組成物
は、(A)不飽和性共重合体と、必要に応じて(B)架
橋剤および(C)充填剤から選ばれる少なくとも1種の
配合剤、さらに他のゴム配合剤とを配合し、バンバリー
ミキサー、ニーダー、インターミックスなどのインター
ナルミキサー類による混合法等等の従来公知の方法で混
練することにより製造することができる。
【0185】本発明に係る不飽和性共重合体含有エラス
トマー組成物は、未架橋のままでも用いることができる
が、架橋物として用いた場合に最もその特性を発揮する
ことができる。すなわち(A)不飽和性共重合体には、
架橋物の架橋速度を向上させたり、架橋物の強度特性を
向上させる働きがある。
【0186】(C)架橋剤を含まない組成物から架橋物
を製造するには、通常一般のゴムを架橋するときと同様
に、α−オレフィン・環状オレフィン・共役ジエン共重
合体合物含有エラストマー組成物を一旦調製し、次にこ
のエラストマー組成物(配合ゴム)を所望の形状に成形
した後に架橋を行なえばよい。架橋方法としては電子線
を照射する方法が採用される。
【0187】(C)架橋剤を含むα−オレフィン・環状
オレフィン・共役ジエン系共重合体含有エラストマー組
成物から架橋物を製造するには、通常一般のゴムを架橋
するときと同様に、α−オレフィン・環状オレフィン・
共役ジエン系共重合体含有エラストマー組成物を一旦調
製し、次にこのエラストマー組成物を所望の形状に成形
した後に加熱などして架橋を行なえばよい。
【0188】なお本発明では前記未架橋の配合ゴムに
は、上記の不飽和性共重合体(A)、架橋剤(B)およ
び充填剤(C)に加えて、架橋促進剤、架橋助剤、軟化
剤、粘着付与剤、老化防止剤、発泡剤、加工助剤、密着
性付与剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色
剤、滑剤、難燃剤、ブルーミング防止剤などのゴム配合
剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することが
できる。
【0189】架橋促進剤として具体的には、N-シクロヘ
キシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CB
Z)、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフ
ェンアミド、N,N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾール
スルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-
(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾー
ル、2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチア
ゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール
系化合物;ジフェニルグアニジン(DPG)、トリフェ
ニルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソ
ニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレ
ート等のグアニジン化合物;アセトアルデヒド−アニリ
ン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサ
メチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニア等の
アルデヒドアミンまたはアルデヒド−アンモニア系化合
物;2-メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合
物;チオカルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチル
チオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチ
オユリア等のチオユリア系化合物;テトラメチルチウラ
ムモノスルフィド;テトラメチルチウラムジスルフィ
ド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチル
チウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラ
スルフィド等のチウラム系化合物;ジメチルジチオカル
バミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ-n
-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチ
オカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン
酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメ
チルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバ
ミン酸テルル等のジチオ酸塩系化合物;ジブチルキサン
トゲン酸亜鉛等のザンテート系化合物;亜鉛華等の化合
物などを挙げることができる。
【0190】これらの架橋促進剤は、(A)不飽和性共
重合体100重量部に対して、1〜20重量部、好まし
くは2〜10重量部の量で用いられる。架橋助剤として
具体的には、イオウ;p-キノンジオキシムなどのキノン
ジオキシム系化合物、および多官能性モノマー、たとえ
ばトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチ
レングリコールジメタクリレートなどの(メタ)アクリ
レート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシア
ヌレートなどのアリル系化合物;m-フェニレンビスマレ
イミドなどのマレイミド系化合物;ジビニルベンゼンな
どが挙げられる。架橋助剤は、有機過酸化物1モルに対
して0.5〜2モル、好ましくはほぼ等モルの量で用い
ることが好ましい。
【0191】軟化剤としては、従来ゴムに配合されてい
る軟化剤が広く用いられ、具体的には、プロセスオイ
ル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスフ
ァルト、ワセリンなどの石油系軟化剤;コールタール、
コールタールピッチなどのコールタール系軟化剤;ヒマ
シ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化
剤;トール油;サブ;蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリ
ンなどのロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステア
リン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸
亜鉛などの脂肪酸および脂肪酸塩;石油樹脂、アタクチ
ックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂などの合成
高分子物質を挙げることができる。
【0192】なかでも石油系軟化剤が好ましく用いら
れ、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。軟化剤
は、(A)不飽和性共重合体100重量部に対して、2
00重量部以下、好ましくは5〜200重量部、より好
ましくは10〜150重量部、さらに好ましくは10〜
100重量部の量で用いられる。
【0193】発泡剤としては、一般的にゴムを発泡成形
する際に用いられる発泡剤を広く使用することができ、
具体的には、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭
酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウ
ムなどの無機発泡剤、N,N'-ジメチル-N,N'-ジニトロソ
テレフタルアミド、N,N'-ジニトロソペンタメチレンテ
トラミンなどのニトロソ化合物;アゾジカルボンアミ
ド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシル
ニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカル
ボキシレートなどのアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒ
ドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'-オキ
シビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニル
スルホン-3,3'-ジスルホニルヒドラジドなどのスルホニ
ルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4-ジフェニ
ルジスルホニルアジド、p-トルエンスルホルニルアジド
などのアジド化合物が挙げられる。
【0194】これらのうちでは、ニトロソ化合物、アゾ
化合物、アジド化合物が好ましい。発泡剤は、(A)不
飽和性共重合体100重量部に対して、0.5〜30重
量部好ましくは1〜20重量部の量で用いられる。この
ような量で発泡剤を含有するα−オレフィン・環状オレ
フィン・共役ジエン系重合体含有エラストマー組成物か
らは、見掛け比重が0.03〜0.8g/cm3 の発泡
体を製造することができる。
【0195】また発泡剤とともに発泡助剤を用いること
もでき、発泡助剤を併用すると、発泡剤の分解温度の低
下、分解促進、気泡の均一化などの効果がある。このよ
うな発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸、ステア
リン酸、しゅう酸などの有機酸、尿素またはその誘導体
などが挙げられる。発泡助剤は、(A)不飽和性共重合
体100重量部に対して0.01〜10重量部好ましく
は0.1〜5重量部の量で用いられる。
【0196】加工助剤としては、一般的に加工助剤とし
てゴムに配合されるものを広く使用することができる。
具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン
酸、ラウリン酸などの酸、これら高級脂肪酸の塩たとえ
ばステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリ
ン酸カルシウムまたはエステル類などが挙げられる。加
工助剤は、(A)不飽和性共重合体100重量部に対し
て、10重量部以下、好ましくは5重量部以下の量で適
宜用いられる。
【0197】密着性付与剤は、架橋物と塗膜などの加飾
層との密着性を改良するものであり、たとえば有機スズ
化合物、第3級アミン化合物、水酸基含有(共)重合
体、金属水酸化物などが挙げられる。
【0198】有機スズ化合物としては、ジブチルスズジ
アセテート、ジブチルスズジオクタノエート、ジブチル
スズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート等のジ
アルキルスズジカルボキシレート類;ジブチルスズジメ
チルマレエート、ジブチルスズジオクチルマレエート、
ジブチルスズジオレイルマレエート、ジブチルスズジメ
トキシメチルマレエート、ジブチルスズラウレートメチ
ルマレエート等のジアルキルスズマレエート類;ジブチ
ルスズジオクチルチオグリコレート、ジオクチルスズジ
オクチルチオグリコレート等のジアルキルスズジチオグ
リコレート類;ジブチルスズジラウリルメルカプチド、
ジオクチルスズジラウリルメルカプチド等のジアルキル
スズジメルカプチド類;ジブチルスズジチオアセテー
ト、ジブチルスズジチオオクタノエート、ジブチルスズ
ジチオラウレート、ジオクチルスズジチオラウレート等
のジアルキルスズジチオカルボキシレート類;ジブチル
スズジメルカプトプロピオネート等のジアルキルスズジ
メルカプトカルボキシレート類;ジブチルヒドロキシス
ズクロリド等のジアルキルヒドロキシスズクロリド類;
ジブチルスズマーカブレード等のジアルキルスズマーカ
ブレード類;ブチルスズトリラウレート、オクチルスズ
トリラウレート等のアルキルトリラウレート類;ブチル
スズトリメチルマレエート、ブチルスズトリオクチルマ
レエート等のアルキルスズトリマレエート類;ブチルヒ
ドロキシスズジクロリド等のアルキルヒドロキシスズジ
クロリド類;トリベンジルスズオクチルマレエート、ト
リベンジルスズメチルマレエート等のトリアラルキルス
ズマレエート類、ジオクチルスズマレエートポリマーな
どのジアルキルスズマレエートポリマー類などが挙げら
れる。有機スズ化合物は、(A)不飽和性共重合体10
0重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましく
は、0.1〜5重量部の割合で用いられる。
【0199】第3級アミン化合物として具体的には、ト
リエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、ジエチルプ
ロピルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキサン等のモノア
ミン類;トリエチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチ
ルエチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチルプロパン
-1,3-ジアミン、N,N,N',N'-テトラメチルヘキサン-1,6-
ジアミン等のジアミン類;N,N,N',N',N",N"-ヘキサメ
チルジエチレントリアミン、N,N,N',N',N",N"-ヘキサメ
チルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアニジン
等のトリアミン類;N,N'-ジメチルピペラジン、N-メチ
ル-N'-(2-ジメチルアミノ)- エチルピペラジン、N-メ
チルモルホリン、N・(N',N'-ジメチルアミノエチル)-
モルホリン、1,2-ジメチルイミダゾール、1,4-ジアザビ
シクロ-[2.2.2]- オクタン、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.
