JPH113513A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

Info

Publication number
JPH113513A
JPH113513A JP34821097A JP34821097A JPH113513A JP H113513 A JPH113513 A JP H113513A JP 34821097 A JP34821097 A JP 34821097A JP 34821097 A JP34821097 A JP 34821097A JP H113513 A JPH113513 A JP H113513A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
height
fine
recording medium
magnetic recording
magnetic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Abandoned
Application number
JP34821097A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichi Matsumura
伸一 松村
Satoshi Sato
諭 佐藤
Yuichi Arizaka
裕一 蟻坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP34821097A priority Critical patent/JPH113513A/ja
Priority to US09/211,003 priority patent/US6203884B1/en
Publication of JPH113513A publication Critical patent/JPH113513A/ja
Abandoned legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリアミドフィルムからなる非磁性支持体の
表面形状を制御して、磁性層表面の微細形状を最適な状
態とし、良好な電磁変換特性と走行性とを兼ね備えた金
属薄膜型の磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 非磁性支持体として芳香族ポリアミドフ
ィルムを用いるとともに、その強磁性金属薄膜が形成さ
れる表面に、平均高さが5〜50nmの微細突起が10
2 〜104 万個/mm2 形成されるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強磁性金属薄膜を
用いた磁気記録媒体に関し、特に長時間記録用のビデオ
テープ、あるいは大容量のテープストリーマーとして用
いて好適な磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、金属薄膜型磁気記録媒体用の
支持体としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム
が主として用いられている。特に、ホームビデオカセッ
トテープ、例えば、8mmテープの支持体としては、7
〜10μm程度のポリエチレンテレフタレートフィルム
が用いられ、コンピュータのデータバックアップ用のテ
ープストリーマーには5〜7μm程度のポリエチレンテ
レフタレートフィルムが用いられている。
【0003】ところで、近年、ビデオカセット用の磁気
記録媒体は、ビデオカセットの小型化に伴い、より一層
のコンパクト化と長時間記録化が望まれている。また、
昨今の情報量の増大化に伴い、テープストリーマーにお
いても大容量化が望まれており、これらの要求に応える
ために、磁気記録媒体の厚さを薄くすることが検討され
ている。
【0004】磁気記録媒体の厚さを薄くするためには、
支持体の厚さを薄くすることが考えられるが、支持体の
厚さを薄くした場合、磁気記録媒体のスティフネスの低
下やスキュー特性の悪化が問題となってくる。
【0005】磁気記録媒体のスティフネスやスキュー特
性を満足させながら、支持体の厚さを薄くするには、支
持体が高強度で低熱収という相反する特性を合わせ持つ
ことが要求される。
【0006】支持体としてポリエチレンテレフタレート
フィルムを用いる場合、これらの要求を満足させるため
に、再延伸等の手法により高強度化を図るとともに、エ
ージング等により熱収を減らすといった措置が採られて
いた。
【0007】しかしながら、支持体の一層の薄型化が進
む中で、ポリエチレンテレフタレートでは、強度の点で
限界が見え始めてきている。
【0008】そこで、金属薄膜型磁気記録媒体用の支持
体としてポリアミドフィルムを用いることが検討され、
実用化されてきている。
【0009】ポリアミドフィルムは、ポリエチレンテレ
フタレートフィルムに比べ強度が高い。したがって、こ
のポリアミドフィルムを支持体として用いた磁気記録媒
体は、厚さを薄くすることが可能であり、ビデオカセッ
トテープの長時間記録化、テープストリーマーの大容量
化に対応した磁気記録媒体として注目されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】一般に磁気記録媒体
は、高密度記録化を図るためには、表面をある程度平滑
化してスペーシングロスを極力減少させる必要がある。
しかしながら、磁気記録媒体は、表面をあまり平坦にし
すぎるとヘッドタッチや走行性等において支障をきたし
てしまうので、表面の微細形状を制御することにより適
切な表面性を確保する必要がある。
【0011】さらに、磁気ヘッドと磁気記録媒体との間
の相対速度は増大しており、磁性層の摩耗が少ない高耐
久性の磁気記録媒体が求められており、この観点から
も、磁気記録媒体はその表面の微細形状の制御が不可欠
となっている。
【0012】ところで、金属薄膜型磁気記録媒体は、磁
性層が強磁性金属薄膜からなり、その厚さが薄いことか
ら、磁性層が支持体の表面性の影響を受けやすく、非磁
性支持体の表面状態、すなわち、非磁性体上の凹凸がそ
のまま磁性層表面の凹凸として発現する。
【0013】したがって、金属薄膜型磁気記録媒体にお
いては、その非磁性支持体の表面形状を制御することに
より、磁性層表面の微細形状を適切な状態にする必要が
ある。
【0014】本発明は、このような技術的背景に基づい
て創案されたものであり、ポリアミドフィルムからなる
非磁性支持体の表面形状を制御して、磁性層表面の微細
形状を最適な状態とし、良好な電磁変換特性と走行性と
を兼ね備えた金属薄膜型の磁気記録媒体を提供すること
を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係る磁気記録媒
体は、非磁性支持体上に強磁性金属薄膜を成膜してなる
磁気記録媒体において、非磁性支持体として芳香族ポリ
アミドフィルムを用いるとともに、その強磁性金属薄膜
が形成される表面に、平均高さが5〜50nmの微細突
起が102 〜104 万個/mm2 形成されるようにして
いる。
【0016】この磁気記録媒体は、このように芳香族ポ
リアミドフィルムからなる非磁性支持体の表面形状を制
御することにより、強磁性金属膜の表面の微細形状が最
適な状態とされ、良好な電磁変換特性と走行性とを兼ね
備えることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0018】本発明に係る磁気記録媒体は、芳香族ポリ
アミドフィルムからなる非磁性支持体上に強磁性の金属
薄膜が成膜されてなる。
【0019】この磁気記録媒体の非磁性支持体に用いら
れる芳香族ポリアミドフィルムとして、特に好ましいの
は下記の化学式(I)または(II)またはこれらの共
重合体を有したポリアミド樹脂を用いて成膜したもので
ある。
【0020】
【化1】
【0021】なお、この芳香族ポリアミドには約20%
以下の量であれば上記の成分以外のポリマーが共重合ま
たはブレンドされていてもよい。
【0022】これらの重合体からフィルムを製造する場
合には、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミ
ド、n―メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミ
ド、γ―ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ジオキサ
ン等、またはこれらの混合溶媒、あるいはこれらに重合
原液の中和生成物として塩化リチウム、塩化カルシウ
ム、炭酸リチウム、硝酸リチウム等の無機塩を添加した
溶媒が使用される。
【0023】このような成膜用溶媒を使用して、p―フ
ェニレンジアミン、m―フェニレンジアミン、o―フェ
ニレンジアミン、2―ニトロ―p―フェニレンジアミ
ン、2―クロル―p―フェニレンジアミン、4,4’―
ジアミノビフェニル、3,3’―クロルベンジジン等の
芳香族ジアミン類及びテレフタル酸クロライド、2―ク
ロルテレフタル酸クロライド、テレフタル酸ヒドラジ
ド、p―アミノ安息香酸ヒドラジド、p―アミノ安息香
酸クロライド等の芳香族ジカルボン酸類の重合あるいは
結合によって得た芳香族ポリアミド樹脂を溶液成形等の
手法により芳香族ポリアミドフィルムを得る。
【0024】以上のようにして得られた芳香族ポリアミ
ドフィルムを長さ方向及び幅方向に延伸し、厚さが2.
