JPH11185238A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH11185238A
JPH11185238A JP35342697A JP35342697A JPH11185238A JP H11185238 A JPH11185238 A JP H11185238A JP 35342697 A JP35342697 A JP 35342697A JP 35342697 A JP35342697 A JP 35342697A JP H11185238 A JPH11185238 A JP H11185238A
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magnetic
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magnetic recording
film
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JP35342697A
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Hiroshi Yatagai
洋 谷田貝
Yuichi Arizaka
裕一 蟻坂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芳香族ポリアミドフィルムを非磁性支持体と
する磁性薄膜型磁気記録媒体のカールを小として、磁気
ヘッドとの当たりが十分とれるようにするとともに、カ
ールに起因する種々の問題をなくした磁性薄膜型磁気記
録媒体を提供する。 【解決手段】 本発明に係わる磁気記録媒体1は、芳香
族ポリアミドフィルムからなる非磁性支持体2上に磁性
薄膜4が形成されて構成される。非磁性支持体2の磁性
薄膜4が形成される一方の主面の表面には、望ましくは
平均高さが10以上40nm以下の微細突起3が100
万個/mm2 以上10,000万個/mm2 以下の面密
度で具備されている。非磁性支持体2の磁性薄膜4が形
成された反対の主面には、有機プラズマ重合体層6が形
成されている。非磁性支持体の厚さが、4.5μm以下
であることが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁性薄膜を用いた磁
気記録媒体に関し、さらに詳しくは、長時間記録用のビ
デオテープ、あるいは大容量のテープストリ−マーとし
て用いて好適な磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁性薄膜型の磁気記録媒体の
非磁性の支持体としては、ポリエチレンテレフタレート
フィルムが主として用いられている。特に、ホームビデ
オカセットテープ、例えば8mmテープの支持体として
は、7μm以上10μm以下程度のポリエチレンテレフ
タレートフィルムが用いられ、コンピュータのデータバ
ックアップ用のテープストリーマーには、5μm以上7
μm以下程度のポリエチレンテレフタレートフィルムが
用いられている。
【0003】ところで、近年ビデオカセット用の磁気記
録媒体は、ビデオカセットの小型化に伴い、より一層の
コンパクト化と長時間記録化が求められている。また、
昨今の情報量の増大化に伴い、テープストリーマーにお
いても大容量化が求められており、これらの要求に応え
るために、磁気記録媒体の厚さを薄くすることが検討さ
れるようになった。
【0004】磁気記録媒体の厚さを薄くするためには、
支持体の厚さを薄くすることが容易に考えられる。しか
しながら、支持体として、ポリエチレンテレフタレート
フィルムを用いた場合、その厚さを薄くすると、長さ方
向あるいは幅方向の強度が低下する。そして、磁気記録
媒体は、長さ方向の強度が低下すると、シワや折れが発
生し易くなり、さらには磁気記録媒体ヘッドとの接触不
良を生じやすくなるなどの問題点があった。
【0005】そこで、磁性薄膜型磁気記録媒体用の支持
体としてポリアミドフィルムを用いることが検討される
ようになり、実用化されつつある。