0]-7-ウンデセン等の環状アミン類;ジメチルアミノエ
タノール、メチルアミノジエタノール、ジメチルアミノ
エトキシエタノール、N,N,N'-トリメチルアミノエチル
エタノールアミン、N-メチル-N'-(2-ヒドロキシエチ
ル)-ピペラジン、N-(2-ヒドロキシエチル)モルホリ
ン等のアルコールアミン類;トリス(ジメチルアミノ)
メチルフェノール等のフェノールアミン類;ビス(2-ジ
メチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビ
ス(3-ジメチル)-アミノプロピルエーテル等のエーテ
ルアミン類;2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレー
ト、2-(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、2-(ジ
メチルアミノ)エチルメタクリレート、2-(ジエチルア
ミノ)エチルメタクリレート、2-(ジブチルアミノ)エ
チルアクリレート、2-(ジブチルアミノ)エチルメタク
リレート、2-(ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミ
ド、2-(ジメチルアミノ)プロピルメタクリルアミド等
の第3級アミノ基含有不飽和化合物などの低分子化合物
が挙げられる。
【0200】また、第3級アミノ化合物として、第3級
アミノ基含有オレフィン(共)重合体のような高分子化
合物を挙げることができる。第3級アミノ基含有オレフ
ィン(共)重合体は、分岐状もしくは直鎖上の炭素原子
鎖中に不規則にもしくは規則的に第3級アミノ基含有不
飽和化合物が共重合した構造、または第3級アミン構造
を有する側鎖がグラフトしている構造を有し、第3級ア
ミノ基含有不飽和化合物の量が0.1〜50重量%であ
る。このような第3級アミノ基含有オレフィン(共)重
合体は、第3級アミノ基含有不飽和化合物を用いて共重
合またはポリオレフィンにグラフト重合する周知の方法
を用いて製造することができる。上記のような第3級ア
ミノ化合物のうち、1,4-ジアザビシクロ-[2.2.2]- オク
タンが好ましく用いられる。第3級アミノ化合物は、α
−オレフィン・環状オレフィン・共役ジエン系重合体
(A)100重量部に対して、0.01〜10重量部、
好ましくは0.05〜5重量部の割合で用いられる。
【0201】水酸基含有(共)重合体として具体的に
は、エチレン・酢酸ビニル共重合体のケン化物;分子末
端に水酸基を有するポリブタジエン、分子末端に水酸基
を有するポリイソプレン等の分子末端に水酸基を有する
共役ジエン重合体;分子末端に水酸基を有するポリブタ
ジエンの水添物、分子末端に水酸基を有するポリイソプ
レンの水添物等の分子末端に水酸基を有する共役ジエン
重合体の水添物;エチレン・ヒドロキシエチルアクリレ
ート共重合体、エチレン・ヒドロキシエチルメタクリレ
ート共重合体、エチレン・ヒドロキシオクチルアクリレ
ート共重合体、エチレン・ヒドロキシオクチルメタリレ
ート共重合体等のエチレンと水酸基含有不飽和化合物と
の共重合体;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキ
シエチルメタクリレート、ヒドロキシオクチルアクリレ
ート、ヒドロキシオクチルメタクリレート等の水酸基含
有不飽和化合物をグラフトしたポリエチレン、ポリプロ
ピレン、エチレン・α- オレフィン共重合体、エチレン
・α−オレフィン・ポリエン共重合体等のグラフト変性
オレフィン(共)重合体などが挙げられる。これらのう
ち、分子末端に水酸基を有するポリブタジエンの水添
物、分子末端に水酸基を有するポリイソプレンの水添物
が好ましい。水酸基含有(共)重合体を配合すると、架
橋物とウレタン樹脂系塗料の塗膜との密着性を向上させ
ることができる。水酸基含有(共)重合体は、上記
(A)不飽和性共重合体100重量部に対して、0.5
〜20重量部、好ましくは1〜15重量部の割合で用い
られる。
【0202】金属水酸化物として具体的には、水酸化ア
ルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、
水酸化鉄、水酸化ニッケルなどが挙げられる。中でも、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましく、
特に水酸化マグネシウムが好ましい。金属水酸化物は、
上記(A)α−オレフィン・環状オレフィン・共役ジエ
ン系重合体100重量部に対して、20〜200重量
部、好ましくは20〜150重量部、さらに好ましくは
50〜150重量部の割合で用いられる。
【0203】本発明に係るα−オレフィン・環状オレフ
ィン・共役ジエン系重合体含有エラストマー組成物から
架橋物を製造する方法としては、特に限定されないが、
具体的には例えば以下のような方法が採用される。
【0204】すなわち、バンバリーミキサーなどのミキ
サーを用い(A)α−オレフィン・環状オレフィン・共
役ジエン系重合体、必要に応じて(C)充填剤、(D)
液状軟化剤、他のゴム配合剤などを80〜170℃の温
度で3〜10分間混練した後、オープンロールなどのロ
ールを用い、(B)架橋剤、必要に応じて架橋促進剤を
追加混合し、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混
練した後、分出し、リボン状またはシート状の未加硫の
配合ゴムを調製する。なお上記のインターナルミキサー
類での混練温度が低い場合には、架橋剤(B)、架橋促
進剤、発泡剤などを同時に混練することもできる。
【0205】このようにして調製された未架橋の配合ゴ
ムを、押出成形機、カレンダーロール、またはプレスに
より所望の形状に成形し、成形と同時に150〜270
℃の温度で1〜30分間加熱するか、または成形物を架
橋槽内に導入し、150〜270℃の温度で1〜30分
間加熱することにより架橋物を得る。架橋は金型内で行
ってもよく、また金型を用いないで行ってもよい。金型
を用いない場合は成形、架橋の工程は通常連続的に実施
される。架橋槽における加熱方法としては熱空気、ガラ
スビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチーム
などの加熱槽を用いることができる。
【0206】架橋方法として、電子線を照射する方法を
採用する場合は、バンバリーミキサーなどのミキサーを
用い(A)不飽和性共重合体、必要に応じて(C)充填
剤、他のゴム配合剤などを80〜170℃の温度で3〜
10分間混練した後、オープンロールなどのロール類を
用い、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した
後、分出し、リボン状またはシート状の未架橋の配合ゴ
ムを調製する。このようにして調製された未架橋の配合
ゴムは押出成形機、カレンダーロール、またはプレスに
より所望の形状に成形し、電子線を照射することにより
架橋物が得られる。電子線の照射は、0.1〜10Me
V(メガエレクトロンボルト)、好ましくは0.3〜2
MeVのエネルギーを有する電子を、吸収線量が0.5
〜35Mrad(メガラッド)、好ましくは0.5〜1
0Mradになるように行うことが望ましい。
【0207】このようにして得られた架橋物は、自動車
部品、一般工業用部品、土木建材用部品などの用途に広
く用いられる。とりわけ、耐油性および耐動的疲労性を
要求される用途、たとえばタイヤトレッド、タイヤトレ
ッド改質、自動車エンジン回りの部品、防振ゴム、ゴム
ロール、耐熱ベルト、ホース、ワイパーブレード、電
線、各種パッキン、アノードキャップ、グロメットなど
の電気絶縁材、建築用ガスケット、土木用シートなどの
土木建材用品、ゴム引布などの用途に用いることができ
る。特に自動車のエンジンマウントインシュレーター、
センターベアリングインシュレーター、ラックアンドピ
ニオン式ステアリング装置のインシュレーター等に用い
られる。このような架橋物は、耐引き裂き性等が良好で
ある。
【0208】さらに、本発明に係るα−オレフィン・環
状オレフィン・共役ジエン系重合体含有エラストマー組
成物からは発泡体を製造することもでき、発泡体を製造
する場合には、通常ゴムに使用される発泡剤、および必
要に応じて発泡助剤を配合し発泡させることにより製造
できる。これらの発泡剤は不飽和性共重合体(A)10
0重量部に対して0.5〜30重量部、好ましくは1〜
20重量部の量で用いられる。得られる発泡体のみかけ
比重は、通常0.03〜0.7の範囲である。得られた
発泡体は、断熱材、断熱材、クッション材、シーリング
材、ホースなどの用途に用いることができる。
【0209】さらに、本発明に係るα−オレフィン・環
状オレフィン・共役ジエン系重合体含有エラストマー組
成物からは、表面加飾層を有する架橋物成形体を製造す
ることもできる。これは前記のような架橋物の表面に塗
装をしたり、または接着剤を用いて金属、樹脂等の他の
部材を接着して加飾層を形成することにより得られる。
また、未架橋の配合ゴムに加飾層を形成した後に、該配
合ゴムを架橋することにより表面加飾層を有する架橋物
成形体を得ることもできる。環状オレフィンに由来する
構成単位が0.1〜40モル%、好ましくは0.5〜3
0モル%の範囲にある不飽和共重合体と用いると、エラ
ストマー組成物は特に塗装性に優れる。
【0210】架橋または未架橋の配合ゴムの塗装には、
一般に広く用いられている塗料、たとえばアクリル樹脂
系塗料、エポキシ樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗
料、ウレタン樹脂系塗料、アルキッド樹脂系塗料、メラ
ミン樹脂系塗料、シリコーン樹脂系塗料などを用いるこ
とができる。
【0211】アクリル樹脂系塗料は、アクリル酸、メタ
クリル酸およびこれらのエステルを主原料とし、単独な
いし相互間および他樹脂との共重合によって製造された
樹脂を溶剤でうすめ、または溶液重合、乳化重合して得
られるワニスに可塑剤、第2樹脂、その他添加または添
加せずしてベヒクルとし、そのままクリヤーとして、ま
たは顔料を加えてエナメルとして得られる塗料である。
【0212】ポリエステル樹脂系塗料は、多価アルコー
ルと多塩基酸との重縮合により得られる不飽和ポリエス
テルにビニル化合物などを作用させて硬化する樹脂であ
る。多価アルコールとしてはエチレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレ
ングリコールなどが用いられ、多塩基酸としては無水フ
タル酸、無水マレイン酸、フマル酸、アジピン酸などが
用いられ、ビニル化合物としてはスチレン、メタクリル
酸などが用いられる。これらのうちプロピレングリコー
ル、無水フタル酸、スチレンが最も多く用いられる。
【0213】ウレタン樹脂系塗料は、一般にポリイソシ
アネートとポリオール化合物との反応により塗膜を形成
する塗料であり、一液型と二液型があり、またブロック
型イソシアネートを用いた粉体塗料もある。
【0214】メラミン樹脂系塗料は、ブタノールでエー
テル化したブチル化メラミン樹脂とフタル酸樹脂、ブチ
ル化尿素樹脂などと組み合わせて熱硬化させて得られる
塗料である。フタル酸樹脂は、通常ヒマシ油、ヤシ油な
どの不乾性油または半乾性油で変性されているものが用
いられる。
【0215】シリコーン樹脂系塗料は、シリコーン樹脂
または、アルキド、エポキシ、フェノール、アクリル、
メラミン、ウレタン等で変性したシリコーン樹脂を硬化
させて得られる塗料である。
【0216】これらうちアクリル樹脂系塗料、メラミン
樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗料、ウレタン樹脂系
塗料、シリコーン樹脂系塗料を用いると塗膜の密着性に
優れ、特にウレタン樹脂系塗料、シリコーン樹脂系塗料
が塗膜の密着性が優れるので好ましい。
【0217】上記のような塗料の塗布手段としては、ス
プレーによる吹き付け、刷毛塗り、ローラーによる塗布
など、いずれの方法を採用しても良い。塗膜の厚さは、
成形体の使用目的に応じて変化させることが可能であ
り、特に制限はないが、通常1〜500μm程度であ
る。
【0218】このような表面加飾層を有する架橋物成形
体は、ウェザーストリップ、ドアーグラスランチャンネ
ル、タイヤトレッド用、窓枠などの自動車工業部品、グ
レイジングガスケット、目地ガスケット、気密ガスケッ
トなどの建築用材などの用途に用いることができる。
【0219】特に上記架橋物成形体をウェザーストリッ
プスポンジ用として用いる場合には、不飽和性共重合体
におけるオレフィンとして、エチレンとα−オレフィン
との2種を用いることが好ましく、この際エチレン/α
−オレフィンのモル比は80/20〜60/40(合計
100モル)であることが好ましい。また、環状オレフ
ィンとしてノルボルネンが共重合されている場合には、
1〜7モル%、好ましくは2〜6モル%であることがさ
らに好ましい。また、極限粘度[η]は、2.5〜4.