0〜6.0μmの非磁性支持体とする。非磁性支持体
は、厚みをこの程度にすることにより、必要な強度が得
られるとともに、磁気記録媒体の厚みを薄くして、長時
間記録化に対応させることができる。
【0025】また、この非磁性支持体の強磁性金属薄膜
が成膜される主面には、高さ5〜50nmの微細突起が
102 〜104 万個/mm2 、好ましくは5×102
5×103 万個/mm2 、より好ましくは8×102
2×103 万個/mm2 の範囲で形成されるようにす
る。
【0026】高さ5〜50nmの微細突起が102 万個
/mm2 より少ないと、磁気記録媒体の表面が平坦にな
りすぎて、ヘッドタッチや走行性等において支障をきた
してしまう。また、高さ5〜50nmの微細突起が10
4 万個/mm2 より多いと、スペーシングロスが増加
し、電磁変換特性の低下を招いてしまう。
【0027】本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持
体の強磁性金属薄膜が成膜される主面に、高さ5〜50
nmの微細突起が102 〜104 万個/mm2 の範囲内
で形成されているので、良好な電磁変換特性と走行性と
を兼ね備えることが可能となる。
【0028】また、この磁気記録媒体は、非磁性支持体
の強磁性金属薄膜が成膜される主面に、高さ5〜50n
mの微細突起が、5×102 〜5×103 万個/mm2
の範囲内で形成され、微細突起側から求めた負荷曲線の
上部25%において、微細突起の個数が102 〜5×1
2 万個/mm2 の範囲とされ、各微細突起の断面積の
総和の割合が0.1〜0.5%の範囲とされていること
が望ましい。
【0029】ここで負荷曲線とは、微細突起間に形成さ
れる凹部のうち最も深い凹部の底部を通る水平面を基準
面とし、微細突起をこの基準面から所定の高さで基準面
に対して平行に切断した際に表れる各微細突起の断面積
の総和の基準面の面積に対する比率を求めたものであ
り、縦軸を基準面からの高さとし、横軸を各微細突起の
断面積の総和の基準面に対する比率として表している。
【0030】すなわち、磁気記録媒体は、図1及び図2
に示すように、非磁性支持体の微細突起間に形成される
凹部のうち最も深い凹部の底部の高さをm、上記微細突
起のうち最も高い突起の先端部の高さをn、m−n間の
高さ方向の距離をsとしたときに、3/4×s+mを超
える高さの微細突起の個数が102 〜5×102 万個/
mm2 の範囲内であるとともに、3/4×s+mを超え
る高さの微細突起を3/4×s+mの高さで切断した際
に表れる各微細突起の断面積a,b,c,dの総和が、
基準面の面積eに対して、0.1〜0.5%の割合とさ
れていることが望ましい。なお、図1は、非磁性支持体
をエリアAでサンプリングして、このエリアAにおける
微細突起の状態を表したものであり、図2は、エリアA
における負荷曲線を表したものである。
【0031】このように、非磁性支持体の高さ5〜50
nmの微細突起が、1×102 〜1×104 万個/mm
2 の範囲内で形成され、微細突起側から求めた負荷曲線
の上部25%において、微細突起の個数が102 〜5×
102 万個/mm2 の範囲となるように制御されること
により、磁気記録媒体は、更に良好な電磁変換特性と走
行性を発揮することができる。
【0032】また、微細突起側から求めた負荷曲線の上
部25%において、各微細突起の断面積の総和の割合が
0.1〜0.5%の範囲となるように制御されることに
より、磁気記録媒体は、記録再生時における摩擦特性が
良好となる。
【0033】なお、微細突起側から求めた負荷曲線の上
部25%において、微細突起1個当たりの断面積が、そ
れぞれ1.5×103 nm2 以下であることが望まし
い。このように、微細突起側から求めた負荷曲線の上部
25%において、微細突起1個当たりの断面積が1.5
×103 nm2 以下となるように微細突起を制御するこ
とにより、磁気記録媒体は、記録再生時における摩擦特
性を更に良好なものとすることができる。
【0034】ところで、微細突起を形成する方法として
は、例えば上述した芳香族ポリアミドフィルム中へ不活
性微粒子を添加する方法や、非磁性支持体上に、微細粒
子を含有した高分子被膜を設けることによって形成する
方法、またはこれらを組み合わせた方法等が挙げられ
る。
【0035】微細突起の核となる不活性微粒子として
は、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、二酸化チタン、
アルミナ、カオリン、タルク、グラファイト、長石、二
酸化モリブデン、カーボンブラック、硝酸バリウム等の
無機質系微細粒子、ポリスチレン、ポリメチルメタクリ
レート、メチルメタクリレート共重合体、メチルメタク
リレート共重合体の架橋体、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリ
ル、ベンゾグアナミン樹脂等の如き有機質系微細粒子等
が挙げられるが、真球状粒子を得やすい、コロイダルシ
リカ、架橋高分子による粒子を用いることが好ましい。
【0036】これらの不活性微粒子を上述した芳香族ポ
リアミドフィルム中に添加する場合は、重合前の溶媒中
へ添加し、または、重合に使用する溶媒全部に分散され
ようにしてもよく、さらには、ポリマー溶液の調整工程
中で添加するようにしてもよい。
【0037】なお、微細突起を形成する方法としては、
このように微細粒子を添加する方法によらなくても、非
磁性支持体や高分子被膜の表面形状が、微細粒子を添加
したものと同様の形状となる方法であればよく、上述の
