JPH1135455A - コラーゲン産生促進剤、及びこれを含有する皮膚の老化防止用又は創傷治癒促進用皮膚外用剤 - Google Patents

コラーゲン産生促進剤、及びこれを含有する皮膚の老化防止用又は創傷治癒促進用皮膚外用剤

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JPH1135455A
JPH1135455A JP20969697A JP20969697A JPH1135455A JP H1135455 A JPH1135455 A JP H1135455A JP 20969697 A JP20969697 A JP 20969697A JP 20969697 A JP20969697 A JP 20969697A JP H1135455 A JPH1135455 A JP H1135455A
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skin
oil
geraniol
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collagen production
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Hideji Mori
秀司 森
Yuri Okano
由利 岡野
Hitoshi Masaki
仁 正木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真皮線維芽細胞におけるコラーゲン産生を促
進してマトリックス線維を充実させることのできるコラ
ーゲン産生促進剤を得、さらにこれを含有させることに
より、皮膚の老化症状や肌荒れ症状の改善又は進行を防
止し、創傷の治癒の促進にも有効な皮膚外用剤を提供す
る。 【解決手段】 ゲラニオール(Geraniol,(E)-3,7-Dime
thyl-2,6-octadien-1-ol又は2,6-Dimethyl-2,6-octadie
n-8-ol)を基剤に含有させてコラーゲン産生促進剤と
し、さらにゲラニオールをコラーゲン産生促進剤として
含有させ、皮膚の老化防止又は創傷治癒促進に特に有用
な皮膚外用剤とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真皮線維芽細胞に
おけるコラーゲンの産生を促進する効果を有するコラー
ゲン産生促進剤、及び皮膚のしわ,弾性低下といった老
化症状や肌荒れ症状の改善又は進行防止、或いは皮膚の
創傷の治癒を促進するのに有用な皮膚外用剤に関する。
さらに詳しくは、ゲラニオールを有効成分として含有す
るコラーゲン産生促進剤、及びゲラニオールをコラーゲ
ン産生促進剤として含有して成る皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】加齢や紫外線等外来ストレスにより生じ
るしわ,しみの発生、皮膚弾性の低下といった皮膚の老
化症状には、皮膚真皮の線維芽細胞の機能低下や、マト
リックス線維の減少又は分解が重要な要因となってい
る。また、真皮線維芽細胞におけるマトリックス線維の
生成は、炎症の進行,創傷の治癒過程において重要な役
割を担うことが報告されている。
【0003】従って、皮膚の老化の防止,改善や、抗炎
症,創傷治癒作用を有する皮膚外用剤を得るため、線維
芽細胞賦活作用或いは増殖促進作用を有する成分や、コ
ラゲナーゼ阻害剤、コラーゲン,ヒアルロン酸の産生促
進剤等の検索と配合が試みられてきた。たとえば、線維
芽細胞の賦活或いは増殖促進剤としては、ビワ抽出物
(特公平5−17206),α-ヒドロキシ酢酸(特開
平5−112422),α-ヒドロキシ酸のステロール
エステル(特開平8−104632),6-ベンジルアミ
ノプリン(特開平7−233037),特定のリボヌク
レアーゼ(特開平7−309778),L-リシル-L-グ
リシル-L-ヒスチジン(特開平7−316192),乳
汁由来線維芽細胞増殖因子(特開平8−11986
7),酸化型コエンザイムA(特開平8−17596
1)等が、コラーゲン代謝改善剤としてはケイ酸関連物
質(特開平7−188036)が、コラーゲン合成促進
剤としてはグリシン,プロリン,アラニン併用系(特開
平7−194375)が、ヒアルロン酸産生促進剤とし
ては、牛血清の分子量5,000以下の低分子量画分
(特開平8−239404),酵母エキス(特開平8−
163983)等が開示されている。
