JPH11353960A - 酸化物超電導導体の製造装置および製造方法 - Google Patents

酸化物超電導導体の製造装置および製造方法

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JPH11353960A
JPH11353960A JP10161158A JP16115898A JPH11353960A JP H11353960 A JPH11353960 A JP H11353960A JP 10161158 A JP10161158 A JP 10161158A JP 16115898 A JP16115898 A JP 16115898A JP H11353960 A JPH11353960 A JP H11353960A
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oxide superconducting
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和憲 尾鍋
Nobuyuki Sadakata
伸行 定方
Takashi Saito
隆 斉藤
Shigeo Nagaya
重夫 長屋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 臨界電流が高い酸化物超電導導体の提供。 【解決手段】 内部に送り込まれたテープ状の基材38
の移動中にこれの両面上に酸化物超電導層を形成するC
VD反応を行うリアクタ31と、原料ガス供給源62に
接続されてリアクタ31内に原料ガスを供給するガス拡
散部40が少なくとも備えられてなり、ガス拡散部40
は、リアクタ31に取り付けられたガス拡散部材45と
該部材45に原料ガスを供給するガス導入管53とこれ
の先端部に設けられた横断面形状が長方形状のスリット
54aを有するスリットノズル54からなり、ガス拡散
部材45の前面壁42及び後面壁43の間隔はリアクタ
31に近づくにつれて広くなっており、一対の側壁4
1,41は壁42と43の間隔よりも狭い一定の大きさ
であり、スリット54aはその長辺がリアクタ31内を
移動中の基材38の長手方向に対して交差する方向に設
けられた酸化物超電導導体の製造装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超電導電力ケーブ
ル、超電導マグネット、超電導エネルギー貯蔵装置、超
電導発電装置、医療用MRI装置、超電導電流リード等
の分野で利用できる酸化物超電導導体の製造装置及び製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の酸化物超電導導体の製造方法とし
ては、酸化物超電導粉末または熱処理によって酸化物超
電導体となる粉末を円柱状にプレスし、これを銀管中に
挿入し伸線・圧延工程と、熱処理工程を行って線材化す
るパウダーインチューブ法(PIT法)などの固相法の
他に、化学気相成長法(CVD法)、物理的気相堆積法
(PVD法)などの蒸着法により金属テープなどの長尺
の基材上に連続的に酸化物系超電導層を形成する成膜法
が知られている。また、蒸着法により酸化物超電導層を
形成する場合においては、金属製の基材上に酸化物超電
導層を直接形成すると、基材自体が多結晶体でその結晶
構造も酸化物超電導体と大きく異なるために結晶配向性
の良好な酸化物超電導層が形成できないという問題があ
り、これを改善するために図Aに示すように金属テープ
などの基材91上に、スパッタ装置を用いてYSZ(イ
ットリア安定化ジルコニア)などの多結晶中間層92を
形成し、この多結晶中間層92上にY−Ba−Cu−O
系超電導層93を形成し、さらにこの上に銀等からなる
安定化層94を形成することで超電導特性の優れた酸化
物超電導導体を製造する試みを種々行っている。
【0003】このような試みの中から本発明者らは先
に、結晶配向性に優れた多結晶中間層を形成するため
に、あるいは、超電導特性の優れた超電導導体を得るた
めに、ハステロイテープなどのテープ状の基材上にスパ
ッタ装置により多結晶中間層を形成する際に、スパッタ
リングと同時に基材成膜面の斜め方向からイオンビーム
を照射しながら多結晶中間層を形成する方法(イオンビ
ームアシストスパッタリング法)により、結晶配向性に
優れた多結晶中間層を形成することができるものであ
る。この方法によれば、多結晶中間層を形成する多数の
結晶粒のそれぞれの結晶格子のa軸あるいはb軸で形成
する粒界傾角を30度以下に揃えることができ、結晶配
向性に優れた多結晶中間層(配向制御多結晶中間層)を
形成することができる。そして更に、この配向制御多結
晶中間層上にY−Ba−Cu−O系超電導層を蒸着法等
により成膜するならば、酸化物超電導層の結晶配向性も
優れたものになり、これにより臨界電流密度が高い酸化
物超電導導体を製造することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところがレーザ蒸着法
やCVD法等の気相法により作製した酸化物超電導導体
にあっては、PIT法等の固相法により作製した酸化物
超電導導体に比べて高い臨界電流密度が得られるもの
の、臨界電流が小さいという問題があった。これは、気
相法により作製した酸化物超電導導体は、酸化物超電導
層の結晶配向性が良好である反面、酸化物超電導層の厚
膜化が困難であることに起因するものである。従って、
長尺の酸化物超電導導体の実用化には、高臨界電流化が
重要であり、特に、超電導マグネットに応用するには少
なくとも数十Aレベルの臨界電流が要求されるが、未
だ、実用化されていかなった。