方法に限定されるものではない。
【0038】さらに、非磁性支持体中に添加する微粒子
としては、非磁性支持体の原料となる芳香族ポリアミド
樹脂と同種のものであって、上述した溶液成形の際に溶
媒に溶けない有機物が用いられる。
【0039】そして、この粒子を非磁性支持体の原料と
なる芳香族ポリアミド樹脂に添加して、300℃以上の
高温に加熱したときに分解しない有機物が、突起として
表れる。このとき、添加する有機物の量を調整すること
により、形成される突起の密度が102 〜104 万個/
mm2 となるようにする。
【0040】また、これらの不活性微粒子を高分子被膜
中に含有させて突起を形成する場合は、例えば、不活性
微粒子を含む水溶性高分子を主体とした組成物を、上述
した芳香族ポリアミドフィルムの強磁性金属磁性膜が成
膜される主面にコーティングする。これにより、非磁性
支持体の強磁性金属磁性膜が成膜される主面に微細突起
が形成されることになる。
【0041】このとき、水溶性高分子としては、ポリビ
ニルアルコール、トラガントゴム、カゼイン、ゼラチ
ン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、ポリエステル等が適用さ
れる。
【0042】また、非磁性支持体中に平均粒径0.03
〜0.15μmの不活性粒子を添加し、非磁性支持体の
強磁性金属薄膜が成膜される面に、突起が103 〜10
5 個/mm2 の密度で形成されるようにすることが望ま
しい。
【0043】また、非磁性支持体は、そのハンドリング
性を良好なものにするために、例えば、芳香族ポリアミ
ドフィルムを2層或いは3層以上に重ねた積層構造と
し、強磁性金属薄膜を形成しない面の表面粗さRaを
0.005〜0.025μm、好ましくは0.010〜
0.020μmとすることが望ましい。
【0044】この非磁性支持体の強磁性金属薄膜を形成
しない面の表面粗さの調整は、フィルム中に添加する不
活性微粒子の粒径、添加量を調節することにより行う。
【0045】以上ように形成される非磁性支持体の主面
上に、図3に示すような連続巻き取り式の真空蒸着装置
等を用いて強磁性金属薄膜を形成する。
【0046】この真空蒸着装置1は、いわゆる斜方蒸着
用として構成され、内部が例えば約10―3Pa程度の
真空状態とされた真空室2内に、例えば―20℃程度に
冷却され、図中の反時計回り方向(矢印A方向)に回転
する冷却キャン3と対向するように強磁性金属薄膜用の
蒸着源4が配置されている。
【0047】蒸着源4は坩堝等の容器にCo等を主体と
する強磁性金属材料が収容されたものであり、この蒸着
源4(強磁性金属材料)に対し、電子ビーム発生源5か
ら電子ビーム6を加速照射して強磁性金属材料を加熱、
蒸発させ、これを図中の反時計回り方向に回転する供給
ロール8から図中の矢印B方向に繰り出され、冷却キャ
ン3の周面に沿って走行する非磁性支持体7上に付着
(蒸着)させることによって強磁性金属薄膜を形成す
る。そして、強磁性金属薄膜が形成された非磁性支持体
7は、巻取りロール9に巻き取られる。
【0048】このとき、蒸着源4と冷却キャン3との間
には防着板10を設け、この防着板10にシャッタ11
を位置調整可能に設けて、非磁性支持体7に対して所定
の角度で入射する蒸着粒子のみを通過させる。こうして
斜め蒸着法によって金属磁性薄膜が形成されるようにな
されている。
【0049】なお、供給ロール8と冷却キャン3との
間、及び冷却キャン3と巻取りロール9との間にはそれ
ぞれガイドローラー12、13が配置され、供給ロール
8から冷却キャン3、及びこの冷却キャン3から巻取り
ロール9に従って走行する非磁性支持体7に所定のテン
ションをかけ、非磁性支持体7が円滑に走行するように
なされている。
【0050】さらに、このような金属磁性薄膜の蒸着に
際し、図示しない酸素ガス導入口を介して非磁性支持体
7の表面に、例えば流量2L/分で酸素ガスが供給さ
れ、これによって金属磁性薄膜の磁気特性、耐久性及び
耐候性の向上が図られている。また、蒸着源を加熱する
ためには、上述のような電子ビームによる加熱手段の
他、例えば、抵抗加熱手段、高周波加熱手段、レーザ加
熱手段等の公知の手段を使用できる。
【0051】以上は、斜め蒸着法によりCoを主体とす
る強磁性金属薄膜を形成する例について説明したが、強
磁性金属薄膜を形成する方法としては、この例の他に垂
直蒸着法やイオンプレーティング法、スパッタリング法
等の公知の薄膜形成法が適用でき、また、強磁性金属薄
膜の材料としては、Coの他にNi、Fe等を主体とす
る強磁性金属材料やこれらの合金を醜態とする強磁性金
属材料が使用できる。ただし、非磁性支持体との付着強
度改善、あるいは強磁性金属薄膜自体の耐食性、耐摩耗
性改善等の目的から、蒸着時の雰囲気を酸素ガスが支配
的となる雰囲気としたとき得られる酸素を含む強磁性金
属薄膜を使用することが望ましい。また、強磁性金属薄
膜の厚さは、0.01〜0.2μm程度、好ましくは、
0.1〜0.2μm程度である。
【0052】また、この磁気記録媒体は、強磁性金属薄
膜の摩耗を防止するため、強磁性金属薄膜上に、図4に
示すようなマグネトロンスパッタ装置20等を用いて、
カーボン保護膜を形成することが望ましい。
【0053】このマグネトロンスパッタ装置20は、外
側がチャンバ21にて覆われている。そして、チャンバ
21内は、真空ポンプ22にて約10―4Paまで減圧
された後、真空ポンプ22側へ廃棄するバルブ23の角
度を全開状態から10度まで絞ることにより排気速度を
落とし、ガス導入管24からArガスを導入して、真空
度が約0.8Paとされる。
