JPH11352397A - グレ―ティング素子付光学系およびこれを用いた撮像装置 - Google Patents

グレ―ティング素子付光学系およびこれを用いた撮像装置

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JPH11352397A
JPH11352397A JP15760399A JP15760399A JPH11352397A JP H11352397 A JPH11352397 A JP H11352397A JP 15760399 A JP15760399 A JP 15760399A JP 15760399 A JP15760399 A JP 15760399A JP H11352397 A JPH11352397 A JP H11352397A
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JP
Japan
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grating element
lens
optical system
focal length
line
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JP15760399A
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English (en)
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Kazutake Boku
一武 朴
Shusuke Ono
周佑 小野
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回折効果をレンズ面に持たせることにより、
レンズの構成枚数を増やすことなく、色収差の補正され
た良好な結像性能を有する光学系を提供し、この光学系
を用いて撮像装置を構成する。 【解決手段】 物体側より、負の屈折力を有する第1レ
ンズ1、正の屈折力を有する第2レンズ2、正の屈折力
を有する第3レンズ3、水晶フィルターや撮像デバイス
のフェースプレート等に光学的に等価な平板4および像
面5の順番で配置する。第3レンズ3の出射面にグレー
ティング素子面60を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色収差が良好に補
正された撮像光学系に関し、特に監視カメラ、ボードカ
メラ等の小型撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】撮像光学系においては、結像性能が重要
である。この結像性能に影響する因子としては、レンズ
の収差、回折、塵等の光学系内のものと、系外の環境条
件等があり、特にレンズの屈折率が波長毎に異なること
によって発生する色収差が、結像性能を劣化させる一因
となっている。
【0003】そこで、従来はアッベ数の異なる幾つかの
レンズを組み合わせることによって、この色収差の低減
を図っており、この技術の他にも色消しレンズ系として
異常分散ガラスを使用することが知られている。
【0004】また、色収差の低減を図る他の技術として
は、撮像光学系に独立した回折素子を加えて構成する技
術が提案されている。例えば、特開平8−43767号
公報においては、キノフォームによって作成された平板
回折素子を屈折レンズと組み合わせることによって色収
差を良好に補正する技術が開示されている。さらに、特
開平6−242373号公報においては、レンズ面に回
折素子を設けた光ディスク用対物レンズが提案されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の技術においては、一定のレンズ枚数を必要とするため
に、レンズ加工および組立工程の観点から、低コスト化
を達成することができない。つまり、色収差を補正する
ために収束作用に直接関与しない素子を設けなければな
らないので、結果として部品点数の増加に繋がる。ま
た、レンズ面に独立した回折素子を設けたものについて
は、波長範囲が狭く、画角も小さいために、撮像光学系
に用いることができない。
【0006】本発明は、これらの課題を解決するために
なされたもので、回折効果をレンズ面に持たせることに
より、レンズの構成枚数を増やすことなく、色収差の補
正された良好な結像性能を発揮して、撮像光学系に用い
ることができる光学系を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係るグレーティング素子付光学系の構成
は、正の屈折力を有するレンズ2枚と、負の屈折力を有
するレンズ1枚とを用いて構成され、前記正の屈折力を
有するレンズの少なくとも一面にグレーティング素子面
が形成されていることを特徴とする。さらに具体的に
は、負の屈折力を有する第1レンズと、正の屈折力を有
する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズとを
物体側から順番に配置して構成され、前記第3レンズの
少なくとも一面にグレーティング素子面が形成されてい
ることが好ましい。このような構成とすることにより、
レンズの構成枚数を増やすことなく、色収差の補正され
た良好な結像性能を有する光学系を得ることができる。
また、この場合には、前記第1レンズの出射面が凹面で
あり、前記第3レンズの出射面にグレーティング素子面
が形成されていることが好ましく、前記グレーティング
素子面が正の屈折力を有することが好ましい。さらに
は、前記グレーティング素子付光学系全系の合成焦点距
離をF、前記グレーティング素子面の焦点距離をfgと
したとき、以下の[数1]の条件を満足することが好ま
しい。
【0008】
【数1】0.05<|F/fg|<0.15 上式を満足させることにより、色収差が良好に補正され
るとともに、結像性能の良好な光学系を得ることができ
る。
【0009】また、前記本発明のグレーティング素子付
光学系の構成においては、前記グレーティング素子付光
学系を構成するレンズの少なくとも一面が、光軸を離れ
るに従って曲率半径が小さくなる非球面であることが好
ましい。この好ましい例によれば、歪曲収差の補正に大
きな効果を発揮することができる。また、この場合に
は、前記非球面にグレーティング素子面が形成されてい
ることが好ましい。この好ましい例によれば、レンズ作
成が容易になると共に、転写性に優れたグレーティング
素子面を作成することができる。
【0010】また、前記本発明のグレーティング素子付
光学系の構成においては、前記第1レンズと前記第2レ
