JP2004109432A - シリコン構造体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】通常の写真製版技術を用いて、N型のシリコン基板に、複数のサブミクロンの孔を一括的にサブミクロンの間隔で形成することができる手段を提供する。
【解決手段】シリコン構造体においては、単結晶N型シリコン基板12に、それぞれ基板広がり面に対してほぼ垂直な側壁を有する複数の孔11が形成されている。各孔の深さは5μm以上であり、各孔は0.5〜1.0μmの範囲の孔間隔で配列されている。シリコン基板12の抵抗は0.3〜0.8Ω・cm以下であり、シリコン基板の厚さは300μm以下である。このシリコン構造体は、シリコン基板にアルカリエッチングでイニシャルピットを形成した後、フッ化水素酸中でシリコン基板に、シリコン基板の裏面側から光を照射しながら、ECEを施して孔11を形成することにより製造される。
【選択図】 図1
【解決手段】シリコン構造体においては、単結晶N型シリコン基板12に、それぞれ基板広がり面に対してほぼ垂直な側壁を有する複数の孔11が形成されている。各孔の深さは5μm以上であり、各孔は0.5〜1.0μmの範囲の孔間隔で配列されている。シリコン基板12の抵抗は0.3〜0.8Ω・cm以下であり、シリコン基板の厚さは300μm以下である。このシリコン構造体は、シリコン基板にアルカリエッチングでイニシャルピットを形成した後、フッ化水素酸中でシリコン基板に、シリコン基板の裏面側から光を照射しながら、ECEを施して孔11を形成することにより製造される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、N型のシリコン基板の一方の広がり面に複数の孔が形成されてなるシリコン構造体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
N型のシリコン基板の一方の広がり面に、複数の孔が所定の配列形態で形成されてなるシリコン構造体はよく知られている(例えば、非特許文献1参照。)。とくに、サブミクロンの複数の孔がサブミクロンの間隔で規則的に配列されたシリコン構造体は、ある特定の波長の光を透過させないといった特性をもつことから、光学素子等への応用が期待されている(例えば、非特許文献2参照。)。例えば、通信分野で用いられる1.5μmの波長帯の光を透過させない構造としては、複数の孔がおよそ0.5μmの間隔で規則的に配列されたシリコン構造体が提案されており、このシリコン構造体は通信分野への応用が期待されている。
【0003】
【非特許文献1】
V.レーマン(V. Lehmann)、U.グリューニング(U. Guning)、
「マクロポア配列の製造の限界(The limit of macropore array
fabrication)」、「薄い固体膜(Thin Solid Films)」、
英国、エルゼビア・サイエンス(Elsevier Science S.A.)、
1997年、第297号、p.13〜17
【非特許文献2】
井上久遠、「フォトニック結晶による光の場の制御」、「表面科学」、
日本表面科学会、平成13年11月、第22巻、第11号、
p.702〜709
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなサブミクロンの寸法の複数の孔ないし穴をサブミクロンの間隔で形成する手法の1つとして、従来、集束イオンビーム加工法が用いられている。しかしながら、集束イオンビーム加工法は、加工面積が大きくなるのに伴って加工時間が長くなるので、量産性が悪くなるといった問題がある。そこで、量産性の良い手法として、写真製版技術が用いられている。この写真製版技術では、後工程となるエッチングの手法として、現在、主としてドライエッチングが用いられている。なお、半導体同士からなる導波層を設けるには、伝播する光の拡がりから考えて、形成されるシリコン構造体の孔の深さは、5μm以上であるのが望ましい。
【0005】
そして、通常の写真製版技術では、サブミクロンの精度がすでに達成されている。しかしながら、ドライエッチングの現在の技術レベルでもって、深さ5μm以上の孔をエッチングにより形成すると、横方向へのエッチング寸法の広がり、すなわちレジスト寸法から余分に横方向にエッチングされる寸法が、サブミクロン程度になるといった問題がある。このため、サブミクロンの間隔、とくに0.5μm程度の間隔で配置され、かつ5μm以上の深さをもつサブミクロンの孔ないし穴を形成するのは困難であるといった問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、通常の写真製版技術を用いて、複数のサブミクロンの孔ないし穴を一括的にサブミクロンの間隔で形成することができる手段を提供することを解決すべき課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた、本発明にかかるシリコン構造体は、N型のシリコン基板に、それぞれ基板広がり面に対してほぼ垂直な側壁を有する複数の孔が形成されてなるシリコン構造体であって、各孔の深さが5μm以上であり、各孔が0.5μmから1.0μmまでの範囲の孔間隔で配列され、シリコン基板の抵抗が0.3Ω・cm以上かつ0.8Ω・cm以下であり、シリコン基板の厚さが少なくとも孔が形成された領域では300μm以下であることを特徴とするものである。なお、シリコン基板の上記厚さは、通常仕様で市販されているシリコン基板の厚さよりも薄いものである。