【0004】しかしながら、上記した真皮線維芽細胞賦
活効果を有する成分等の中には、作用効果が不十分であ
ったり、安定性が悪かったりして、皮膚外用剤基剤中に
含有させた場合、有効な効果を得るにはかなりの量を含
有させなければならないものも存在していた。また、好
ましくない副作用や刺激性等を有していたり、製剤安定
性に悪影響を及ぼすものや、臭いや色の点で外用剤に配
合しにくいもの、一定の作用,品質を維持することの困
難なものも多かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明において
は、真皮線維芽細胞におけるコラーゲン産生を促進して
マトリックス線維を充実させることのできるコラーゲン
産生促進剤を得、さらにこれを含有させることにより、
皮膚の老化症状や肌荒れ症状の改善又は進行を防止し、
創傷の治癒の促進にも有効な皮膚外用剤を提供すること
を目的とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、有効なコラーゲン産生促進作用を有し、且つ安定性
及び安全性にも優れる物質を検索したところ、香料成分
であるゲラニオールが非常に優れたコラーゲン産生促進
作用を有することを見いだし、これをコラーゲン産生促
進剤として利用することにより、本発明を完成した。
【0007】すなわち本発明においては、ゲラニオール
を基剤に含有させてコラーゲン産生促進剤とし、さらに
ゲラニオールをコラーゲン産生促進剤として含有させ、
皮膚の老化防止又は創傷治癒促進に特に有用な皮膚外用
剤とする。
【0008】ゲラニオール(Geraniol,(E)-3,7-Dimeth
yl-2,6-octadien-1-ol又は2,6-Dimethyl-2,6-octadien-
8-ol)はパルマローザ油,ローズ油,ゼラニウム油,シ
トロネラ油中に主成分として含まれ、またリナロエ油,
ラベンダー油,イランイラン油,ネロリ油等の植物精油
中に広く存在する香料物質である。ローズ系の調合香料
に用いられ、また化粧料や各種石けん,洗剤,家庭用品
の着香料、飲料,アイスクリーム,キャンデー,製パ
ン,チューイングガム,ゼラチンデザート等の食品用フ
レーバーとしても用いられている。
【0009】上記の通り、ゲラニオールは香料物質とし
てはよく知られた物質であるが、今回本発明者等によ
り、はじめて線維芽細胞におけるコラーゲン産生促進作
用を有することが見いだされた。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に係るコラーゲン産生促進
剤は、ゲラニオールをエタノール,エーテル,植物油,
プロピレングリコール,鉱物油等の溶媒に溶解して調製
することができる。また、ローション,乳剤,ゲル,ク
リーム等の基剤に溶解して提供することもできる。
【0011】次に、本発明に係る皮膚の老化防止又は創
傷治癒用皮膚外用剤は、ローション剤,乳剤,ゲル剤,
クリーム剤,軟膏等の剤型で提供することができ、さら
に化粧水,乳液,クリーム,パック等の皮膚化粧料、メ
イクアップベースローション,メイクアップベースクリ
ーム,液状又はクリーム状或いは軟膏型のファンデーシ
ョン,アイカラー,チークカラーといったメイクアップ
化粧料、ハンドクリーム,レッグクリーム,ボディロー
ション等の身体用化粧料などとしても提供することがで
きる。皮膚外用剤中のゲラニオールの含有量としては、
外用剤基剤中でのバイオアベイラビリティ等を考慮し
て、0.01〜1.0重量%程度が適当である。
【0012】さらに本発明に係るコラーゲン産生促進剤
及び皮膚外用剤には、他のコラーゲン産生促進剤,活性
酸素消去剤,抗炎症剤,美白剤,皮膚細胞賦活剤,殺菌
剤の他、油類,界面活性剤,保湿剤,紫外線吸収剤,粉
体,香料,防腐剤等、一般的な外用剤及び化粧料原料を
も含有させることができる。
【0013】
【実施例】続いて本発明の特徴について、実施例により
さらに詳細に説明する。
【0014】まず、ゲラニオールをエタノール及びプロ
ピレングリコールにそれぞれ1.0(W/V)%となるよう
に溶解し、実施例1及び実施例2とした。これらのコラ
ーゲン産生促進作用を、ヒト由来線維芽細胞を用いて評
価した。
【0015】ヒト由来線維芽細胞を、1ウェル当たり
2.0×104個となるように96穴マイクロプレート
に播種し、牛胎仔血清0.5容量%を添加したダルベッ
コ最少必須培地(DMEM)にて24時間培養した後、
実施例1及び実施例2を、それぞれゲラニオールの最終