ンズとの間の空気間隔を変化させることにより、前記グ
レーティング素子付光学系の全系の合成焦点距離を可変
とすることができることが好ましく、前記グレーティン
グ素子付光学系において、短焦点距離側における全系の
合成焦点距離をfw、前記第1レンズの焦点距離をf1
としたとき、以下の[数2]の条件を満足することが好
ましい。
【0011】
【数2】1.3<|f1/fw|<2.0 上式を満足させることにより、諸収差の劣化なしに全系
の合成焦点距離を可変とすることができる。
【0012】また、前記本発明のグレーティング素子付
光学系の構成においては、前記グレーティング素子面が
キノフォーム形状であることが好ましく、さらに、前記
グレーティング素子面を有するレンズが、ガラスまたは
樹脂のいずれかにより形成されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、転写正の優れたキノ
フォーム形状を有するグレーティング素子付光学系を実
現することができる。
【0013】また、本発明に係る撮像装置の構成は、前
記本発明のグレーティング素子付光学系と、撮像素子
と、信号処理回路とを有することを特徴とする。この撮
像装置の構成によれば、撮像装置全体としての大きさを
従来よりも小型化することが可能となり、かつ、結像性
能が極めて良好な撮像装置を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態に係る
グレーティング素子付光学系について説明する。説明に
際して、まず、この発明におけるグレーティング素子の
設計方法について説明する。
【0015】グレーティング素子は回折現象を利用した
光学素子である。屈折素子が短い波長に対して高い屈折
率を持つのに対して、グレーティング素子は長い波長の
方が回折角度が大きくなるために、色収差に対する振る
舞いが屈折素子とは逆になる。また、グレーティング素
子の分散は使用波長の帯域によって決定されるが、一般
に、カラー写真やカラー画像の場合、撮影に必要な波長
帯域は430nm〜630nm程度でよく、この場合に
おけるグレーティング素子の分散は負の値となる。この
グレーティング素子を正の屈折力を持つ屈折素子と組み
合わせる時には、正の屈折力を持つグレーティング素子
を用いることにより色消しを行うことができる。
【0016】このグレーティング素子の具体的な設計法
としては、William C.Sweattにより提案された高屈折率
法(Describing holographic optical elements as len
ses:Journal of Optical Society of America,Vol.67,N
o.6,June 1977 参照)を用いた。これは、グレーティン
グ素子の光線の振る舞いを、仮想の高屈折率による屈折
現象に置き換えることができることを示したものであ
り、屈折率が無限大のときは、回折素子と完全に一致す
るというものである。しかしながら、実際の設計の際に
は無限大の屈折率は定義できず、なんらかの値を設定す
る必要がある。以下に高屈折率法と実際の回折格子との
誤差について説明する。
【0017】図22、図23にSweattモデルの誤
差解析について示す。回折は次式[数3]を用いて解く
ことができる。
【0018】
【数3】n1sinθ1−n2sinθ2=λ/d これに対して、屈折は第1面と第2面とで2回屈折する
ため、そこにスネルの法則を2回適用する。1回目の適
用を[数4]、2回目の適用を[数5]で示す。
【0019】
【数4】n1sinθ1=nhsinθh
【0020】
【数5】nhsin(θh+φh)=n2sinθ2 ここで、θh<<1とすると、上式から2つの出射角度
の差はλ/dnhとなる。ここでレンズの焦点距離をf
とすると、像面上での光線位置の誤差Δは、次式[数
6]となる。
【0021】
【数6】Δ=λ・f/d・nh ここで、例えば波長550nm、焦点距離f=5mm、
グレーティングのピッチ20μm、高屈折率nh=55
01とすると、像面上での光線位置の誤差は0.025
μmとなる。これは設計上考慮すべき値の10分の1以
下であり問題ないレベルである。これにより高屈折率法
で設計する場合の屈折率設定を、波長の10倍+1とし
た。プラス1(+1)とする理由は、グレーティングの
ピッチは、1次回折光を用いる場合、高さがλ/(n−
1)ごとに決まるからである。すなわち、屈折率nが1
0λ+1であれば、高屈折率層が0.1nmごとにピッ
チを刻んでいけばよいことがわかる。このことは、高屈
折率層のサグ量を計算すれば、すぐに輪帯数が計算でき
便利である。例えば、高屈折率層のサグ量が2.5nm
であれば、輪帯数は25あることになる。但し、実際の
輪帯数は光線の屈折方向も考慮する必要があるため、面
に垂直方向に測ったサグ量のみを用いて正確に計算する
ことはできないが、あたりをみる上では有効である。
【0022】(第一の実施形態)次に、本発明の第一の
実施形態に係るグレーティング素子付光学系について、
図面を参照しつつ説明する。図1、図3、図5、図7
は、各々第一の実施形態の具体的数値例である実施例
1、実施例2、実施例3、実施例4に係るグレーティン
グ素子付光学系のレンズ構成を示す断面図である。
【0023】図1、図3、図5、図7において、本実施
形態に係るグレーティング素子付光学系は、物体側(図
中左側)より、第1レンズ1、水晶フィルターや撮像デ
バイスのフェースプレート等に光学的に等価な平板4お
よび像面5の順番に配置されている。このグレーティン
グ素子付光学系を構成する第1レンズ1は、入射面が凹
面であり、出射面が光軸を離れるに従って曲率半径が小
さくなる非球面となっており、この出射面に正の屈折力
を持つグレーティング素子面40を有している。
【0024】それぞれの実施例における第1レンズ1の
出射面の数値は、グレーティング素子面40へ変換する
前の値を示しており、この数値に基づいてグレーティン
グ素子面40が形成される。具体的には、設計時におい
て、図24に示すように、ベース非球面30(実施例1
〜4におけるr3)の上に高屈折面31(実施例1〜4
におけるr2)を有し、その間に高屈折率部32を有す
る状態を想定し、これらのベース非球面30と高屈折率
面31とで構成された出射面と同様な効果を得ることが
できるように、先に述べた方法において、図25に示す
ようなグレーティング素子面40へと変換させるのであ
る。また、このグレーティング素子面40は、図21に
示したようなキノフォーム形状で構成されており、グレ
ーティング素子面40を有する第1レンズ1は、ガラス
成形及び樹脂成形のいずれかによって作成される。こう
