JP3643672B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保湿作用及び真皮線維芽細胞活性化作用が相乗的に増強され且つ持続的であり、有効な皮膚の老化症状の改善,防止作用を有し、さらに低刺激性を示す皮膚外用剤に関する。さらに詳しくは、2-ヒドロキシ脂肪酸の1種又は2種以上、水酸化アルカリ溶液を作用させて異性化させた糖の混合物、キトサン及びその誘導体より選択される1種又は2種以上を併用して含有して成る皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
2-ヒドロキシ脂肪酸が、皮膚の角化異常の改善に対し優れた効果を有し、また真皮線維芽細胞を活性化して皮膚のしわ,しみ等の老化症状を改善し得ることがユージーン・ジェイ・ヴァン・スコット氏らにより報告され(Cutis 43 (3) 222-228 (1989),特開平5−139947等)、それらを含有する化粧料等皮膚外用剤も上市されている。
【0003】
しかしながら、皮膚のしわやしみ等の老化症状を短期間で有効に改善しようとすると、2-ヒドロキシ脂肪酸をかなり多量に配合する必要があり、皮膚刺激性の発現が問題となっていた。また、2-ヒドロキシ脂肪酸の作用が一過性であることから、有効な作用を得るには1日に何度も皮膚に適用する必要があり、煩雑であるばかりか皮膚刺激反応を増悪する結果となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明においては、2-ヒドロキシ脂肪酸の含有量をできるだけ低減するとともに、その皮膚刺激性を緩和するため、保湿作用及び真皮線維芽細胞活性化作用が相乗的に増強され且つ持続的であり、有効な皮膚の老化症状の改善,防止作用を有する皮膚外用剤を得ることを目的とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため種々検討した結果、本発明者等は、水酸化アルカリ溶液を作用させて異性化させた糖の混合物と、キトサンやその誘導体とを、2-ヒドロキシ脂肪酸と併用して含有させることにより、保湿作用及び真皮線維芽細胞活性化作用が相乗的に向上且つ持続し、有効な効果を得るのに必要な2-ヒドロキシ脂肪酸の配合量を大幅に低減することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、2-ヒドロキシ脂肪酸の1種又は2種以上、水酸化アルカリ溶液を作用させて異性化させた糖の混合物、キトサン及びその誘導体より選択される1種又は2種以上を、併用して皮膚外用剤基剤に含有させて成る。
【0007】
【作用】
本発明において、各構成成分の併用により得られる線維芽細胞の相乗的且つ持続的な活性化作用について、以下に示す。
【0008】
ヒト由来線維芽細胞を、1ウェル当たり2.0×104個となるように96穴マイクロプレートに播種し、24時間後に表1に示す各試料を、同表中に示す最終濃度となるように添加した1.0容量%の牛胎仔血清を含有するDMEM培地にて、37℃で培養した。培養開始後0.5,1,2及び4時間後に2-(4,5-ジメチル-2-チアゾリル)-3,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)を20μg/ml含有するDMEM培地に交換して37℃で2時間培養し、テトラゾリウム環の開環により生じるフォルマザンを560nmにおける吸光度により測定した。なお、1.0容量%牛胎仔血清添加DMEM培地のみで培養した系を対照とし、5.0容量%牛胎仔血清添加DMEM培地で培養した系を陽性対照とした。結果は、対照における吸光度を100.0として表した活性化指数と、各試料を含む培地中での培養時間との関係により、図1に示した。なお表1中の異性化糖混合物は、後述する製造例に係るものであり、その組成は表2に示す通りである。
【表1】
Figure 0003643672
【表2】