5dl/gであることが好ましい。また、架橋タイプと
しては、イオウ架橋が好ましい。エチレン/α−オレフ
ィンの配合モル比、極限粘度[η]および架橋タイプが
上記の場合には、引裂強度、柔軟性、圧縮永久歪等に優
れているため好ましい。
【0220】また、低周波領域で溶融粘度η* が大きい
ほど、圧縮永久歪が小さくなり好ましい。例えば、長鎖
分岐が形成されているもの、高分子量成分が含有されて
いるものはより好ましい。
【0221】特に上記架橋物成形体をドアーグラスラン
チャンネル用として用いる場合には、不飽和性共重合体
におけるオレフィンとして、エチレンと端素数以上のα
−オレフィンとの2種を用いることが好ましく、この際
エチレン/α−オレフィンのモル比は90/10〜75
/25(合計100モル)であることが好ましい。ま
た、環状オレフィンとしてノルボルネンが共重合されて
いる場合には、1〜10モル%、好ましくは3〜8モル
%であることがさらに好ましい。また、極限粘度[η]
は、2.5〜4.5dl/gであることが好ましい。ま
た、ヨウ素価は、20〜50であることが好ましい。エ
チレン/α−オレフィンの配合モル比、極限粘度[η]
およびヨウ素価が上記の場合には、強度、伸び、硬度等
が大きくなり、圧縮永久歪が小さくなるため好ましい。
【0222】特に上記架橋物成形体をタイヤトレッド用
として用いる場合には、不飽和性共重合体の製造に用い
るオレフィンとして、エチレンと炭素原子数3以上のα
−オレフィンとの2種を用いることが好ましく、この際
エチレン/α−オレフィンのモル比は99/1〜75/
25、好ましくは85/15〜75/25、より好まし
くは85/15〜80/20(合計100モル)である
ことが好ましい。また、環状オレフィンとしてノルボル
ネンが共重合されている場合には、5〜20モル%、好
ましくは7〜15モル%であることがさらに好ましい。
またtanδ(0℃)の値が大きくなる傾向があること
が好ましく、またtanδ(50℃)の値が小さくなる
傾向があることが好ましい。
【0223】また、本発明の不飽和性共重合体が、次の
ような組成を有していると、収縮フィルムとしても用い
ることができる。すなわちフィルムを構成する不飽和性
共重合体中に、エチレンから導かれる単位が99.89
〜58モル%で、炭素原子数3〜12のα−オレフィン
から導かれる構成単位が0〜30モル%で、環状オレフ
ィンから導かれる構成単位が0.1〜12モル%で、共
役ジエン、特にブタジエンまたはイソプレンからなる構
成単位が0.01〜10モル%の量で含まれており、該
共重合体の極限粘度[η]が0.1〜10dl/gであ
り、融点が60〜125℃であり、しかも該フィルムが
少なくとも1方向に延伸されていると、収縮フィルムと
して好適に用いることができる。
【0224】このフィルム用樹脂には、粘着性付与剤
が、該不飽和性共重合体100重量部に対して1〜50
重量部配合されていることが好ましく、また該フィルム
が2軸延伸されているとより好ましく、また80℃にお
ける収縮率が20%以上であるとさらに好ましい。
【0225】また、不飽和性共重合体100重量部に対
し、防曇剤0.5〜100重量部、および必要に応じて
核剤0.5〜10重量部を配合してなる組成物は、フィ
ルム、シート、チューブ、ホースとして有用であり、そ
の具体的用途としては、農業用フィルム、ストレッチフ
ィルム、ラップフィルム、包装用シートなどを具体的に
例示できる。
【0226】チューブとしては、具体的にはシュリンク
チューブ、配管用チューブ、医療用チューブなどが挙げ
られる。これらの用途に該不飽和性共重合体を用いる場
合は、DSCで測定した融点が70〜125℃の範囲に
あると更に好ましい。
【0227】また、上記用途では、不飽和性共重合体に
はエチレンから導かれる構成単位が99.89〜83モ
ル%で、炭素原子数3以上のα−オレフィンから導かれ
る構成単位が0〜10モル%であり、環状オレフィンか
ら導かれる構成単位が0.1〜7モル%の量で含まれて
いることが好ましい。そして、上記用途では、該共重合
体には、ブタジエンまたはイソプレン構成単位が0.0
1〜5モル%の量で含まれていることが好ましい。
【0228】ホットメルト接着剤 本発明に係る不飽和性共重合体は、下記に示す組成物と
してホットメルト接着剤などに利用することができる。
【0229】このようなホットメルト接着剤は、(A)
ベースポリマー、(B)粘着性付与剤および上記したよ
うな本発明に係る(C)α−オレフィン・環状オレフィ
ン・共役ジエン共重合体(不飽和性共重合体)、必要に
応じて(D)低分子量ポリオレフィンから形成されてい
る。
【0230】以下(A)ベースポリマー、(B)粘着性
付与剤および(D)低分子量ポリオレフィンの各成分に
ついて説明する。(A)ベースポリマー 本発明で用いられるベースポリマーとしては、ホットメ
ルト接着剤に通常使用されているポリマーであれば特に
限定されず、例えば(a-1)ポリオレフィン、(a-2)
極性基含有重合体、(a-3)芳香族ビニル化合物・共役
ジエン共重合体などを例示することができる。
【0231】(a-1)ポリオレフィン (a-1)ポリオレフィンとしては、ポリエチレン(HD
PE,LDPE,LLDPEなど)、ポリプロピレン
(アタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポ
リプロピレンなど)、エチレン・プロピレン共重合体な
どが挙げられる。
【0232】(a-2)極性基含有重合体 (a-2)極性基含有重合体としては、以下のような重合
体が挙げられる。 (1)エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA) (2)ケン化EVA、グラフト変性EVAなどの変性E
VAポリマー (3)エチレン・(メタ)エチルクリレート(EEA)
などのエチレン・(メタ)アクリレート共重合体 (4)エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体を部分中
和してなるアイオノマー樹脂。これらを具体例として、
三井・デュポンポリケミカル社から商品名「ハイミラ
ン」で上市されているものなどが挙げられる。 (5)エチレン・プロピレン・(メタ)アクリル酸ター
ポリマー (6)ポリアミド:二酸基酸とジアミンとの反応生成物
であり、例えば、大豆油、桐油、トール油などの脂肪酸
の二量体であるダイマー酸と、エチレンジアミン、ジエ
チレントリアミンなどのアルキルジアミンとの反応生成
物およびナイロン12などのナイロン類など。これらの
具体例として、ダイアミド(ダイセル化学工業)、ブラ
チコン(東亜合成化学工業)、アミラン(東レ)などの
商品名で上市されているものなどが挙げられる。 (7)ポリエステル:例えば、エステルレジン200お
よび300(東洋紡)、Vita1200,300(グ
ッドイヤー社)などの商品名で上市されているものなど
が挙げられる。 (8)酢酸ビニル共重合体系ポリマー、酢酸ビニル・ク
ロトン酸共重合体系ポリマー、酢酸ビニル・無水フタル
酸共重合体系ポリマー、酢酸ビニル・ビニルピロリドン
系ポリマー、セルロース誘導体系ポリマー、ポリメチル
メタクリレート系ポリマー、ポリビニルエーテル系ポリ
マー、ポリウレタン系ポリマー、熱硬化性レジンポリマ
ーなど。
【0233】(a-3)芳香族ビニル化合物・共役ジエン
共重合体 (a-3)芳香族ビニル化合物・共役ジエン共重合体は、
芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とからなる共重
合体およびその水添物であり、具体的には、スチレン・
ブタジエンランダム共重合体、スチレン・イソプレンラ
ンダム共重合体、ブタジエン・ポリスチレンブロック共
重合体、ポリスチレン・ポリイソプレンブロック共重合
体、ポリスチレン・ポリイソプレン・ポリスチレントリ
ブロック共重合体、ポリスチレン・ポリブタジエン・ポ
リスチレントリブロック共重合体、ポリ(α−メチルス
チレン)・ポリブタジエン・ポリ(α−メチルスチレ
ン)トリブロック共重合体およびこれらの水添物を挙げ
ることができる。これらの重合体は、市販品として入手
することができ、また水添物も市販されている。例え
ば、カリフレックッスTR−1101、TR−110
7、TR−4113(シェル化学社)、クレイトンG−
6500、G−6521、G−1650、G−165
2、G−1657(シェル化学社)、ソルプレン、水素
化ソルプレン(フィリップス社)などの商品名で上市さ
れているものが例示される。
【0234】このホットメルト接着剤では、これらのベ
ースポリマーは、単独でまたは2種以上組み合わせて用
いることができる。これらのベースポリマーのなかで
は、芳香族ビニル化合物・共役ジエン共重合体またはそ
の水添物が好ましくは、特に芳香族ビニル化合物・共役
ジエン共重合体が好ましい。
【0235】(B)粘着性付与剤 このホットメルト接着剤で用いられる(B)粘着性付与
剤は、(A)ベースポリマーの溶融時の粘度を調整し、
ホットタック性やヌレ性を向上させるために配合される
ものである。この(B)粘着性剤は、(A)ベースポリ
マーと配合して、加熱時に、(A)ベースポリマーのホ
ットタックやヌレを良くすることができるものであれ
ば、特に限定されず、具体的には、前述したようなもの
が用いられる。
【0236】(D)低分子量ポリオレフィン このホットメルト接着剤で必要に応じて用いられる
(D)低分子量ポリオレフィンとしては、(i)炭素原
子数が2〜12のα−オレフィンの1種からなる単独重
合体または2種以上からなる共重合体であり、極限粘度
[η]が0.01〜0.6dl/gの範囲にあるポリオ
レフィン(ii)極限粘度[η]が0.01〜0.6dl
/gの範囲にある飽和で直鎖状または飽和で側鎖を有す
る炭化水素がある。
【0237】ポリオレフィン(i)において炭素原子数
が2〜12のα−オレフィンとしては、前述したような
ものが挙げられる。ポリオレフィン(i)の製造は、公
知の方法にしたがって行うことができる。例えば、高圧
ラジカル重合法、チーグラー触媒などの各種遷移金属化
合物触媒の存在下に行われる中・低圧重合法などの重合
法により製造法;または、前記重合法により高分子量単
独重合体または共重合体を製造した後、この高分子量単
独重合体または共重合体を熱減成もしくは過酸化物を使
用したラジカル減成法により低分子量化する熱分解方法
などを挙げることができる。
【0238】炭化水素(ii)としては、直鎖状のもの
(パラフィンワックス、サゾールワックス)、側鎖を有
するもの(マイクロワックス)が例示できる。これらの
ワックスは公知のものであり市場から入手可能である
が、これらのうちサゾールワックスの製法の例を以下に
示す。
【0239】たとえば石炭を蒸気と酸素を使ってガス化
し、主に一酸化炭素と水素とからなる合成ガスを得る。
この合成ガスをアーゲ法(ARGE process)として知
られている固定床触媒反応器に通して得られる反応物の
うちディーゼルエンジン油より思い物質は、真空蒸留法
を使って、第一の留分(成分はC18からC23)、第二留
分(成分はC22からC36)および第三の留分(C33
上)に分離される。このうち第三の留分は水素添加し
て、すべての不飽和炭化水素および酸素化合物は取除か
れる。このようにして得られるワックスがサゾールワッ
クスである。
【0240】このホットメルト接着剤は、前記(A)ベ
ースポリマーと、前記(B)粘着性付与剤と、前記
(C)α−オレフィン・環状オレフィン・共役ジエン共
重合体(不飽和性共重合体)とから形成されており
(A)ベースポリマー100重量部に対して、(B)粘
着性付与剤が10〜300重量部、好ましくは50〜2
00重量部、(C)α−オレフィン・環状オレフィン・
共役ジエン共重合体が10〜400重量部、好ましくは
30〜300重量部の量で配合されている。
【0241】このホットメルト接着剤組成物には、
(D)低分子量ポリオレフィンを(A)ベースポリマー
100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは
10〜80重量部の量で配合することができる。(D)
低分子量ポリオレフィンを配合すると、ホットメルト接
着剤組成物の溶融粘度を低下させ、作業性をさらに向上
させることができる。なお、(D)低分子量ポリオレフ
ィンを配合する場合は、(C)α−オレフィン・環状オ
レフィン・共役ジエン共重合体の極限粘度[η]は、
0.6を超えて10以下の範囲にあることが好ましい。
【0242】このホットメルト接着剤組成物には、前記
(A)ベースポリマー、前記(B)粘着性付与剤、前記
(C)α−オレフィン・環状オレフィン・共役ジエン共
重合体および(D)低分子量ポリオレフィン以外に、必
要に応じて、このホットメルト接着剤の目的を損なわな
い範囲において、軟化剤、安定剤、充填剤、酸化防止剤
などの各種配合剤を配合することができる。
【0243】このホットメルト接着剤組成物は、従来公
知の方法により製造することができ、前記(A)ベース
ポリマー、前記(B)粘着性付与剤、前記(C)α−オ
レフィン・環状オレフィン・共役ジエン共重合体、およ
び必要に応じて前記(D)低分子量ポリオレフィン、各
種配合剤を、所定の配合割合でブラベンダーなどの混合
機に供給し、加熱して溶融混合し、これを所望の形状、
例えば粒状、フレーク状、棒状などに形成することによ
って行うことができる。
【0244】このホットメルト接着剤組成物は、これを
加熱溶融して、布、クラフト紙、アルミ箔などの金属
箔、ポリエステルフィルムなどの樹脂成形品などの塗布
体に、通常の方法によって塗布されて接着剤層を形成
し、使用に供される。このホットメルト接着剤組成物
は、スチレン系重合体とポリオレフィンとを接着する場
合にも優れた接着性能を発揮する。
【0245】ラテックス組成物 本発明に係るα−オレフィン・環状オレフィン・共役ジ
エン共重合体は、ラテックス組成物としても使用でき
る。
【0246】このようなラテックス組成物は、(A)α
−オレフィン・環状オレフィン・共役ジエン共重合体1
00重量部、および(B)低分子量ポリエチレン、低分
子量エチレン・α−オレフィン共重合体および不飽和カ
ルボン酸系化合物変性低分子量ポリエチレン・α−オレ
フィン共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種
の低分子量重合体2〜50重量部を、界面活性剤の存在
下で水性媒体に均一に分散させて調製することができ
る。
【0247】このラテックス組成物は、固形分の平均粒
子径が0.1〜3.0μmの範囲にあることが望まし
い。また、固形分は架橋結合を有し、かつ熱トルエン不
溶解分含量が30重量%以上であることが好ましい。
【0248】上記低分子量重合体としては、常温でワッ
クス状のもの、常温で液体状のもののいずれも使用する
ことができ、具体的には、低分子量エチレン・α−オレ
フィン共重合体、不飽和カルボン酸系化合物変性低分子
量ポリエチレン、不飽和カルボン酸系化合物変性低分子
量エチレン・α−オレフィン共重合体などが挙げられ
る。
【0249】この低分子量ポリエチレンとしては、たと
えばポリエチレンワックスが挙げられる。低分子量ポリ
エチレンは、135℃、デカリン中で測定した極限粘度
[η]が0.01〜0.3dl/gの範囲にあることが
好ましい。
【0250】低分子量エチレン・α−オレフィン共重合
体としては、たとえばエチレン・プロピレン共重合体、
エチレン・1-ブテン共重合体などのエチレン・α−オレ
フィン共重合体が挙げられる。低分子量エチレン・α−
オレフィン共重合体は、135℃、デカリン中で測定し
た極限粘度[η]が0.01〜0.3dl/gの範囲に
あることが好ましい。
【0251】前記低分子量ポリエチレンおよび低分子量
エチレン・α−オレフィン共重合体は、不飽和カルボン
酸系化合物が共重合されていてもよく、また不飽和カル
ボン酸系化合物がグラフト変成されていてもよい。
【0252】不飽和カルボン酸系化合物としては、炭素
原子数が3〜20の不飽和カルボン酸およびその無水
物、アミド、イミド、エステルなどが挙げられ、具体的
には、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ノルボルネンジ
カルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ[2.2.