することによって、転写性の優れたキノフォーム形状を
有するグレーティング素子付レンズを実現することがで
きる。
【0025】この第一の実施形態において、第1レンズ
1の入射面の頂点曲率半径をr1、出射面の頂点曲率半
径をr2として、以下の[数7]の条件式を満足するこ
とにより、諸収差のバランスが整った最適なレンズ形状
とすることができる。
【0026】
【数7】0.05<|r2/r1|<0.5この上限、
下限を越えると、軸外光の入射画角が大きくなり、その
結果、軸外性能の劣化や、軸外光における回折効率の低
下につながり、フレアが発生してしまう。また、出射面
の曲率半径が小さくなると、レンズ作成が困難になるた
め、歩留まりの原因となってしまい、コストアップにつ
ながる。さらに、上記構成において、少なくとも1面を
光軸を離れるに従って曲率半径が小さくなる非球面形状
とすることは、歪曲収差の補正に大きな効果を発揮す
る。さらに、前記非球面を有する面をグレーティング素
子面とすることで、レンズ作成を容易にし、且つ転写性
に優れたグレーティング素子面を作成することができ
る。
【0027】また、この第一の実施形態において、光学
系の全系の合成焦点距離をF、グレーティング素子面の
焦点距離をfgとして、前記[数1]の条件式を満足す
ることにより、色収差を良好に補正することができる。
この上限、下限を越えると、色収差の補正不足、あるい
は補正過剰となり、良好な結像性能を得ることが困難と
なる。
【0028】以下に、第一の実施形態の具体的な数値例
として、実施例1〜4を示す。Fは全系の合成焦点距
離、FnoはFナンバー、2ωは画角を表している。実
施例中r1、r2、・・・は物体側から順番に数えた各
レンズ面の曲率半径、d1、d2、・・・は物体側から
順番に数えた各レンズ面に対する面間隔の肉厚、または
空気間隔、nd、νdはそれぞれレンズ材料の屈折率と
アッベ数である。また、非球面形状を有する面(実施例
中の面Noの横に*印で表示)については、次式[数
8]で規定している。
【0029】
【数8】
【0030】但し、上式[数8]において、 Z:光軸からの高さがyの非球面形状の非球面頂点の接
平面からの距離 y:光軸からの高さ c:非球面頂点の曲率 k:円錐定数 D、E、F、G:非球面係数 とする。
【0031】以下、実施例1についての具体的数値を示
す。この中で高屈折率法により設計された高屈折面に
は、面Noに○印を表示している。
【0032】 (実施例1) F=5.7 Fno=2.7 2ω=44.8 面No r d nd νd 1* −9.84000 2.5 1.588066 62.35 2*○ −2.84150 0.0 5877 −3.45 3* −2.84149 3.6 4 ∞ 1.8 1.516330 64.10 5 ∞ なお、*印をつけた面は非球面であり、その非球面係数
を下記に示す。
【0033】 第1面 第2面 第3面 k 0.0 0.0 0.0 D−1.49016×10-2 −1.15144×10-4 −1.15108×10-4 E−2.09289×10-3 −2.56909×10-4 −2.56899×10-4 F 0.0 0.0 0.0 G 0.0 0.0 0.0 上記実施例1のグレーティング素子付光学系における諸
収差図を図2に示す。この図2の各収差図において、
(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ
球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差
(%)、軸上色収差(mm)、倍率色収差(mm)を表
している。図2(a)の球面収差図において、実線はd
線であり、破線は正弦条件である。図2(b)の非点収
差図において、実線はサジタル像面湾曲であり、破線は
メリジオナル像面湾曲である。図2(d)の軸上色収差
図において、実線はd線、破線はF線、一点鎖線はC線
に対する値である。図2(e)の倍率色収差図におい
て、破線はF線、一点鎖線はC線に対する値である。こ
れらの収差図から明らかなように、実施例1によれば、
色収差が良好に補正され、且つ結像性能の良好なグレー
ティング素子付光学系が得られることがわかる。
【0034】次に、実施例2についての具体的数値を以
下に示す。
【0035】 (実施例2) F=6.7 Fno=2.7 2ω=38.2 面No r d nd νd 1* −8.90000 2.7 1.525380 56.66 2*○ −3.00000 0.0 5877 −3.45 3* −2.99998 4.8 4 ∞ 1.8 1.516330 64.10 5 ∞ なお、*印をつけた面は非球面であり、その非球面係数
を下記に示す。
【0036】 第1面 第2面 第3面 k 0.0 0.0 0.0 D−1.01884×10-2 6.61273×10-4 6.61230×10-4 E−2.30851×10-3 −1.83991×10-4 −1.83991×10-4 F 0.0 0.0 0.0 G 0.0 0.0 0.0 上記実施例2のグレーティング素子付光学系における諸
収差図を図4に示す。この図4の各収差図において、
(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ
球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差
(%)、軸上色収差(mm)、倍率色収差(mm)を表
している。図4(a)の球面収差図において、実線はd
線であり、破線は正弦条件である。図4(b)の非点収
差図において、実線はサジタル像面湾曲であり、破線は
メリジオナル像面湾曲である。図4(d)の軸上色収差
図において、実線はd線、破線はF線、一点鎖線はC線
に対する値である。図4(e)の倍率色収差図におい
て、破線はF線、一点鎖線はC線に対する値である。こ
れらの収差図から明らかなように、実施例2によれば、
色収差が良好に補正され、且つ結像性能の良好なグレー
ティング素子付光学系が得られることがわかる。
【0037】次に、実施例3についての具体的数値を以
下に示す。
【0038】 (実施例3) F=4.3 Fno=2.7 2ω=59.3 面No r d nd νd 1* −15.00000 2.4 1.525380 56.66 2*○ −2.28025 0.0 5877 −3.45 3* −2.28023 1.9 4 ∞ 1.8 1.516330 64.10 5 ∞ なお、*印をつけた面は非球面であり、その非球面係数
を下記に示す。