かかるシリコン構造体は、例えば、所定(特定)の波長の光を透過させない光学素子等に用いることができる。
【0008】
本発明にかかる上記シリコン構造体の製造方法は、フッ化水素酸中で、シリコン基板に、エッチングされる広がり面とは反対側の広がり面(裏面)に光を照射しながら、電気化学エッチングにより孔を形成することを特徴とするものである。すなわち、N型のシリコン基板の加工方法として、光照射電解エッチング法を用いるものである。
このシリコン構造体の製造方法においては、電気化学エッチングを行う前に、アルカリ溶液を用いたシリコンエッチングを行う(ひいては、イニシャルピットを形成する)のが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明のいくつかの実施の形態を具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる孔を有するシリコン構造体(シリコンデバイス)の、基板広がり面とは垂直な面で切断した断面形状(縦断面)を示している。図1に示すように、このシリコン構造体は、複数の孔11が単結晶N型シリコン基板12に形成された構造を有している。このシリコン構造体において、ある孔11の中心からこれと隣り合う孔11の中心までの距離、換言すれば孔間隔dは、0.5μmから1μmまでの範囲である。また、孔11の深さは5μm以上である。
【0010】
実施の形態1にかかる孔を有するシリコン構造体は、所定(特定)の波長の光を透過させない光学素子に応用することができる。この種の光学素子は、シリコン基板12に孔11が周期的(ないしは、規則的)に配列され、その周期(ないしは間隔)がある波長の光の1/3〜1/4波長に対応するときには、その波長の光は該光学素子を透過することができないといった特性をもつ。例えば、0.5μmの孔間隔で孔11を作成すると、光学素子を透過することができない波長帯は、1.5μm周辺に存在する。
【0011】
なお、このようにN型のシリコン基板12に孔11が周期的(ないしは、規則的)に配列された光学素子を作製する手法は、以下で図2(a)〜(d)を参照しつつ説明するシリコン構造体の場合と同様であり、これによればフォトニックバンドギャップを有する光学素子(デバイス)を簡便に作製することができる。
【0012】
次に、図2(a)〜(d)を参照しつつ、図1に示すシリコン構造体の作製方法を説明する。図2(a)に示すように、このシリコン構造体(シリコンデバイス)を作製する際には、まず、FZ法で精製された単結晶N型シリコン基板21(以下、略して「シリコン基板21」という。)を準備する。このシリコン基板21の一方の広がり面には、窒化シリコン膜22が形成されている。また、シリコン基板21のもう一方の広がり面(裏面)には、リンイオン注入法により低抵抗のN+層23が形成されている。N+層23は、該シリコン構造体と当接する金属との接触抵抗を低減させるために設けられている。
【0013】
窒化シリコン膜22は、後で説明するアルカリ溶液を用いたアルカリエッチングを行う際のマスクとして用いられる。したがって、窒化シリコン膜22でなくても、アルカリ溶液に対して耐性のある材料からなる膜であれば、このマスクとして用いることができる。例えば、窒化シリコン膜22以外に、酸化シリコン膜、金膜、白金膜などを用いることができる。
【0014】
続いて、図2(b)に示すように、窒化シリコン膜22を、リソグラフィ技術を用いてパターニングする。その際、まず窒化シリコン膜22の表面に感光性の有機膜(図示せず)を塗布し、所定のパターンが描かれたマスク(図示せず)を用いて、露光および現像を行う。これにより、0.5〜1μm程度の間隔の穴パターンを、既存(従来)の写真製版技術を用いて作製することができる。
【0015】
次に、窒化シリコン膜22の、有機膜で覆われていない領域(穴に対応する部分)をエッチングにより除去する。このエッチングは、主としてフロロカーボンを主体としたガス中でのプラズマエッチングにより行われる。有機膜が残っている領域は、窒化シリコン膜22が除去されないので、有機膜の形状を反映した形状のパターン24に、窒化シリコン膜22をパターニングすることができる。
【0016】
そして、図2(c)に示すように、アルカリ溶液を用いてシリコン基板21をエッチングする。アルカリ溶液としては、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(以下、「TMAH」という。)溶液を用いる。かくして、TMAHを90℃程度に加熱・昇温し、シリコン基板21をエッチングすると、シリコン基板21は、結晶方位に依存した形状にエッチングされる。この実施の形態1でシリコン基板21として用いられるシリコンウエハは、(111)面が最もエッチング速度が遅くなる。
【0017】
このシリコン基板21(シリコンウエハ)では、その広がり面(エッチング面)が(100)面であるので、シリコン基板21の窒化シリコン膜22で覆われていない部分は、図2(c)に示すような逆ピラミッドの形状にエッチングされる。なお、この場合、逆ピラミッドの錘面が(111)面となる。以下、このようにして形成された逆ピラミッド状のピットをイニシャルピット25という。
【0018】
そして、イニシャルピット25が形成されたシリコン基板21に対して、電気化学エッチング(以下、「ECE(Electrochemical Etching)」という。)によりエッチングを行う。
