JPH11354014A - 電界放射型電子源の作製方法 - Google Patents

電界放射型電子源の作製方法

Info

Publication number
JPH11354014A
JPH11354014A JP15888198A JP15888198A JPH11354014A JP H11354014 A JPH11354014 A JP H11354014A JP 15888198 A JP15888198 A JP 15888198A JP 15888198 A JP15888198 A JP 15888198A JP H11354014 A JPH11354014 A JP H11354014A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
emitter
photoresist film
film
gate electrode
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15888198A
Other languages
English (en)
Inventor
Junichi Takahashi
淳一 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP15888198A priority Critical patent/JPH11354014A/ja
Publication of JPH11354014A publication Critical patent/JPH11354014A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 確実な作製プロセスで高エミッタ密度化を実
現でき、かつ、エミッタ材料選択の自由度の高い電界放
射型電子源の作製方法を提供する。 【解決手段】 例えば、二光束干渉露光法により基板1
21上のネガ型のフォトレジスト膜126を露光した
後、現像してフォトレジスト膜126に形成される穴形
状を用いてエミッタ129を作製するようにする。二光
束干渉露光法なる確実な作製プロセスにより歩留まりが
高い上に、高エミッタ密度化を実現することができる。
よって、作製される電界放射型電子源の放射電流の安定
性、冗長性、放射電流密度は高くなり、かつ、エミッタ
材料選択の自由度も高くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ真空エレ
クトロニクスデバイス、マイクロ電界放射デバイス(M
icro Field Emission Device) 、平面型表示装置、
平面型撮像素子、静電記録装置等に利用される電界放射
型電子源の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】<第1の従来技術>第1の従来技術とし
て、Carl O.Bozler,et al,“Arrays of gated f
ield-emitter cones having 0.32 μm tip-to-tip spa
cing”,Journal of Vacuum Science Technology.
B12(2),Mar/Apr 1994,p629〜p632なる文献に示さ
れるものがある。
【0003】図28に、この文献に示される方法による
フィールドエミッタアレイ(FEA)の製法例を示す。
まず、基板1上にCr膜2、SiO2 膜3、Ta膜4を
推積させた後、その表面にポジ型のフォトレジスト膜5
を塗布形成する(図28(a))。次いで、2光束干渉露
光法によりフォトレジスト膜5の露光を行った後、基板
1を90°回転させて、再度、二光束干渉露光法により
フォトレジスト膜5の露光を行う。このような露光後
に、フォトレジスト膜5の現像を行うと、図28(b)
に示すようなレジストパターン6が作製される。この
後、図28(c)に示すように、表面にNi膜7をデポ
し、リフトオフ法によりNi膜7の開口8を持つパター
ンを作製する(図28(d))。そして、Ta膜4、Si
2 膜3をエッチングすることで、Spindt 型のエミッ
タ9を作製する(図28(e)(f))。この場合のエミッ
タ9は金属としてMo製とされている。10はNi膜7
によるゲート電極である。このようにして、1μm四方
に9個のエミッタ9が充填された高密度なFEAが完成
する。高密度であることにより、放射電流の安定性、冗
長性、放射電流密度の高いFEAを得ることができる。
【0004】<第2の従来技術>第2の従来技術とし
て、特開平9−306367号公報に示されるプラズマ
デイスプレイの作製方法がある。図29にこの公報中に
示されるプラズマデイスプレイの製法を抜粋して示す。
図29(a)に示すように、単結晶のシリコン基板21
上に積層された酸化シリコン膜22(或いは、窒化シリ
コン膜)上に、通常のフォトリソエッチングによりレジ
ストパターン23を形成する。酸化シリコン膜22(或
いは、窒化シリコン膜)をエッチングして開口23aを
形成し(図29(b))、この開口23a部分から異方性
エッチングを行うことでシリコン基板21をエッチング
する(図29(c))。次いで、シリコン基板21を酸化
することで、先端が先鋭化したモールド24を形成した
後(図29(d))、エミッタ材料25をデポする(図2
9(e))。そして、その上のシリコン基板21と酸化シ
リコン膜22とを除去する。さらに、図示例では、対向
電極26及び蛍光体層27を持つガラス基板28により
エミッタ29を封止する(図29(f))。或いは、図3
0(d)に示すように、エミッタ29上のシリコン基板
21を部分的に除去した後、ゲート電極30をデポし、
先端をエッチングした後、ゲート電極30とエミッタ2
9との間の絶縁膜31を一部除去する。これにより、三
極管構造が完成する(図30(e))。
【0005】<第3の従来技術>第3の従来技術とし
て、Junji Itoh,“A New Actively-Controllabl
eSi FEA for FED Application”, Technica
l Digest of IDW’96,1996,p155〜p158なる文
献に示されるものがある。
【0006】図31に、この文献に示される方法による
MOSFETチップの製法例を抜粋して示す。エミッタ
材料は単結晶シリコンである。シリコン基板41上にエ
ミッタチップ用のパターニングのためにSiO2 膜42
を形成し(図31(a))、RIE法によりシリコン基板
41をエッチングする(図31(b))。次いで、B+イ
オンのイオン注入を行い(図31(c))、熱酸化及び蒸
着によりSiO2 膜43、Nb膜44を形成する(図3
1(d))。そして、RIE法によりソース45用のパタ
ーニングを行い(図31(e))、酸化先鋭法により先端
の鋭いシリコンによるエミッタ(ドレイン)46を作製
する(図31(f))。その後、エミッタ46を低抵抗化
すること、MOSトランジスタ構造にするために、P+
イオンのイオン注入とアニールとを行う(図31
(g))。アニール温度は800℃であり、真空中で30
分行う。この後、ゲート電極のパターニングとパッド形
成を行うことで、MOSトランジスタが完成する(図3
1(h))。MOSトランジスタはその飽和作用を利用し
て放射電流を安定化するために作製される。
【0007】<第4の従来技術>第4の従来技術とし
て、福田勝義、「転写モールド法による芯材抵抗層付エ
ミッタ(III)」、第44回応用物理学関係連合講演会予
稿集、p592(1997)により報告されたものがある。図32
にその構造例を示す。51は基板、52は配線層、53
は芯材抵抗層、54はMoによるエミッタ、55はゲー
ト絶縁膜、56はゲート電極である。その基本的な製法
は図29或いは図30に示した第2の従来技術の場合と
同様である。ただし、ここでは抵抗による電流制限効果
により放射電流を安定化させるために、低抵抗のMoに
よるエミッタ54の下層に高抵抗の芯材抵抗層53を積
層させている。これは、ドーピングしていないシリコン
膜(真性Si)で、スパッタ法により成膜される。
【0008】<第5の従来技術>第5の従来技術(先行
技術)として、公知ではないが、本出願人により既提案
の製法例がある。図33を参照してその概要を説明す
る。まず、二光束干渉露光法を2回行い、DLC61上
にエミッタ形状のレジスト62のパターンを形成し、ハ
ードベークする(図33(a))。次に、Ar+イオンを
用いたイオン注入によりレジスト62を低抵抗化してエ
ミッタ63とする(図33(b))。このようにして、二
光束干渉露光法を2回行い、露光・現像されたポジのフ
ォトレジスト62そのものをAr+イオン注入により低
抵抗化したエミッタ63とする。或いは、前述した露光
・現像法により作製したエミッタパターンをレジストと
ほぼ同じエッチングレートでエッチングが可能な下地の
材料に転写することによりエミッタ形状を形成する(図
33(c)(d))。この後は、ゲート絶縁膜64、ゲート
電極65をデポし(図33(e))、さらに、レジスト6
6を塗布する(図33(f))。続いて、レジストエッチ
バックし(図33(g))、ゲート絶縁膜64、ゲート電
極65をエッチングし(図33(h))、レジスト62を
剥離する(図33(i))。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】<第1の課題>第1の
従来技術の場合、ポジ型のフォトレジスト膜5を用いて
二光束干渉露光法により開口8を形成し、この開口8に
エミッタ9を作製するようにしている。このため、プロ
セス的に安定性の低いリフトオフ法を用いなければなら
ない制約を受ける。第1の従来技術では、いわゆるSpi
ndt 型のエミッタ9を作製しているが、同じく開口パタ
ーンが必要な第2の従来技術例のようなモールド型のエ
ミッタを作製する場合でも同様である。また、パターニ
ングされたレジストそのもの、或いは、それによりパタ
ーニングされた下地層をキャップとして、第3の従来技
術例のように酸化先鋭法によりエミッタを作製すること
もできる。しかし、この場合、エミッタの材料が酸化に
より先鋭化される材料、例えば、シリコンに限られるた
め、材料の選択の自由度が低いものである。
【0010】また、第2の従来技術の場合、シリコン基
板21自身をモールドとしており、材料選択の自由度が
高い方法ではあるが、通常のフォトリソエッチング法を
用いているため、高いエミッタ密度(packaging densit
y) を得ることができない。
【0011】第5の従来技術の場合、高エミッタ密度化
を実現できるが、エミッタ材料は低抵抗化されたフォト
レジストか、或いは、レジスト形状を転写できる材料
(即ち、レジストとほぼ同じエッチングレートでエッチ
ング可能な材料)に限られるため、材料選択の自由度が
低いものである。
【0012】そこで、本発明は、確実な作製プロセスに
より、高エミッタ密度化を実現できる上に、エミッタ材
料選択の自由度の高い電界放射型電子源の作製方法を提
供することを目的とする。
【0013】加えて、コスト高になることなく上記目的
を達成し得る電界放射型電子源の作製方法を提供する。
【0014】また、消費電力を低減させて上記目的を達
成し得る電界放射型電子源の作製方法を提供する。
【0015】<第2の課題>第3の従来技術の場合、エ
ミッタ46部分をMOSトランジスタのドレインにし
て、放射電流を安定化し、先端部分の抵抗を下げること
により放射電流を大きくしているために、イオン注入に
よる不純物導入と、その後のアニールとを必要としてい