【0006】ポリアミドフィルムは、ポリエチレンテレ
フタレートフィルムと比べて強度が大きい。従って、こ
のポリアミドフィルムを支持体として用いた磁気記録媒
体は、厚さを薄くすることが可能であり、ビデオカセッ
トテープの長時間記録化、テープストリーマーの大容量
化に対応した磁気記録媒体として注目されている。特に
テープストリーマーにおいては、年々容量が増大化する
傾向にあり、この大容量化に対応するために、益々磁気
記録媒体の薄物化が求められている。
【0007】しかしながら、支持体を薄くすると、カー
ルが大きくなり、磁気ヘッドとの当たりがとりにくくな
り、電磁変換特性の大幅な低下を引き起こしたり、磁気
記録媒体ヘッドと接触しやすい縁部は摩耗しやすくな
り、ドロップアウトの原因となったり、再生信号の出力
低下を引き起こしたりして、実用上問題となる虞れがあ
る。
【0008】また、磁性薄膜型磁気記録媒体は、磁性層
が薄膜であり、その厚さが極めて薄いので、磁性層が支
持体の表面性の影響を受けやすく、支持体の表面形状が
そのまま磁性層の表面形状に反映される。したがって、
磁性薄膜型磁気記録媒体においては、支持体の表面形状
を制御することにより、磁性層表面の微細形状を適切な
状態にする必要がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の発明者等は、
特願平9−10051号明細書において、芳香族ポリア
ミドフィルムからなる非磁性支持体の表面形状を制御し
て、磁性層表面の微細形状を最適な状態にして、電磁変
換特性と走行性を改善した磁気記録媒体を提案した。し
かしながら、芳香族ポリアミドからなる非磁性支持体を
有する磁気記録媒体においても、そのベース厚を薄くし
た場合は、わずかにカールを発生する場合があった。本
発明は、かかる芳香族ポリアミドフィルムからなる非磁
性支持体を有する磁性薄膜型磁気記録媒体のカールを小
として、磁気ヘッドとの当たりが十分とれるようにする
とともに、カールに起因する種々の問題をなくした磁性
薄膜型磁気記録媒体を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の磁気記録媒体は、芳香族ポリアミドフィル
ムからなる非磁性支持体の一方の主面に磁性薄膜を有す
る磁気記録媒体であって、非磁性支持体の他の主面に、
有機プラズマ重合体層を具備することを特徴とする。非
磁性支持体の磁性薄膜が形成される面の表面に、平均高
さが10nm以上40nm以下の微細突起を100万個
/mm2 以上10,000万個/mm2 以下の面密度で
具備することが望ましい。非磁性支持体の厚さが、4.
5μm以下であることが望ましい。尚、厚さの下限は、
この磁気記録媒体の製造装置の走行系の性能で定まる設
計事項であるが、通常はほぼ1μm程度である。
【0011】上述した手段による作用を以下に述べる。
本発明の磁気記録媒体は芳香族ポリアミドフィルムであ
る非磁性支持体の磁性薄膜が形成された面の他の主面
に、有機プラズマ重合体層を形成することにより、緻密
で強度が大である均一な薄膜を得ることができる。した
がって、磁気記録媒体のカールを小とすることができ、
カールに起因する種々の問題を解決することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、本
発明の磁気記録媒体の一例を示す概略構成図である図1
を参照して以下に説明する。本発明に係わる磁気記録媒
体1は、芳香族ポリアミドフィルムからなる非磁性支持
体2上に磁性薄膜4が形成されて構成される。非磁性支
持体2の磁性薄膜4が形成される一方の主面の表面は、
例えば微細突起3が形成されており、非磁性支持体2の
磁性薄膜4が形成された反対の主面には、有機プラズマ
重合体層6が形成されている。
【0013】この磁気記録媒体1の非磁性支持体2に用
いられる芳香族ポリアミドフィルムとして、特に好まし
いのは下記の少なくとも[化1]、[化2]およびこれ
らの共重合体のいずれか一種を含有するポリアミド樹脂
を用いて成膜されたものである。なお、この芳香族ポリ
アミドには約20%以下の量であれば、上記の成分以外