【0039】 第1面 第2面 第3面 k 0.0 0.0 0.0 D−3.06689×10-2 1.70550×10-3 1.70546×10-3 E 1.11758×10-3 6.65885×10-4 6.65915×10-4 F 0.0 0.0 0.0 G 0.0 0.0 0.0 上記実施例3のグレーティング素子付光学系における諸
収差図を図6に示す。この図6の各収差図において、
(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ
球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差
(%)、軸上色収差(mm)、倍率色収差(mm)を表
している。図6(a)の球面収差図において、実線はd
線であり、破線は正弦条件である。図6(b)の非点収
差図において、実線はサジタル像面湾曲であり、破線は
メリジオナル像面湾曲である。図6(d)の軸上色収差
図において、実線はd線、破線はF線、一点鎖線はC線
に対する値である。図6(e)の倍率色収差図におい
て、破線はF線、一点鎖線はC線に対する値である。こ
れらの収差図から明らかなように、実施例3によれば、
色収差が良好に補正され、且つ結像性能の良好なグレー
ティング素子付光学系が得られることがわかる。
【0040】次に、実施例4についての具体的数値を以
下に示す。
【0041】 (実施例4) F=5.5 Fno=2.6 2ω=46.6 面No r d nd νd 1* −15.00000 2.6 1.525380 56.66 2*○ −2.70000 0.0 5877 −3.45 3* −2.69998 3.2 4 ∞ 1.8 1.516330 64.10 5 ∞ なお、*印をつけた面は非球面であり、その非球面係数
を下記に示す。
【0042】 第1面 第2面 第3面 k 0.0 0.0 0.0 D−1.73983×10-2 8.04881×10-4 8.04857×10-4 E−7.96659×10-4 -1.66260×10-4 −1.66227×10-4 F 0.0 0.0 0.0 G 0.0 0.0 0.0 上記実施例4のグレーティング素子付光学系における諸
収差図を図8に示す。この図8の各収差図において、
(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ
球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差
(%)、軸上色収差(mm)、倍率色収差(mm)を表
している。図8(a)の球面収差図において、実線はd
線であり、破線は正弦条件である。図8(b)の非点収
差図において、実線はサジタル像面湾曲であり、破線は
メリジオナル像面湾曲である。図8(d)の軸上色収差
図において、実線はd線、破線はF線、一点鎖線はC線
に対する値である。図8(e)の倍率色収差図におい
て、破線はF線、一点鎖線はC線に対する値である。こ
れらの収差図から明らかなように、実施例4によれば、
色収差が良好に補正され、且つ結像性能の良好なグレー
ティング素子付光学系が得られることがわかる。
【0043】なお、本実施形態においては、第1レンズ
の出射面にグレーティング素子面を有する構成について
説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
入射面にグレーティング素子面を有する構成であっても
よい。また、本実施形態においては、出射面を光軸を離
れるに従って曲率半径が小さくなる非球面形状とした
が、本発明はこれに限定されるのもではなく、入射面が
光軸を離れるに従って曲率半径が小さくなる非球面形状
であってもよい。
【0044】(第二の実施形態)次に、本発明の第二の
実施形態に係るグレーティング素子付光学系について、
図面を参照しつつ説明する。図9、図11、図13、図
15は、各々第二の実施形態の具体的数値例であり、実
施例5、実施例6、実施例7、実施例8に係るグレーテ
ィング素子付光学系のレンズ構成を示す断面図である。
【0045】図9、図11、図13、図15において、
本実施形態に係るグレーティング素子付光学系は、物体
側(図中左側)より、第1レンズ1、第2レンズ2、水
晶フィルターや撮像デバイスのフェースプレート等に光
学的に等価な平板4および像面5の順に配置されてい
る。このグレーティング素子付光学系は、出射面が凹面
であり負の屈折力を持つ第1レンズ1と、入射面が凸面
であり正の屈折力を持つ第2レンズ2との2枚のレンズ
を用いて構成され、第2レンズの出射面に正の屈折力を
持つグレーティング素子面40を有している。また、図
11で示した実施例6については、第2レンズ2の入射
面にもグレーティング素子面50を有している。
【0046】それぞれの実施例における第2レンズ2の
出射面の数値は、グレーティング素子面40へ変換する
前の値を示しており、この数値に基づいてグレーティン
グ素子面40が形成される。具体的には、設計時におい
て、図24に示すように、ベース非球面30(実施例
5、7および8におけるr5、実施例6におけるr6)
の上に高屈折面31(実施例5、7および8におけるr
4、実施例6におけるr5)を有し、その間に高屈折率
部32を有する状態を想定し、これらのベース非球面3
0と高屈折率面31とで構成された出射面と同様な効果
を得ることができるように、先に述べた方法において、
図25に示すようなグレーティング素子面40へと変換
させるのである。また、図11に示した実施例6を構成
する第2レンズ2の入射面については、設計時におい
て、図26に示すように、ベース非球面30(実施例6
におけるr4)の上に高屈折面31(実施例6における
r3)を有し、その間に高屈折率部32を有する状態を
想定し、これらのベース非球面30と高屈折率面31と
で構成された入射面と同様な効果を得ることができるよ
うに、先に述べた方法において、図27に示すようなグ
レーティング素子面50へと変換させるのである。
【0047】これらのグレーティング素子面40、50
は、図21に示したようなキノフォーム形状で構成され
ており、グレーティング素子面40、50を有する第2
レンズ2は、ガラス成形及び樹脂成形のいずれかによっ
て作成される。こうすることによって、転写性の優れた
キノフォーム形状を有するグレーティング素子付レンズ
を実現することができる。
【0048】この第二の実施形態においては、グレーテ
ィング素子付光学系全系の合成焦点距離をF、グレーテ
ィング素子の焦点距離をfgとして、以下の[数9]の
条件式を満足することにより、色収差が良好に補正さ
れ、且つ結像性能の良好な光学系を得ることができる。
【0049】
【数9】0.05<|F/fg|<0.15 この上限、下限を越えると、色収差の補正不足、あるい