【0005】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、臨界電流が高い酸化物超電導導体を製造できる酸化
物超電導導体の製造装置及び製造方法を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、臨界電流が
高い酸化物超電導導体を製造すべく、特に酸化物超電導
導体の構造に着目し、種々の検討及び実験を重ねた結
果、酸化物超電導導体の構造を、テープ状の基材の両面
に多結晶中間層を介して酸化物超電導層が形成されたも
のとすることにより、テープ状の基材の片面のみに酸化
物超電導層が形成された酸化物超電導導体に比べて約2
倍の臨界電流が得られるとの推定に至った。
【0007】ところが基材上に薄膜を堆積させるCVD
反応装置を利用した従来の酸化物超電導導体の製造装置
は、テープ状の基材の片面しか酸化物超電導層を形成す
ることができないため、テープ状の基材の両面上に酸化
物超電導層を形成する場合、先にテープ状の基材の一方
の面上に酸化物超電導層を形成した後、他方の面上に酸
化物超電導層を形成しなければならならず、このため第
二回目に酸化物超電導層を形成する際に先に形成した第
一回目の酸化物超電導層が劣化したり、両面の酸化物超
電導層の特性が大幅に異なってしまうという不都合があ
り、また、テープ状の基材の両面上に酸化物超電導層を
一度に形成する酸化物超電導導体の製造装置及び製造方
法は確立されておらず、従って前述した推定が実証され
実用化されるには未だ至っていない。そして、本発明者
は、さらに種々の検討及び実験を重ねた結果、以下のよ
うな酸化物超電導導体の製造装置及び製造方法によれ
ば、テープ状の基材の両面上に酸化物超電導層を一度に
形成でき、臨界電流が高い酸化物超電導導体を製造でき
ることを究明し、本発明を完成したのである。
【0008】すなわち、請求項1記載の発明は、内部に
送り込まれたテープ状の基材の移動中にこれの両面上に
酸化物超電導体の原料ガスを化学反応させて酸化物超電
導層を形成するCVD反応を行うリアクタと、原料ガス
供給源に接続されて上記リアクタ内に上記原料ガスを供
給するガス拡散部が少なくとも備えられてなり、上記ガ
ス拡散部は、上記リアクタに取り付けられたガス拡散部
材と、該ガス拡散部材に接続され、上記原料ガスを上記
ガス拡散部材に供給するガス導入管と、該ガス導入管の
先端部に設けられた横断面の形状が長方形状のスリット
を有するスリットノズルからなり、上記ガス拡散部材
は、上記リアクタ内に送り込まれたテープの基材の長手
方向に沿って設けられた対向する一対の側壁と、上記テ
ープ状の基材の長手方向と交差する方向に設けられ、上
記一対の側壁を相互に接続する前面壁及び後面壁を有
し、上記前面壁と後面壁の間隔は上記リアクタに近づく
につれて広くなっており、上記一対の側壁の間隔は上記
前面壁と後面壁の間隔よりも狭い一定の大きさになって
いるものであり、上記スリットノズルのスリットはその
長辺が上記リアクタ内を移動中のテープ状の基材の長手
方向に対して交差する方向に設けられていることを特徴
とする酸化物超電導導体の製造装置を上記課題の解決手
段とした。上記ガス拡散部材の一対の側壁の間隔はスリ
ットノズルのスリットの短辺と同じ大きさであることが
好ましい。上記ガス拡散部材の前面壁及び後面壁は、上
記テープ状の基材の長手方向と直交する方向に設けられ
ていることが好ましい。また、上記スリットノズルのス
リットはその長辺が上記リアクタ内を移動中のテープ状
の基材の長手方向に対して直交する方向に設けられてい
ることが好ましい。
【0009】また、請求項3記載の発明は、請求項1又
は2記載の酸化物超電導導体の製造装置を用い、テープ
状の基材をこれの両面の超電導層形成面が上記スリット
ノズルからの原料ガスの流れに対して平行になるように
リアクタ内に送り込み、原料ガス供給源から酸化物超電
導体の原料ガスを上記ガス拡散部を経て上記リアクタ内
に供給し、更に上記テープ状の基材を加熱して反応生成
物を上記基材の両面上に堆積させながらCVD反応を行
うことを特徴とする酸化物超電導導体の製造方法を上記
課題の解決手段とした。また、請求項4記載の発明は、
上記テープ状の基材は両面に多結晶中間層が形成された
ものであることを特徴とする請求項3記載の酸化物超電
導導体の製造方法を上記課題の解決手段とした。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明を更
に詳細に説明する。図1は本発明に係る酸化物超電導導
体の製造装置の一例を示すもので、この例の製造装置に
は、図2〜図5に詳細構造を示すようなCVD反応装置
30が組み込まれ、このCVD反応装置30内において
テープ状の基材の両面上に酸化物超電導層が一度に形成
されるようになっている。この例の製造装置で用いられ
る図2〜図5に示すCVD反応装置30は、横長の両端
を閉じた筒型の石英製のリアクタ31と、気化器(原料
ガス供給源)62に接続されたガス拡散部40を有して
いる。このリアクタ31は、隔壁32、33によって図
2の左側から順に基材導入部34と反応生成室35と基
材導出部36に区画されている。なお、リアクタ31を
構成する材料は、石英に限らずステンレス鋼などの耐食
性に優れた金属であっても良い。
【0011】隔壁32、33の下部中央には、長尺のテ
ープ状の基材38が通過可能な通過孔39がそれぞれ形
成されていて、リアクタ31の内部には、その中心部を
横切る形で基材搬送領域Rが形成されている。更に、基
材導入部34にはテープ状の基材38を導入するための
導入孔が形成されるとともに、基材導出部36には基材
38を導出するための導出孔が形成され、導入孔と導出
孔の周縁部には、基材38を通過させている状態で各孔