図3に、このようなECEに用いられるエッチング装置の構成を示す。図3に示すように、この種のエッチング装置では、一般に、シリコン基板30が、ねじ込みにより銅ホルダ31に固定される。そして、対向電極32が、エッチング液であるフッ酸溶液36を収容しているエッチングバス37内に、シリコン基板30と対向するように配置される。なお、エッチングバス37の材料にはテフロン(登録商標)を用いるのが望ましい。
【0019】
かくして、対向電極32に対してシリコン基板30側がプラス(正極)となるように、外部電源33を用いて、対向電極32とシリコン基板30との間に、所定の一定電圧(例えば、およそ+0.8V)が印加される。対向電極32の材料としては、白金が望ましい。エッチング時の電流値は、直列に接続された電流計34で計測される。
【0020】
さらに、シリコン基板30中に正孔を発生させるための光照射を、光源35を用いて、シリコン基板30の裏面側(対向電極32と反対側)から行う。光源35の光は、波長が1.1μm以下であればよい。光照射により、シリコン基板30で発生した正孔が、フッ酸溶液36とシリコン基板30との界面に到達し、シリコン基板30のエッチングが起こる。シリコン基板30にイニシャルピットを設けているので、電界集中によりイニシャルピットに正孔が集中し、イニシャルピットの箇所のみでシリコン基板30のエッチングが促進される。
このようなECEによるエッチングにより、図2(d)に示すような孔26が形成される。
【0021】
表1〜3に、シリコン基板の基板抵抗(Si基板抵抗)および基板厚(Si基板厚)と、孔間隔とを種々変えて、実際にシリコン基板に対して上記エッチングを行い、形成された孔の形状を観察した結果を示す。ここで、エッチング条件は、すべて同一(固定)である。シリコン基板を対向電極に対して+1.5Vにバイアスさせ、シリコン基板の裏面側から800mW/cm2の強度密度の光を照射した。光の波長は800nmとした。
【0022】
表1〜3において、「○」はすべてのイニシャルピットから深さ5μm以上の孔が形成された場合を示し、×はそれ以外の場合を示している。これらの実験では、イニシャルピットの間隔すなわち孔間隔を0.5μm、0.8μmまたは1.0μmとした。シリコン基板の厚さは380μm、350μm、300μmまたは250μmとした。なお、市販のシリコン基板の標準基板厚は380μm以上であるので、この実験では市販のシリコン基板を研磨により薄肉化して用いた。
【0023】
【表1】表1 エッチング孔の観察結果(孔間隔が1μmの場合)
【0024】
【表2】表2 エッチング孔の観察結果(孔間隔が0 . 8μmの場合)
【0025】
【表3】表3 エッチング孔の観察結果(孔間隔が0 . 5μmの場合)
【0026】
このエッチング実験により、良好なエッチング結果を得るには、Si基板抵抗とSi基板厚との間にある制限が存在することが判明した。孔間隔が狭くSi基板抵抗が大きい場合、例えば孔間隔(イニシャルピット間隔)が0.5μmであり、Si基板抵抗が2Ω・cmである場合、すべてのイニシャルピットではなく、ある不特定のイニシャルピットのみでエッチングが進行して、まだらに孔が形成された。
【0027】
また、Si基板抵抗が低くSi基板厚が厚い場合、例えばSi基板抵抗が0.4Ω・cmであり、Si基板厚が380μmの場合、エッチング電流が非常に小さくなり、孔の形成が見られなかった。すなわち、イニシャルピットどおりの配置で、サブミクロンでの細かい間隔で孔を形成するには、Si基板抵抗およびSi基板厚に制限があることが判明した。具体的には、好ましいSi基板抵抗は0.3Ω・cm以上0.8Ω・cm以下であり、好ましいSi基板厚みは300μm以下であった。
【0028】
Si基板抵抗とエッチング特性との相関関係は明確ではないが、おそらく、シリコン基板中に形成される電子空乏層の厚みが影響して、Si基板抵抗が高くなると、細かい間隔の孔を形成できなくなるものと推察される。
【0029】
以下、Si基板厚みとエッチング特性との相間関係を定性的に説明する。エッチングに必要な正孔は、光がシリコン基板の裏面から照射されるため、シリコン基板の裏面で発生する。このようにシリコン基板の裏面で発生した正孔は、エッチング表面に到達する必要がある。そして、発生した正孔がエッチング表面に到達する割合は、シリコン基板中の正孔の拡散長によって表すことができる。ここで、シリコン基板の重金属汚染がない限り、正孔拡散長は、シリコン基板の不純物濃度すなわちSi基板抵抗に依存する。
【0030】
Si基板抵抗が低くなると、不純物濃度が高くなり、正孔拡散長は減少する。その結果、シリコン基板の裏面で発生した正孔がエッチング表面に到達することができる割合が減少する。したがって、Si基板抵抗が低い場合は、Si基板厚を薄くすることにより、シリコン基板の裏面で発生した正孔がエッチング表面に到達する割合を増大させることができる。
【0031】
なお、光強度を強くすることによっても、正孔のエッチング表面への到達割合を増大させることが可能である。しかしながら、光照射による熱発生を抑制し、シリコン基板にかかる熱応力を小さくするといった観点からは、光照射の強度は800mW/cm2以下であるのが望ましい。この場合、間隔0.5〜1.0μm間隔のパターンをECEで形成するには、Si基板抵抗率が0.8Ω・cm以下であり、かつSi基板厚は300μm以下であることが必要である。
【0032】
実施の形態2.