は補正過剰となり、良好な結像性能を得ることが困難と
なる。また、上記構成において、少なくとも1面を光軸
を離れるに従って曲率半径が小さくなる非球面形状とす
ることは、歪曲収差の補正に大きな効果を発揮する。ま
た、上記構成のように、非球面を有する面をグレーティ
ング素子面とすることで、レンズ作成を容易にし、且つ
転写性に優れたグレーティング素子面を作成することが
できる。
【0050】また、この第二の実施形態において、第1
レンズ1の焦点距離をf1、第2レンズ2の焦点距離を
f2として、以下の[数10]の条件式を満足すること
によって、諸収差をバランス良く補正することができ
る。
【0051】
【数10】0.5<|f2/f1|<1.0 この上限を越えると、諸収差をバランス良く補正するこ
とが困難になり、この下限を越えると、第1レンズ1と
第2レンズ2との間隔が大きくなってしまい、小型化が
困難になる。
【0052】さらに、上記構成において、第1レンズ1
と第2レンズ2との空気間隔を変化させることにより、
全系の合成焦点距離を可変とすることができる。前記構
成において、第1レンズ1と第2レンズ2との空気間隔
を変化させることにより全系の合成焦点距離を可変とし
たときには、短焦点距離側における全系の合成焦点距離
をfw、第1レンズの焦点距離をf1として、以下の
[数11]の条件式を満足することにより、諸収差の劣
化なしに焦点距離を可変とすることができる。
【0053】
【数11】1.3<|f1/fw|<2.0 この上限を越えると、焦点距離を可変とする時の空気間
隔の移動量が大きくなり、小型化の大きな弊害となり、
下限を越えると、諸収差をバランスよく補正することが
困難となる。
【0054】以下に、第二の実施形態の具体的な数値例
として、実施例5〜8を示す。Fは全系の合成焦点距
離、FnoはFナンバー、2ωは画角を表している。実
施例中r1、r2、・・・は物体側から順番に数えた各
レンズ面の曲率半径、d1、d2、・・・は物体側から
順番に数えた各レンズ面に対する面間隔の肉厚、または
空気間隔、nd、νdはそれぞれレンズ材料の屈折率と
アッベ数である。また、非球面形状を有する面(実施例
中の面Noの横に*印で表示)については、前述した式
[数8]で規定している。さらに、高屈折率法により設
計された高屈折面については、面Noの横に○印で表示
している。
【0055】以下、実施例5についての具体的数値を示
す。
【0056】 (実施例5) F=3.8 Fno=2.7 2ω=60.0 面No r d nd νd 1* 15.00000 1.2 1.525380 56.66 2 2.76200 3.9 3* 2.96000 3.5 1.525380 56.66 4*○ −5.96600 0.0 5877 −3.45 5* −5.96588 1.0 6 ∞ 1.8 1.516330 64.10 7 ∞ なお、*印をつけた面は非球面であり、その非球面係数
を下記に示す。
【0057】 第1面 第3面 第4面 k 0.0 -3.20434 0.0 D−2.81919×10-4 1.29008×10-2 1.27487×10-2 E 7.89784×10-5 −1.86932×10-4 8.73101×10-4 F−6.96177×10-6 0.0 2.92707×10-4 G 0.0 0.0 0.0 第5面 k 0.0 D 1.27485×10-2 E 8.73112×10-4 F 2.92707×10-4 G 0.0 上記実施例5のグレーティング素子付光学系における諸
収差図を図10に示す。この図10の各収差図におい
て、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、それ
ぞれ球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差
(%)、軸上色収差(mm)、倍率色収差(mm)を表
している。図10(a)の球面収差図において、実線は
d線であり、破線は正弦条件である。図10(b)の非
点収差図において、実線はサジタル像面湾曲であり、破
線はメリジオナル像面湾曲である。図10(d)の軸上
色収差図において、実線はd線、破線はF線、一点鎖線
はC線に対する値である。図10(e)の倍率色収差図
において、破線はF線、一点鎖線はC線に対する値であ
る。これらの収差図から明らかなように、実施例5によ
れば、色収差が良好に補正され、且つ結像性能の良好な
グレーティング素子付光学系が得られることがわかる。
【0058】次に、実施例6についての具体的数値を以
下に示す。
【0059】 (実施例6) F=3.7 Fno=2.9 2ω=65.6 面No r d nd νd 1* ∞ 1.2 1.525380 56.66 2 2.76200 3.7 3*○ 2.45570 0.0 5877 −3.45 4* 2.45570 3.5 1.525380 56.66 5*○ −10.73817 0.0 5877 −3.45 6* −10.73770 1.0 7 ∞ 1.8 1.516330 64.10 8 ∞ なお、*印をつけた面は非球面であり、その非球面係数
を下記に示す。
【0060】 第1面 第3面 第4面 k 0.0 −0.72351 −0.72351 D 9.34875×10-4 2.87860×10-3 2.87854×10-3 E 2.21302×10-4 7.61582×10-4 7.61648×10-4 F−3.10510×10-5 0.0 0.0 G 0.0 0.0 0.0 第5面 第6面 k 0.0 0.0 D 1.98678×10-2 1.98680×10-2 E 9.63900×10-4 9.63528×10-4 F 2.10456×10-3 2.10456×10-3 G 0.0 0.0 上記実施例6のグレーティング素子付光学系における諸
収差図を図12に示す。この図12の各収差図におい
て、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、それ
ぞれ球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差
(%)、軸上色収差(mm)、倍率色収差(mm)を表
している。図12(a)の球面収差図において、実線は
d線であり、破線は正弦条件である。図12(b)の非
点収差図において、実線はサジタル像面湾曲であり、破
線はメリジオナル像面湾曲である。図12(d)の軸上
色収差図において、実線はd線、破線はF線、一点鎖線
はC線に対する値である。図12(e)の倍率色収差図
において、破線はF線、一点鎖線はC線に対する値であ
る。これらの収差図から明らかなように、実施例6によ
れば、色収差が良好に補正され、且つ結像性能の良好な