Figure 0003643672
【0009】
図1において、2-ヒドロキシ酢酸のみを含有する試料1を添加した場合(1)には、活性化指数は培養2時間後で最大(271.1)となり、それ以降は減少していた。2-ヒドロキシ酢酸と異性化糖混合物を含む試料2を添加した場合(2)にも、やはり活性化指数は培養2時間後に最大となっていたが、活性化指数は352.6と線維芽細胞活性化作用の増強が認められた。一方、2-ヒドロキシ酸,混合異性化糖及びキトサンを含有する試料3を添加した場合(3)には、活性化指数は422.7に達し、培養4時間後においても低下することなく高く維持されていた。すなわち、本発明の必須成分である2-ヒドロキシ脂肪酸,異性化糖混合物及びキトサンのすべてが存在する場合に、線維芽細胞の活性化は相乗的に増強され、且つ持続性となることが示された。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において2-ヒドロキシ脂肪酸としては、炭素数2〜10のものが好ましく使用できる。たとえば、2-ヒドロキシ酢酸(グリコール酸),2-ヒドロキシプロピオン酸(乳酸),2-ヒドロキシブタン酸(2-ヒドロキシ酪酸),2-ヒドロキシペンタン酸(2-ヒドロキシ吉草酸),2-ヒドロキシヘキサン酸(2-ヒドロキシカプロン酸),2-ヒドロキシヘプタン酸(2-ヒドロキシエナント酸),2-ヒドロキシオクタン酸(2-ヒドロキシカプリル酸),2-ヒドロキシノナン酸(2-ヒドロキシペラルゴン酸),2-ヒドロキシデカン酸(2-ヒドロキシカプリン酸)といった2位に水酸基を有する直鎖飽和脂肪酸、2-ヒドロキシプロペン酸(2-ヒドロキシアクリル酸),2-ヒドロキシ-trans-2-ブテン酸(2-ヒドロキシクロトン酸),2-ヒドロキシ-cis-2-ブテン酸(2-ヒドロキシイソクロトン酸),2-ヒドロキシ-2-ヘキセン酸,2-ヒドロキシ-3-ヘキセン酸,2-ヒドロキシ-4-ヘキセン酸,2-ヒドロキシ-5-ヘキセン酸,2-ヒドロキシ-2-ヘプテン酸,2-ヒドロキシ-3-ヘプテン酸,2-ヒドロキシ-5-ヘプテン酸,2-ヒドロキシ-6-ヘプテン酸,2-ヒドロキシ-cis-2-オクテン酸,2-ヒドロキシ-trans-2-オクテン酸,2-ヒドロキシ-3-オクテン酸,2-ヒドロキシ-cis-2-ノネン酸,2-ヒドロキシ-trans-2-ノネン酸,2-ヒドロキシ-3-ノネン酸,2-ヒドロキシ-2-デセン酸,2-ヒドロキシ-4-デセン酸,2-ヒドロキシ-9-デセン酸等の2位に水酸基を有する直鎖モノエン酸、2-ヒドロキシ-2,4-ヘキサジエン酸(2-ヒドロキシソルビン酸)等の2位に水酸基を有するジエン酸、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸(2-ヒドロキシイソ吉草酸),2-ヒドロキシ-2-エチルブタン酸,2-ヒドロキシ-2-メチルペンタン酸,2-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸(2-ヒドロキシイソカプロン酸),2-ヒドロキシ-2-エチルヘキサン酸,2-ヒドロキシ-7-メチルオクタン酸(2-ヒドロキシイソノナン酸)等の2位に水酸基を有する分岐鎖脂肪酸、酒石酸,リンゴ酸等の2位に水酸基を有するジカルボン酸、クエン酸等の2位に水酸基を有するトリカルボン酸などが挙げられ、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。皮膚外用剤中における含有量としては、0.01〜5.0重量%程度が適切である。
【0011】
本発明における第二の必須成分である、水酸化アルカリ溶液を作用させて異性化させた糖の混合物は、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等の水酸化アルカリ溶液により糖を異性化させた反応生成物であり、特にグルコース又はラクトースを異性化させたもの、或いはこれらの混合物が好ましく用いられる。これらは、特公昭48−1504において記載された方法等により製造することができる。皮膚外用剤中における含有量としては、0.01〜3.0重量%程度が適切である。
