JP3007695B2 - 撮像レンズ - Google Patents

撮像レンズ

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JP3007695B2
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隆之 飯塚
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、被写体の像を受
像面上に結像させる撮像レンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】撮像レンズは、高解像度が要求される機
器においては、例えば一眼レフカメラ用の撮影レンズと
同等の結像性能を有するレンズが必要とされる。
【0003】他方、小型のテレビ電話等のような比較的
要求される解像度が低い装置においては、結像性能より
コンパクト性が重視され、最小の枚数により可能な限り
コンパクトに構成することが要求される。
【0004】従来この種の用途には、例えば3枚の球面
ガラスレンズで構成される撮像レンズが一般的に使用さ
れている。球面レンズを利用して一定の結像性能を得る
ためには、構成枚数をこれ以上減らすことは困難であ
る。
【0005】図14は、3枚のレンズ1,2,3から構成され
る従来の撮像レンズを示したものであり、図15はこの
構成による横収差を示したものである。なお、図中の符
号4はカバーガラスを示している。
【0006】また、図16は、レンズ枚数の削減を目的
として1枚の非球面レンズ5で構成される撮像レンズを示
した例である。図17はこのレンズの諸収差を示してい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図14の撮像レンズ
は、この種のレンズとしての性能を満たしているが、構
成枚数が多い。反対に、図16のレンズは構成枚数は最
小であるが特に周辺部での性能の劣化が著しい。
【0008】この発明は、上記の課題に鑑みてなされた
ものであり、より少ない構成枚数で必要な性能を確保す
ることができる撮像レンズの提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係る撮像レン
ズは、上記目的を達成させるため、結像レンズと、その
像側に配置された両面非球面の補正レンズとを有し、主
波長における全系の焦点距離をf、結像レンズの焦点距
離をf1、補正レンズの焦点距離をf2として、 0.75 < f/f1 <1.0 −0.10 < f/f2 < 0 を満たすことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明を図面に基づいて
説明する。
【0011】まず、実施例にかかる撮像レンズが満たす
各種の条件について説明する。
【0012】主波長における全系の焦点距離をf、結像
レンズの焦点距離をf1、補正レンズの焦点距離をf2、結
像レンズの第1面の近軸曲率半径をr1、結像レンズの軸
上の厚さをd1として、 0.75 < f/f1 <1.0 …(1) −0.10 < f/f2 < 0 …(2) 0.3 < r1/d1 < 1.0 …(3) を満たすことを特徴とする。
【0013】(1),(2)式は、像面湾曲及び非点隔差に関
する条件であり、(1)式の下限あるいは(2)式の上限を越
えると、サジタルの像面湾曲が過大となり、逆に(1)式
の上限あるいは(2)式の下限を越えると、非点隔差が大
きくなると共に、結像レンズ、補正レンズの屈折力が過
大となってコマ収差が発生する。
【0014】(3)式は、像面湾曲及びコマ収差に関する
条件であり、上限を越えるとメリジオナルの像面湾曲が
大きくなり、下限を下回るとコマ収差が発生する。
【0015】更に、レンズの4次、6次、8次…の非球面
係数An、円錐係数をK、非球面頂点の曲率(1/r)をCと
し、補正レンズの物体側面(N=1)及び像側面(N=2)の光軸
からの高さYの非球面上における近軸曲率面からのズレ
ΔXN(Y)を数4のように定義した際に、
【0016】
【数3】 の条件を満たすことを特徴とする。
【0017】
【数4】 (4),(5)式は、非点隔差とディストーションとに関する
条件であり、両式の下限を下回ると、像高の低い範囲で
負のディストーションが発生し、上限を越えるとメリジ
オナルの像面湾曲が大きくなり、非点隔差が大きくな
る。
【0018】補正レンズを効果的に作用させるために
は、補正レンズの入射瞳を結像レンズ内に位置させ、補