【0054】マグネトロンスパッタ装置20は、このチ
ャンバ21内に、例えば―40℃程度に冷却され、図中
の反時計回り方向(矢印A方向)に回転する冷却キャン
25と、この冷却キャン25と対向配置されるターゲッ
ト26とがそれぞれ設けられている。
【0055】ターゲット26は、カーボン保護膜の材料
となるものであり、カソード電極を構成するバッキング
プレート27に支持されている。そして、バッキングプ
レート27の裏側には、磁場を形成するマグネット28
が配設されている。
【0056】このマグネトロンスパッタ装置20により
カーボン保護膜を形成する際は、ガス導入管24からA
rガスを導入するとともに、冷却キャン25をアノー
ド、バッキングプレート27をカソードとして3000
Vの電圧を印加し、1.4Aの電流が流れる状態を保つ
ようにする。
【0057】この電圧の印加により、Arガスがプラズ
マ化し、電離されたイオンがターゲット26に衝突する
ことにより、ターゲット26の原子がはじき出される。
このとき、バッキングプレート27の裏側にはマグネッ
ト28が配設されており、ターゲット26の近傍に磁場
が形成されるので、電離されたイオンはターゲット26
の近傍に集中されることになる。
【0058】ターゲット26からはじき出された原子
は、図中の反時計回り方向に回転する供給ロール29か
ら図中の矢印B方向に繰り出され、冷却キャン25の周
面に沿って走行する強磁性金属薄膜が形成された非磁性
支持体30上に付着し、カーボン保護膜が形成される。
そして、カーボン保護膜が形成された非磁性支持体30
は、巻取りロール31に巻き取られる。
【0059】このカーボン保護膜は、スペーシングロス
を小さくし、かつ、強磁性金属薄膜の摩耗防止の効果を
得ることができるように、その厚さを3〜15nm程
度、特に5〜10nm程度とすることが好ましい。
【0060】以上は、マグネトロンスパッタによりカー
ボン保護膜を形成する例について説明したが、カーボン
保護膜を形成する方法としては、この例の他に、イオン
ビームスパッタやイオンビームプレーティング法、化学
気相成長(CVD)法等の公知の薄膜形成方法を用いる
ことができる。
【0061】また、この磁気記録媒体は、カーボン保護
膜の表面に滑剤を存在せしめることが望ましい。これに
より、磁気記録媒体は、微細突起の形状に基づく走行性
改善効果をさらに高めることが可能である。
【0062】また、この磁気記録媒体は、その表面、裏
面、またはそれらの近傍あるいはカーボン保護膜、強磁
性金属薄膜内の空隙、カーボン保護膜と強磁性金属薄膜
との界面、強磁性金属薄膜と非磁性支持体との界面、非
磁性支持体内等に、必要に応じて公知の手段で防錆剤、
帯電防止剤、防かび剤等の各種添加剤を存在せしめるこ
とができる。
【0063】また、この磁気記録媒体は、良好な走行性
を確保するために、その裏面にバックコート層を形成す
ることが望ましい。このバックコート層は、公知の如
く、カーボン、炭酸カルシウム等の非磁性顔料をポリウ
レタン、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体等の結合剤に
分散させたものを用いることができる。
【0064】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0065】まず、磁気記録媒体(実施例1〜14及び
比較例1〜7)を実際に作製し、そのテープ特性、当た
り特性及び保存特性の評価を行った。なお、ここで作製
した磁気記録媒体の種々の物性値及び特性は以下に示す
方法により測定したものである。
【0066】・ヤング率 25℃、55%RHの下に、テンシロン型の引張り試験
機を使用して測定した。
【0067】・表面突起高さ Digital Instruments社製の原子間
力顕微鏡(AFM):NanoScopeII(商品
名)を用いて、非磁性支持体の強磁性金属薄膜をスキャ
ンサイズ5μm×5μm、サンプリング数400ポイン
ト、スキャンレート4.34Hzの条件下で測定を行
い、突起10個の高さをそれぞれ測定し、10個の平均
値を算出してそれを突起高さとした。
【0068】・表面突起個数 微細突起の個数は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて
測定したものであり、日本電子社製の超高分解能コール
ドFE―SEM「S―900」(商品名)を用いて、加
速電圧20kV、倍率3万倍以上にてカウントし、1m
2 当たりの個数に換算した。
【0069】ポリアミド樹脂中に不活性粒子を添加する
ことにより形成する突起の個数は、高さ5〜50nmの
微細突起個数と同様に走査電子顕微鏡(SEM)を用
い、倍率5千倍以上にてカウントし、1mm2 当たりの
個数に換算した。
【0070】・テープ特性 磁気記録媒体の特性評価は、ソニー株式会社製のAIT
ドライブSDX―S300C(商品名)を改造したもの
を用いて行った。記録は相対速度10.04m/秒、最
短記録波長0.35μmで行った。
【0071】走行耐久性として170m長を100パス
走行させ、1パス走行後のブロックエラーレート、10
0パス走行後のブロックエラーレート、そして100パ
ス走行後の回転ヘッドシリンダー部でのテープの泣きの
状態を測定した。
【0072】・ヘッドとの当たり特性 テープ再生時の出力信号(当たり波形)を1トラック分
で見た場合の出力信号の最小値/最大値(%)を測定し
た。
【0073】・保存特性 保存特性は常温(25℃)常湿下で170m長記録した
磁気記録媒体を、45℃、80%RHの環境下で3日間