る。しかし、このアニール温度は800℃であるため、
同一のシリコン基板41上に形成されている制御回路の
トランジスタなどの拡散領域での再拡散を生ずることに
なり、トランジスタ特性の劣化や変化を生じたり、それ
らのプロセスの整合を採るのが難しい方法である。
【0016】また、第4の従来技術の場合、放射電流を
安定化するための芯材抵抗層53をエミッタ材料とは別
にスパッタ法或いは蒸着法により成膜しているため、工
程数が増え、コスト高となる。加えて、低抵抗材料でで
きている各エミッタ54が直接つながっているので、放
射電流の安定性を保つために全体の放射電流が低下して
しまうことがある。
【0017】電界放射電流が安定しない理由について説
明する。エミッタから電子を放射するためにゲート電極
とエミッタとの間に電圧を印加する。デバイスは真空中
に設置するが、実際には残留ガスが存在する。この残留
ガスがエミッタとゲート電極との間で確率的にプラズマ
状態となる。これにより、両者間の電流が増え、これが
さらにプラズマの濃度を高くするので、電流もさらに増
える。このようにして、いわゆる正帰還がかかり、電流
が著しく増え、これにより、エミッタ表面の改質や変形
が生じてしまい、電流値が変動する。
【0018】これを防ぐには、抵抗(図32の例では、
真性Siによる芯材抵抗層53)をエミッタとこれに電
子を供給する電極層との間に設ければよい。これによ
り、仮に、上記の理由により、エミッタとゲート電極と
の間の電流が増えた場合、抵抗層に流れる電流も当然増
えるので、これにより電圧降下が生じ、エミッタ電位が
高くなることになる。即ち、ゲート電圧の電位に近づく
ことになる。ゲート電極とエミッタとの間の電位差が小
さくなれば、エミッタから電子を引出すための電界も小
さくなるので、エミッタからの放射電流は小さくなる。
このように抵抗層を設けることにより、エミッタとゲー
ト電極との間の電位差に負帰還がかかることになり、放
射電流が安定し、エミッタの損傷も少なくなる。
【0019】ところが、図32に示した第4の従来技術
の場合、実際にはエミッタアレイであるので多数個ある
わけで、エミッタが互いに低抵抗のMoなるエミッタ材
料でつながっている。例えば、或る2つのエミッタ1と
エミッタ2とについて考える。1つのエミッタ1で上記
のようなプラズマ発生によりエミッタの電位に負帰還が
かかりこの電位が変動すると、他のプラズマが発生して
いない(つまり、元々安定して電子を放射している)エ
ミッタ2の電位まで変化してしまい、エミッタ2側での
ゲート電極とエミッタとの間の電位差まで小さくなって
しまう。この結果、エミッタ2の放射電流が減少する。
また、これとは逆に負帰還がうまくかからず破損してし
まうこともある。
【0020】これを防ぐには、エミッタを島状に分離さ
せればよいが、分離させるための加工が必要となり、工
程数が増え、コスト高となる。
【0021】そこで、本発明は、低温プロセスによりエ
ミッタ部分を島状に低抵抗化することができ、同一基板
上に作製されている制御回路部のトランジスタなどに影
響を与えることがなく、低コストに放射電流の安定化を
図れる電界放射型電子源の作製方法を提供することを別
の目的とする。
【0022】<第3の課題>モールドを用いて三極管構
造の電界放射素子を作製する場合、第2の従来技術例と
して図30に示したようにエミッタ29上に積層された
絶縁膜31上にゲート電極30をデポする。或いは、第
4の従来技術のように、基板51上に作製した穴にゲー
ト電極56と絶縁膜55とを積層した後、これをモール
ドとしてエミッタ電極材料をデポし、基板51を除去し
た後、先端部分のゲート電極56と絶縁膜55とを一部
エッチングして三極管構造を作製する。
【0023】ところが、このような方法による場合、ゲ
ート電極をデポする手間が必要となる。また、ゲート電
極とエミッタとの間には薄い絶縁膜しかなく、さらに、
両者が平行して存在する面積が非常に広いため、エミッ
タとゲート電極との間の静電容量が大きくなる。これに
より、電界放射を生じさせるためにゲート電圧を印加す
る際、多大な充電電流が流れるため、ゲート電圧の上昇
が遅く、高速駆動させることができない。また、多大な
充電電流を流さなければならないので、駆動回路に負担
がかかり、コスト高となり、消費電流も大きくなってし
まう。
【0024】そこで、本発明は、簡単な加工プロセスで
ゲート電極を作製することができる電界放射型電子源の
作製方法を提供することをさらに別の目的とする。
【0025】加えて、ゲート電極とエミッタとの間の静
電容量が小さく、低コストで消費電力が小さくて済む電
界放射型電子源の作製方法を提供する。
【0026】さらには、本発明は、上記第2及び第3の
課題を同時に解決し得る電界放射型電子源の作製方法を
提供することをさらに別の目的とする。即ち、低温プロ
セスによりエミッタ部分を島状に低抵抗化することがで
き、同一基板上に作製されている制御回路部のトランジ
スタなどに影響を与えることがなく、低コストに放射電
流の安定化を図れるとともに、簡単な加工プロセスでゲ
ート電極を作製することができる電界放射型電子源の作
製方法を提供する。
【0027】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
複数の光束の干渉により生ずる干渉模様を用いてフォト
レジスト膜を露光する複数光束干渉露光法により基板上
のネガ型のフォトレジスト膜を露光した後、現像して前
記フォトジスト膜に形成される穴形状を用いてエミッタ
を作製するようにした。
【0028】従って、複数光束干渉露光法なる確実な作
製プロセスにより歩留まりが高い上に、高エミッタ密度
化を実現できる。よって、作製される電界放射型電子源
の放射電流の安定性、冗長性、放射電流密度が高くな
る。また、エミッタ材料選択の自由度の高い電界放射型
電子源の作製方法となる。
【0029】請求項2記載の発明は、複数の光束の干渉
により生ずる干渉模様を用いてフォトレジスト膜を露光
する複数光束干渉露光法により基板上のネガ型のフォト
レジスト膜を露光した後、現像して前記フォトレジスト
膜に穴形状を形成し、この穴形状部分をモールドとして
エミッタ材料を充填してエミッタを作製するようにし
た。
【0030】請求項1記載の発明による場合、基板にエ
ミッタを作製するためのモールドを作製するため、基板
を完全に除去、即ち、エッチングしなければならない。
多くの場合、このモールドは単結晶シリコンの異方性エ
ッチングにより作製されるので、高価な単結晶シリコン
基板を電界放射型電子源なるデバイスを作製する度に破
棄しなければならず、コスト高となる。この点、請求項
2記載の本発明の場合、請求項1記載の発明の目的を達
成しつつ、基板の破棄によるコスト高を避けることがで
き、製造コストの低減化を図れる。
【0031】請求項3記載の発明は、複数の光束の干渉
により生ずる干渉模様を用いてフォトレジスト膜を露光
する複数光束干渉露光法により基板上のネガ型のフォト
レジスト膜を露光した後、現像して前記フォトレジスト
膜に穴形状を形成し、この穴形状部分にエミッタ先端を
先鋭にするための先鋭化材料を推積させた後、先鋭化材
料が推積された前記穴形状内をモールドとしてエミッタ
材料を充填してエミッタを作製するようにした。
【0032】請求項2記載の発明による場合、エミッタ
の先端の曲率半径が比較的大きくなり、電界放射開始電
界、即ち、実際には駆動電圧が高くなり、電界放射型電
子源なるデバイスを駆動するための電源や回路がコスト
高となり、かつ、消費電力の増大を招く。この点、請求
項3記載の本発明の場合、請求項1,2記載の発明の目
的を達成しつつ、デバイスの駆動電圧を下げ得ることに
なり、コスト高と消費電力の増大とを回避できる電界放
射型電子源を作製できる。
【0033】請求項4記載の発明は、請求項1,2又は
3記載の発明において、エミッタとゲート電極とを作製
した後、前記エミッタの低抵抗化処理をこのエミッタの
先端側から行うようにした。
【0034】従って、低温プロセスによりエミッタ部分
を島状に低抵抗化することができ、これにより、同一基
板上に作製されている制御回路部のトランジスタなどに
影響を与えることがなく、低コストで放射電流の安定化
を図ることができる。
【0035】請求項5記載の発明は、複数の光束の干渉
により生ずる干渉模様を用いてフォトレジスト膜を露光
する複数光束干渉露光法により基板上のネガ型のフォト
レジスト膜を露光した後、現像して前記フォトレジスト
膜に穴形状を形成し、この穴形状部分に絶縁材料を推積
させた後、絶縁材料が推積された前記穴形状内をモール
ドとしてエミッタ材料を充填してエミッタを作製し、前
記フォトレジスト膜を低抵抗化する処理を施してゲート
電極を作製するようにした。
【0036】従って、簡単な加工プロセスでゲート電極
を作製することができ、かつ、ゲート電極とエミッタと
の間の静電容量も小さくすることができ、低コストで消
費電力が小さくて済む電界放射型電子源を作製できる。
【0037】請求項6記載の発明は、請求項5記載の電
界放射型電子源の作製方法において、前記モールドに充
填するエミッタ材料を、前記フォトレジスト膜を低抵抗
化する処理により低抵抗化される材料とし、前記エミッ
タと前記ゲート電極とになる部分の前記フォトレジスト
膜の低抵抗化処理を前記エミッタの先端側から行うよう
にした。
【0038】従って、低温プロセスによりエミッタ部分
を島状に低抵抗化することができ、これにより、同一基
板上に作製されている制御回路部のトランジスタなどに
影響を与えることがなく、低コストで放射電流の安定化
を図ることができる。併せて、簡単な加工プロセスでゲ
ート電極を作製することができ、かつ、ゲート電極とエ
ミッタとの間の静電容量も小さくすることができ、低コ
ストで消費電力が小さくて済む電界放射型電子源を作製
できる。
【0039】
【発明の実施の形態】<請求項1記載の発明に対応する
実施の形態> ≪本実施の形態の原理≫本実施の形態の原理を図1ない
し図6に基づいて説明する。本実施の形態は、複数光束
干渉露光法として二光束干渉露光法を用いることを基本
とするものであり、まず、二光束干渉露光法の原理を説
明する。二光束干渉露光法(two beam interference me
thod)は光波長オーダの微細な周期的露光パターンを得
るのに最も有効な光学的方法であり、コヒーレントな2
つの光束を干渉させたときに生ずる干渉縞(干渉模様)
を利用するものである。この方法は、グレーティングを
ホログラムの一種として露光・作製することから、ホロ
グラフィック干渉法(holographic method)とも呼ばれ
ている。
【0040】例えば、図1(a)に示すように、フォト
レジスト膜101を有する基板102面にθ1 ,θ2
る入射角で入射する波長λの2つの平面波により生ずる
干渉縞は、この面上で入射面を含む方向に周期 Λ=λ/(sinθ1 +sinθ2 ) …………………(1) を持つ。特に、θ1 =θ2 =θの場合であれば、 Λ=λ/2sinθ …………………(2) となる。そこで、波長λと入射角θ1 ,θ2 とを適切に
選定することにより、希望する周期Λの露光パターンが
得られ、フォトレジスト101を用いる場合には現像後
に図1(b)に示すようなレリーフ形のグレーティング
103が得られる。フォトレジストは青色・紫外領域で
感度を持つことから、光源にはArレーザ(λ=488
0Å、4579Å等がある)やHe−Cdレーザ(λ=
4416Å、3250Å等がある)が多用される。Ar