【0012】
本発明における第三の必須成分であるキトサン及びその誘導体としては、分子量10,000〜100,000程度のキトサン及び部分脱アセチル化キチン、N-トリメチル化キトサン等の4級化誘導体等が挙げられ、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。皮膚外用剤中における含有量としては、1.0×10-6〜0.5重量%程度が適切である。
【0013】
本発明における上記各成分の含有量比としては、2-ヒドロキシ脂肪酸と水酸化アルカリ溶液を作用させて異性化させた糖の混合物との重量比にして1:0.2〜1:1、2-ヒドロキシ脂肪酸とキトサン及びその誘導体との重量比にして1:0.00005〜1:0.005の範囲とすることが好ましい。
【0014】
本発明に係る皮膚外用剤には、外用剤基剤には通常用いられる油脂類,ロウ類,炭化水素類,脂肪酸類,低級アルコール類,高級アルコール類,多価アルコール類,エステル類,界面活性剤,水溶性高分子化合物等を含有させることができる。さらに、他の皮膚細胞賦活剤,抗炎症剤,活性酸素種消去剤,美白剤,保湿剤,紫外線吸収剤,防腐防黴剤,香料等を含有させることができる。
【0015】
本発明に係る皮膚外用剤は、ローション剤,乳剤,ゲル剤,クリーム,軟膏等の剤型で提供することができる。また、化粧水,乳液,クリーム,美容液,マッサージ剤,パック剤等の皮膚用化粧料、メイクアップベースローション,メイクアップベースクリーム,液状又はクリーム状のファンデーション等のメイクアップ化粧料、ハンドクリーム,レッグクリーム,ボディローション等の身体用化粧料などとしても提供することができる。
【0016】
【実施例】
さらに本発明の特徴について、実施例により詳細に説明する。まず、以下の実施例において使用した水酸化アルカリ溶液を作用させて異性化させた糖の混合物の製造例を次に示す。
【0017】
D-グルコース1kgを精製水2,000mlに溶解し、攪拌しながら10(w/v)%水酸化ナトリウム溶液10mlを添加し、21〜23℃で密封静置する。その後、常にpH9以上を保つように10(w/v)%水酸化ナトリウム溶液10mlずつを加えていき、合計60mlを添加した後、乳酸を添加してpHを6として反応を終了させ、I液とした。この段階において、L-グルコースとグルコース転換物(主としてフルクトース)の比が約6:4となる。一方、ラクトース1kgを同様に精製水2,000mlに溶解し、攪拌しながら10(w/v)%水酸化ナトリウム溶液10mlを添加し、21〜23℃で密封静置する。その後I液と同様に、pH9以上を保つように10(w/v)%水酸化ナトリウム溶液10mlずつを加えていき、合計140mlを添加した後、乳酸を加えてpHを6として反応を終了させ、II液とする。この段階で、異性化ラクトースとラクトース減成物(主としてガラクトース)の比が約5:5となる。前記I液とII液を19:1の割合で混合し、異性化糖混合物とする。この混合物は上記表2に示す組成を有する。
【0018】
続いて、本発明の実施例の処方を示す。
【0019】
[実施例1] 皮膚用ローション剤
(1)エタノール 10.00(重量%)
(2)2-ヒドロキシ酢酸 2.50
(3)異性化糖混合物 2.50
(4)キトサン(分子量10,000)1.0重量% 0.25
懸濁液
(5)パラオキシ安息香酸メチル 0.10
(6)精製水 84.65
製法:(1)〜(5)を順次(6)に添加混合し、均一とする。
【0020】
[実施例2] 皮膚用乳剤
(1)ステアリン酸 0.2(重量%)
(2)セタノール 1.5
(3)ワセリン 3.0
(4)流動パラフィン 7.0
(5)ポリオキシエチレン(10E.O.)モノオレイン酸 1.5
エステル
(6)酢酸トコフェロール 0.5