グレーティング素子付光学系が得られることがわかる。
【0061】次に、実施例7についての具体的数値を以
下に示す。
【0062】 (実施例7) F=3.8 Fno=2.8 2ω=62.8 面No r d nd νd 1* 25.00000 1.2 1.525380 56.66 2 2.76200 3.7 3* 2.49966 3.5 1.525380 56.66 4*○ −10.73826 0.0 5877 −3.45 5* −10.73770 1.0 6 ∞ 1.8 1.516330 64.10 7 ∞ なお、*印をつけた面は非球面であり、その非球面係数
を下記に示す。
【0063】 第1面 第3面 第4面 k 0.0 0.52478 0.0 D 1.14602×10-3 −4.23767×10-3 1.98676×10-2 E 5.02799×10-5 −2.51710×10-3 9.63930×10-4 F−9.66224×10-6 0.0 2.10456×10-3 G 0.0 0.0 0.0 第5面 k 0.0 D 1.98680×10-2 E 9.63528×10-4 F 2.10456×10-3 G 0.0 上記実施例7のグレーティング素子付光学系における諸
収差図を図14に示す。この図14の各収差図におい
て、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、それ
ぞれ球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差
(%)、軸上色収差(mm)、倍率色収差(mm)を表
している。図14(a)の球面収差図において、実線は
d線であり、破線は正弦条件である。図14(b)の非
点収差図において、実線はサジタル像面湾曲であり、破
線はメリジオナル像面湾曲である。図14(d)の軸上
色収差図において、実線はd線、破線はF線、一点鎖線
はC線に対する値である。図14(e)の倍率色収差図
において、破線はF線、一点鎖線はC線に対する値であ
る。これらの収差図から明らかなように、実施例7によ
れば、色収差が良好に補正され、且つ結像性能の良好な
グレーティング素子付光学系が得られることがわかる。
【0064】次に、実施例8についての具体的数値を以
下に示す。
【0065】 (実施例8) F=3.8〜4.5 Fno=2.8〜2.9 2ω=66.6〜53.3 面No r d nd νd 1* 15.00000 1.2 1.588066 62.35 2 2.76200 (可変) 3* 2.96000 3.5 1.525380 56.66 4*○ −5.96600 0.0 5877 −3.45 5* −5.96588 1.0 6 ∞ 1.8 1.516330 64.10 7 ∞ なお、*印をつけた面は非球面であり、その非球面係数
を下記に示す。
【0066】 第1面 第3面 第4面 k 0.0 -2.70774 0.0 D−1.63938×10-3 1.14893×10-2 1.27487×10-2 E 4.30575×10-4 −7.02693×10-5 8.73101×10-4 F−4.02597×10-5 0.0 2.92707×10-4 G 0.0 0.0 0.0 第5面 k 0.0 D 1.27486×10-2 E 8.73036×10-4 F 2.92723×10-4 G 0.0 可変に関する数値(F、d2)を下記に示す。
【0067】 F d2 3.8 3.90 4.5 2.77 上記実施例8のグレーティング素子付光学系におけるワ
イド端(短焦点距離側)、テレ端(長焦点距離側)での
諸収差図を図16、図17にそれぞれ示す。この図16
および図17の各収差図において、(a)、(b)、
(c)、(d)、(e)は、それぞれ球面収差(m
m)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)、軸上色収差
(mm)、倍率色収差(mm)を表している。図16
(a)および図17(a)の球面収差図において、実線
はd線であり、破線は正弦条件である。図16(b)お
よび図17(b)の非点収差図において、実線はサジタ
ル像面湾曲であり、破線はメリジオナル像面湾曲であ
る。図16(d)および図17(d)の軸上色収差図に
おいて、実線はd線、破線はF線、一点鎖線はC線に対
する値である。図16(e)および図17(e)の倍率
色収差図において、破線はF線、一点鎖線はC線に対す
る値である。これらの収差図から明らかなように、実施
例8によれば、色収差が良好に補正され、且つ可変焦点
位置全域に渡って結像性能の良好なグレーティング素子
付光学系が得られることがわかる。
【0068】なお、本実施形態に係る実施例5、実施例
7および実施例8においては、第2レンズの出射面にグ
レーティング素子面を有する構成について説明したが、
本発明はこれに限定されるものではなく、入射面にグレ
ーティング素子面を有する構成であってもよい。 (第三の実施形態)次に、本発明の第三の実施形態に係
るグレーティング素子付光学系について、図面を参照し
つつ説明する。図18は、第三の実施形態の具体的数値
例である実施例9に係るグレーティング素子付光学系の
ワイド端(短焦点距離側)におけるレンズ構成を示す断
面図である。
【0069】図18において、本実施形態に係るグレー
ティング素子付光学系は、物体側(図中左側)より、第
1レンズ1、第2レンズ2、第3レンズ3、水晶フィル
ターや撮像デバイスのフェースプレート等に光学的に等
価な平板4および像面5の順番に配置されている。この
グレーティング素子付光学系において、第1レンズ1は
負の屈折力を有し、第2レンズ2は正の屈折力を有し、
第3レンズ3は正の屈折力を有する。そして、第3レン
ズ3の出射面にグレーティング素子面60を有してい
る。また、第1レンズ1は出射面が凹面であり、第3レ
ンズは出射面が凹面であり、且つ正の屈折力を持つグレ
ーティング素子面60を有している。
【0070】この実施例9における第3レンズ3の出射
面の数値は、グレーティング素子面60へ変換する前の
値を示しており、この数値に基づいてグレーティング素
子面60が形成される。具体的には、設計時において、
図28に示すように、ベース非球面30(実施例9にお
けるr7)の上に高屈折面31(実施例9におけるr
6)を有し、その間に高屈折率部32を有する状態を想
定し、これらのベース非球面30と高屈折率面31とで
構成された出射面と同様な効果を得ることができるよう
に、先に述べた方法において、図29に示すようなグレ
ーティング素子面60へと変換させるのである。また、
このグレーティング素子面60は、図21に示したよう