1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸などの不飽和カル
ボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラ
コン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2.2.
1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物などの不飽
和カルボン酸無水物;マレイン酸モノアミド、マレイン
酸ジアミド、マレイミドなどの不飽和カルボン酸アミド
またはイミド;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチ
ル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレ
イン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチ
ル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメ
チル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボ
ン酸ジメチル、グリシジル(メタ)アクリレートなどの
不飽和カルボン酸エステルなどが挙げられる。
【0253】これらのなかでは、マレイン酸、無水マレ
イン酸、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、
マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチ
ル、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0254】前記不飽和カルボン酸系化合物が共重合さ
れた低分子量ポリエチレン、低分子量エチレン・α−オ
レフィン共重合体、および前記不飽和カルボン酸系化合
物でグラフト変性された低分子量ポリエチレン、低分子
量エチレン・α−オレフィン共重合体では、不飽和カル
ボン酸系化合物から導かれる構成単位が、0.2〜50
重量%、好ましくは0.2〜30重量%の範囲にあるこ
とが望ましい。
【0255】また、前記不飽和カルボン酸系化合物が共
重合された低分子量ポリエチレン、低分子量エチレン・
α−オレフィン共重合体、および前記不飽和カルボン酸
系化合物でグラフト変性された低分子量ポリエチレン、
低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体は、135
℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜
0.3dl/gの範囲にあることが好ましい。
【0256】このような低分子量重合体(B)は、単独
でまたは2種以上組合わせて用いることができる。低分
子量重合体(B)は、共重合体ラテックス組成物を製造
するに際して不飽和性共重合体(A)を微細化させる機
能を果たす。
【0257】このような共重合体ラテックス組成物は、
上記のような(A)不飽和性共重合体を固形分として含
有している。本発明では共重合体ラテックス組成物は、
(B)低分子量重合体を含有していてもよい。低分子量
重合体(B)は、不飽和性共重合体(A)100重量部
当り2〜50重量部、好ましくは5〜40重量部の量で
含有されていることが望ましい。低分子量重合体(B)
の量が上記のような範囲内にあると、固形分を微細する
ことができ、得られる共重合体ラテックス組成物は貯蔵
安定性に優れ、樹脂改質材として使用した場合に耐衝撃
性の改質効果に優れる。
【0258】このような共重合体ラテックス組成物は、
(A)不飽和性共重合体、必要に応じて(B)低分子量
重合体を界面活性剤の存在下で、水性溶媒中に均一分散
させることにより製造することができる。より具体的に
は、たとえば(A)不飽和性共重合体と、ヘキサンなど
の炭化水素溶媒と、必要に応じて(B)低分子量重合体
とを混合し、撹拌して均一溶液とする。次に、界面活性
剤を分散させた水性媒体に、前記均一溶液を加え撹拌混
合して乳化液を得る。さらに該乳化液を50〜100℃
で加熱し、有機溶媒を揮発除去することにより共重合体
ラテックス組成物が得られる。
【0259】ここで水性媒体は、得られる共重合体ラテ
ックス組成物中の固形分の濃度が5〜65重量%の範囲
となるような量で用いられる。このような量で水性媒体
を用いると得られる共重合体ラテックス組成物のハンド
リング性が良好である。
【0260】界面活性剤としては、特に制限はなく、ア
ニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン
系界面活性剤などを用いることができる。本発明では、
アニオン系界面活性剤が好ましく、特に脂肪酸ナトリウ
ム、脂肪酸カリウムなどの脂肪酸の金属塩が好ましく用
いられる。界面活性剤の使用量は、用いる重合体成分の
種類によって異なるが、(A)不飽和性共重合体100
重量部当り通常0.2〜20重量部、好ましくは0.5
〜10重量部の量で用いられる。
【0261】また、このような共重合体ラテックス組成
物は、特開昭61−123664号公報に記載されてい
るような、二軸押出機を用いた高剪断下で転相させる方
法により製造することもできる。
【0262】このようにして得られた共重合体ラテック
ス組成物の固形分の平均粒子径は、0.1〜3.0μm
の範囲にあることが望ましい。本発明では、上記のよう
にして得られた共重合体ラテックス組成物に架橋処理を
施してもよい。架橋処理は、電離性放射線架橋、有機過
酸化物架橋などの公知の方法を用いて行なうことができ
る。
【0263】電離性放射線架橋に用いられる電離性放射
線としては、α線、β線、γ線、電子線、X線などが挙
げられる。電離性放射線の照射線量は、1〜50Mra
dの範囲であることが好ましい。電離性放射線架橋を行
なうに際して、共重合体ラテックス組成物に多官能性モ
ノマーを配分してもよく、多官能性モノマーとしては、
たとえば2個以上のエチレン性不飽和基、特にビニル基
を有するモノマーが好ましく用いられる。具体的には、
ジビニルベンゼン、テトラメチレンジアクリレート、グ
リセリルトリアクリレート、エチレングリコールジメタ
クリレート、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、テトタ
アリロキシエタンなどが挙げられる。多官能性モノマー
は、(A)不飽和性共重合体100重量部当り、通常
0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜5重量部の量
で用いられる。
【0264】有機過酸化物架橋は、共重合体ラテックス
組成物中に有機過酸化物を均一分散させた後、該有機過
酸化物の分解温度以上に加熱することにより行なわれ
る。有機過酸化物としては、10時間半減期温度が0℃
〜100℃である有機過酸化物が好ましく、具体的に
は、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、
t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシ-2
-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソプロ
ピルカーボネート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイル
パーオキシ)ヘキサン、3,5,5-トリメチルヘキサノイル
パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロ
ベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパ
ーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ジイソブチ
ルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)
パーオキシカーボネートなどが挙げられる。これらの有
機過酸化物は、単独でまたは2種以上組合わせて用いる
ことができる。有機過酸化物は、(A)不飽和性共重合
体100重量部当り、通常0.3〜20重量部、好まし
くは1〜10重量部の量で用いられる。
【0265】有機過酸化物架橋を行なうに際して、共重
合体ラテックス組成物に多官能性モノマーを配分しても
よく、多官能性モノマーとしては、前記と同様のものが
挙げられる。多官能性モノマーは、(A)不飽和性共重
合体100重量部当り、通常0.1〜20重量部、好ま
しくは0.3〜5重量部の量で用いられる。
【0266】有機過酸化物架橋の条件は、常圧、加圧の
いずれでもよいが、固形分の熱トルエン不溶解含量が3
0重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好まし
くは60重量%以上となるように設定することが望まし
い。具体的には、加熱時間を通常半減期の5〜7倍とす
ることが好ましい。固形分の熱トルエン不溶解含量は、
架橋度を示すものであり、熱トルエン不溶解含量が上記
の範囲にあると、架橋共重合体ラテックス組成物を樹脂
改質材として用いた場合に、耐衝撃性の改質効果が優れ
る。
【0267】このようにして得られた架橋共重合体ラテ
ックス組成物の固形分の平均粒子径は、0.1〜3.0
μmの範囲にあることが望ましい。本発明に係る架橋共
重合体ラテックス組成物は、貯蔵安定性に優れ、樹脂改
質材として使用した場合に、耐衝撃性、表面光沢の改質
効果に優れる。
【0268】本発明に係る架橋共重合体ラテックス組成
物には、その用途に応じて顔料、増粘剤、可塑剤、防腐
剤、消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、老化防止剤など
の公知の配合剤を、従来公知の配合量で配合することが
できる。これらの配合剤は、架橋前の共重合体ラテック
ス組成物中に配合してもよい。
【0269】本発明に係る(架橋)共重合体ラテックス
組成物は、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS
樹脂)、変成ポリフェニレンオキシド(変成PPO樹
脂)などの熱可塑性樹脂の樹脂改質材として用いること
ができ、この場合には、(架橋)共重合体ラテックス組
成物を乾燥して用いる。また、(架橋)共重合体ラテッ
クス組成物の存在下にアクリロニトリルなどを乳化グラ
フト重合させて、樹脂改質材として用いることもでき
る。
【0270】本発明に係る(架橋)共重合体ラテックス
組成物により改質された、AS樹脂、変成PPO樹脂
は、耐候性、耐溶剤性、耐衝撃性、表面光沢に優れ、家
電製品のハウジング、インパネなどの自動車内装部品、
フロントグリルなどの自動車外装部品などに用いられ
る。
【0271】本発明に係るα−オレフィン・環状オレフ
ィン・共役ジエン共重合体は、他の種々の樹脂とブレン
ドして組成物として用いることができる。このような組
成物としては、例えば本発明に係る不飽和性共重合体
と、ポリオレフィン樹脂とからなる組成物がある。
【0272】ここで用いられるポリオレフィン樹脂は、
結晶性ポリオレフィン、非晶性ポリオレフィンの何れで
あってもよく、また複数種のポリオレフィン樹脂の混合
物であってもよい。
【0273】結晶性ポリオレフィンとしては、炭素原子
数が2〜20のα−オレフィンまたは環状オレフィンの
単独重合体または共重合体が挙げられる。また、非晶性
ポリオレフィンとしては、1種類以上の炭素原子数が2
〜20のα−オレフィンと1種類以上の環状オレフィン
との共重合体が挙げられる。
【0274】この炭素原子数が2〜20のα−オレフィ
ンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2ーブテ
ン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、
4,4ージメチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メ
チル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-
ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、1-オクテン、3-
メチル-1-ブテン、1-ノネン、1-デセン、1−ウンデセ
ン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-
オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。
【0275】環状オレフィンとしてはシクロペンテン、
シクロヘプテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、5-エ
チル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2-エチ
ル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ
ナフタレンなどが挙げられる。
【0276】結晶性ポリオレフィン樹脂の具体的な例と
しては、下記の(1)〜(11)に示すような(共)重
合体が挙げらる。 (1)エチレン単独重合体(製法は、低圧法、高圧法の
いずれでも良い) (2)エチレンと、20モル%以下の他のα−オレフィ
ンまたはビニルモノマー(例:酢酸ビニル、エチルアク
リレートなど)または環状オレフィンとの共重合体 (3)プロピレン単独重合体 (4)プロピレンと20モル%以下の他のα−オレフィ
ンとのランダム共重合体 (5)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィ
ンとのブロック共重合体 (6)1-ブテン単独重合体 (7)1-ブテンと20モル%以下の他のα−オレフィン
とのランダム共重合体 (8)4-メチル-1-ペンテン単独重合体 (9)4-メチル-1-ペンテンと20モル%以下の他のα
−オレフィンとのランダム共重合体 (10)シクロペンテン単独重合体 (11)シクロペンテンと20モル%以下の他のα−オ
レフィンとのランダム共重合体など。
【0277】上記(1)〜(11)における「他のα−
オレフィン」としては、上記例示のα−オレフィンのう
ちでは好ましくは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、
4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンが用い
られる。また、環状オレフィンとしては、好ましくはシ
クロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、テトラ
シクロドデセンが用いられる。
【0278】このような結晶性ポリオレフィン樹脂は、
メルトフローレート(ASTM D1238-65T に従い23
0℃、2.16kg荷重の条件下に測定)が0.01〜
100g/10分、好ましくは0.3〜70g/10分の範
囲にあることが望ましい。また、X線回折法により求め
た結晶化度は通常5〜100%、好ましくは20〜80
%の範囲にある。
【0279】このような結晶性ポリオレフィン樹脂は、
従来より公知の方法により製造することができる。非晶
性ポリオレフィン樹脂の具体的な例としては、以下のよ
うな(共)重合体を挙げることができる。 (1)ノルボルネンの単独重合体 (2)エチレンとノルボルネンの共重合体、またはエチ
レンとノルボルネンと他のα−オレフィンとの共重合体
(Tgが70℃以上のもの) (3)エチレンとテトラシクロドデセンの共重合体、ま
たはエチレンとテトラシクロドデセンと他のα−オレフ
ィンとの共重合体(Tgが70℃以上のもの) これらの中では、上記(3)プロピレン単独重合体また
は(5)ブロック重合体が好ましい。
【0280】なお、この組成物には充填材が配合されて
いてもよく、充填材としては、特に制限なく一般に用い
られるものを用いることができる。具体的には、例え
ば、微粉末タルク、カオリナイト、焼成クレー、バイオ
フィライト、セリサイト、ウォラスナイトなどの珪酸
塩、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸
マグネシウムなどの炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸
化マグネシウムなどの水酸化物、酸化亜鉛、亜鉛華、酸
化マグネシウムなどの酸化物、含水珪酸カルシウム、含
水珪酸アルミニウム、含水珪酸、無水珪酸などの合成珪
酸または珪酸塩などの粉末状充填材;マイカなどのフレ
ーク状充填材;塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チ
タン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィ
スカー、セピオライト、PMF(Processed Mineral Fi
ber)、ゾノトライト、チタン酸カリ、エレスタダイト
などの繊維状充填材;ガラスバルン、フライアッシュバ
ルンなどのバルン状充填材などの無機充填材が挙げられ
る。
【0281】このような組成物においてポリオレフィン
樹脂は、不飽和性共重合体、ポリオレフィン樹脂、充填
材の合計量を100重量部として、1〜99重量部、好
ましくは10〜85重量部、さらに好ましくは20〜8
0重量部の割合で用いられる。ポリオレフィン樹脂を、
上記のような割合で含有すると、得られる組成物は、耐
衝撃性および耐寒性に優れるとともに、剛性、強度、耐
熱性、成形性に優れる。また、不飽和性共重合体は、不
飽和性共重合体、ポリオレフィン樹脂、充填材の合計量
を100重量部として、10〜90重量部、好ましくは
15〜80重量部、さらに好ましくは20〜75重量
部、特に好ましくは50〜75重量部の割合で用いられ
る。不飽和性共重合体を、上記のような割合で含有する
と、得られる組成物は、耐衝撃性、耐候傷性および熱安
定性に優れるとともに、剛性、強度、耐熱性に優れる。
【0282】また、本発明に係る不飽和性共重合体と他
の樹脂からなる組成物としては、不飽和性共重合体と、
ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエ
ーテル樹脂およびポリフェニレンスルフィド樹脂から選
ばれる少なくとも1種の樹脂(以下「熱可塑性樹脂」と
もいう。)とからなる組成物がある。
【0283】ポリエステル樹脂としては、ポリエチレン
テレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ
トリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロ
ヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリブチレンナフタレートなどの芳香族ポリ
エステルが挙げられる。このようなポリエステルは、2
5℃のo-クロロフェノール中で測定した固有粘度が0.