(7)グリセリン 5.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)トリエタノールアミン 1.0
(10)精製水 75.2
(11)乳酸 3.0
(12)異性化糖混合物 1.5
(13)キトサン(分子量11,000)1.0重量% 0.5
懸濁液
製法:(1)〜(6)の油相成分を混合,加熱して均一に溶解し、70℃に保つ。一方、(7)〜(10)の水相成分を混合,加熱して均一とし、70℃とする。この水相成分に前記油相成分を攪拌しながら徐々に添加して乳化し、冷却後40℃にて(11)〜(13)をあらかじめ混合,均一化して添加する。
【0021】
[実施例3] 皮膚用ゲル剤
(1)ジプロピレングリコール 10.0(重量%)
(2)カルボキシビニルポリマー 0.5
(3)水酸化カリウム 0.1
(4)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(5)精製水 83.7
(6)2-ヒドロキシ酪酸 1.5
(7)酒石酸 2.0
(8)異性化糖混合物 1.4
(9)キトサン(分子量20,000)1.0重量% 0.7
懸濁液
製法:(5)に(2)を均一に溶解した後、(1)に(4)を溶解して添加し、次いで(3)を加えて増粘させ、(6)〜(9)を混合後添加する。
【0022】
[実施例4] 皮膚用クリーム
(1)ミツロウ 6.0(重量%)
(2)セタノール 5.0
(3)還元ラノリン 8.0
(4)スクワラン 27.5
(5)グリセリル脂肪酸エステル 4.0
(6)親油型グリセリルモノステアリン酸エステル 2.0
(7)ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 5.0
モノラウリン酸エステル
(8)プロピレングリコール 5.0
(9)2-ヒドロキシ酢酸 1.0
(10)クエン酸 2.0
(11)リンゴ酸 2.0
(12)異性化糖混合物 1.0
(13)キトサン(分子量15,000)1.0重量% 0.2
懸濁液
(14)部分脱アセチル化キチン(分子量30,000, 0.1
脱アセチル化度55%)1.0重量%水溶液
(15)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(16)精製水 31.1
製法:(1)〜(7)の油相成分を混合,溶解して75℃に加熱する。一方、(8)〜(16)の水相成分を混合,溶解して75℃に加熱する。次いで、上記水相成分に油相成分を添加して予備乳化した後、ホモミキサーにて均一に乳化し、冷却する。
【0023】
[実施例5] 水中油型乳剤性軟膏
(1)白色ワセリン 25.00(重量%)
(2)ステアリルアルコール 25.00
(3)グリセリン 12.00
(4)ラウリル硫酸ナトリウム 1.00
(5)2-ヒドロキシ吉草酸 2.50
(6)2-ヒドロキシグルタル酸 1.50
(7)異性化糖混合物 3.20
(8)キトサン(分子量25,000)1.0重量% 0.25
懸濁液
(9)パラオキシ安息香酸メチル 0.10
(10)精製水 29.45
製法:(1)〜(4)の油相成分を混合,溶解して均一とし、75℃に加熱する。一方、(5)〜(10)の水相成分を混合,溶解して75℃に加熱し、これに前記油相成分を添加して乳化し、冷却する。
【0024】
[実施例6] 皮膚用リポソーム剤
(リポソーム)
(1)ホスファチジルコリン 22.5(重量%)
(2)水素添加大豆レシチン 22.5
(3)コレステロール 2.0
(4)2-ヒドロキシ酢酸 2.0
(5)乳酸 2.0
(6)異性化糖混合物 3.0
(7)キトサン(分子量10,000)1.0重量% 2.0
懸濁液
(8)精製水 44.0
製法:(1)〜(7)を50℃にて(8)に分散させ、超音波処理してリポソームを形成させた後、遠心分離によりリポソームを回収する。
(リポソーム液)
上記リポソームを10.0重量%となるように、10.0重量%エタノール水溶液に分散させる。
【0025】
[実施例7] 美容液