以下、図4を参照しつつ、本発明の実施の形態2を具体的に説明する。しかしながら、実施の形態2は、実施の形態1と多くの共通点をもつので、以下では説明の重複を避けるため、主として実施の形態1と異なる点を説明する。
図4に示すように、この実施の形態2では、シリコン基板51に支持板52が形成ないし付加(接合)されている。その他の点については、実施の形態1の場合と同様である。
【0033】
前記のとおり、Si基板厚を300μm以下にする必要があるが、シリコン基板をこのように薄くすると、シリコン基板自体の強度が低下し、割れなどといった問題が発生しやすくなる。そこで、このように微細構造が形成されたシリコン基板51に支持板52を接合することにより、シリコン構造体の機械的な強度を高めている。ここで、支持板52の材料としては、シリコンやガラスなどを用いることができるが、ガラスなどの材料を用いれば、エッチングの際にも使用できるため、簡便な構成となる。
【0034】
実施の形態3.
以下、図5(a)、(b)を参照しつつ、本発明の実施の形態3を具体的に説明する。しかしながら、実施の形態3は、実施の形態1と多くの共通点をもつので、以下では説明の重複を避けるため、主として実施の形態1と異なる点を説明する。
この実施の形態3では、図5(a)に示す断面形状(縦断面)を有する、イニシャルピットが形成されたシリコンウェハ61に対してECEを行い、図5(b)に示すような孔64を形成する。この実施の形態3では、0.5〜1μm間隔の孔パターンを形成すべき孔パターン形成領域62の基板厚は薄くなっているが、孔パターンを形成しない孔パターン非形成領域63の基板厚は厚くなっている。このため、シリコン構造体の強度が高くなる。
【0035】
ここで、孔パターン形成領域62の基板厚みは300μm以下に設定されている。シリコン基板に対してECEを行う際、孔パターン形成時に使用される正孔は、光照射によって形成される。光照射面とエッチング面で正孔が供給される領域とはほぼ一致する。このため、孔パターン形成領域62でのみ基板厚を300μm以下とした場合でも、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。
【0036】
【発明の効果】
本発明にかかるシリコン構造体は、深さが5μm以上の複数の孔が0.5〜1.0μmの範囲の孔間隔で配列される一方、抵抗0.3〜0.8Ω・cmのシリコン基板の厚さが300μm以下であるので、所定の波長の光を透過させない光学素子等として有効に用いることができる。
【0037】
本発明にかかるシリコン構造体の製造方法によれば、光照射電解エッチング法を用いて、N型のシリコン基板をフッ化水素酸中でエッチングすることにより孔を形成するので、通常の写真製版技術を用いて、複数のサブミクロンの孔を一括的に、サブミクロンの間隔で形成することができる。したがって、前記シリコン構造体を容易にかつ低コストで製造することができる。
【0038】
上記シリコン構造体の製造方法において、電気化学エッチングを行う前に、アルカリ溶液を用いたシリコンエッチングを行う場合は、このシリコンエッチングにより逆ピラミッド状のイニシャルピットが形成される。そして、電気化学エッチング時には、電界集中によりイニシャルピットに正孔が集中し、イニシャルピットの箇所のみでシリコン基板のエッチングが促進されるので、孔の横方向の寸法の広がりを防止することができ、シリコン構造体の加工精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるシリコン構造体ないし光学素子の縦断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、それぞれ、図1に示すシリコン構造体の製造過程の途上におけるシリコン基板の縦断面図である。
【図3】図1に示すシリコン構造体を作製するためにシリコン基板にECEを施すエッチング装置の模式的な縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2にかかるシリコン構造体ないし光学素子の縦断面図である。
【図5】本発明の実施の形態3にかかるシリコン構造体ないし光学素子の縦断面図である。
【符号の説明】
11 孔、 12 単結晶N型シリコン基板、 21 単結晶N型シリコン基板、 22 窒化シリコン膜、 23 N+層、 24 パターン、 25 イニシャルピット、 26 孔、 30 シリコン基板、 31 銅ホルダ、 32 対向電極、 33 外部電源、 34 電流計、 35 光源、 36 フッ酸溶液、 37 エッチングバス、 51 シリコン基板、 52 支持板、61 シリコンウエハ、 62 孔パターン形成領域、 63 孔パターン非形成領域、 64 孔。
【発明の属する技術分野】