2〜2.0dl/gの範囲にあることが好ましい。
【0284】ポリアミド樹脂としては、ポリカプロアミ
ド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナ
イロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロ
ン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6
10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン61
2)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン11
6)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリド
デカンアミド(ナイロン12)、ポリトリメチルヘキサ
メチレンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンイソフ
タルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタル/イソフタ
ルアミド、ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン
ドデカミド、ポリビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキ
シル)メタンドデカミド、ポリメタキシリレンアジパミ
ド、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド、ポリウン
デカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミドおよびこれ
らの共重合ポリアミド、混合ポリアミドなどが挙げられ
る。このようなポリアミドは、25℃の96%硫酸中で
測定した固有粘度が0.2〜0.6dl/gの範囲にあ
ることが好ましい。
【0285】ポリフェニレンエーテル樹脂としては、ポ
リ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2
-メチル-6-エチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ
(2,6-ジエチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-
エチル-6-n-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ
(2,6-n-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2
-メチル-6-n-ブチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ
(2-エチル-6-イソプロピル-1,4-フェニレン)エーテ
ル、ポリ(2-エチル-6-ヒドロキシエチル-1,4-フェニレ
ン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-クロロエチル-1,4-フ
ェニレン)エーテルなどが挙げられる。このようなポリ
フェニレンエーテルは、30℃のクロロホルム溶液中で
測定した極限粘度が0.2〜1.0dl/gのの範囲に
あることが好ましい。
【0286】なお、この組成物には上記のような無機充
填材が配合されていてもよい。このような組成物におい
て本発明に係る不飽和性共重合体は、不飽和性共重合
体、熱可塑性樹脂および充填材の合計量を100重量部
として、10〜90重量部、好ましくは15〜80重量
部、さらに好ましくは20〜75重量部の割合で用いら
れる。
【0287】不飽和性共重合体を上記のような割合で用
いると、耐衝撃性、耐候傷性、熱安定性に優れるととも
に、剛性、強度、耐熱性に優れた成形体を提供し得る、
成形性に優れた組成物が得られる。
【0288】さらに、本発明に係る不飽和性共重合体と
他の樹脂からなる組成物としては、不飽和性共重合体
と、ジエン系ゴム、ニトリルゴムおよび/または水素化
ニトリルゴム、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム
などのゴムとからなるゴム組成物がある。
【0289】ジエン系ゴムとしては、従来公知のジエン
系ゴムが用いられ、具体的には、天然ゴム(NR)、イ
ソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(S
BR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム
(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NB
R)などが挙げられる。
【0290】天然ゴムとしては、グリーンブック(天然
ゴム各種等級品の国際品質包装標準)により規格化され
た天然ゴムが一般に用いられる。また、IRとしては、
比重が0.91〜0.94であり、ムーニー粘度[ML
1+4(100℃)]が30〜120であるイソプレン
ゴムが一般に用いられる。
【0291】SBRとしては、比重が0.91〜0.9
8であり、ムーニー粘度[ML1+4(100℃)]が
20〜120であるSBRが一般に用いられる。BRと
しては、比重が0.90〜0.95であり、ムーニー粘
度[ML1+4(100℃)]が20〜120であるB
Rが一般に用いられる。
【0292】これらのジエン系ゴムは、1種単独でまた
は2種以上組合わせて用いることができる。前記ジエン
系ゴムのうち、機械的強度のバランスが良好なイソプレ
ン系ゴム、すなわち天然ゴムまたはイソプレンゴムが好
ましく用いられる。
【0293】ニトリルゴムは、ブタジエンとアクリロニ
トリルを主成分とする共重合体であり、具体的には、ア
クリロニトリル含量が10〜40重量%、ムーニー粘度
〔ML1+4(100℃)〕が20〜100の範囲にあ
るものが用いられる。
【0294】また水素化ニトリルゴムは、上記のような
ニトリルゴムを水添して得られるゴムであり、具体的に
は、ヨウ素価が2〜40の範囲にあるものが用いられ
る。ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムは、1種単独で
または2種以上組合わせて用いることができる。
【0295】(B)エチレン・α−オレフィン共重合体
ゴムは、主としてエチレンから導かれる構成単位とα−
オレフィンから導かれる構成単位とから構成されるが、
さらに構成単位としてポリエン成分を含有してもよい。
【0296】α−オレフィンとしては、炭素原子数が3
〜8のα−オレフィンが用いられ、具体的には、プロピ
レン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1
-ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられ、なかでもプロ
ピレン、1-ブテンが好ましく用いられる。
【0297】エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムを
構成するエチレンから導かれる構成単位とα−オレフィ
ンから導かれる構成単位とのモル比(エチレン/α−オ
レフィン)は、50/50〜95/5、好ましくは55
/45〜93/7、さらに好ましくは60/40〜91
/9である。
【0298】また、ポリエン成分としては、非共役ポリ
エンが用いられ、具体的には、1,4-ヘキサジエン、5-メ
チレン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネ
ン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-イソプロペニル-2-ノ
ルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエ
ンおよび前記(iv)非共役トリエンまたはテトラエンな
どが挙げられる。これらのなかでは、5-エチリデン-2-
ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、8-メチル-4-エ
チリデン-1,7-ノナジエン(EMND)が好ましく用い
られる。
【0299】これらの非共役ポリエンから導かれる構成
単位は、0.1〜10モル%、好ましくは0.5〜7モ
ル%、さらに好ましくは1〜5モル%の割合で含有され
ていることが望ましい。またこれらの非共役ポリエンか
ら導かれる構成単位を含有するエチレン・α−オレフィ
ン共重合体ゴムのヨウ素価は、1〜50、好ましくは4
〜40、さらに好ましくは6〜30の範囲にあることが
望ましい。
【0300】このエチレン・α−オレフィン共重合体ゴ
ムの135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度
[η]は、0.8〜5dl/g、好ましくは0.9〜4
dl/g、さらに好ましくは1.0〜3dl/gであ
る。この極限粘度[η]が5dl/gを超えると、組成
物の加硫速度が劣る傾向にあり、一方極限粘度[η]が
0.8dl/g未満になると、得られる加硫物の強度特
性が低下する傾向にある。
【0301】ゴム組成物は、該組成物を形成する不飽和
性共重合体(A)と、ジエン系ゴム、ニトリルゴムおよ
び/または水素化ニトリルゴム、エチレン・α−オレフ
ィン共重合体ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム
(B)との重量比〔(A)/(B)〕が1/99〜99
/1、好ましくは2/98〜80/20、より好ましく
は2/98〜70/30の範囲にある。
【0302】ゴム組成物には充填材を添加してもよく。
このような充填剤として具体的には、SRF、GPF、
FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、M
Tなどのカーボンブラック、微粉ケイ酸などのゴム補強
剤;軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タル
ク、クレー、シリカなどの充填材を配合してもよい。こ
れらのゴム補強材および充填材の種類および配合量は、
ゴム組成物の種類により適宜選択できるが、配合量は通
常不飽和性共重合体とゴムとの合計量100重量部に対
して300重量部以下、好ましくは200重量部以下で
ある。
【0303】本発明に係るゴム組成物は、不飽和性共重
合体と、ジエン系ゴム、ニトリルゴムおよび/または水
素化ニトリルゴム、エチレン・α−オレフィン共重合体
ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴムと、必要に応じ
て充填材などを配合し、従来公知の方法で混練すること
により製造することができる。
【0304】上記のようなゴム組成物は、未加硫のまま
でも用いることができるが、該組成物を加硫して加硫物
として用いた場合に最もその特性を発揮することができ
る。すなわち、得られるゴム組成物は、加硫速度が速
く、しかも強度特性、耐候性、耐オゾン性に優れた加硫
物を得ることができる。
【0305】ゴム組成物から加硫物を製造するには、通
常一般のゴムを加硫するときと同様に、実加硫の配合ゴ
ムを一度調製し、次にこの配合ゴムを意図する形状に成
形した後に加硫を行なえばよい。加硫方法としては、加
硫剤を使用する方法、および電子線を照射する方法のい
ずれを採用してもよい。
【0306】加硫方法として加硫剤を使用する方法を採
用すう場合は、未加硫の配合ゴムは、不飽和性共重合体
と、ジエン系ゴム、ニトリルゴムおよび/または水素化
ニトリルゴム、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム
から選ばれる少なくとも1種のゴムと、加硫剤および、
必要に応じて前述の加硫促進剤、加硫助剤、充填材、軟
化剤などを混合し混練することにより調製することがで
きる。
【0307】加硫方法として電子線を照射する方法を採
用すう場合は、未加硫の配合ゴムは、不飽和性共重合体
と、ジエン系ゴム、ニトリルゴムおよび/または水素化
ニトリルゴム、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム
から選ばれる少なくとも1種のゴムと、必要に応じて前
述の充填材、軟化剤などを混合し混練することにより調
製することができる。
【0308】未加硫の配合ゴム中の不飽和性共重合体
と、ジエン系ゴム、ニトリルゴムおよび/または水素化
ニトリルゴム、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム
から選ばれる少なくとも1種のゴムとの配合量は、意図
する加硫物の性能、用途に応じて適宜選択できるが、通
常20重量%以上、好ましくは25重量%以上である。
また、不飽和性共重合体(A)と、ジエン系ゴム、ニト
リルゴムおよび/または水素化ニトリルゴム、エチレン
・α−オレフィン共重合体ゴムから選ばれる少なくとも
1種のゴム(B)との重量比〔(A)/(B)〕が1/
99〜99/1、好ましくは2/98〜80/20、よ
り好ましくは2/98〜70/30の範囲にある。
【0309】本発明に係る不飽和性共重合体を含む加硫
物は、耐熱性、耐候性、防振性および耐動的疲労性に優
れるとともに、制振性、防振性、強度特性に優れてい
る。このような加硫物は、タイヤ、防振ゴム、振動部の
カバー材などの自動車工業部品;ゴムロール、ベルトな
どの工業用ゴム製品;電気絶縁材;土木建材用品;ゴム
引布などの用途に用いることができる。
【0310】なかでも、耐動的疲労性の要求される用途
には優れた性能を発揮し、たとえばタイヤサイドウォー
ル、防振ゴム、ゴムロール、ベルト、ホース、ワイパー
ブレード、各種パッキンなどに好ましく用いられる。
【0311】さらに、不飽和性共重合体を含むゴム組成
物からは発泡体を製造することもでき、発泡体を製造す
る場合には、通常ゴムに使用される発泡剤、および必要
に応じて発泡助剤を配合し発泡させることにより製造で
きる。これらの発泡剤は不飽和性共重合体(A)と、ジ
エン系ゴム、ニトリルゴムおよび/または水素化ニトリ
ルゴム、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムから選
ばれる少なくとも1種のゴム(B)との合計量100重
量部に対して0.5〜30重量部、好ましくは1〜20
重量部の量で用いられる。得られる発泡体のみかけ比重
は、通常0.03〜0.7の範囲である。得られた発泡
体は、断熱材、断熱材、クッション材、シーリング材、
ホースなどの用途に用いることができる。
【0312】本発明に係る不飽和性共重合体は、結晶性
ポリオレフィンとともに、有機過酸化物の存在下で動的
に熱処理して、熱可塑性エラストマー組成物とすること
もできる。
【0313】このような熱可塑性エラストマー組成物
は、(A)不飽和性共重合体および(B)結晶性ポリオ
レフィンを、有機過酸化物の存在下に動的に熱処理して
得られる。
【0314】結晶性ポリオレフィン樹脂(B)として
は、炭素原子数2〜20のα−オレフィンの単独重合体
または共重合体が挙げられる。ここでα−オレフィンと
して具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-
メチル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが挙
げられる。
【0315】結晶性ポリオレフィン樹脂(B)の具体的
な例としては、以下のような(共)重合体が挙げられ
る。 (1)エチレン単独重合体(製法は、低圧法、高圧法の
いずれでも良い) (2)エチレンと、10モル%以下の他のα−オレフィ
ンまたは酢酸ビニル、エチルアクリレートなどのビニル
モノマーとの共重合体 (3)プロピレン単独重合体 (4)プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィ
ンとのランダム共重合体 (5)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィ
ンとのブロック共重合体 (6)1-ブテン単独重合体 (7)1-ブテンと10モル%以下の他のα−オレフィン