(1)エタノール 10.00(重量%)
(2)グリセリン 8.00
(3)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.02
(4)乳酸 1.00
(5)異性化糖混合物 0.50
(6)キトサン1.0重量%懸濁液 0.01
(7)ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.02
(9)香料 0.10
(10)精製水 80.34
製法:(1)に(8),(9)を溶解し、(2)〜(7)とともに順次(10)に添加して混合し、均一とする。
【0026】
[実施例8] 保湿クリーム
(1)スクワラン 5.00(重量%)
(2)ミツロウ 1.00
(3)自己乳化型グリセリルモノステアリン酸 2.50
エステル
(4)ステアリルアルコール 1.00
(5)ホホバ油 3.00
(6)グリセリン 0.20
(7)2-ヒドロキシ酢酸 0.50
(8)乳酸 1.00
(9)クエン酸 0.50
(10)異性化糖混合物 2.00
(11)キトサン 0.01
(12)パラオキシ安息香酸メチル 0.02
(13)精製水 81.25
(14)エタノール 2.00
(15)香料 0.02
製法:(1)〜(5)の油相成分を混合,溶解して75℃に加熱する。一方、(6)〜(13)の水相成分を混合,溶解して75℃に加熱する。次いで、上記水相成分に油相成分を添加して予備乳化した後、ホモミキサーにて均一に乳化し、冷却後40℃にて(15)を(14)に溶解して加え、均一に混合する。
【0027】
[実施例9] エモリエントクリーム(油中水型)
(1)流動パラフィン 30.00(重量%)
(2)マイクロクリスタリンワックス 2.00
(3)ワセリン 5.00
(4)ジグリセリルジオレイン酸エステル 5.00
(5)L-グルタミン酸ナトリウム 1.60
(6)L-セリン 0.40
(7)プロピレングリコール 3.00
(8)2-ヒドロキシ酢酸 0.25
(9)2-ヒドロキシアジピン酸 0.25
(10)異性化糖混合物 0.10
(11)キトサン(分子量50,000)1.0重量% 0.25
懸濁液
(12)パラオキシ安息香酸メチル 0.05
(13)精製水 52.00
(14)香料 0.10
製法:(5),(6)を(13)の一部に溶解して50℃とし、50℃に加熱した(4)に攪拌しながら徐々に添加する。これをあらかじめ混合し70℃に加熱溶解した(1)〜(3)に均一に分散し、これに(7)〜(12)を(13)の残部に溶解して70℃に加熱したものを攪拌しながら添加し、ホモミキサーにて乳化する。冷却後、40℃にて(14)を添加,混合する。
【0028】
[実施例10] メイクアップベースクリーム
(1)ステアリン酸 12.0(重量%)
(2)セタノール 2.0
(3)グリセリルトリ2-エチルヘキサン酸エステル 2.5
(4)自己乳化型グリセリルモノステアリン酸エステル 2.0
(5)プロピレングリコール 10.0
(6)水酸化カリウム 0.3
(7)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(8)精製水 68.4
(9)酸化チタン 1.0
(10)ベンガラ 0.1
(11)黄酸化鉄 0.4
(12)2-ヒドロキシピメリン酸 0.1
(13)リンゴ酸 0.2
(14)異性化糖混合物 0.2
(15)キトサン(分子量30,000)0.01重量% 0.6
懸濁液
(16)香料 0.1
製法:(1)〜(4)の油相成分を混合し、75℃に加熱して均一とする。一方(5)〜(8)の水相成分を混合し、75℃に加熱,溶解して均一とし、これに(9)〜(11)の顔料を添加し、ホモミキサーにて均一に分散させる。この水相成分に前記油相成分を添加し、ホモミキサーにて乳化した後冷却し、40℃にてあらかじめ混合し均一とした(12)〜(15)と、(16)を順次添加,混合する。
【0029】
[実施例11] 乳液状ファンデーション