レーザの場合であれば高出力が得られる利点があり、H
e−Cdレーザの場合であれば短波長であるので、周期
Λの短いグレーティングの作製に適している。λ=32
50ÅのHe−Cdレーザを用いる場合は、紫外光透過
特性のよい石英等の光学素子が用いられる。
【0041】図2に二光束干渉露光法を実施するための
光学系構成例を示す。この光学系は、除震ベンチ上に配
置される。この光学系では、Arレーザ又はHe−Cd
レーザなるレーザ光源104から出射されたレーザ光を
シャッタ105、ミラー106、可変アッテネータ10
7を通してハーフミラー構成のビームスプリッタ108
に導く。このビームスプリッタ108を透過した一方の
レーザ光はミラー109、ビーム拡大レンズ110、空
間フィルタ111及びコリメーションレンズ112を経
て、回転微動ステージ113に保持された試料台114
上の試料基板102上に或る入射角を持って平面波とし
て照射される。ビームスプリッタ108で反射された他
方のレーザ光はミラー115、ビーム拡大レンズ11
6、空間フィルタ117及びコリメーションレンズ11
8を経て、試料基板102上に或る入射角を持って平面
波として照射される。ここに、各々コリメーションレン
ズ112,118を経て試料基板102上に入射する平
面波の入射角は(1)(2)式に基づき設定される。
【0042】この結果、試料基板102のフォトレジス
ト膜101上には縞模様のパターンが露光され、そのピ
ッチは、一例として、波長λ=4880Å=488n
m、θ=π/4とした場合であれば、Λ≒345.1n
mとなる。即ち、数百nmとなる。さらに照射される光
の縞模様と直交する方向の強度分布は、図3に示すよう
に正弦波状となる。従って、ネガ型のフォトレジスト膜
101を二光束干渉露光法により露光し、現像した後の
フォトレジスト膜101の縞形状の断面形状は、図4に
示すように周期的に穴形状119が繰返される形状とな
る。また、その底部119aの形状は、先端が丸くなっ
て先鋭化された形状となり、その曲率半径は50〜60
nmとなる。
【0043】このような原理に基づき、本実施の形態で
は、二光束干渉露光法を用いて先鋭化されたエミッタを
作製するようにしたものである。まず、基板102上に
フォトレジスト膜101を形成する。これは、ネガ型の
レジスト或いは感光性ポリイミドの塗布又はプリベーク
により形成すればよい。ネガレジストとしては例えば東
京応化株式会社製のTHMR−iN PS4、感光性ポ
リイミドとしては例えば宇部興産株式会社製のLITH
OAT PI−400を用いてスピンコート法などによ
り塗布すればよい。このようなネガ型にフォトレジスト
膜101に対して第1回目の二光束干渉露光法による露
光を行い、図5(a)に示すように縞形状にパターニン
グする。この後、この基板102を90°回転させて、
第2回目の二光束干渉露光法による露光を行い、図5
(b)に示すように縦横に交差する縞形状にパターニン
グする。この後、現像を行う。このとき、フォトレジス
ト膜101がネガ型であるので、図5(c)中に黒く塗
りつぶして示す部分、即ち、第1,2回目の露光で露光
されなかった部分のレジストだけが除去されることにな
る。この結果、フォトレジスト膜101の形状は、底部
119aの曲率半径が図4で説明した場合と同様に、数
十nmで、ピッチが数百nmの周期的な穴形状119が
図6に示すように格子状に作製される。この場合、X線
リソグラフィ法のような高価な設備を要せずに高密度に
穴形状119を作製することができる。
【0044】なお、二光束干渉露光法による露光回数は
2回に限られることなく、3回以上であってもよい。ま
た、露光後に次の露光に移行する際の基板102の回転
角度も90°に限られることはなく、適宜角度ずつ回転
させるようにしてもよい。さらに、干渉露光に用いる光
束数も二光束に限られることなく、三光束、四光束等で
あってもよい。特に、多光束化すれば干渉模様自体がド
ット状になるので、基板102を回転させることなく1
回の干渉露光で済ませることもできる。
【0045】≪第一の実施の形態≫上述した原理に基づ
き作製されるレジストパターンを利用して電界放射型電
子源を作製する第一の実施の形態を図7に基づいて説明
する。まず、第1の従来技術の場合と同様に、基板12
1上にCr膜122、SiO2 膜123、Ta膜124
を順次積層し、その表面にNi膜125を積層した後、
表層にネガ型のフォトレジスト膜126を塗布形成する
(図7(a))。そこで、フォトレジスト膜126に対し
て二光束干渉露光法により露光を行い、その後、基板1
21を90°回転させて、再度、二光束干渉露光法によ
り露光を行う。2回目の露光後に、フォトレジスト膜1
26を現像し、図7(b)に示すようなレジストパター
ン127を作製する。この後、レジストパターン127
に従いNi膜125をエッチングし、Ni膜125の開
口を持つパターンを作製する(図7(c))。この後、フ
ォトレジスト膜126を除去し(図7(d))、Ni膜1
25をマスクとしてTa膜124、SiO2 膜123を
順次エッチングし(図7(e))、犠牲層となるAl、エ
ミッタのMoの蒸着、Alのエッチング・除去により、
Spindt 型のエミッタ129を作製する(図7(f))。
Ni膜125はゲート電極130として残る。このよう
にして、Spindt 型の電界放射型電子源を作製すること
ができる。
【0046】ここに、本実施の形態によれば、そのエミ
ッタ129間のピッチは0.3μm程度であるので、1
μm四方に9個のエミッタが充填されている高密度なF
EAが完成する。このために高価なEB(エレクトロン
ビーム)露光装置やX線露光装置などを必要とせず、安
価に作製し得る。また、高密度であるので、放射電流の
安定性、冗長性、放射電流密度の高いFEAとして作製
することができる。特に、本実施の形態のFEAであれ
ば、第1の従来技術のようなリフトオフ法によらないた
め、より確実な作製プロセスとなり、歩留まりも向上す
ることになる。さらには、エミッタ129の材料も蒸着
できる材料であればよく、その材料選択の自由度も高
い。
【0047】≪第二の実施の形態≫第二の実施の形態を
図8に基づいて説明する。本実施の形態では、単結晶シ
リコンの結晶軸異方性エッチングとその後の熱酸化によ
る先鋭化法とを用いる。まず、主にその面方位が(10
0)面とされた単結晶シリコン基板131の表面に熱酸
化法により酸化シリコン膜(SiO2 膜)132を形成
し、さらにその上にネガ型のフォトレジスト膜133を
塗布形成する(図8(a))。そこで、フォトレジスト膜
133に対して二光束干渉露光法により露光を行い、そ
の後、シリコン基板131を90°回転させて、再度、
二光束干渉露光法により露光を行う。2回目の露光後
に、フォトレジスト膜133を現像し、図8(b)に示
すようなレジストパターン134を作製する。このレジ
ストパターン134における開口部のSiO2 膜132
を弗酸等でエッチングし、かつ、フォトレジスト膜13
3を除去する(図8(c))。そこで、エッチングされた
SiO2 膜132をマスクとしてシリコン基板131を
結晶軸異方性エッチングを行い、逆ピラミッド状の穴形
状135を形成する(図8(d))。このときのエッチャ
ントとしてはKOH水溶液、NaOH水溶液、ヒドラジ
ン、EPW、TMAH、アンモニア等の強アルカリ性の
ものを用いるのがよい。この後、マスクとして用いたS
iO2 膜132を弗酸等で除去し(図8(e))、異方性
エッチングにより穴形状135が形成されたシリコン基
板131表面を熱酸化することにより、表面に酸化膜1
36を形成する(図8(f))。この場合の酸化膜136
はSiO2 膜である。これにより、穴形状135の底部
135aが先鋭化される。次に、エミッタ材料137を
真空蒸着法やCVD法により推積し、或いは、スピンコ
ート法により塗布することにより、穴形状135部分に
充填する(図8(g))。この後、シリコン基板131及
び酸化膜136を除去することにより、エミッタ138
が作製される(図8(h))。
【0048】このようにして作製されたエミッタ138
は、第2の従来技術による場合に比べて、二光束干渉露
光法を用いて作製しているので、高密度となり、よっ
て、放射電流の安定性、冗長性、放射電流密度の高いF
EAとして作製することができる。このために高価なE
B露光装置やX線露光装置などを必要とせず、安価に作
製し得る。また、エミッタ材料137も逆ピラミッド状
の穴形状135部分に充填できる材料であればよく、そ
の材料選択の自由度も高い。
【0049】≪第三の実施の形態≫第三の実施の形態を
図9及び図10に基づいて説明する。本実施の形態で
は、エミッタ材料として低抵抗化されたノボラック系の
フォトレジストを用いるものであるが、図8で示した部
分と同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略す
る。本実施の形態の場合、図9(a)〜(f)に示す工程
は前述した図8(a)〜(f)で説明した工程と全く同じ
である。そこで、穴形状135の底部135aを先鋭化
させた後、エミッタ材料としてノボラック系のフォトレ
ジスト139をスピンコート法、ローラコート法或いは
カーテンコート法などにより逆ピラミッド状の穴形状1
35部分に充填する(図9(g))。ノボラック系のフォ
トレジスト139としては、例えば、東京応化株式会社
製のOFPR800等を用いればよい。これを300
℃、30分程度でハードベークする(一般的なレジスト
はこの程度の温度でベークすると感光性がなくなるた
め、これを“ハードベーク”という)。従って、ノボラ
ック系のフォトレジスト139の膜はハードベークレジ
スト膜として形成される。この後、同じノボラック系の
フォトレジスト140をハードベークされたフォトレジ
スト139上にスピンコート法等により塗布する。この
場合は、これを50〜200℃なる低温で30分程度で
ベークする。さらに、その表面に蒸着法等により金属膜
141を推積させる。
【0050】この後、シリコン基板131及び酸化膜1
36を除去し、Ar+イオンを注入することでエミッタ
142が作製される(図9(h))。Ar+イオンの注入
条件は、例えば、加速電圧100keV、Dose 量3〜
5×1016cm2 とされる。ここに、ノボラック系のフォ
トレジストに対してAr+イオンを注入した場合のレジ
ストのベーク温度と注入量との関係は既知であり、図1
0に示すような関係、即ち、ベーク温度が低いか注入量
が少ないと抵抗が高くなる特性がある(Tanemasa Asa
no,et al,“Field Emission from an Ion Beam
Modified Photoresist-A New Class of Gold Ca
thode Material for Large Area Devices-”,日本
学術振興会真空マイクロエレクトロニクス第158委員
会第21回研究会資料、p33,1997.9.21参照)。
【0051】これにより、ハードベークされたエミッタ
142部分のフォトレジスト139は数Ωcmまで抵抗
が低くなる(低抵抗化される)。一方、低温ベークされ
たフォトレジスト140はフォトレジスト139部分ほ
どは抵抗が低下せず、せいぜい、数百〜数千Ωcm程度
或いはそれ以上の比抵抗を示す(高抵抗層として機能す
る)。従って、エミッタ142部分は抵抗が低く、その
下地層は高い抵抗を示すことになる。この高抵抗層(フ
ォトレジスト140層)は、第2の従来技術における芯
材抵抗層と同様な機能を示し、エミッタ電流の安定化を