とのランダム共重合体 (8)4-メチル-1- ペンテン単独重合体 (9)4-メチル-1- ペンテンと20モル%以下の他のα
−オレフィンとのランダム共重合体 これらの中で特に好ましく用いられる結晶性ポリオレフ
ィン樹脂としては(3)プロピレン単独重合体、(4)
プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとの
ランダム共重合体、(5)プロピレンと30モル%以下
の他のα−オレフィンとのブロック共重合体が挙げられ
る。
【0316】結晶性ポリオレフィン樹脂は、230℃荷
重2.16kgで測定したメルトフローレートが0.1
〜100g/10分、好ましくは0.3〜60g/10分の
範囲内にあることが望ましい。
【0317】熱可塑性エラストマー組成物を製造するに
際して(A)不飽和性共重合体は90〜40重量部、好
ましくは85〜50重量部、(B)結晶性ポリオレフィ
ンは10〜60重量部、好ましくは15〜50重量部
(但し、(A)、(B)の合計は100重量部)の量で
用いられる。
【0318】本発明では、前記(A)不飽和性共重合体
と(B)結晶性ポリオレフィンとからオレフィン系熱可
塑性エラストマー組成物を製造する際に、さらに下記の
ような(C)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエ
ン共重合体、(D)ペルオキシド非架橋型炭化水素系ゴ
ム、(E)軟化剤を配合してもよい。
【0319】エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエ
ン共重合体(C)は、エチレンと炭素原子数が3〜20
のα−オレフィンと非共役ポリエンとからなる共重合体
である。ここで、α−オレフィンとして具体的には、エ
チレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテ
ン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられる。
【0320】非共役ポリエンとして具体的には、ジシク
ロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオクタジエ
ン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネンな
どのジエン、および非共役トリエンまたはテトラエンが
挙げられる。
【0321】エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエ
ン共重合体(C)は、エチレン単位とα−オレフィン単
位との比(エチレン/α−オレフィン、モル比)は、9
0/10〜50/50の範囲にあることが好ましい。
【0322】また、エチレン・α−オレフィン・非共役
ポリエン共重合体(C)のムーニー粘度ML1+4(1
00℃)は、通常10〜250、好ましくは40〜15
0の範囲にあることが望ましく、ヨウ素価は、25以下
であることが好ましい。
【0323】エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエ
ン共重合体(C)は、オレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物中においては、通常架橋された状態で存在して
いる。
【0324】エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエ
ン共重合体(C)を配合すると、耐寒性がさらに優れる
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
ペルオキシド非架橋型炭化水素系ゴム(D)とは、ペル
オキシド(有機過酸化物)の存在下で、その分解温度以
上の温度で動的に熱処理を行っても、架橋せず、流動性
が低下しない炭化水素系のゴム状物質をいう。具体的に
はブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、プロピレン含量
が50モル%以上のプロピレン・エチレン共重合体ゴ
ム、プロピレン・1-ブテン共重合体ゴム等を挙げること
ができる。この中では、ブチルゴムまたはポリイソブチ
レンゴムが特に好ましく用いられる。
【0325】これらのペルオキシド非架橋型炭化水素系
ゴム(D)を配合すると、成形性および成形外観がさら
に優れる熱可塑性エラストマー組成物が得られる。軟化
剤(E)としては、従来ゴムに配合されている軟化剤が
広く用いられ、具体的には、上記で例示した軟化剤、お
よびジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジ
オクチルセバケート等のエステル系可塑剤、その他マイ
クロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエンまたは
その変性物あるいは水添物、液状チオコール等を例示す
ることができる。
【0326】軟化剤(E)を添加すると、成形時の流動
性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が
得られるが、下記割合より多く用いると得られる組成物
の機械物性が低下することがある。
【0327】(A)不飽和性共重合体および(B)結晶
性ポリオレフィンに加えて、(C)エチレン・α−オレ
フィン・非共役ポリエン共重合体、(D)ペルオキシド
非架橋型炭化水素系ゴムおよび(E)軟化剤から選ばれ
る少なくとも1つの成分を用いてオレフィン系熱可塑性
エラストマー組成物を製造する際は、(A)不飽和性オ
レフィン系共重合体は85〜10重量部、好ましくは6
5〜15重量部の量で用いられ、(B)結晶性ポリオレ
フィンは10〜60重量部、好ましくは15〜50重量
部の量で用いられ、(C)エチレン・α−オレフィン・
非共役ポリエン共重合体1〜50重量部、好ましくは5
〜40重量部の量で用いられ、(D)ペルオキシド非架
橋型炭化水素系ゴムは、1〜20重量部、より好ましく
は5〜15重量部の量で用いられ、(E)軟化剤は、1
〜40重量部、好ましくは10〜35重量部(但し、
(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の合計は10
0重量部)の量で用いられる。
【0328】より具体的には、以下のような組合せおよ
び量で用いられる。 (1) (A)不飽和性共重合体:85〜10重量部、 (B)結晶性ポリオレフィン:10〜60重量部、およ
び (C)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重
合体:1〜50重量部(但し、(A)、(B)、(C)
の合計は100重量部)。
【0329】(2) (A)不飽和性共重合体:85〜10重量部、 (B)結晶性ポリオレフィン:10〜60重量部、およ
び (D)ペルオキシド非架橋型炭化水素系ゴム:1〜20
重量部(但し、(A)、(B)、(D)の合計は100
重量部)。
【0330】(3) (A)不飽和性共重合体:85〜10重量部、 (B)結晶性ポリオレフィン:10〜60重量部、およ
び (E)軟化剤:1〜40重量部(但し、(A)、
(B)、(E)の合計は100重量部)。
【0331】(4) (A)不飽和性共重合体:85〜10重量部、 (B)結晶性ポリオレフィン:10〜60重量部、 (C)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重
合体:1〜50重量部、および (D)ペルオキシド非架橋型炭化水素系ゴム:1〜20
重量部(但し、(A)、(B)、(C)、(D)の合計
は100重量部)。
【0332】(5) (A)不飽和性共重合体:85〜10重量部、 (B)結晶性ポリオレフィン:10〜60重量部、 (D)ペルオキシド非架橋型炭化水素系ゴム:1〜20
重量部、および (E)軟化剤:1〜40重量部(但し、(A)、
(B)、(D)、(E)の合計は100重量部)。
【0333】(6) (A)不飽和性共重合体:85〜10重量部、 (B)結晶性ポリオレフィン:10〜60重量部、 (C)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重
合体:1〜50重量部、および (E)軟化剤:1〜40重量部(但し、(A)、
(B)、(C)、(E)の合計は100重量部)。
【0334】(7) (A)不飽和性共重合体:85〜10重量部、 (B)結晶性ポリオレフィン:10〜60重量部、 (C)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重
合体:1〜50重量部、(D)ペルオキシド非架橋型炭
化水素系ゴム:1〜20重量部、および (E)軟化剤:1〜40重量部(但し、(A)、
(B)、(C)、(D)、(E)の合計は100重量
部)。
【0335】このような熱可塑性エラストマー組成物に
は、必要に応じて、さらにSEBS、SEPS、水添S
BR等スチレン系共重合体、ポリスチレン、ポリエステ
ル、ナイロン等の樹脂、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候
安定剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、滑剤などの添加
物を配合することができる。
【0336】熱可塑性エラストマー組成物は、不飽和性
共重合体(A)および結晶性ポリオレフィン(B)から
なる混合物を、有機過酸化物の存在下で動的に熱処理し
て得られるものであり、不飽和性共重合体(A)が架橋
された熱可塑性エラストマー組成物である。なお、不飽
和性オレフィン系共重合体(A)と結晶性ポリオレフィ
ン(B)とが架橋する場合もある。
【0337】また、熱可塑性エラストマー組成物は、不
飽和性共重合体(A)および結晶性ポリオレフィン
(B)に、さらにエチレン・α−オレフィン・非共役ジ
エン共重合体(C)、ペルオキシド非架橋型炭化水素系
ゴム(D)および軟化剤(E)から選ばれる少なくとも
1種の成分を加えた混合物を、有機過酸化物の存在下で
動的に熱処理して得られるものであり、不飽和性共重合
体(A)同士、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエ
ン共重合体(C)同士および、不飽和性共重合体(A)
とエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体
(C)とが架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物である。なお、不飽和性共重合体(A)と結晶
性ポリオレフィン(B)、結晶性ポリオレフィン樹脂
(B)とエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重
合体(C)とが架橋する場合もある。
【0338】ここで本発明において、「動的に熱処理す
る」とは溶融状態で前記各成分を混練することを意味す
る。本発明において使用される有機過酸化物の例として
は、前記と同様のものが挙げられる。
【0339】これらのうちでは、臭気性、スコーチ安定
性の点で、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert- ブチルペル
オキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ- (tert- ブ
チルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチル
ペルオキシイソプロピル)ベンゼンが好ましく、なかで
も、2,5-ジメチル-2,5- ジ- (tert- ブチルペルオキ
シ)ヘキサンが最も好ましい。有機過酸化物は、被架橋
処理物の主成分である不飽和性共重合体(A)と、結晶
性ポリオレフィン(B)と、エチレン・α−オレフィン
・非共役ジエン共重合体(C)との合計量100重量%
に対して、0.05〜2重量%、好ましくは0.1〜
1.6重量%の割合で用いられる。
【0340】前記各成分を有機過酸化物の存在下に動的
に処理するに際して、硫黄、p-キノンジオキシム、p,p'
- ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N-4- ジニ
トロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニ
ジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニレンジマ
レイミドなどのペルオキシ架橋用助剤、またはジビニル
ベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコー
ルジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリ
レート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ト
リメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタ
クリレートなどの多官能性メタクリレートモノマー、ビ
ニルブチラート、ビニルステアレートなどの多官能性ビ
ニルモノマーを用いることができる。
【0341】このような化合物を用いることにより、均
一かつ緩和な架橋反応が期待できる。前記化合物のなか
では、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニルベン
ゼンは、取扱い易く、被架橋処理物の主成分である不飽
和性共重合体(A)と、結晶性ポリオレフィン(B)
と、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体
(C)との相溶性が良好であり、かつ、有機過酸化物を
可溶化する作用を有し、有機過酸化物の分散剤として働
くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動性と物性
とのバランスのとれたオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物が得られる。
【0342】架橋助剤、多官能性メタクリレートモノマ
ー、多官能性ビニルモノマーは、被架橋処理物全体に対
して、0.05〜3重量%、特に0.1〜2重量%の割
合で用いることが好ましい。架橋助剤、多官能性メタク
リレートモノマー、多官能性ビニルモノマーの配合割合
が3重量%を超えると、有機過酸化物の配合量が多い場
合には、架橋反応が速く進行し過ぎるため、得られるオ
レフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、流動性に劣
り、一方、有機過酸化物の配合量が少ない場合には、架
橋助剤、多官能性メタクリレートモノマー、多官能性ビ
ニルモノマーが、オレフィン系熱可塑性エラストマー組
成物中に未反応のモノマーとして残存し、オレフィン系
熱可塑性エラストマー組成物は、加工成形の際に熱履歴
による物性の変化が生じたりする。したがって、架橋助
剤、多官能性メタクリレートモノマー、多官能性ビニル
モノマーは、過剰に配合すべきではない。
【0343】動的な熱処理は、非開放型の装置中で行う
ことが好ましく、また、窒素等の不活性ガス中で行うこ
とが好ましい。熱処理時の温度は通常(B)結晶性ポリ
オレフィンの融点から300℃までの範囲であり、混練
時間は1〜10分であることが好ましい。また、加えら
れる剪断力は500〜10,000sec-1の範囲であ
ることが望ましい。混練装置としては、ミキシングロー
ル、インテンシブミキサー例えばバンバリーミキサー、
ニーダー、一軸または二軸押出機などを用いることがで
きるが、非開放型の装置が好ましい。
【0344】本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラス
トマー組成物は、不飽和性共重合体(A)およびエチレ
ン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(C)が架
橋されているが、この「架橋された」とは、下記の方法
で測定したゲル含量が20%以上である場合をいう。ゲ
ル含量が前記範囲より少ないとゴム弾性が低下する傾向
にある。
【0345】[ゲル含量の測定法]試料として熱可塑性
エラストマー組成物のペレット(サイズ:0.5×0.