(1)ステアリン酸 2.00(重量%)
(2)スクワラン 5.00
(3)ミリスチン酸オクチルドデシル 5.00
(4)セタノール 1.00
(5)デカグリセリルモノイソパルミチン酸エステル 9.00
(6)1,3-ブチレングリコール 6.00
(7)水酸化カリウム 0.10
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.10
(9)精製水 52.90
(10)酸化チタン 9.00
(11)タルク 7.40
(12)ベンガラ 0.50
(13)黄酸化鉄 1.10
(14)黒酸化鉄 0.10
(15)乳酸 0.15
(16)2-ヒドロキシアゼライン酸 0.15
(17)異性化糖混合物 0.20
(18)キトサン(分子量11,000)0.01重量% 0.15
懸濁液
(19)香料 0.15
製法:(1)〜(5)の油相成分を混合し、75℃に加熱して均一とする。一方(6)〜(9)の水相成分を混合し、75℃に加熱,溶解して均一とし、これに(10)〜(14)の顔料を添加し、ホモミキサーにて均一に分散させる。この水相成分に前記油相成分を添加し、ホモミキサーにて均一に乳化した後冷却し、40℃にてあらかじめ混合し均一とした(15)〜(18)と、(19)を順次添加,混合する。
【0030】
[実施例12] ハンドクリーム
(1)セタノール 4.00(重量%)
(2)ワセリン 2.00
(3)流動パラフィン 10.00
(4)グリセリルモノステアリン酸エステル 1.50
(5)ポリオキシエチレン(60E.O.)グリセリル 2.50
イソステアリン酸エステル
(6)酢酸トコフェロール 0.50
(7)グリセリン 20.00
(8)2-ヒドロキシ酢酸 0.25
(9)酒石酸 0.20
(10)クエン酸 0.20
(11)異性化糖混合物 0.35
(12)N-トリメチル化キトサン(分子量25,000) 0.65
0.01重量%水溶液
(13)パラオキシ安息香酸メチル 0.10
(14)精製水 57.75
製法:(1)〜(6)の油相成分を混合,溶解して75℃に加熱する。一方、(7)〜(14)の水相成分を混合,溶解して75℃に加熱する。次いで、上記水相成分に油相成分を添加して予備乳化した後、ホモミキサーにて均一に乳化し、冷却する。
【0031】
本発明の上記実施例について、皮膚のしわ及び皮膚弾性に対する改善効果の評価を行った。その際、表3に示す比較例についても同時に評価を行った。評価は、しわや皮膚弾性の低下といった皮膚の老化症状が顕著に認められる40〜60才代の女性をパネラー(1群20名)とし、各群に本発明の実施例及び比較例のそれぞれをブラインドにて3カ月間使用させて行った。使用は、1日当たり朝1回のみとした。しわ及び皮膚弾性の各改善状況については、使用試験開始前と使用試験終了後の皮膚の状態を観察し、「改善」,「やや改善」,「変化なし」の3段階にて評価し、各評価を得たパネラー数にて表4に示した。
【表3】
Figure 0003643672
【0032】
【表4】
Figure 0003643672
表4より明らかなように、本発明の実施例使用群では、1日1回,3カ月間の使用でありながら、全パネラーにおいて皮膚のしわ及び皮膚弾性の改善傾向が認められていた。特に、2-ヒドロキシ脂肪酸の含有量の多い実施例1〜実施例8使用群では、50%以上のパネラーにおいて皮膚のしわの改善が、65%以上のパネラーにおいて皮膚弾性の改善が明確に認められていた。これに対し、2-ヒドロキシ脂肪酸を含有しない比較例1,比較例2,比較例7及び比較例8使用群では、皮膚のしわ及び皮膚弾性の双方について明確な改善を認めたパネラーは存在せず、皮膚のしわについては80%以上、皮膚弾性については65%以上のパネラーにおいて、老化症状の改善傾向は全く認められていなかった。2-ヒドロキシ脂肪酸を含有する他の比較例使用群では、皮膚のしわ及び皮膚弾性について改善傾向が認められていたが、その程度は異性化糖混合物及びキトサン類を併用する実施例使用群に比べて有意に低いものであった。