濃度が0.03(W/V)%及び0.06(W/V)%となるよう
に添加した前記培地に交換し、さらに7日間培養した
後、培養上清中に含まれるプロコラーゲンを、市販の定
量用キット(Takara Procollagen TypeI C-PeptideEIA
Kit)を用いて酵素免疫測定法(ELISA)により定
量した。その際、本発明の実施例1又は実施例2を添加
しないで培養を続けた系を対照とした。結果は、対照に
おけるコラーゲン産生量を100として表1に示した。
【0016】
【表1】 表1に示したように、本発明の実施例1及び実施例2を
添加した場合、ゲラニオールの最終濃度が0.03(W/
V)%で対照の1.24倍及び1.27倍、0.06(W/
V)%で対照の1.47倍及び1.52倍と、コラーゲン
産生が著しく促進されていた。
【0017】続いて、本発明に係る皮膚の老化防止用或
いは創傷治癒促進用皮膚外用剤について、実施例の処方
を示す。
【0018】 [実施例3] 皮膚用ローション剤 (1)エタノール 10.0(重量%) (2)ヒドロキシエチルセルロース 1.0 (3)コラーゲン産生促進剤(実施例1) 2.5 (4)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (5)精製水 86.4 製法:(5)に(1)〜(4)を順次添加溶解し、均一とする。
【0019】 [実施例4] 皮膚用乳剤 (1)ステアリン酸 0.2(重量%) (2)セタノール 1.5 (3)ワセリン 3.0 (4)流動パラフィン 7.0 (5)ポリオキシエチレン(10E.O.)モノオレイン酸 1.5 エステル (6)酢酸トコフェロール 0.5 (7)グリセリン 5.0 (8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (9)トリエタノールアミン 1.0 (10)精製水 77.2 (11)コラーゲン産生促進剤(実施例1) 3.0 製法:(1)〜(6)の油相成分を混合,加熱して均一に溶解
し、70℃に保つ。一方、(7)〜(10)の水相成分を混
合,加熱して均一とし、70℃とする。この水相成分に
前記油相成分を攪拌しながら徐々に添加して乳化し、冷
却した後40℃にて(11)を添加,混合する。
【0020】 [実施例5] 皮膚用ゲル剤 (1)ジプロピレングリコール 10.0(重量%) (2)カルボキシビニルポリマー 0.5 (3)水酸化カリウム 0.1 (4)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (5)精製水 84.3 (6)コラーゲン産生促進剤(実施例2) 5.0 製法:(5)に(2)を均一に溶解した後、(1)に(4)を溶解し
て添加し、次いで(3)を加えて増粘させ、(6)を添加,混
合する。
【0021】 [実施例6] 皮膚用クリーム (1)ミツロウ 6.0(重量%) (2)セタノール 5.0 (3)還元ラノリン 8.0 (4)スクワラン 27.5 (5)グリセリル脂肪酸エステル 4.0 (6)親油型グリセリルモノステアリン酸エステル 2.0 (7)ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 5.0 モノラウリン酸エステル (8)プロピレングリコール 5.0 (9)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (10)精製水 31.4 (11)コラーゲン産生促進剤(実施例2) 6.0 製法:(1)〜(7)の油相成分を混合,溶解して75℃に加
熱する。一方、(8)〜(10)の水相成分を混合,溶解して
75℃に加熱する。次いで、上記水相成分に油相成分を
添加して予備乳化した後、ホモミキサーにて均一に乳化
し、冷却後40℃にて(11)を添加,混合する。
【0022】 [実施例7] 水中油型乳剤性軟膏 (1)白色ワセリン 25.0(重量%) (2)ステアリルアルコール 25.0 (3)グリセリン 12.0 (4)ラウリル硫酸ナトリウム 1.0 (5)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (6)精製水 31.9 (7)コラーゲン産生促進剤(実施例1) 2.5 (8)コラーゲン産生促進剤(実施例2) 2.5 製法:(1)〜(4)の油相成分を混合,溶解して均一とし、
75℃に加熱する。一方、(5)を(6)に溶解して75℃に
加熱し、これに前記油相成分を添加して乳化し、冷却後
40℃にて(7),(8)を添加,混合する。