本発明は、N型のシリコン基板の一方の広がり面に複数の孔が形成されてなるシリコン構造体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
N型のシリコン基板の一方の広がり面に、複数の孔が所定の配列形態で形成されてなるシリコン構造体はよく知られている(例えば、非特許文献1参照。)。とくに、サブミクロンの複数の孔がサブミクロンの間隔で規則的に配列されたシリコン構造体は、ある特定の波長の光を透過させないといった特性をもつことから、光学素子等への応用が期待されている(例えば、非特許文献2参照。)。例えば、通信分野で用いられる1.5μmの波長帯の光を透過させない構造としては、複数の孔がおよそ0.5μmの間隔で規則的に配列されたシリコン構造体が提案されており、このシリコン構造体は通信分野への応用が期待されている。
【0003】
【非特許文献1】
V.レーマン(V. Lehmann)、U.グリューニング(U. Guning)、
「マクロポア配列の製造の限界(The limit of macropore array
fabrication)」、「薄い固体膜(Thin Solid Films)」、
英国、エルゼビア・サイエンス(Elsevier Science S.A.)、
1997年、第297号、p.13〜17
【非特許文献2】
井上久遠、「フォトニック結晶による光の場の制御」、「表面科学」、
日本表面科学会、平成13年11月、第22巻、第11号、
p.702〜709
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなサブミクロンの寸法の複数の孔ないし穴をサブミクロンの間隔で形成する手法の1つとして、従来、集束イオンビーム加工法が用いられている。しかしながら、集束イオンビーム加工法は、加工面積が大きくなるのに伴って加工時間が長くなるので、量産性が悪くなるといった問題がある。そこで、量産性の良い手法として、写真製版技術が用いられている。この写真製版技術では、後工程となるエッチングの手法として、現在、主としてドライエッチングが用いられている。なお、半導体同士からなる導波層を設けるには、伝播する光の拡がりから考えて、形成されるシリコン構造体の孔の深さは、5μm以上であるのが望ましい。
【0005】
そして、通常の写真製版技術では、サブミクロンの精度がすでに達成されている。しかしながら、ドライエッチングの現在の技術レベルでもって、深さ5μm以上の孔をエッチングにより形成すると、横方向へのエッチング寸法の広がり、すなわちレジスト寸法から余分に横方向にエッチングされる寸法が、サブミクロン程度になるといった問題がある。このため、サブミクロンの間隔、とくに0.5μm程度の間隔で配置され、かつ5μm以上の深さをもつサブミクロンの孔ないし穴を形成するのは困難であるといった問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、通常の写真製版技術を用いて、複数のサブミクロンの孔ないし穴を一括的にサブミクロンの間隔で形成することができる手段を提供することを解決すべき課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた、本発明にかかるシリコン構造体は、N型のシリコン基板に、それぞれ基板広がり面に対してほぼ垂直な側壁を有する複数の孔が形成されてなるシリコン構造体であって、各孔の深さが5μm以上であり、各孔が0.5μmから1.0μmまでの範囲の孔間隔で配列され、シリコン基板の抵抗が0.3Ω・cm以上かつ0.8Ω・cm以下であり、シリコン基板の厚さが少なくとも孔が形成された領域では300μm以下であることを特徴とするものである。なお、シリコン基板の上記厚さは、通常仕様で市販されているシリコン基板の厚さよりも薄いものである。
かかるシリコン構造体は、例えば、所定(特定)の波長の光を透過させない光学素子等に用いることができる。
【0008】
本発明にかかる上記シリコン構造体の製造方法は、フッ化水素酸中で、シリコン基板に、エッチングされる広がり面とは反対側の広がり面(裏面)に光を照射しながら、電気化学エッチングにより孔を形成することを特徴とするものである。すなわち、N型のシリコン基板の加工方法として、光照射電解エッチング法を用いるものである。
このシリコン構造体の製造方法においては、電気化学エッチングを行う前に、アルカリ溶液を用いたシリコンエッチングを行う(ひいては、イニシャルピットを形成する)のが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明のいくつかの実施の形態を具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる孔を有するシリコン構造体(シリコンデバイス)の、基板広がり面とは垂直な面で切断した断面形状(縦断面)を示している。図1に示すように、このシリコン構造体は、複数の孔11が単結晶N型シリコン基板12に形成された構造を有している。このシリコン構造体において、ある孔11の中心からこれと隣り合う孔11の中心までの距離、換言すれば孔間隔dは、0.5μmから1μmまでの範囲である。また、孔11の深さは5μm以上である。