保存し、再び常温常湿下で再生して、エラーレートの増
加を測定した。
【0074】(実施例1)脱水したn―メチルピロリド
ンに、0.9mol比に相当する2―クロル―p―フェ
ニレンジアミンと0.1mol比に相当する4,4’―
ジアミノジフェニルスルホンとを撹拌溶解させて冷却
し、この中へ0.7mol比に相当するテレフタル酸ク
ロライドを添加して、約2時間撹拌した。その後、十分
精製した水酸化カルシウムを添加、撹拌して、芳香族ポ
リアミド溶液を得た。
【0075】この芳香族ポリアミド溶液を表面研磨した
金属ドラム上へ30℃で均一に流延し、120℃の雰囲
気で約10分間乾燥し、芳香族ポリアミドフィルムとし
た。このフィルムをドラムから剥離し、30℃の水槽中
に連続的に約30分間浸漬しながら、長さ方向に1.1
倍に延伸した。さらにこのフィルムをテンターに導入し
て320℃で長さ方向に1.3倍に延伸して、厚さ約4
μmの非磁性支持体を得た。
【0076】この非磁性支持体の表面に、粒径15nm
程度のSiO2 を含有する水性塗液を塗布して乾燥させ
ることにより、高分子被膜を形成した。
【0077】次に、先に図3に示したような連続巻き取
り式の蒸着装置をその内部が10―3Pa程度の真空状
態となるように排気し、高分子被膜が形成された非磁性
支持体を、この蒸着装置にセッティングした。そして、
連続真空斜め蒸着法により、微量の酸素存在下におい
て、この非磁性支持体の表面にCoを主体とする強磁性
金属薄膜を形成した。蒸着の入射角は、非磁性支持体の
法線方向が90〜45度までであり、非磁性支持体の走
行速度が50m/分で、強磁性金属薄膜の厚さが約0.
18μmとなるように、電子ビームの強さを調節して作
製した。
【0078】次に、先に図4に示したようなマグネトロ
ンスパッタリング装置をその内部が10―4Pa程度に
なるまでまで減圧した後、Arガスを導入し、0.8P
a程度にした。そして、このマグネトロンスパッタリン
グ装置に強磁性金属薄膜が形成された非磁性支持体をセ
ッティングし、―40℃に冷却した冷却キャン上を5m
/分の速度で走行させて、強磁性金属薄膜上に厚さが約
5nmのカーボン保護膜を形成した。
【0079】次に、非磁性支持体の強磁性金属薄膜が形
成された面と反対側の面に、カーボンを主体とし、結合
剤として塩化ビニル系を用いた厚さが約0.5μmのバ
ックコート層を形成し、8mm幅に裁断した。そして、
8mm幅に裁断した磁気記録媒体をカセット本体に収納
した。
【0080】この磁気記録媒体の物性値を表1に示すと
ともにその特性を表2に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】(実施例2〜4,14、比較例1〜2)実
施例2〜4,14、比較例1〜2は、基本構成を実施例
1と同じくし、高分子被膜に含有させるSiO2 の粒径
及び添加量を調整して、微細突起の高さと密度を実施例
1と異ならせたものである。
【0084】それぞれの物性値を表1に、その特性を表
2に併せて示す。
【0085】(実施例5)実施例5は、基本構成を実施
例1と同じくし、高分子被膜を下記に示すような構成と
して、ウエットで1.0μm/mm2 となるように塗布
し、乾燥させたものである。
【0086】〈記〉テレフタル酸(80mol%)―5
Na―スルホイソフタル酸(20mol%)―エチレン
グリコール共重合ポリエステル(分子量6500)5重
量部、及びノニオン系界面活性剤ポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテル(日本油脂株式会社製)2重量
部、純粋100重量部。
【0087】得られたカセットテープの物性値を表1
に、その特性を表2に併せて示す。
【0088】(比較例3)脱水したn―メチルピロリド
ンに0.9mol比に相当する2―クロル―p―フェニ
レンジアミンと0.1mol比に相当する4,4’―ジ
アミノジフェニルスルホンとを撹拌溶解させて冷却し、
この中へ0.7mol比に相当するテレフタル酸クロラ
イドを添加して、約2時間撹拌した。その後、十分精製
した水酸化カルシウムを添加、撹拌した。さらに、アン
モニア水を加えて中和させ、別にn―メチルピロリドン
中で分散しておいた0.06μmのSiO2 をポリマー
当たり0.01wt%添加し、芳香族ポリアミド溶液を
得た。
【0089】この芳香族ポリアミド溶液を表面研磨した
金属ドラム上へ30℃で均一に流延し、120℃の雰囲
気で約10分間乾燥し、芳香族ポリアミドフィルムとし
た。このフィルムをドラムから剥離し、30℃の水槽中
に連続的に約30分間浸漬しながら、長さ方向に1.1
倍に延伸した。さらにこのフィルムをテンターに導入し
て320℃で長さ方向に1.3倍に延伸して、厚さ約4
μmの非磁性支持体を得た。
【0090】そして、この非磁性支持体に、実施例1と
同様に、強磁性金属薄膜、カーボン保護膜、バック層を
それぞれ形成し、8mm幅に裁断してカセット本体に収
納し、カセットテープを得た。
【0091】得られたカセットテープの物性値を表1
に、その特性を表2に併せて示す。
【0092】(実施例6〜10)実施例6〜10は、基
本構成を比較例3と同じくし、実施例1と同様に、非磁
性支持体の表面に、粒径15nm程度のSiO2 を含有
する水性塗液を塗布して乾燥させることにより、高分子
被膜を形成したものである。
【0093】それぞれの物性値を表1に、その特性を表
2に併せて示す。
【0094】(実施例11〜12)実施例11〜12
は、基本構成を実施例6と同じくし、芳香族ポリアミド
溶液中に添加するSiO2 の粒径を0.03μm、0.