のポリマーが共重合またはブレンドされてもよい。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】これらの重合体からフィルムを製造する場
合には、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミ
ド、n−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミ
ド、γ−プチロラクトン、テトラメチル尿素、ジオキサ
ンなど、あるいはこれらの混合溶媒、あるいはこれらに
重合原液の中和生成物として塩化リチウム、塩化カルシ
ウム、炭酸リチウムおよび硝酸リチウムなどの無機塩を
添加した溶媒が使用される。
【0017】上記の成膜用溶媒を使用して、p−フェニ
レンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレ
ンジアミン、2−ニトロ−p−フェニレンジアミン、2
−lクロル−p−フェニレンジアミン、4,4′−ジア
ミノビフェニル、3,3′−クロルベンジンなどの芳香
族ジアミン類およびテレフタル酸クロライド、2−クロ
ルテレフタル酸クロライド、テレフタル酸ヒドラジド、
p−アミノ安息香酸ヒドラジド、p−アミノ安息香酸ク
ロライドなどの芳香族ジカルボン酸類の重合あるいは結
合によって得られた芳香族ポリアミド樹脂を溶液成形な
どの手法により芳香族ポリアミドフィルムを得る。
【0018】上記のようにして得られた芳香族ポリアミ
ドフィルムを長さ方向および幅方向に延伸して所望の厚
さの非磁性支持体2を得る。
【0019】上記非磁性支持体2の磁性薄膜4が形成さ
れる主面には、高さ10nm以上40nm以下の微細突
起3が100万個/mm2 以上10,000万個/mm
2 以下の面密度で形成されるように以下に述べる方法で
処理する。
【0020】微細突起3を形成する方法としては、例え
ば上記の芳香族ポリアミドフィルム中へ不活性微粒子を
添加する方法や、非磁性支持体2上に微細粒子を含有し
た高分子被膜を設けることにより形成する方法、および
これらを組み合わせた方法のいずれかによる方法などが
挙げられる。
【0021】不活性微粒子としては、例えば、シリカ、
炭酸カルシウム、二酸化チタン、アルミナ、カオリン、
タルク、グラファイト、長石、二酸化モリブデン、カー
ボンブラック、硝酸バリウムなどの無機質系微細粒子、
ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート共重合体、メ
チルメタクリレート共重合体の架橋体、ポリテトラフル
オロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリアク
リロニトリル、ベンゾグアナミン樹脂などの有機系微細
粒子などが挙げられるが、真球状粒子を得やすいコロイ
ダルシリカ、架橋高分子による粒子を用いることが好ま
しい。
【0022】上記の不活性微粒子を上記の芳香族ポリア
ミドフィルム中に添加する場合は、重合前の溶媒中へ添
加するか、あるいは重合に使用する溶媒全部に分散させ
るようにしてもよく、さらには、ポリマー溶液の調整工
程中で添加するようにしてもよい。
【0023】なお、微細突起3を形成する方法として
は、上記のように微細粒子を添加する方法によらなくて
も、非磁性支持体2や高分子被膜の表面形状が、微細粒
子を添加したものと同様の形状となる方法であればよ
く、上記の方法に限定されるものではない。
【0024】さらに、非磁性支持体2中に添加する微粒
子としては、非磁性支持体2の原料となる芳香族ポリア
ミド樹脂と同種のものであって、上述した溶液成形の際
に溶媒に溶けない有機物が用いられる。そして、この粒
子を非磁性支持体2の原料となる芳香族ポリアミド樹脂
に添加して、300℃以上の高温に加熱したときに分解
しない有機物が微細突起3として現れる。このとき、添
加する有機物の量を調節することにより、形成される微
細突起3の面密度を100万個/mm2 以上10,00
0万個/mm2 以下となるようにする。
【0025】また、これらの不活性微粒子を高分子被膜