の隙間を閉じて基材導入部34と基材導出部36を気密
状態に保持する封止機構(図示略)が設けられている。
【0012】反応生成室35の天井部には、図2に示す
ように略角錐台型のガス拡散部40が取り付けられてい
る。このガス拡散部40は、リアクタ31に取り付けら
れたガス拡散部材45と、ガス拡散部材45の天井壁4
4に接続され、酸化物超電導体の原料ガスをガス拡散部
材45に供給するガス導入管53と、ガス導入管53の
先端部に設けられたスリットノズル54を具備して構成
されている。
【0013】ガス拡散部材45は、リアクタ31内に送
り込まれたテープの基材38の長手方向に沿って設けら
れた対向する一対の台形型の側壁41,41と、テープ
状の基材38の長手方向と直交する方向に設けられ、一
対の側壁41,41を相互に接続する前面壁42及び後
面壁43と、天井壁44とからなるものである。一対の
側壁41,41の間隔は、後述するスリットノズル54
のスリット54aの短辺 54bと同じ大きさであり、
かつ前面壁42と後面壁43の間隔はリアクタ31に近
づくにつれて広くなっている。また、ガス拡散部材45
の底面は、細長い長方形状の開口部46とされ、この開
口部46を介してガス拡散部材45が反応生成室35に
連通されている。スリットノズル54は、図6に示すよ
うに横断面の形状が長方形状のスリット54aを有して
おり、スリット54aの長辺54cがリアクタ31内を
移動中のテープ状の基材38の長手方向に対して直交す
る方向に設けられている。スリット54aの長辺54c
の大きさは、ガス導入管53の内径と同じ程度の大きさ
である。
【0014】一方、反応生成室35の下方には、図2な
いし図3に示すように基材搬送領域Rの長さ方向に沿っ
て排気室70が設けられている。この排気室70の上部
には図2及び図5に示すように基材搬送領域Rに通され
たテープ状の基材18の長さ方向に沿って細長い長方形
状のガス排気孔70a、70aがそれぞれ形成されてい
る。また、排気室70の下部には複数本(図面では4
本)の排気管70bの一端がそれぞれ接続されており、
一方、これら複数本の排気管70bの他端は真空ポンプ
71を備えた圧力調整装置72に接続されている。ま
た、図3ないし図5に示すようにこれら複数本の排気管
70bのうちの複数本(図面では2本)の排気管70b
の排気口70cは、基材搬送領域Rに通されたテープ状
の基材38の長さ方向に沿って設けられている。また、
複数本の排気管70bのうち残り(図面では2本)の排
気管70bの排気口70cは、基材搬送領域Rに通され
たテープ状の基材38の長さ方向と交差する方向に設け
られている。複数本の排気管70bには、ガスの排気量
を調整するためのバルブ(流量調整機構)70dがそれ
ぞれ設けられている。従って、ガス排気孔70a,70
aが形成された排気室70と、複数本の排気管70b・・
・と、バルブ70dと、真空ポンプ71と、圧力調整装
置72によってガス排気機構80が構成される。このよ
うな構成のガス排気機構80は、CVD反応装置30の
内部の原料ガスや酸素ガスや不活性ガスなどのガスをガ
ス排気孔70a、70aから排気室70、排気管70b
を経て排気できるようになっている。
【0015】CVD反応装置30の外部には、図1に示
すように、基材導入部34の反応生成室35側の部分か
ら基材導出部36の反応生成室35側の部分を覆う加熱
ヒータ47が設けられ、基材導入部34が不活性ガス供
給源50に、また、基材導出部36が酸素ガス供給源5
1にそれぞれ接続されている。また、ガス拡散部40の
天井壁44に接続されたガス導入管53は、気化器(原
料ガスの供給源)62に接続されている。なお、ガス導
入管53の途中部分には、酸素ガスの流量調整機構52
aを介して酸素ガス供給源52が分岐して接続され、ガ
ス導入管53に酸素ガスを供給できるように構成されて
いる。
【0016】気化器62内には、後述する液体原料供給
装置55の中央部から先端部が該収納されることによ
り、液体原料供給装置55と接続されている。また、気
化器62の外周部には、気化器62の内部を加熱するた
めのヒータ63が付設されていて、このヒータ63によ
り液体原料供給装置55のノズル59から噴霧されたミ
スト状の原料溶液66を所望の温度に加熱して気化さ
せ、原料ガスが得られるようになっている。
【0017】液体原料供給装置55は、図1に示すよう
に、筒状の原料溶液供給部56と、該供給部56の外周
を取り囲んで設けられた筒状で先窄まり状のアトマイズ
ガス供給部57と、該アトマイズガス供給部57の先端
部を除いた外周を取り囲んで設けられた筒状のシールド
ガス供給部58とから概略構成された3重構造のもので
ある。原料溶液供給部56は、後述する原液供給装置6
5から送り込まれてくる原料溶液66が内部に供給され
るものであり、中央部には供給された原料溶液66を一
時的に貯留する液だまり56aが設けられている。この
液だまり56aの内径は、原料溶液供給部56の上部や
下部の先端部の内径よりも大きくなっており、原液供給
装置65から送り込まれた原料溶液66が溜まりつつ連
続的に先端に送り込まれるようになっている。アトマイ
ズガス供給部57は、原料溶液供給部56との隙間に前
述の原料溶液66を霧化するためのアトマイズガスが供
給されるものである。アトマイズガス供給部57の上部
には、アトマイズガス用MFC60aを介してアトマイ
ズガス供給源60が接続され、アトマイズガス供給部5
7内にアルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガスなどのア
トマイズガスを供給できるように構成されている。
【0018】シールドガス供給部58は、アトマイズガ