15μmとしたものである。
【0095】それぞれの物性値を表1に、その特性を表
2に併せて示す。
【0096】(比較例4)比較例4は、基本構成を実施
例6と同じくし、芳香族ポリアミド溶液中に添加するS
iO2 の粒径を0.2μmとしたものである。
【0097】得られたカセットテープの物性値を表1
に、その特性を表2に併せて示す。
【0098】(実施例13)実施例13は、基本構成を
実施例6と同じくし、芳香族ポリアミドフィルムを長さ
方向に1.3倍、幅方向に1.6倍に延伸させたもので
ある。
【0099】得られたカセットテープの物性値を表1
に、その特性を表2に併せて示す。
【0100】(比較例5〜7)比較例5〜7は、基本構
成を実施例6と同じくし、芳香族ポリアミドフィルムの
長さ方向及び幅方向の延伸倍率をそれぞれ変更したもの
である。
【0101】それぞれの物性値を表1に、その特性を表
2に併せて示す。
【0102】(評価)表1及び表2の結果から、磁気記
録媒体は、実施例1〜14のように、強磁性金属薄膜が
形成される面に5〜50nmの微細突起が102 〜10
4 万個/mm2 形成されることにより、テープ特性、当
たり特性及び保存特性をともに良好なものとすることが
できる。これに対し、比較例2のように微細突起の高さ
が50nmを超える場合、比較例3のように微細突起が
形成されない場合には、テープ特性の劣化が目立つこと
が判った。
【0103】また、表1及び表2の結果から、磁気記録
媒体は、実施例6〜13のように、非磁性支持体に平均
粒径が0.03〜0.15μmの不活性粒子が添加さ
れ、強磁性金属磁性膜の表面に103 〜105 個/mm
2 の密度で形成されることにより、さらにテープ特性の
劣化を少くすることができる。これに対し、比較例1〜
2のように添加粒子による突起が形成されない場合、比
較例4のように添加する粒子の粒径が0.15μm以上
でその密度が、103 個/mm2 以下の場合には、テー
プ特性の劣化、保存特性の劣化が目立つことが判った。
【0104】さらに、表1及び表2の結果から、磁気記
録媒体は、実施例1〜14のように、非磁性支持体の長
手方向のヤング率を1000kg/mm2 とし、幅方向
のヤング率を1300kg/mm2 以上とすることによ
り、ヘッドとの当たり特性を良好なものとすることがで
きる。これに対し、比較例6のように非磁性支持体の長
手方向のヤング率が1000kg/mm2 未満であると
保存特性の劣化が目立ち、比較例5、7のように非磁性
支持体の幅方向のヤング率が1300kg/mm2 未満
であるとヘッドとの当たり特性の劣化が目立つことが判
った。
【0105】次に、磁気記録媒体(実施例15〜21及
び比較例8〜13)を実際に作製し、そのテープ特性及
び摩擦特性の評価を行った。
【0106】なお、ここでは、微細突起側から求めた負
荷曲線の上部25%における微細突起の個数と、負荷曲
線の上部25%における微細突起の断面積の総和の割合
及び負荷曲線の上部25%における微細突起1個当たり
の断面積についても測定した。
【0107】これらの磁気記録媒体の物性値及び特性は
以下に示す方法により測定したものである。
【0108】・表面突起高さ 実施例1〜14及び比較例1〜7の場合と同様に、Di
gital Instruments社製の原子間力顕
微鏡(AFM):NanoScopeII(商品名)を
用いて、非磁性支持体の強磁性金属薄膜をスキャンサイ
ズ5μm×5μm、サンプリング数400ポイント、ス
キャンレート4.34Hzの条件下で測定を行い、突起
10個の高さをそれぞれ測定し、10個の平均値を算出
してそれを突起高さとした。
【0109】・表面突起個数 実施例1〜14及び比較例1〜7の場合と同様に、微細
突起の個数は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて測定
したものであり、日本電子社製の超高分解能コールドF
E―SEM「S―900」(商品名)を用いて、加速電
圧20kV、倍率3万倍以上にてカウントし、1mm2
当たりの個数に換算した。
【0110】・負荷曲線の上部25%における突起の個
Digital Instruments社製の原子間
力顕微鏡(AFM):NanoScopeII(商品
名)を用いて、非磁性支持体の強磁性金属薄膜をスキャ
ンサイズ5μm×5μm、サンプリング数400ポイン
ト、スキャンレート4.34Hzの条件下で測定した。
【0111】・負荷曲線の上部25%における突起の断
面積の総和 突起の個数と同様に、Digital Instrum
ents社製の原子間力顕微鏡(AFM):NanoS
copeII(商品名)を用いて、非磁性支持体の強磁
性金属薄膜をスキャンサイズ5μm×5μm、サンプリ
ング数400ポイント、スキャンレート4.34Hzの
条件下で測定した。
【0112】・負荷曲線の上部25%における突起1個
当たりの断面積 突起の個数と同様に、Digital Instrum
ents社製の原子間力顕微鏡(AFM):NanoS
copeII(商品名)を用いて、非磁性支持体の強磁
性金属薄膜をスキャンサイズ5μm×5μm、サンプリ
ング数400ポイント、スキャンレート4.34Hzの
条件下で測定した。
【0113】・テープ特性 磁気記録媒体の特性評価は、ソニー株式会社製のAIT
ドライブSDX―S300C(商品名)を改造したもの
を用いて行った。記録は相対速度10.04m/秒、最
短記録波長0.35μmで行った。