中に含有させて微細突起3を形成する場合は、例えば、
不活性微粒子を含む水溶性高分子を主体とした組成物
を、芳香族ポリアミドフィルムの磁性薄膜4が形成され
る主面にコーティングする。このとき、水溶性高分子と
しては、ポリビニルアルコール、トラガントゴム、カゼ
イン、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチル
セルロース、カルボキシメチルセルロースおよびポリエ
ステルなどが挙げられる。
【0026】上述のように形成される非磁性支持体2の
一方の主面上に、真空蒸着装置などを用いて磁性薄膜4
を形成する。この磁性薄膜4の形成方法を連続巻き取り
式の真空蒸着装置の概略断面図である図2を参照して以
下に説明する。
【0027】この真空蒸着装置10は、いわゆる斜方蒸
着用として構成され、内部が例えば約10-3Pa程度の
真空状態とされたチャンバ11内に、例えば−20℃程
度に冷却され、図中の反時計回り方向(矢印A方向)に
回転する冷却キャン12と対向するように強磁性金属薄
膜などの磁性薄膜4用の蒸着源13が配置されている。
【0028】蒸着源13は坩堝等の容器にCo等の強磁
性金属材料などの磁性材料が収容されたものであり、こ
の蒸着源13に対し、電子ビーム発生源14から電子ビ
ーム15を加速照射して磁性材料を加熱、蒸発させ、こ
れを図中の反時計回り方向に回転する供給ロール17か
ら図中の矢印B方向に繰り出され、冷却キャン12の周
面に沿って走行する非磁性支持体16上に付着(蒸着)
させることによって強磁性金属薄膜などの磁性薄膜4を
形成する。そして、磁性薄膜4が形成された非磁性支持
体16は、巻取りロール18に巻き取られる。
【0029】このとき、蒸着源13と冷却キャン12と
の間には防着板19を設け、この防着板19にシャッタ
20を位置調整可能に設けて、非磁性支持体16に対し
て所定の角度で入射する蒸着粒子のみを通過させる。こ
うして斜め蒸着法によって磁性薄膜4が形成されるよう
になされている。
【0030】なお、供給ロール17と冷却キャン12と
の間、及び冷却キャン12と巻取りロール18との間に
はそれぞれガイドローラー21、22が配置され、供給
ロール17から冷却キャン12、及びこの冷却キャン1
2から巻取りロール18に従って走行する非磁性支持体
16に所定のテンションをかけ、非磁性支持体16が円
滑に走行するようになされている。
【0031】さらに、このような磁性薄膜4の蒸着に際
し、図示しない酸素ガス導入口を介して非磁性支持体1
6の表面に酸素ガスが供給され、これによって磁性薄膜
4の磁気特性、耐久性及び耐候性の向上が図られてい
る。また、蒸着源を加熱するためには、上述のような電
子ビーム15による加熱手段の他、例えば、抵抗加熱手
段、高周波加熱手段、レーザ加熱手段等の公知の手段を
使用できる。
【0032】以上は、斜め蒸着法によりCoからなる磁
性薄膜4を形成する例について説明したが、磁性薄膜4
を形成する方法としては、この例の他に垂直蒸着法やス
パッタリング法等の公知の薄膜形成法が適用でき、ま
た、磁性薄膜4の材料としては、Coの他にNi、Fe
等およびこれらの合金が使用できる。ただし、非磁性支
持体16との付着強度改善、あるいは磁性薄膜4自体の
耐食性、耐摩耗性改善等の目的から、蒸着時の雰囲気を
酸素ガスが支配的となる雰囲気としたとき得られる酸素
を含む磁性薄膜4を使用することが望ましい。また、磁
性薄膜4の厚さは、0.01μm以上0.2μm以下程
度、好ましくは、0.1μm以上0.2μm以下程度で
ある。
【0033】また、この磁気記録媒体1は、磁性薄膜4
の摩耗を防止するため、磁性薄膜4上に、図2に示すよ
うなマグネトロンスパッタ装置30等を用いて、カーボ
ン保護膜5などの保護層を形成することが望ましい。
【0034】このマグネトロンスパッタ装置30は、外
側がチャンバ31にて覆われている。そして、チャンバ
31内は、真空ポンプ32にて約10-4Paまで減圧さ
れた後、真空ポンプ32側へ排気する排気バルブ33を
絞ることにより排気速度を落とし、ガス導入管34から
Arガスを導入して、真空度が約0.8Paとされる。