図れる。ここに、第2の従来技術の場合、芯材抵抗層は
エミッタ材料と異なる材料を異なる装置で積層させる必
要があったが、本実施の形態では同じ材料を用いて極め
て簡単なスピンコート法で積層させることができ、か
つ、単にベーク温度を変えるだけでその抵抗値を高くす
ることができる。また、Ar+イオンの注入は、本実施
の形態のように、エミッタ142側から行うだけでな
く、図9(g)において、金属膜141を推積させる前
に、低温ベークレジスト(フォトレジスト140)側か
ら行うようにしてもよい。イオン注入後、電極膜143
を形成するために金属をデポする。
【0052】なお、エミッタ材料としてはノボラック系
のフォトレジスト139,140に限らず、ポリイミド
(例えば、宇部興産株式会社製のLT120FやAT0
10)を用いてもよい。
【0053】≪第四の実施の形態≫第四の実施の形態を
図11に基づいて説明する。本実施の形態では、ゲート
電極を持つ三極管構造の電界放射型電子源の作製方法に
関する。図9で示した部分と同一部分は同一符号を用い
て示し、説明も省略する。本実施の形態の場合、図11
(a)〜(e)に示す工程は前述した図9(a)〜(e)で
説明した工程と全く同じである。そこで、シリコン基板
131を酸化する前に、燐をドーピングして、低抵抗化
した燐拡散層145を形成する。この後、熱酸化を行
い、熱酸化シリコン(SiO2 )による酸化膜136を
形成する(図11(f))。その後、第三の実施の形態の
場合と同様に、エミッタ材料であるハードベークレジス
ト139と低温ベークレジスト140とを塗布・焼成
し、Ar+イオンを注入し金属膜141をデポし、電極
とする(図11(g))。次に、シリコン基板131を除
去し(図11(h))、レジスト146を塗布する(図1
1(i))。このとき、レジスト146の厚みはピラミッ
ド状の突起147の先端が隠れる程度の厚みとする。こ
の後、レジスト146をO2 ガス或いはO2 とCHF3
との混合ガスによりドライエッチングする(図11
(j))。このエッチングは、エミッタ142先端上のゲ
ート電極148部分が露出した時点で終了する。エッチ
ングを終了する時刻、いわゆるエンドポイントの検知
は、顕微鏡でエッチング中の表面を観察し、先端が現わ
れたところでエッチングを中止させるようにしてもよ
い。もっとも、より効率的には、O2 ガス或いはO2
CHF3 との混合ガスにArなどの物理的エッチングを
行うためのガスを混合させたものをエッチングガスとし
て用い、ドライエッチング装置のチャンバ内ガス中のゲ
ート電極148材料の分圧を分圧真空計(真空分析計と
もいう)により測定しながらエッチングを行う。そし
て、レジスト146のエッチングが進み、ゲート電極1
48が露出するとエッチング中のArの働きによりゲー
ト電極148がエッチングされはじめ、チャンバ内のガ
ス中に放出される。従って、チャンバ内のガス中のゲー
ト電極材料の分圧が上昇する。これを前述した分圧真空
計で検出し、エッチングのエンドポイントを検知する。
【0054】このようなエッチングにより露出した部分
から燐拡散層145と酸化膜136とをエッチングし、
エミッタ材料(139,140)の先端を露出させる
(図11(k))。この後、レジスト146を剥離液又は
酸素プラズマで除去する(図11(l))。これにより、
ゲート電極148を持つ三極管構造の電界放射型電子源
が完成する。
【0055】なお、エミッタ142先端のゲート電極1
48のみを露出させる方法としては、上記のようなエッ
チバック法以外に、例えば、レジスト146全面に現像
後にエミッタ142先端のゲート電極148のみがレジ
スト146から露出するように適当なパワーで露光を行
い、現像・ベークを行うようにしてもよい。
【0056】≪第五の実施の形態≫第五の実施の形態を
図12に基づいて説明する。図11で示した部分と同一
部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する。本実施
の形態では、基板としてp型単結晶シリコン基板151
にドーピングとエピタキシャル成長によりn型層152
が埋め込まれた構造体が用いられる。このようなシリコ
ン基板151表面を熱酸化して熱酸化シリコン膜(Si
2 膜)153を形成した後、ネガ型のフォトレジスト
膜154を塗布形成する(図12(a))。次いで、各実
施の形態で前述したように2回の二光束干渉露光法によ
り露光を行うことで、フォトレジスト膜154にレジス
トパターン134を形成する(図12(b))。そして、
熱酸化シリコン膜153をエッチングによりパターニン
グし(図12(c))、アルカリエッチング液を用いて結
晶軸異方性エッチングを行い、逆ピラミッド状の穴形状
135を形成する(図12(d))。この際、穴形状13
5部分の底部先端がn型層152を超えて下側のp型単
結晶シリコン基板151部分までわずかに届くように、
n型層152の深さ、厚み、熱酸化シリコン膜153の
開口寸法などを予め決めておく。この後、熱酸化シリコ
ン膜153を除去し(図12(e))、前述の第四の実施
の形態の場合と同様に、エミッタ材料であるハードベー
クレジスト139と低温ベークレジスト140とを塗布
・焼成し、Ar+イオンを注入し金属膜141をデポ
し、電極とする(図12(f))。続いて、電気化学エッ
チングにより、シリコン基板151におけるp型部分を
エッチングする(図12(g))。電気化学エッチングに
よりこのエッチングはn型層152表面で停止する。そ
して、熱酸化シリコン膜153を希弗酸などにより一部
除去し、n型層152をゲート電極155とすることに
よりゲート電極155を持つ三極管構造が完成する。
【0057】<請求項2記載の発明に対応する実施の形
態> ≪第一の実施の形態≫第一の実施の形態を図13に基づ
いて説明する。本実施の形態では、まず、基板201上
にネガ型のフォトレジスト膜202を厚めに塗布形成し
ておく。もっとも、フォトレジスト膜202は1μm以
上の膜厚があれば十分である。このようなフォトレジス
ト膜202に対して前述した実施の形態の場合と同様に
二光束干渉露光法による2回の露光を行い、現像する
と、底部203aが先鋭化された穴形状203が形成さ
れる(図13(a))。この場合、底部203aの曲率半
径は50〜60nmとなる。このような穴形状203部
分をモールドとしてエミッタ材料204と電極205と
を順次推積させる(図13(b))。この後、フォトレジ
スト膜202と基板201とを剥離液や有機溶剤を用い
て除去すれば、エミッタ206が作製される(図13
(c))。
【0058】このようにして作製されたエミッタ206
によれば、その先端の曲率半径が50〜60nm程度で
あるので、電界放射を生じさせることができる。ここ
に、本実施の形態によれば、エミッタ206の形状を作
製するためのモールドが、ネガ型のフォトレジスト膜2
02であるので、第2の従来技術のように高価な単結晶
シリコンをモールドとして用いる必要がなく、安価に作
製し得る。また、基板201自体に穴形状を作製するわ
けではないので、基板201としてガラスのような安価
なものを繰り返して用いることができ、製造コストを低
くすることができる。
【0059】≪第二の実施の形態≫第二の実施の形態を
図14に基づいて説明する。本実施の形態は、いわゆる
三極管構造を作製する方法に関するが、図13で示した
部分と同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略す
る。まず、エミッタ206の形状を作製するまでの工程
(図14(a)〜(c))は図13(a)〜(c)の場合と同
じである。このようにエミッタ206を作製した後、ゲ
ート絶縁膜207とゲート電極208とをデポする(図
14(d))。その後、エミッタ206の形状部分が埋も
れるようにレジスト膜209を塗布形成する(図14
(e))。このとき、塗布形成されたレジスト膜209の
表面が平坦化されるようにその膜厚等を調整する。次い
で、レジスト膜209をO2 ガス或いはO2 とCHF3
との混合ガスによりドライエッチンクでエッチバックす
る(図14(f))。このエッチングは、エミッタ206
先端上のゲート電極208部分が露出した時点で終了す
る。エッチングを終了する時刻、いわゆるエンドポイン
トの検知は、顕微鏡でエッチング中の表面を観察し、先
端が現われたところでエッチングを中止させるようにし
てもよい。もっとも、より効率的には、O2 ガス或いは
2 とCHF3 との混合ガスにArなどの物理的エッチ
ングを行うためのガスを混合させたものをエッチングガ
スとして用い、ドライエッチング装置のチャンバ内ガス
中のゲート電極148材料の分圧を分圧真空計(真空分
析計ともいう)により測定しながらエッチングを行う。
そして、レジスト膜209のエッチングが進み、ゲート
電極208が露出するとエッチング中のArの働きによ
りゲート電極208がエッチングされはじめ、チャンバ
内のガス中に放出される。従って、チャンバ内のガス中
のゲート電極材料の分圧が上昇する。これを前述した分
圧真空計で検出し、エッチングのエンドポイントを検知
する。
【0060】この後、主にウェットエッチングによりゲ
ート電極208とゲート絶縁膜207とをエッチング
し、開口210を形成する(図14(g))。次に、レジ
スト膜209を剥離液又は酸素プラズマで除去すること
により、ゲート電極208を持つ三極管構造が完成する
(図14(h))。
【0061】なお、エミッタ206先端のゲート電極2
08のみを露出させる方法としては、上記のようなエッ
チバック法以外に、例えば、レジスト膜209全面に現
像後にエミッタ206先端のゲート電極208のみがレ
ジスト膜209から露出するように適当なパワーで露光
を行い、現像・ベークを行うようにしてもよい。
【0062】≪第三の実施の形態≫第三の実施の形態を
図15に基づいて説明する。本実施の形態も、いわゆる
三極管構造の作製方法に関するが、前述の第二の実施の
形態をさらに改良したものである。
【0063】まず、第二の実施の形態の場合、図14
(f)に示す工程において、微小なエミッタ206の形
状の先端部分がレジスト膜209の表面に現われたとこ
ろを分圧真空計により検知してエッチングを止めるわけ
であるが、エッチングレートそのものが基板201内で
ばらついているため、また、フォトレジスト膜202の
膜厚がばらついているため、一部のエミッタ206はエ
ミッタ先端がレジスト膜209の表面に出なかったり、
或いは、出過ぎてしまったりする。出過ぎてしまった場
合には、RIEは物理的エッチングの作用によりゲート
電極208やゲート絶縁膜207もエッチングされてし
まい、開口部の形状が所望の形に仕上がらない。
【0064】そこで、本実施の形態では、開口部の形状
を所望の形に仕上げられるようにしたものである。図1
5(a)〜(d)に示すように、図14(a)〜(d)の場
合の工程を経てゲート絶縁膜207とゲート電極208
とをエミッタ206部分上にデポした後、エミッタ20
6形状における突出部が埋もれないようにレジスト膜厚
を調整してフォトレジストを塗布しレジスト膜210を
形成する。さらに、ガラス板或いは石英板のようなフォ
トレジストが感光性を示す波長の光に対して透明である
透明板211をエミッタ206先端部分のレジスト膜2
10のみに接触するように乗せる(図15(e))。レジ
スト膜210を感光するための光が照射される側の透明
板211には反射防止膜をコーティングしておく。ここ
で、反射防止コートされた側から平行光化された光を基