【0114】データ用磁気テープでは、表面性の荒れに
よる電磁変換特性の低下、走行耐久性の悪化による電磁
変換特性の低下等は全てエラーレートとして表れる。そ
こで、実施例15〜21及び比較例8〜13の磁気記録
媒体についてエラーレートの評価を行った。ブロックエ
ラーレートの数は10ー2以下を許容とした。
【0115】・摩擦係数 ガイドピン(SUS,0.1S)に対して、100回繰
り返して摺動させた後の摩擦係数を調べた。雰囲気は常
温常湿(25℃、40%)で、荷重10g、摺動速度5
mm/secの条件下で測定した。100パス後の摩擦
係数が3.0以下を許容とした。
【0116】磁気記録媒体(実施例15〜21及び比較
例8〜13)は、磁気記録媒体(実施例1〜14及び比
較例1〜7)と同様な方法で作製した。
【0117】この磁気記録媒体(実施例15〜21及び
比較例8〜13)の物性値を表3に示すとともにその特
性を表4に示す。
【0118】
【表3】
【0119】
【表4】
【0120】(評価)表3及び表4の結果から、実施例
15〜21のように、非磁性支持体上の微細突起の高さ
が5〜50nm、突起個数が1×102 〜1×104
個/mm2 の範囲内にあり、且つ負荷曲線の上部25%
における微細突起の個数が102 〜5×102 万個/m
2 、負荷曲線の上部25%における各微細突起の断面
積の総和が、基準面の面積に対して、0.1〜0.5%
の割合とされており、さらに負荷曲線の上部25%にお
ける微細突起1個当たりの断面積が1.5×103 nm
2 以下とされている場合は、いずれも優れた電磁変換特
性及び走行耐久性等を得ることができることが判った。
【0121】なお、実施例20は、非磁性支持体中に添
加する粒子として、溶液成形の際に溶媒に溶けない非磁
性支持体の原料となる芳香族ポリアミド樹脂と同種のも
のを使用しているが、各特性が適切な範囲内にあるの
で、電磁変換特性や走行耐久性等の特性に優れているこ
とが判った。
【0122】これに対して、比較例8は、負荷曲線の上
部25%における微細突起の個数が102 〜5×102
万個/mm2 以下であり、また、負荷曲線の上部25%
における微細突起1個当たりの断面積が1.5×103
nm2 を超えているので、微細突起の形状がなだらかで
あり、電磁変換特性は優れているものの、接触面積が大
きいために良好な走行耐久性を得ることができないこと
が判った。
【0123】また、比較例9は、負荷曲線の上部25%
における各微細突起の断面積の総和が、基準面の面積に
対して0.5%を超える割合であり、また、負荷曲線の
上部25%における微細突起1個当たりの断面積が1.
5×103 nm2 を超えているので、比較例8と同様
に、微細突起の形状がなだらかであり、電磁変換特性は
優れているものの、接触面積が大きいために良好な走行
耐久性を得ることができないことが判った。
【0124】また、比較例10及び比較例11は、負荷
曲線の上部25%における微細突起1個当たりの断面積
が1.5×103 nm2 を超えているので、比較例8及
び比較例9と同様に、微細突起の形状がなだらかであ
り、電磁変換特性は優れているものの、接触面積が大き
いために良好な走行耐久性を得ることができないことが
判った。
【0125】また、比較例12は、非磁性支持体上の微
細突起の高さが50nmを超え、突起個数が1×104
万個/mm2 を超え、更に負荷曲線の上部25%におけ
る微細突起の個数が5×102 万個/mm2 を超え、負
荷曲線の上部25%における各微細突起の断面積の総和
が、非磁性支持体をmの高さで切断した際の断面積に対
して0.5%を超える割合とされているので、非磁性支
持体の表面が粗く電磁変換特性が大きく劣化するととも
に、微細突起の形状がなだらかであり、接触面積が大き
いために良好な走行耐久性も得ることができないことが
判った。
【0126】また、比較例13は、非磁性支持体上の微
細突起の高さが5nm未満であり、突起個数が1×10
2 万個/mm2 未満であり、且つ負荷曲線の上部25%
における微細突起の個数が102 〜万個/mm2 未満と
されているので、良好な走行耐久性を得ることができな
いことが判った。
【0127】
【発明の効果】本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支
持体が、その強磁性金属薄膜が形成される面に、平均高
さ5〜50nmの微細突起が102 〜104 万個/mm
2 形成された芳香族ポリアミドフィルムからなるので、
テープ特性、当たり特性及び保存特性をともに良好なも
のとすることができ、良好な電磁変換特性と走行性とを
兼ね備えることができる。
【0128】また、この磁気記録媒体は、非磁性支持体
に、0.03〜0.15μmの不活性粒子を添加し、強
磁性金属薄膜が形成される表面に103 〜105 個/m
2の突起を形成することにより、テープ特性の劣化を
少なくし、ヘッド目詰まりの防止、すなわちヘッドのク
リーニング効果を増大させることができる。
【0129】また、この磁気記録媒体は、非磁性支持体
の厚さを2.0〜6.0μmとし、強磁性金属薄膜の厚
さを0.01〜0.2μmとすることにより、全体の厚
さを薄くすることができ、長時間記録化に対応できる。
【0130】また、この磁気記録媒体は、非磁性支持体
に、微細突起側から求めた負荷曲線の上部25%におい
て、微細突起の個数が102 〜5×102 万個/mm2
の範囲内とされ、微細突起の断面積の総和の割合が0.