正レンズの物体側の面から補正レンズの入射瞳までの距
離をd0、全系の焦点距離をfとして、 −-0.4 < d0/f < −0.2 …(6) の条件を満たすよう設定することが好ましい。
【0019】(6)式は、補正レンズの入射瞳の位置を規
定する条件であり、この条件を満たさない場合には、非
点収差が増大し、結像性能が悪化する。 (第1実施例) 図1〜図3は、この発明に係る撮像レンズの第1実施例を
示したものである。この撮像レンズは、両面非球面の結
像レンズ10と、その像側に配置された両面非球面の補正
レンズ20とから構成されている。補正レンズ20の像側に
は、結像される画像の信号を読み取る図示せぬセンサが
設けられている。
【0020】センサは、受光面が直接湿気にさらされる
ことがないようカバーガラス30によって密封されてお
り、受光面とカバーガラスの間の空間には窒素ガスが充
填されている。補正レンズ20は、その両面が近軸におい
ては物体側に凸となり、非球面変位方向が、非球面の近
軸曲率半径と逆となるような特殊形状を呈している。こ
のような非球面形状は、プラスチック素材を用いること
により容易に実現することができる。
【0021】このレンズの具体的な数値構成は、表1に
示した通りである。表中の記号は、Fno.がFナンバー、f
は主波長における焦点距離、mは倍率、rは面の曲率半
径、dはレンズ厚若しくは空気間隔、ndはレンズのd-lin
e(588nm)における屈折率、νはアッベ数、neはレンズの
e-line(546nm)における屈折率である。
【0022】なお、表の説明において、非球面の曲率半
径欄の数値は非球面頂点の曲率半径とする。非球面は、
光軸からの高さYの非球面上の非球面頂点の接平面から
の距離をX、非球面頂点の曲率(1/r)をC、円錐係数をK、
4次〜10次の非球面係数をA4〜A10として、以下の数5で
与えられ、各面の円錐係数、非球面係数は表1下段に示
す通りである。図2は表1の構成による諸収差、図3は横
収差を示したものである。
【0023】
【数5】
【0024】
【表1】 (第2実施例) 図4は、この発明に係る撮像レンズの第2実施例を示した
ものである。この例では、結像レンズ10の像側に設けら
れた補正レンズ20がセンサのカバーを兼ねている。レン
ズの具体的な数値構成は、表2に示す通りである。表中
の記号は、第1実施例と同様である。図5は、表2の構成
による諸収差を示したものである。
【0025】
【表2】 (第3実施例) 図6は、この発明に係る撮像レンズの第3実施例を示した
ものである。
【0026】このレンズは、第1実施例と同様に結像レ
ンズ 10と、補正レンズ20とから構成され、その像側に
センサのカバーガラス30が設けられている。
【0027】この実施例の具体的な数値構成は表3に示
されており、この構成による諸収差は図7に示した通り
である。
【0028】なお、第3、第4、第5実施例では、結像レ
ンズ 10、及び補正レンズ20にAPO(アモルファスポリオ
レフィン:商品名)を用いている。従来からプラスチック
レンズの材料として用いられているPMMA(ポリメチルメ
タクリレート)は、温度や湿度の変化による屈折状態の
変化が大きく、環境の変化によって光学性能が大きく変
化するという問題がある。特に、湿度変化があると、ピ
ントのズレのみでなく光束の波面を乱してしまう。
【0029】このAPOは、低吸湿性プラスチックとして
三井石油化学株式会社が開発したものであり、吸水率が
従来より1桁小さい0.01%以下であるため、湿度の変化に
よる影響を受け難い。従って、レンズにAPOを用いるこ
とにより、レンズ系の性能をより安定化することができ
る。
【0030】
【表3】 (第4実施例) 図8は、この発明に係る撮像レンズの第4実施例を示した
ものである。
【0031】このレンズは、第1実施例と同様に結像レ
ンズ 10と、補正レンズ20とから構成され、その像側に
センサのカバーガラス30が設けられている。
【0032】具体的な数値構成は表4に示されており、
この構成による諸収差は図9に示した通りである。
【0033】
【表4】 (第5実施例) 図10は、この発明に係る撮像レンズの第5実施例を示し
たものである。
【0034】この例では、第2実施例と同様に結像レン
ズ10の像側に設けられた補正レンズ20がセンサのカバー
を兼ねており、両レンズはAPOで形成されている。
【0035】補正レンズ20によりカバーガラスを兼ねる
場合には、PMMA等の吸湿性の高い樹脂を使用すると、吸