ス供給部57との隙間に、上記アトマイズガス供給部5
7を冷却するとともにノズル59をシールドするための
シールドガスが供給されるものである。ここでのノズル
59は、アトマイズガス供給部57の先端部と原料溶液
供給部56の先端部とから構成されている。また、シー
ルドガス供給部58の上部には、シールドガス用MFC
61aを介してシールドガス61が接続され、シールド
ガス供給部58内にアルゴンガス、ヘリウムガス、窒素
ガスなどのシールドガスを供給できるように構成されて
いる。
【0019】上述の液体原料供給装置55では、原料溶
液66を原料溶液供給部56内に一定流量で送り込むと
ともにアトマイズガスをアトマイズガス供給部57に一
定流量で送りこむと、原料溶液66は液だまり56aに
溜まりつつ原料溶液供給部56の先端に達するが、該先
端の外側のアトマイズガス供給部57の先端からアトマ
イズガスが流れてくるので、ノズル59から吹き出る
際、原料溶液66は上記アトマイズガスにより直ちに霧
化され、一定量のミスト状の液体溶液を気化器(原料ガ
ス供給源)62内に連続的に供給することができるよう
になっている。また、これとともにシールドガスをシー
ルドガス供給部58に一定流量で送り込むと、アトマイ
ズガス供給部57ならびに原料溶液供給部56が冷却さ
れるので該原料溶液供給部56内を流れる原料溶液66
も冷却され、該原料溶液66が途中で気化するのを防止
できるようになっている。さらにまた、ノズル59の外
側で、かつ上方のシールドガス供給部58の先端からシ
ールドガスが流れてくるので、該シールドガスによりノ
ズル59の周囲がシールドされ、気化器62内で原料溶
液66が気化した原料ガスがノズル59に付着して固体
原料となって再析出するのを防止できるようになってい
る。
【0020】このような液体原料供給装置55の原料溶
液供給部56には、原液供給装置65が加圧式液体ポン
プ67aを備えた接続管67を介して接続されている。
原液供給装置65は、収納容器68と、該容器68内を
不活性雰囲気にするパージガス源69を具備し、収納容
器68の内部には原料溶液66が収納されている。原料
溶液66は、加圧式液体ポンプ67aにより吸引され
て、定流量を原料溶液供給部56へ輸送される。
【0021】さらに、CVD反応装置30の基材導出部
36の側方側には、リアクタ31内の基材搬送領域Rを
通過するテープ状の基材38を巻き取るためのテンショ
ンドラム73と巻取ドラム74とからなる基材搬送機構
75が設けられている。また、基材導入部34の側部側
には、テープ状の基材38をCVD反応装置30に供給
するためのテンションドラム76と送出ドラム77とか
らなる基材搬送機構78が設けられている。
【0022】また、リアクタ31の基材搬送領域R内に
は原料ガスや酸素ガスなどのガスの流れを測定する流量
計(図示略)が取り付けられ、さらに該流量計およびバ
ルブ70dに制御機構82が電気的に接続されている。
この制御機構82は、上記流量計の計測結果に基づいて
各バルブ70dを調整し、リアクタ31内を移動中のテ
ープ状の基材38の長さ方向及び該基材38の長さ方向
と交差する方向への原料ガスや酸素ガスなどのガスの流
れ状態を制御できるようになっている。さらに、制御機
構82は酸素ガス流量調整機構52aに電気的に接続さ
れることにより、基材搬送領域R内の流量計の計測結果
に基づいて酸素ガス流量調整機構52aを作動調整し、
ガス導入管53を介してCVD反応装置30へ送る酸素
ガス量も調整できるようになっていることが好ましい。
【0023】次に上記のように構成されたCVD反応装
置30を備えた酸化物超電導導体の製造装置を用いてテ
ープ状の基材38上に酸化物超電導層を形成し、酸化物
超電導導体を製造する場合について説明する。図1に示
す製造装置を用いて酸化物超電導導体を製造するには、
まず、テープ状の基材38と原料溶液を用意する。この
基材38は、長尺のものを用いることができるが、特
に、熱膨張係数の低い耐熱性の金属テープの両面にセラ
ミックス製の多結晶中間層を被覆してなるものが好まし
い。上記耐熱性の金属テープの構成材料としては、銀、
白金、ステンレス鋼、銅、ハステロイ(C276等)な
どの金属材料や合金が好ましい。また、上記金属テープ
以外では、各種ガラステープあるいはマイカテープなど
の各種セラミックスなどからなるテープを用いても良
い。次に、上記中間層を構成する材料は、熱膨張係数が
金属よりも酸化物超電導体の熱膨張係数に近い、YSZ
(イットリウム安定化ジルコニア)、SrTiO3、M
gO、Al23、LaAlO3、LaGaO3、YAlO
3、ZrO2などのセラミックスが好ましく、これらの中
でもできる限り結晶配向性の整ったものを用いることが
好ましい。
【0024】次に酸化物超電導体をCVD反応により生
成させるための原料溶液は、酸化物超電導体を構成する
各元素の金属錯体を溶媒中に分散させたものが好まし
い。具体的には、Y1Ba2Cu37-xなる組成で広く知
られるY系の酸化物超電導層を形成する場合は、Ba-
ビス-2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン-ビス-
1,10-フェナントロリン(Ba(thd)2(phen)
2)と、Y(thd)2 と、Cu(thd)2などを使用
することができ(thd=2,2,6,6-テトラメチル-3,5-
ヘプタンジオン、phen=1,10-フェナントロリ
ン)、他にはY-ビス-2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプ
タンジオナート(Y(DPM)3)と、Ba(DPM)2
と、 Cu(DPM)2などを用いることができる。