【0023】 [実施例8] 化粧水 (1)エタノール 10.0(重量%) (2)1,3-ブチレングリコール 5.0 (3)コラーゲン産生促進剤(実施例1) 2.0 (4)精製水 83.0 製法:(1)〜(3)を順次(4)に添加して均一に混合,溶解
する。
【0024】 [実施例9] エモリエントクリーム(油中水型) (1)流動パラフィン 30.0(重量%) (2)マイクロクリスタリンワックス 2.0 (3)ワセリン 5.0 (4)ジグリセリルジオレイン酸エステル 5.0 (5)L-グルタミン酸ナトリウム 1.6 (6)L-セリン 0.4 (7)プロピレングリコール 3.0 (8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (9)精製水 47.4 (10)コラーゲン産生促進剤(実施例2) 5.5 製法:(5),(6)を(9)の一部に溶解して50℃とし、5
0℃に加熱した(4)に攪拌しながら徐々に添加する。こ
れをあらかじめ混合し70℃に加熱溶解した(1)〜(3)に
均一に分散し、これに(7),(8)を(9)の残部に溶解して
70℃に加熱したものを攪拌しながら添加し、ホモミキ
サーにて乳化する。冷却後、40℃にて(10)を添加,混
合する。
【0025】 [実施例10] メイクアップベースクリーム (1)ステアリン酸 12.0(重量%) (2)セタノール 2.0 (3)グリセリルトリ2-エチルヘキサン酸エステル 2.5 (4)自己乳化型グリセリルモノステアリン酸エステル 2.0 (5)プロピレングリコール 10.0 (6)水酸化カリウム 0.3 (7)精製水 64.7 (8)酸化チタン 1.0 (9)ベンガラ 0.1 (10)黄酸化鉄 0.4 (11)コラーゲン産生促進剤(実施例2) 5.0 製法:(1)〜(4)の油相成分を混合し、75℃に加熱して
均一とする。一方(5)〜(7)の水相成分を混合し、75℃
に加熱,溶解して均一とし、これに(8)〜(10)の顔料を
添加し、ホモミキサーにて均一に分散させる。この水相
成分に前記油相成分を添加し、ホモミキサーにて乳化し
た後冷却し、40℃にて(11)を添加,混合する。
【0026】 [実施例11] 乳液状ファンデーション (1)ステアリン酸 2.00(重量%) (2)スクワラン 5.00 (3)ミリスチン酸オクチルドデシル 5.00 (4)セタノール 1.00 (5)デカグリセリルモノイソパルミチン酸エステル 9.00 (6)1,3-ブチレングリコール 6.00 (7)水酸化カリウム 0.10 (8)パラオキシ安息香酸メチル 0.10 (9)精製水 53.62 (10)酸化チタン 9.00 (11)タルク 7.40 (12)ベンガラ 0.50 (13)黄酸化鉄 1.10 (14)黒酸化鉄 0.10 (15)ゲラニオール 0.08 製法:(1)〜(5)の油相成分を混合し、75℃に加熱して
均一とする。一方(6)〜(9)の水相成分を混合し、75℃
に加熱,溶解して均一とし、これに(10)〜(14)の顔料を
添加し、ホモミキサーにて均一に分散させる。この水相
成分に前記油相成分を添加し、ホモミキサーにて均一に
乳化した後冷却し、40℃にて(15)を添加,混合する。
【0027】 [実施例12] ハンドクリーム (1)セタノール 4.0(重量%) (2)ワセリン 2.0 (3)流動パラフィン 10.0 (4)グリセリルモノステアリン酸エステル 1.5 (5)ポリオキシエチレン(60E.O.)グリセリル 2.5 イソステアリン酸エステル (6)酢酸トコフェロール 0.5 (7)グリセリン 20.0 (8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (9)精製水 59.3 (10)ゲラニオール 0.1 製法:(1)〜(6)の油相成分を混合,溶解して75℃に加
熱する。一方、(7)〜(9)の水相成分を混合,溶解して7
5℃に加熱する。次いで、上記水相成分に油相成分を添
加して予備乳化した後、ホモミキサーにて均一に乳化し
て冷却し、40℃にて(10)を添加,混合する。
【0028】上記本発明の実施例3〜実施例12につい
て、抗炎症作用及び創傷治癒促進効果を評価した。その
際、各実施例において、本発明に係るコラーゲン産生促
進剤を、これらの溶媒であるエタノール又はプロピレン
グリコールに代替し、またゲラニオールを、これを含有
しない香料に代替したものをそれぞれ比較例1〜比較例
10として、同時に評価した。評価は、人工的に炎症又
は創傷を形成した1群5匹のマウスを用い、各群に実施