【0010】
実施の形態1にかかる孔を有するシリコン構造体は、所定(特定)の波長の光を透過させない光学素子に応用することができる。この種の光学素子は、シリコン基板12に孔11が周期的(ないしは、規則的)に配列され、その周期(ないしは間隔)がある波長の光の1/3〜1/4波長に対応するときには、その波長の光は該光学素子を透過することができないといった特性をもつ。例えば、0.5μmの孔間隔で孔11を作成すると、光学素子を透過することができない波長帯は、1.5μm周辺に存在する。
【0011】
なお、このようにN型のシリコン基板12に孔11が周期的(ないしは、規則的)に配列された光学素子を作製する手法は、以下で図2(a)〜(d)を参照しつつ説明するシリコン構造体の場合と同様であり、これによればフォトニックバンドギャップを有する光学素子(デバイス)を簡便に作製することができる。
【0012】
次に、図2(a)〜(d)を参照しつつ、図1に示すシリコン構造体の作製方法を説明する。図2(a)に示すように、このシリコン構造体(シリコンデバイス)を作製する際には、まず、FZ法で精製された単結晶N型シリコン基板21(以下、略して「シリコン基板21」という。)を準備する。このシリコン基板21の一方の広がり面には、窒化シリコン膜22が形成されている。また、シリコン基板21のもう一方の広がり面(裏面)には、リンイオン注入法により低抵抗のN+層23が形成されている。N+層23は、該シリコン構造体と当接する金属との接触抵抗を低減させるために設けられている。
【0013】
窒化シリコン膜22は、後で説明するアルカリ溶液を用いたアルカリエッチングを行う際のマスクとして用いられる。したがって、窒化シリコン膜22でなくても、アルカリ溶液に対して耐性のある材料からなる膜であれば、このマスクとして用いることができる。例えば、窒化シリコン膜22以外に、酸化シリコン膜、金膜、白金膜などを用いることができる。
【0014】
続いて、図2(b)に示すように、窒化シリコン膜22を、リソグラフィ技術を用いてパターニングする。その際、まず窒化シリコン膜22の表面に感光性の有機膜(図示せず)を塗布し、所定のパターンが描かれたマスク(図示せず)を用いて、露光および現像を行う。これにより、0.5〜1μm程度の間隔の穴パターンを、既存(従来)の写真製版技術を用いて作製することができる。
【0015】
次に、窒化シリコン膜22の、有機膜で覆われていない領域(穴に対応する部分)をエッチングにより除去する。このエッチングは、主としてフロロカーボンを主体としたガス中でのプラズマエッチングにより行われる。有機膜が残っている領域は、窒化シリコン膜22が除去されないので、有機膜の形状を反映した形状のパターン24に、窒化シリコン膜22をパターニングすることができる。
【0016】
そして、図2(c)に示すように、アルカリ溶液を用いてシリコン基板21をエッチングする。アルカリ溶液としては、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(以下、「TMAH」という。)溶液を用いる。かくして、TMAHを90℃程度に加熱・昇温し、シリコン基板21をエッチングすると、シリコン基板21は、結晶方位に依存した形状にエッチングされる。この実施の形態1でシリコン基板21として用いられるシリコンウエハは、(111)面が最もエッチング速度が遅くなる。
【0017】
このシリコン基板21(シリコンウエハ)では、その広がり面(エッチング面)が(100)面であるので、シリコン基板21の窒化シリコン膜22で覆われていない部分は、図2(c)に示すような逆ピラミッドの形状にエッチングされる。なお、この場合、逆ピラミッドの錘面が(111)面となる。以下、このようにして形成された逆ピラミッド状のピットをイニシャルピット25という。
【0018】
そして、イニシャルピット25が形成されたシリコン基板21に対して、電気化学エッチング(以下、「ECE(Electrochemical Etching)」という。)によりエッチングを行う。
図3に、このようなECEに用いられるエッチング装置の構成を示す。図3に示すように、この種のエッチング装置では、一般に、シリコン基板30が、ねじ込みにより銅ホルダ31に固定される。そして、対向電極32が、エッチング液であるフッ酸溶液36を収容しているエッチングバス37内に、シリコン基板30と対向するように配置される。なお、エッチングバス37の材料にはテフロン(登録商標)を用いるのが望ましい。
【0019】