板201表面に対して斜めに照射する。光源側のガラス
と空気の界面では反射防止膜がコーティングされている
ので、光は透明板211中に入射する。ここに、入射し
た光がエミッタ206側の透明板211と空気との界面
に到達した場合には全反射の条件を満たし、透明板21
1とレジスト膜210との界面に到達した場合にはレジ
スト膜210側に入射する条件を満たすように、光源か
ら透明板211への入射角、透明板211、空気、レジ
スト膜210の屈折率関係を予め設定しておく。これに
より、レジスト膜210を感光させる光源からの光は、
図15(e)中に矢印で示すように、レジスト膜210
中で透明板211と接触している部分にのみ到達し、他
の部分での光は透明板211と空気との界面で全反射さ
れ、接触部分以外のレジスト膜210部分には到達しな
い。従って、エミッタ206の先端のレジスト膜210
部分のみが感光される。よって、この露光後に現像する
ことにより、エミッタ206の先端上のレジスト膜21
0のみが除去され、ゲート電極208が露出する(図1
5(f))。このように形成された開口を介してゲート電
極208とゲート絶縁膜207とをウェットエッチング
又はドライエッチングによりエッチングする(図15
(g))。これにより、エミッタ206の先端が露出す
る。最後に、剥離液又は酸素プラズマによりレジスト膜
210を除去する(図15(h))。
【0065】本実施の形態によれば、X線リソグラフィ
法を用いることなく、数百nmピッチの高密度なエミッ
タ形状とゲート電極構造とを作製することができ、ゲー
ト電極208へ印加する電圧により電界放射を制御する
ことができる。また、、本実施の形態によれば、フォト
レジスト膜202をエッチバックしないので、フォトレ
ジスト膜202の膜厚やエッチバックのエッチレートの
ばらつきによる開口部形状のばらつきが少なく、特性の
揃った歩留まりのよい電界放射型電子源を作製すること
ができる。
【0066】また、図15において、透明板211に対
して斜めに光を入射させ、透明板211と空気及びレジ
スト膜210の界面における反射条件によりレジスト膜
210の先端のみが露光されるようにしたが、例えば、
以下のようにしてもよい。即ち、光導波路の機能を有す
るガラス板を用い、そのガラス板端面から露光用の光を
導入する。光はガラス板と空気との界面で全反射し、ガ
ラス板の外には出てこない。エミッタ先端のフォトレジ
ストがガラス板に接しているところは全反射条件が崩
れ、ガラス板側からレジストに光が出て両者が接触して
いる部分のレジストのみが露光され、前述した場合と同
様に開口を作製することができる。
【0067】また、ガラス板端面から光を導入した場
合、ガラス板内で全反射条件が成り立っていても、光導
波路であるガラス板表面からはエバネッセント光が出て
いる。このエバネッセント光はガラス表面から十nm以
下の距離まで表れているので、ガラス板とレジストとが
接触している部分のレジストは感光され、上述した場合
と同様に開口を作製することができる。もっとも、これ
らの説明は請求項2記載の発明に対応する実施の形態へ
の適用例として説明したが、前述した請求項1記載の発
明に対応する実施の形態のエミッタ作製にも適用でき
る。
【0068】なお、エミッタ206先端のゲート電極2
08のみを露出させる方法としては、上記のようなエッ
チバック法以外に、例えば、レジスト膜210全面に現
像後にエミッタ206先端のゲート電極208のみがレ
ジスト膜210から露出するように適当なパワーで露光
を行い、現像・ベークを行うようにしてもよい。
【0069】<請求項3記載の発明に対応する実施の形
態> ≪第一の実施の形態≫第一の実施の形態を図16に基づ
いて説明する。本実施の形態では、まず、基板301上
にネガ型のフォトレジスト膜302を厚めに塗布形成し
ておく。もっとも、フォトレジスト膜302は1μm以
上の膜厚があれば十分である。このようなフォトレジス
ト膜302に対して前述した実施の形態の場合と同様に
二光束干渉露光法による2回の露光を行い、現像するこ
とで、底部303aが先鋭化された穴形状303を形成
する(図16(a))。この場合、底部303aの曲率半
径は50〜60nmとなる。このような穴形状303部
分に対して蒸着法或いはCVD法を用いて先鋭化材料と
して絶縁膜304を推積する。このとき、デポ条件、時
間等を適切に設定することにより、図16(a)に示す
ように穴形状303部分が一層先鋭化される。このよう
に絶縁膜304が推積された穴形状303部分をモール
ドとしてエミッタ材料305と電極306とを順次推積
させる(図16(b))。この後、フォトレジスト膜30
2と基板301とを剥離液や有機溶剤を用いて除去すれ
ば、エミッタ307が作製される(図16(c))。
【0070】このようにして作製されたエミッタ307
によれば、その先端の曲率半径が数nm程度であるの
で、エミッタ307の先端に高い電界を集中させること
ができ、より低い電圧で電界放射を生じさせることがで
きる。従って、本実施の形態によれば、エミッタ30を
用いたデバイスの駆動電圧を低くすることができ、駆動
回路のコストと消費電力とを低減させ得る電界放射型電
子源を作製することができる。また、前述の実施の形態
の場合と同じく、本実施の形態によれば、エミッタ30
7の形状を作製するためのモールドが、ネガ型のフォト
レジスト膜302であるので、第2の従来技術のように
高価な単結晶シリコンをモールドとして用いる必要がな
く、安価に作製し得る。また、基板301自体に穴形状
を作製するわけではないので、基板301としてガラス
のような安価なものを繰り返して用いることができ、製
造コストを低くすることができる。また、エミッタ材料
305も絶縁膜304が推積された穴形状303部分内
に充填・推積可能な材料であればよく、その材料選択の
自由度も高い。
【0071】≪第二の実施の形態≫第二の実施の形態を
図17に基づいて説明する。本実施の形態は、いわゆる
三極管構造を作製する方法に関するが、図16で示した
部分と同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略す
る。まず、エミッタ307の形状を作製するまでの工程
(図17(a)〜(c))は図16(a)〜(c)の場合と同
じである。このようにエミッタ307を作製した後、ゲ
ート絶縁膜308とゲート電極309とを推積させる
(図17(d))。ゲート絶縁膜308は酸化シリコン、
窒化シリコン等の絶縁材料により形成され、ゲート電極
309はAl,Nb,Cr,Niのような低抵抗材料な
る金属により形成される。その後、エミッタ307の形
状部分が埋もれるようにレジスト膜310を塗布形成す
る(図17(e))。このとき、塗布形成されたレジスト
膜310の表面が平坦化されるようにその膜厚等を調整
する。次いで、レジスト膜310をO2 ガス或いはO2
とCHF3 との混合ガスによりドライエッチンクでエッ
チバックする(図17(f))。このエッチングは、エミ
ッタ307先端上のゲート電極309部分が露出した時
点で終了する。エッチングを終了する時刻、いわゆるエ
ンドポイントの検知は、顕微鏡でエッチング中の表面を
観察し、先端が現われたところでエッチングを中止させ
るようにしてもよい。もっとも、より効率的には、O2
ガス或いはO2 とCHF3 との混合ガスにArなどの物
理的エッチングを行うためのガスを混合させたものをエ
ッチングガスとして用い、ドライエッチング装置のチャ
ンバ内ガス中のゲート電極309の材料の分圧を分圧真
空計(真空分析計ともいう)により測定しながらエッチ
ングを行う。そして、レジスト膜310のエッチングが
進み、ゲート電極309が露出するとエッチング中のA
rの働きによりゲート電極309がエッチングされはじ
め、チャンバ内のガス中に放出される。従って、チャン
バ内のガス中のゲート電極材料の分圧が上昇する。これ
を前述した分圧真空計で検出し、エッチングのエンドポ
イントを検知する。
【0072】この後、主にウェットエッチングによりゲ
ート電極309とゲート絶縁膜308とをエッチング
し、開口311を形成する(図17(g))。次に、レジ
スト膜310を剥離液又は酸素プラズマで除去すること
により、ゲート電極309を持つ三極管構造が完成する
(図17(h))。
【0073】なお、エミッタ307先端のゲート電極3
09のみを露出させる方法としては、上記のようなエッ
チバック法以外に、例えば、レジスト膜310全面に現
像後にエミッタ307先端のゲート電極309のみがレ
ジスト膜310から露出するように適当なパワーで露光
を行い、現像・ベークを行うようにしてもよい。さら
に、請求項2記載の発明に対応する第二の実施の形態の
ように、透明板(ガラス板)を用いてエミッタ先端上の
一部分のフォトレジストのみを露光するようにしてもよ
い。
【0074】<請求項4記載の発明に対応する実施の形
態> ≪第一の実施の形態≫第一の実施の形態を図18に基づ
いて説明する。本実施の形態は、ゲート電極を持つ三極
管構造の電界放射型電子源の作製方法に関するが、基本
的には請求項1記載の発明に対応する実施の形態中の第
四の実施の形態をベースとするものである。即ち、図1
8(a)〜(l)に示す工程・処理は、図11(a)〜
(l)に示した工程・処理と同じであり、同一符号を付
して示す。図18(l)に示すようにレジスト146を
剥離液又は酸素プラズマで除去した後、本実施の形態で
はAr+イオンをエミッタ142側からイオン注入する
(図18(m))。このとき、Ar+イオンはゲート電極
148の開口部分のみを通過しエミッタ142の先端部
分に到達する。ここに、エミッタ材料はレジスト13
9,140であるので、Ar+イオンが到達した個所の
みが低抵抗化される。これにより、図18(n)中にお
けるエミッタ142の開口に対応した部分142aだけ
が抵抗が低くなる。つまり、エミッタ材料であるレジス
ト139,140が低抵抗部分と高抵抗部分とに分かれ
る。
【0075】このようにして作製される構造の場合、図
32で説明した第4の従来技術の場合に比べて以下のよ
うな利点がある、まず、第4の従来技術方式の場合、エ
ミッタの低抵抗部分が互いに低い抵抗層でつながってい
るため、前述した如く、放射電流の低下やエミッタの破
損を生じ得る。この点、本実施の形態によれば、各エミ
ッタ142は抵抗の低い部分142aと高い部分142
bとを介して接続されていることになる。従って、1つ
のエミッタ142の電位の変化により他のエミッタ14
2の電位が影響を受けることがない。つまり、或る1つ
のエミッタ142でプラズマ発生によりそのエミッタ1
42に負帰還がかかってその電位が変動しても、プラズ
マが発生しておらず元々安定して電子放射している他の
エミッタ142の電位を変化させ、そのエミッタとゲー
ト電極との間の電位差を小さくしてしまうことはない。
これにより、他の安定しているエミッタ142の放射電
流を減少させてしまうことがない。かつ、これとは逆
に、負帰還がうまくかからずエミッタ142を破損させ
てしまうこともない。
【0076】≪第二の実施の形態≫第二の実施の形態を
図19に基づいて説明する。本実施の形態は、上記の第
一の実施の形態に準ずるものであるが、図18(m)に
示したAr+イオンの注入工程において、Ar+イオン
のイオン注入の加速電圧を小さくすることにより、Ar
+イオンを高抵抗層(レジスト140)まで到達させな
いようにしたものである。この結果、エミッタ142の
低抵抗部分142aは島状に孤立することになる。
【0077】≪第三の実施の形態≫第三の実施の形態を