なキノフォーム形状で構成されており、グレーティング
素子面60を有する第3レンズ3は、ガラス成形及び樹
脂成形のいずれかによって作成される。こうすることに
よって、転写性の優れたキノフォーム形状を有するグレ
ーティング素子付レンズを実現することができる。
【0071】この第三の実施形態においては、グレーテ
ィング素子付光学系全系の合成焦点距離をF、グレーテ
ィング素子の焦点距離をfgとして、以下の[数12]
の条件式を満足することにより、色収差が良好に補正さ
れ、且つ結像性能の良好な光学系を得ることができる。
【0072】
【数12】0.05<|F/fg|<0.15 この上限、下限を越えると、色収差の補正不足、あるい
は補正過剰となり、良好な結像性能を得ることが困難と
なる。また、上記構成において、少なくとも1面を光軸
を離れるに従って曲率半径が小さくなる非球面形状とす
ることは、歪曲収差の補正に大きな効果を発揮する。ま
た、上記構成のように、非球面を有する面をグレーティ
ング素子面とすることで、レンズ作成を容易にし、且つ
転写性に優れたグレーティング素子面を作成することが
できる。
【0073】また、上記構成において、第1レンズ1と
第2レンズ2との空気間隔を変化させることにより全系
の合成焦点距離を可変とすることができる。前記構成に
おいて、第1レンズ1と第2レンズ2との空気間隔を変
化させることにより全系の合成焦点距離を可変としたと
きは、短焦点距離側における全系の合成焦点距離をf
w、第1レンズ1の焦点距離をf1として、以下の[数
13]の条件式を満足することにより、諸収差の劣化な
しに焦点距離を可変とすることができる。
【0074】
【数13】1.3<|f1/fw|<2.0 この上限を越えると、焦点距離を可変とする時の空気間
隔の移動量が大きくなり、小型化の大きな弊害となり、
下限を越えると、諸収差をバランスよく補正することが
困難となる。
【0075】以下に、第三の実施形態の具体的な数値例
として、実施例9を示す。Fは全系の合成焦点距離、F
noはFナンバー、2ωは画角を表している。実施例中
r1、r2、・・・は物体側から順番に数えた各レンズ
面の曲率半径、d1、d2、・・・は物体側から順番に
数えた各レンズ面に対する面間隔の肉厚、または空気間
隔、nd、νdはそれぞれレンズ材料の屈折率とアッベ数
である。また、非球面形状を有する面(実施例中の面N
oの横に*印で表示)については、前述した式[数8]
で規定している。さらに、高屈折率法により設計された
高屈折面については、面Noの横に○印で表示してい
る。
【0076】以下、実施例9についての具体的数値を示
す。
【0077】 (実施例9) F=3.8〜4.6 Fno=2.7〜3.0 2ω=63.7〜52.8 面No r d nd νd 1* 81.48100 1.2 1.525380 56.66 2 3.11900 (可変) 3* 3.24000 2.5 1.588066 62.35 4 ∞ 0.2 5* 3.06900 2.0 1.525380 56.66 6*○ 6.66184 0.0 5877 −3.45 7* 6.66200 1.0 8 ∞ 1.8 1.516330 64.10 9 ∞ なお、*印をつけた面は非球面であり、その非球面係数
を下記に示す。
【0078】 第1面 第3面 第5面 k −3.2928 −5.4161 0.0 D −7.08011×10-4 4.77434×10-7 8.77945×10-3 E 1.34173×10-5 −1.87194×10-5 −2.77629×10-3 F −5.30903×10-7 −1.32139×10-5 −1.68397×10-5 G 0.0 4.35301×10-6 0.0 第6面 第7面 k 0.0 0.0 D 3.09447×10-2 3.09447×10-2 E −5.86120×10-3 −5.86120×10-3 F 1.78057×10-2 1.78051×10-2 G −7.55845×10-3 −7.55824×10-3 可変に関する数値(F、d2)を下記に示す。
【0079】 F d2 3.8 3.3 4.6 2.2 上記実施例9のグレーティング素子付光学系におけるワ
イド端(短焦点距離側)、テレ端(長焦点距離側)での
諸収差図を図19、図20にそれぞれ示す。この図19
および図29の各収差図において、(a)、(b)、
(c)、(d)、(e)はそれぞれ球面収差(mm)、
非点収差(mm)、歪曲収差(%)、軸上色収差(m
m)、倍率色収差(mm)を表している。図19(a)
および図20(a)の球面収差図において、実線はd線
であり、破線は正弦条件である。図19(b)および図
20(b)の非点収差図において、実線はサジタル像面
湾曲であり、破線はメリジオナル像面湾曲である。図1
9(d)および図20(d)の軸上色収差図において、
実線はd線、破線はF線、一点鎖線はC線に対する値で
ある。図19(e)および図20(e)の倍率色収差図
において、破線はF線、一点鎖線はC線に対する値であ
る。これらの収差図から明らかなように、実施例9によ
れば、色収差が良好に補正され、且つ可変焦点位置全域
に渡って結像性能の良好なグレーティング素子付光学系
が得られることがわかる。
【0080】なお、本実施形態においては、第3レンズ
の出射面にグレーティング素子面を有する構成について
説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
入射面にグレーティング素子面を有する構成であっても
よい。
【0081】(第四の実施形態)次に、本発明の第四の
実施体系に係る撮像装置の構成について図面を参照しつ
つ説明する。図24で示されている撮像装置は、グレー
ティング素子付光学系21、撮像素子22および信号処
理回路23等を用いて構成されている。
【0082】グレーティング素子付光学系21として
は、本発明の第一から第三の実施形態に係るグレーティ
ング素子付光学系のいずれかが用いられている。本発明
の各実施形態に係るグレーティング素子付光学系は、波
長範囲が広く、画角も大きいために、撮像装置を構成す
るのに適している。また、光学系の大きさも従来よりも
小さくなっている。
【0083】したがって、本発明に係るグレーティング
素子付光学系を用いて撮像装置を構成すれば、撮像装置
全体としての大きさを従来よりも小型にすることが可能
であるとともに、結像性能が極めて良好な撮像装置を得
ることができる。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、回
折効果をレンズ面に持たせること、つまり、光学系を構
成するレンズにグレーティング素子面を形成させること