5×0.5mm)を約100mg秤量し、密閉容器中に
て30mlのシクロヘキサンに、23℃で48時間浸漬
する。
【0346】次に、この試料を濾紙上に取り出し、室温
にて恒量になるまで72時間以上乾燥する。この乾燥残
査の重量からポリマー成分以外の全てのシクロヘキサン
不溶成分(充填剤、顔料、繊維状フィラー等)の重量お
よび、シクロヘキサン浸漬前の試料中の(B)結晶性ポ
リオフィン成分の重量を減じたものを「補正された最終
重量(Y)」とする。
【0347】一方、試料の架橋性成分、すなわち不飽和
性共重合体(A)およびエチレン・α−オレフィン・非
共役ジエン共重合体(C)の重量の合計を「補正された
初期重量(X)」とする。これらの値から次式によって
ゲル含有量が決定される。
【0348】ゲル含有量(%)=(補正された最終重量
(Y))/(補正された初期重量(X))×100 また、上記のようにして得られる熱可塑性エラストマー
組成物は、必要に応じて結晶性オレフィン(F)と混合
して使用することができる。このとき用いられる結晶性
ポリオレフィン(F)としては、上述の結晶性ポリオレ
フィン(B)と同様の結晶性ポリオレフィンが挙げられ
る。
【0349】結晶性ポリオレフィン(F)の量は、オレ
フィン系熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対
し、5〜200重量部、好ましくは5〜100重量部で
ある。結晶性ポリオレフィン(F)を混合することによ
り、成形加工性が改良される傾向にある。しかしなが
ら、前記範囲より多く結晶性ポリオレフィン(F)を用
いると、エラストマー本来の柔軟性が損なわれるばかり
でなく、ゴム弾性が低下する傾向にある。
【0350】熱可塑性エラストマー組成物と結晶性ポリ
オレフィン(F)とを混合する場合には従来公知の方法
を用いることができ、たとえば、オレフィン系熱可塑性
エラストマー組成物と、結晶性ポリオレフィン(F)と
を、押出機、ニーダー等を用いて機械的にブレンドする
方法が用いられる。
【0351】なお、このような熱可塑性エラストマー組
成物において、不飽和性共重合体(A)と結晶性ポリオ
レフィン(F)と、エチレン・α−オレフィン・非共役
ジエン共重合体(C)と結晶性ポリオレフィン(F)
は、架橋していない。
【0352】このような熱可塑性エラストマー組成物
は、ゴム弾性および引張強度に優れ、かつ成形性および
成形外観に優れている。また、表面硬度および耐スクラ
ッチ性にも優れている。
【0353】
【発明の効果】本発明によれば、耐候性、耐熱性などに
優れ、ガラス転移温度が低く耐寒性に優れ、しかも架橋
効率および変性効率に優れ、特に有機過酸化物を用いた
場合の架橋効率、変性効率に優れ、また安価で経済効率
よく工業的に製造し得る不飽和性共重合体が提供され
る。
【0354】また本発明によれば、上記のような優れた
諸特性を有する不飽和性共重合体を、効率よく工業的に
製造し得るような方法が提供される。
【0355】
【実施例】以下、本発明について実施例に基づいてさら
に具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何
等限定されるものではない。
【0356】なお、物性試験は以下の条件で行った。 [引張試験]JIS K 6301に従って引張強度
(TB)および伸び(EB)を測定する。
【0357】[硬さ試験]JIS K 6301に従っ
てJIS A硬度(HS)を測定する。 [融点(Tm)またはガラス転移温度(Tg)]DSC
の吸熱曲線を求め、最大ピーク位置の温度を融点(T
m)またはガラス転移温度(Tg)とする。
【0358】測定は、試料をアルミパンに詰め、10℃
/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した
後、20℃/分で−150℃まで降温し、次いで10℃
/分で昇温する際の吸熱曲線により求めた。
【0359】[極限粘度]135℃のデカリン中で測定
した。 [Mw/Mn]ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)を用いて、o-ジクロロベンゼン溶媒で14
0℃で測定した。
【0360】
【実施例1】触媒の予備活性化 窒素置換を十分に行ったガラス容器に、公知の方法で合
成した(ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-
η5-シクロペンタジエニル)シラン)ジクロライドチタ
ン13.5mgと、0.808ミリモル/mlのメチル
アルモキサンのトルエン溶液(以下「MAO」と略す)
を22.86ml(アルミニウム原子換算で22.05
ミリモル)加え、23℃で15分間超音波照射を行い触
媒溶液を調製した。
【0361】重合 減圧乾燥および窒素置換してある2リットルのオートク
レーブに、常温でトルエン460.8mlとノルボルネ
ン15mlを加え、続いて攪拌下にエチレンを6kg/
cm2-G まで加圧した後脱圧し、この加圧脱圧操作を3
回繰り返した。その後、エチレン常圧下で、1,3-ブタジ
エンを18ml(25℃、1気圧)加え、30℃に到達
させた。その後系内をエチレンで6kg/cm2-G とな
るように加圧し、先ほど調製した触媒溶液6.22ml
を加え、エチレンとノルボルネンと1,3-ブタジエンの共
重合を開始させた。この時の触媒濃度は、全系に対して
(ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シ
クロペンタジエニル)シラン)ジクロライドチタンが
0.02ミリモ/リットル、MAOが6.0ミリモル/
リットルであった。重合中、エチレンを連続的に供給す
ることにより内圧を6kg/cm2-G に保持した。15
分後、重合反応をメチルアルコールを添加することによ
り停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、水1リ
ットルに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液と1:1
の割合で用いて洗浄し、触媒残渣を水相に移行させた。
この接触混合溶液を静置したのち、水相を分離除去し、
さらに蒸留水で2回水洗し、重合液相を油水分離した。
次いで油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強
攪拌下に接触させ、重合体を析出させたのち、アセトン
で十分に洗浄し、固体部(共重合体)を濾過により採取
した。窒素流通下、130℃、350mmHgで12時
間乾燥した。
【0362】以上のようにして得られたエチレン・ノル
ボルネン・1,3-ブタジエン共重合体の収量は3.2g、
135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.4
dl/g、ガラス転移温度(Tg)は−24℃、ヨウ素
価は21g/100g、エチレン含量は85.8モル
%、ノルボルネン5.9モル%、5員環構造は4.9モ
ル%、シクロプロパン環構造は0.2モル%、1,2付
加構造(3,4付加体を含む)は0.8モル%、1,4
付加構造は2.4モル%、活性は1.3kg/ミリモル
Zr・hrであった。結果を表4に示す。
【0363】
【実施例2】プロピレンを5500ml(25℃、1気
圧)追加し、1,3-ブタジエンを13mlに、ノルボルネ
ンを20mlに、反応温度20℃に変えた以外は、実施
例1と同様な操作を行った。
【0364】得られたエチレン・プロピレン・ノルボル
ネン・1,3-ブタジエン共重合体の収量は1.2g、13
5℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.5dl
/g、ガラス転移温度Tgは−35℃、ヨウ素価は1
6.4g/100g、エチレン含量は65.0モル%、
プロピレン含量は21.7モル%、ノルボルネン含量
6.8モル%、5員環構造は4.1モル%、シクロプロ
パン環構造は0.1モル%、1,2付加構造(3,4付
加体を含む)は0.5モル%、1,4付加構造は1.8
モル%、活性は1.0kg/ミリモルZr・hrであっ
た。結果を表4に示す。
【0365】
【表4】
【0366】
【実施例3】 <加硫ゴムの製造>前記実施例2にて製造した共重合
体、亜鉛華、ステアリン酸、HAFカーボンブラック
(HAF旭#70TM(旭カーボン社製))、ジクミル
ペルオキシド(DCP−40C)をそれぞれ下記のよう
な量で加えてオープンロール(前ロール/後ロール:5
0/60℃、16/18rpm)で混練し、未加硫の配
合ゴムを得た。 (配合組成) 実施例2で製造した共重合体 :100重量部 亜鉛華 :5重量部 ステアリン酸 :1重量部 HAFカーボンブラック :50重量部 ジクミルペルオキシド(DCP−40C) :7重量部 上記のようにして得られた未加硫の配合ゴムを170℃
に加熱されたプレスにより15分間加熱し、加硫物シー
トを作製し、前述したような条件下に引張試験、硬さ試
験を行った。
【0367】引張強度TB (MPa)は18であり、伸
びEB (%)は190であり、硬度HS(JIS A)
は74であった。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素原子数2〜12の直鎖状または分岐鎖
    状α−オレフィンと、環状オレフィンと、共役ジエン単
    量体とを共重合させて得られ、示差走査型熱量計(DS
    C)で測定したガラス転移温度(Tg)が25℃以下で
    あることを特徴とする不飽和性共重合体。
  2. 【請求項2】炭素原子数2〜12の直鎖状または分岐鎖
    状α−オレフィンと、 下記一般式(i)または(ii)で表される環状オレフィ
    ンと、 【化1】 (式中、nは0または1であり、mは0または正の整数
    であり、qは0または1であり、R1 〜R18ならびにR
    a およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、
    水素原子、ハロゲン原子またはハロゲンで置換されてい
    てもよい炭化水素基を示し、R15〜R18は互いに結合し
    て単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環ま
    たは多環は二重結合を有していてもよく、またR15とR
    16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成し
    ていてもよい。) 【化2】 (式中、pおよびqは0または正の整数であり、mおよ
    びnは0、1または2であり、R1 〜R19は、互いに同
    一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、
    ハロゲンで置換されていてもよい炭化水素基またはアル
    コキシ基を示し、R9 またはR10が結合している炭素原
    子と、R13が結合している炭素原子またはR11が結合し
    ている炭素原子とは直接または炭素原子数1〜3のアル
    キレン基を介して結合していてもよく、またn=m=0
    のときR15とR12またはR15とR19とは互いに結合して
    単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。) 下記一般式(I)で表される共役ジエン単量体とを共重
    合させて得られるランダム共重合体であって、 【化3】 (式中、R1 およびR2 は、互いに同一でも異なってい
    てもよく、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基ま
    たはアリール基を示し、R1 およびR2 の少なくとも一
    方は水素原子である。) (a)該共重合体中において上記一般式(I)で表され
    る共役ジエン単量体から導かれた1,2付加体(3,4
    付加体を含む)は共重合体中の側鎖に二重結合を形成し
    ており、また1,4付加体は、共重合体中の主鎖に二重
    結合を形成しており、上記1,2付加体に由来する側鎖
    の二重結合と1,4付加体に由来する主鎖の二重結合と
    の比(1,2付加体に由来する側鎖二重結合/1,4付
    加体に由来する主鎖二重結合)が5/95〜99/1で
    あり、(b)共重合体の主鎖中に上記側鎖の二重結合か
    ら導かれた5員環を有し、(c)上記各付加体の二重結
    合と5員環との比(各付加体の合計二重結合/5員環)
    が20/80〜90/10であり、(d)環状オレフィ
    ンに由来する構成単位が0.1〜60モル%の量で含ま
    れており、(e)示差走査型熱量計(DSC)で測定し
    たガラス転移温度(Tg)が25℃以下であることを特
    徴とする不飽和性共重合体。
  3. 【請求項3】上記共重合体中には、共役ジエン単量体由
    来の構成単位が合計0.01〜30モル%の量で含まれ
    ている請求項1に記載の不飽和性共重合体。
  4. 【請求項4】上記共役ジエン単量体が、1,3-ブタジエン
    である請求項1〜3のいずれかに記載の不飽和性共重合
    体。
  5. 【請求項5】上記共役ジエン単量体が、イソプレンであ
    る請求項1〜3のいずれかに記載の不飽和性共重合体。
  6. 【請求項6】上記α−オレフィンが、エチレン単独で