【0035】マグネトロンスパッタ装置30は、このチ
ャンバ31内に、例えば−40℃程度に冷却され、図中
の反時計回り方向(矢印A方向)に回転する冷却キャン
35と、この冷却キャン35と対向配置されるターゲッ
ト36とがそれぞれ設けられている。
【0036】ターゲット36は、カーボン保護膜5の原
材料となるものであり、カソード電極を構成するバッキ
ングプレート37に支持されている。そして、バッキン
グプレート37の裏側には、磁場を形成するマグネット
38が配設されている。
【0037】このマグネトロンスパッタ装置30により
カーボン保護膜5を形成する際は、ガス導入管34から
Arガスを導入するとともに、冷却キャン35をアノー
ド、バッキングプレート37をカソードとして3000
Vの電圧を印加し、1.4Aの電流が流れる状態を保つ
ようにする。
【0038】この電圧の印加により、Arガスがプラズ
マ化し、電離されたイオンがターゲット36に衝突する
ことにより、ターゲット36の原子がはじき出される。
このとき、バッキングプレート37の裏側にはマグネッ
ト38が配設されており、ターゲット36の近傍に磁場
が形成されるので、電離されたイオンはターゲット36
の近傍に集中されることになる。
【0039】ターゲット36からはじき出された原子
は、図中の反時計回り方向に回転する供給ロール40か
ら図中の矢印B方向に繰り出され、冷却キャン35の周
面に沿って走行する磁性薄膜4が形成された非磁性支持
体39上に付着し、カーボン保護膜5が形成される。そ
して、カーボン保護膜5が形成された非磁性支持体39
は、巻取りロール41に巻き取られる。
【0040】このカーボン保護膜5は、スペーシングロ
スを小さくし、かつ、磁性薄膜4の摩耗防止の効果を得
ることができるように、その厚さを3nm以上15nm
以下程度、特に5nm以上10nm以下程度とすること
が好ましい。
【0041】以上は、マグネトロンスパッタ装置30に
よりカーボン保護膜5を形成する例について説明した
が、カーボン保護膜5を形成する方法としては、この例
の他に、イオンビームスパッタやイオンビームプレーテ
ィング法、CVD(Chemical Vapor D
eposition)法等の公知の薄膜形成方法を用い
ることができる。
【0042】また、この磁気記録媒体1は、カーボン保
護膜5の表面に滑剤を存在せしめることが望ましい。こ
れにより、磁気記録媒体1は、微細突起3の形状に基づ
く走行性改善効果をさらに高めることが可能である。
【0043】また、この磁気記録媒体1は、その表面、
裏面、またはそれらの近傍あるいはカーボン保護膜5、
磁性薄膜4内の空隙、カーボン保護膜5と磁性薄膜4と
の界面、磁性薄膜4と非磁性支持体2との界面、非磁性
支持体2内等に、必要に応じて公知の手段で防錆剤、帯
電防止剤、防かび剤等の各種添加剤を存在せしめること
ができる。
【0044】本発明の磁気記録媒体1は、非磁性支持体
2の磁性薄膜4が形成される面の他の主面には有機プラ
ズマ重合体層6が形成されているが、プラズマ重合法に
ついて以下に説明する。
【0045】プラズマ重合法は、Ar、He、H2 、N
2 などのキャリアガスの放電プラズマとモノマーガスと
を混合し、被処理基体表面にこれらの混合ガスを接触さ
せることにより、基体表面にプラズマ重合膜を形成する
ものである。原理的には気体を減圧して電場を作用させ
ると、気体中に少量存在する自由電子は、常圧に比べて
分子間距離が非常に大きいため、電界加速を受け5〜1
0eVの速度エネルギー(電子速度)を得る。この自由
電子が原子や分子に衝突すると、原子軌道や分子軌道を
分断して電子、イオン、中性ラジカルなど常態では不安
定な化学種に解離させる。これらの解離した電子は再び
電界加速を受けて他の原子や分子を解離させるが、この
連鎖作用で気体はたちまち高度の電離状態となり、これ
はプラズマと呼ばれている。気体分子は電子との衝突の
機会が少ないのでエネルギーをあまり吸収せず常温に近
い温度に保たれている。このように、電子の速度エネル
ギーと分子の熱運動(ガス温度)が分離した系は低温プ
ラズマと呼ばれ、ここでは化学種が比較的原形を保った