かくして、対向電極32に対してシリコン基板30側がプラス(正極)となるように、外部電源33を用いて、対向電極32とシリコン基板30との間に、所定の一定電圧(例えば、およそ+0.8V)が印加される。対向電極32の材料としては、白金が望ましい。エッチング時の電流値は、直列に接続された電流計34で計測される。
【0020】
さらに、シリコン基板30中に正孔を発生させるための光照射を、光源35を用いて、シリコン基板30の裏面側(対向電極32と反対側)から行う。光源35の光は、波長が1.1μm以下であればよい。光照射により、シリコン基板30で発生した正孔が、フッ酸溶液36とシリコン基板30との界面に到達し、シリコン基板30のエッチングが起こる。シリコン基板30にイニシャルピットを設けているので、電界集中によりイニシャルピットに正孔が集中し、イニシャルピットの箇所のみでシリコン基板30のエッチングが促進される。
このようなECEによるエッチングにより、図2(d)に示すような孔26が形成される。
【0021】
表1〜3に、シリコン基板の基板抵抗(Si基板抵抗)および基板厚(Si基板厚)と、孔間隔とを種々変えて、実際にシリコン基板に対して上記エッチングを行い、形成された孔の形状を観察した結果を示す。ここで、エッチング条件は、すべて同一(固定)である。シリコン基板を対向電極に対して+1.5Vにバイアスさせ、シリコン基板の裏面側から800mW/cm2の強度密度の光を照射した。光の波長は800nmとした。
【0022】
表1〜3において、「○」はすべてのイニシャルピットから深さ5μm以上の孔が形成された場合を示し、×はそれ以外の場合を示している。これらの実験では、イニシャルピットの間隔すなわち孔間隔を0.5μm、0.8μmまたは1.0μmとした。シリコン基板の厚さは380μm、350μm、300μmまたは250μmとした。なお、市販のシリコン基板の標準基板厚は380μm以上であるので、この実験では市販のシリコン基板を研磨により薄肉化して用いた。
【0023】
【表1】表1 エッチング孔の観察結果(孔間隔が1μmの場合)
【0024】
【表2】表2 エッチング孔の観察結果(孔間隔が0 . 8μmの場合)
【0025】
【表3】表3 エッチング孔の観察結果(孔間隔が0 . 5μmの場合)
【0026】
このエッチング実験により、良好なエッチング結果を得るには、Si基板抵抗とSi基板厚との間にある制限が存在することが判明した。孔間隔が狭くSi基板抵抗が大きい場合、例えば孔間隔(イニシャルピット間隔)が0.5μmであり、Si基板抵抗が2Ω・cmである場合、すべてのイニシャルピットではなく、ある不特定のイニシャルピットのみでエッチングが進行して、まだらに孔が形成された。
【0027】
また、Si基板抵抗が低くSi基板厚が厚い場合、例えばSi基板抵抗が0.4Ω・cmであり、Si基板厚が380μmの場合、エッチング電流が非常に小さくなり、孔の形成が見られなかった。すなわち、イニシャルピットどおりの配置で、サブミクロンでの細かい間隔で孔を形成するには、Si基板抵抗およびSi基板厚に制限があることが判明した。具体的には、好ましいSi基板抵抗は0.3Ω・cm以上0.8Ω・cm以下であり、好ましいSi基板厚みは300μm以下であった。
【0028】
Si基板抵抗とエッチング特性との相関関係は明確ではないが、おそらく、シリコン基板中に形成される電子空乏層の厚みが影響して、Si基板抵抗が高くなると、細かい間隔の孔を形成できなくなるものと推察される。
【0029】
以下、Si基板厚みとエッチング特性との相間関係を定性的に説明する。エッチングに必要な正孔は、光がシリコン基板の裏面から照射されるため、シリコン基板の裏面で発生する。このようにシリコン基板の裏面で発生した正孔は、エッチング表面に到達する必要がある。そして、発生した正孔がエッチング表面に到達する割合は、シリコン基板中の正孔の拡散長によって表すことができる。ここで、シリコン基板の重金属汚染がない限り、正孔拡散長は、シリコン基板の不純物濃度すなわちSi基板抵抗に依存する。
【0030】
Si基板抵抗が低くなると、不純物濃度が高くなり、正孔拡散長は減少する。その結果、シリコン基板の裏面で発生した正孔がエッチング表面に到達することができる割合が減少する。したがって、Si基板抵抗が低い場合は、Si基板厚を薄くすることにより、シリコン基板の裏面で発生した正孔がエッチング表面に到達する割合を増大させることができる。
【0031】
なお、光強度を強くすることによっても、正孔のエッチング表面への到達割合を増大させることが可能である。しかしながら、光照射による熱発生を抑制し、シリコン基板にかかる熱応力を小さくするといった観点からは、光照射の強度は800mW/cm2以下であるのが望ましい。この場合、間隔0.5〜1.0μm間隔のパターンをECEで形成するには、Si基板抵抗率が0.8Ω・cm以下であり、かつSi基板厚は300μm以下であることが必要である。
【0032】
実施の形態2.