【0025】なお、酸化物超電導層には、Y系の他に、
La2-xBaxCuO4の組成で代 表されるLa系、Bi
2Sr2Can-1Cun2n+2(nは自然数)の組成で代表
さ れるBi系、Tl2Ba2Can-1Cun2n+2(nは自
然数)の組成で代表される Tl系のものなど多種類の
超電導層が知られているので、目的の組成に応じた金属
錯塩を用いてCVD法を実施すれば良い。ここで例え
ば、Y系以外の酸化物超電導層を製造する場合には、必
要な組成系に応じて、トリフェニルビスマス(II
I)、ビス(ジピバロイメタナト)ストロンチウム(I
I)、ビス(ジピバロイメタナト)カルシウム(I
I)、トリス(ジピバロイメタナト)ランタン(II
I)、などの金属錯塩を適宜用いてそれぞれの系の酸化
物超電導層の製造に供することができる。
【0026】上記の両面に多結晶中間層が形成されたテ
ープ状の基材38を用意したならば、これをCVD反応
装置30のリアクタ31内の基材搬送領域Rに基材搬送
機構78により基材導入部34から所定の移動速度で送
り込むとともに基材搬送機構68の巻取ドラム74で巻
き取り、更に反応生成室35内の基材38を加熱ヒータ
47で所定の温度に加熱する。ここでテープ状の基材3
8をリアクタ31内に送り込む際、テープ状の基材38
の幅方向の一方の端面38bが上記スリットノズル54
のスリット54aと対向するように送り込むことによ
り、テープ状の基材38の両面の超電導層形成面38a
がスリットノズル54からの原料ガスの流れに対して平
行になるように送り込む。なお、テープ状の基材38を
送り込む前に、不活性ガス供給源50から不活性ガスを
パージガスとしてCVD反応装置30内に送り込み、同
時にCVD反応装置30の内部のガスを圧力調整装置7
2でガス排気孔70a、70aから排気室70、排気口
70c、排気管70bを経て抜くことでCVD反応装置
30内の空気等の不用ガスを排除して内部を洗浄してお
くことが好ましい。
【0027】基材38をリアクタ31内に送り込んだな
らば、酸素ガス供給源51からCVD反応装置30内に
酸素ガスを送り、更に加圧式液体ポンプ67aにより収
納容器68から原料容器66を流量0.1〜10ccm
程度で原料溶液供給部56内に送液し、これと同時にア
トマイズガスをアトマイズガス供給部57に流量200
〜550ccm程度で送り込むとともにシールドガスを
シールドガス供給部58に流量200〜550cc程度
で送り込む。また、同時にCVD反応装置30の内部の
ガスを圧力調整装置72でガス排気孔70a、70aか
ら排気室70、排気口70c、排気管70bを経て排気
する。この際、シールドガスの温度は、室温程度になる
ように調節しておく。また、気化器62の内部温度が上
記原料のうちの最も気化温度の高い原料の最適温度にな
るようにヒータ63により調節しておく。
【0028】すると、液体原料66は液だまり56aに
溜まりつつ原料溶液供給部56の先端に達し、この後、
ノズル59から吹き出る際、アトマイズガス供給部57
から流れてくるアトマイズガスにより直ちに霧化される
ので、一定流量のミスト状の液体溶液34が気化器62
内に連続的に供給される。そして、気化器62の内部に
供給されたミスト状の原料溶液66は、ヒータ63によ
り加熱されて気化し、原料ガスとなり、さらにこの原料
ガスはガス導入管53を介してガス拡散部材45に連続
的に供給される。この時、ガス導入管53の内部温度が
上記原料のうちの最も気化温度の高い原料の最適温度に
なるように上記加熱手段により調節しておく。また、こ
れと同時に酸素ガス供給源52から酸素ガスを供給して
原料ガス中に酸素を混合する操作も行う。
【0029】次に、CVD反応装置30の内部において
は、ガス導入管53の先端のスリットノズル54からガ
ス拡散部材45に送り込まれた原料ガスは、ガス拡散部
材45内で、リアクタ31内に送り込まれたテープ状の
基材38の長さ方向と平行な方向に拡散しながら(ガス
拡散部材45の前面壁42と後面壁43に沿って拡散し
ながら)反応生成室35側に移動する。また、このと
き、リアクタ31内に送り込まれたテープ状の基材38
の長さ方向と直交する方向への原料ガスの拡散は抑制さ
れている。
【0030】次に、反応生成室35側に移動した原料ガ
スは、反応生成室35の上方から下方に移動する。この
ときテープ状の基材38は上述したように両面の超電導
層形成面38aがスリットノズル54からの上記原料ガ
スの流れに対して平行になるようにリアクタ31内に送
り込まれているで、加熱された基材38の両面側で上記
原料ガスが反応して反応生成物を両面の超電導層形成面
38aに堆積する。そして、反応に寄与しない残りの原
料ガス等はガス排気孔70a、70aに引き込まれる。
【0031】テープ状の基材38の超電導形成面38a
に反応生成物を堆積させるとき、ガス排気機構80に設
けられた圧力調整装置72でガス排気孔70a、70a
から排気室70、排気口70c、排気管70bを経て排
気するとともに各バルブ70dを調整して各排気管70
b内のガス流れを調整することにより、基材搬送領域R
を移動中のテープ状の基材38の長さ方向及び該基材3
8の長さ方向と交差する方向への原料ガスの流れ状態を
制御しながらCVD反応を行う。また、反応生成室35
内で反応が進行する間に、基材搬送領域Rを移動中のテ
ープ状の基材38の長さ方向及び該基材38の長さ方向
と直交する方向への原料ガスや酸素ガスなどのガスの流
れ状態が変化して酸化物超電導層に悪影響を与える恐れ
がでることがあるので、基材搬送領域R内に設けられた
流量計でガスの流量変化を測定し、この測定結果に基づ
いて制御機構82により各バルブ70dや酸素ガス供給
源52から供給する酸素ガス量を調整し、ガス流れ状態