まま重合などの加成的化学反応を進めうる状況を創出し
ており、本発明はこの状況を利用して基体にプラズマ重
合膜を形成するものである。この場合、低温プラズマを
利用するため基体への熱影響はほとんどない。
【0046】本発明において用いることが可能なモノマ
ーガスとしては、プラズマ重合性を有する、炭素−水素
系、炭素−水素−酸素系、炭素−酸素−ハロゲン系、炭
素−水素−ハロゲン系、有機金属などを含む有機化合物
一般がいずれも使用できるが、特にエチレン、アセチレ
ン、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレー
ト、ブタジエン、ベンゼンおよびピリジンのような不飽
和結合を有する有機化合物が好ましい。この他、シロキ
サン結合を有する各種シランなどの有機珪素化合物や、
硫黄あるいは窒素を含有する各種有機化合物も用いるこ
とができる。
【0047】この有機プラズマ重合体層を形成する方法
をプラズマ重合装置の一例である図4を参照して以下に
説明する。プラズマ重合装置50において、真空に排気
されたチャンバ51内で、供給ロール60および巻取り
ロール61から構成される巻き取り装置により走行する
磁性薄膜4が形成された非磁性支持体59の磁性薄膜形
成面と反対面上に、モノマーガス55およびキャリアー
ガス56をガス導入管54より導入し、高周波電源57
から電極58に印加される高周波電界によりプラズマ化
して重合反応により形成された有機プラズマ重合体層6
を形成する。なお、図4のプラズマ重合装置50は容量
結合型の高周波プラズマ発生源を用いているが、誘導結
合型高周波プラズマ発生源や、ECR(Electro
nCyclotron Resonance)プラズマ
発生源、直流プラズマ発生源、交流プラズマ発生源およ
びマイクロ波プラズマ発生源など、各種のプラズマ発生
源を有するプラズマ重合装置を用いることができる。プ
ラズマ重合時の真空度は、1pPa以上1000Pa以
下であるのが好ましい。
【0048】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例1〜5につい
て説明する。また、実施例1〜5の参照例として、参考
例1〜2、および比較例について併せて説明する。本実
施例1〜5、参考例1〜2および比較例における種々の
物性値及び特性は以下に示す方法により測定したもので
ある。なお、当然のことながら、本発明は下記実施例に
何ら限定されるものではない。
【0049】表面突起高さ測定 Digital Instrument社製のNano
ScopeIII(商品名)を用いて、非磁性支持体2
の磁性薄膜4を形成する面を、AFMの測定5μm×5
μmの範囲での測定を行い、微細突起3のうち10個の
高さをそれぞれ測定し、10個の平均値を算出してそれ
を突起高さとした。
【0050】表面突起個数 高さ5nm以上40nm以下の微細突起3の個数は、走
査電子顕微鏡(SEM)を用いて測定したものであり、
日本電子社製の超高分解能コールドFE―SEM「S―
900」(商品名)を用いて、加速電圧20kV、倍率
3万倍以上にてカウントし、1mm2 当たりの個数に換
算した。
【0051】芳香族ポリアミド樹脂中に不活性粒子を添
加することにより形成する微細突起3の個数は、高さ5
nm以上40nm以下の微細突起3の個数と同様に走査
電子顕微鏡(SEM)を用い、倍率5千倍以上にてカウ
ントし、1mm2 当たりの個数に換算した。
【0052】テープ特性 本実施例における磁気記録媒体1の特性評価は、ソニー
株式会社製のAITドライブSDX―S300C(商品
名)を改造したものを用いて行った。記録は相対速度1
0.04m/秒、最短記録波長0.35μmで行った。
【0053】走行耐久性として170m長を100パス
走行させ、1パス走行後のブロックエラーレート(BE
R)、100パス走行後のブロックエラーレート、そし
て100パス走行後の回転ヘッドシリンダー部でのテー
プの鳴きの状態を測定した。
【0054】ヘッドとの当たり特性 テープ再生時の出力信号(当たり波形)を1トラック分
で見た場合の出力信号の最小値/最大値(%)を測定し