排湿を通じて透湿をもたらし、センサ性能を低下させる
虞がある。この実施例のように補正レンズをAPOとした
場合には、受光面を湿気から保護し、センサの性能の低
下を防止することができる。
【0036】レンズの具体的な数値構成は、表5に示す
通りであり、その諸収差は図11に示した通りである。
【0037】
【表5】 (第6実施例) 図12は、この発明に係る撮像レンズの第6実施例を示し
たものである。
【0038】この例では、第2実施例と同様に結像レン
ズ10の像側に設けられた補正レンズ20がセンサのカバー
を兼ねている。
【0039】レンズの具体的な数値構成は、表6に示す
通りであり、その諸収差は図13に示した通りである。
【0040】
【表6】 なお、上述した各実施例と条件式(1)〜(6)との対応は表
7の通りである。
【0041】
【表7】 第1実施例〜第6実施例は、テレビ電話用カメラ、あるい
はドアホン用カメラ等の小型のカメラに利用される撮像
レンズに関する。このような要求に応えるため、第1〜
第6実施例の撮像レンズは、1枚の結像レンズと1枚の補
正レンズとで全体をコンパクトに構成している。
【0042】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成したの
で、より少ない構成枚数で必要な性能を確保することが
できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る撮像レンズの第1実施例のレ
ンズ断面図である。
【図2】 第1実施例の諸収差図である。
【図3】 第1実施例の横収差図である。
【図4】 第2実施例のレンズ断面図である。
【図5】 第2実施例の諸収差図である。
【図6】 第3実施例のレンズ断面図である。
【図7】 第3実施例の諸収差図である。
【図8】 第4実施例のレンズ断面図である。
【図9】 第4実施例の諸収差図である。
【図10】 第5実施例のレンズ断面図である。
【図11】 第5実施例の諸収差図である。
【図12】 第6実施例のレンズ断面図である。
【図13】 第6実施例の諸収差図である。
【図14】 従来の3枚構成の撮像レンズの断面図であ
る。
【図15】 図14の従来例の横収差図である。
【図16】 従来の1枚構成の撮像レンズの断面図であ
る。
【図17】 図16の従来例の横収差図である。
【符号の説明】
10 結像レンズ 20 補正レンズ 30 カバーガラス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 9/00 - 17/08 G02B 21/02 - 21/04 G02B 25/00 - 25/04 H04N 5/222 - 5/257 H04N 5/30 - 5/335

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結像レンズと、その像側に配置された両面
    非球面の補正レンズとを有し、主波長における全系の焦
    点距離をf、結像レンズの焦点距離をf1、補正レンズの
    焦点距離をf2として、 0.75 < f/f1 <1.0 −0.10 < f/f2 < 0 を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
  2. 【請求項2】 前記補正レンズは、近軸において両面が
    物体側に凸となる非球面のメニスカスレンズであること
    を特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
  3. 【請求項3】 前記補正レンズの非球面変位方向が、非
    球面の近軸曲率半径と逆であることを特徴とする請求項
    1に記載の撮像レンズ。
  4. 【請求項4】 前記結像レンズは、少なくとも1面が非
    球面である1枚のレンズにより構成されることを特徴と
    する請求項1に記載の撮像レンズ。
  5. 【請求項5】 4次、6次、8次…の非球面係数An、円錐
    係数をK、非球面頂点の曲率(1/r)をCとし、補正レンズ
    の物体側面(N=1)及び像側面(N=2)の光軸からの高さYの
    非球面上における近軸曲率面からのズレΔXN(Y)を数2
    のように定義した際に、 【数1】 の条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像
    レンズ。 【数2】
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