以下、図4を参照しつつ、本発明の実施の形態2を具体的に説明する。しかしながら、実施の形態2は、実施の形態1と多くの共通点をもつので、以下では説明の重複を避けるため、主として実施の形態1と異なる点を説明する。
図4に示すように、この実施の形態2では、シリコン基板51に支持板52が形成ないし付加(接合)されている。その他の点については、実施の形態1の場合と同様である。
【0033】
前記のとおり、Si基板厚を300μm以下にする必要があるが、シリコン基板をこのように薄くすると、シリコン基板自体の強度が低下し、割れなどといった問題が発生しやすくなる。そこで、このように微細構造が形成されたシリコン基板51に支持板52を接合することにより、シリコン構造体の機械的な強度を高めている。ここで、支持板52の材料としては、シリコンやガラスなどを用いることができるが、ガラスなどの材料を用いれば、エッチングの際にも使用できるため、簡便な構成となる。
【0034】
実施の形態3.
以下、図5(a)、(b)を参照しつつ、本発明の実施の形態3を具体的に説明する。しかしながら、実施の形態3は、実施の形態1と多くの共通点をもつので、以下では説明の重複を避けるため、主として実施の形態1と異なる点を説明する。
この実施の形態3では、図5(a)に示す断面形状(縦断面)を有する、イニシャルピットが形成されたシリコンウェハ61に対してECEを行い、図5(b)に示すような孔64を形成する。この実施の形態3では、0.5〜1μm間隔の孔パターンを形成すべき孔パターン形成領域62の基板厚は薄くなっているが、孔パターンを形成しない孔パターン非形成領域63の基板厚は厚くなっている。このため、シリコン構造体の強度が高くなる。
【0035】
ここで、孔パターン形成領域62の基板厚みは300μm以下に設定されている。シリコン基板に対してECEを行う際、孔パターン形成時に使用される正孔は、光照射によって形成される。光照射面とエッチング面で正孔が供給される領域とはほぼ一致する。このため、孔パターン形成領域62でのみ基板厚を300μm以下とした場合でも、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。
【0036】
【発明の効果】
本発明にかかるシリコン構造体は、深さが5μm以上の複数の孔が0.5〜1.0μmの範囲の孔間隔で配列される一方、抵抗0.3〜0.8Ω・cmのシリコン基板の厚さが300μm以下であるので、所定の波長の光を透過させない光学素子等として有効に用いることができる。
【0037】
本発明にかかるシリコン構造体の製造方法によれば、光照射電解エッチング法を用いて、N型のシリコン基板をフッ化水素酸中でエッチングすることにより孔を形成するので、通常の写真製版技術を用いて、複数のサブミクロンの孔を一括的に、サブミクロンの間隔で形成することができる。したがって、前記シリコン構造体を容易にかつ低コストで製造することができる。
【0038】
上記シリコン構造体の製造方法において、電気化学エッチングを行う前に、アルカリ溶液を用いたシリコンエッチングを行う場合は、このシリコンエッチングにより逆ピラミッド状のイニシャルピットが形成される。そして、電気化学エッチング時には、電界集中によりイニシャルピットに正孔が集中し、イニシャルピットの箇所のみでシリコン基板のエッチングが促進されるので、孔の横方向の寸法の広がりを防止することができ、シリコン構造体の加工精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるシリコン構造体ないし光学素子の縦断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、それぞれ、図1に示すシリコン構造体の製造過程の途上におけるシリコン基板の縦断面図である。
【図3】図1に示すシリコン構造体を作製するためにシリコン基板にECEを施すエッチング装置の模式的な縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2にかかるシリコン構造体ないし光学素子の縦断面図である。
【図5】本発明の実施の形態3にかかるシリコン構造体ないし光学素子の縦断面図である。
【符号の説明】
11 孔、 12 単結晶N型シリコン基板、 21 単結晶N型シリコン基板、 22 窒化シリコン膜、 23 N+層、 24 パターン、 25 イニシャルピット、 26 孔、 30 シリコン基板、 31 銅ホルダ、 32 対向電極、 33 外部電源、 34 電流計、 35 光源、 36 フッ酸溶液、 37 エッチングバス、 51 シリコン基板、 52 支持板、61 シリコンウエハ、 62 孔パターン形成領域、 63 孔パターン非形成領域、 64 孔。
Claims (3)
- N型のシリコン基板に、それぞれ基板広がり面に対してほぼ垂直な側壁を有する複数の孔が形成されてなるシリコン構造体であって、
上記各孔の深さが5μm以上であり、上記各孔が0.5μmから1.0μmまでの範囲の間隔で配列され、上記シリコン基板の抵抗が0.3Ω・cm以上かつ0.8Ω・cm以下であり、上記シリコン基板の厚さが少なくとも上記孔の形成された領域では300μm以下であることを特徴とするシリコン構造体。 - 請求項1に記載されたシリコン構造体の製造方法であって、
フッ化水素酸中で、上記シリコン基板に、エッチングされる広がり面とは反対側の広がり面に光を照射しながら、電気化学エッチングにより上記孔を形成することを特徴とするシリコン構造体の製造方法。 - 上記電気化学エッチングを行う前に、アルカリ溶液を用いたシリコンエッチングを行うことを特徴とする請求項2に記載のシリコン構造体の製造方法。
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