1〜0.5%の範囲内とされている場合には、記録再生
時に良好な摩擦特性を発揮することができる。
【0131】また、この磁気記録媒体は、微細突起間に
形成される凹部のうち最も深い凹部の底部の高さをmと
し、微細突起のうち最も高い突起の先端部の高さをnと
し、m−n間の高さ方向の距離をsとしたときに、3/
4×s+mを超える高さの微細突起の個数が102 〜5
×102 万個/mm2 の範囲内であるとともに、3/4
×s+mを超える高さの微細突起を3/4×s+mの高
さで切断した際に表れる各微細突起の断面積の総和が、
非磁性支持体をmの高さで切断した際の断面積に対し
て、0.1〜0.5%の割合とされている場合には、記
録再生時における摩擦特性を更に良好なものとすること
ができる。
【0132】さらに、この磁気記録媒体は、非磁性支持
体の縦方向のヤング率を1000kg/mm2 とし、横
方向のヤング率を1300kg/mm2 とすることによ
り、走行性及び保存特性をさらに良好なものとすること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】非磁性支持体の表面の微細突起の状態を説明す
る図である。
【図2】微細突起側から求めた負荷曲線を示す図であ
る。
【図3】強磁性金属薄膜を形成する真空蒸着装置の構成
図である。
【図4】カーボン保護膜を形成するマグネトロンスパッ
タ装置の構成図である。
【符号の説明】
1 真空装置、4 蒸着源、7 非磁性支持体、20
マグネトロンスパッタ装置、26 ターゲット、30
非磁性支持体

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に強磁性金属薄膜を成膜
    してなる磁気記録媒体において、 上記非磁性支持体は、上記強磁性金属薄膜が形成される
    表面に平均高さが5〜50nmの微細突起が102 〜1
    4 万個/mm2 形成された芳香族ポリアミドフィルム
    からなることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記非磁性支持体は、平均粒径0.03
    〜0.15μmの不活性粒子が添加され、上記強磁性金
    属薄膜が形成される表面に103 〜105 個/mm2
    密度で突起が形成されていることを特徴とする請求項1
    記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記非磁性支持体の厚さが2.0〜6.
    0μmであり、上記強磁性金属膜の厚さが0.01〜
    0.2μmであることを特徴とする請求項1記載の磁気
    記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記微細突起間に形成される凹部のうち
    最も深い凹部の底部の高さをmとし、上記微細突起のう
    ち最も高い突起の先端部の高さをnとし、m−n間の高
    さ方向の距離をsとしたときに、3/4×s+mを超え
    る高さの微細突起の個数が102 〜5×102 万個/m
    2 の範囲内であるとともに、 上記3/4×s+mを超える高さの微細突起を3/4×
    s+mの高さで切断した際に表れる各微細突起の断面積
    の総和が、上記非磁性支持体をmの高さで切断した際の
    断面積に対して、0.1〜0.5%の割合とされている
    ことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 上記3/4×s+mを超える高さの微細
    突起を3/4×s+mの高さで切断した際に表れる突起
    1個当たりの断面積が、1.5×103 nm2以下であ
    ることを特徴とする請求項4記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 上記非磁性支持体は、縦方向のヤング率
    が1000kg/mm2 以上であり、横方向のヤング率
    が1300kg/mm2 以上であることを特徴とする請
    求項1記載の磁気記録媒体。
JP34821097A 1997-04-17 1997-12-17 磁気記録媒体 Abandoned JPH113513A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34821097A JPH113513A (ja) 1997-04-17 1997-12-17 磁気記録媒体
US09/211,003 US6203884B1 (en) 1997-12-17 1998-12-15 Magnetic recording medium

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9-100511 1997-04-17
JP10051197 1997-04-17
JP34821097A JPH113513A (ja) 1997-04-17 1997-12-17 磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH113513A true JPH113513A (ja) 1999-01-06

Family

ID=26441521

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34821097A Abandoned JPH113513A (ja) 1997-04-17 1997-12-17 磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH113513A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6274220B1 (en) * 1996-08-29 2001-08-14 Toray Industries, Inc. Aromatic polyamide resin moldings, production methods thereof, and magnetic recording medium produced therefrom
JP2002269719A (ja) * 2001-03-12 2002-09-20 Sony Corp 磁気記録媒体
US7470476B2 (en) 2002-10-23 2008-12-30 Hoya Corporation Glass substrate for magnetic recording medium and method for manufacturing the same
JP2019168537A (ja) * 2018-03-22 2019-10-03 富士ゼロックス株式会社 帯電部材、帯電装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6274220B1 (en) * 1996-08-29 2001-08-14 Toray Industries, Inc. Aromatic polyamide resin moldings, production methods thereof, and magnetic recording medium produced therefrom
USRE40039E1 (en) 1996-08-29 2008-01-29 Toray Industries, Inc. Aromatic polyamide resin moldings, production methods thereof, and magnetic recording medium produced therefrom
JP2002269719A (ja) * 2001-03-12 2002-09-20 Sony Corp 磁気記録媒体
US7470476B2 (en) 2002-10-23 2008-12-30 Hoya Corporation Glass substrate for magnetic recording medium and method for manufacturing the same
JP2019168537A (ja) * 2018-03-22 2019-10-03 富士ゼロックス株式会社 帯電部材、帯電装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2000215433A (ja) 磁気記録媒体
US5139849A (en) Magnetic recording medium
KR100750272B1 (ko) 자기기록매체
US5976668A (en) Base film for magnetic recording medium and magnetic recording medium using same
JPH113513A (ja) 磁気記録媒体
US6203884B1 (en) Magnetic recording medium
JPS61246919A (ja) 高密度記録媒体用ベ−スフイルム
US6391423B1 (en) Magnetic recording medium
JPH10293916A (ja) 磁気記録媒体
JPH11288515A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH04232611A (ja) 高密度磁気記録媒体
JPH11185234A (ja) 磁気記録媒体
JPH11185238A (ja) 磁気記録媒体
JPH09270116A (ja) 磁気記録媒体
JPH11191215A (ja) 磁気記録媒体
JPH10198939A (ja) 磁気記録媒体
JPH11213373A (ja) 磁気記録媒体
JPH11213374A (ja) 磁気記録媒体
JPH11213372A (ja) 磁気記録媒体
JPH0334127B2 (ja)
JPH11296852A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH0152816B2 (ja)
JP2000285438A (ja) 磁気記録媒体
JPH11316949A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2002216340A (ja) 磁気記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20050323

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050329

A762 Written abandonment of application

Effective date: 20050530

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762