    あるか、またはエチレンと炭素原子数3〜12のα−
    オレフィンとの組み合わせであり、の場合はエチレン
    /炭素原子数3〜12のα−オレフィン(モル比)が、
    99/1〜40/60であること特徴とする請求項1〜
    5のいずれかに記載の不飽和性共重合体。
  7. 【請求項7】上記環状オレフィンが、ノルボルネンまた
    はテトラシクロドデセンである請求項1〜6のいずれか
    に記載の不飽和性共重合体。
  8. 【請求項8】上記共重合体の主鎖中に、さらにシクロプ
    ロパン環を有する請求項1〜7のいずれかに記載の不飽
    和性共重合体。
  9. 【請求項9】上記共重合体のヨウ素価が、1〜50g/
    100gであり、135℃のデカリン中で測定した極限
    粘度[η]が、0.01〜10dl/gの範囲にある請
    求項1〜8のいずれかに記載の不飽和性共重合体。
  10. 【請求項10】示差走査型熱量計(DSC)で測定した
    融点(Tm)のピークが110℃以下である請求項1〜
    9のいずれかに記載の不飽和性共重合体。
  11. 【請求項11】請求項1〜10のいずれかに記載の不飽
    和性共重合体が、不飽和カルボン酸またはその誘導体に
    てグラフト変性されており、これら不飽和カルボン酸ま
    たはその誘導体のグラフト量が0.01〜30重量%の
    範囲にあることを特徴とする変性共重合体。
  12. 【請求項12】請求項1〜10のいずれかに記載の不飽
    和性共重合体が、芳香族ビニル化合物にてグラフト変性
    されており、芳香族ビニル化合物のグラフト量が0.0
    1〜30重量%の範囲にあることを特徴とする変性共重
    合体。
  13. 【請求項13】(イ)請求項1〜10のいずれかに記載
    の不飽和性共重合体と、(ロ)架橋剤および/または充
    填材とを含有することを特徴とする不飽和性共重合体含
    有エラストマー組成物。
  14. 【請求項14】請求項1〜10のいずれかに記載の不飽
    和性共重合体を、 炭素原子数2〜12の直鎖状または分岐鎖状α−オレフ
    ィンと、上記一般式(i)または(ii)で表される環状
    オレフィンと、上記一般式(I)で表される共役ジエン
    単量体とを触媒の存在下に共重合させて製造するに際し
    て、 上記触媒として、(a)下記一般式(II)または(II
    I)で表される遷移金属錯体と、(b)成分(a)中の
    遷移金属Mと反応しイオン性の錯体を形成する化合物、
    (c)有機アルミニウム化合物および(d)アルモキサ
    ンから選択される1種以上の化合物と、からなる少なく
    とも1つの触媒系を用いることを特徴とする不飽和性共
    重合体の製造方法; 【化4】 (式(II)および(III)中、MはTi、Zr、Hf、
    Rn、Nd、SmまたはRuを示し、Cp1 およびCp
    2 はMとπ結合しているシクロペンタジエニル基、イン
    デニル基、フルオレニル基またはそれらの誘導体基を示
    し、X1 およびX 2 は、アニオン性配位子または中性ル
    イス塩基配位子を示し、YはN、O、PまたはS原子を
    含有する配位子を示し、ZはC、O、B、S、Ge、S
    iもしくはSn原子またはこれらの原子を含有する基を
    示す。)。
JP19466697A 1997-07-18 1997-07-18 不飽和性共重合体およびその製造方法ならびに変性共重合体および不飽和性共重合体組成物 Pending JPH1135634A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19466697A JPH1135634A (ja) 1997-07-18 1997-07-18 不飽和性共重合体およびその製造方法ならびに変性共重合体および不飽和性共重合体組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19466697A JPH1135634A (ja) 1997-07-18 1997-07-18 不飽和性共重合体およびその製造方法ならびに変性共重合体および不飽和性共重合体組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1135634A true JPH1135634A (ja) 1999-02-09

Family

ID=16328297

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19466697A Pending JPH1135634A (ja) 1997-07-18 1997-07-18 不飽和性共重合体およびその製造方法ならびに変性共重合体および不飽和性共重合体組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1135634A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002097318A (ja) * 2000-09-20 2002-04-02 Jsr Corp ウェザーストリップ
WO2003068831A1 (fr) * 2002-02-14 2003-08-21 Nippon Petrochemicals Co., Ltd. Polymere diene conjugue bicyclique et copolymere diene conjugue bicyclique
JP2017203106A (ja) * 2016-05-11 2017-11-16 横浜ゴム株式会社 ノルボルネン−ジエン共重合体の製造方法
WO2019171679A1 (ja) * 2018-03-05 2019-09-12 株式会社ブリヂストン 共重合体、共重合体の製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
CN111819209A (zh) * 2018-03-05 2020-10-23 株式会社普利司通 共聚物、共聚物的制造方法、橡胶组合物以及轮胎
JPWO2019097853A1 (ja) * 2017-11-16 2020-12-03 株式会社ブリヂストン 共重合体、共重合体の製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
CN114685718A (zh) * 2020-12-31 2022-07-01 江苏博睿光电股份有限公司 一种环烯烃共聚物及其制备方法和应用
CN114829421A (zh) * 2019-12-18 2022-07-29 米其林集团总公司 乙烯与1,3-二烯的共聚物
CN116162193A (zh) * 2023-02-02 2023-05-26 歌尔光学科技有限公司 环烯烃共聚物、光学制品及电子设备
CN116162193B (zh) * 2023-02-02 2024-05-24 歌尔光学科技有限公司 环烯烃共聚物、光学制品及电子设备

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002097318A (ja) * 2000-09-20 2002-04-02 Jsr Corp ウェザーストリップ
WO2003068831A1 (fr) * 2002-02-14 2003-08-21 Nippon Petrochemicals Co., Ltd. Polymere diene conjugue bicyclique et copolymere diene conjugue bicyclique
US7034095B2 (en) 2002-02-14 2006-04-25 Nippon Petrochemicals Co., Ltd. Bicyclic conjugated diene polymer and bicyclic conjugated diene copolymer
JP2017203106A (ja) * 2016-05-11 2017-11-16 横浜ゴム株式会社 ノルボルネン−ジエン共重合体の製造方法
JPWO2019097853A1 (ja) * 2017-11-16 2020-12-03 株式会社ブリヂストン 共重合体、共重合体の製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
WO2019171679A1 (ja) * 2018-03-05 2019-09-12 株式会社ブリヂストン 共重合体、共重合体の製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
CN111819209A (zh) * 2018-03-05 2020-10-23 株式会社普利司通 共聚物、共聚物的制造方法、橡胶组合物以及轮胎
CN114829421A (zh) * 2019-12-18 2022-07-29 米其林集团总公司 乙烯与1,3-二烯的共聚物
CN114829421B (zh) * 2019-12-18 2024-05-24 米其林集团总公司 乙烯与1,3-二烯的共聚物
CN114685718A (zh) * 2020-12-31 2022-07-01 江苏博睿光电股份有限公司 一种环烯烃共聚物及其制备方法和应用
CN116162193A (zh) * 2023-02-02 2023-05-26 歌尔光学科技有限公司 环烯烃共聚物、光学制品及电子设备
CN116162193B (zh) * 2023-02-02 2024-05-24 歌尔光学科技有限公司 环烯烃共聚物、光学制品及电子设备

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6310164B1 (en) Unsaturated copolymers, processes for preparing the same, and compositions containing the same
JPH1180269A (ja) 不飽和性共重合体、その製造方法および該共重合体系組成物
EP2767551B1 (en) Ethylene-based copolymer, composition containing the copolymer, and molded article and film or sheet formed of the copolymer or the composition
JP5287018B2 (ja) 非共役環状ポリエン系共重合体を含むゴム組成物
KR100385786B1 (ko) 불포화성 올레핀계 공중합체, 그 제조방법 및 용도
JP3483176B2 (ja) エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体および該共重合体の用途
WO2001038410A9 (fr) Caoutchouc de polymere d'ethylene, procede de production correspondant et utilisation
JPH1135634A (ja) 不飽和性共重合体およびその製造方法ならびに変性共重合体および不飽和性共重合体組成物
WO1998031540A1 (fr) Moulage vulcanise a revetement decoratif, composition de resine thermoplastique peinte et composition elastomere peinte
WO1990012818A1 (en) HIGHER α-OLEFIN COPOLYMER, METHOD OF PRODUCTION THEREOF, PRODUCT OF VULCANIZATION THEREOF, AND VULCANIZABLE RUBBER COMPOSITION
JP2003268043A (ja) エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体およびその用途
JP4364407B2 (ja) 架橋可能なゴム組成物およびその用途
JP3852189B2 (ja) 変性エチレン系共重合ゴム
JP5626797B2 (ja) 低粘度エチレン系共重合体を含有するゴム組成物およびゴム成形品
JP2000319331A (ja) α−オレフィン/極性基含有ビニルモノマー/ポリエン共重合体およびその製造方法
JP2000319332A (ja) α−オレフィン/極性基含有ビニルモノマー共重合体およびその製造方法
JP2001047577A (ja) 軟質ポリプロピレン組成物からなる層を含む積層体
JP5661528B2 (ja) エチレン系共重合体、共重合体組成物およびゴム成形品
JP3640116B2 (ja) 不飽和性オレフィン系共重合体、製造方法および用途
KR100299078B1 (ko) 불포화 공중합체, 이 공중합체의 제조방법 및 이공중합체를 함유한 조성물
JP3918384B2 (ja) エチレン系共重合体ゴム、その製造方法および加硫可能なゴム組成物
JP3876466B2 (ja) ウェザーストリップ用ゴム組成物
JP3578431B2 (ja) 不飽和性オレフィン系共重合体およびその製造方法
JP3611388B2 (ja) 不飽和性高級α−オレフィン系共重合体およびその製造方法
JP3742497B2 (ja) ポリエン系エラストマー組成物