が常に好ましい流れ状態になるように制御する。
【0032】また、反応生成室35内で反応が進行する
間に、反応生成室35の内部などにおいて堆積物が増加
し、この堆積物が加熱により分解反応を起こしてガスを
放出すると、反応生成室35内の酸素ガス分圧が目的の
分圧と異なるようになることや、反応生成室35内部の
温度が不均一になることがある。このような場合は、排
気管70bを介して排出される排気ガス中の酸素濃度が
変わるので、この濃度変化を排気管70bの途中に設け
られた酸素分析計測装置(図示略)で検出し、酸素濃度
が低下した場合は、不足分に応じて所定の割合で制御機
構82が、CVD反応装置30に送る酸素ガス量を増加
させ、酸素濃度が増加した場合は、増加分に応じて所定
の割合で制御機構82がCVD反応装置30に送る酸素
ガス量を減少させる。このような制御装置82の作用に
より反応生成室35内の酸素分圧を常に一定に維持する
ことができ、これにより、常に一定の酸素分圧でCVD
反応を起こすことができるようになる。従って、テープ
状の基材38の両面上に均一の酸化物超電導層を形成で
きる。酸化物超電導層の形成後は、必要に応じて酸化物
超電導層の結晶構造を整えるための熱処理を施してもよ
い。
【0033】ついで、上述のようにして形成した両面の
酸化物超電導層上に銀等からなる安定化層を蒸着法等に
より形成すると、図7に示すような酸化物超電導導体8
5が得られる。この酸化物超電導導体85は、テープ状
の基材38の両面上に多結晶中間層86を介して酸化物
超電導層86が形成され、さらに各酸化物超電導層86
上に安定化層88が形成された構造である。このような
構造の酸化物超電導導体85の各層の厚みの具体例とし
ては、テープ状の基材38の厚みが50〜200μm程
度、多結晶中間層86の厚みが0.5〜1.0μm程
度、酸化物超電導層86の厚みが1〜5μm程度、安定
化層88の厚みが5〜10μm程度である。
【0034】実施形態の酸化物超電導導体の製造装置に
あっては、特に、リアクタ31内に送り込まれたテープ
の基材38の長手方向に沿って設けられた対向する一対
の側壁41,41と、テープ状の基材38の長手方向と
交差する方向に設けられ、一対の側壁41,41を相互
に接続する前面壁42及び後面壁43を有し、かつ一対
の側壁41,41の間隔がスリットノズル54のスリッ
ト54aの短辺54bと同じ大きさであり、かつ前面壁
42と後面壁43の間隔がリアクタ31に近づくにつれ
て広くなっているガス拡散部材45と、スリット54a
の長辺54cがリアクタ31内を移動中のテープ状の基
材38の長手方向に対して交差する方向に設けられたス
リットノズル54を有するガス拡散部40が備えられた
ことにより、スリットノズル54からガス拡散部材45
に原料ガスを送り込むと、リアクタ31内に送り込まれ
たテープ状の基材38の長さ方向と平行な方向への原料
ガスの拡散は促進され、テープ状の基材38の長さ方向
と直交する方向への原料ガスの拡散は抑制することがで
きる。これにより、テープ状の基材38をリアクタ31
内に送り込む際に、テープ状の基材38の幅方向の一方
の端面38bがスリットノズル54のスリット54aと
対向するように送り込むことにより、テープ状の基材3
8の両面の超電導層形成面38aがスリットノズル54
からの原料ガスの流れに対して平行になるので、加熱さ
れたテープ状の基材38の両面側で原料ガスが反応して
反応生成物を両面の導層形成面38aに効率良く堆積さ
せて酸化物超電導層87をすることができる。
【0035】従って、実施形態の酸化物超電導導体の製
造装置によれば、テープ状の基材38の両面上に酸化物
超電導層87を一度に形成できるので、テープ状の基材
38に片面つづ酸化物超電導層を形成しなくても済み、
両面の酸化物超電導層87の超電導特性がほぼ等しい酸
化物超電導導体85を製造でき、また、この酸化物超電
導導体85はテープ状の基材38の両面上に酸化物超導
電層87を有しているので、テープ状の基材の片面のみ
に酸化物超電導層が形成された従来の酸化物超電導導体
に比べて約2倍の臨界電流が得られる。
【0036】また、実施形態の酸化物超電導導体の製造
方法によれば、実施形態の酸化物超電導導体の製造装置
を用いて酸化物超電導導体を製造する際、テープ状の基
材38をこれの両面の超電導層形成面38aがスリット
ノズル54からの原料ガスの流れに対して平行になるよ
うにリアクタ31内に送り込むことにより、加熱された
テープ状の基材38の両面側で原料ガスが反応して反応
生成物を両面の導層形成面38aに効率良く堆積させる
ことができるので、テープ状の基材38の両面上に酸化
物超電導層87を一度に形成することができる。また、
実施形態の酸化物超電導導体の製造方法により得られた
酸化物超電導導体85は、テープ状の基材38の両面上
に多結晶中間層86を介して酸化物超電導層87を有し
ており、また、両面の酸化物超電導層87は超電導特性
がほぼ等しいものであるので、テープ状の基材の片面の
みに酸化物超電導層が形成された従来の酸化物超電導導
体の約2倍の高い臨界電流が得られる。
【0037】
【実施例】以下、本発明を、実施例および比較例によ
り、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみ
に限定されるものではない。 (実施例)図2〜図5に示す構造の石英製のCVD反応
装置30を図1に示す酸化物超電導導体の製造装置に組
み込んだ装置を用いてY-Ba-Cu-O系の酸化物超電
導導体を以下のようにして作製した。原料溶液として、
Y(thd)3、Ba(thd)2、Cu(thd)2
モル比でY:Ba:Cu=1.0:2.4:3.3に混
合したものテトラヒドロフラン溶液に溶解したもの収納