により、レンズの構成枚数を増やすことなく、色収差の
補正された良好な結像性能を有するグレーティング素子
付光学系を提供することが可能となる。また、このグレ
ーティング素子付光学系は、撮像装置を構成するのに適
しているから、これを用いて撮像装置を構成することに
より、従来よりも小型で、且つ結像性能が極めて良好な
撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るグレーティング
素子付光学系の実施例1のレンズ構成を示す断面図
【図2】図1のグレーティング素子付光学系の諸収差図
【図3】本発明の第一の実施形態に係るグレーティング
素子付光学系の実施例2のレンズ構成を示す断面図
【図4】図3のグレーティング素子付光学系の諸収差図
【図5】本発明の第一の実施形態に係るグレーティング
素子付光学系の実施例3のレンズ構成を示す断面図
【図6】図5のグレーティング素子付光学系の諸収差図
【図7】本発明の第一の実施形態に係るグレーティング
素子付光学系の実施例4のレンズ構成を示す断面図
【図8】図7のグレーティング素子付光学系の諸収差図
【図9】本発明の第二の実施形態に係るグレーティング
素子付光学系の実施例5のレンズ構成を示す断面図
【図10】図9のグレーティング素子付光学系の諸収差
【図11】本発明の第二の実施形態に係るグレーティン
グ素子付光学系の実施例6のレンズ構成を示す断面図
【図12】図11のグレーティング素子付光学系の諸収
差図
【図13】本発明の第二の実施形態に係るグレーティン
グ素子付光学系の実施例7のレンズ構成を示す断面図
【図14】図13のグレーティング素子付光学系の諸収
差図
【図15】本発明の第二の実施形態に係るグレーティン
グ素子付光学系の実施例8のレンズ構成を示す断面図
【図16】図15のグレーティング素子付光学系の短焦
点距離側における諸収差図
【図17】図15のグレーティング素子付光学系の長焦
点距離側における諸収差図
【図18】本発明の第三の実施形態に係るグレーティン
グ素子付光学系の実施例9のレンズ構成を示す断面図
【図19】図18のグレーティング素子付光学系の短焦
点距離側における諸収差図
【図20】図18のグレーティング素子付光学系の長焦
点距離側における諸収差図
【図21】グレーティング素子面のキノフォームの形状
を示す拡大断面図
【図22】Sweattモデルの誤差解析を説明するた
めの図
【図23】Sweattモデルの誤差解析を説明するた
めの図
【図24】グレーティング素子面に変換する前のレンズ
の出射面の拡大断面図
【図25】図24に示されたレンズ面を変換して形成さ
れたグレーティング素子面の拡大断面図
【図26】グレーティング素子面に変換する前のレンズ
の出射面の拡大断面図
【図27】図26に示されたレンズ面を変換して形成さ
れたグレーティング素子面の拡大断面図
【図28】グレーティング素子面に変換する前のレンズ
の出射面の拡大断面図
【図29】図28に示されたレンズ面を変換して形成さ
れたグレーティング素子面の拡大断面図
【図30】本発明の第四の実施形態に係る撮像装置の構
成図
【符号の説明】
1 第1レンズ 2 第2レンズ 3 第3レンズ 4 ガラス板 5 像面 21 グレーティング素子付光学系 22 撮像素子 23 信号処理回路 40,50,60 グレーティング素子面

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正の屈折力を有するレンズ2枚と、負の
    屈折力を有するレンズ1枚とを用いて構成され、前記正
    の屈折力を有するレンズの少なくとも一面にグレーティ
    ング素子面が形成されているグレーティング素子付光学
    系。
  2. 【請求項2】 前記グレーティング素子付光学系は、負
    の屈折力を有する第1レンズと、正の屈折力を有する第
    2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズとを物体側
    から順番に配置して構成され、前記第3レンズの少なく
    とも一面にグレーティング素子面が形成されている請求
    項1記載のグレーティング素子付光学系。
  3. 【請求項3】 前記第1レンズの出射面が凹面であり、
    前記第3レンズの出射面にグレーティング素子面が形成
    されている請求項2記載のグレーティング素子付光学
    系。
  4. 【請求項4】 前記グレーティング素子面が正の屈折力
    を有する請求項1、2または3記載のグレーティング素
    子付光学系。
  5. 【請求項5】 前記グレーティング素子付光学系全系の
    合成焦点距離をF、前記グレーティング素子面の焦点距
    離をfgとしたとき、下式の条件を満足する請求項1か
    ら4のいずれか1項に記載のグレーティング素子付光学
    系。0.05<|F/fg|<0.15
  6. 【請求項6】 前記グレーティング素子付光学系を構成
    するレンズの少なくとも一面が、光軸を離れるに従って
    曲率半径が小さくなる非球面である請求項1から5のい
    ずれか1項に記載のグレーティング素子付光学系。
  7. 【請求項7】 前記非球面にグレーティング素子面が形
    成されている請求項6記載のグレーティング素子付光学
    系。
  8. 【請求項8】 前記第1レンズと前記第2レンズとの間
    の空気間隔を変化させることにより、前記グレーティン
    グ素子付光学系の全系の合成焦点距離を可変とすること
    ができる請求項2から7のいずれか1項に記載のグレー
    ティング素子付光学系。
  9. 【請求項9】 前記グレーティング素子付光学系におい
    て、短焦点距離側における全系の合成焦点距離をfw、
    前記第1レンズの焦点距離をf1としたとき、下式の条
    件を満足する請求項2から8のいずれか1項に記載のグ
    レーティング素子付光学系。 1.3<|f1/fw|<2.0
  10. 【請求項10】 前記グレーティング素子面がキノフォ
    ーム形状である請求項1から9のいずれか1項に記載の
    グレーティング素子付光学系。
  11. 【請求項11】 前記グレーティング素子面を有するレ
    ンズが、ガラスまたは樹脂のいずれかにより形成されて
    いる請求項1から9のいずれか1項に記載のグレーティ
    ング素子付光学系。
  12. 【請求項12】 請求項1から11のいずれか1項に記
    載のグレーティング素子付光学系と、撮像素子と、信号
    処理回路とを有する撮像装置。
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