図20に基づいて説明する。本実施の形態は、ゲート電
極を持つ三極管構造の電界放射型電子源の作製方法に関
するが、基本的には請求項3記載の発明に対応する実施
の形態中の第三の実施の形態をベースとするものであ
る。即ち、図20(a)〜(g)に示す工程・処理は、図
17(a)〜(g)に示した工程・処理と同じであり、同
一符号を付して示す。図20(g)に示すようにゲート
電極309とゲート絶縁膜308とをエッチングし、開
口311を形成した後、本実施の形態ではAr+イオン
をエミッタ307側からイオン注入する(図20
(h))。この際、第二の実施の形態の場合と同様に、A
r+イオンのイオン注入の加速電圧を小さくすることに
より、Ar+イオンを電極306まで到達させないよう
にした。ここに、エミッタ材料はハードベークしたレジ
スト139であるが、イオン注入されなかった個所は抵
抗が高いままとなるので、エミッタ307の低抵抗部3
07aは高抵抗部307bに囲まれた島状構造となる。
これにより、上述の実施の形態の場合と同様に、放射電
流を安定させることができ、エミッタ307の破損を防
止できる。
【0078】なお、請求項2記載の発明に対しても同様
に適用し得ることはもちろんである。
【0079】<請求項5記載の発明に対応する実施の形
態> ≪第一の実施の形態≫第一の実施の形態を図21に基づ
いて説明する。本実施の形態では、まず、基板501上
にネガ型のフォトレジスト膜502を厚めに塗布形成し
ておく。もっとも、フォトレジスト膜502は1μm以
上の膜厚があれば十分である。このようなフォトレジス
ト膜502に対して前述した実施の形態の場合と同様に
二光束干渉露光法による2回の露光を行い、現像するこ
とで、底部503aが先鋭化された穴形状503を形成
する(図21(a))。この場合、底部503aの曲率半
径は50〜60nmとなる。穴形状503が形成された
フォトレジスト膜502をハードベークし、Ar+イオ
ンを注入する(図21(b))。502aは低抵抗化部分
となる。この後、穴形状503部分に対して蒸着法或い
はCVD法を用いて先鋭化材料として絶縁膜504を推
積する(図21(c))。このとき、デポ条件、時間等を
適切に設定することにより、穴形状503部分が一層先
鋭化される。このように絶縁膜504が推積された穴形
状503部分をモールドとしてエミッタ材料505と電
極506とを順次推積させる(図21(d))。この後、
基板501を除去する(図21(e))。
【0080】そして、フォトレジスト膜502をO2
ス或いはO2 とCHF3 との混合ガスによりドライエッ
チングでエッチバックする(図21(f))。このエッチ
ングは、エミッタ507先端上の絶縁膜504が露出し
た時点で終了する。エッチングを終了する時刻、いわゆ
るエンドポイントの検知は、顕微鏡でエッチング中の表
面を観察し、絶縁膜504が現われたところでエッチン
グを中止させるようにしてもよい。もっとも、より効率
的には、O2 ガス或いはO2 とCHF3 との混合ガスに
Arなどの物理的エッチングを行うためのガスを混合さ
せたものをエッチングガスとして用い、ドライエッチン
グ装置のチャンバ内ガス中の絶縁膜504の材料の分圧
を分圧真空計(真空分析計ともいう)により測定しなが
らエッチングを行う。そして、フォトレジスト膜502
のエッチングが進み、絶縁膜504が露出するとエッチ
ング中のArの働きにより絶縁膜504がエッチングさ
れはじめ、チャンバ内のガス中に放出される。従って、
チャンバ内のガス中の絶縁膜材料の分圧が上昇する。こ
れを前述した分圧真空計で検出し、エッチングのエンド
ポイントを検知する。
【0081】この後、ネガ型のフォトレジスト膜502
をハードベークし、Ar+イオンをこのフォトレジスト
膜502に注入する。これにより、レジストは抵抗が低
くなる。このとき、エミッタ507の先端形状部分には
絶縁膜504があるので、これがブロックとなって、エ
ミッタ507の先端にはAr+イオンが注入されない。
従って、イオン注入がエミッタ材料505に影響を及ぼ
すことがない。そして、主にウェットエッチングにより
絶縁膜504をゲート絶縁膜としてエッチングし、開口
508を形成する(図21(g))。ここに、ネガ型のフ
ォトレジスト膜502は図21(b)の工程でハードベ
ークされイオン注入されて低抵抗化されているので、5
02a部分をゲート電極509として使用することがで
きる。
【0082】従って、本実施の形態によれば、ゲート電
極509の電極膜をわざわざ推積させなくても、エミッ
タ507を作製するためのモールドをそのままゲート電
極として利用でき、工程が簡単となり、歩留まり、低コ
スト化を向上させることができる。
【0083】なお、本実施の形態では、エミッタ507
の先端を先鋭化させるためにネガ型のフォトレジスト膜
502上に絶縁膜504を推積させるようにしたが、特
に先鋭化させなくても目的は達成できる。
【0084】≪第二の実施の形態≫第二の実施の形態を
図22に基づいて説明する。図21で示した部分と同一
部分は同一符号を用いて示す。本実施の形態では、ま
ず、基板501上にネガ型のフォトレジスト膜502を
厚めに塗布形成しておく。もっとも、フォトレジスト膜
502は1μm以上の膜厚があれば十分である。このよ
うなフォトレジスト膜502に対して前述した実施の形
態の場合と同様に二光束干渉露光法による2回の露光を
行い、現像することで、底部503aが先鋭化された穴
形状503を形成する(図22(a))。この場合、底部
503aの曲率半径は50〜60nmとなる。この後、
穴形状503部分に対して蒸着法或いはCVD法を用い
て絶縁膜504を推積する(図22(b))。このとき、
デポ条件、時間等を適切に設定することにより、穴形状
503部分が一層先鋭化される。このように絶縁膜50
4が推積された穴形状503部分をモールドとしてエミ
ッタ材料505と電極506とを順次推積させる(図2
2(c))。この後、基板501を除去する(図22
(d))。
【0085】そして、フォトレジスト膜502をO2
ス或いはO2 とCHF3 との混合ガスによりドライエッ
チングでエッチバックする(図22(e))。このエッチ
ングは、エミッタ507先端上の絶縁膜504が露出し
た時点で終了する。エッチングを終了する時刻、いわゆ
るエンドポイントの検知は、顕微鏡でエッチング中の表
面を観察し、絶縁膜504が現われたところでエッチン
グを中止させるようにしてもよい。もっとも、より効率
的には、O2 ガス或いはO2 とCHF3 との混合ガスに
Arなどの物理的エッチングを行うためのガスを混合さ
せたものをエッチングガスとして用い、ドライエッチン
グ装置のチャンバ内ガス中の絶縁膜504の材料の分圧
を分圧真空計(真空分析計ともいう)により測定しなが
らエッチングを行う。そして、フォトレジスト膜502
のエッチングが進み、絶縁膜504が露出するとエッチ
ング中のArの働きにより絶縁膜504がエッチングさ
れはじめ、チャンバ内のガス中に放出される。従って、
チャンバ内のガス中の絶縁膜材料の分圧が上昇する。こ
れを前述した分圧真空計で検出し、エッチングのエンド
ポイントを検知する。
【0086】この後、ネガ型のフォトレジスト膜502
をハードベークし、Ar+イオンをこのフォトレジスト
膜502に注入する。これにより、レジストは抵抗が低
くなる。このとき、エミッタ507の先端形状部分には
絶縁膜504があるので、これがブロックとなって、エ
ミッタ507の先端にはAr+イオンが注入されない。
従って、イオン注入がエミッタ材料505に影響を及ぼ
すことがない。そして、主にウェットエッチングにより
絶縁膜504をゲート絶縁膜としてエッチングし、開口
508を形成する(図22(g))。ここに、ネガ型のフ
ォトレジスト膜502は図22(e)の工程でハードベ
ークされイオン注入されて低抵抗化されているので、ゲ
ート電極509として使用することができる。
【0087】従って、本実施の形態によれば、ゲート電
極509の電極膜をわざわざ推積させなくても、エミッ
タ507を作製するためのモールドをそのままゲート電
極として利用でき、工程が簡単となり、歩留まり、低コ
スト化を向上させることができる。
【0088】なお、本実施の形態では、エミッタ507
の先端を先鋭化させるためにネガ型のフォトレジスト膜
502上に絶縁膜504を推積させるようにしたが、特
に先鋭化させなくても目的は達成できる。
【0089】≪第三の実施の形態≫第三の実施の形態を
図23に基づいて説明する。本実施の形態は前述の第二
の実施の形態に準ずるもので、図22で示した部分と同
一部分は同一符号を用いて示す。まず、図23(a)〜
(e)に示す工程は、図22(a)〜(e)の場合と同じ
である。図23(e)に示す工程により、フォトレジス
ト膜502をドライエッチングでエッチバックした後、
Ar+イオンをこのフォトレジスト膜502に注入する
(図23(f))。このとき、Ar+イオン注入の加速電
圧を小さくすることにより、Ar+イオンがフォトレジ
スト膜502を完全には透過しないようにした。これに
より、フォトレジスト膜502の表面の部分502aの
みが低抵抗化される。同時に、エミッタ507の先端形
状部分には絶縁膜504があるので、これがブロックと
なって、エミッタ507の先端にはAr+イオンが注入
されない。従って、イオン注入がエミッタ材料505に
影響を及ぼすことがない。この後、絶縁膜504を希弗
酸などにより一部除去する(図23(g))。これによ
り、フォトレジスト膜502の一部のみがゲート電極5
09となる。
【0090】このため、本実施の形態によれば、ゲート
電極509とエミッタ507との間には、高抵抗なフォ
トレジスト膜502b部分が存在し、両者の間の距離は
大きい。そのため、両者間の静電容量が小さくなり、電
界放射を生じさせるためにゲート電極509に電圧を印
加する際に多大な充電電流が流れることになる。また、
ゲート電圧の上昇が速くなり、高速駆動が可能となる。
また、駆動回路の負担が減り、低コスト化を図れるとと
もに、消費電流も小さくすることができる。また、ゲー
ト電極や厚いゲート絶縁膜を作製する必要もなく、製造
コスト面や歩留まり面でも有利となる。
【0091】なお、これらの第一〜第三の実施の形態で
は、請求項3記載の発明に対応する実施の形態として説
明したが、請求項1又は2記載の発明に関しても同様に
適用し得る。
【0092】<請求項6記載の発明に対応する実施の形
態> ≪第一の実施の形態≫第一の実施の形態を図24に基づ
いて説明する。本実施の形態では、まず、基板601上
にネガ型のフォトレジスト膜602を厚めに塗布形成し
ておく。もっとも、フォトレジスト膜602は1μm以
上の膜厚があれば十分である。このようなフォトレジス
ト膜602に対して前述した実施の形態の場合と同様に
二光束干渉露光法による2回の露光を行い、現像するこ
とで、底部603aが先鋭化された穴形状603を形成
する(図24(a))。この場合、底部603aの曲率半
径は50〜60nmとなる。この後、穴形状603部分
に対して蒸着法或いはCVD法を用いて絶縁膜604を
推積する(図24(b))。このとき、デポ条件、時間等
を適切に設定することにより、穴形状603部分が一層
先鋭化される。このように絶縁膜604が推積された穴
形状603部分をモールドとしてエミッタ材料605と
電極606とを順次推積させる(図24(c))。このと
き、エミッタ材料605としてはハードベークレジスト
を用いる。また、絶縁膜604上にレジストを塗布・充