容器に貯留した。この原料溶液を加圧式液体ポンプ(加
圧源)により0.25ml/分の流速で、液体原料供給
装置の原料溶液供給部に連続的に供給した。これと同時
にアトマイズガスとしてArをアトマイズガス供給部に
流量300ccm程度で送り込むとともにシールドガス
としてArをシールドガス供給部に流量100ccm程
度で送り込んだ。以上の操作により、一定量のミスト状
の液体原料を気化器内に連続的に供給し、さらにこの液
体原料が気化した原料ガスをガス導入管を経てCVD反
応装置のガス拡散部材に一定量連続的に供給した。この
時の気化器および輸送管の温度は230℃とした。
【0038】リアクタ内の基材移動速度1.0m/h、
基材加熱温度800℃、リアクタ内圧力5トールに設定
して、基材の両面に厚さ0.6〜0.7μmのY-Ba-
Cu-O系の酸化物超電導層を連続的に形成し、テープ
状の酸化物超電導導体を得た。ここで基材をリアクタ内
に送り込む際、基材の幅方向の一方の端面がガス導入管
の先端に設けられたスリットノズルのスリットと対向す
るように送り込むことにより、上記基材の両面がスリッ
トノズルからの原料ガスの流れに対して平行になるよう
に送り込んだ。ここでの基材としては、ハステロイテー
プ上にイオンビームアシストスパッタリング法によりY
SZ(イットリウム安定化ジルコニア)面内配向中間層
(配向制御多結晶中間層)を両面に形成したもの(幅1
cm×長さ〜30cm×厚さ0.02cm)を用いた。
【0039】(比較例)ガス拡散部のガス拡散部材の形
状が角錐台状(一対の側壁の間隔がリアクタに近づくに
つれて広いものであり、かつ、上記一対の側壁を相互に
接続する前面壁及び後面壁の間隔もリアクタに近づくに
つれて広いものである。)、かつガス導入管に先端に設
けられたスリットノズルの短辺がリアクタ内を移動中の
基材の長手方向に対して交差する方向に設けられた以外
は実施例で用いたものと同様のCVD反応装置を酸化物
超電導導体の製造装置に組み込んだ装置を用い、基材を
リアクタ内に送り込む際、基材の超電導層形成面がスリ
ットノズルのスリットと対向するように送り込んで基材
の一方の面に酸化物超電導層を形成した。ついで、同様
の装置を用いて基材の他方の面に酸化物超電導層を同様
にして形成することにより、テープ状の酸化物超電導導
体を得た。
【0040】実施例、比較例で得られたテープ状の酸化
物超電導導体に、スパッタ装置によりAgコーティング
を施し、Agコーティング後に純酸素雰囲気中にて50
0℃で2時間熱処理を施して測定試料とした。そして、
これら試料を液体窒素で77Kに冷却し、外部磁場0T
(テスラ)の条件で各試料における基材の両面の酸化物
超電導層の臨界電流(Ic)をそれぞれ測定した。その
結果、比較例で得られたテープ状の酸化物超電導導体の
一方の酸化物超電導層の臨界電流は2.1Aであり、他
方の酸化物超電導層の臨界電流は9.5Aであり、両面
の酸化物超電導層の超電導特性が大幅に異なるものであ
り、また、酸化物超電導導体としては11.6Aの臨界
電流が得られた。これに対して実施例で得られたテープ
状の酸化物超電導導体の一方の酸化物超電導層の臨界電
流は10.0Aであり、他方の酸化物超電導層の臨界電
流は10.3Aであり、比較例で得られた酸化物超電導
導体に比べて両面の酸化物超電導層の超電導特性が略等
しく、また、酸化物超電導導体としては、臨界電流が2
0.3Aであり、比較例のものの約2倍の臨界電流が得
られていることがわかった。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように本発明の酸化物超電
導導体の製造装置によれば、特に、上記リアクタ内に送
り込まれたテープの基材の長手方向に沿って設けられた
対向する一対の側壁と、上記テープ状の基材の長手方向
と交差する方向に設けられ、上記一対の側壁を相互に接
続する前面壁及び後面壁を有し、上記前面壁と後面壁の
間隔は上記リアクタに近づくにつれて広くなっており、
上記一対の側壁の間隔は上記前面壁と後面壁の間隔より
も狭い一定の大きさになっているガス拡散部材と、スリ
ットの長辺が上記リアクタ内を移動中のテープ状の基材
の長手方向に対して交差する方向に設けられているスリ
ットノズルを有するガス拡散部が備えられたことによ
り、スリットノズルからガス拡散部材に原料ガスを送り
込むと、リアクタ内に送り込まれたテープ状の基材の長
さ方向と平行な方向への原料ガスの拡散は促進され、テ
ープ状の基材の長さ方向と直交する方向への原料ガスの
拡散は抑制することができるので、テープ状の基材をリ
アクタ内に送り込む際に、テープ状の基材の両面の超電
導層形成面がスリットノズルからの原料ガスの流れに対
して平行に送り込むことにより、加熱されたテープ状の
基材の両面側で原料ガスが反応して反応生成物を両面の
導層形成面に効率良く堆積させて酸化物超電導層をする
ことができる。従って、本発明の酸化物超電導導体の製
造装置によれば、テープ状の基材の両面上に酸化物超電
導層を一度に形成できるので、両面の酸化物超電導層の
超電導特性がほぼ等しい酸化物超電導導体を製造でき、
また、この酸化物超電導導体はテープ状の基材の両面上
に酸化物超導電層を有しているので、テープ状の基材の
片面のみに酸化物超電導層が形成された従来の酸化物超
電導導体に比べて高い臨界電流が得られる。
【0042】また、本発明の酸化物超電導導体の製造方
法によれば、本発明の酸化物超電導導体の製造装置を用
い、テープ状の基材をこれの両面の超電導層形成面が上
記スリットノズルからの原料ガスの流れに対して平行に
なるようにリアクタ内に送り込み、原料ガス供給源から
酸化物超電導体の原料ガスを上記ガス拡散部を経て上記
リアクタ内に供給し、更に上記テープ状の基材を加熱し