例及び比較例をそれぞれ0.5gずつ1日2回7日間塗
布し、7日目に炎症部位及び創傷部位の状態を観察して
行った。抗炎症作用については「有効」,「やや有
効」,「無効」、創傷治癒促進効果については「完全治
癒」,「ほぼ治癒」,「治癒不完全」の3段階でそれぞ
れ評価し、各評価を得たマウスの数にて表2に示した。
【0029】
【表2】 表2より明らかなように、抗炎症作用については、本発
明の実施例塗布群ではいずれにおいても無効と評価され
たマウスは見られず、2例以上のマウスにおいて有効な
抗炎症作用が認められていた。また創傷治癒促進効果に
ついても、本発明の実施例塗布群では創傷治癒の不完全
なマウスはいずれにおいれも認められておらず、1例以
上のマウスで完全な治癒を認めていた。なお、抗酸化剤
である酢酸トコフェロールとともにゲラニオールを含有
する実施例4及び実施例12については、非常に良好な
抗炎症作用及び創傷治癒促進効果が見られていた。
【0030】これに対し比較例塗布群では、酢酸トコフ
ェロールを含有する比較例2及び比較例10塗布群でや
や有効な抗炎症作用の認められたマウスが3例及び2例
見られ、比較例4及び比較例5塗布群で各1例にやや有
効な抗炎症作用が見られた他は、何らかの抗炎症作用の
認められたマウスは見られなかった。また、比較例2及
び比較例10塗布群で創傷がほぼ治癒したマウスがそれ
ぞれ2例及び3例見られ、比較例4,比較例5及び比較
例7塗布群で各1例創傷のほぼ治癒したマウスが見られ
た他は、いずれの塗布群においてもマウスの創傷治癒は
不完全であった。
【0031】続いて、実施例3〜実施例12及び比較例
1〜比較例10について、肌荒れ症状の改善効果を評価
した。評価は、乾燥や炎症等による顕著な肌荒れ症状を
有する女性パネラー20名を1群とし、各群に実施例及
び比較例のそれぞれをブラインドにて1日2回ずつ2カ
月間連続使用させ、2カ月後の皮膚の状態を観察し、使
用開始前と比較して行った。皮膚の肌荒れ症状は表3に
示す判定基準に従って点数化し、20名の平均値を算出
し、表4に示した。
【表3】
【0032】
【表4】 表4より、本発明の実施例使用群では、いずれにおいて
も顕著な肌荒れ症状の改善が認められている。特に、酢
酸トコフェロールを併用した実施例4及び実施例12に
ついては、ほぼ全パネラーにおいて皮膚の状態がほぼ良
好な状態にまで改善されていた。これに対し、ゲラニオ
ールを含有しない比較例使用群では、酢酸トコフェロー
ルを含有する比較例2及び比較例10使用群で若干の改
善を認めた他は、いずれの使用群においても有意な改善
は認められなかった。
【0033】なお、上記期間中、本発明の実施例3〜実
施例12について、何ら状態の変化は認められなかっ
た。また、本発明の実施例3〜実施例12について、ヒ
ト背部における48時間の閉塞貼付試験を行ったとこ
ろ、皮膚刺激性反応についてはいずれも陰性であり、皮
膚感作性も認められなかった。さらに女性パネラーによ
る実使用試験を行ったところ、使用時の刺激感や不快感
も全く認められなかった。
【0034】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により、真
皮線維芽細胞におけるコラーゲン産生を促進してマトリ
ックス線維を充実させることのできるコラーゲン産生促
進剤を得、さらにこれを含有させることにより、皮膚の
老化症状や肌荒れ症状の改善又は進行を防止し、創傷の
治癒の促進にも有効な皮膚外用剤を提供することができ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 7/48 A61K 7/48

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゲラニオールを含有するコラーゲン産生
    促進剤。
  2. 【請求項2】 ゲラニオールをコラーゲン産生促進剤と
    して含有して成る、皮膚の老化防止用又は創傷治癒促進
    用皮膚外用剤。
  3. 【請求項3】 皮膚外用剤が、皮膚の老化防止用又は創
    傷の治癒促進用化粧料である、請求項2に記載の皮膚外
    用剤。
JP20969697A 1997-07-18 1997-07-18 コラーゲン産生促進剤、及びこれを含有する皮膚の老化防止用又は創傷治癒促進用皮膚外用剤 Pending JPH1135455A (ja)

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