填させた後、ハードベークし(部分605a)、さらに
その表層にレジストを塗布して低温ベークし(部分60
5b)、その上に、電極606を推積させるものであ
る。
【0093】この後、基板601を除去し(図24
(d))、フォトレジスト膜602をドライエッチングで
エッチバックする(図24(e))。この後、絶縁膜60
4を希弗酸などにより一部除去し(図24(f))、Ar
+イオンをイオン注入する(図24(g))。この際、図
24(e)の工程のエッチパックで形成されたエミッタ
607の先端形状部分の開口608から、エミッタ60
7の先端部分に対してもイオン注入が行われる。これに
より、ハードベークしたネガ型のフォトレジスト膜60
2とエミッタ607の先端の抵抗が一度のイオン注入工
程により低抵抗化される。602aは低抵抗化されたフ
ォトレジスト膜によるゲート電極、607aはエミッタ
607における低抵抗化部分である。つまり、エミッタ
材料であるフォトレジスト膜602が低抵抗部分602
aと高抵抗部分602bとに分かれる。これにより、他
のエミッタ607に影響せず、他のエミッタ607の放
射電流を減少させてしまうとか、逆に、負帰還がうまく
かからず破損させてしまうような不具合を生じない。
【0094】≪第二の実施の形態≫第二の実施の形態を
図25に基づいて説明する。本実施の形態は、第一の実
施の形態に準ずるものであり、図24で示した部分と同
一部分は同一符号を用いて示す。本実施の形態における
図25(a)〜(f)に示す工程は、図24(a)〜
(f)に示した工程とほぼ同じであり、低温ベークレジ
スト部分605bがない点で異なる。絶縁膜604を希
弗酸などにより一部除去した後(図25(f))、Ar+
イオンをイオン注入する(図25(g))。この際、本実
施の形態では、r+イオンの注入の加速電圧を小さくす
ることにより、イオンが完全にハードベークしたエミッ
タ材料のレジスト605a部分及びネガ型のフォトレジ
スト膜602を通過しないようにした。これにより、ネ
ガ型のフォトレジスト膜602の表面のみ(部分602
a)が低抵抗される。このようにして、フォトレジスト
膜602の部分602aだけがゲート電極609とな
る。
【0095】このため、本実施の形態によれば、ゲート
電極609とエミッタ607との間には、高抵抗なフォ
トレジスト膜602b部分が存在し、両者の間の距離は
大きい。そのため、両者間の静電容量が小さくなり、電
界放射を生じさせるためにゲート電極609に電圧を印
加する際に多大な充電電流が流れることになる。また、
ゲート電圧の上昇が速くなり、高速駆動が可能となる。
また、駆動回路の負担が減り、低コスト化を図れるとと
もに、消費電流も小さくすることができる。また、ゲー
ト電極や厚いゲート絶縁膜を作製する必要もなく、製造
コスト面や歩留まり面でも有利となる。また、エミッタ
材料はハードベークしたフォトレジスト膜602である
が、エミッタ607の先端しかイオン注入されず、裏面
の電極606側までイオンが到達することはなく、イオ
ンが注入されなかった部分は抵抗が高いままであるの
で、エミッタ607の低抵抗化された部分607aはそ
の高抵抗部分607bに囲まれた島状の構造となる。こ
れにより、前述した場合と同様に、放射電流を安定させ
ることができ、かつ、エミッタ607の破損を防止する
ことができる。
【0096】≪第三の実施の形態≫第三の実施の形態を
図26に基づいて説明する。本実施の形態は、第一、二
の実施の形態に準ずるものであり、図24及び図25で
示した部分と同一部分は同一符号を用いて示す。本実施
の形態における図26(a)〜(d)に示す工程は、図2
5(a)〜(d)に示した工程と同じである。次に、ハー
ドベークしたネガ型のフォトレジスト膜602を前述し
たような方法で適切にエッチバックした後、Ar+イオ
ンの注入を行う(図26(e))。これにより、ハードベ
ークされたフォトレジスト膜602の表面部分602a
は低抵抗化する(図26(f))。続いて、絶縁膜604
を希弗酸などにより一部除去した後(図26(g))、再
び、Ar+イオンを注入する(図26(h))。この際、
Ar+イオンの注入の加速電圧を小さくすることによ
り、イオンが完全にハードベークしたエミッタ材料のレ
ジスト605a部分を通過しないようにした。
【0097】この際、エミッタ材料はハードベークした
レジスト605であるが、エミッタ607の先端しかイ
オン注入されず、イオンが注入されなかった部分は抵抗
が高いままであるので、エミッタ607の低抵抗化され
た部分607aはその高抵抗部分607bに囲まれた島
状の構造となる。これにより、前述した場合と同様に、
放射電流を安定させることができ、かつ、エミッタ60
7の破損を防止することができる。
【0098】従って、本実施の形態は、ゲート電極60
9を作製ためのAr+イオンの注入とエミッタ607を
作製するためのAr+イオンの注入との条件を異ならせ
たい場合に効果的となる。
【0099】≪第四の実施の形態≫第四の実施の形態を
図27に基づいて説明する。本実施の形態は、第一の実
施の形態に準ずるものであり、図24で示した部分と同
一部分は同一符号を用いて示す。本実施の形態における
図27(a)〜(g)に示す工程は、図24(a)〜
(g)に示した工程と同じである。ハードベークしたフ
ォトレジスト膜602とエミッタ607の開口608下
のレジスト605の抵抗が一度のイオン注入により低抵
抗される(図27(h))。この後、エミッタ607の先
端がゲート電極609の表面に近くなるようにするため
に、前述した方法によりエッチバックを行う(図27
(i))。
【0100】よって、本実施の形態によれば、1回のイ
オン注入によりエミッタ607部分とゲート電極609
部分用の低抵抗化を行うことができ、工程が簡単で、製
造コストの低減と歩留まりの向上を図ることができる。
また、本実施の形態の場合、請求項4記載の発明に対応
する第一の実施の形態の場合と同様に、各エミッタ60
7間は高抵抗部分607bで分離されているので、放射
電流の減少やエミッタ607の破損を少なくすることが
できる。
【0101】なお、第一ないし第四の実施の形態は、請
求項3記載の発明に対応する実施の形態への適用例とし
て説明したが、請求項1,2記載の発明に関しても同様
に適用し得る。
【0102】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、複数の光
束の干渉により生ずる干渉模様を用いてフォトレジスト
膜を露光する複数光束干渉露光法により基板上のネガ型
のフォトレジスト膜を露光した後、現像してフォトジス
ト膜に形成される穴形状を用いてエミッタを作製するよ
うにしたので、複数光束干渉露光法なる確実な作製プロ
セスにより歩留まりが高い上に、高エミッタ密度化を実
現することができ、よって、作製される電界放射型電子
源の放射電流の安定性、冗長性、放射電流密度を高くす
ることができ、かつ、エミッタ材料選択の自由度の高い
電界放射型電子源の作製方法を提供することができる。
【0103】請求項2記載の発明によれば、複数の光束
の干渉により生ずる干渉模様を用いてフォトレジスト膜
を露光する複数光束干渉露光法により基板上のネガ型の
フォトレジスト膜を露光した後、現像してフォトレジス
ト膜に穴形状を形成し、この穴形状部分をモールドとし
てエミッタ材料を充填してエミッタを作製するようにし
たので、請求項1記載の発明と同等の効果を得つつ、基
板の破棄によるコスト高を避けることができ、製造コス
トを低減化させることができる。
【0104】請求項3記載の発明によれば、複数の光束
の干渉により生ずる干渉模様を用いてフォトレジスト膜
を露光する複数光束干渉露光法により基板上のネガ型の
フォトレジスト膜を露光した後、現像してフォトレジス
ト膜に穴形状を形成し、この穴形状部分にエミッタ先端
を先鋭にするための先鋭化材料を推積させて後、先鋭化
材料が推積された穴形状内をモールドとしてエミッタ材
料を充填してエミッタを作製するようにしたので、請求
項1,2記載の発明と同等の効果を得つつ、デバイスの
駆動電圧を下げることができ、コスト高と消費電力の増
大とを回避できる電界放射型電子源を作製することがで
きる。
【0105】請求項4記載の発明によれば、請求項1,
2又は3記載の発明において、エミッタとゲート電極と
を作製した後、エミッタの低抵抗化処理をこのエミッタ
の先端側から行うことで、低温プロセスによりエミッタ
部分を島状に低抵抗化することができ、これにより、同
一基板上に作製されている制御回路部のトランジスタな
どに影響を与えることがなく、低コストで放射電流の安
定化を図ることができる。
【0106】請求項5記載の発明によれば、複数の光束
の干渉により生ずる干渉模様を用いてフォトレジスト膜
を露光する複数光束干渉露光法により基板上のネガ型の
フォトレジスト膜を露光した後、現像してフォトレジス
ト膜に穴形状を形成し、この穴形状部分に絶縁材料を推
積させて後、絶縁材料が推積された穴形状内をモールド
としてエミッタ材料を充填してエミッタを作製し、フォ
トレジスト膜を低抵抗化する処理を施してゲート電極を
作製するようにしたので、簡単な加工プロセスでゲート
電極を作製することができ、かつ、ゲート電極とエミッ
タとの間の静電容量も小さくすることができ、低コスト
で消費電力が小さくて済む電界放射型電子源を作製する
ことができる。
【0107】請求項6記載の発明によれば、請求項5記
載の電界放射型電子源の作製方法において、モールドに
充填するエミッタ材料を、フォトレジスト膜を低抵抗化
する処理により低抵抗化される材料とし、エミッタとゲ
ート電極とになる部分のフォトレジスト膜の低抵抗化処
理をエミッタの先端側から行うようにしたので、低温プ
ロセスによりエミッタ部分を島状に低抵抗化することが
でき、これにより、同一基板上に作製されている制御回
路部のトランジスタなどに影響を与えることがなく、低
コストで放射電流の安定化を図ることができ、併せて、
簡単な加工プロセスでゲート電極を作製することがで
き、かつ、ゲート電極とエミッタとの間の静電容量も小
さくすることができ、低コストで消費電力が小さくて済
む電界放射型電子源を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明に対応する実施の形態の原
理を説明するための二光束干渉露光法の原理的説明図で
ある。
【図2】二光束干渉露光用の光学系構成を示す原理的構
成図である。
【図3】二光束干渉露光における光の強度分布を示す特
性図である。
【図4】形成される縞形状の断面構造図である。
【図5】二光束干渉露光法による先鋭化されたエミッタ
の作製法を模式的に示す平面図である。
【図6】形成される穴形状を示す斜視図である。
【図7】請求項1記載の発明に対応する第一の実施の形
態を工程順に示す断面図である。
【図8】請求項1記載の発明に対応する第二の実施の形
態を工程順に示す断面図である。
【図9】請求項1記載の発明に対応する第三の実施の形
態を工程順に示す断面図である。
【図10】レジストのベーク温度とイオン注入量との関
係を示す特性図である。
【図11】請求項1記載の発明に対応する第四の実施の
形態を工程順に示す断面図である。
【図12】請求項1記載の発明に対応する第五の実施の
形態を工程順に示す断面図である。
【図13】請求項2記載の発明に対応する第一の実施の
形態を工程順に示す断面図である。
【図14】請求項2記載の発明に対応する第二の実施の
形態を工程順に示す断面図である。
【図15】請求項2記載の発明に対応する第三の実施の