て反応生成物を上記基材の両面上に堆積させながらCV
D反応を行うことにより、加熱されたテープ状の基材の
両面側で原料ガスが反応して反応生成物を両面の導層形
成面に効率良く堆積させることができるので、テープ状
の基材の両面上に酸化物超電導層を一度に形成すること
ができる。また、本発明の酸化物超電導導体の製造方法
により得られた酸化物超電導導体は、テープ状の基材の
両面上に酸化物超電導層を有しており、また、両面の酸
化物超電導層は超電導特性がほぼ等しいものであるの
で、テープ状の基材の片面のみに酸化物超電導層が形成
された従来の酸化物超電導導体と比べて高い臨界電流が
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の酸化物超電導導体の製
造装置の全体構成を示す図である。
【図2】 図1の酸化物超電導導体の製造装置に備えら
れたCVD反応装置の構造例を示す略図である。
【図3】 図2に示すCVD反応装置のこれに送り込ま
れたテープ状の基材の長さ方向に沿った方向の詳細構造
を示す断面図である。
【図4】 図2に示すCVD反応装置のこれに送り込ま
れたテープ状の基材の長さ方向と直交する方向(テープ
状の基材の厚み方向)の詳細構造を示す断面図である。
【図5】 図2に示すCVD反応装置の詳細構造を示す
平面図である。
【図6】 図3に示すCVD反応装置のスリットノズル
のI−I線断面図である。
【図7】 本発明の酸化物超電導導体の製造方法により
得られた酸化物超電導導体の一実施形態を示す断面図で
ある。
【図8】 従来の酸化物超電導導体を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
31…リアクタ、38…テープ状の基材、38a・・・超
電導層形成面、38b・・・幅方向の端面、40・・・ガス拡
散部、41・・・側壁、42・・・前面壁、43・・・後面壁、
45・・・ガス拡散部材、53・・・ガス導入管、 54・・・
スリットノズル、54a・・・スリット、54b・・・短辺、
54c・・・長辺、85…酸化物超電導導体、86・・・多結
晶中間層、87・・・酸化物超電導層、88・・・安定化層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 隆 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 長屋 重夫 愛知県名古屋市緑区大高町字北関山20番地 の1 中部電力株式会社電力技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に送り込まれたテープ状の基材の移
    動中にこれの両面上に酸化物超電導体の原料ガスを化学
    反応させて酸化物超電導層を形成するCVD反応を行う
    リアクタと、原料ガス供給源に接続されて前記リアクタ
    内に前記原料ガスを供給するガス拡散部が少なくとも備
    えられてなり、 前記ガス拡散部は、前記リアクタに取り付けられたガス
    拡散部材と、該ガス拡散部材に接続され、前記原料ガス
    を前記ガス拡散部材に供給するガス導入管と、該ガス導
    入管の先端部に設けられた横断面の形状が長方形状のス
    リットを有するスリットノズルからなり、 前記ガス拡散部材は、前記リアクタ内に送り込まれたテ
    ープの基材の長手方向に沿って設けられた対向する一対
    の側壁と、前記テープ状の基材の長手方向と交差する方
    向に設けられ、前記一対の側壁を相互に接続する前面壁
    及び後面壁を有し、前記前面壁と後面壁の間隔は前記リ
    アクタに近づくにつれて広くなっており、前記一対の側
    壁の間隔は前記前面壁と後面壁の間隔よりも狭い一定の
    大きさになっているものであり、 前記スリットノズルのスリットはその長辺が前記リアク
    タ内を移動中のテープ状の基材の長手方向に対して交差
    する方向に設けられていることを特徴とする酸化物超電
    導導体の製造装置。
  2. 【請求項2】 前記ガス拡散部材の一対の側壁の間隔は
    スリットノズルのスリットの短辺と同じ大きさであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の酸化物超電導導体の製造
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の酸化物超電導導体
    の製造装置を用い、テープ状の基材をこれの両面の超電
    導層形成面が前記スリットノズルからの原料ガスの流れ
    に対して平行になるようにリアクタ内に送り込み、原料
    ガス供給源から酸化物超電導体の原料ガスを前記ガス拡
    散部を経て前記リアクタ内に供給し、更に前記テープ状
    の基材を加熱して反応生成物を前記基材の両面上に堆積
    させながらCVD反応を行うことを特徴とする酸化物超
    電導導体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記テープ状の基材は両面に多結晶中間
    層が形成されたものであることを特徴とする請求項3記
    載の酸化物超電導導体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1271666A2 (en) * 2001-06-22 2003-01-02 Fujikura Ltd. Oxide superconductor layer and its production method
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