た。
【0055】保存特性 保存特性は常温(25℃)常湿下で170m長記録した
磁気記録媒体1を、45℃、80%RHの環境下で3日
間保存し、再び常温常湿下で再生して、エラーレート
(ER)の増加を測定した。
【0056】カール度 磁気テープの幅(l)と平面板表面からの磁気テープの
最大高さ(h)とを測定し、その比h/lでカール度を
表した。
【0057】(実施例)脱水したn−メチルピロリドン
に、0.9mol比に相当する2−クロル−p−フェニ
レンジアミンと0.1mol比に相当する4,4’−ジ
アミノジフェニルスルホンとを攪拌溶解させて冷却し、
この中へ0.7mol比に相当するテレフタル酸クロラ
イドを添加して、約2時間攪拌した。その後、十分精製
した水酸化カルシウムを添加、攪拌して、芳香族ポリア
ミド溶液を得た。
【0058】この芳香族ポリアミド溶液を表面研磨した
金属ドラム上へ30℃で均一に流延し、120℃の雰囲
気で約10分間乾燥し、芳香族ポリアミドフィルムとし
た。このフィルムをドラムから剥離し、30℃の水槽中
に連続的に約30分間浸漬しながら、長さ方向に1.1
倍に延伸した。さらにこのフィルムをテンターに導入し
て320℃で長さ方向に1.3倍に延伸して、厚さ約4
μmの非磁性支持体2を得た。
【0059】この非磁性支持体2の表面に、粒径15n
m程度のSiO2 を含有する水性塗液を塗布して乾燥さ
せることにより、高分子被膜を形成した。
【0060】次に、図2に示すような連続巻き取り式の
真空蒸着装置10をその内部が10-3Pa程度の真空状
態となるように排気し、高分子被膜が形成された非磁性
支持体16を、この蒸着装置にセッティングした。そし
て、連続真空斜め蒸着法により、微量の酸素存在下にお
いて、この非磁性支持体16の表面にCoからなる磁性
薄膜4を形成した。蒸着の入射角は、非磁性支持体16
の法線方向が90〜45度までであり、非磁性支持体1
6の走行速度が50m/分で、磁性薄膜4の厚さが0.
18μmとなるように、電子ビーム15の強さを調節し
て作製した。
【0061】次に、図3に示すようなマグネトロンスパ
ッタリング装置30をその内部が10-4Pa程度になる
まで減圧した後、Arガスを導入し、0.8Pa程度に
した。そして、このマグネトロンスパッタリング装置3
0に磁性薄膜4が形成された非磁性支持体39をセッテ
ィングし、−40℃に冷却した冷却キャン35上を5m
/分の速度で走行させて磁性薄膜4上にカーボン保護膜
5を形成した。
【0062】次に、図4に示すようなプラズマ重合装置
50をその内部が10-4Pa程度になるまで減圧した
後、モノマーガス55としてエチレンおよびキャリアー
ガス56としてArガスを導入し、70Pa程度にし
た。電極58間には、高周波電源57から高周波電界を
印加し、これによりモノマーガス55およびキャリアー
ガス56をプラズマ化する。そして、このプラズマ重合
装置50に磁性薄膜4が形成された非磁性支持体59を
セッティングし、非磁性支持体59の磁性薄膜4が形成
された面とは反対側の面に以下の条件で厚さ0.3μm
の有機プラズマ重合体層6を形成した。 モノマーガス : エチレン モノマーガス流量 : 30ml/分 キャリアーガス : アルゴン キャリアーガス流量 : 70ml/分 真空度 : 70Pa 高周波電力 : 300W[13.56MHz]
【0063】次に、カーボン保護膜5上にパーフルオロ
ポリエーテルよりなる滑剤のトップコート層を形成し、
8mm幅に裁断した。そして、8mm幅に裁断したサン
プルテープをカセット本体に収納し、カセットテープを
得た。なお、比較例においては、非磁性支持体2の磁性
薄膜4を形成した面とは反対側の面に有機プラズマ重合
体層6を形成しなかった。
【0064】得られたカセットテープの物性値を[表
1]に示すとともにその特性を[表2]に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】[表1]および[表2]の結果から、磁気
記録媒体1は、実施例1〜5のように、磁性薄膜4が形
成される面に平均高さが10以上40nm以下の微細突