【0033】
続いて、20〜50才代の女性パネラー20名を1群とし、2週間の使用試験を行い、使用した試料についての保湿性,皮膚刺激感及び皮膚異常の発生状況について評価した。試料の使用は、実施例1〜実施例12及び比較例1〜比較例12について、各パネラーにそれぞれブラインドにて1日2回塗布させて行わせた。使用時の保湿性については、表5に示す評価基準に従って官能評価させて点数化し、20名の平均値を求めた。皮膚刺激感については、使用時に感じるヒリヒリ感,チクチク感,ほてりといった刺激感や不快感について、表6に示す基準に従って評価させて点数化し、20名の平均値を求めた。皮膚異常の発生状況については、使用期間中に発赤,発疹及び浮腫といった皮膚異常が発生したかどうかを観察し、かかる異常反応が発生した場合にはその程度を表7に示す基準に従って点数化し、各パネラーにおける評価点の累計について20名の平均値を求めた。これらの結果は表8にまとめて示した。
【表5】
Figure 0003643672
【表6】
Figure 0003643672
【表7】
Figure 0003643672
【0034】
【表8】
Figure 0003643672
表8より明らかなように、本発明の実施例使用群では、保湿性について非常に高い評価が得られており、2-ヒドロキシ脂肪酸,異性化糖混合物,キトサン類のいずれかを含有しないそれぞれ対応する比較例使用群に比べて、評価は高い値となっていた。また皮膚刺激感についても、2-ヒドロキシ脂肪酸含有量の高い実施例1〜実施例5使用群でも微妙に感じられた程度であり、使用期間中の皮膚異常についても、一部のパネラーでわずかに発赤と発疹を認めた程度であった。これに対し、異性化糖混合物を含有しない比較例3,比較例4,比較例9及び比較例10使用群、及びキトサン類を含有しない比較例5,比較例6,比較例11及び比較例12使用群では、若干の皮膚刺激感と皮膚異常の発生が認められ、2-ヒドロキシ脂肪酸含有量の多い比較例3〜比較例6使用群では、それらの程度がやや高くなっていた。
【0035】
なお本発明の実施例については、25℃で6カ月間保存した場合に、含有成分の分離や凝集,析出、変色,変臭等の状態変化は一切認められなかった。
【0036】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明により、保湿作用及び真皮線維芽細胞活性化作用が相乗的に増強され且つ持続的であり、有効な皮膚の老化症状の改善,防止作用を有し、さらに低刺激性を示す皮膚外用剤を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で皮膚外用剤に含有させる各成分の線維芽細胞活性化作用について示す図である。
【符号の説明】
1 試料1
2 試料2
3 試料3
4 陽性対照

Claims (5)

  1. 2-ヒドロキシ脂肪酸の1種又は2種以上、水酸化アルカリ溶液を作用させて異性化させた糖の混合物、キトサン及びその誘導体より選択される1種又は2種以上を含有して成る皮膚外用剤。
  2. 2-ヒドロキシ脂肪酸の1種又は2種以上が、炭素数2〜10の2-ヒドロキシ脂肪酸より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
  3. 水酸化アルカリ溶液を作用させて異性化させた糖の混合物が、グルコース又はラクトースを異性化させたもの、及びこれらの混合物より選択されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の皮膚外用剤。
  4. キトサン及びその誘導体の分子量が、10,000〜100,000であることを特徴とする、請求項1〜請求項3に記載の皮膚外用剤。
  5. 皮膚外用剤が化粧料であることを特徴とする、請求項1〜請求項4に記載の皮膚外用剤。
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