形態を工程順に示す断面図である。
【図16】請求項3記載の発明に対応する第一の実施の
形態を工程順に示す断面図である。
【図17】請求項3記載の発明に対応する第二の実施の
形態を工程順に示す断面図である。
【図18】請求項4記載の発明に対応する第一の実施の
形態を工程順に示す断面図である。
【図19】請求項4記載の発明に対応する第二の実施の
形態を工程順に示す断面図である。
【図20】請求項4記載の発明に対応する第三の実施の
形態を工程順に示す断面図である。
【図21】請求項5記載の発明に対応する第一の実施の
形態を工程順に示す断面図である。
【図22】請求項5記載の発明に対応する第二の実施の
形態を工程順に示す断面図である。
【図23】請求項5記載の発明に対応する第三の実施の
形態を工程順に示す断面図である。
【図24】請求項6記載の発明に対応する第一の実施の
形態を工程順に示す断面図である。
【図25】請求項6記載の発明に対応する第二の実施の
形態を工程順に示す断面図である。
【図26】請求項6記載の発明に対応する第三の実施の
形態を工程順に示す断面図である。
【図27】請求項6記載の発明に対応する第四の実施の
形態を工程順に示す断面図である。
【図28】第1の従来技術を工程順に示す断面図であ
る。
【図29】第2の従来技術を工程順に示す断面図であ
る。
【図30】第3の従来技術を工程順に示す断面図であ
る。
【図31】第4の従来技術を工程順に示す断面図であ
る。
【図32】第5の従来技術を示す断面図である。
【図33】第6の従来技術を工程順に示す断面図であ
る。
【符号の説明】
101 フォトレジスト膜 102 基板 119 穴形状 121 基板 126 フォトレジスト膜 129 エミッタ 131 基板 133 フォトレジスト膜 135 穴形状 137 エミッタ材料 138 エミッタ 139 フォトレジスト膜 142 エミッタ 151 基板 154 フォトレジスト膜 201 基板 202 フォトレジスト膜 203 穴形状 204 エミッタ材料 206 エミッタ 208 ゲート電極 301 基板 302 フォトレジスト膜 303 穴形状 304 先鋭化材料 305 エミッタ材料 307 エミッタ 501 基板 502 フォトレジスト膜 503 穴形状 504 先鋭化材料 505 エミッタ材料 507 エミッタ 601 基板 602 フォトレジスト膜 603 穴形状 604 先鋭化材料 605 エミッタ材料 607 エミッタ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の光束の干渉により生ずる干渉模様
    を用いてフォトレジスト膜を露光する複数光束干渉露光
    法により基板上のネガ型のフォトレジスト膜を露光した
    後、現像して前記フォトジスト膜に形成される穴形状を
    用いてエミッタを作製するようにした電界放射型電子源
    の作製方法。
  2. 【請求項2】 複数の光束の干渉により生ずる干渉模様
    を用いてフォトレジスト膜を露光する複数光束干渉露光
    法により基板上のネガ型のフォトレジスト膜を露光した
    後、現像して前記フォトレジスト膜に穴形状を形成し、
    この穴形状部分をモールドとしてエミッタ材料を充填し
    てエミッタを作製するようにした電界放射型電子源の作
    製方法。
  3. 【請求項3】 複数の光束の干渉により生ずる干渉模様
    を用いてフォトレジスト膜を露光する複数光束干渉露光
    法により基板上のネガ型のフォトレジスト膜を露光した
    後、現像して前記フォトレジスト膜に穴形状を形成し、
    この穴形状部分にエミッタ先端を先鋭にするための先鋭
    化材料を推積させた後、先鋭化材料が推積された前記穴
    形状内をモールドとしてエミッタ材料を充填してエミッ
    タを作製するようにした電界放射型電子源の作製方法。
  4. 【請求項4】 前記エミッタとゲート電極とを作製した
    後、前記エミッタの低抵抗化処理をこのエミッタの先端
    側から行うようにした請求項1,2又は3記載の電界放
    射型電子源の作製方法。
  5. 【請求項5】 複数の光束の干渉により生ずる干渉模様
    を用いてフォトレジスト膜を露光する複数光束干渉露光
    法により基板上のネガ型のフォトレジスト膜を露光した
    後、現像して前記フォトレジスト膜に穴形状を形成し、
    この穴形状部分に絶縁材料を推積させた後、絶縁材料が
    推積された前記穴形状内をモールドとしてエミッタ材料
    を充填してエミッタを作製し、前記フォトレジスト膜を
    低抵抗化する処理を施してゲート電極を作製するように
    した電界放射型電子源の作製方法。
  6. 【請求項6】 前記モールドに充填するエミッタ材料
    を、前記フォトレジスト膜を低抵抗化する処理により低
    抵抗化される材料とし、前記エミッタと前記ゲート電極
    とになる部分の前記フォトレジスト膜の低抵抗化処理を
    前記エミッタの先端側から行うようにした請求項5記載
    の電界放射型電子源の作製方法。
JP15888198A 1998-06-08 1998-06-08 電界放射型電子源の作製方法 Pending JPH11354014A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15888198A JPH11354014A (ja) 1998-06-08 1998-06-08 電界放射型電子源の作製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15888198A JPH11354014A (ja) 1998-06-08 1998-06-08 電界放射型電子源の作製方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11354014A true JPH11354014A (ja) 1999-12-24

Family

ID=15681434

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15888198A Pending JPH11354014A (ja) 1998-06-08 1998-06-08 電界放射型電子源の作製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11354014A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004504634A (ja) * 2000-07-19 2004-02-12 エーエスエムエル ユーエス,インコーポレイテッド ホログラフィックレチクルを用いて光学システムを特徴付けする方法
JP2009237154A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 微細構造の作製方法
US7804601B2 (en) 1999-06-24 2010-09-28 Asml Holding N.V. Methods for making holographic reticles for characterizing optical systems
JP2011508443A (ja) * 2007-12-28 2011-03-10 エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ. 超高解像度パターニング用スキャンeuv干渉イメージング

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7804601B2 (en) 1999-06-24 2010-09-28 Asml Holding N.V. Methods for making holographic reticles for characterizing optical systems
JP2004504634A (ja) * 2000-07-19 2004-02-12 エーエスエムエル ユーエス,インコーポレイテッド ホログラフィックレチクルを用いて光学システムを特徴付けする方法
JP2011508443A (ja) * 2007-12-28 2011-03-10 エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ. 超高解像度パターニング用スキャンeuv干渉イメージング
JP2009237154A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 微細構造の作製方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3524343B2 (ja) 微小開口の形成方法と微小開口を有する突起、及びそれらによるプローブまたはマルチプローブ、並びに該プローブを用いた表面観察装置、露光装置、情報処理装置
US5316640A (en) Fabricating method of micro lens
US6943359B2 (en) Structured organic materials and devices using low-energy particle beams
US20220276498A1 (en) Fabrication of diffraction gratings
JPH11166935A (ja) 光検出または照射用の光プローブと該プローブを備えた近視野光学顕微鏡、及該光プローブの製造方法とその製造に用いる基板
JPH11354014A (ja) 電界放射型電子源の作製方法
KR100468849B1 (ko) 자기정렬공정을 이용한 전계 효과 트랜지스터 채널 구조를 가지는 스캐닝 프로브 마이크로 스코프의 탐침 제조 방법
CN114609722B (zh) 一种基于光偏转调制的集成光源及其制备方法
JPH0618737A (ja) 光導波路の製造方法
JPH05136460A (ja) マイクロレンズ形成方法
JPH11154458A (ja) 電界放出型電子源の製造方法
TW518741B (en) Fabrication method of edge-emitting or edge-coupled waveguide electro-optic device
JPH0669605A (ja) 回折格子の形成方法
CN107430333A (zh) 包括对准不良误差保护的图案化方法
JP2000124539A (ja) 半導体光素子の製造方法
JP4361479B2 (ja) 半導体光学素子及びその製造方法
US7169536B2 (en) Manufacturing method and manufacturing apparatus of field emission display
CN112152086B (zh) 半导体器件的制造方法、半导体器件及半导体组件
JPS6335114B2 (ja)
US20240038584A1 (en) Method for manufacturing semiconductor device
JP2001005168A (ja) 近接場光露光用マスクおよびその作製方法
JP3354405B2 (ja) 電界放出型冷陰極の製造方法
JP2001024279A (ja) 半導体レーザ素子の製造方法
JP2004109432A (ja) シリコン構造体およびその製造方法
JPH03295130A (ja) 電子放出素子