起3が100万個/mm2 以上10,000万個/mm
2 以下形成されることにより、テープ特性、当たり特性
および保存特性をともに良好なものとすることができ
る。参考例1および2における、微細突起3の平均高さ
が、それぞれ5μm、50μm のものは走行耐久性に
おいて劣化を示した。また、実施例の芳香族ポリアミド
フィルムの磁性薄膜4が形成された面とは反対側の面に
有機プラズマ重合体層6を形成することにより、非磁性
支持体2の厚さが4.5μm以下の薄物の磁気記録媒体
1でも十分カールを小にすることができる。また、カー
ルに起因する種々の問題を解決することができる。これ
に対して、比較例の有機プラズマ重合体層6を形成しな
い場合は、走行耐久性、保存特性、ヘッドの当たり特性
およびカール度のいずれにおいても劣化を示した。
【0068】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体によれば、磁性薄
膜が形成される面に平均高さが10nm以上40nm以
下の微細突起が100万個/mm2 以上10,000万
個/mm2 以下形成されることにより、テープ特性、当
たり特性および保存特性をともに良好なものとすること
ができる。さらに、芳香族ポリアミドフィルムの磁性薄
膜が形成された面とは反対側の面に有機プラズマ重合体
層を形成することにより、非磁性支持体の厚さが4.5
μm以下の薄物の磁気記録媒体でも十分カールを小にす
ることができる。また、カールに起因する種々の問題を
解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の磁性薄膜型磁気記録媒体の概略構成
図である。
【図2】 本発明の磁性薄膜を形成する連続型巻き取り
式の真空蒸着装置を示す概略断面図である。
【図3】 本発明のカーボン保護膜を形成するマグネト
ロンスパッタ装置を示す概略断面図である。
【図4】 本発明の有機プラズマ重合体層を形成するプ
ラズマ重合装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…磁気記録媒体、2,16,39,59…非磁性支持
体、3…微細突起、4…磁性薄膜、5…カーボン保護
膜、6…有機プラズマ重合体層、10…真空蒸着装置、
11,31,51…チャンバ、12,35…冷却キャ
ン、13…蒸着源、14…電子ビーム発生源、15…電
子ビーム、17,40,60…供給ロール、18,4
1,61…巻取りロール、19…防着板、20…シャッ
タ、21,22…ガイドローラー、30…マグネトロン
スパッタ装置、32,52…真空ポンプ、33,53…
排気バルブ、34,54…ガス導入管、36…ターゲッ
ト、37…バッキングプレート、38…マグネット、5
0…プラズマ重合装置、55…モノマーガス、56…キ
ャリアーガス、57…高周波電源、58…電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリアミドフィルムからなる非磁
    性支持体の一方の主面に、磁性薄膜を有する磁気記録媒
    体であって、 前記非磁性支持体の他の主面に有機プラズマ重合体層を
    具備することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記非磁性支持体の一方の主面の表面に
    は、平均高さが10nm以上40nm以下の微細突起を
    100万個/mm2 以上10,000万個/mm2 以下
    の面密度で具備することを特徴とする請求項1に記載の
    磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記非磁性支持体の厚さが、4.5μm
    以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録
    媒体。
JP35342697A 1997-12-22 1997-12-22 磁気記録媒体 Pending JPH11185238A (ja)

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